特許第6180010号(P6180010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180010
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】電解コンデンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/028 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   H01G9/02 331H
   H01G9/02 331G
【請求項の数】6
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2012-230412(P2012-230412)
(22)【出願日】2012年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-82392(P2014-82392A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000215800
【氏名又は名称】テイカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078064
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 鐵雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115901
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 英樹
(72)【発明者】
【氏名】杉原 良介
(72)【発明者】
【氏名】廣田 兄
【審査官】 田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−508342(JP,A)
【文献】 特開2012−124239(JP,A)
【文献】 特開2011−071178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行って、コンデンサ素子に導電性高分子層を形成した後、該コンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行うことを経て電解コンデンサを製造することを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
【請求項2】
導電性高分子の分散液の含浸後の乾燥を、形成される導電性高分子層の表面を乾燥し内部は完全乾燥しない状態に部分乾燥することによって行う請求項1記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項3】
沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤が、エチレングリコール、γ−ブチロラクトンまたはジメチルスルホキシドである請求項1または2記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項4】
沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%100質量%未満で含有する溶液が、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を炭素数が1〜4のアルコールまたは水に溶解させたものである請求項1または2記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項5】
沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100%未満で含有する溶液が、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基およびカルボキシエステル基よりなる群から選ばれる少なくとも2種の官能基を有するベンゼン系化合物を少なくとも1種含有する請求項1または2記載の電解コンデンサの製造方法。
【請求項6】
沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100%未満で含有する溶液が、さらにグリシジル化合物またはアルコキシシラン化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電解コンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性高分子は、その高い導電性により、例えば、タンタル電解コンデンサ、アルミニウム電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサなどの電解コンデンサの固体電解質として用いられている。
【0003】
この用途における導電性高分子としては、例えば、チオフェンまたはその誘導体などを化学酸化重合または電解酸化重合することによって得られたものが用いられている。
【0004】
上記チオフェンまたはその誘導体などの化学酸化重合を行う際のドーパントとしては、主として有機スルホン酸が用いられ、その中でも、芳香族スルホン酸が適しているといわれており、酸化剤としては、遷移金属が用いられ、その中でも第二鉄が適しているといわれていて、通常、芳香族スルホン酸の第二鉄塩がチオフェンまたはその誘導体などの化学酸化重合にあたって酸化剤兼ドーパントとして用いられている。
【0005】
そして、その芳香族スルホン酸の第二鉄塩の中でも、トルエンスルホン酸第二鉄塩やメトキシベンゼンスルホン酸第二鉄塩などが特に有用であるとされていて、それらを用いた導電性高分子の合成は、それらの酸化剤兼ドーパントをチオフェンまたはその誘導体などの重合性モノマーと混合することにより行うことができ、簡単で、工業化に向いていると報告されている(特許文献1、特許文献2)。
【0006】
しかしながら、上記のようにして得られる導電性高分子をそのまま電解コンデンサの固体電解質として用いた場合、充分に満足できる特性を有しているとは言えず、今後、ますます要求特性が高くなっていく電解コンデンサの固体電解質として用いるには、さらなる特性の向上が必要であると考えられる。
【0007】
また、得られた導電性高分子を、電解コンデンサの固体電解質として用いる場合、化学酸化重合法で合成した導電性高分子は、通常、溶剤に対する溶解性がないため、タンタル、ニオブ、アルミニウムなどの弁金属の多孔体からなる陽極と、前記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するコンデンサ素子上に直接導電性高分子の層を形成する必要があり、しかも、そのような「その場重合」と呼ばれる化学酸化重合法による導電性高分子層の形成では、1回の「その場重合」で形成される導電性高分子層の厚みが極めて薄いため、「その場重合」だけで電解コンデンサの固体電解質として必要な量の導電性高分子層を形成しようとすると、そのような「その場重合」を何回も繰り返さなければならないという問題があった。
【0008】
そこで、そのような作業上の制約からの解放を目指して、可溶化導電性高分子が積極的に検討されている(特許文献3)。この特許文献3によれば、ポリスチレンスルホン酸、過硫酸アンモニウム、鉄塩、エチレンジオキシチオフェンなどを混合して、反応させれば、導電性高分子の分散液が得られると報告されている。しかしながら、それによって得られる導電性高分子も、そのまま電解コンデンサの固体電解質として用いた場合、充分に満足できる特性を有しているとは言えず、今後、ますます要求特性が高くなる電解コンデンサの固体電解質として用いるには、さらなる特性の向上が必要であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−160647号公報
【特許文献2】特開2004−265927号公報
【特許文献3】特許第2636968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような事情に鑑み、ESR(等価直列抵抗)が低く、かつ耐熱性および耐電圧性が優れた電解コンデンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサを製造するにあたり、導電性高分子の分散液を用いてコンデンサ素子に固体電解質を構成する導電性高分子の層を形成した後、該コンデンサ素子を特定の処理液で処理することによって、ESRが低く、かつ耐熱性および耐電圧性が優れた電解コンデンサが得られることを見出し、それに基づいて完成したものである。
【0012】
すなわち、本発明は、導電性高分子を固体電解質として用いる電解コンデンサの製造にあたり、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有するコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行って、コンデンサ素子に導電性高分子層を形成した後、該コンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行うことを経て電解コンデンサを製造することを特徴とする電解コンデンサの製造方法に関する。
【0013】
また、上記のように、コンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸した後、乾燥する際に、形成される導電性高分子層の表面を乾燥し内部は完全乾燥しない状態に部分乾燥し、その状態のものを沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液で処理するときは、形成される導電性高分子層をその内部まで完全に乾燥してから処理する場合よりも、むしろ特性の良いものが得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ESRが低く、かつ耐熱性および耐電圧性が優れた電解コンデンサを提供することができる。また、本発明によれば、貯蔵特性、耐漏れ電流性、充放電特性なども向上させることができる
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明においては、上記のように、電解コンデンサの製造にあたり、コンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸し、乾燥する操作を少なくとも1回行って、コンデンサ素子に薄膜状の導電性高分子層を形成するが、その導電性高分子の分散液のコンデンサ素子への含浸は、コンデンサ素子を導電性高分子の分散液に浸漬するか、または、コンデンサ素子に導電性高分子の分散液を吹き付けしたり、塗布することなどによって行われる。
【0016】
コンデンサ素子に導電性高分子を含浸した場合、導電性高分子の分散液はコンデンサ素子の表面部のみならず、多孔質化している陽極の内部や、セパレータを用いるタイプのコンデンサ素子では、そのセパレータの内部にも侵入した状態で保持される。
【0017】
そして、そのコンデンサ素子への導電性高分子の分散液の含浸後、乾燥するが、その含浸にあたって、コンデンサ素子を導電性高分子の分散液に浸漬した場合には、そのコンデンサ素子を導電性高分子の分散液から取り出してから、乾燥する。
【0018】
上記のように、コンデンサ素子に導電性高分子の分散液を用いて導電性高分子層を形成した後、そのコンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸するが、その含浸は、前記導電性高分子の分散液の含浸の場合と同様に、コンデンサ素子を上記沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液に浸漬するか、または、コンデンサ素子に上記沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤が20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を吹き付けたり、塗布することなどによって行われる。そして、その含浸後、乾燥するが、上記含浸を沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液にコンデンサ素子を浸漬することによって行った場合には、乾燥は、コンデンサ素子を沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液から取り出してから行う。本発明においては、上記の沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を「処理液」という場合があり、また、導電性高分子の分散液を用いて導電性高分子層を形成したコンデンサ素子に上記「処理液」を含浸し、そのあと、乾燥する操作を「処理液による処理」という場合がある。
【0019】
本発明においては、上記のように、コンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行い、その導電性高分子層を形成したコンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行うが、その沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤や上記高沸点有機溶剤を特定割合で含有する溶液が先に形成していた導電性高分子層を膨潤させ、それが乾燥する際に、導電性高分子の再配列を生じさせ、導電性高分子層をより緻密な構造にすることが、ESRを低減させるなど、電解コンデンサの特性を向上させることに寄与するものと考えられる。上記のような導電性高分子層の膨潤、乾燥時の再配列は、高沸点有機溶剤であれば、沸点が150℃未満のものでも起こり得るが、導電性高分子を電解コンデンサの固体電解質として用いるには、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤が好適な特性を生じさせることになることから好ましい。
【0020】
本発明においては、上記のように、導電性高分子の分散液を用いての導電性高分子層を形成後のコンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または上記高沸点有機溶剤を特定割合で含有する溶液を含浸した後、乾燥する操作を少なくとも1回行うが、本発明においては、そのような処理工程は必ずしも、製造工程の最終工程であることを意味しない。例えば、そのような処理工程後に、導電性高分子の層を形成してもよいし、また、電解液やそれに類するものを注入してもよい。
【0021】
また、コンデンサ素子に導電性高分子の分散液を用いて導電性高分子の層を形成する前に、あらかじめ、いわゆる「その場重合」により導電性高分子層を形成しておいてもよい。また、導電性高分子の分散液を用いての導電性高分子層の形成、それに続く前記処理液による処理を複数回繰り返してもよい。
【0022】
沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール(沸点:198℃)、ジメチルスルホキシド(沸点:189℃)、γ−ブチロラクトン(沸点:203℃)、スルホラン(沸点:285℃)、N−メチルピロリドン(沸点:202℃)、ジメチルスルホラン(沸点:233℃)、ブタンジオール(沸点:230℃)、ジエチレングリコール(沸点:244℃)、グリセロール(グリセリン)(沸点:290℃)、トリエチレングリコール(沸点:288℃)などが挙げられるが、本発明においては、沸点が180℃から210℃のものが作業性や付与する特性の面から特に好ましく、具体的には、エチレングリコール(沸点:198℃)、ジメチルスルホキシド(沸点:189℃)、γ−グチロラクトン(沸点:203℃)が特に好ましい。
【0023】
また、上記沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液の調製にあたって用いる溶剤としては、特に限定されることはないが、例えば、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1〜4の低級アルコール、水、アセトニトリル、アセトン、テトロヒドロフラン、酢酸エチルなどを用い得るが、特に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、水などが好ましい。
【0024】
そして、上記溶液において、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤の含有量を20質量%以上にするのは、該高沸点有機溶剤の濃度が20質量%より低い場合は、ESRを低くさせるなど、コンデンサ特性を向上させることが充分に行えないからである。
【0025】
また、上記のような沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液に、例えば、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチル、p−ニトロフェノール、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸メチル、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸エチル、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸プロピル、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸、o−ヒドロキシベンゼンカルボン酸、o−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチル、m−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチル、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、ベンゼンジカルボン酸、ジニトロフェノールなどの添加剤を添加すると、コンデンサ特性をさらに向上させることができるので好ましい。その中でも、特にp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチル、p−ニトロフェノール、p−ヒドロキシベンゼンカルボン酸が、コンデンサ特性、特にESRを顕著に低減させ、充放電特性を顕著に向上させることから好ましい。これらの添加剤は、上記沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または上記高沸点有機溶剤を特定割合で含有する溶液中に0.5質量%以上の濃度で添加することが好ましく、1質量%以上の濃度で添加することがより好ましいが、添加量が多くなりすぎると、ESRを増加させるおそれがあるので、20質量%以下の濃度で添加することが好ましく、10質量%以下の濃度で添加することがより好ましい。そして、これらのベンゼン系添加剤は、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、カルボキシエステル基などの官能基を有しているが、それらの異なる官能基を有する添加剤を2種類以上併用すると、特性をより向上させることができるので好ましく、また、1つの化合物中に上記官能基を2種類以上有するベンゼン系化合物を用いると、官能基の異なる2種類以上の添加剤を併用する場合と同等またはそれ以上の効果が得られるので好ましい。
【0026】
さらに、上記添加剤に加えて、アルコキシシラン化合物、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを添加してもよいし、グリシジル化合物、例えば、エチレングリコールジグリシジル、ポリエチレングリコールジグリシジル、メタクリル酸グリシジル、グリシド酸、グリシド酸エステル、ペンタエリスリトールグリシジルエーテルなどを添加してもよい。また、エポキシ樹脂や、多価アルコール、例えば、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1500、ジグリセロール、ポリグリセロールなどを添加してもよい。上記のようなアルコキシシラン化合物やグリシジル化合物を添加すると、コンデンサ特性、特に静電容量を大きくさせたり、破壊電圧を高くさせ、耐電圧特性を向上させることができる。また、エポキシ樹脂や上記例示のような沸点が非常に高い多価アルコールを沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤に添加した場合も、同様の効果が得られる。これらの添加剤は、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または上記高沸点有機溶剤を特定割合で含有する溶液中に0.1質量%以上添加することが好ましく、0.5質量%以上添加することがより好ましいが、添加量が多くなりすぎると、ESRを低下させるおそれがあるので、10質量%以下で添加することが好ましく、5質量%以下で添加することがより好ましい。また、これらの添加剤は、例えば、アルコキシシラン化合物とグリシジル化合物というように、系列の異なるものを2種類以上を併用すると、さらに特性を向上させることができるので好ましい。
【0027】
本発明において用いる導電性高分子の分散液を調製するにあたって、導電性高分子を合成するためのモノマーとしては、チオフェンまたはその誘導体、ピロールまたはその誘導体、アニリンまたはその誘導体などを用い得るが、チオフェンまたはその誘導体が好ましい。
【0028】
上記チオフェンまたはその誘導体におけるチオフェンの誘導体としては、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3−アルキルチオフェン、3−アルコキシチオフェン、3−アルキル−4−アルコキシチオフェン、3,4−アルキルチオフェン、3,4−アルコキシチオフェンや、上記の3,4−エチレンジオキシチオフェンをアルキル基で修飾したアルキル化エチレンジオキシチオフェンなどが挙げられ、そのアルキル基やアルコキシ基の炭素数は1〜16が好ましく、特に1〜4が好ましい。
【0029】
上記の3,4−エチレンジオキシチオフェンをアルキル基で修飾したアルキル化エチレンジオキシチオフェンについて詳しく説明すると、上記3,4−エチレンジオキシチオフェンやアルキル化エチレンジオキシチオフェンは、下記の一般式(1)で表される化合物に該当する。
【0030】
【化1】
(式中、Rは水素またはアルキル基である)
【0031】
そして、上記一般式(1)中のRが水素の化合物が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであり、これをIUPAC名称で表示すると、「2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2,3−Dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、この化合物は、IUPAC名称で表示されるよりも、一般名称の「3,4−エチレンジオキシチオフェン」で表示されることが多いので、本書では、この「2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン」を「3,4−エチレンジオキシチオフェン」と表示している。そして、上記一般式(1)中のRがアルキル基の場合、該アルキル基としては、炭素数が1〜4のもの、つまり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、それらを具体的に例示すると、一般式(1)中のRがメチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−メチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Methyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「メチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。一般式(1)中のRがエチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−エチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Ethyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「エチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。一般式(1)中のRがプロピル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−プロピル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Propyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「プロピル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。そして、一般式(1)中のRがブチル基の化合物は、IUPAC名称で表示すると、「2−ブチル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン(2−Butyl−2,3−dihydro−thieno〔3,4−b〕〔1,4〕dioxine)」であるが、以下、これを簡略化して「ブチル化エチレンジオキシチオフェン」と表示する。また、「2−アルキル−2,3−ジヒドロ−チエノ〔3,4−b〕〔1,4〕ジオキシン」を、以下、簡略化して「アルキル化エチレンジオキシチオフェン」で表わす。そして、これらのアルキル化エチレンジオキシチオフェンの中でも、メチル化エチレンジオキシチオフェン、エチル化エチレンジオキシチオフェン、プロピル化エチレンジオキシチオフェン、ブチル化エチレンジオキシチオフェンが好ましい。
【0032】
これらのアルキル化エチレンジオキシチオフェンは、それぞれ単独で用いることができるし、また、2種類以上を併用することもできる。さらに、これらのアルキル化エチレンジオキシチオフェンと3,4−エチレンジオキシチオフェンとを併用することもできる。そして、これらのメチル化エチレンジオキシチオフェン、エチル化エチレンジオキシチオフェン、プロピル化エチレンジオキシチオフェン、ブチル化エチレンジオキシチオフェンなどの合成法は、本出願人の出願に係る国際公開第2011/068026号、国際公開第2011/074380号などに記載されている。
【0033】
次に、本発明において用いる導電性高分子の分散液について説明する。この導電性高分子の分散液は、ポリマーアニオンをドーパントとしてチオフェンまたはその誘導体を酸化重合して得られた導電性高分子の分散液が好ましい。
【0034】
上記ポリマーアニオンとしては、高分子スルホン酸、高分子カルボン酸などが用いられ、また、スチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選らばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの共重合体も用いることができる。
【0035】
上記高分子スルホン酸としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエステルおよび次の一般式(2)で表される繰り返し単位を有するフェノールスルホン酸ノボラック樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好適に用いられる。
【0036】
【化2】
(式中、Rは水素またはメチル基である)
【0037】
これは、これらの高分子スルホン酸が、導電性高分子の合成時、優れた分散剤として機能し、酸化剤やモノマーとしてのチオフェンまたはその誘導体などを水中または水性液中を均一に分散させ、かつ合成されるポリマー中にドーパントとして取り込まれ、得られる導電性高分子を電解コンデンサの固体電解質として用いるのに適した高い導電性を有するものにさせるからである。そして、上記高分子スルホン酸が、優れた分散剤として機能することが、得られる導電性高分子を電解コンデンサの固体電解質として用いるのに適した優れた耐熱性を有させるようにするものと考えられる。
【0038】
上記ポリスチレンスルホン酸としては、その重量平均分子量が10,000〜1,000,000のものが好ましい。
【0039】
すなわち、上記ポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量が10,000より小さい場合は、得られる導電性高分子の導電性が低くなるおそれがある。また、上記ポリスチレンスルホン酸の重量平均分子量が1,000,000より大きい場合は、導電性高分子の分散液の粘度が高くなり、電解コンデンサの作製にあたって、使用しにくくなるおそれがある。そして、上記ポリスチレンスルホン酸としては、その重量平均分子量が上記範囲内で、20,000以上のものが好ましく、40,000以上のものがより好ましく、また、800,000以下のものが好ましく、300,000以下のものがより好ましい。
【0040】
また、上記スルホン化ポリエステルは、スルホイソフタル酸エステルやスルホテレフタル酸エステルなどのジカルボキシベンゼンスルホン酸ジエステルとアルキレングリコールとを酸化アンチモンや酸化亜鉛などの触媒の存在下で縮重合させたものであり、このスルホン化ポリエステルとしては、その重量平均分子量が5,000〜300,000のものが好ましい。
【0041】
すなわち、スルホン化ポリエステルの重量平均分子量が5,000より小さい場合は、得られる導電性高分子の導電性が低くなるおそれがある。また、スルホン化ポリエステルの重量平均分子量が300,000より大きい場合は、導電性高分子の分散液の粘度が高くなり、電解コンデンサの作製にあたって使用しにくくなるおそれがある。そして、このスルホン化ポリエステルとしては、その重量平均分子量が上記範囲内で、10,000以上のものが好ましく、20,000以上のものがより好ましく、また、100,000以下のものが好ましく、80,000以下のものがより好ましい。
【0042】
また、上記フェノールスルホン酸ノボラック樹脂は、前記のように、一般式(2)で表される繰り返し単位を有するものであるが、このフェノールスルホン酸ノボラック樹脂としては、その重量平均分子量が5,000〜500,000のものが好ましい。
【0043】
すなわち、上記フェノールスルホン酸ノボラック樹脂の重量平均分子量が5,000より小さい場合は、得られる導電性高分子の導電性が低くなるおそれがある。また、上記フェノールスルホン酸ノボラック樹脂の重量平均分子量が500,000より大きい場合は、導電性高分子の分散液の粘度が高くなり、電解コンデンサの作製にあたって使用しにくくなるおそれがある。そして、このフェノールスルホン酸ノボラック樹脂としては、その重量平均分子量が上記範囲内で、10,000以上のものがより好ましく、また、400,000以下のものが好ましく、80,000以下のものがより好ましい。
【0044】
上記ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエステル、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂などは、それぞれ単独で用いることができるし、また、2種以上併用することもできる。そして、本発明で用いる導電性高分子の分散液は、導電性高分子の合成にあたって、それらの高分子スルホン酸を混合して用いて合成した導電性高分子の分散液であってもよいし、また、上記高分子スルホン酸をそれぞれ別々に用いて導電性高分子を合成し、その導電性高分子の合成後に、それらの導電性高分子の分散液を混ぜ合せたものでもよい。
【0045】
上記スチレンスルホン酸と、エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの共重合体(以下、これを「スチレンスルホン酸と非スルホン酸系モノマーとの共重合体」という場合がある)をドーパントとして、チオフェンまたはその誘導体を酸化重合することにより得られる導電性高分子は、導電性が高く、かつ耐熱性が優れているので、ESRが低く、かつ高温条件下における信頼性が高く、しかも漏れ電流が少ない電解コンデンサを製造するのに適している。
【0046】
上記スチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの共重合体を合成するにあたって、スチレンスルホン酸と共重合させるモノマーとしては、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いるが、上記メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジフェニルブチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸スルホヘキシルナトリウム、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチルグリシジル、メタクリル酸ヒドロキシアルキル、すなわち、メタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシステアリルなどのメタクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリル酸ヒドロキシポリオキシエチレン、メタクリル酸メトキシヒドロキシプロピル、メタクリル酸エトキシヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジヒドロキシブチルなどを用い得るが、特にメタクリル酸ヒドロキシメチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチルなどのアルキル基の炭素数が1〜4のメタクリル酸ヒドロキシアルキルが、スチレンスルホン酸と共重合体化したときのドーパントとしての特性上から好ましい。また、メタクリル酸グリシジルやメタクリル酸メチルグリシジルのようにグリシジル基を含有するものは、グリシジル基が開環することによりヒドロキシル基を含有する構造になることから、グリシジル基を有するものも、メタクリル酸ヒドロキシアルキルと同様にスチレンスルホン酸と共重合体化したときのドーパントとしての特性上から好ましい。
【0047】
また、上記アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ジフェニルブチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸スルホヘキシルナトリウム、アクリル酸グリシジル、アクリル酸メチルグリシジル、アクリル酸ヒドロキシアルキル、すなわち、アクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルなどのアクリル酸ヒドロキシアルキルなどを用い得るが、特にアクリル酸ヒドロキシメチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルなどのアルキル基の炭素数が1〜4のアクリル酸ヒドロキシアルキルが、スチレンスルホン酸と共重合体化したときのドーパントとしての特性上から好ましい。また、アクリル酸グリシジルやアクリル酸メチルグリシジルのようにグリシジル基を含有するものは、グリシジル基が開環することによりヒドロキシル基を含有する構造になることから、グリシジル基を有するものも、アクリル酸ヒドロキシアルキルと同様にスチレンスルホン酸と共重合体化したときのドーパントとしての特性上から好ましい。
【0048】
そして、上記不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランなどの不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物やそれらの加水分解物を用いることができる。この不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物の加水分解物とは、例えば、不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物が上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの場合は、メトキシ基が加水分解されてヒドロキシル基になった構造である3−メタクリロキシトリヒドロキシシランになるか、またはシラン同士が縮合してオリゴマーを形成し、その反応に利用されていないメトキシ基がヒドロキシル基になった構造を有する化合物になる。そして、この不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどが、スチレンスルホン酸と共重合体化したときのドーパントとしての特性上から好ましい。
【0049】
このスチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの共重合体における、スチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの比率としては、質量比で、1:0.01〜0.1:1であることが好ましい。
【0050】
そして、上記スチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの共重合体は、その分子量が、重量平均分子量で5,000〜500,000程度のものが、水溶性およびドーパントとしての特性上から好ましく、重量平均分子量で40,000〜200,000程度のものがより好ましい。
【0051】
このスチレンスルホン酸と非スルホン酸系モノマーとの共重合体も、前記のポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエステル、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂などの高分子スルホン酸と併用することもできるし、また、このスチレンスルホン酸と非スルホン酸系モノマーとの共重合体をドーパントとして合成した導電性高分子の分散液と前記高分子スルホン酸をドーパントとして合成した導電性高分子の分散液とを混合して用いることもできる。
【0052】
次に、ポリマーアニオンをドーパントとしてモノマー(モノマーとしては最も代表的なチオフェンまたはその誘導体を例に挙げて説明する)を酸化重合して導電性高分子を合成する手段について説明すると、上記ポリスチレンスルホン酸、スルホン化ポリエステル、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂などの高分子スルホン酸や、スチレンスルホン酸と非スルホン酸系モノマーとの共重合体(すなわち、スチレンスルホン酸と、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルおよび不飽和炭化水素含有アルコキシシラン化合物またはその加水分解物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の非スルホン酸系モノマーとの共重合体)などは、いずれも、水や水と水混和性溶剤との混合物からなる水性液に対して溶解性を有していることから、酸化重合は水中または水性液中で行われる。
【0053】
上記水性液を構成する水混和性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、アセトニトリルなどが挙げられ、これらの水混和性溶剤の水との混合割合としては、水性液全体中の50質量%以下が好ましい。
【0054】
導電性高分子を合成するにあたっての酸化重合は、化学酸化重合、電解酸化重合のいずれも採用することができる。
【0055】
化学酸化重合を行うにあたっての酸化剤としては、例えば、過硫酸塩が用いられるが、その過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸カルシウム、過硫酸バリウムなどが用いられる。
【0056】
化学酸化重合において、その重合時の条件は、特に限定されることはないが、化学酸化重合時の温度としては、5℃〜95℃が好ましく、10℃〜30℃がより好ましく、また、重合時間としては、1時間〜72時間が好ましく、8時間〜24時間がより好ましい。
【0057】
電解酸化重合は、定電流でも定電圧でも行い得るが、例えば、定電流で電解酸化重合を行う場合、電流値としては0.05mA/cm〜10mA/cmが好ましく、0.2mA/cm〜4mA/cmがより好ましく、定電圧で電解酸化重合を行う場合は、電圧としては0.5V〜10Vが好ましく、1.5V〜5Vがより好ましい。電解酸化重合時の温度としては、5℃〜95℃が好ましく、特に10℃〜30℃が好ましい。また、重合時間としては、1時間〜72時間が好ましく、8時間〜24時間がより好ましい。なお、電解酸化重合にあたっては、触媒として硫酸第一鉄または硫酸第二鉄を添加してもよい。
【0058】
上記のようにして得られる導電性高分子は、重合直後、水中または水性液中に分散した状態で得られ、酸化剤としての過硫酸塩や触媒として用いた硫酸鉄塩やその分解物などを含んでいる。そこで、その不純物を含んでいる導電性高分子の分散液を高圧分散機、超音波ホモジナイザー、遊星ボールミルなどの分散機にかけて不純物を分散させた後、カチオン交換樹脂で金属成分を除去する。このときの動的光散乱法で測定した導電性高分子の粒径としては、100μm以下が好ましく、特に10μm以下が好ましく、1nm以上が好ましく、10nm以上がさらに好ましい。その後、エタノール沈殿法、限外濾過法、カチオン交換樹脂などにより、酸化剤や触媒の分解により生成した硫酸などを除去し、必要に応じ、高沸点溶剤を添加してもよい。
【0059】
上記のように、導電性高分子の分散液中に高沸点溶剤を含有させておくと、乾燥して導電性高分子を得るときに、その製膜性を向上させ、それによって、導電性を向上させ、電解コンデンサの固体電解質として用いたときに、ESRを小さくさせることができる。これは、例えば、電解コンデンサの作製にあたって、コンデンサ素子を導電性高分子の分散液に浸漬し、取り出して乾燥したときに、高沸点溶剤も脱け出ていくが、その高沸点溶剤が脱け出る際に、形成される導電性高分子の層の厚み方向の層密度を高くさせ、それによって、導電性高分子間の面間隔が狭くなり、導電性高分子の導電性が高くなって、電解コンデンサの固体電解質として用いたときにESRの小さいものにさせることができるようになるものと考えられる。
【0060】
上記高沸点溶剤としては、沸点が150℃以上のものが好ましく、そのような高沸点溶剤の具体例としては、前記の処理液に関連して例示した沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤と同様のものを用いることができる。そして、この高沸点溶剤の含有量としては、分散液中の導電性高分子に対して5〜3,000質量%(すなわち、導電性高分子100質量部に対して高沸点溶剤が5〜3,000質量部)が好ましく、上記範囲内で、20質量%以上がより好ましく、700質量%以下がより好ましい。
【0061】
また、上記導電性高分子を含む分散液には、コンデンサ素子と導電性高分子との密着性を高めるために、バインダ樹脂を添加してもよい。
【0062】
そのようなバインダ樹脂としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメタクリロニトリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック樹脂、シランカップリング剤などが挙げられ、特にポリエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂などが好ましい。また、スルホン化ポリアリル、スルホン化ポリビニル、スルホン化ポリスチレンのように、スルホン基が付加されていると、導電性高分子の導電性を向上させることができるので、より好ましい。
【0063】
本発明において用いる導電性高分子の分散液には、上記のように、高沸点溶剤やバインダ樹脂を含有させてもよいので、それらを含んでいる場合があるが、本発明では、必須の成分である導電性高分子が含まれてさえいれば、上記の高沸点溶剤や結合剤を含んでいるか否かにかかわらず、導電性高分子の分散液と呼んでいる。
【0064】
本発明の電解コンデンサの製造にあたって、コンデンサ素子としては、アルミニウム、タンタルおよびニオブよりなる群から選ばれる少なくとも1種の弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するものを用いるが、このようなコンデンサ素子の構成は、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサに使われているコンデンサ素子に共通する基本的構成を特定するものであって特殊な構成のコンデンサ素子を意図するものではなく、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサのいずれの電解コンデンサにおいてもコンデンサ素子として適用可能なものである。例えば、上記弁金属の多孔体の少なくとも一面に該弁金属の酸化被膜からなる誘電体層を有する陽極と、陰極とをセパレータを介して巻回または積層してコンデンサ素子としてもよいし、また、上記弁金属の多孔体と上記弁金属の酸化被膜からなる誘電体層とを有するものを陽極としてコンデンサ素子を構成し、固体電解質となる導電性高分子の層を形成し、さらに後処理した後、カーボン層および銀ペイント層を順次形成してそれを陰極としたものであってもよい。
【0065】
このようなコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を含浸するには、前記のように、コンデンサ素子を導電性高分子の分散液に浸漬するか、またはコンデンサ素子に導電性高分子の分散液を吹き付けたり、塗布したりすることによって行われる。
【0066】
そして、これを乾燥して固体電解質を構成することになる導電性高分子の層を形成するには、上記導電性高分子の分散液の含浸を導電性高分子の分散液にコンデンサ素子を浸漬することによって行った場合には、コンデンサ素子を導電性高分子の分散液から取り出す。
【0067】
この乾燥は形成される導電性高分子層の内部までほぼ完全に乾燥するように乾燥してもよいし、また、形成される導電性高分子層の表面を乾燥し内部は完全に乾燥されないような状態に部分乾燥してもよい。
【0068】
また、上記コンデンサ素子への導電性高分子の分散液の含浸に先立って、コンデンサ素子にいわゆる「その場重合」により導電性高分子の層を形成しておいてもよい。
【0069】
上記のようなコンデンサ素子への導電性高分子の含浸、それに続く、乾燥を行ってコンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液を含浸し、乾燥するが、その含浸は、前記のように、コンデンサ素子を沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液に浸漬するか、上記コンデンサ素子に沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%以下で含有する溶液を吹き付けたり、塗布することによって行われる。
【0070】
そして、乾燥は、前記のように、コンデンサ素子を沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を特定比率で含有する溶液に浸漬した場合には、コンデンサ素子をそこから取り出して行う。
【0071】
本発明の電解コンデンサの製造方法は、導電性高分子の分散液を用いてのコンデンサ素子への導電性高分子層の形成と、それに続く、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を20質量%以上100質量%未満で含有する溶液の含浸、乾燥処理さえ行われていさえすればよく、それらの両処理を2回以上繰り返し行ってもよいし、また、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤または沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を特定比率で含有する溶液の含浸、乾燥処理後に導電性高分子の形成処理を追加したものでもよいし、また、電解液を含浸させたものでもよい。
【実施例】
【0072】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に例示のもののみに限定されることはない。なお、以下の実施例などにおいて、濃度や使用量を示す際の%は、特にその基準を付記しないかぎり、質量基準による%である。
【0073】
また、実施例に先立ち、コンデンサ素子への導電性高分子の層の形成にあたって用いる導電性高分子の分散液の調製例を調製例(I)〜(IV)で示す。
【0074】
導電性高分子の分散液の調製例(I)
テイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100、000)の3%水溶液600gを内容積1Lのステンレス鋼製容器に入れ、硫酸第一鉄・7水和物0.3gを添加し、その中に3,4−エチレンジオキシチオフェン4mLをゆっくり滴下した。
【0075】
それらをステンレス鋼製の攪拌翼で攪拌し、容器に陽極を取り付け、攪拌翼の付け根に陰極を取り付け、1mA/cmの定電流で18時間電解酸化重合を行った。上記電解酸化重合後、水で6倍に希釈した後、超音波ホモジナイザー〔日本精機社製、US−T300(商品名)〕で2時間分散処理を行った。その後、オルガノ社製のカチオン交換樹脂アンバーライト120B(商品名)を100g添加し、1時間攪拌機で攪拌した。次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中の鉄イオンなどのカチオン成分をすべて除去した。
【0076】
上記処理後の液を孔径が1μmのフィルターに通し、その通過液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕で処理して、液中の遊離の低分子成分を除去した。この処理後の液を水で希釈して濃度を2%に調整した後、28%アンモニア水溶液でpHを3に調整して導電性高分子の分散液(I)を得た。得られた導電性高分子の分散液(I)中の導電性高分子の粒度分布を大塚電子製ELS−Z(商品名)で測定したところ、導電性高分子の平均粒径は120nmであった。
【0077】
導電性高分子の分散液の調製例(II)
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を入れ、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム170gとアクリル酸ヒドロキシエチル30gを添加した。そして、その溶液に酸化剤として過硫酸アンモニウムを1g添加してスチレンスルホン酸とアクリル酸ヒドロキシエチルとの重合反応を12時間行った。この重合反応後の反応液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕で処理して、液中の遊離の低分子成分を除去し、水を加えて濃度3%に調整した。
【0078】
得られた液中のスチレンスルホン酸とアクリル酸ヒドロキシエチルとの共重合体の分子量をゲル濾過カラムを用いて測定したところ、デキストランを評品として見積もった重量平均分子量は、100,000であった。
【0079】
そして、濃度3%のポリスチレンスルホン酸水溶液に代えて、このスチレンスルホン酸とアクリル酸ヒドロキシルエチルとの共重合体の3%溶液を用いた以外は、すべて調製例(I)と同様の操作を行って、導電性高分子の分散液(II)を得た。得られた導電性高分子の分散液(II)中の導電性高分子の粒度分布を大塚電子製ELS−Z(商品名)で測定したところ、導電性高分子の平均粒径は170nmであった。
【0080】
導電性高分子の分散液の調製例(III)
3%スルホン化ポリエステル〔互応化学工業社製プラスコートZ−561(商品名)、重量平均分子量27,000〕水溶液200gを内容積1Lのビーカーに入れ、過硫酸アンモニウム2gを添加した後、スターラーで攪拌して溶解した。次いで、硫酸第二鉄の40%水溶液0.4gを添加し、攪拌しながら、その中に3,4−エチレンジオキシチオフェン3mLをゆっくり滴下し、24時間かけて、3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合を行った。
【0081】
上記重合後、水で4倍希釈した後、超音波ホモジナイザー(日本精機社製、US−T300)で30分間分散処理を行った。その後、オルガノ社製のカチオン交換樹脂アンバーライト120B(商品名)を100g添加し、1時間スターラーで攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過した。この分散から濾過までの操作を3回繰り返して、カチオン成分をすべて除去した。
【0082】
上記濾液を孔径が1μmのフィルターを通し、通過液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕により、遊離の低分子成分を除去した。この溶液に水を加えて濃度を5%に調整した溶液40gに対し、ジメチルスルホキシド4gを添加し、導電性高分子の分散液(III)を得た。
【0083】
得られた導電性高分子の分散液(III)中の導電性高分子の粒度分布を大塚電子製ELS−Z(商品名)で測定したところ、導電性高分子の平均粒径は100nmであった。
【0084】
導電性高分子の分散液の調製例(IV)
前記導電性高分子の製造例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)と導電性高分子の分散液の調製例(III)で調製した導電性高分子の分散液(III)とを質量比1:1で混合して、導電性高分子の分散液(IV)を得た。
【0085】
得られた導電性高分子の分散液(IV)中の導電性高分子の粒度分布を大塚電子製ELS−Z(商品名)で測定したところ、導電性高分子の平均粒径は130nmであった。
【0086】
〔積層型アルミニウム電解コンデンサでの評価〕
実施例1
縦10mm×横3.3mm の80Vで化成されたアルミニウムエッチド箔について、縦方向の片端から4mmの部分と、他端から5mmの部分とに分けるように、上記アルミニウムエッチド箔の横方向にポリイミド溶液を1mm幅に塗布し、乾燥した。次に、上記アルミニウムエッチド箔の縦方向の片端から5mmの部分の、該片端から2mmの箇所に、陽極としての銀線を取り付けた。また、上記箔の縦方向の片端から4mmの部分(4mm×3.3mm)を、濃度10%のアジピン酸アンモニウム水溶液に漬け、80Vの電圧を印加することにより再化成処理を行って誘電体層を形成させ、設定静電容量が5.5μF以上、設定ESRが30.0mΩ以下、設定漏れ電流が35V印加時で100μA以下のコンデンサ素子を作製した。
【0087】
次に、上記コンデンサ素子を調製例(I)で調製した導電性高分子の分散液(I)に浸漬し、30秒後に、取り出し、150℃で20分間乾燥した。この操作を3回繰り返して、コンデンサ素子に第1の導電性高分子の層を形成した。この導電性高分子層は少なくともコンデンサ素子の誘電体層上に形成されていればよいが、その他の部分に形成されていてもよい。
【0088】
上記のようにして第1の導電性高分子層を形成したコンデンサ素子をエチレングリコールに浸漬し、60秒後に、取り出し、150℃で30分間乾燥した。
【0089】
次に、上記エチレングリコールへの浸漬−乾燥処理(以下、「エチレングリコールによる処理」という場合がある)を行ったコンデンサ素子を調製例(IV)で調製した導電性高分子の分散液(IV)に浸漬し、30秒後に、取り出し、150℃で30分間乾燥した。この操作を3回繰り返して、コンデンサ素子に第2の導電性高分子層を形成した。
【0090】
その後、上記コンデンサ素子をカーボンペーストおよび銀ペーストで覆い、縦方向の端部から3mmの箇所に陰極としての銀線を取り付け、さらにエポキシ樹脂で外装し、エージング処理を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。上記第1の導電性高分子も第2の導電性高分子も固体電解質を構成することになるものであるが、以後の実施例などでは、その旨の記載を省略する。また、この実施例1では、第1の導電子性高分子にはポリスチレンスルホン酸がドーパントとして用いられており、第2の導電性高分子には、スチレンスルホン酸とアクリル酸ヒドロキシエチルとの共重合体と、スルホン化ポリエステルとがドーパントとして用いられている。
【0091】
実施例2
実施例1と同様の操作を行って、設定静電容量が5.5μF以上、設定ESRが30.0mΩ以下、設定漏れ電流が35V印加時で100μA以下のコンデンサ素子を作製した。
次に、上記コンデンサ素子を調製例(I)で調製した導電性高分子の分散液(I)に浸漬し、30秒後に、取り出し、150℃で20分間乾燥した。この操作を3回繰り返してコンデンサ素子に第1の導電性高分子の層を形成した。
【0092】
その後、上記コンデンサ素子を調製例(IV)で調製した導電性高分子の分散液(IV)に浸漬し、30秒後に、取り出し、150℃で30分間乾燥した。この操作を3回繰り返して第2の導電性高分子の層を形成した。
【0093】
次に、上記のように2種類の導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子をエチレングリコールに浸漬し、60秒後に、取り出し、150℃で30分間乾燥した。
【0094】
その後、上記のようにエチレングリコールによる処理をしたコンデンサ素子をカーボンペーストおよび銀ペーストで覆い、縦方向の端部から3mmの箇所に陰極としての銀線を取り付け、さらにエポキシ樹脂で外装し、エージング処理を行って積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0095】
実施例3
実施例1と同様の操作を行って設定静電容量が5.5μF以上、設定ESRが30.0mΩ以下、漏れ電流が35V印加時で100μA以下のコンデンサ素子を作製した。
次に、上記コンデンサ素子を調製例(I)で調製した導電性高分子の分散液(I)に浸漬し、30秒後に、取り出して、150℃で20分間乾燥した。そして、この操作を3回繰り返して、コンデンサ素子に第1の導電性高分子の層を形成した。
【0096】
次に、上記のようにして第1の導電性高分子層を形成したコンデンサ素子をエチレングリコールに浸漬し、60秒後に取り出し、150℃で30分間乾燥した。
【0097】
上記エチレングリコールによる処理をしたコンデンサ素子を調製例(IV)で調製した導電性高分子の分散液(IV)に浸漬し、30秒後に取り出し、150℃で30分間乾燥した。この操作を3回繰り返して、第2の導電性高分子の層を形成した。
【0098】
次に、上記第2の導電性高分子層形成後のコンデンサ素子をエチレングリコールに浸漬し、取り出して、150℃で、30分間乾燥した。
【0099】
その後、上記2回目のエチレングリコールによる処理をしたコンデンサ素子をカーボンペーストおよび銀ペーストで覆い、縦方向の端部から3mmの箇所に陰極としての銀線を取り付け、さらにエポキシ樹脂で外装し、エージング処理を行って積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0100】
実施例4
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとエタノールとを質量比6:4で混合して調製した60%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0101】
実施例5
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールと蒸留水とを質量比4:6で混合して調製した40%エチレングリコール−水系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0102】
実施例6
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールと蒸留水とを質量比2:8で混合して調製した20%エチレングリコール−水系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0103】
実施例7
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとエリスリトールとを質量比100:4で混合して調製したエチレングリコール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0104】
実施例8
エチレングリコールに代えて、γ−ブチロラクトンを用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0105】
実施例9
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールとを質量比100:6:1で混合して調製したエチレングリコール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0106】
実施例10
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールと蒸留水とp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールとを質量比60:40:6:1で混合して調製した60%エチレングリコール−水系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0107】
実施例11
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとメタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸とを質量比60:40:6で混合して調製した60%エチレングリコール−メタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0108】
実施例12
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとジグリセロールとを質量比60:40:5:2で混合して調製した60%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0109】
実施例13
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとn−ブタノールとp−ニトロフェノールとアクロキシプロピルトリメトキシシランとを質量比60:40:6:3で混合して調製した60%エチレングリコール−n−ブタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0110】
実施例14
エチレングリコールに代えて、ジメチルスルホキシドとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸とアクリル酸グリシジルとグリセロールとを質量比60:40:5:5:2で混合して調製した60%ジメチルスルホキシド−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0111】
比較例1
エチレングリコールによる処理を行わなかった以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0112】
比較例2
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとエタノールとを質量比5:95で混合して調製した5%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0113】
上記のようにして製造した実施例1〜14および比較例1〜2の積層型アルミニウム電解コンデンサについて、ESRおよび静電容量を測定し、かつ、破壊電圧を測定した。その結果を表1に示す。なお、ESR、静電容量および破壊電圧の測定方法は次の通りである。
【0114】
ESR:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、100kHzで測定した。
静電容量:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、120Hzで測定した。
破壊電圧:
松定プレシジョン社製PRK650−2.5を用い、25℃の条件下で、電圧を1V/秒の速度で上昇させて電流が0.2A以上流れた時の電圧を測定した。
【0115】
上記ESRおよび静電容量の測定は、各試料とも、20個ずつについて行い、ESRおよび静電容量に関して表1に示す数値は、その20個の測定値の平均値を求め、小数点第2位を四捨五入して示したものである。また、破壊電圧の測定は、各試料とも、10個ずつについて行い、破壊電圧に関して表1に示す数値は、10個の測定値の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。
【0116】
【表1】
【0117】
表1に示すように、実施例1〜14の積層型アルミニウム電解コンデンサ(以下、「積層型アルミニウム電解コンデンサ」を簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例1〜2のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、かつ破壊電圧が高かった。すなわち、コンデンサの製造中において、導電性高分子層を形成後のコンデンサを、エチレングリコールで処理した実施例1〜3のコンデンサ、エチレングリコールを20%以上含有する溶液で処理した実施例4〜6のコンデンサ、エチレングリコールに添加物を含有させたエチレングリコール系溶液で処理した実施例7および実施例9のコンデンサ、γ−ブチロラクトンで処理した実施例8のコンデンサ、添加物を含有させた60%エチレングリコール−水系溶液で処理した実施例10のコンデンサ、添加物を含有させた60%エチレングリコール−メタノール系溶液で処理した実施例11のコンデンサ、添加物を含有させた60%エチレングリコール−エタノール系溶液で処理した実施例12のコンデンサ、添加物を含有させた60%エチレングリコール−n−ブタノール系溶液で処理した実施例13のコンデンサや、添加物を含有させた60%ジメチルスルホキシド−エタノール系溶液で処理した実施例14のコンデンサは、エチレングリコールによる処理をしなかった比較例1のコンデンサやエチレングリコールを5%しか含有していない溶液で処理した比較例2のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、かつ破壊電圧が高かった。
【0118】
また、上記実施例1〜14および比較例1〜2の積層型アルミニウム電解コンデンサの10個ずつ(先にESRや静電容量の測定に使用したが、破壊電圧の測定に使用しなかった残りの10個ずつ)を150℃で500時間貯蔵し、その貯蔵後に、前記と同様にESRと静電容量を測定し、漏れ電流不良の発生を調べた。その結果を表2に示す。なお、漏れ電不良の発生は次のように調べた。
【0119】
漏れ電流不良の発生:
積層型アルミニウム電解コンデンサに、25℃で35Vの電圧を60秒間印加した後、デジタルオシロスコープで漏れ電流を測定し、漏れ電流が100μAを超えたものを漏れ電流不良が発生したものとする。
【0120】
この漏れ電流不良の発生の表2への表示にあたっては、分母に漏れ電流の測定にあたって供した全コンデンサ個数を表示し、分子に漏れ電流不良が発生したコンデンサ個数を示す態様で「漏れ電流不良発生個数」として表示する。また、以後の表においても、漏れ電流不良を表示する場合は、同様の態様で表示する。
【0121】
【表2】
【0122】
表2に示すように、実施例1〜14の積層型アルミニウム電解コンデンサ(以下、簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例1〜2のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、また、比較例1〜2のコンデンサに見られるような漏れ電流不良の発生がなかった。また、実施例1〜14のコンデンサは、150℃で500時間貯蔵後においても、ESRが最も高い場合でも29.9mΩであって、30.0mΩ以下という設定ESRを満たし、静電容量が最も小さい場合でも5.6μFであって、5.5μF以上という設定静電容量を満たし、漏れ電流不良の発生がまったくないことからもわかるように、設定漏れ電流の35V印加時で100μA以下を満たしていた。
【0123】
そして、この表2に示すESR値と前記表1に示すESR値との対比から明らかなように、実施例1〜14のコンデンサは、比較例1〜2のコンデンサに比べて、150℃という高温での貯蔵によるESRの増加が少なく、耐熱性が優れていた。すなわち、150℃という高温で500時間という長時間の貯蔵を行った後では、実施例1〜14のコンデンサと比較例1〜2のコンデンサのESR値の差は、上記貯蔵前より大きくなっていて、実施例1〜14のコンデンサは比較例1〜2のコンデンサに比べて、耐熱性が優れていた。
【0124】
〔巻回型アルミニウム電解コンデンサでの評価〕
実施例15
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行ってアルミニウムの酸化被膜からなる誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を作製した。このコンデンサ素子は、静電容量が50μF以上、ESRが25mΩ以下、破壊電圧(耐電圧)が120V以上になるように設定したものである。
【0125】
上記コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に取り出し、180℃で10分間乾燥して、導電性高分子の層を形成した。
次に、上記導電性高分子層を形成後のコンデンサ素子を、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液に浸漬し、1分後に取り出し、180℃で30分乾燥した。
【0126】
この導電性高分子の分散液(II)への浸漬に基づく導電性高分子層の形成と上記エチレングリコール系溶液による処理を2回繰り返した後のコンデンサ素子を外装材で外装して、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0127】
実施例16
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比60:40:6:1:2で混合して調製した60%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0128】
実施例17
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比40:60:6:1:2で混合して調製した40%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0129】
実施例18
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比20:80:6:1:2で混合して調製した20%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0130】
実施例19
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸とp−ニトロフェノールとポリエチレングリコールジグリシジルとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0131】
実施例20
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、γ−ブチロラクトンとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したγ−ブチロラクトン系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0132】
実施例21
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、ジメチルスルホキシドとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとグリセロールとを質量比60:40:8:2で混合して調製した60%ジメチルスルキシド−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0133】
実施例22
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:4:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸とアラビノースとを質量比60:40:4:4で混合して調製した60%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0134】
比較例3
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)による処理を行わなかった以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0135】
比較例4
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとを質量比5:95で混合して調製した5%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0136】
上記のようにして製造した実施例15〜22および比較例3〜4の巻回型アルミニウム電解コンデンサについて、前記実施例1の場合と同様に、ESR、静電容量および破壊電圧を測定した。その結果を表3に示す。なお、ESRと静電容量の測定は、各コンデンサとも30個ずつについて行い、破壊電圧の測定は各コンデンサとも10個ずつについて行った。そして、表3に示すESR値と静電容量値は、その30個の平均値を求め、小数点第2位を四捨五入して示したものであり、破壊電圧は、その10個の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。
【0137】
【表3】
【0138】
表3に示すように、実施例15〜22の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、「巻回型アルミニウム電解コンデンサ」を簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例3〜4のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、かつ、破壊電圧が高かった。また、実施例15〜22のコンデンサは、ESRが最も高い場合でも24.3mΩであって、25mΩ以下という設定ESRを満たし、静電容量が最も小さい場合でも51.8μFであって、50μF以上という設定静電容量を満たし、破壊電圧が最も低い場合でも129Vであって、120V以上という設定破壊電圧を満たしていた。
【0139】
また、上記実施例15〜22および比較例3〜4の巻回型アルミニウム電解コンデンサの10個ずつ(先にESRや静電容量の測定に使用したが、破壊電圧の測定に使用しなかった残りの20個のうちの10個ずつ)ついて、松定プレシジョン社製PRk650−2.5とEL1.5k−650V−LGobを用い、2秒間に50V、20Aの充放電を5,000回繰り返した後のESRと静電容量を測定し、それによって、充放電特性を調べた。その結果を表4に示す。なお、ESRや静電容量の測定方法は前記と同様であり、また、表4への測定値の表示態様は、10個の測定値の平均値を求めた点を除いては、前記表3の場合と同様である。
【0140】
【表4】
【0141】
表4に示すように、実施例15〜22のコンデンサは、比較例3〜4のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きかった。そして、この表4に示すESR値および静電容量値と前記表3に示すESR値および静電容量値との対比から明らかなように、実施例15〜22のコンデンサは、比較例3〜4のコンデンサに比べて、充放電を5,000回繰り返した後のESRの増加や静電容量の低下が少なく、充放電特性が優れていた。すなわち、充放電を5,000回繰り返した後では、実施例15〜22のコンデンサと比較例3〜4のコンデンサのESRや静電容量の差は、充放電開始前よりも大きくなり、実施例15〜22のコンデンサは、比較例3〜4のコンデンサに比べて、充放電特性が優れていた。
【0142】
また、上記実施例15〜22および比較例3〜4のコンデンサの10個ずつ(先にESRや静電容量の測定に使用したが、破壊電圧の測定に使用しなかった残りの20個のうちで充放電特性の測定にも使用しなかった10個ずつ)を150℃で500時間貯蔵し、その貯蔵後に前記実施例1の場合と同様にESRおよび静電容量を測定し、かつ漏れ電流不良の発生を調べた。その結果を表5に前記表2の場合と同様の表示態様で示す。
【0143】
【表5】
【0144】
表5に示すように、実施例15〜22のコンデンサは、比較例3〜4のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、また、比較例3〜4のコンデンサに見られるような漏れ電流不良の発生がなかった。そして、この表5に示すESR値および静電容量値と前記表3に示すESR値および静電容量値との対比から明らかなように、実施例15〜22のコンデンサは比較例3〜4のコンデンサに比べて、150℃という高温での貯蔵によるESRの増加や静電容量の低下が少なく、耐熱性が優れていた。
【0145】
実施例23
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行ってアルミニウムの酸化被膜からなる誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を作製した。このコンデンサ素子は、静電容量が50μF以上、ESRが25mΩ以下、破壊電圧(耐電圧)が120V以上になるように設定したものである。
【0146】
上記コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に取り出し、180℃で10分間乾燥して、コンデンサ素子に第1の導電性高分子の層を形成した。
【0147】
上記のようにして第1の導電性高分子層を形成したコンデンサ素子をエチレングリコールに浸漬し、1分後に取り出し、180℃で30分乾燥した。
【0148】
上記エチレングリコールによる処理後のコンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に引き出し、室温で30分間放置して、形成される第2の導電性高分子層の表面部を主体とする部分乾燥をした(すなわち、表面部は乾燥し、内部は完全乾燥しない状態に乾燥した)。
【0149】
上記部分乾燥した導電性高分子層を有するコンデンサ素子を、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液に浸漬し、1分後に引き出し、180℃で30分乾燥した。それを外装材で外装して、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0150】
実施例24
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比60:40:6:1:2で混合して調製した60%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例25
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比40:60:6:1:2で混合して調製した40%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0151】
実施例26
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比20:80:6:1:2で混合して調製した20%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0152】
実施例27
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールとポリエチレングリコールジグリシジルとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0153】
実施例28
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、γ−ブチロラクトンとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したγ−ブチロラクトン系溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0154】
実施例29
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとポリエチレングリコール300とを質量比100:8:3で混合して調製したエチレングリコール系溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0155】
実施例30
第1の導電性高分子層を形成したコンデンサ素子をエチレングリコールで処理するのに代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとジグリセロールが60:40:5:2で溶解した60%エチレングリコール−エタノール系溶液で処理した以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0156】
実施例31
コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に取り出し、180℃で10分間乾燥して、コンデンサ素子に第1の導電性高分子の層を形成するのに代えて、コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に取り出し、室温で30分間乾燥して、形成される第1の導電性高分子層の表面部を主体とする部分乾燥をした(すなわち、表面部は乾燥し、内部は完全乾燥しない状態に乾燥した)以外は、すべて実施例30と同じ操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0157】
実施例32
コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に引き出し、室温で30分間放置して、形成される第2の導電性高分子層の表面部を主体とする部分乾燥をする(すなわち、表面部は乾燥し、内部は完全乾燥しない状態に乾燥する)のに代えて、コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に引き出し、180℃で15分間乾燥して第2の導電性高分子層を形成した以外は、すべて実施例31と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0158】
比較例5
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)による処理を行わなかった以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0159】
比較例6
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとを質量比5:95で混合して調製した5%エチレングリコール−エタノール溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0160】
上記のように製造した実施例23〜32および比較例5〜6の巻回型アルミニウム電解コンデンサについて、前記実施例1の場合と同様にESR、静電容量および破壊電圧を測定した、その結果を表6に前記表3の場合と同様の表示態様で示す。
【0161】
【表6】
【0162】
表6に示すように、実施例23〜32の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、「巻回型アルミニウム電解コンデンサ」を簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例5〜6のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、かつ、破壊電圧が高かった。そして、この実施23〜32のコンデンサは、ESRが最も高い場合でも22.9mΩであって、25mΩ以下という設定ESRを満たし、静電容量が最も小さい場合でも51.7μFであって、50μF以上という設定静電容量を満たし、破壊電圧が最も低い場合でも130Vであって、120V以上という設定破壊電圧を満たしていた。
【0163】
また、上記実施例23〜32および比較例5〜6の巻回型アルミニウム電解コンデンサの10個ずつ(先にESRや静電容量の測定に使用したが、破壊電圧の測定に使用しなかった残りの20個のうちの10個ずつ)ついて、前記実施例15の場合と同条件下で、充放電を5,000回繰り返した後のESRと静電容量を測定し、それによって、充放電特性を調べた。その結果を表7に前記表4の場合と同様の表示態様で示す。
【0164】
【表7】
【0165】
表7に示すように、充放電を5,000回繰り返した後においても、実施例23〜32の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例5〜6のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きかった。そして、この表7に示すESR値および静電容量値と前記表6に示すESR値および静電容量値との対比から明らかなように、実施例23〜32のコンデンサは、比較例5〜6のコンデンサに比べて、充放電を5,000回繰り返したことによるESRの増加や静電容量の低下が少なく、充放電特性が優れていた。すなわち、充放電を5,000回繰り返した後では、実施例23〜32のコンデンサと比較例5〜6のコンデンサのESRや静電容量の差は、充放電開始前よりも大きくなり、実施例23〜32のコンデンサは、比較例5〜6のコンデンサに比べて、充放電特性が優れていた。
【0166】
また、上記実施例23〜32および比較例5〜6の巻回型アルミニウム電解コンデンサの10個ずつ(先にESRや静電容量の測定に使用したが、破壊電圧の測定に使用しなかった残りの20個のうちで充放電特性を調べるのに使用しなかった残りの10個ずつ)を150℃で500時間貯蔵し、その貯蔵後に前記と同様にESRおよび静電容量を測定し、かつ、漏れ電流不良の発生を調べた。その結果を表8に前記表5の場合と同様の表示態様で示す。
【0167】
【表8】
【0168】
表8に示すように、150℃で500時間貯蔵後においても、実施例23〜32の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例5〜6のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きかった。そして、この表8に示すESR値および静電容量値と前記表6に示すESR値および静電容量値との対比から明らかなように、実施例23〜32のコンデンサは、比較例5〜6のコンデンサに比べて、150℃という高温での貯蔵によるESRの増加や静電容量の低下が少なく、耐熱性が優れていた。すなわち、150℃という高温で500時間という長時間の貯蔵後では、実施例23〜32のコンデンサと比較例5〜6のコンデンサのESRや静電容量の差は、貯蔵開始前よりも大きくなり、実施例23〜32のコンデンサは、比較例5〜6のコンデンサに比べて、耐熱性が優れていた。
【0169】
実施例33
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行ってアルミニウムの酸化被膜からなる誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を作製した。このコンデンサ素子は、静電容量が50μF以上、ESRが25mΩ以下、破壊電圧(耐電圧)が120V以上になるように設定したものである。
【0170】
上記コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に取り出し、室温で30分間放置して、形成される導電性高分子層の表面部を主体とする部分乾燥を行った。
【0171】
上記コンデンサ素子を、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液に浸漬し、1分後に取り出し、180℃で30分乾燥した。
【0172】
その後、上記エチレングリコール系溶液による処理後のコンデンサ素子を、アジピン酸アンモニウムが10%濃度で溶解しているγ−ブチロラクトン溶液に浸漬し、取り出した後、乾燥することなく、外装材で外装して、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0173】
実施例34
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比60:40:6:1:2で混合して調製した60%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0174】
実施例35
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比40:60:6:1:2で混合して調製した40%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0175】
実施例36
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比20:80:6:1:2で混合して調製した20%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0176】
実施例37
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸とp−ニトロフェノールとポリエチレングリコールジグリシジルとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0177】
実施例38
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、γ−ブチロラクトンとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したγ−ブチロラクトン系溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0178】
実施例39
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、ジメチルスルホキシドとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比60:40:6:1:4で混合して調製した60%ジメチルスルホキシド−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0179】
比較例7
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)による処理を行わなかった以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0180】
比較例8
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとを質量比5:95で混合して調製した5%エチレングリコール−エタノール溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0181】
上記のようにして製造した実施例33〜39および比較例7〜8の巻回型アルミニウム電解コンデンサについて、前記実施例1の場合と同様に、ESR、静電容量および破壊電圧を測定し、また、漏れ電流不良発生を調べた。その結果を表9に前記表3〜4の場合同様の表示態様で示す。
【0182】
【表9】
【0183】
表9に示すように、実施例33〜39の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例7〜8のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、破壊電圧が高く、また、比較例7〜8のコンデンサに見られるような漏れ電流不良の発生がなかった。また、実施例33〜39のコンデンサは、ESRが最も高い場合でも24.5mΩであって、25mΩ以下という設定ESRを満たし、静電容量が最も小さい場合でも54.1μFであって、50μF以上という設定静電容量を満たし、破壊電圧が最も低い場合でも132Vであって、120V以上という設定破壊電圧を満たしていた。
【0184】
また、上記実施例33〜39および比較例7〜8の巻回型アルミニウム電解コンデンサの10個ずつ(先にESRや静電容量の測定に使用したが、破壊電圧の測定や漏れ電流不良発の調査に使用しなかった残りの10個ずつ)を150℃で400時間貯蔵し、その貯蔵後に前記と同様にESRと宣伝容量を測定した。その結果を表10に前記表5の場合と同様の表示態様で示す。
【0185】
【表10】
【0186】
表10に示すように、150℃で400時間貯蔵後においても、実施例33〜39の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例7〜8のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きかった。そして、この表10に示すESR値と前記表9に示すESR値との対比から明らかなように、実施例33〜39のコンデンサは、比較例7〜8のコンデンサに比べて、150℃という高温での貯蔵によるESRの増加が少なく、耐熱性が優れていた。すなわち、150℃で400時間貯蔵後では、実施例33〜39のコンデンサと比較例7〜8のコンデンサのESRの差は、150℃で400時間貯蔵する前よりも大きくなり、実施例33〜39のコンデンサは、比較例7〜8のコンデンサに比べて、耐熱性が優れていた。