【実施例】
【0072】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に例示のもののみに限定されることはない。なお、以下の実施例などにおいて、濃度や使用量を示す際の%は、特にその基準を付記しないかぎり、質量基準による%である。
【0073】
また、実施例に先立ち、コンデンサ素子への導電性高分子の層の形成にあたって用いる導電性高分子の分散液の調製例を調製例(I)〜(IV)で示す。
【0074】
導電性高分子の分散液の調製例(I)
テイカ社製ポリスチレンスルホン酸(重量平均分子量100、000)の3%水溶液600gを内容積1Lのステンレス鋼製容器に入れ、硫酸第一鉄・7水和物0.3gを添加し、その中に3,4−エチレンジオキシチオフェン4mLをゆっくり滴下した。
【0075】
それらをステンレス鋼製の攪拌翼で攪拌し、容器に陽極を取り付け、攪拌翼の付け根に陰極を取り付け、1mA/cm
2の定電流で18時間電解酸化重合を行った。上記電解酸化重合後、水で6倍に希釈した後、超音波ホモジナイザー〔日本精機社製、US−T300(商品名)〕で2時間分散処理を行った。その後、オルガノ社製のカチオン交換樹脂アンバーライト120B(商品名)を100g添加し、1時間攪拌機で攪拌した。次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過し、このカチオン交換樹脂による処理と濾過を3回繰り返して、液中の鉄イオンなどのカチオン成分をすべて除去した。
【0076】
上記処理後の液を孔径が1μmのフィルターに通し、その通過液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕で処理して、液中の遊離の低分子成分を除去した。この処理後の液を水で希釈して濃度を2%に調整した後、28%アンモニア水溶液でpHを3に調整して導電性高分子の分散液(I)を得た。得られた導電性高分子の分散液(I)中の導電性高分子の粒度分布を大塚電子製ELS−Z(商品名)で測定したところ、導電性高分子の平均粒径は120nmであった。
【0077】
導電性高分子の分散液の調製例(II)
2Lの攪拌機付セパラブルフラスコに1Lの純水を入れ、そこにスチレンスルホン酸ナトリウム170gとアクリル酸ヒドロキシエチル30gを添加した。そして、その溶液に酸化剤として過硫酸アンモニウムを1g添加してスチレンスルホン酸とアクリル酸ヒドロキシエチルとの重合反応を12時間行った。この重合反応後の反応液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕で処理して、液中の遊離の低分子成分を除去し、水を加えて濃度3%に調整した。
【0078】
得られた液中のスチレンスルホン酸とアクリル酸ヒドロキシエチルとの共重合体の分子量をゲル濾過カラムを用いて測定したところ、デキストランを評品として見積もった重量平均分子量は、100,000であった。
【0079】
そして、濃度3%のポリスチレンスルホン酸水溶液に代えて、このスチレンスルホン酸とアクリル酸ヒドロキシルエチルとの共重合体の3%溶液を用いた以外は、すべて調製例(I)と同様の操作を行って、導電性高分子の分散液(II)を得た。得られた導電性高分子の分散液(II)中の導電性高分子の粒度分布を大塚電子製ELS−Z(商品名)で測定したところ、導電性高分子の平均粒径は170nmであった。
【0080】
導電性高分子の分散液の調製例(III)
3%スルホン化ポリエステル〔互応化学工業社製プラスコートZ−561(商品名)、重量平均分子量27,000〕水溶液200gを内容積1Lのビーカーに入れ、過硫酸アンモニウム2gを添加した後、スターラーで攪拌して溶解した。次いで、硫酸第二鉄の40%水溶液0.4gを添加し、攪拌しながら、その中に3,4−エチレンジオキシチオフェン3mLをゆっくり滴下し、24時間かけて、3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合を行った。
【0081】
上記重合後、水で4倍希釈した後、超音波ホモジナイザー(日本精機社製、US−T300)で30分間分散処理を行った。その後、オルガノ社製のカチオン交換樹脂アンバーライト120B(商品名)を100g添加し、1時間スターラーで攪拌し、次いで、東洋濾紙社製の濾紙No.131で濾過した。この分散から濾過までの操作を3回繰り返して、カチオン成分をすべて除去した。
【0082】
上記濾液を孔径が1μmのフィルターを通し、通過液を限外濾過装置〔ザルトリウス社製Vivaflow200(商品名)、分子量分画5万〕により、遊離の低分子成分を除去した。この溶液に水を加えて濃度を5%に調整した溶液40gに対し、ジメチルスルホキシド4gを添加し、導電性高分子の分散液(III)を得た。
【0083】
得られた導電性高分子の分散液(III)中の導電性高分子の粒度分布を大塚電子製ELS−Z(商品名)で測定したところ、導電性高分子の平均粒径は100nmであった。
【0084】
導電性高分子の分散液の調製例(IV)
前記導電性高分子の製造例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)と導電性高分子の分散液の調製例(III)で調製した導電性高分子の分散液(III)とを質量比1:1で混合して、導電性高分子の分散液(IV)を得た。
【0085】
得られた導電性高分子の分散液(IV)中の導電性高分子の粒度分布を大塚電子製ELS−Z(商品名)で測定したところ、導電性高分子の平均粒径は130nmであった。
【0086】
〔積層型アルミニウム電解コンデンサでの評価〕
実施例1
縦10mm×横3.3mm の80Vで化成されたアルミニウムエッチド箔について、縦方向の片端から4mmの部分と、他端から5mmの部分とに分けるように、上記アルミニウムエッチド箔の横方向にポリイミド溶液を1mm幅に塗布し、乾燥した。次に、上記アルミニウムエッチド箔の縦方向の片端から5mmの部分の、該片端から2mmの箇所に、陽極としての銀線を取り付けた。また、上記箔の縦方向の片端から4mmの部分(4mm×3.3mm)を、濃度10%のアジピン酸アンモニウム水溶液に漬け、80Vの電圧を印加することにより再化成処理を行って誘電体層を形成させ、設定静電容量が5.5μF以上、設定ESRが30.0mΩ以下、設定漏れ電流が35V印加時で100μA以下のコンデンサ素子を作製した。
【0087】
次に、上記コンデンサ素子を調製例(I)で調製した導電性高分子の分散液(I)に浸漬し、30秒後に、取り出し、150℃で20分間乾燥した。この操作を3回繰り返して、コンデンサ素子に第1の導電性高分子の層を形成した。この導電性高分子層は少なくともコンデンサ素子の誘電体層上に形成されていればよいが、その他の部分に形成されていてもよい。
【0088】
上記のようにして第1の導電性高分子層を形成したコンデンサ素子をエチレングリコールに浸漬し、60秒後に、取り出し、150℃で30分間乾燥した。
【0089】
次に、上記エチレングリコールへの浸漬−乾燥処理(以下、「エチレングリコールによる処理」という場合がある)を行ったコンデンサ素子を調製例(IV)で調製した導電性高分子の分散液(IV)に浸漬し、30秒後に、取り出し、150℃で30分間乾燥した。この操作を3回繰り返して、コンデンサ素子に第2の導電性高分子層を形成した。
【0090】
その後、上記コンデンサ素子をカーボンペーストおよび銀ペーストで覆い、縦方向の端部から3mmの箇所に陰極としての銀線を取り付け、さらにエポキシ樹脂で外装し、エージング処理を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。上記第1の導電性高分子も第2の導電性高分子も固体電解質を構成することになるものであるが、以後の実施例などでは、その旨の記載を省略する。また、この実施例1では、第1の導電子性高分子にはポリスチレンスルホン酸がドーパントとして用いられており、第2の導電性高分子には、スチレンスルホン酸とアクリル酸ヒドロキシエチルとの共重合体と、スルホン化ポリエステルとがドーパントとして用いられている。
【0091】
実施例2
実施例1と同様の操作を行って、設定静電容量が5.5μF以上、設定ESRが30.0mΩ以下、設定漏れ電流が35V印加時で100μA以下のコンデンサ素子を作製した。
次に、上記コンデンサ素子を調製例(I)で調製した導電性高分子の分散液(I)に浸漬し、30秒後に、取り出し、150℃で20分間乾燥した。この操作を3回繰り返してコンデンサ素子に第1の導電性高分子の層を形成した。
【0092】
その後、上記コンデンサ素子を調製例(IV)で調製した導電性高分子の分散液(IV)に浸漬し、30秒後に、取り出し、150℃で30分間乾燥した。この操作を3回繰り返して第2の導電性高分子の層を形成した。
【0093】
次に、上記のように2種類の導電性高分子の層を形成したコンデンサ素子をエチレングリコールに浸漬し、60秒後に、取り出し、150℃で30分間乾燥した。
【0094】
その後、上記のようにエチレングリコールによる処理をしたコンデンサ素子をカーボンペーストおよび銀ペーストで覆い、縦方向の端部から3mmの箇所に陰極としての銀線を取り付け、さらにエポキシ樹脂で外装し、エージング処理を行って積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0095】
実施例3
実施例1と同様の操作を行って設定静電容量が5.5μF以上、設定ESRが30.0mΩ以下、漏れ電流が35V印加時で100μA以下のコンデンサ素子を作製した。
次に、上記コンデンサ素子を調製例(I)で調製した導電性高分子の分散液(I)に浸漬し、30秒後に、取り出して、150℃で20分間乾燥した。そして、この操作を3回繰り返して、コンデンサ素子に第1の導電性高分子の層を形成した。
【0096】
次に、上記のようにして第1の導電性高分子層を形成したコンデンサ素子をエチレングリコールに浸漬し、60秒後に取り出し、150℃で30分間乾燥した。
【0097】
上記エチレングリコールによる処理をしたコンデンサ素子を調製例(IV)で調製した導電性高分子の分散液(IV)に浸漬し、30秒後に取り出し、150℃で30分間乾燥した。この操作を3回繰り返して、第2の導電性高分子の層を形成した。
【0098】
次に、上記第2の導電性高分子層形成後のコンデンサ素子をエチレングリコールに浸漬し、取り出して、150℃で、30分間乾燥した。
【0099】
その後、上記2回目のエチレングリコールによる処理をしたコンデンサ素子をカーボンペーストおよび銀ペーストで覆い、縦方向の端部から3mmの箇所に陰極としての銀線を取り付け、さらにエポキシ樹脂で外装し、エージング処理を行って積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0100】
実施例4
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとエタノールとを質量比6:4で混合して調製した60%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0101】
実施例5
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールと蒸留水とを質量比4:6で混合して調製した40%エチレングリコール−水系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0102】
実施例6
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールと蒸留水とを質量比2:8で混合して調製した20%エチレングリコール−水系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0103】
実施例7
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとエリスリトールとを質量比100:4で混合して調製したエチレングリコール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0104】
実施例8
エチレングリコールに代えて、γ−ブチロラクトンを用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0105】
実施例9
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールとを質量比100:6:1で混合して調製したエチレングリコール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0106】
実施例10
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールと蒸留水とp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールとを質量比60:40:6:1で混合して調製した60%エチレングリコール−水系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0107】
実施例11
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとメタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸とを質量比60:40:6で混合して調製した60%エチレングリコール−メタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0108】
実施例12
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとジグリセロールとを質量比60:40:5:2で混合して調製した60%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0109】
実施例13
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとn−ブタノールとp−ニトロフェノールとアクロキシプロピルトリメトキシシランとを質量比60:40:6:3で混合して調製した60%エチレングリコール−n−ブタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0110】
実施例14
エチレングリコールに代えて、ジメチルスルホキシドとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸とアクリル酸グリシジルとグリセロールとを質量比60:40:5:5:2で混合して調製した60%ジメチルスルホキシド−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0111】
比較例1
エチレングリコールによる処理を行わなかった以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0112】
比較例2
エチレングリコールに代えて、エチレングリコールとエタノールとを質量比5:95で混合して調製した5%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例1と同様の操作を行って、積層型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0113】
上記のようにして製造した実施例1〜14および比較例1〜2の積層型アルミニウム電解コンデンサについて、ESRおよび静電容量を測定し、かつ、破壊電圧を測定した。その結果を表1に示す。なお、ESR、静電容量および破壊電圧の測定方法は次の通りである。
【0114】
ESR:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、100kHzで測定した。
静電容量:
HEWLETT PACKARD社製のLCRメーター(4284A)を用い、25℃の条件下で、120Hzで測定した。
破壊電圧:
松定プレシジョン社製PRK650−2.5を用い、25℃の条件下で、電圧を1V/秒の速度で上昇させて電流が0.2A以上流れた時の電圧を測定した。
【0115】
上記ESRおよび静電容量の測定は、各試料とも、20個ずつについて行い、ESRおよび静電容量に関して表1に示す数値は、その20個の測定値の平均値を求め、小数点第2位を四捨五入して示したものである。また、破壊電圧の測定は、各試料とも、10個ずつについて行い、破壊電圧に関して表1に示す数値は、10個の測定値の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。
【0116】
【表1】
【0117】
表1に示すように、実施例1〜14の積層型アルミニウム電解コンデンサ(以下、「積層型アルミニウム電解コンデンサ」を簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例1〜2のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、かつ破壊電圧が高かった。すなわち、コンデンサの製造中において、導電性高分子層を形成後のコンデンサを、エチレングリコールで処理した実施例1〜3のコンデンサ、エチレングリコールを20%以上含有する溶液で処理した実施例4〜6のコンデンサ、エチレングリコールに添加物を含有させたエチレングリコール系溶液で処理した実施例7および実施例9のコンデンサ、γ−ブチロラクトンで処理した実施例8のコンデンサ、添加物を含有させた60%エチレングリコール−水系溶液で処理した実施例10のコンデンサ、添加物を含有させた60%エチレングリコール−メタノール系溶液で処理した実施例11のコンデンサ、添加物を含有させた60%エチレングリコール−エタノール系溶液で処理した実施例12のコンデンサ、添加物を含有させた60%エチレングリコール−n−ブタノール系溶液で処理した実施例13のコンデンサや、添加物を含有させた60%ジメチルスルホキシド−エタノール系溶液で処理した実施例14のコンデンサは、エチレングリコールによる処理をしなかった比較例1のコンデンサやエチレングリコールを5%しか含有していない溶液で処理した比較例2のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、かつ破壊電圧が高かった。
【0118】
また、上記実施例1〜14および比較例1〜2の積層型アルミニウム電解コンデンサの10個ずつ(先にESRや静電容量の測定に使用したが、破壊電圧の測定に使用しなかった残りの10個ずつ)を150℃で500時間貯蔵し、その貯蔵後に、前記と同様にESRと静電容量を測定し、漏れ電流不良の発生を調べた。その結果を表2に示す。なお、漏れ電不良の発生は次のように調べた。
【0119】
漏れ電流不良の発生:
積層型アルミニウム電解コンデンサに、25℃で35Vの電圧を60秒間印加した後、デジタルオシロスコープで漏れ電流を測定し、漏れ電流が100μAを超えたものを漏れ電流不良が発生したものとする。
【0120】
この漏れ電流不良の発生の表2への表示にあたっては、分母に漏れ電流の測定にあたって供した全コンデンサ個数を表示し、分子に漏れ電流不良が発生したコンデンサ個数を示す態様で「漏れ電流不良発生個数」として表示する。また、以後の表においても、漏れ電流不良を表示する場合は、同様の態様で表示する。
【0121】
【表2】
【0122】
表2に示すように、実施例1〜14の積層型アルミニウム電解コンデンサ(以下、簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例1〜2のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、また、比較例1〜2のコンデンサに見られるような漏れ電流不良の発生がなかった。また、実施例1〜14のコンデンサは、150℃で500時間貯蔵後においても、ESRが最も高い場合でも29.9mΩであって、30.0mΩ以下という設定ESRを満たし、静電容量が最も小さい場合でも5.6μFであって、5.5μF以上という設定静電容量を満たし、漏れ電流不良の発生がまったくないことからもわかるように、設定漏れ電流の35V印加時で100μA以下を満たしていた。
【0123】
そして、この表2に示すESR値と前記表1に示すESR値との対比から明らかなように、実施例1〜14のコンデンサは、比較例1〜2のコンデンサに比べて、150℃という高温での貯蔵によるESRの増加が少なく、耐熱性が優れていた。すなわち、150℃という高温で500時間という長時間の貯蔵を行った後では、実施例1〜14のコンデンサと比較例1〜2のコンデンサのESR値の差は、上記貯蔵前より大きくなっていて、実施例1〜14のコンデンサは比較例1〜2のコンデンサに比べて、耐熱性が優れていた。
【0124】
〔巻回型アルミニウム電解コンデンサでの評価〕
実施例15
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行ってアルミニウムの酸化被膜からなる誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を作製した。このコンデンサ素子は、静電容量が50μF以上、ESRが25mΩ以下、破壊電圧(耐電圧)が120V以上になるように設定したものである。
【0125】
上記コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に取り出し、180℃で10分間乾燥して、導電性高分子の層を形成した。
次に、上記導電性高分子層を形成後のコンデンサ素子を、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液に浸漬し、1分後に取り出し、180℃で30分乾燥した。
【0126】
この導電性高分子の分散液(II)への浸漬に基づく導電性高分子層の形成と上記エチレングリコール系溶液による処理を2回繰り返した後のコンデンサ素子を外装材で外装して、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0127】
実施例16
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比60:40:6:1:2で混合して調製した60%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0128】
実施例17
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比40:60:6:1:2で混合して調製した40%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0129】
実施例18
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比20:80:6:1:2で混合して調製した20%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0130】
実施例19
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸とp−ニトロフェノールとポリエチレングリコールジグリシジルとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0131】
実施例20
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、γ−ブチロラクトンとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したγ−ブチロラクトン系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0132】
実施例21
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、ジメチルスルホキシドとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとグリセロールとを質量比60:40:8:2で混合して調製した60%ジメチルスルキシド−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0133】
実施例22
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:4:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸とアラビノースとを質量比60:40:4:4で混合して調製した60%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0134】
比較例3
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)による処理を行わなかった以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0135】
比較例4
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとを質量比5:95で混合して調製した5%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例15と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0136】
上記のようにして製造した実施例15〜22および比較例3〜4の巻回型アルミニウム電解コンデンサについて、前記実施例1の場合と同様に、ESR、静電容量および破壊電圧を測定した。その結果を表3に示す。なお、ESRと静電容量の測定は、各コンデンサとも30個ずつについて行い、破壊電圧の測定は各コンデンサとも10個ずつについて行った。そして、表3に示すESR値と静電容量値は、その30個の平均値を求め、小数点第2位を四捨五入して示したものであり、破壊電圧は、その10個の平均値を求め、小数点以下を四捨五入して示したものである。
【0137】
【表3】
【0138】
表3に示すように、実施例15〜22の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、「巻回型アルミニウム電解コンデンサ」を簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例3〜4のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、かつ、破壊電圧が高かった。また、実施例15〜22のコンデンサは、ESRが最も高い場合でも24.3mΩであって、25mΩ以下という設定ESRを満たし、静電容量が最も小さい場合でも51.8μFであって、50μF以上という設定静電容量を満たし、破壊電圧が最も低い場合でも129Vであって、120V以上という設定破壊電圧を満たしていた。
【0139】
また、上記実施例15〜22および比較例3〜4の巻回型アルミニウム電解コンデンサの10個ずつ(先にESRや静電容量の測定に使用したが、破壊電圧の測定に使用しなかった残りの20個のうちの10個ずつ)ついて、松定プレシジョン社製PRk650−2.5とEL1.5k−650V−LGobを用い、2秒間に50V、20Aの充放電を5,000回繰り返した後のESRと静電容量を測定し、それによって、充放電特性を調べた。その結果を表4に示す。なお、ESRや静電容量の測定方法は前記と同様であり、また、表4への測定値の表示態様は、10個の測定値の平均値を求めた点を除いては、前記表3の場合と同様である。
【0140】
【表4】
【0141】
表4に示すように、実施例15〜22のコンデンサは、比較例3〜4のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きかった。そして、この表4に示すESR値および静電容量値と前記表3に示すESR値および静電容量値との対比から明らかなように、実施例15〜22のコンデンサは、比較例3〜4のコンデンサに比べて、充放電を5,000回繰り返した後のESRの増加や静電容量の低下が少なく、充放電特性が優れていた。すなわち、充放電を5,000回繰り返した後では、実施例15〜22のコンデンサと比較例3〜4のコンデンサのESRや静電容量の差は、充放電開始前よりも大きくなり、実施例15〜22のコンデンサは、比較例3〜4のコンデンサに比べて、充放電特性が優れていた。
【0142】
また、上記実施例15〜22および比較例3〜4のコンデンサの10個ずつ(先にESRや静電容量の測定に使用したが、破壊電圧の測定に使用しなかった残りの20個のうちで充放電特性の測定にも使用しなかった10個ずつ)を150℃で500時間貯蔵し、その貯蔵後に前記実施例1の場合と同様にESRおよび静電容量を測定し、かつ漏れ電流不良の発生を調べた。その結果を表5に前記表2の場合と同様の表示態様で示す。
【0143】
【表5】
【0144】
表5に示すように、実施例15〜22のコンデンサは、比較例3〜4のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、また、比較例3〜4のコンデンサに見られるような漏れ電流不良の発生がなかった。そして、この表5に示すESR値および静電容量値と前記表3に示すESR値および静電容量値との対比から明らかなように、実施例15〜22のコンデンサは比較例3〜4のコンデンサに比べて、150℃という高温での貯蔵によるESRの増加や静電容量の低下が少なく、耐熱性が優れていた。
【0145】
実施例23
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行ってアルミニウムの酸化被膜からなる誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を作製した。このコンデンサ素子は、静電容量が50μF以上、ESRが25mΩ以下、破壊電圧(耐電圧)が120V以上になるように設定したものである。
【0146】
上記コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に取り出し、180℃で10分間乾燥して、コンデンサ素子に第1の導電性高分子の層を形成した。
【0147】
上記のようにして第1の導電性高分子層を形成したコンデンサ素子をエチレングリコールに浸漬し、1分後に取り出し、180℃で30分乾燥した。
【0148】
上記エチレングリコールによる処理後のコンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に引き出し、室温で30分間放置して、形成される第2の導電性高分子層の表面部を主体とする部分乾燥をした(すなわち、表面部は乾燥し、内部は完全乾燥しない状態に乾燥した)。
【0149】
上記部分乾燥した導電性高分子層を有するコンデンサ素子を、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液に浸漬し、1分後に引き出し、180℃で30分乾燥した。それを外装材で外装して、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0150】
実施例24
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比60:40:6:1:2で混合して調製した60%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
実施例25
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比40:60:6:1:2で混合して調製した40%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0151】
実施例26
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比20:80:6:1:2で混合して調製した20%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0152】
実施例27
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールとポリエチレングリコールジグリシジルとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0153】
実施例28
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、γ−ブチロラクトンとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したγ−ブチロラクトン系溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0154】
実施例29
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとポリエチレングリコール300とを質量比100:8:3で混合して調製したエチレングリコール系溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0155】
実施例30
第1の導電性高分子層を形成したコンデンサ素子をエチレングリコールで処理するのに代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとジグリセロールが60:40:5:2で溶解した60%エチレングリコール−エタノール系溶液で処理した以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0156】
実施例31
コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に取り出し、180℃で10分間乾燥して、コンデンサ素子に第1の導電性高分子の層を形成するのに代えて、コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に取り出し、室温で30分間乾燥して、形成される第1の導電性高分子層の表面部を主体とする部分乾燥をした(すなわち、表面部は乾燥し、内部は完全乾燥しない状態に乾燥した)以外は、すべて実施例30と同じ操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0157】
実施例32
コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に引き出し、室温で30分間放置して、形成される第2の導電性高分子層の表面部を主体とする部分乾燥をする(すなわち、表面部は乾燥し、内部は完全乾燥しない状態に乾燥する)のに代えて、コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に引き出し、180℃で15分間乾燥して第2の導電性高分子層を形成した以外は、すべて実施例31と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0158】
比較例5
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)による処理を行わなかった以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0159】
比較例6
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとを質量比5:95で混合して調製した5%エチレングリコール−エタノール溶液を用いた以外は、すべて実施例23と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0160】
上記のように製造した実施例23〜32および比較例5〜6の巻回型アルミニウム電解コンデンサについて、前記実施例1の場合と同様にESR、静電容量および破壊電圧を測定した、その結果を表6に前記表3の場合と同様の表示態様で示す。
【0161】
【表6】
【0162】
表6に示すように、実施例23〜32の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、「巻回型アルミニウム電解コンデンサ」を簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例5〜6のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、かつ、破壊電圧が高かった。そして、この実施23〜32のコンデンサは、ESRが最も高い場合でも22.9mΩであって、25mΩ以下という設定ESRを満たし、静電容量が最も小さい場合でも51.7μFであって、50μF以上という設定静電容量を満たし、破壊電圧が最も低い場合でも130Vであって、120V以上という設定破壊電圧を満たしていた。
【0163】
また、上記実施例23〜32および比較例5〜6の巻回型アルミニウム電解コンデンサの10個ずつ(先にESRや静電容量の測定に使用したが、破壊電圧の測定に使用しなかった残りの20個のうちの10個ずつ)ついて、前記実施例15の場合と同条件下で、充放電を5,000回繰り返した後のESRと静電容量を測定し、それによって、充放電特性を調べた。その結果を表7に前記表4の場合と同様の表示態様で示す。
【0164】
【表7】
【0165】
表7に示すように、充放電を5,000回繰り返した後においても、実施例23〜32の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例5〜6のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きかった。そして、この表7に示すESR値および静電容量値と前記表6に示すESR値および静電容量値との対比から明らかなように、実施例23〜32のコンデンサは、比較例5〜6のコンデンサに比べて、充放電を5,000回繰り返したことによるESRの増加や静電容量の低下が少なく、充放電特性が優れていた。すなわち、充放電を5,000回繰り返した後では、実施例23〜32のコンデンサと比較例5〜6のコンデンサのESRや静電容量の差は、充放電開始前よりも大きくなり、実施例23〜32のコンデンサは、比較例5〜6のコンデンサに比べて、充放電特性が優れていた。
【0166】
また、上記実施例23〜32および比較例5〜6の巻回型アルミニウム電解コンデンサの10個ずつ(先にESRや静電容量の測定に使用したが、破壊電圧の測定に使用しなかった残りの20個のうちで充放電特性を調べるのに使用しなかった残りの10個ずつ)を150℃で500時間貯蔵し、その貯蔵後に前記と同様にESRおよび静電容量を測定し、かつ、漏れ電流不良の発生を調べた。その結果を表8に前記表5の場合と同様の表示態様で示す。
【0167】
【表8】
【0168】
表8に示すように、150℃で500時間貯蔵後においても、実施例23〜32の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例5〜6のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きかった。そして、この表8に示すESR値および静電容量値と前記表6に示すESR値および静電容量値との対比から明らかなように、実施例23〜32のコンデンサは、比較例5〜6のコンデンサに比べて、150℃という高温での貯蔵によるESRの増加や静電容量の低下が少なく、耐熱性が優れていた。すなわち、150℃という高温で500時間という長時間の貯蔵後では、実施例23〜32のコンデンサと比較例5〜6のコンデンサのESRや静電容量の差は、貯蔵開始前よりも大きくなり、実施例23〜32のコンデンサは、比較例5〜6のコンデンサに比べて、耐熱性が優れていた。
【0169】
実施例33
アルミニウム箔の表面をエッチング処理した後、化成処理を行ってアルミニウムの酸化被膜からなる誘電体層を形成した陽極にリード端子を取り付け、また、アルミニウム箔からなる陰極にリード端子を取り付け、それらのリード端子付き陽極と陰極とをセパレータを介して巻回して、コンデンサ素子を作製した。このコンデンサ素子は、静電容量が50μF以上、ESRが25mΩ以下、破壊電圧(耐電圧)が120V以上になるように設定したものである。
【0170】
上記コンデンサ素子を前記調製例(II)で調製した導電性高分子の分散液(II)に浸漬し、5分後に取り出し、室温で30分間放置して、形成される導電性高分子層の表面部を主体とする部分乾燥を行った。
【0171】
上記コンデンサ素子を、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液に浸漬し、1分後に取り出し、180℃で30分乾燥した。
【0172】
その後、上記エチレングリコール系溶液による処理後のコンデンサ素子を、アジピン酸アンモニウムが10%濃度で溶解しているγ−ブチロラクトン溶液に浸漬し、取り出した後、乾燥することなく、外装材で外装して、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0173】
実施例34
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比60:40:6:1:2で混合して調製した60%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0174】
実施例35
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比40:60:6:1:2で混合して調製した40%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0175】
実施例36
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比20:80:6:1:2で混合して調製した20%エチレングリコール−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0176】
実施例37
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸とp−ニトロフェノールとポリエチレングリコールジグリシジルとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0177】
実施例38
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、γ−ブチロラクトンとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したγ−ブチロラクトン系溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0178】
実施例39
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、ジメチルスルホキシドとエタノールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比60:40:6:1:4で混合して調製した60%ジメチルスルホキシド−エタノール系溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0179】
比較例7
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)による処理を行わなかった以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0180】
比較例8
エチレングリコール系溶液(つまり、エチレングリコールとp−ヒドロキシベンゼンカルボン酸ブチルとp−ニトロフェノールと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとを質量比100:6:1:2で混合して調製したエチレングリコール系溶液)に代えて、エチレングリコールとエタノールとを質量比5:95で混合して調製した5%エチレングリコール−エタノール溶液を用いた以外は、すべて実施例33と同様の操作を行って、巻回型アルミニウム電解コンデンサを製造した。
【0181】
上記のようにして製造した実施例33〜39および比較例7〜8の巻回型アルミニウム電解コンデンサについて、前記実施例1の場合と同様に、ESR、静電容量および破壊電圧を測定し、また、漏れ電流不良発生を調べた。その結果を表9に前記表3〜4の場合同様の表示態様で示す。
【0182】
【表9】
【0183】
表9に示すように、実施例33〜39の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例7〜8のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きく、破壊電圧が高く、また、比較例7〜8のコンデンサに見られるような漏れ電流不良の発生がなかった。また、実施例33〜39のコンデンサは、ESRが最も高い場合でも24.5mΩであって、25mΩ以下という設定ESRを満たし、静電容量が最も小さい場合でも54.1μFであって、50μF以上という設定静電容量を満たし、破壊電圧が最も低い場合でも132Vであって、120V以上という設定破壊電圧を満たしていた。
【0184】
また、上記実施例33〜39および比較例7〜8の巻回型アルミニウム電解コンデンサの10個ずつ(先にESRや静電容量の測定に使用したが、破壊電圧の測定や漏れ電流不良発の調査に使用しなかった残りの10個ずつ)を150℃で400時間貯蔵し、その貯蔵後に前記と同様にESRと宣伝容量を測定した。その結果を表10に前記表5の場合と同様の表示態様で示す。
【0185】
【表10】
【0186】
表10に示すように、150℃で400時間貯蔵後においても、実施例33〜39の巻回型アルミニウム電解コンデンサ(以下、簡略化して「コンデンサ」という場合がある)は、比較例7〜8のコンデンサに比べて、ESRが低く、静電容量が大きかった。そして、この表10に示すESR値と前記表9に示すESR値との対比から明らかなように、実施例33〜39のコンデンサは、比較例7〜8のコンデンサに比べて、150℃という高温での貯蔵によるESRの増加が少なく、耐熱性が優れていた。すなわち、150℃で400時間貯蔵後では、実施例33〜39のコンデンサと比較例7〜8のコンデンサのESRの差は、150℃で400時間貯蔵する前よりも大きくなり、実施例33〜39のコンデンサは、比較例7〜8のコンデンサに比べて、耐熱性が優れていた。