【文献】
Daisuke Kobayashi et al., ”A High−Retardation Polymer Film for Viewing Liquid Crystal Displays through Polarized Sunglasses without Chromaticity Change in the Image”, Japanese Journal of Applied Physics, 2011年4月11日, 第50巻, 第4号, p.042501.1−042602.6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の偏光板は、偏光子の両側に偏光子保護フィルムを有する偏光板であって、偏光子保護フィルムの少なくとも1つが配向フィルムであり、偏光子の偏光軸に対する配向フィルムの配向軸又は直
交軸の傾きが1°以上45°未満であることを特徴とする。偏光子の両側に偏光子保護フィルムを有するとは、偏光子の両側に偏光子保護フィルムが積層されていることを意味する。
【0017】
従来の技術常識では、配向フィルムを偏光子保護フィルムとする場合は、輝度や光学歪みの低下を抑制する観点から、偏光子の偏光軸と配向フィルムの配向軸とが平行となるように、偏光子と配向フィルムとが貼り合せられていた。これに対し、本発明の偏光板は、偏光子の偏光軸と配向フィルムの配向軸とが平行ではなく、互いに1°以上45°未満の角度傾くように張り合わせた構造を有する。このような構造を有する偏光板を用いて三次元画像表示用液晶表示装置を作製することにより、当該偏光板の偏光子の偏光軸と偏光フィルタの配向軸とが平行になる角度で配置された偏光フィルタを介して液晶表示画面を観る場合は、従来と実質的に同程度に鮮明な3次元画像を楽しむことが可能であり、且つ、前記角度から外れた角度(例えば、前記角度から90°傾いた角度)で配置された偏光フィルタを介して液晶表示画面を観た場合も三次元画像を楽しむのに十分な輝度が偏光フィルタを透過する。理論によって拘束されるわけではないが、このような効果が得られる原理について本発明者等は以下のように考察する。
【0018】
液晶表示装置からの射出光は、偏光板、特に液晶セルよりも視認側に配置される偏光板の影響により偏光を有する。三次元映像を視認するために偏光フィルタを介して液晶表示画面を観察すると、視認者が装着した偏光フィルタの偏光軸と液晶表示装置から射出する光の偏光軸とが直交する場合、偏光フィルタを透過する光の輝度がゼロとなる。これに対して、本発明の偏光板を用いると液晶表示装置から射出する光が有する偏光に、複屈折性を有する配向性の偏光子保護フィルムの影響により光学的に適度な変換(偏光方向分布の変換)を与えることができる。そのため、視認者が装着した偏光フィルタの偏光軸が液晶セルよりも視認側に配置された偏光子の偏光軸と直交する場合であっても、射出光の偏光軸が偏光フィルタの偏光軸と完全に直交せず、視認可能な画面輝度を確保することができる。このような効果は、偏光子の偏光軸と配向フィルムの配向軸又は直
交軸とが平行である場合は、配向フィルムの光学的変換効果は得られず、偏光子の偏光軸と配向フィルムの配向軸とが1°以上45°未満の角度を有する場合、又は配向フィルムの直
交軸と偏光子の偏光軸とが1°以上45°未満の角度で交差することによって奏される。
【0019】
本発明の偏光板において、偏光子の偏光軸に対する配向フィルムの配向軸又は直
交軸の傾きは1°以上であり、2°以上であることが好ましく、3°以上であることがより好ましく、4°以上であることがさらにより好ましく、5°以上であることがよりさらに好ましく、7°以上であることが特に好ましい。偏光子の偏光軸に対する配向フィルムの配向軸の傾きが上記下限以上であれば、配向フィルムによる光学的変換効果を好適に奏することができる。また、偏光子の偏光軸に対する配向フィルムの直
交軸の傾きが上記下限以上であっても、驚くべきことに同様の効果が奏される。なお、配向フィルムの配向軸の方向は分子配向計により測定することができる。
【0020】
本発明の偏光板を用いて三次元画像表示用液晶表示装置を製造した場合、偏光子の偏光軸に対する配向フィルムの配向軸又は直
交軸の傾きを上記範囲にすることで、偏光フィルタが、その偏光軸が偏光子の偏光軸と直
交するように配置された場合に、当該偏光フィルタを透過する当該液晶表示装置から射出される光が、三次元画像を視認するために十分な輝度を有するようにすることができる。ここで、偏光フィルタを透過する光が、三次元画像を視認するために十分な輝度を有するとは、後述する実施例に示されるように、下記の式で求められる上昇割合(%)が、0.1%以上であること、好ましくは1%以上であること、より好ましくは3%以上であること、更に好ましくは5%以上であることを意味する。
【0021】
上昇割合(%)=[(本発明の直
交時の輝度)−(従来の直
交時の輝度)]/(従来の平行時の輝度)×100
上記の式において、「本発明の直
交時の輝度」とは、本発明の偏光板を視認側の偏光板とする液晶表示装置から射出された光が、当該偏光板の偏光子の偏光軸とその偏光軸とが直
交するように配置された偏光フィルタを透過する輝度である(ここで、「その偏光軸」とは偏光フィルタの偏光軸である)。即ち、「直
交時の輝度」とは、視認側の偏光板の偏光子の偏光軸と偏光フィルタの偏光軸とが直
交するように配置された状態において、当該偏光板から射出した光が、当該偏光フィルタを透過する光の輝度である。
【0022】
「従来の直
交時の輝度」とは、偏光子の偏光軸と配向フィルムの配向軸とが平行するように偏光子と配向フィルムとを張り合わせた構造を有する従来型の偏光板を視認側の偏光板として採用した場合の直交時の輝度である。つまり、従来型の偏光板から射出する光が、当該偏光板の偏光子の偏光軸とその偏光軸とが直
交するように配置された偏光フィルタを透過する光の輝度が「従来の直
交時の輝度」である。
【0023】
「従来の平行時の輝度」とは、従来型の偏光板から射出する光が、当該偏光板の偏光子の偏光軸とその偏光軸とが平行するように配置された偏光フィルタを透過する光の輝度である(「その偏光軸」とは、偏光フィルタの偏光軸である)。
【0024】
偏光子の偏光軸に対する配向フィルムの配向軸又は直
交軸の傾きが大きくなる(45°に近づく)と、正常状態で観察(視認者の装着する偏光フィルタの偏光軸と液晶装置の視認側に配する偏光子の偏光軸とが平行になる状態)した場合の輝度(すなわち正常状態での正面輝度)が低下する。そのため、偏光子の偏光軸に対する配向フィルムの配向軸の傾きは45°未満であることが望ましい。視認者が液晶表示装置を視認する場合は、多くは正常状態での視認となり、横になった体勢(寝転がった状態)での視認頻度は正常状態より少なく、その比率は凡そ8:2〜9:1とされている。そこで、正常状態での正面輝度を実質的に低減させることなく、横になった体勢での輝度がゼロとならないようにするためには偏光子の偏光軸と配向フィルムの配向軸又は直
交軸とが形成する角度は、45°未満であり、40°以下であることが好ましく、30°以下であることがより好ましく、20°以下であることがさらに好ましく、15°以下であることがよりさらに好ましく、10°以下であることがさらにより好ましい。上記傾きの上限を上記のように制御することで、視認態様を勘案した全体の視認性をより好適にバランス化することができる。
【0025】
偏光子の偏光軸に対する配向フィルムの配向軸又は直
交軸の傾きを上記範囲に制御することで、液晶表示装置の偏光子の偏光軸と視認者が通常装着する偏光フィルタの偏光軸とが平行するように当該偏光フィルタが配置された場合に、当該偏光フィルタを透過する当該液晶表示装置から射出された光の輝度は、従来型の偏光板が使用された場合と比較して顕著に低下しないという効果が得られる。ここで、従来型の偏光板が使用された場合と比較して輝度が顕著に低下しないとは、後述する実施例に示されるように、下記の式で求められる保持率(%)が、58%以上であり、好ましくは65%以上であり、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上であり、より更に好ましくは90%以上であることを意味する。
【0026】
保持率(%)=(本発明の平行時の輝度)/(従来型の平行時の輝度)×100
上記の式において、「本発明の平行時の輝度」とは、本発明の偏光板を視認側の偏光板とする液晶表示装置から射出された光が、当該偏光板の偏光子の偏光軸とその偏光軸とが平行するように配置された偏光フィルタを透過する光の輝度である(「その偏光軸」とは、偏光フィルタの偏光軸を意味する)。また、「従来型の平行時の輝度」とは、上記従来型の偏光板を視認側の偏光板とする液晶表示装置から射出された光が、当該偏光板の偏光子の偏光軸とその偏光軸が平行するように配置された偏光フィルタを透過する光の輝度である。
【0027】
好適な一実施形態において、本発明の偏光板は、偏光子保護フィルムの少なくとも1つが3000〜30000nmのリタデーションを有する配向フィルムであることが望ましい。このようなリタデーションを有する配向フィルムを保護フィルムとする偏光板を採用して液晶表示装置を構築することにより、偏光フィルタを介して当該液晶表示装置上に表示された映像を見た際に、画面上に虹斑が生じることを抑制することが可能となる。特に、このような特定のリタデーションを有する配向フィルムを偏光子の保護フィルムとする偏光板を液晶表示装置の少なくとも視認側の偏光板とすることにより、偏光フィルタを介して画面を真正面から視認した場合に、虹斑が生じることを効果的に抑制することができる。
【0028】
リタデーションが3000nm未満では、偏光子保護フィルムとして用いた場合、真正面から画面を観た場合に虹斑が生じ得るだけでなく、斜め方向から観察した時に強い干渉色を呈するため、包絡線形状が光源の発光スペクトルと相違し、良好な視認性を確保することができない場合がある。このような観点から好ましいリタデーションの下限値は4000nm、より好ましい下限値は4500nm、更に好ましい下限値は5000nmである。但し、リタデーションが3000nm以上である場合も、偏光フィルタを介して画面を斜め方向から観察した場合は、虹斑が生じる場合がある。そこで、斜めから画面を観察した場合の虹斑をより効果的に抑制するという観点から、上述するように、本発明の偏光板の保護フィルムとして使用する配向フィルムは、更に特定のRe/Rth比率を満たすことが好ましい。
【0029】
一方、リタデーションの上限は30000nmである。それ以上のリタデーションを有する配向フィルムを用いたとしても更なる視認性の改善効果は実質的に得られないばかりか、フィルムの厚みも相当に厚くなり、工業材料としての取り扱い性が低下するので好ましくない。このような観点から、より好ましいリタデーションの上限値は、25000nmであり、更に好ましくは20000nmであり、より更に好ましくは15000nmである。なお、本発明においてリタデーションは、2軸方向の屈折率と厚みを測定して求めることもできるし、RETS−100(大塚電子株式会社)といった市販の自動複屈折測定装置を用いて測定することもできる。
【0030】
3000〜30000nmのリタデーションを有する配向フィルムは、偏光子の両側の保護フィルムとして用いてもよく、いずれか一方の保護フィルムとして用いてもよい。偏光子の片側のみに3000〜30000nmのリタデーションを有する配向フィルムが用いられる場合、当該フィルムが適用された側が視認側に位置するように液晶表示装置内に配置されることが好ましい。偏光子保護フィルムの一方のみに3000〜30000nmのリタデーションを有する配向フィルムが保護フィルムとして適用される場合、偏光子のもう一方の面にはトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)やアクリルフィルム、ノルボルネン系フィルムに代表されるような無配向または低リタデーションのフィルムを保護フィルムとして用いることができる。
【0031】
また、液晶表示装置には、通常、液晶セルを挟んで2つの偏光板が用いられるところ、本発明の偏光板をその両方の偏光板として用いてもよく、また一方のみの偏光板として用いてもよい。2つの偏光板のいずれか一方のみを本発明の偏光板とする場合は、液晶セルよりも視認側に配置される偏光板として本発明の偏光板を用いることが好ましい。
【0032】
理論によって本発明が拘束されることを意図するものではないが、本発明者等は、虹状の色斑の発生機構及び本発明による虹斑の抑制原理について、次のように考察する。
【0033】
本発明者は虹斑の発生要因を解析したところ、配向フィルムのリタデーションとバックライト光源の発光スペクトルに起因することを見出した。従来、液晶表示装置のバックライト光源としては、冷陰極管や熱陰極管等の蛍光管が用いられる。冷陰極管や熱陰極管等の蛍光灯の分光分布は複数のピークを有する発光スペクトルを示し、これら不連続な発光スペクトルが合わさって白色の光源が得られている。リタデーションを有する配向フィルムを光が透過する場合、波長によって異なる透過光強度を示す。このため、バックライト光源が不連続な発光スペクトルであると、特定の波長のみ強く透過されることになり観察角度によっては虹状の色斑が発生すると考えられる。
【0034】
観察角度により生じる虹斑を好適に解消するためには、特定のバックライト光源と特定のリタデーションを有する配向フィルムとを組み合せて用いることが好ましい。バックライト光源の構成としては、導光板や反射板等を構成部材とするエッジライト方式であっても、直下型方式であっても構わないが、液晶表示装置のバックライト光源として白色発光ダイオード(白色LED)を用いることが好ましい。白色LEDとは、蛍光体方式、すなわち化合物半導体を使用した青色光、もしくは紫外光を発する発光ダイオードと蛍光体を組み合わせることにより白色を発する素子や、有機発光ダイオード(Organic light-emitting diode: OLED)のことである。なかでも、化合物半導体を使用した青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードは、連続的で幅広い発光スペクトルを有しているとともに発光効率にも優れるため、本発明のバックライト光源として好適である。また、有機発光ダイオードも連続的で幅広い発光スペクトルを有するので好適である。ここで、連続的で幅広い発光スペクトルとは、可視光領域において発光スペクトルが連続しており、少なくとも450〜650nmの波長領域において発光スペクトルの強度がゼロになることがなく連続した幅広い発光スペクトルのことである。
【0035】
本発明の液晶表示装置の好適な実施形態では、消費電力の小さい白色LEDを利用するため、省エネルギー化の効果も奏することが可能となる。
【0036】
偏光子の片側に複屈折性を有する配向フィルムを配した場合、偏光子から出射した直線偏光は複屈折体を通過する際に乱れが生じる。透過した光は配向フィルムの複屈折と厚さの積であるリタデーションに特有の干渉色を示す。そのため、光源として冷陰極管や熱陰極管等不連続な発光スペクトルを用いると、波長によって異なる透過光強度を示し、虹状の色斑となる。
【0037】
これに対して、白色発光ダイオードでは、可視光領域において連続的で幅広い発光スペクトルを有する。そのため、複屈折体を透過した透過光による干渉色スペクトルの包絡線形状に着目すると、配向フィルムのレタデーションを制御することで、光源の発光スペクトルと相似なスペクトルを得ることが可能となる。このように、光源の発光スペクトルと複屈折体を透過した透過光による干渉色スペクトルの包絡線形状とが相似形となることで、虹状の色斑が発生せずに、視認性が顕著に改善すると考えられる。
【0038】
以上のように、幅広い発光スペクトルを有する白色発光ダイオードを光源に用い、偏光板として上述する特定のリタデーションを有する配向フィルムを少なくとも一方の保護フィルムとする偏光板を採用すると、比較的簡便な構成のみで透過光のスペクトルの包絡線形状を光源の発光スペクトルに近似させることが可能となる。
【0039】
本発明において、偏光子の保護フィルムとして用いられる配向フィルムの材質は、配向性を有するフィルムを形成することが可能である限り特に制限されるものではなく任意である。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、シクロオレフィンポリマー等が例示される。中でも、透明性、耐熱性及び機械的強度に優れているという観点から、ポリカーボネート樹脂又はポリエステル樹脂が好ましい。
【0040】
ポリカーボネート樹脂とは炭酸とグリコール又は2価フェノールとのポリエステルである。本発明においては、炭酸と2、2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(通称ビスフェノール−A)とを構造単位とする芳香族ポリカーボネートだけではなく、例えば1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、1,1−ビス(3−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、1、1−ビス(3,5−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類からなる群から選択される少なくとも1種の2価フェノールをモノマー成分とするホモまたは共重合ポリカーボネート、上記2価フェノールとビスフェノールAをモノマー成分とするポリカーボネートとの混合物、上記2価フェノールとビスフェノールAとをモノマー成分とする共重合ポリカーボネート等を使用することができる。
【0041】
ポリカーボネートフィルムは、公知の手法に従って製造することができるが、例えば次のような手順で製造することができる。ポリカーボネートを溶融し、シート状に押し出し成型した無配向のシートをガラス転移温度以上の温度において一方向(必要によっては二方向)に延伸して、配向フィルムを得ることができる。無配向のポリカーボネートシートは市販のものや溶液製膜によって作製したものも好適に用いることができる。
【0042】
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とグリコール成分との重縮合反応により得られる。ジカルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。本発明では強度や透明性等の点からポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートが好適であり、中でもポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。ポリエステルには他の共重合成分を含んでも構わないが、機械強度の点からは共重合成分は少なくことが好ましく、好ましくは3モル%以下、より好ましくは2モル%以下、さらに好ましくは1.5モル%以下である。
【0043】
ポリエステルフィルムの製造方法として最も一般的な製造方法は、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸した後、テンターにより横方向に延伸し、熱処理を施す方法が挙げられる。
【0044】
本発明の配向フィルム(例えば、ポリエステルフィルムやポリカーボネートフィルム)は、上述する本発明の効果を奏する限り、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもかまわない。
【0045】
この虹斑の発生は、二軸延伸フィルムが、走行方向、幅方向、厚さ方向で異なる屈折率を有する屈折率楕円体からなり、フィルム内部での光の透過方向によりリタデーションがゼロになる(屈折率楕円体が真円に見える)方向が存在するためである。従って、液晶表示画面を斜め方向の特定の方向から観察すると、リタデーションがゼロになる点を生じる場合があり、その点を中心として虹状の色斑が同心円状に生じることとなる。そして、フィルム面の真上(法線方向)から虹状の色斑が見える位置までの角度をθとすると、この角度θは、フィルム面内の複屈折が大きいほど大きくなり、虹状の色斑は見え難くなる。二軸延伸フィルムでは角度θが小さくなる傾向があるため、一軸延伸フィルムのほうが虹状の色斑は見え難くなり好ましい。
【0046】
しかしながら、完全な1軸性(1軸対称)フィルムでは配向方向と直
交する方向の機械的強度が著しく低下するので好ましくない。本発明は、実質的に虹状の色斑を生じない範囲、または液晶表示画面に求められる視野角範囲において虹状の色斑を生じない範囲で、2軸性(2軸対象性)を有していることが好ましい。
【0047】
この虹状の色斑の見え難さは、リタデーション(面内リタデーション)と厚さ方向リタデーション(Rth)との差を指標として判断することができる。この厚さ方向の位相差は、フィルムの厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz、△Nyzにそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られる位相差の平均を意味する。面内リタデーションと厚さ方向リタデーションの差が小さいほど、観察角度による複屈折の作用は等方性を増すため、観察角度によるリタデーションの変化が小さくなる。そのため、観察角度による虹状の色斑が発生し難くなると考えられる。
【0048】
本発明の配向フィルムのリタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上である。上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が大きいほど、複屈折の作用は等方性を増し、観察角度による虹状の色斑の発生が生じ難くなる。そして、完全な1軸性(1軸対称)フィルムでは上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)は2.0となる。
【0049】
一方、本発明の配向フィルムのリタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)は、好ましくは1.2以下、より好ましくは1以下である。観察角度による虹状の色斑発生を完全に抑制するためには、上記リタデーションと厚さ方向位相差の比(Re/Rth)が2.0である必要は無く、1.2以下で十分である。また、上記比率が1以下であっても、液晶表示装置に求められる視野角特性(左右180度、上下120度程度)を満足することは十分可能である。更に、配向フィルムのリタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)が1.2を超えると、フィルムの耐久性が低下し、フィルムが裂け易く、破れ易くなる恐れがあるため、好ましくない。フィルムの裂けにくさ、破れにくさの観点から、本発明の偏光板に使用する配向フィルムは、100mN以上の引裂き強度を有することが好ましい。尚、引裂き強度は、後述する実施例に示す方法によって測定することができる。
【0050】
上記のように、配向フィルムのリタデーションを特定範囲に制御することは、延伸倍率や延伸温度、フィルムの厚みを適宜設定することにより実施することができる。例えば、延伸倍率が高いほど、延伸温度が低いほど、フィルムの厚みが厚いほど高いリタデーションを得やすくなる。逆に、延伸倍率が低いほど、延伸温度が高いほど、フィルムの厚みが薄いほど低いリタデーションを得やすくなる。但し、フィルムの厚みを厚くすると、厚さ方向位相差が大きくなる傾向があるため、フィルム厚みは後述の範囲に適宜設定することが望ましい。また、リタデーションの制御に加えて、加工に必要な物性等を勘案して最終的な製膜条件を設定する必要がある。
【0051】
また、リタデーションを上記範囲に制御するためには、配向フィルムの縦延伸倍率と横延伸倍率の比率を制御することが好ましい。縦横の延伸倍率の差が小さすぎるとリタデーション差をつけることが難しくなり好ましくない。具体的には、横延伸倍率に対して縦延伸倍率は、1.0〜3.5倍が好ましく、特に好ましくは1.0倍〜3.0倍である。横延伸倍率は2.5〜6.0倍が好ましく、特に好ましくは3.0〜5.5倍である。また、延伸温度を低く設定することもリタデーションを高くする上では好ましい対応である。縦延伸温度及び横延伸温度は80〜130℃が好ましく、より好ましくは90〜120℃である。続く熱処理においては、処理温度は100〜250℃が好ましく、より好ましくは180〜245℃である。
【0052】
本発明の配向フィルムの厚みは任意であるが、15〜200μmの範囲が好ましい。15μmを下回る厚みのフィルムでも、原理的には3000nm以上のリタデーションを得ることは可能である。しかし、その場合にはフィルムの力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じやすくなり、工業材料としての実用性が著しく低下する。特に好ましい厚みの下限は25μmである。一方、偏光子保護フィルムとしての実用性の観点からは厚みの上限は200μmである。200μmを超えると偏光板の厚みが厚くなりすぎてしまい好ましくない。特に好ましい厚みの上限は一般的なTACフィルムと同等程度の100μmである。
【0053】
リタデーションの変動(ばらつき)を抑制する為には、フィルムの厚み斑が小さいことが好ましい。延伸温度、延伸倍率はフィルムの厚み斑に大きな影響を与えることから、厚み斑の観点からも製膜条件の最適化を行う必要がある。特にリタデーション差をつけるために縦延伸倍率を低くすると、縦厚み斑が顕著になることがある。縦厚み斑は延伸倍率のある特定の範囲で非常に悪くなる領域があることから、この範囲を外したところで製膜条件を設定することが望ましい。
【0054】
本発明のフィルムの厚み斑は5.0%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましく、4.0%以下であることがよりさらに好ましく、3.0%以下であることが特に好ましい。尚、フィルムの厚み斑は、次のようにして測定することができる。テープ状のフィルムサンプル(3m)を採取し、(株)セイコー・イーエム製電子マイクロメータ、ミリトロン1240を用いて、1cmピッチで100点の厚みを測定する。測定値から厚みの最大値(dmax)、最小値(dmin)、及び平均値(d)を求め、下記式にて厚み斑(%)を算出する。測定は3回行い、その平均値を求めることが好ましい。
厚み斑(%)=((dmax-dmin)/d)×100
【0055】
配向フィルムは、偏光子に用いられるヨウ素色素等の光学機能性色素の劣化を抑制することを目的として、波長380nmの光線透過率が20%以下であることが望ましい。380nmの光線透過率は15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。前記光線透過率が20%以下であれば、光学機能性色素の紫外線による変質を抑制することができる。なお、本発明における光の透過率は、フィルムの平面に対して垂直方法に測定したものであり、分光光度計(例えば、日立U−3500型)を用いて測定することができる。
【0056】
本発明に使用される配向フィルムの波長380nmの光の透過率を20%以下にするためには、紫外線吸収剤の種類、濃度、及びフィルムの厚みを適宜調節することが望ましい。本発明で使用される紫外線吸収剤は公知の物質である。紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が挙げられるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、環状イミノエステル系化合物等、及びこれらの組み合わせが挙げられる。耐久性の観点からはベンゾトリアゾール系化合物、環状イミノエステル系化合物が特に好ましい。2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、より紫外線吸収効果を改善することができる。
【0057】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤としては例えば2−[2'−ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシメチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2' −ヒドロキシ−5' −(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,2'−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール等が挙げられる。環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては例えば2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン等が挙げられる。しかし特にこれらに限定されるものではない。
【0058】
また、紫外線吸収剤以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、触媒以外に各種の添加剤を含有させることも好ましい様態である。添加剤として、例えば、無機粒子、耐熱性高分子粒子、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、帯電防止剤、耐光剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、ゲル化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。また、高い透明性を維持するという観点から配向フィルムに実質的に粒子を含有しないことも好ましい。「粒子を実質的に含有させない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。
【0059】
配向フィルムへの紫外線吸収剤の配合は、公知の方法を適宜選択して実施することが可能である。例えば、予め混練押出機を用い、乾燥させた紫外線吸収剤とポリマー原料とをブレンドしマスターバッチを作製しておき、フィルム製膜時に所定の該マスターバッチとポリマー原料を混合する方法等によって配合することができる。
【0060】
この時マスターバッチの紫外線吸収剤濃度は、紫外線吸収剤を均一に分散させ、且つ経済的に配合するために5〜30質量%の濃度にすることが好ましい。マスターバッチを作製する条件としては混練押出機を用い、押し出し温度はポリエステル原料の融点以上、290℃以下の温度で1〜15分間で押し出すことが好ましい。290℃以上では紫外線吸収剤の減量が大きく、また、マスターバッチの粘度低下が大きくなる。押し出し温度1分以下では紫外線吸収剤の均一な混合が困難となる。この時、必要に応じて安定剤、色調調整剤、帯電防止剤を添加しても良い。
【0061】
本発明において配向フィルムは、少なくとも3層以上の多層構造とし、フィルムの中間層に紫外線吸収剤を添加することが好ましい。中間層に紫外線吸収剤を含む3層構造のフィルムは、具体的には次のように作製することができる。外層用としてポリエステルのペレット単独、中間層用として紫外線吸収剤を含有したマスターバッチとポリエステルのペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、2台以上の押出機、3層のマニホールドまたは合流ブロック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて、両外層を構成するフィルム層、中間層を構成するフィルム層を積層し、口金から3層のシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。なお、本発明では、光学欠点の原因となる、原料のポリエステル中に含まれている異物を除去するため、溶融押し出しの際に高精度濾過を行うことが好ましい。溶融樹脂の高精度濾過に用いる濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超えると、20μm以上の異物の除去が不十分となりやすい。
【0062】
本発明で使用される配向フィルムには、偏光子との接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施すことも可能である。
【0063】
本発明の偏光板に用いられる偏光子としては、当該技術分野において一般的に知られる偏光子を特に制限なく使用することが可能であり、例えばポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素等の二色性材料を含むものが挙げられる。本発明に使用される偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や二色性材料を染色・吸着させ、ホウ酸水溶液中で一軸延伸し、延伸状態を保ったまま洗浄・乾燥を行うことによって得ることができる。一軸延伸の延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。ポリビニルアルコール系フィルムとしてはポリビニルアルコールが好適であり、「クラレビニロン」[(株)クラレ製]、「トーセロビニロン」[東セロ(株)製]、「日合ビニロン」[日本合成化学(株)製]等の市販品を利用することができる。二色性材料としてはヨウ素、ジスアゾ化合物、ポリメチン染料等が挙げられる。偏光子の偏光軸方向は、一軸延伸の場合はその延伸方向であり、簡略的に他の偏光板とのクロスニコル試験によって測定することができる。
【0064】
本発明において、偏光子保護フィルムである配向フィルムは、直接又は接着剤層を介して偏光子に張り合わせられる。配向フィルムと偏光子との接着性及び耐久性の向上という観点からは、接着剤層を介して配向フィルムと偏光子を接着させることが好ましい。接着剤層の成分は、配向フィルムを構成する樹脂成分及び偏光子を構成する樹脂成分を考慮して、適宜選択することが可能であるが、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とする易接着層を有することが好ましい。ここで、「主成分」とは易接着層を構成する固形成分のうち50質量%以上である成分をいう。本発明の易接着層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂の内、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、ポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
【0065】
接着剤の主成分としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコールのほか、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基変性ポリビニルアルコール、メチロール基変性ポリビニルアルコール、アミノ基変性ポリビニルアルコールのような、変性されたポリビニルアルコール系樹脂を用いてもよい。接着剤中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、1〜10質量%が好ましく、2〜7質量%がより好ましい。
【0066】
接着剤層の厚みは10μmm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下がさらに好ましい。
【0067】
易接着層は、例えば、前記塗布液を未延伸シートもしくは一軸延伸フィルムの片面または両面に塗布した後、100〜150℃で乾燥し、さらに横方向に延伸して得ることができる。最終的な易接着層の塗布量は、0.05〜0.20g/m
2に管理することが好ましい。塗布量が0.05g/m
2未満であると、得られる偏光子との接着性が不十分となる場合がある。一方、塗布量が0.20g/m
2を超えると、耐ブロッキング性が低下する場合がある。配向フィルムの両面に易接着層を設ける場合は、両面の易接着層の塗布量は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して上記範囲内で設定することができる。
【0068】
易接着層には易滑性を付与するために粒子を添加することが好ましい。微粒子の平均粒径は2μm以下の粒子を用いることが好ましい。粒子の平均粒径が2μmを超えると、粒子が被覆層から脱落しやすくなる。易接着層に含有させる粒子としては、本例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレー等或いはこれらの混合物であり、更に、他の一般的無機粒子、例えばリン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウムその他と併用、等の無機粒子や、スチレン系、アクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、シリコーン系等の有機ポリマー系粒子等が挙げられる。
【0069】
塗布液を塗布する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法等が挙げられ、これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
【0070】
なお、上記の粒子の平均粒径の測定は下記方法により行うことができる。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
【0071】
本発明の偏光板は、偏光板の写り込み防止やギラツキ抑制、キズ抑制等を目的として、種々のハードコートを表面に塗布することも可能である。
【0072】
本発明の液晶表示装置は、通常、少なくともバックライト光源と、2つの偏光板の間に配置された液晶セルを構成要素として含み、必要に応じてハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム、カラーフィルタ、レンズシート、拡散シート、拡散板、導光板等の各種の光学機能フィルムを有する。本発明の液晶表示装置は、その偏光板の少なくとも一つに本発明の偏光板が用いられた液晶表示装置である。液晶表示装置からの射出光の偏光状態を上述するように制御するためには、好ましくは液晶セルの視認側に配される偏光板に、本発明の偏光板を採用することが好ましい。当該偏光板の偏光子の両側に設けられる保護配向フィルムは、その両方の配向軸又は直
交軸が当該偏光子の偏光軸と1°以上45°未満の角度をなすように偏光子に張り合わせられることができる。当該視認側に配置される偏光子に入射する光量をより多くするという観点から、当該偏光子の視認側の保護フィルムのみを、その配向軸と偏光子の偏光軸又は直
交軸とのなす角度が1°以上45°未満となるように偏光子に張り合わせられることが好ましい。換言すれば、液晶セルよりも視認側に配置される偏光子のバックライト側に位置する保護フィルムである配向フィルムは、その配向軸又は直
交軸と偏光子の偏光軸とが平行するように偏光子に接着されることが好ましい。バックライト光源側に配される偏光板に偏光子と配向フィルムからなる偏光板を採用する場合は、液晶セルへ入射する光量を多くするという観点から、当該偏光子の偏光軸と配向フィルムの配向軸又は直
交軸の傾きは10°以下が好ましく、7°以下がより好ましく、5°以下がさらに好ましく、最も好ましくは0°である。
【0073】
本発明の液晶表示装置は偏光フィルタを介して三次元画像が視認される三次元表示対応であることが好ましい。本発明の液晶表示装置は三次元表示方式に対応した液晶セルおよびその制御装置から構成されることが望ましい。三次元画像を提供する方式は、特に制限されないが、例えば、偏光フィルタ方式とアクティブシャッター方式が挙げられる。これらはいずれも偏光フィルタを有する専用メガネを装着して三次元画像を視認する方式である。前者は左右で直交する配向軸を有する偏光フィルタ、または左右で回転方向が異なる円偏光フィルタからなる専用メガネ(パッシブ方式)を採用し、後者は画像の切り替えに同期して開閉する偏光フィルタを有する専用メガネ(アクティブ方式)を採用する。本発明の偏光板を採用する三次元表示対応用液晶表示装置は、より好適にはアクティブ方式である。パッシブ方式の場合は、液晶表示装置から左目用と右目用の画像を直交する2つの偏光で同時に提示するため、本発明の偏光板を用いるとクリアな偏光選択による先鋭な立体像が得にくい場合がある。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって制限を受けるものではない。実施例は、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することが可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。実施例おいて実施した物性の評価方法は以下の通りである。
【0075】
(1)リタデーション(Re)
リタデーション(Re)とは、フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|Nx−Ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性、異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は、以下の方法により求めた。二枚の偏光板を用いて、配向フィルムの配向軸方向を求め、配向軸方向が直交するように4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(Nx,Ny)、及び厚さ方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T)によって求め、前記二軸の屈折率差の絶対値(|Nx−Ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)とフィルムの厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、リタデーション(Re)を求めた。
【0076】
(2)厚さ方向リタデーション(Rth)
厚さ方向リタデーション(Rth)とは、フィルム厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz(=|Nx−Nz|)及び△Nyz(=|Ny−Nz|)にそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られるリタデーションの平均を示すパラメーターである。上記リタデーション(Re)の測定と同様の方法でNx、Ny、Nzとフィルム厚みd(nm)を求め、(△Nxz×d)及び(△Nyz×d)の平均値を算出して厚さ方向リタデーション(Rth)を求めた。
【0077】
(3)波長380nmにおける光線透過率
分光光度計(日立製作所製、U−3500型)を用い、空気層を標準として波長300〜500nm領域の光線透過率を測定し、波長380nmにおける光線透過率を求めた。
【0078】
(4)虹斑の評価
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に後述する方法で作製した配向フィルムを貼り付け、偏光子の他方の側面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板を作成した。当該配向フィルムは、その配向軸と偏光子の偏光軸とがなす角が、約5°になるように偏光子に貼り付けられた。得られた偏光板を、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色LED(フィルムIの場合は、冷陰極管)を光源(日亜化学、NSPW500CS)とする液晶表示装置(液晶セルの入射光側に2枚のTACフィルムを偏光子保護フィルムとする偏光板を有する)の出射光側に、配向フィルムが出射光側に位置するように設置した。つまり、TACフィルムが光源側である。そして、液晶表示装置の偏光板の正面、及び斜め(0°〜90°)方向から偏光フィルタを介して目視観察し、虹斑の発生有無について、以下のように判定した。
【0079】
◎: いずれの方向からも虹斑の発生を認めない。
○: 斜め方向から観察した時に、一部に極薄い虹斑が観察される。
×: 斜め方向から観察した時に、明確な虹斑が観察される。
【0080】
(引裂き強度)
東洋精機製作所製エレメンドルフ引裂試験機を用いて、JIS P−8116に従い、各フィルムの引裂き強度を測定した。引裂き方向はフィルムの配向軸方向と平行となるように行った。配向軸方向の測定は分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)で測定した。
【0081】
(5)画面輝度の測定
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に後述する方法で作製した各配向フィルムを貼り付け、その反対の面にTACフィルム(富士フイルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板を作成した。ここで、配向フィルムは、その配向軸と偏光子の偏光軸とがなす角が0°、1°、3°、5°、7°、10°、15°、20°、30°又は45°、或いは配向フィルムの直
交軸と偏光子の偏光軸とが成す角度が0°、1°、3°、5°、7°、10°、15°、20°、30°又は45°となるように偏光子に貼り付けられた。配向フィルムの配向軸は分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計)で測定した。
【0082】
得られた偏光板をそれぞれ、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色LEDを光源(日亜化学、NSPW500CS)とする液晶表示装置(液晶セルの入射光側に2枚のTACフィルムを偏光子保護フィルムとする偏光板を有する)の出射光側に、配向フィルムが視認側になるように設置した。
【0083】
この液晶表示装置の上に市販の偏光フィルタ(美館イメージング製 直線偏光板SHLP44)を配置した。偏光フィルタの偏光軸方向が、視認側の偏光子の偏光軸と平行になる場合(正面状態)と垂直になる場合(横状態)について、偏光フィルタを透過する光の輝度を測定した。輝度測定にはRISA−COLOR/ONE−II(ハイランド社製)を用いた。上述のように作成した液晶表示装置を水平に設置し、パネルの中央部に131×131mmの大きさで白の画像(Nokia monitor test for windows V 1.0(Nokia 社製)のFarbeモード)を表示した。CCDカメラとディスプレイ間の距離を垂直状態で1mとして測定を行った。輝度は上記の白の画像を5×5の25個に分割し、その中心部の3×3の9個の部分の全ピクセルの輝度を測定してその平均値で表示した。
【0084】
測定された輝度は、以下に従って評価した。
(正面状態の輝度)
正面状態の輝度(平行時の輝度)は、偏光子の偏光軸に対する配向フィルムの配向軸の傾きが0°(即ち、平行)である場合の輝度と比較した、各傾きでの輝度の保持率を下記の式に従って求め、その結果について下記の4段階で評価した。
保持率=(各傾きにおける輝度)/(0°における輝度)×100
◎:保持率が90%以上である。
○:保持率が80%以上90%未満である。
△:保持率が58%以上80%未満である。
×:保持率が58%未満である。
【0085】
(横状態の輝度)
横状態の輝度(直
交時の輝度)は、偏光子の偏光軸に対する配向フィルムの配向軸の傾きが0°(即ち平行)である場合の輝度と比較した、各傾きでの輝度の上昇率を、下記の式に従って求め、その結果について下記の4段階で評価した。
上昇率=(各傾きにおける横状態での輝度−0°における横状態での輝度)/(0°における正面状態の輝度)×100
◎:上昇率が3%以上である。
○:上昇率が1%以上3%未満である。
△:上昇率が0.1%以上1%未満である。
×:上昇率が0%
(総合評価) 各傾における正面状態の輝度に関する評価と横状態の輝度に関する評価を比較し、低い方の評価をその傾きの総合評価として採用した。
【0086】
(製造例1−ポリエステルA)
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部およびエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
【0087】
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルタで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度は0.62dl/gであり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。(以後、PET(A)と略す。)
【0088】
(製造例2−ポリエステルB)
乾燥させた紫外線吸収剤(2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(4H−3,1−ベンズオキサジノン−4−オン)10質量部、粒子を含有しないPET(A)(固有粘度が0.62dl/g)90質量部を混合し、混練押出機を用い、紫外線吸収剤含有するポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。(以後、PET(B)と略す。)
【0089】
(製造例3−接着性改質塗布液の調整)
常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%および5−スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%およびネオペンチルグリコール50モル%の組成の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n−ブチルセルソルブ5質量部、ノニオン系界面活性剤0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5質量部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。さらに、凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)3質量部を水50質量部に分散させた後、上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46質量部にサイリシア310の水分散液0.54質量部を加えて、撹拌しながら水20質量部を加えて、接着性改質塗布液を得た。
【0090】
(フィルムA)
基材フィルム中間層用原料として粒子を含有しないPET(A)樹脂ペレット90質量部と紫外線吸収剤を含有したPET(B)樹脂ペレット10質量部を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(中間層II層用)に供給し、また、PET(A)を常法により乾燥して押出機1(外層I層および外層III用)に供給し、285℃で溶解した。この2種のポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、2種3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、I層、II層、III層の厚さの比は10:80:10となるように各押し出し機の吐出量を調整した。
【0091】
次いで、リバースロール法によりこの未延伸PETフィルムの両面に乾燥後の塗布量が0.08g/m
2になるように、上記接着性改質塗布液を塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。
【0092】
この塗布層を形成した未延伸フィルムをテンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、さらに幅方向に3%の緩和処理を行い、フィルム厚み約50μmの一軸配向PETフィルムAを得た。
【0093】
(フィルムB)
未延伸フィルムの厚みを変更することにより、フィルムの厚みを約100μmとする以外は、フィルムAと同様にして一軸配向PETフィルムBを得た。
【0094】
(フィルムC)
未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に1.5倍延伸した後、フィルムAと同様の方法で幅方向に4.0倍延伸した以外はフィルムAと同様にして、フィルム厚み約50μmの二軸配向PETフィルムCを得た。
【0095】
(フィルムD)
走行方向に2.0倍、幅方向に4.0倍延伸した以外はフィルムCと同様にして、フィルム厚み約50μmの二軸配向PETフィルムDを得た。
【0096】
(フィルムE)
走行方向に3.3倍、幅方向に4.0倍延伸した以外はフィルムEと同様にして、フィルム厚み約75μmの二軸配向PETフィルムEを得た。
【0097】
(フィルムF)
中間層に紫外線吸収剤を含有するPET樹脂(B)を用いなかった以外はフィルムAと同様にして、フィルム厚み50μmの一軸配向PETフィルムを得た。
【0098】
(フィルムG)
走行方向に3.6倍、幅方向に4.0倍延伸した以外はフィルムCと同様にして、フィルム厚み約38μmの二軸配向PETフィルムGを得た。
【0099】
(フィルムH)
未延伸フィルムの厚みを変更した以外はフィルムAと同様にして、厚み約10μmの一軸配向PETフィルムHを得た。
【0100】
(フィルムI)
フィルム自体は、フィルムAと同一であるが、光源を白色発光ダイオードではなく、冷陰極管として虹斑を評価した。
【0101】
(フィルムJ)
ホスゲンとビスフェノールAから製造したポリカーボネート樹脂を常法により押出機にそれぞれ供給し、290℃で溶解した。これをステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。次いでフィルムAと同様の方法で、塗布層を形成した後、未延伸フィルムをテンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度155℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍に延伸した。次に、フィルムAと同様の方法で熱固定、弛緩処理を行い、フィルム厚み約70μmの一軸配向ポリカーボネートフィルムを得た。
【0102】
(フィルムK)
走行方向に3.6倍、幅方向に4.0倍延伸した以外はフィルムCと同様にして、フィルム厚み約188μmの二軸配向PETフィルムKを得た。
【0103】
(フィルムL)
走行方向に4.0倍、幅方向に1.0倍延伸した以外はフィルムCと同様にして、フィルム厚み約100μmの一軸配向PETフィルムKを得た。
【0104】
(フィルムM)
走行方向の延伸倍率を3.6倍に延伸した以外はフィルムLと同様の方法で一軸配向PETフィルムMを得た。
【0105】
得られたフィルムの特性及び虹斑観察の結果を表1に示す。
【0106】
【表1】
【0107】
表1に示される結果から、フィルムA、B、F、J、L及びMでは、虹斑は全く見られなかった。フィルムC〜Eでは、一部に極僅かな虹斑が見られた。フィルムG〜I及びKでは、明確な虹斑が観察された。フィルムAとIの結果を比較することにより、一定のリタデーションを有するは配向フィルムを保護フィルムとして有する偏光板を採用し、光源として白色発光ダイオードを採用することにより、虹斑の発生が抑制効果が奏されることが明らかとなった。また、フィルムKで、虹斑が観察されたことから、Reが3000nm以上であっても、Re/Rthの値が0.2未満であると、虹斑の発生を抑制することができないことが分かる。更に、フィルムLは、引裂き強度が25mNと不十分であることから、Re/Rthの値が1.2を超えると引裂き強度が顕著に低下することが分かる。
【0108】
フィルムA〜H及びJ〜Mを用いて作製した偏光板に関して測定した画面輝度の結果を表2及び表3に示す。表2に示される結果から、偏光子の偏光軸に対する配向軸の傾きが45°では、正面状態でも横上状態においても同程度の輝度を有するが、正面状態の輝度が0°のときと比較して半分程度となり、特に高輝度が要求される3次元表示対応液晶表示装置には適さないことが判明した。また、表3の結果から、偏光子の偏光軸に対する直
交軸の傾きとの関係でも同様の結果が得られることが確認された。
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】