(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記電池寿命が尽きる時期よりも一定期間前以降に、電池交換を知らせるための警告表示をさせることを特徴とする請求項1または2に記載の自動販売機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の自動販売機では、適切な蓄電池の管理がなされておらず、自動販売機の管理人(以下、ルートマンという)の知らない間に蓄電池の寿命が尽きてしまい、災害などの発生により、商用電源が停電した場合に、自動販売機が機能しないというおそれがあった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、電池を適切に管理することができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の自動販売機は、制御部と、非常用電源としての電池と、表示部
を備え、前記制御部は、
前記電池の寿命を予測する寿命予測手段と、バックアップ電源と、前記バックアップ電源と接続された時計部を備え、前記寿命予測手段により算出された電池寿命の情報を前記表示部に表示させる自動販売機であって、前記電池は、商品を低温状態で収納する低温収納部に配設され
、自動販売機が稼働中は低温状態で温度管理されており、
前記時計部は、商用電源が供給されて当該自動販売機が稼働している稼働時間と、商用電源の供給が停止して当該自動販売機が停止している停止時間を計算し、前記寿命予測手段は、
前記稼働時間と、前記停止時間に補正を加えた停止補正後時間と、前記電池を常に
前記低温収納部の低温状態で温度管理した場合における温度管理寿命から
、前記電池の残り寿命
を算出することを特徴とする。
【0007】
また、前記表示部は、自動販売機の設定及び操作を行うリモートコントローラに設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、前記制御部は、前記電池寿命が尽きる時期よりも一定期間前以降に、電池交換を知らせるための警告表示をさせることを特徴とする。
【0011】
また、前記電池は、充電可能な蓄電池であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記構成によれば、ルートマンなどが表示部に表示された電池寿命情報を見て認識することが可能となり、電池寿命を良好に管理することができる。
【0013】
また、電池寿命の情報をリモートコントローラ(以下、リモコンという)の表示部に表示することにより、他の箇所に表示部を設けて表示する場合よりも、電池寿命情報を見落とす可能性を最小限に抑えることができる。
【0014】
つまり、非常用電源としての前記蓄電池などの電池を備えた従来の自動販売機では、非常時に前記蓄電池などの電池を用いて自動販売機を駆動させる無停電電源装置などの非常用電源システムがオプション装置として、例えば、庫外空間の一部や自動販売機の外部などに配設されていることが多い。
【0015】
したがって、このように非常用電源システムをオプション装置として設けられた自動販売機において、前記非常用電源システムが自身の表示部に使用時間などからの電池寿命の情報を表示させるよう構成されていたとしても、見難い場所や、通常視認しない場所に非常用電源システムが配置されるため、電池寿命情報を見落とす可能性が高い。
【0016】
これに対して、電池寿命を自動販売機の外扉の前面部に設けた投入金額表示部やリモコンなどに表示させることで視認性を高めることができる。特に、ルートマンは商品補充時やメンテナンス時にリモコンの表示部を視認するため、電池寿命をリモコンの表示部に表示させることにより、電池寿命情報をより確実に認識して、管理することができる。
【0017】
また、電池寿命が尽きる時期よりも一定期間前以降に、電池交換を知らせるための警告表示をさせることによって、電池寿命情報の見落としを防止することができる。例えば、リモコンの起動画面やメニュー画面にこのような警告表示をすると、ルートマンなどは、リモコンの表示部を見た時点で電池寿命が近づいていることがわかる。そのため、より効果的に電池寿命情報の見落としを防止することができる。
【0018】
また、電池を低温収納部に配設することにより、電池を長寿命化することができる。なぜならば、電池の寿命は、主に電池を配置する場所の温度に依存し、その温度が10℃上がると電池の劣化速度は約2倍になると考えられているからである。さらに、電池を略一定温度で管理することになるため、電池寿命のバラツキが少なくなり、安定した寿命予測をすることができる。
【0019】
また、制御部はバックアップ電源と接続された時計部を搭載することにより、時計部から電池が温度管理される稼働時間を算出し、停電があった場合やメンテナンス等で電源が切られた場合は、その時計部から、電池が温度管理されない停止時間を計算することができる。
【0020】
そして、寿命予測手段は、電池を常に一定温度で管理した温度管理寿命から、稼働時間と、停止時間に補正を加えた停止補正後時間とを差し引いた値を電池の残り寿命として算出することより、適切な温度管理寿命及び停止時間の補正値を設定すれば、稼働時間と停止時間の情報により、容易かつ安価に安定した寿命予測をすることができる。
【0021】
一般的に、正確に電池の寿命予測を行う場合、電池の充放電量を検出する回路や、蓄電池の温度推移履歴を検出する回路が必要である。本発明では電池を自己放電が少ない低温の略一定温度で管理するため、これらの回路を用いることなく安定した寿命予測をすることができ、結果的に容易かつ安価に電池の寿命予測をすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係る自動販売機を、図面に基づき説明する。なお、ここで示す実施の形態はあくまでも一例であって、必ずしもこの実施の形態に限定されるものではない。
【0024】
図1〜
図3に示すように、本発明の実施の形態に係る自動販売機1は、外扉(前面扉)2が開閉自在に支持されている自動販売機本体3の内部(この実施の形態では中央部から上部)に、断熱構造の商品収納庫4が設けられ、商品収納庫4の前面開口部は断熱性を有する内扉5によって開閉可能とされている。なお、
図1における20は外扉2の料金投入口近傍箇所に設けられて、投入金額などが表示される投入金額表示部である。
【0025】
図2に示すように、商品収納庫4の内部(いわゆる庫内)は、断熱性を有する仕切壁18によって、自動販売機本体3の幅方向(横方向)に対して互いに断熱的に区画された複数(本実施の形態では3つ)の収納部に分けられている。これらの収納部として、冷却状態と加温状態とに切換可能な2つの冷温収納部7、8と、冷却専用の1つの低温収納部9とが設けられている(詳しくは、正面から見て左から1、2列目が冷温収納部7であり、左から3列目が冷温収納部8であり、左から4〜6列目が低温収納部9である)。
【0026】
なお、
図3などにおけるSは商品で、冷温収納部7、8に収納された商品Sは冷却状態または加温状態で販売され、低温収納部9に収納された商品Sは常に冷却状態(低温状態、本実施の形態では約4℃)で販売される。なお、加温商品は冬季や秋季などの寒い季節だけ販売される一方、冷却商品は一年中販売されて販売数が多いため、
図2に示すように、低温収納部9は各冷温収納部7、8よりも大きい容積で形成されている。
【0027】
商品収納庫4(すなわち、冷温収納部7、8や低温収納部9)の内部には、冷凍サイク
ルの蒸発器(または熱交換器)11やヒータ(図示せず)、送風機12などの冷却加温装
置や冷却装置が配設され、これらにより内部空気が冷却または加温されることで、商品S
が間接的に冷却または加温される。
【0028】
これにより、冷却商品や加温商品などの調温された商品Sを当該自動販売機1で販売するよう構成されている。なお、低温収納部9は冷却専用のため、ヒータなどの加温装置は内部に配設されていない。
【0029】
また、
図2、
図3における13は、自動販売機本体3の下部(自動販売機本体3における商品収納庫4の下方)に配設されており、外気が自由に流通する庫外(庫外空間)である。この庫外(庫外空間)13には、冷凍サイクルの凝縮器(または庫外熱交換器)14や圧縮機15、送風機16などが配設されている。
【0030】
なお、商品収納庫4(冷温収納部7、8や低温収納部9)内の空気を介して商品Sを間接的に調温(冷却・加温)する冷却装置および加温装置からなる調温装置29(
図4参照)は、前記冷凍サイクルで両者とも構成したり、これに代えて、前記冷凍サイクルで冷却装置を構成し、ヒータにより加温装置を構成したりすればよいが、これに限るものではない。
【0031】
商品収納庫4(冷温収納部7、8や低温収納部9)の上部から中央部にかけては、商品Sを蛇行状に積み上げるなどして商品Sを収納し、順次下方に搬送する商品搬送路21が前後および左右に複数列配設されてなる商品収納部(いわゆる商品ストッカ)22が設けられている。
【0032】
商品収納部22の上前端部(商品搬送路21の上前端部でもある)には、補充開口部6が設けられ、また、最前列以外の商品搬送路21には、補充開口部6から奥側に続いて斜め下方に傾斜する傾斜導入路21aが設けられ、さらに傾斜導入路21aの奥端部が、商品搬送路21の前後に蛇行しながら上下に延びる縦搬送路21bの上端部に接続されている。
【0033】
商品収納部22の下部には、商品搬送路21の下端部に臨んで、下方に搬送されてきた商品Sを1つずつ下方へ払い出す商品搬出装置23がそれぞれ設けられている。商品収納部22の下方には、商品収納部22から払い出された商品Sを商品取出口10側に案内するシュート17が配設され、このシュート17には調温された空気を通す通気用の孔が多数形成されている。
【0034】
また、下内扉5の下部には、シュート17に対応して断熱扉が配設された商品通過窓19が設けられており、シュート17上に落とされた商品Sが商品通過窓19を通って商品取出口10に排出される。
【0035】
図4に示すように、本実施の形態に係る自動販売機1は、電源切替装置32と、非常用電源としての蓄電池33と、制御部30とを備えている。通常時は商用電源Aの供給を受けて、制御部30等が動作して商品Sの搬出に伴う商品販売動作が行われるが、災害等により災害運転指示を受けたときは、電源切替装置32が電源を商用電源Aから蓄電池33に切り換える。
【0036】
ここで、蓄電池33は低温収納部9に配設されている。蓄電池33の配設場所としては、低温収納部9内であれば特に場所は限定されないが、低温収納部9におけるシュート17の下方箇所が、配設空間として比較的スペースがあるので好適である。
【0037】
また、低温収納部9は各冷温収納部7、8よりも大きい容積で形成されているので、蓄電池33を配置しやすい利点もある。より具体的な配設場所としては、例えば、
図5に示すように、シュート17の下方における蒸発器(または熱交換器)11や送風機12などの側方箇所など、蒸発器(または熱交換器)11や送風機12による空気の流れを阻害しない箇所に配設することが好ましい。
【0038】
なお、蓄電池33の容量が大きいなど、蓄電池33の配設スペースとして比較的大きなスペースが必要である場合には、シュート17から商品収納庫4(低温収納部9)の底面部までの高さ寸法が大きい低温収納部9の下部における後方寄り箇所(
図5におけるE1やE2で示す箇所)が好適であるが、蒸発器(または熱交換器)11や送風機12の設置位置などに対応して、
図5(a)、(b)におけるE1〜E4で示す箇所を選択して配設すればよい。なお、制御部30は
図2における外扉2の裏面内に配設されており、蓄電池33と制御部は配線34により接続されている。
【0039】
また、
図4に示すように、制御部30は蓄電池の寿命を予測する寿命予測手段30aとバックアップ電源30bと時計部30cとを備えている。時計部30cは、自動販売機1の稼働時間を計算し、また、バックアップ電源30bと時計部30cは、自動販売機1の停止時間を計算する。そして、寿命予測手段30aはそれらの情報に基づいて下記の[数1]により蓄電池33の残り寿命を算出する。
[数1]
残り寿命=温度管理寿命―稼働時間―停止補正後時間
【0040】
ここで、温度管理寿命とは、蓄電池33を常に低温状態で温度管理した場合における電池寿命である。例えば、常に4℃で温度管理した時の電池寿命が7年である場合、温度管理寿命を7年と設定すればよい。このように、温度管理寿命の値は、電池の種類とその電池を管理する温度によって適宜設定することができる。
【0041】
また、稼働時間とは自動販売機1が稼働している時間であり、稼働時間中は、調温装置29の冷却装置も稼働されるため、低温収納部9に配設された蓄電池33は低温状態で温度管理される。
【0042】
また、停止補正後時間とは自動販売機1がメンテナンス等により停止している停止時間に補正を加えた時間であり、停止時間中は、調温装置29の冷却装置が稼働されなくなるため、蓄電池33は低温状態で温度管理されず、外気温や、これよりも若干低い温度の環境下で維持されることが多い。
【0043】
仮に、蓄電池33として周囲温度が10℃上がると電池の劣化速度が約2倍になるものを使用し、自動販売機1の停止によって低温収納部9の内部の温度が10℃上がると仮定すると、停止時間における蓄電池33の劣化速度は約2倍となる。この場合、停止時間を2倍した数値を停止補正後時間とすればよい。このように、自動販売機1の停止による低温収納部9内部の温度上昇値を見積もることで、停止補正後時間の補正値を任意に設定することができる。
【0044】
また、
図2及び
図3に示すように、外扉2の裏面には自動販売機1の各種設定及び操作を行うためのリモコン26が、接続コード27で接続された状態で取り付けられている。なお、リモコン26は外扉2の裏面に磁石等により取り付けられており、容易に取り外しが可能である。
【0045】
また、
図2及び
図4に示すようにリモコン26は、自動販売機1の設定・操作を行うリモコン入力部26bと、入力した内容に応じた自動販売機1の情報を表示するリモコン表示部26aとを備えている。そして、制御部30が寿命予測手段30aによって算出した蓄電池33の寿命をリモコン表示部26aに表示するようにしている。
【0046】
また、蓄電池33の寿命が尽きる時期よりも一定期間前以降に、電池交換を知らせるための警告表示をするようにしている。例えば、寿命予測手段30aが[数1]により残り寿命を6か月以下と算出した場合、リモコン表示部26aの起動画面やメニュー画面に電池交換の警告表示をする。なお、電池交換の警告表示をする時期は電池寿命が残り6か月以下である場合に限られるものではなく、この時期は任意に設定することができる。
【0047】
本実施の形態の構成によれば、電池寿命の情報をリモコン表示部26aに表示することにより、蓄電池33の寿命情報の見落としを防止することができる。なぜならば、ルートマンなどは商品補充時やメンテナンス時に、リモコン表示部26aに表示される情報に基づいて自動販売機を管理するため、必ずリモコン表示部26aの情報を確認することになるからである。なお、電池寿命情報は投入金額表示部20等の他の表示部に表示させてもよい。
【0048】
また、蓄電池33の寿命が尽きる時期よりも一定期間前に、電池交換を知らせるための警告表示をすることにより、例えば、リモコン表示部26aの起動画面やメニュー画面に電池交換の警告表示をする場合、自動販売機1の管理人はリモコン表示部26aを見た時点で電池寿命が近づいていることがわかる。そのため、効果的に電池寿命情報の見落としを防止することができる。
【0049】
また、蓄電池33が低温収納部9に配設されているので、蓄電池33の劣化や自己放電を抑えることができて、電池寿命を長くすることができる。これにより、高価な電池を殆ど交換しなくても済ますことができて、自動販売機としての維持費を低額に抑えることができるとともに、電池交換のための手間や時間も最小限に抑えることができる。さらに、蓄電池33を略一定温度で管理することになるため、電池寿命のバラツキが少なくなり、安定した寿命予測をすることができる。
【0050】
また、制御部30にバックアップ電源30bと時計部30cとを搭載しているため、時計部により稼働時間を計算でき、停電があった場合やメンテナンス等で電源が切られて低温収部9の温度が管理されていない時間は、バックアップ電源30bと時計部30cにより、自動販売機1の停止時間として計算することができる。そして、適切な温度管理寿命及び停止補正後時間の補正値を設定すれば、稼働時間と停止時間の情報に基づいて、[数1]により、容易かつ安価に安定した寿命予測をすることができる。
【0051】
なお、自動販売機1の停止時間は、稼働時間と比較して極めて少ないことが考えられるため、自動販売機1の停止による低温収納部9の温度上昇値を大まかに見積もって停止補正後時間の補正値を設定したとしても、寿命予測と実際の電池寿命とが大きく異なることはない。
【0052】
また、上記の実施の形態では、電池として蓄電池33を用いた場合を述べたが、これに限るものではなく、電池として乾電池などの一次電池であってもよい。なお、蓄電池33や一次電池としては少なくとも制御部30や商品搬出装置23を駆動可能な容量を有することが望ましい。