(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記台紙のフィルム側の表面には、エンボス加工により、前記凸部が縦横に配列される凸部配列領域と、前記凸部が無い平坦領域とが形成されるとともに、前記平坦領域が前記凸部配列領域を区切る方眼パターンが描かれる請求項1に記載のアルバム。
前記糊には、天然ラテックスと、アクリル酸エステル共重合物と、芳香族変性テルペン炭化水素樹脂と、水とが含まれ、天然ラテックスの含有率は18質量%以上21質量%以下、アクリル酸エステル共重合物の含有率は12質量%以上14質量%以下、芳香族変性テルペン炭化水素樹脂の含有率は2質量%以上4質量%以下、水の含有率は62質量%以上65質量%以下である請求項1乃至3のいずれかに記載のアルバム。
前記エンボス加工工程では、表面に凹部が形成されたエンボスロールと他のロールとの間に前記台紙を通過させ、該通過時に前記エンボスロール及び前記他のロールの挟み込みにより前記台紙に所定の圧力を加えることで、前記台紙の一方の表面を前記エンボスロールの凹部内に突出させて、前記台紙の一方の表面に前記凸部を形成する請求項5又は6に記載のアルバムの製造方法。
前記糊塗布工程では、糊ロールと他のロールとの間に前記台紙を前記通過させ、該通過時に前記凸部の頂点を前記糊ロールの糊付着面に当接させることで、各前記凸部の頂点に糊を塗布する請求項7乃至9のいずれかに記載のアルバムの製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来、
図14、
図15、
図16に示すように、紙からなる台紙30と透明なフィルム31との間に写真Sを挟み込むアルバム32,33、34が使用されている(
図14〜
図16では、フィルム31の一部を欠除して、台紙30のフィルム側の表面30aを示している)。
【0003】
図14のアルバム32では、台紙30のフィルム側の表面30aに、糊35が縦線状で複数箇所に塗布されている。
図15のアルバム33では、台紙30のフィルム側の表面30aに、糊35が斜め線状で複数箇所に塗布されている。
【0004】
図14,
図15のアルバム32,33では、台紙30とフィルム31の間に入った空気Xを抜き難く、この空気Xの存在により台紙30が乾燥して接着力がなくなったり、空気Xが存在する部分で光が反射して、写真Sがクリアに見えなくなるという問題が生じていた。
【0005】
図16のアルバム34は、上記の問題を解決すべく開発されたものであり、台紙30のフィルム側の表面30aに、糊35が略格子状に塗布されている。このアルバム34では、格子の交点部分に糊35を塗布しないことや、
図17に示すように、糊35の塗布厚を14〜18μm程度に厚くして、台紙30とフィルム31の間の隙間を大きくすることで、空気の通り道が確保されている。
【0006】
また、空気の通り道を備える他のアルバムとして、台紙にエンボス加工を施し、該エンボス加工の凸部に糊を塗布したアルバムが開発されている。このようなアルバムとして、PETラミネート台紙にエンボス加工を施したものや、特許文献1に示されるように、非ラミネートの紙製の台紙にエンボス加工を施したものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、
図15,
図16のアルバム33,34では、糊35が縦線状や格子線状で複数箇所に塗られることで、糊35の塗布量が多かった。このため、
図15,
図16のアルバム33,34では、フィルム31を台紙30から剥がすために大きな力が必要であり、フィルム剥離時に大きな音が生じていた。また、上述のように糊35の塗布量が多いので、糊35の材料コストが高額であった。
【0009】
さらに
図16のアルバム34では、糊35が厚く塗布されることで、糊線で筆記具がジャンプしたり、筆記具で糊線をなぞりきれず、筆記線Tが途切れることが生じる。また
図16のアルバム34で、例えば糊35の塗布厚を薄くして筆記性を高めるようとすると、台紙30の表面30aが平らであることから、台紙30とフィルム31との間の隙間が小さくなり、台紙30とフィルム31の間の空気を抜くことが困難になる。以上のことから、
図16のアルバム34では、筆記性を高めることと、空気を抜くこととを両立することが困難である。
【0010】
さらに
図16のアルバム34では、糊35として、天然ラテックスとアクリル酸エステル共重合物と水を含むものが使用されており、天然ラテックスの含有率が7〜13質量%、アクリル酸エステル共重合物の含有率が23〜27質量%、水の含有率が63〜66質量%であった。この糊35は、アクリル酸エステル共重合物の含有率が高いこと等から、粘着力が0.80N〜1.50Nであり、この点もフィルム31の剥離音を大きくさせる要因になっていた。
【0011】
PETラミネート台紙を用いるアルバム(以下、PETアルバムと称する)では、糊とPETラミネート台紙との密着性を高めるために、プライマーがPETラミネート台紙にコーティングされる。このため、PETラミネート台紙は、筆記性が低く、直接文字等を書き込むことが困難であった。
【0012】
また、PETアルバムを製造する際には、PETフィルムを紙に貼ってPETラミネート台紙を得る工程や、プライマーをPETラミネート台紙にコーティングする工程や、PETラミネート台紙にエンボス加工を施す工程や、エンボス加工の凸部に糊を塗布する工程が必要とされる。このため、製造に多くの工程を要する。また、PETフィルムやプライマーを用いることで、材料コストが高くなる。
【0013】
また、特許文献1は、エンボス加工の凸部の形状や、糊の塗布厚に関して何ら開示するものではなく、台紙の筆記性を高めることを目的とするものでもない。特許文献1のアルバムで、多くの凸部に糊が厚く塗布される場合には、糊の塗布量や塗布面積が大きくなり、筆記性が低くなる。
【0014】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、台紙における筆記性が高く、台紙とフィルムとの間の空気を抜くことができ、フィルムを剥離する際に大きな音が生じないアルバムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
台紙における筆記性を高めることは、従来のアルバムでは着想されなかったユニークな課題である。本願発明者は、鋭意研究を行った結果、上記筆記性を高めることや、従来のアルバムで課題とされていた、台紙とフィルムの間の空気を抜くことや、フィルム剥離時に大きな音を発生させないことを実現可能とした。
【0016】
すなわち、本発明の第1観点に係るアルバムは、紙からなる台紙と、前記台紙に重ね合わされる透明なフィルムとを備え、前記台紙のフィルム側の表面には、エンボス加工により、断面円弧状に突出して、0.02mm以上0.027mm以下の高さを有する凸部が形成され、各前記凸部の頂点には、糊が10μm以上14μm以下の厚さで塗布され
る。
【0017】
好ましくは、前記台紙のフィルム側の表面には、エンボス加工により、前記凸部が縦横に配列される凸部配列領域と、前記凸部が無い平坦領域とが形成されるとともに、前記平坦領域が前記凸部配列領域を区切る方眼パターンが描かれる。
【0018】
好ましくは、各前記凸部の外縁は、平面視で正方形を呈し、各前記凸部の外縁の辺の長さは、0.6mm以上〜1.0mm以下である。
【0019】
好ましくは、前記糊には、天然ラテックスと、アクリル酸エステル共重合物と、芳香族変性テルペン炭化水素樹脂と、水とが含まれ、天然ラテックスの含有率は18質量%以上21質量%以下、アクリル酸エステル共重合物の含有率は12質量%以上14質量%以下、芳香族変性テルペン炭化水素樹脂の含有率は2質量%以上4質量%以下、水の含有率は62質量%以上65質量%以下である。
【0020】
本発明の第2の観点に係るアルバムの製造方法は、エンボス加工により、台紙の一方の表面に、断面円弧状に突出して、0.02mm以上0.027mm以下の高さを有する凸部を形成するエンボス加工工程と、各前記凸部の頂点に、糊を10μm以上14μm以下の厚さで塗布する糊塗布工程と、前記糊塗布工程で塗布された糊を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程の後に、前記台紙の一方の表面に透明なフィルムを重ね合わせる重ね合わせ工程とを有する。
【0021】
好ましくは、前記エンボス加工工程、前記糊塗布工程、前記乾燥工程、及び前記重ね合わせ工程は、前記台紙がロールで搬送される過程で実行される。
【0022】
好ましくは、前記エンボス加工工程では、表面に凹部が形成されたエンボスロールと他のロールとの間に前記台紙を通過させ、該通過時に前記エンボスロール及び前記他のロールの挟み込みにより前記台紙に所定の圧力を加えることで、前記台紙の一方の表面を前記エンボスロールの凹部内に突出させて、前記台紙の一方の表面に前記凸部を形成する
。
【0023】
好ましくは、前記エンボスロールの表面には、前記凹部が縦横に配列される凹部配列領域と、前記凹部が無い平坦領域とが形成される。
【0024】
好ましくは、前記エンボスロールの凹部の開口縁は、平面視で正方形を呈し、前記凹部の開口縁の辺の長さは、0.6mm以上〜1.0mm以下である。
【0025】
好ましくは、前記糊塗布工程では、糊ロールと他のロールとの間に前記台紙を前記通過させ、該通過時に前記凸部の頂点を前記糊ロールの糊付着面に当接させることで、各前記凸部の頂点に糊を塗布する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、台紙のフィルム側の表面に、エンボス加工により、断面円弧状に突出する凸部が形成され、凸部の頂点のみに糊が付けられる。このため、凸部のスロープや、エンボス加工の凹部は、紙が露出した状態になる。したがって、台紙表面の単位面積当たりにおける糊が塗布されていない面積が広い。このため、台紙で書き込み可能な部分の面積が広くなる。また、糊の塗布厚が10μm以上14μm以下と薄いため、糊の段差が小さい。このため、糊の位置で筆記具がジャンプせず、筆記線が途切れない。以上のことから、本発明のアルバムは、台紙の筆記性が高い。
【0027】
また、本発明のアルバムでは、凸部が0.02mm以上0.027mm以下の高さを有し、この凸部によってフィルムが支持される。このため、台紙とフィルムとの間に凸部の高さ程度の隙間があいて、空気の通り道が確保される。これにより、台紙とフィルムの間の空気を抜くことができる。また、凸部が形成されることで、糊の塗布厚を厚くすることを要せず、空気の通り道を確保できる。したがって、筆記性を高めることと、空気を抜くこととを両立できる。
【0028】
また、台紙とフィルムとの間の空気を抜くことができるため、空気で光が反射して、写真がクリアに見えなくなることを防止できる。
【0029】
また、凸部の頂点のみに糊が塗布されることで、糊の塗布量や塗布面積が少ない。さらに、凸部の傾斜面の途中からフィルムが宙に浮いた状態になるため、フィルムの全面が台紙に密着しない。以上のことから、本発明のアルバムは、フィルムを剥がすために大きな力を要せず、フィルム剥離時に大きな音が生じない。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係るアルバム1を示す平面図であり、後述のフィルム3の一部を欠除して示している。
図2は本発明の実施形態に係るアルバム1を示す側面図である。
【0032】
本実施の形態に係るアルバム1は、紙からなる台紙2と、透明なフィルム3とを備える。
図2に示すように、台紙2は、二つ折りにされるものであり、上半部4の裏面4aと下半部5の裏面5aとが接着される。フィルム3は、台紙2の折り曲げ端(上半部4及び下半部5の端)に沿って二つ折りにされて、上半部4の表面4bや下半部5の表面5bに重ね合わされる。以下、フィルム3が重ね合わされる上半部4や下半部5の表面4b,5bを総称して、台紙2のフィルム3側の表面と記す。
【0033】
アルバム1では、
図2(a)に示すように、上半部4とフィルム3との間や、下半部5とフィルム3との間に、写真Sを挟み込むことができ、
図2(b)に示すように、フィルム3を台紙2(上半部4や下半部5)から剥がすことで、写真Sを台紙2(上半部4や下半部5)上に配置したり、写真Sを取り外すことができる。
【0034】
図3は、
図1のa範囲の拡大図である。
図4は、
図3のa−a線でアルバム1を切断した状態を示す断面図である。
図5は、台紙2に形成される凸部6を拡大して示す断面図である。
図6は、凸部6を拡大して示す平面図である。
【0035】
台紙2のフィルム3側の表面には、エンボス加工により、凹凸が形成される。
図3に示すように、エンボス加工の各凸部6の外縁は、平面視で正方形を呈する。各凸部6の外縁の辺の長さAは、0.6mm以上〜1.0mm以下であり、好ましくは0.8mmに設定される。
図4,
図5に示すように、各凸部6は、断面円弧状に突出する。各凸部6の高さB(
図5)は、0.02mm以上、0.027mm以下である。この高さBは、凸部6の辺の長さA(0.8mm)の1/40〜1/30に相当する。
【0036】
各凸部6の頂点6aには糊7が塗布される。糊7は、写真Sやフィルム3を台紙2に貼り付けるために塗布されるものである。各凸部6における糊7の塗布厚C(
図5)は、10μm以上14μm以下であり、好ましくは12μmに設定される。
【0037】
図6(a)に示すように、糊7は、例えば略矩形状に塗布される。或いは
図6(b)に示すように、糊7は円形に塗布されてもよい。糊7の幅D(
図5)は、凸部6の辺の長さAに応じて設定されるものであり、長さAが0.8mmである場合には、糊7の幅Dは、例えば0.65mmに設定される。糊7は凸部6の頂点6aのみに塗布されるものであり、凸部6のスロープ6bや、エンボス加工の凹部8(
図4)では、糊7が塗布されず、紙が露出する。
【0038】
糊7は、天然ラテックスと、アクリル酸エステル共重合物と、芳香族変性テルペン炭化水素樹脂と、水とを含む。例えば、天然ラテックスの含有率は18質量%以上21質量%以下、アクリル酸エステル共重合物の含有率は12質量%以上14質量%以下、芳香族変性テルペン炭化水素樹脂の含有率は2質量%以上4質量%以下、水の含有率は62質量%以上65質量%以下に設定される。この場合、糊7の粘着力は0.30N〜0.60N程度である。
【0039】
また
図1,
図3に示すように、台紙2のフィルム3側の表面には、エンボス加工により、凸部6が所定ピッチで配列される凸部配列領域R1と、凸部6が無い平坦領域R2とが形成されるとともに、平坦領域R2が凸部配列領域R1の区切り線になる方眼パターンが描かれる。方眼パターンは、写真Sの貼着位置を決める目安になる。例えば、凸部配列領域R1の縦横の幅Eは4.6mm、平坦領域R2の幅Fは0.2mmに設定され、凸部配列領域R1で
は、凸部6の配列ピッチG
が凸部6の辺の長さA(0.8mm)の1/10〜1/16
とされる。なお、凸部配列領域R1の幅Eは、4.6mm以上7mm以下の幅に設定され得る。
【0040】
図7は、本実施形態に係るアルバム1を製造する装置を示す概略図である。以下、アルバム1の製造工程について説明する。
【0041】
図7に示す製造装置は、複数のロールの回転で台紙2を搬送するものであり、該台紙2が搬送される過程で、後述のエンボス加工工程、第1糊塗布工程、第1乾燥工程、第2糊塗布工程、第2乾燥工程、及び重ね合わせ工程を順次実行する。以下、これらの工程を順に説明する。
【0042】
エンボス加工工程では、巻物9から台紙2の原紙が引き出されて、台紙2の一方の表面2aにエンボス加工が施される。
【0043】
図8は、エンボス加工工程で使用されるエンボスロール10とゴムロール11を拡大して示す断面図である。
図9は、エンボスロール10の表面を拡大して示す平面図である。
図10は、
図9のa−a線でエンボスロール10を切断した断面図である。
【0044】
図8,
図9に示すように、エンボスロール10の表面には複数の凹部12が形成される。エンボス加工工程では、
図8に示すように、エンボスロール10とゴムロール11の間に台紙2を通過させて、該通過時にロール10,11による挟み込みで台紙2に所定の圧力を加えることで、台紙2の一方の表面2aを凹部12内に突出させて、断面円弧状の凸部6を形成する。
【0045】
図9に示すように、凹部12の開口縁は、平面視で正方形を呈する。凹部12の開口縁の辺の長さHは、0.6mm以上〜1.0mm以下であり、好ましくは0.8mmに設定される。エンボス加工工程で形成される凸部6の外縁は、凹部12の開口縁に一致する。
【0046】
また凹部12の深さI(
図10)は、例えば22.2mm以上〜30.0mm以下に設定されるが、エンボス加工工程で得られる凸部6の高さB(
図5)は、上述の凹部12の深さIに一致しない。これは、台紙2の表面2aが凹部12の底まで突出しないように加圧力が制限されることや、加圧後に(ロール10,11の間を台紙2が通過した後に)台紙2に復元力が生じることによる。エンボス加工工程では、凸部6の高さBが凹部12の深さIの0.09%程度になるように(凸部6の高さBが0.02mm以上0.027mm以下になるように)、台紙2に加える圧力や、台紙2を搬送する速度が調整される。なお、凸部6の高さBが0.02mmよりも低い場合には、台紙2とフィルム3の間の空気を抜くことが困難になる。また、凸部6の高さBが0.027mmよりも高い場合には、フィルム3と台紙2との密着性が低下する。
【0047】
また
図9に示すように、エンボスロール10の表面10aには、凹部12が縦横に配列される凹部配列領域R3と、凹部12が無い平坦領域R4とが形成される。凹部配列領域R3や平坦領域R4は、台紙2に凸部配列領域R1と平坦領域R2とを形成し、方眼パターンを描くために設けられる。
【0048】
凹部配列領域R3の縦横の幅J(
図9)は、凸部配列領域R1の縦横の幅E(
図3)を定めるものであり、例えば4.6mm以上7mm以下の幅に設定される。平坦領域R4の幅K(
図9,
図10)は、平坦領域R2の幅F(
図3)を定めるものであり、例えば0.2mmに設定される。凹部配列領域R3における凹部12の配列は、凸部配列領域R1における凸部6の配列を定めるものである。凹部配列領域R3では、凹部12が、例えば0.08mm以上0.013mm以下のピッチL(
図9,
図10)で縦横に配列される。
【0049】
エンボス加工工程の後では、エンボス加工が施されていない台紙2の他方の表面2bに糊23が塗布される(第1糊塗布工程)。台紙2の他方の表面2bは、後述の二つ折り工程で台紙2が二つ折りにされたときに、上半部4や下半部5の裏面4a,5b(
図2)になるものである。
【0050】
この第1糊塗布工程では、
図11に示すように、ゴムロール13と糊ロール14との間に台紙2を通過させて、該通過時に台紙2の他方の表面2bを糊ロール14の糊付着面14aに当接させることで、台紙2の表面2bに糊23を塗布する。
【0051】
ついで第1乾燥工程では、
図7に示すように、台紙2が乾燥炉15内に投入されて、第1糊塗布工程で台紙2の表面2bに塗布された糊23が、乾燥される。
【0052】
ついで第2糊塗布工程では、
図12に示すように、ゴムロール16と糊ロール17との間に台紙2を通過させて、該通過時に凸部6の頂点6aを糊ロール17の糊付着面17aに当接させることで、各凸部6の頂点6aに糊7を塗布する。この第2糊塗布工程では、糊ロール17に付着させる糊の量や、台紙2を糊ロール17に押し付ける力等が調整されることで、糊7の塗布厚C(
図5)が10μm以上14μm以下に調整され、糊7の幅D(
図6)が0.65mm程度に調整される。
【0053】
ついで第2乾燥工程では、
図7に示すように、再び台紙2が乾燥炉15内に投入されて、第2糊塗布工程で各凸部6に塗布された糊7が、乾燥される。
【0054】
ついで重ね合わせ工程では、台紙2とフィルム3をゴムロール18,19の間に通して密着させることで、台紙2の一方の表面にフィルム3を重ね合わせる。
【0055】
ついで、裁断機20で台紙2及びフィルム3の重合物を所定寸法に裁断する(裁断工程)。ついで、裁断された重合物を折機21で二つ折りにして、糊23が付着した上半部4と下半部5の裏面同士を接着させる(二つ折り工程)。この後、仕上機22で仕上裁断を行うことで、アルバム1の製造が完了する。
【0056】
以上、本実施形態によれば、台紙2のフィルム3側の表面に、エンボス加工により、断面円弧状に突出する凸部6が形成され、凸部6の頂点6aのみに糊7が付けられる。このため
図4に示すように、凸部6のスロープ6bや、エンボス加工の凹部8は、紙が露出した状態になる。したがって、台紙表面の単位面積当たりにおける糊7が塗布されていない面積が広い。このため、台紙2で書き込み可能な部分の面積が広くなる。また、糊7の塗布厚C(
図5)が10μm以上14μm以下と薄いため、糊7の段差が小さい。このため、糊7の位置で筆記具がジャンプせず、筆記線T(
図1)が途切れない。以上のことから、本実施形態のアルバム1は、台紙2の筆記性が高い。
【0057】
また、本実施形態のアルバム1では、凸部6が0.02mm以上0.027mm以下の高さB(
図5)を有し、この凸部6によってフィルム3が支持される。このため
図4に示すように、台紙2とフィルム3との間に凸部6の高さ程度の隙間があいて、空気の通り道が確保される。これにより、台紙2とフィルム3の間の空気を抜くことができる。また、凸部6が形成されることで、
図16,
図17に示すアルバム34のように糊の塗布厚を厚くすることを要せず、空気の通り道を確保できる。したがって、筆記性を高めることと、空気を抜くこととを両立できる。
【0058】
また、台紙2とフィルム3との間の空気を抜くことができるため、空気で光が反射して、写真Sがクリアに見えなくなることを防止できる。
【0059】
また、凸部6の頂点6aのみ糊7が塗布されることで、糊7の塗布量や塗布面積が少ない。さらに、
図4に示すように、凸部6の傾斜面の途中からフィルム3が宙に浮いた状態になるため、フィルム3の全面が台紙2に密着しない。以上のことから、本実施形態のアルバム1は、フィルム3を剥がすために大きな力を要せず、フィルム剥離時に大きな音が生じない。また、上述のように糊7の塗布量が少ないので、糊7の材料コストを安価に抑えることができる。
【0060】
また、糊7が塗布される凸部6の間隔を適宜調整することで、糊7の粘着力が強くなくても、フィルム3や写真Sを台紙2に貼着出来る。このため、粘着力が0.30N〜0.60N程度の糊を使用出来る。
【0061】
また
図1,
図4に示すように、台紙2では凸部配列領域R1や平坦領域R2により方眼パターンが描かれるため、ユーザは、方眼パターンを目安に写真Sの貼付位置を決めることができる。
【0062】
また、上述したPETアルバムのように、PETフィルムを紙に貼ることや、台紙にプライマ
ーをコ
ーティングすることを要しない。このため、本実施形態のアルバム1は、PETアルバムに比して、製造に要する工程数が少なく、製造コストが安価に抑えられる。
【0063】
また、本実施形態の製造方法によれば、台紙2がロールで搬送される過程で、エンボス加工工程、糊塗布工程、乾燥工程、及び重ね合わせ工程が順次実行される。このため、手間を要せず、多くのアルバム1を短時間で製造できる。
【0064】
また、エンボス加工工程では、台紙2に加える圧力や、台紙2を搬送する速度が調整されることで、台紙2に、所望の高さの凸部6を形成できる。
【0065】
また、エンボスロール10の凹部12の開口縁の形状が調整されることで、所望の平面形状を有する凸部6を形成できる。
【0066】
また、エンボスロール10に凹部配列領域R3と平坦領域R4とが形成されることで、台紙2に凸部配列領域R1と平坦領域R2とを形成して、方眼パターンを描くことができる。
【0067】
また、エンボス加工により、台紙2が強く圧縮されるため、台紙2の吸湿性が抑えられる。
【0068】
また、第2糊塗布工程では、糊ロール17に付着させる糊の量や、台紙2を糊ロール17に押し付ける力等が調整されることで、糊7の塗布厚Cや幅D(
図5)を、所望の値に調整できる。
【0069】
なお本発明は、上記実施形態に限定されず、種々改変することができる。
【0070】
例えば、エンボス加工工程では、平板状の台紙の原紙にエンボス型を押し付けることで、エンボス加工が行なわれてもよい。なお上記実施形態に示すエンボスロール10を用いる方法では、エンボス型を用いる方法に比べて、エンボスが台紙2に接する時間が短いため、角が小さく丸みを帯びた凸部6を台紙に形成できる。
【0071】
また、エンボス加工工程や第1,第2糊塗布工程では、ゴムロール11,13,16の代わりに、ペーパーロールが用いられてもよい。
【0072】
また、方眼パターンは台紙2に描かれなくてもよい。この場合、例えば
図13に示すように、台紙2は、フィルム側の表面全体に、凸部6
が配列され
る。
【0073】
また上記実施形態では、二つ折りの台紙2を使用する例を示したが、折りの無い台紙が使用されてもよい。この場合、例えば、アルバムは、台紙の上面及び下面のそれぞれにエンボス加工(凸部6の形成)や糊7の塗布が行われて、台紙の上面及び下面にフィルム3が重ね合わされたものとされる。