特許第6180132号(P6180132)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6180132予備焼成炉を備えた生石灰焼成システム、およびそれを用いた方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180132
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】予備焼成炉を備えた生石灰焼成システム、およびそれを用いた方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 2/10 20060101AFI20170807BHJP
   F27B 7/34 20060101ALI20170807BHJP
   F27B 7/20 20060101ALI20170807BHJP
   F27D 13/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C04B2/10
   F27B7/34
   F27B7/20
   F27D13/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-37780(P2013-37780)
(22)【出願日】2013年2月27日
(65)【公開番号】特開2013-180949(P2013-180949A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】CN201210048908.0
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513048634
【氏名又は名称】中信重工机械股▲分▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】513048645
【氏名又は名称】洛▲陽▼▲鉱▼山机械工程▲設▼▲計▼研究院有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】王▲継▼生
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼▲凱▼博
(72)【発明者】
【氏名】▲喬▼斌
(72)【発明者】
【氏名】朱▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】姜琳
【審査官】 長谷川 真一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−167160(JP,A)
【文献】 特開平02−242083(JP,A)
【文献】 特開昭62−098186(JP,A)
【文献】 特開2011−168459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02
F27B 5/00− 7/42
F27D 7/00−15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生石灰焼成システムであって、
焼成しようとする石灰石原料を受け入れ、当該石灰石原料を予備焼成する予備焼成炉と、
前記予備焼成炉から予備焼成物を含む前記原料を受け入れ、生成した生石灰を取り出し、同時に予備焼成炉に第1の燃焼ガスを供給するロータリーキルンとを備えてなり、
前記焼成システムが予備焼成炉燃焼装置をさらに備えてなり、当該装置は第2の燃焼ガスを生成し、当該ガスを予備焼成炉に供給して、前記石灰石原料が前記第1の燃焼ガスおよび前記第2の燃焼ガスの作用下で前記予備焼成炉において予備焼成されるようにしてなり、
前記第2の燃焼ガスの温度が、前記第1の燃焼ガスの温度よりも高く、
前記第2の燃焼ガスが、前記第1の燃焼ガスと混合される前に、単独で石灰石原料を加熱することを特徴とする、生石灰焼成システム。
【請求項2】
前記第2の燃焼ガスが、石灰石原料の流れ方向とは反対の方向で前記予備焼成炉へ供給されることを特徴とする、請求項に記載の焼成システム。
【請求項3】
前記石灰石原料が、前記予備焼成炉において50〜60%の予備焼成率を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の焼成システム。
【請求項4】
前記焼成装置が、ロータリーキルンで生成された生石灰を冷却するための冷却器、および/または、ロータリーキルンへ第3の燃焼ガスを供給するためのロータリーキルン燃焼器をさらに備えてなることを特徴とする。請求項1に記載の焼成システム。
【請求項5】
生石灰焼成方法であって、
予備焼成炉で石灰石原料を予備焼成する工程と、
予備焼成物を含む前記原料を前記予備焼成炉からロータリーキルンへ供給する工程と、
第1の燃焼ガスをロータリーキルンから予備焼成炉へ供給する工程と、生成した生石灰を取り出す工程とを含んでなり、
2の燃焼ガスが予備焼成炉へ供給されて、石灰石原料を前記第1の燃焼ガスおよび前記第2の燃焼ガスの作用下で前記予備焼成炉において予備焼成するようにしてなり、
前記第2の燃焼ガスの温度が、前記第1の燃焼ガスの温度よりも高く、
前記第2の燃焼ガスが、前記第1の燃焼ガスと混合される前に、単独で石灰石原料を加熱することを特徴とする、方法。
【請求項6】
前記石灰石原料が、前記予備焼成炉において50〜60%の予備焼成率を有することを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生石灰焼成システム、詳細にはロータリーキルンを備えてなる生石灰焼成システムに関する。本発明は、さらに生石灰焼成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、生石灰の焼成には、主に2つの方法、すなわちガス燃焼シャフトキルンを用いる方法、および予熱器を具備するロータリーキルンを用いる方法がある。前者の方法では、ガス燃焼シャフトキルンにおいて生石灰を焼成する際の熱消費量は低いが、40mmを超えるサイズを有する石灰石を用いる必要があり、鉱石利用率は低くなる。さらに、この方法により焼成された生石灰の活量は比較的低い。
【0003】
後者の方法では、予熱器を備なえたロータリーキルンを用いることで、焼成される生石灰は比較的高い活量と、安定した品質を有し、さらに10〜40mmのサイズの粒の細かい石灰石を用いることができる。それ故、後者の方法は当該分野において広く利用されている。後者の方法では、しかしながら、ロータリーキルンで生成される高温の燃焼ガスが予熱器に供給され、そして予熱器内で石灰石が予熱される場合、石灰石は通常20〜25%の予備焼成率を有し、つまり大抵の石灰石はロータリーキルンで焼成されることとなる。しかし、ロータリーキルンでの石灰石の焼成は主に放射熱交換の形態であり、熱効率が低く、そしてロータリーキルンの外殻はその表面で非常に多くの熱を放射するため、装置のエネルギー消費は増加する結果となる。したがって、後者の方法は比較的高い熱消費量を有し、このことは従来技術において解決すべき喫緊の課題となっている。
【発明の概要】
【0004】
従来技術における上記技術課題の観点から、本発明は予備焼成炉およびロータリーキルンを備えてなる、熱消費量が低減された生石灰焼成システムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、焼成しようとする石灰石原料を受け入れ、当該石灰石原料を予備焼成する予備焼成炉と、前記予備焼成炉から予備焼成物を含む原料を受け入れ、生成した生石灰を取り出し、同時に予備焼成炉に第1の燃焼ガスを供給するロータリーキルンとを備えてなる生石灰焼成システムが提供される。この焼成システムは、予備焼成炉燃焼装置をさらに備え、この装置は第2の燃焼ガスを生成し、当該ガスを予備焼成炉に供給し、前記石灰石原料が、前記第1の燃焼ガスおよび前記第2の燃焼ガスの作用下で前記予備焼成炉において予備焼成されるようにした。
【0006】
本発明によれば、生石灰焼成システムに予備焼成燃焼装置を備えさせることにより、予備焼成炉に追加の高温の燃焼ガスを導入することができる。このようにして、高温の燃焼ガスの温度および量双方を著しく改善することができ、予備焼成炉中の石灰石原料の予備焼成率が大きく改善される。ここでは、ロータリーキルンで焼成する必要がある石灰石は比較的少量となる。ロータリーキルンでの石灰石の焼成は、熱効率の低い放射熱交換の形態であり、一方、予備焼成炉での熱交換は、主に熱効率の高い対流熱交換の形態であるため、システム全体の熱交換効率は改善され、その結果、装置の熱消費量は低減される。
【0007】
一つの実施形態では、第2の燃焼ガスの温度は第1の燃焼ガスの温度よりも高い。
【0008】
一つの実施形態では、第2の燃焼ガスは、第1の燃焼ガスと混合される前に単独で石灰石原料を加熱する。好ましくは、第2の燃焼ガスは石灰石原料の流れ方向とは反対の方向で、予備焼成炉へ供給される。
【0009】
予備焼成炉燃焼装置から得られた高温の第2の燃焼ガスは、先ず石灰石原料を加熱、焼成し、次いで、ロータリーキルンで得られた低温の第1の燃焼ガスと混合され、そして最終的に、再び石灰石原料を加熱、焼成する。したがって、より高温である第2の燃焼ガスを効率的に利用することにより、石灰石原料の予備焼成率を容易に改善することができる。
【0010】
本発明によれば、石灰石原料は予備焼成炉において50〜60%の予備焼成率を有する。それゆえ、原材料として微粒子の石灰石を用いることが可能である。
【0011】
焼成装置は、ロータリーキルンで生成された生石灰を冷却するための冷却器、および/または、ロータリーキルンへ第3の燃焼ガスを供給するためのロータリーキルン燃焼器をさらに備えることができる。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、生石灰焼成方法が提供される。この方法は、予備焼成炉で石灰石原料を予備焼成する工程と、予備焼成物を含む原料を予備焼成炉からロータリーキルンへ供給する工程と、第1の燃焼ガスをロータリーキルンから予備焼成炉へ供給する工程と、生成した生石灰を取り出す工程とを含んでなる。この方法において、第2の燃焼ガスは予備焼成炉へ供給されて、石灰石原料を第1の燃焼ガスおよび第2の燃焼ガスの作用下で予備焼成炉において予備焼成されるようにした。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明による生石灰焼成システムの概略構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は添付図面に基づいて詳細に説明される。図面は、本発明を何らかの形で制限するのではなく、単に本発明をより良く理解するために提供されるものであるということに留意すべきである。
【0015】
図1は、本発明による生石灰焼成システム100を示し、予備焼成炉10およびロータリーキルン20を備えてなる。石灰石原料5は予備焼成炉10へ供給され、その中で高温の燃焼ガスの作用下、予備焼成される。予備焼成された石灰石を含む原料15は予備焼成炉10からロータリーキルン20へ供給される。残りの未分解石灰石はロータリーキルン20でさらに燃焼され、生成した生石灰25は最終的にロータリーキルン20から取り出される。排ガス8は予備焼成炉10から排出される。
【0016】
生石灰焼成システム100は、冷却器、たとえば垂直冷却器30をさらに備えてなる。したがって、高温の生石灰25はロータリーキルン20から垂直冷却器30へ供給され、そこで100℃以下まで急冷却される。
【0017】
加えて、生石灰焼成システム100はロータリーキルン燃焼器40をさらに備えてなり、この燃焼器は高温の燃焼ガス45を生成し、そしてこのガスをロータリーキルン20へ供給することができる。このようにして、石灰石はロータリーキルン20で焼成され得る。また、ロータリーキルン20で石灰石を焼成して生成された、後部の高温の燃焼ガス25は予備焼成炉10へ供給され、石灰石原料はそこで予備焼成され得る。一般に、この石灰石は20〜25%の予備焼成率を有する。
【0018】
本発明による生石灰焼成システム100は、予備焼成炉燃焼装置50をさらに備えてなり、この装置は高温の燃焼ガス55を生成し、そしてこのガスを予備焼成炉10へ供給することができる。したがって、予備焼成炉10へ流れ込む高温の燃焼ガスは2つの流れ、すなわち、予備焼成炉燃焼装置50からの高温の燃焼ガス55、およびロータリーキルン20からの高温の燃焼ガス25に区分けすることができる。これにより、高温の燃焼ガスの温度および量双方は著しく改善される。
【0019】
本発明によれば、予備焼成炉燃焼装置50で生成された高温の燃焼ガス55の温度は、ロータリーキルン20からの、後部の高温の燃焼ガス25の温度より高く設定される。通常、高温の燃焼ガス25の温度は、例えば1000〜1050℃の範囲内にある。この場合、燃焼装置50で生成された高温の燃焼ガス55の温度は1150〜1300℃の範囲内に調整することができる。高温の燃焼ガス55を効率的に利用するために、高温の燃焼ガス55は高温の燃焼ガス25に先立って単独で石灰石原料を加熱する。後部の高温の燃焼ガス25は高温の燃焼ガス55よりも上側の位置へ供給され、高温の燃焼ガス55と混合された後、高温の燃焼ガス55と一緒に石灰石原料を加熱し、そして焼成する。この方法では、より高い温度を有する高温の燃焼ガス55が長時間石灰石原料を焼成し、比較的高い予備焼成率を得ることができる。
【0020】
予備焼成炉10における石灰石原料の予備焼成率は、2つの高温の燃焼ガスの流れの作用下で顕著に改善され得る。したがって、予備焼成炉10からロータリーキルン20へ供給される原料15における未分解石灰石の割合は低減され、それ故、ロータリーキルン20で焼成される必要がある石灰石は少なくなる。予備焼成炉10における熱交換は主に熱効率の高い対流熱交換の形態であり、そして燃焼ガスが石灰石と接触する領域は比較的広いため、熱交換効率は高く、したがって、装置の熱消費量は低減される。
【0021】
一つの実施形態では、高温の燃焼ガス25および55はブロワーによって予備焼成炉10へ継続的に供給される。好ましくは、高温の燃焼ガス55は石灰石原料の流れ方向とは反対の方向で、予備焼成炉10へ供給される。
【0022】
本発明によれば、予備焼成炉10における石灰石原料は、予備焼成炉燃焼装置50およびロータリーキルン20からの2つの高温の燃焼ガスの流れの作用下で、50〜60%の予備焼成率を有することが好ましい。この方法では、ロータリーキルン20で焼成される必要がある石灰石は40〜50%に低減される。その結果、特に望まれる熱消費量を有する装置を得ることができる。
【0023】
ロータリーキルンは開かれた焼成の形態で作動させるため、石灰石を完全に、そして均一に焼成することができる。本発明によれば、ロータリーキルン20で石灰石の40〜50%が焼成されることが好ましい。したがって、生石灰の焼成品質(すなわち、高い活量を有する)を保証することができ、同時に、原材料として微粒子の石灰石を用いることが可能である。
【0024】
本発明を幾つかの実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲から逸脱しない限り種々の改良をしてもよく、その構成要素を同等なものに置き換えてもよい。具体的には、構造的な矛盾がない限りにおいて、本明細書に記載された様々な実施形態の特徴は任意の方法で互いに組み合わせて用いることができる。これらの組み合わせは、簡潔さを目的として、本明細書に網羅的に記載されているわけではない。したがって、本発明は、本明細書に記載された具体的な実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内に属するすべての技術的解決手段を含むものである。
図1