(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カルボキシル基含有アクリルゴムの酸価が5mgKOH/g〜40mgKOH/gであり、ガラス転移温度が−30℃〜15℃であり、重量平均分子量が100,000〜900,000である請求項1に記載の異方性導電フィルム。
カルボキシル基含有アクリルゴムの含有量が、膜形成樹脂と硬化性樹脂と硬化剤と前記カルボキシル基含有アクリルゴムとの合計に対して、1質量%〜10質量%である請求項1から2のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
カルボキシル基含有アクリルゴムの含有量が、膜形成樹脂と硬化性樹脂と硬化剤と前記カルボキシル基含有アクリルゴムとの合計に対して、3質量%〜5質量%である請求項1から3のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
端子を有する基板と、端子を有する電子部品と、前記基板と前記電子部品との間に介在して前記基板の端子と前記の電子部品の端子とを電気的に接続する異方性導電フィルムの硬化物とを有し、
前記異方性導電フィルムが、請求項1から7のいずれかに記載の異方性導電フィルムであることを特徴とする接合体。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品を基板と接続する手段として、導電性粒子が分散された熱硬化性樹脂を剥離フィルムに塗布したテープ状の接続材料(例えば、異方性導電フィルム(ACF;Anisotropic Conductive Film))が用いられている。
【0003】
この異方性導電フィルムは、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)やIC(Integrated Circuit)チップの端子と、LCD(Liquid Crystal Display)パネルのガラス基板上に形成された電極とを接続する場合を始めとして、種々の端子同士を接着すると共に電気的に接続する場合に用いられている。
【0004】
近年、異方性導電フィルムによって接続される基板の薄型化、基板の利用面積の拡大などにより、基板と電子部品との接続後に、前記基板に反りが発生するという問題がある。前記基板に反りが発生すると、例えば、LCDパネルにおいては、色むらが発生してしまう。
【0005】
そこで、基板の反りを低減するために、前記基板にかかる応力を緩和させることが提案されている。
例えば、熱硬化型アクリル樹脂組成物から得られる異方性導電フィルムにおいて、前記組成物が、少なくとも(A)熱硬化剤、(B)熱硬化性成分、(C)水酸基を含有するアクリルゴム、(D)有機微粒子、及び(E)導電性粒子を含み、前記(B)熱硬化性成分には、(b1)リン含有アクリル酸エステルを含み、前記(C)水酸基を含有するアクリルゴムの重量平均分子量が100万以上であり、前記(D)有機微粒子には、(d1)ポリブタジエン系微粒子を含む異方性導電フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、前記異方性導電フィルムでは、接着性の向上などの種々の目的でアクリルゴムが用いられている(例えば、特許文献2及び3参照)。前記アクリルゴムは、ゴム材料であるため、応力を緩和させることが期待できる。
しかし、前記異方性導電フィルムに、前記アクリルゴムなどの応力を緩和させる材料を用いると、通常は、接続信頼性が低下してしまうという問題が発生する。
【0006】
したがって、基板の反りを防止でき、かつ優れた接続信頼性が得られる異方性導電フィルム、並びに該異方性導電フィルムを用いた接続方法、及び前記異方性導電フィルムを用いた接合体の提供が求められているのが現状である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(異方性導電フィルム)
本発明の異方性導電フィルムは、膜形成樹脂と、硬化性樹脂と、硬化剤と、カルボキシル基含有アクリルゴムと、導電性粒子とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記異方性導電フィルムは、基板の端子と電子部品の端子とを異方性導電接続させる異方性導電フィルムである。
【0013】
<膜形成樹脂>
前記膜形成樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。前記膜形成樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製膜性、加工性、接続信頼性の点からフェノキシ樹脂が好ましい。
前記フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成される樹脂などが挙げられる。
前記フェノキシ樹脂は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記膜形成樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0014】
<硬化性樹脂>
前記硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、アクリレート樹脂などが挙げられる。
【0015】
−エポキシ樹脂−
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、それらの変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
−アクリレート樹脂−
前記アクリレート樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記アクリレートをメタクリレートにしたものが挙げられ、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記硬化性樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0018】
<硬化剤>
前記硬化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イミダゾール類、有機過酸化物、アニオン系硬化剤、カチオン系硬化剤などが挙げられる。
前記イミダゾール類としては、例えば、2−エチル4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
前記有機過酸化物としては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、ブチルパーオキサイド、ベンジルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
前記アニオン系硬化剤としては、例えば、有機アミン類などが挙げられる。
前記カチオン系硬化剤としては、例えば、スルホニウム塩、オニウム塩、アルミニウムキレート剤などが挙げられる。
【0019】
前記硬化性樹脂と前記硬化剤との組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記エポキシ樹脂と前記カチオン系硬化剤との組合せ、前記アクリレート樹脂と前記有機過酸化物との組合せが好ましい。
【0020】
<カルボキシル基含有アクリルゴム>
前記カルボキシル基含有アクリルゴムとしては、ガラス転移温度が18℃以下であり、重量平均分子量が75,000以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
前記カルボキシル基含有アクリルゴムとは、カルボキシル基を有するアクリルゴムである。
前記アクリルゴムとは、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、カルボキシル基含有アクリル酸エステル、カルボキシル基含有メタクリル酸エステル、及びこれらの誘導体などの単量体に由来する構成単位を含有する重合体である。
前記アクリルゴムとしては、例えば、アクリル酸エステルを主な構成成分とするゴムなどが挙げられる。
前記重合体を構成する共重合モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリロニトリルなどが挙げられる。
前記カルボキシル基含有アクリルゴムにおけるカルボキシル基は、アクリル酸、及びメタクリル酸に由来するカルボキシル基であってもよいし、その他のカルボキシル基含有共重合モノマーに由来するカルボキシル基であってもよい。前記その他のカルボキシル基含有共重合モノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
【0022】
前記カルボキシル基含有アクリルゴムの酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3mgKOH/g以上が好ましく、3mgKOH/g〜40mgKOH/gがより好ましく、5mgKOH/g〜40mgKOH/gが更に好ましく、5mgKOH/g〜30mgKOH/gが特に好ましい。前記酸価が、前記特に好ましい範囲内であると、基板の反りの防止と接続信頼性とを高度に両立できる点で有利である。
前記酸価は、例えば、日本工業規格「JIS K 2501−2003石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」に基づいて測定できる。
【0023】
前記カルボキシル基含有アクリルゴムのガラス転移温度は、18℃以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、−40℃〜15℃が好ましく、−30℃〜15℃がより好ましく、−30℃〜5℃が特に好ましい。前記ガラス転移温度が、前記特に好ましい範囲内であると、基板の反りの防止と接続信頼性とを高度に両立できる点で有利である。
前記ガラス転移温度は、例えば、理論ガラス転移温度計算式(FOX式)を用いて求めることができる。具体的には、前記FOX式(T.G.Fox、Bull.Am.Physics Soc.、第1巻、第3号、123ページ(1956))に従って、ポリマーを構成する各々の単量体の単独重合体のTgnを用いて、下記式(1)から求める。
1/Tg=Σ(Wn/Tgn) (1)
前記式(1)中、Tgnは、各単量体成分の単独重合体のガラス転移温度Tgであり、Wnは、各単量体成分の重量分率であり、Tgは、共重合体のガラス転移温度である。前記式(1)中の温度は、絶対温度である。
【0024】
前記カルボキシル基含有アクリルゴムの重量平均分子量は、75,000以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100,000〜1,000,000が好ましく、100,000〜900,000がより好ましく、700,000〜900,000が特に好ましい。前記重量平均分子量が、前記特に好ましい範囲内であると、基板の反りの防止と接続信頼性とを高度に両立できる点で有利である。
前記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定できる。測定には、例えば、Shodex GPC(昭和電工株式会社製)を用いる。検量線作成には、標準ポリスチレンを用いる。
【0025】
前記カルボキシル基含有アクリルゴムの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記膜形成樹脂と前記硬化性樹脂と前記硬化剤と前記カルボキシル基含有アクリルゴムとの合計に対して、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましく、3質量%〜5質量%が特に好ましい。前記含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、基板の反りの防止と接続信頼性とを高度に両立できる点で有利である。
【0026】
<導電性粒子>
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粒子、金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。
【0027】
前記金属粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウム、半田などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ニッケル、銀、銅が好ましい。これらの金属粒子は、表面酸化を防ぐ目的で、その表面に金、パラジウムを施していてもよい。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。
【0028】
前記金属被覆樹脂粒子としては、樹脂粒子の表面を金属で被覆した粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂粒子の表面をニッケル、銀、半田、銅、金、及びパラジウムの少なくともいずれかの金属で被覆した粒子などが挙げられる。更に、表面に金属突起や有機物で絶縁皮膜を施したものを用いてもよい。低抵抗を考慮した接続の場合、樹脂粒子の表面を銀で被覆した粒子が好ましい。
前記樹脂粒子への金属の被覆方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無電解めっき法、スパッタリング法などが挙げられる。
前記樹脂粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−シリカ複合樹脂などが挙げられる。
【0029】
前記導電性粒子は、異方性導電接続の際に、導電性を有していればよい。例えば、金属粒子の表面に絶縁皮膜を施した粒子であっても、異方性導電接続の際に前記粒子が変形し、前記金属粒子が露出するものであれば、前記導電性粒子である。
【0030】
前記導電性粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜50μmが好ましく、2μm〜25μmがより好ましく、2μm〜10μmが特に好ましい。
前記平均粒子径は、任意に10個の導電性粒子について測定した粒子径の平均値である。
前記粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡観察により測定できる。
【0031】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、充填剤、軟化剤、硬化促進剤、老化防止剤、着色剤(顔料、染料)、有機溶剤、イオンキャッチャー剤などが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0032】
<基板>
前記基板としては、端子を有し、前記異方性導電フィルムを用いた異方性導電接続の対象となる基板であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、端子を有するガラス基板、端子を有するプラスチック基板などが挙げられる。
前記端子を有するガラス基板としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)ガラス基板、IZO(Indium Zinc Oxide)ガラス基板、その他のガラスパターン基板などが挙げられる。これらの中でも、ITOガラス基板、IZOガラス基板が好ましい。
前記端子を有するプラスチック基板の材質、構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、端子を有するリジット基板、端子を有するフレキシブル基板などが挙げられる。
【0033】
前記基板の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1mm〜1.0mmが好ましく、0.2mm〜0.8mmがより好ましい。
前記平均厚みは、前記基板の任意の10箇所の厚みを測定した際の平均値である。
【0034】
<電子部品>
前記電子部品としては、端子を有し、前記異方性導電フィルムを用いた異方性導電接続の対象となる電子部品であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、IC(Integrated Circuit)、TAB(Tape Automated Bonding)テープ、液晶パネルなどが挙げられる。前記ICとしては、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)における液晶画面制御用ICチップなどが挙げられる。
前記電子部品の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上面から見た場合に、長方形、正方形などが挙げられる。
【0035】
前記基板と前記電子部品との組合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Flex−on−Glass(フレックスオンガラス、FOG)、Chip−on−Glass(チップオンガラス、COG)、Chip−on−Flex(チップオンフレックス、COF)、Flex−on−Board(フレックスオンボード、FOB)、Flex−on−Flex(フレックスオンフレックス、FOF)などの各種実装方法に応じた基板と電子部品との組合せなどが挙げられる。
【0036】
前記異方性導電フィルムの平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜100μmが好ましく、10μm〜60μmがより好ましく、15μm〜30μmが特に好ましい。
【0037】
前記異方性導電フィルムの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記膜形成樹脂と前記硬化性樹脂と前記硬化剤と前記カルボキシル基含有アクリルゴムと前記導電性粒子とを混合して得た異方性導電組成物を、剥離処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布する方法などが挙げられる。
【0038】
(接続方法)
本発明の接続方法は、第1の配置工程と、第2の配置工程と、加熱押圧工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
前記接続方法は、基板の端子と電子部品の端子とを異方性導電接続させる方法である。
【0039】
前記基板、及び前記電子部品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記異方性導電フィルムの説明で例示した前記基板、及び前記電子部品がそれぞれ挙げられる。
【0040】
<第1の配置工程>
前記第1の配置工程としては、前記基板の端子上に本発明の前記異方性導電フィルムを配置する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0041】
<第2の配置工程>
前記第2の配置工程としては、前記異方性導電フィルム上に前記電子部品を、前記電子部品の端子が前記異方性導電フィルムと接するように配置する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0042】
<加熱押圧工程>
前記加熱押圧工程としては、前記電子部品を加熱押圧部材により加熱及び押圧する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記加熱押圧部材としては、例えば、加熱機構を有する押圧部材などが挙げられる。前記加熱機構を有する押圧部材としては、例えば、ヒートツールなどが挙げられる。
前記加熱の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃〜180℃が好ましい。
前記押圧の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5MPa〜100MPaが好ましい。
前記加熱及び押圧の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5秒間〜10秒間が好ましい。
【0043】
(接合体)
本発明の接合体は、基板と、電子部品と、異方性導電フィルムの硬化物とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の部材を有する。
【0044】
前記基板、及び前記電子部品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記異方性導電フィルムの説明で例示した前記基板、及び前記電子部品がそれぞれ挙げられる。
【0045】
前記異方性導電フィルムは、本発明の前記異方性導電フィルムである。
前記異方性導電フィルムの硬化物は、前記基板と前記電子部品との間に介在して前記基板の端子と前記電子部品の端子とを電気的に接続している。
【0046】
前記接合体は、例えば、本発明の前記接続方法により製造できる。
【実施例】
【0047】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0048】
(製造例1〜15)
<カルボキシル基含有アクリルゴムNo.1〜15の合成>
(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルと、水とを、得られるアクリルゴムが所望の酸価、及びガラス転移温度になるように、所定の混合質量比で混合して反応容器に仕込み、撹拌しながら十分に窒素置換を行った。次いでこの混合物に、得られるアクリルゴムが所望の重量平均分子量になるように、所定の量のパーオキサイド(開始剤)を供給して重合を行った。
【0049】
合成したカルボキシル基含有アクリルゴムの酸価、ガラス転移温度、及び重量平均分子量を、表1〜表4に示した。なお、酸価、ガラス転移温度、及び重量平均分子量は、以下のようにして求めた。
【0050】
<酸価>
酸価は、日本工業規格「JIS K 2501−2003石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」に基づいて測定した。
【0051】
<ガラス転移温度>
ガラス転移温度(Tg)は、理論ガラス転移温度計算式(FOX式)を用いて求めた。
具体的には、FOX式(T.G.Fox、Bull.Am.Physics Soc.、第1巻、第3号、123ページ(1956))に従って、ポリマーを構成する各々の単量体の単独重合体のTgnを用いて、下記式(1)から求めた。
1/Tg=Σ(Wn/Tgn) (1)
前記式(1)中、Tgnは、各単量体成分の単独重合体のガラス転移温度Tgであり、Wnは、各単量体成分の重量分率であり、Tgは、共重合体のガラス転移温度である。前記式(1)中の温度は、絶対温度である。
【0052】
<重量平均分子量>
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。測定には、Shodex GPC(昭和電工株式会社製)を用いた。検量線作成には、標準ポリスチレンを用いた。
【0053】
(実施例1)
<異方性導電フィルムの作製>
フェノキシ樹脂(商品名:YP−50、新日鐵化学株式会社製、膜形成樹脂)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:EP−828、三菱化学株式会社製、硬化性樹脂)、シランカップリング剤(商品名:KBM−403、信越化学工業株式会社製)、カチオン系硬化剤(商品名:SI−60L、三新化学工業株式会社製)、及び製造例1で得たカルボキシル基含有アクリルゴムNo.1を表1に示す配合量で混合して組成物を得た。得られた組成物に、導電性粒子(商品名:AUL704、積水化学工業株式会社製)を分散させ異方性導電組成物を得た。分散は、得られる異方性導電フィルムにおける前記導電性粒子の粒子密度が50,000個/mm
2になるように行った。
得られた異方性導電組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に平均厚みが20μmになるように塗布して、異方性導電フィルムを得た。
【0054】
<接合体の製造、及び接合体の評価>
以下の方法により接合体を製造し、以下に示す評価を行った。結果を表1に示した。
ガラス基板として、ITO(Indium Tin Oxide)膜がパターンニングされた平均厚み0.5mmのITO配線板を用いた。
電子部品として、ICチップ(1.8mm×20mm、t(厚み)=0.5mm、Au−plated bump 30μm×85μm、h(高さ)=15μm)を用いた。
前記異方性導電フィルムを所定幅にスリットして前記ITO配線板に貼り付けた。その上に前記ICチップを仮固定した後、緩衝材として平均厚み50μmのテフロン(登録商標)が被覆されたヒートツールを用いて、接合条件160℃−60MPa−5secで接合を行い、接合体を完成させた。
【0055】
<<接続信頼性(導通抵抗)>>
得られた接合体の初期(Initial)の抵抗値、並びに85℃及び85%RHでの500時間のTHテスト(Thermal Humidity Test)後の抵抗値を以下の方法で測定した。結果を表1に示した。
デジタルマルチメータ(品番:デジタルマルチメータ7555、横河電機株式会社製)を用いて4端子法にて電流1mAを流したときの抵抗値を測定した。
【0056】
<<反り量>>
反り量の測定には、触針式表面粗度計(商品名:SE−3H、株式会社小阪研究所製)を用いた。
図1に示すように、接合体において異方性導電フィルムの硬化物2により電子部品3が接続されていないガラス基板1の面を上側にし、かつガラス基板1の平面が水平になるように接合体を置いた。そして、
図1に示すように、電子部品3が接続された面と反対側のガラス基板1の表面を、触針式表面粗度計の触針4で走査した。触針4は、前記表面を、電子部品3の長手方向に、電子部品3の一方の辺が位置する箇所から前記一方の辺に対向する他方の辺が位置する箇所までの20mmの距離を走査した。そして、触針4による走査の際の垂直方向の変位を測定し、それを反り量とした。サンプル10個について反り量を測定し、その平均値から反り量を求めた。結果を表1に示した。
なお、反りが凸状の場合、反り量を正の数で表し、反りが凹状の場合、反り量を負の数で表した。
【0057】
(実施例2〜24、及び比較例1〜3)
実施例1において、異方性導電組成物の配合を表1〜表4に示す配合に変更した以外は、実施例1と同様にして、異方性導電フィルムを作製した。
得られた異方性導電フィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1〜表4に示した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
表1〜表4中の配合量の相対比率は、異方性導電フィルムにおける各成分の含有量の相対比率と一致する。
実施例22に用いた膜形成樹脂は、エピコート1256(新日鐵化学株式会社製)である。
実施例23に用いた硬化性樹脂は、YD−128(三菱化学株式会社製)である。
実施例24に用いた硬化剤は、SI−100L(三新化学工業株式会社製)である。
【0063】
実施例1〜24では、基板の反り量が15.0μm以下であり、かつ85℃及び85%RHで500時間経過後の導通抵抗が10.0Ω以下であり、基板の反りの防止と、優れた接続信頼性とを両立していた。
特に、カルボキシル基含有アクリルゴムの酸価が5mgKOH/g〜30mgKOH/g、ガラス転移温度が−30℃〜5℃、及び重量平均分子量が700,000〜900,000、並びにカルボキシル基含有アクリルゴムの含有量が、膜形成樹脂と硬化性樹脂と硬化剤とカルボキシル基含有アクリルゴムとの合計に対して、3質量%〜5質量%の場合には、基板の反り量が13.0μm以下であり、かつ85℃及び85%RHで500時間経過後の導通抵抗が5.0Ω以下であり、基板の反りの防止と、接続信頼性とを高度に両立していた(例えば、実施例2〜6、10、12参照)。
一方、カルボキシル基含有アクリルゴムのガラス転移温度が20℃の場合(比較例1)、重量平均分子量が50,000の場合(比較例2)、又は異方性導電フィルムがカルボキシル基含有アクリルゴムを含有しない場合(比較例3)には、基板の反りが15.0μm超、並びに85℃及び85%RHで500時間経過後の導通抵抗が10.0Ω超の少なくともいずれかになり、基板の反りの防止と、優れた接続信頼性との両立ができなかった。