特許第6180160号(P6180160)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三輪精機株式会社の特許一覧

特許6180160油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置
<>
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000002
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000003
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000004
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000005
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000006
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000007
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000008
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000009
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000010
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000011
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000012
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000013
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000014
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000015
  • 特許6180160-油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180160
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】油圧アクチュエータ駆動装置および車両用扉操作装置
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20170807BHJP
   B60J 7/08 20060101ALI20170807BHJP
   E05F 15/53 20150101ALI20170807BHJP
【FI】
   F15B11/02 F
   B60J7/08 P
   E05F15/53
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-80453(P2013-80453)
(22)【出願日】2013年4月8日
(65)【公開番号】特開2014-202312(P2014-202312A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000177276
【氏名又は名称】三輪精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085637
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 辰也
(72)【発明者】
【氏名】古本 篤
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−9910(JP,A)
【文献】 実開平7−23676(JP,U)
【文献】 特開平6−173903(JP,A)
【文献】 特開平11−325003(JP,A)
【文献】 実開昭61−191810(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00 − F15B 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一アクチュエータおよび第二アクチュエータと、
前記第一アクチュエータおよび前記第二アクチュエータとポンプとを接続する供給路と

前記第一アクチュエータおよび前記第二アクチュエータとタンクとを接続する排出路と

前記第一アクチュエータの前進または後退および前記第二アクチュエータの前進または
後退を制御する前後用方向制御弁と、
前記第一アクチュエータとの接続または前記第二アクチュエータとの接続を制御する選
択用方向制御弁と、
を備える油圧アクチュエータ駆動装置であって、
前記前後用方向制御弁はソレノイドによって前進位置に切り換えられ、前記ポンプからの圧油によって後退位置に切り換えられる、
ことを特徴とする油圧アクチュエータ駆動装置
【請求項2】
前記第一アクチュエータを一対有し、前記第二アクチュエータを一対有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の油圧アクチュエータ駆動装置。
【請求項3】
前記第一アクチュエータが油圧シリンダ装置であり、前記第二アクチュエータが油圧シリンダ装置である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の油圧アクチュエータ駆動装置。
【請求項4】
前記前後用方向制御弁は3位置・スプリングセンタ・パイロットおよびソレノイド操作形切換弁に構成されている、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の油圧アクチュエータ駆動装置。
【請求項5】
前記選択用方向制御弁は2位置・スプリングオフセット・ソレノイド操作形切換弁に構成されている、
ことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の油圧アクチュエータ駆動装置。
【請求項6】
アクチュエータと、
前記アクチュエータとポンプとを接続する供給路と、
前記アクチュエータとタンクとを接続する排出路と、
ソレノイドによって前進位置に切り換えられ、前記ポンプからの圧油によって後退位置に切り換えられる方向制御弁と、
を備える油圧アクチュエータ駆動装置。
【請求項7】
前記アクチュエータが油圧シリンダ装置である、
ことを特徴とする請求項6に記載の油圧アクチュエータ駆動装置。
【請求項8】
前記方向制御弁は3位置・スプリングセンタ・パイロットおよびソレノイド操作形切換弁に構成されている、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の油圧アクチュエータ駆動装置。
【請求項9】
扉とボデーとの間に設置されたアクチュエータと、
前記アクチュエータとポンプとを接続する供給路と、
前記アクチュエータとタンクとを接続する排出路と、
ソレノイドによって前進位置に切り換えられ、前記ポンプからの圧油によって後退位置に切り換えられる方向制御弁と、
を備える車両用扉操作装置
【請求項10】
前記アクチュエータが油圧シリンダ装置である、
ことを特徴とする請求項9に記載の車両用扉操作装置。
【請求項11】
前記方向制御弁は3位置・スプリングセンタ・パイロットおよびソレノイド操作形切換弁に構成されている、
ことを特徴とする請求項9または10に記載の車両用扉操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧アクチュエータ駆動装置に関し、例えば、車両用扉操作装置に利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、荷の積み下ろし作業を実施し易くした車両として、ボデー(荷台)の天井および左右側壁をウイング形状に形成されてなる扉(以下、ウイングという)を開閉(操作)するように構成した所謂ウイング車や、ボデー(荷台)の後壁扉の一部を荷受台として構成し該荷受台(テールゲート)を昇降(操作)するように構成した所謂テールゲート車が知られている。
【0003】
例えば、ウイング車のウイングを開閉する装置(以下、ウイング開閉装置という)として、次のように構成されているものがある。
ウイング開閉装置は、左ウイングとボデーとの間に設置された前後で一対の左側油圧シリンダ装置と、右ウイングとボデーとの間に設置された前後で一対の右側油圧シリンダ装置と、DCモータに駆動される油圧ポンプに接続された供給路と、作動油が貯留されるオイルタンクに接続された排出路と、供給路および排出路が接続された左ウイング用方向制御弁および右ウイング用方向制御弁と、を備えており、これら左ウイング用方向制御弁および右ウイング用方向制御弁は一対のソレノイドを備えた電磁操作切換弁によってそれぞれ構成されている。特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−120613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このウイング車のウイング開閉装置においては、一つの電磁操作切換弁にソレノイドが2個、すなわち計4個使用されているので、イニシャルコストおよびランニングコストが増加するという問題点があった。
【0006】
本発明の目的は、電磁操作切換弁のソレノイドの使用数を低減することができる油圧アクチュエータ駆動装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、電磁操作切換弁のソレノイドの使用数を低減することができる車両用扉操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
(1)第一アクチュエータおよび第二アクチュエータと、
前記第一アクチュエータおよび前記第二アクチュエータとポンプとを接続する供給路と

前記第一アクチュエータおよび前記第二アクチュエータとタンクとを接続する排出路と

前記第一アクチュエータの前進または後退および前記第二アクチュエータの前進または
後退を制御する前後用方向制御弁と、
前記第一アクチュエータとの接続または前記第二アクチュエータとの接続を制御する選
択用方向制御弁と、
を備える油圧アクチュエータ駆動装置であって、
前記前後用方向制御弁はソレノイドによって前進位置に切り換えられ、前記ポンプからの圧油によって後退位置に切り換えられる、
ことを特徴とする油圧アクチュエータ駆動装置
)アクチュエータと、
前記アクチュエータとポンプとを接続する供給路と、
前記アクチュエータとタンクとを接続する排出路と、
ソレノイドによって前進位置に切り換えられ、前記ポンプからの圧油によって後退位置に切り換えられる方向制御弁と、
を備える油圧アクチュエータ駆動装置。
)扉とボデーとの間に設置されたアクチュエータと、
前記アクチュエータとポンプとを接続する供給路と、
前記アクチュエータとタンクとを接続する排出路と、
ソレノイドによって前進位置に切り換えられ、前記ポンプからの圧油によって後退位置に切り換えられる方向制御弁と、
を備える車両用扉操作装置。
【発明の効果】
【0008】
前記した手段によれば、電磁操作切換弁のソレノイドの使用数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態であるウイング開閉装置を搭載したウイング車を示す斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態であるウイング開閉装置の中立位置を示す回路図である。
図3】左ウイング開き位置を示す回路図である。
図4】左ウイング閉じ位置を示す回路図である。
図5】右ウイング開き位置を示す回路図である。
図6】右ウイング閉じ位置を示す回路図である。
図7】本発明の第一実施形態であるウイング開閉装置の弁組立体を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図8図7のVIII−VIII線に沿う断面図である。
図9図7のIX−IX線に沿う断面図である。
図10図7のX−X線に沿う断面図である。
図11図7のXI−XI線に沿う断面図である。
図12】本発明の第二実施形態であるテールゲート昇降装置を搭載したテールゲート車を示す斜視図である。
図13】本発明の第二実施形態であるテールゲート昇降装置の中立位置を示す回路図である。
図14】方向制御弁の伸長作動位置を示す回路図である。
図15】方向制御弁の短縮作動位置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に即して説明する。
【0011】
図1図11は本発明の第一実施形態を示している。
本実施形態において、本発明に係る油圧アクチュエータ駆動装置は、図1に示されたウイング車のウイング開閉装置10として構成されており、ウイング車のボデー(以下、ウイングボデーという)が構築された荷台の横根太に直接吊り下げられている。
図1に示されているように、ウイング車1はトラック2の荷台に搭載されているウイングボデー3を備えており、ウイングボデー3の左右の側壁には左ウイング5および右ウイング5Aが、左支軸4および右支軸4Aによってそれぞれ回動自在に支持されて、ガルウイング形態に斜め上方に開閉するように設備されている。
図2に示されているように、ウイング開閉装置10はDCモータ11によって回転駆動される油圧ポンプ12と、作動油が貯留されたオイルタンク15とを備えている。油圧ポンプ12の吸入ポートはオイルタンク15にフィルタ16を介して接続されており、油圧ポンプ12の吐出ポートには供給路13が接続されている。オイルタンク15には排出路14が接続されており、供給路13と排出路14との間にはリリーフ弁17が介設されている。
【0012】
左ウイング5および右ウイング5Aは同一の構造をもって左右対称形状に配設されているので、左ウイング5について代表的に説明する。
ウイングボデー3の前後壁には、一対の第一アクチュエータとしての前側複動形油圧シリンダ装置(以下、前側油圧シリンダ装置という)20および後側複動形油圧シリンダ装置(以下、後側油圧シリンダ装置という)30がそれぞれ上向きに配設されており、前側油圧シリンダ装置20および後側油圧シリンダ装置30はシリンダ側がウイングボデー3に回転自在にそれぞれ枢着されている。
前側油圧シリンダ装置20のピストンロッド21は左ウイング5の前側端部に回転自在に枢着されている。後側油圧シリンダ装置30のピストンロッド31は左ウイング5の後側端部に回転自在に枢着されている。したがって、左ウイング5は前側油圧シリンダ装置20および後側油圧シリンダ装置30の伸縮作動によって開閉される。
前側油圧シリンダ装置20および後側油圧シリンダ装置30はウイング開閉装置10によって駆動され制御されるように構成されており、ウイング開閉装置10はユニット化されてウイング車のウイングボデーが構築された荷台の横根太に後述するように吊り下げられている。
【0013】
次に、ウイング開閉装置10の油圧回路の構成を図2について説明する。
【0014】
左ウイング5の前側油圧シリンダ装置20のシリンダ室はピストン22によって、上昇駆動側シリンダ室23と下降駆動側シリンダ室24とに仕切られている。上昇駆動側シリンダ室23には前側上昇駆動側分岐路(以下、左前上げ路という)25が接続されており、下降駆動側シリンダ室24には前側下降駆動側分岐路(以下、左前下げ路という)26が接続されている。
左ウイング5の後側油圧シリンダ装置30のシリンダ室はピストン32によって、上昇駆動側シリンダ室33と下降駆動側シリンダ室34とに仕切られている。上昇駆動側シリンダ室33には後側上昇駆動側分岐路(以下、左後上げ路という)35が接続されており、下降駆動側シリンダ室34には後側下降駆動側分岐路(以下、左後下げ路という)36が接続されている。
【0015】
右ウイング5Aの一対の第二アクチュエータの一方である前側油圧シリンダ装置20Aのシリンダ室は、上昇駆動側シリンダ室23Aと下降駆動側シリンダ室24Aとにピストン22Aによって仕切られている。上昇駆動側シリンダ室23Aには前側上昇駆動側分岐路(以下、右前上げ路という)25Aが接続されており、下降駆動側シリンダ室24Aには前側上昇駆動側分岐路(以下、右前下げ路という)26Aが接続されている。
右ウイング5Aの一対の第二アクチュエータの他方である後側油圧シリンダ装置30Aのシリンダ室は、上昇駆動側シリンダ室33Aと下降駆動側シリンダ室34Aとにピストン32Aによって仕切られている。上昇駆動側シリンダ室33Aには後側上昇駆動側分岐路(以下、右後上げ路という)35Aが接続されており、下降駆動側シリンダ室34Aには後側下降駆動側分岐路(以下、右後下げ路という)36Aが接続されている。
【0016】
左前上げ路25にはチェック弁27aおよび絞り弁27bとから構成されたスローリターン弁27が接続されている。スローリターン弁27は圧油を前側上昇駆動側シリンダ室23に供給する時にはチェック弁27aが開かれ、前側上昇駆動側シリンダ室23から圧油が排出される時にはチェック弁27aが閉じられ、絞り弁27bを介して徐々にタンクを排出し、左ウイング5が急激に閉じられるのを防止する。
左前上げ路25のスローリターン弁27の下流側には迂回路28の一端が接続されており、迂回路28の他端は排出路14を経由してオイルタンク15に接続されている。迂回路28には常時閉じで非常時に開かれる止め弁29が介設されている。
【0017】
右前上げ路25Aにはチェック弁27Aaおよび絞り弁27Abとから構成されたスローリターン弁27Aが接続されている。スローリターン弁27Aは圧油を前側上昇駆動側シリンダ室23Aに供給する時にはチェック弁27Aaが開かれ、前側上昇駆動側シリンダ室23Aから圧油が排出される時にはチェック弁27Aaが閉じられ絞り弁27Abを介して徐々にタンクを排出し、右ウイング5Aが急激に閉じられるのを防止する。
右前上げ路25Aのスローリターン弁27Aの下流側には迂回路28Aの一端が接続されており、迂回路28Aの他端は排出路14を経由してオイルタンク15に接続されている。迂回路28Aには常時閉じで非常時に開かれる止め弁29Aが介設されている。
【0018】
左前上げ路25および左前下げ路26には、逆流を防止する第一パイロットチェック弁37および第二パイロットチェック弁38がそれぞれ接続されている。第一パイロットチェック弁37のパイロット回路37aは第二パイロットチェック弁38の一次側に接続されており、第二パイロットチェック弁38のパイロット回路38aは第一パイロットチェック弁37の一次側に接続されている。
【0019】
右前上げ路25Aおよび右前下げ路26Aには、逆流を防止する第一パイロットチェック弁37Aおよび第二パイロットチェック弁38Aがそれぞれ接続されている。第一パイロットチェック弁37Aのパイロット回路37Aaは第二パイロットチェック弁38Aの一次側に接続されており、第二パイロットチェック弁38Aのパイロット回路38Aaは第一パイロットチェック弁37Aの一次側に接続されている。
【0020】
供給路13および排出路14には、第一アクチュエータの前進または後退を切り換え、第二アクチュエータの前進または後退を切り換える前後用方向制御弁であって、左ウイング5用の前側油圧シリンダ装置20および後側油圧シリンダ装置30の伸長または短縮を切り換え、右ウイング5A用の前側油圧シリンダ装置20Aおよび後側油圧シリンダ装置30Aの伸長または短縮を切り換える伸縮用方向制御弁(以下、伸縮用弁という)40が接続されている。
伸縮用弁40は8ポート・3位置・スプリングセンタ・パイロットおよびソレノイド操作形切換弁として構成されている。伸縮用弁40の第一負荷ポートL1には第一給排路18が接続されており、第二負荷ポートL2には第二給排路19が接続されている。
【0021】
第一給排路18および第二給排路19には、第一アクチュエータまたは第二アクチュエータを切り換える選択用方向制御弁(以下、選択用弁という)50が接続されている。
選択用弁50は7ポート・2位置・スプリングオフセット・ソレノイド操作形切換弁として構成されている。選択用弁50の二つの一次ポートには第一給排路18および第二給排路19がそれぞれ接続されている。選択用弁50の四つの二次ポートには第一パイロットチェック弁37、37Aおよび第二パイロットチェック弁38、38Aがそれぞれ接続されている。
【0022】
次に、ウイング開閉装置10の機械的構造を図7図11について説明する。
【0023】
図7に示されているように、ウイング開閉装置10は弁組立体70を備えており、弁組立体70は左ウイング用パイロットチェック弁ブロック(以下、左用チェック弁ブロックという)71と、方向制御弁ブロック72と、右ウイング用パイロットチェック弁ブロック(以下、右用チェック弁ブロックという)73とを備えている。左用チェック弁ブロック71と右用チェック弁ブロック73とが方向制御弁ブロック72の上面および下面に当接されてボルト74によって共に締結されているとともに、左用チェック弁ブロック71と右用チェック弁ブロック73と方向制御弁ブロック72とは外部配管を介在せずに適宜に配管されている。
【0024】
図8および図9に示されているように、左用チェック弁ブロック71には第一パイロットチェック弁37と第二パイロットチェック弁38とが互いに対向して左右対称形に配設されている。
第一パイロットチェック弁37は、弁室37bと、弁室37bにそれぞれ接続された一次ポート37cおよび二次ポート37dと、弁室37bの一次ポート37cと二次ポート37dとの間に配設された弁座37eと、弁座37eに離着座する弁体37fと、弁体37fを弁座37eに着座させる方向に付勢するスプリング37gと、弁体37fをスプリング37gに抗して離座させる方向に押すパイロット弁体37hと、二次ポート37dに螺入されたニップル37iとを備えている。
第一パイロットチェック弁37は、ニップル37iに第一給排路18の左前上げ路25と左後上げ路35との分岐点よりも第一パイロットチェック弁37寄りのホース(図示せず)が接続されることにより、前側油圧シリンダ装置20の上昇駆動側シリンダ室23および後側油圧シリンダ装置30の上昇駆動側シリンダ室33に接続される。
【0025】
第二パイロットチェック弁38は、弁室38bと、弁室38bにそれぞれ接続された一次ポート38cおよび二次ポート38dと、弁室38bの一次ポート38cと二次ポート38dとの間に配設された弁座38eと、弁座38eに離着座する弁体38fと、弁体38fを弁座38eに着座させる方向に付勢するスプリング38gと、弁体38fをスプリング38gに抗して離座させる方向に押すパイロット弁体38hとを備えている。
第二パイロットチェック弁38は、ニップル38iに第二給排路19の左前下げ路26と左後下げ路36との分岐点よりも第二パイロットチェック弁38寄りのホース(図示せず)が接続されることにより、前側油圧シリンダ装置20の下降駆動側シリンダ室24および後側油圧シリンダ装置30の下降駆動側シリンダ室34に接続される。
第一パイロットチェック弁37の一次ポート37cは第二パイロットチェック弁38のパイロット回路38a(図2参照)を兼用しており、第二パイロットチェック弁38の一次ポート38cは第一パイロットチェック弁37のパイロット回路37a(図2参照)を兼用している。
【0026】
左用チェック弁ブロック71の正面側には伸縮用弁40および選択用弁50を迂回する迂回路28が開設されており、迂回路28には常時閉じで非常時に開かれる止め弁29が介設されている。
すなわち、左用チェック弁ブロック71における第一パイロットチェック弁37と第二パイロットチェック弁38とに直交する中心線上の片側に上下方向に延在するように開設された排出側油路75には、迂回路28のタンク側油路76が水平面内で直角に接続するように開設されているとともに、タンク側油路76には迂回路28のシリンダ側油路77が水平面内で直角に接続するように開設されており、タンク側油路76とシリンダ側油路77との交差点には弁座78が形成され、弁座78には雄ねじ部材によって構成された止め弁29の弁体79が離着座するように配設されている。
ちなみに、排出側油路75は排出路14と伸縮用弁40のタンクポートTとを結ぶ油路である。
【0027】
そして、止め弁29は弁体79がねじ込まれて弁座78に着座されることにより常時閉じられた状態になっており、非常時に、弁体79が弛められて弁座78から離座されることにより開かれるようになっている。
すなわち、伸縮用弁40の電気系統の故障以外の油圧系統やDCモータの故障の場合に、弁体79が弛められることにより、止め弁29は開かれるようになっている。この止め弁29の弁体79は左用チェック弁ブロック71のウイング車の内側となる側面に配設されているため、非常時以外の時に誤って操作されることはない。
【0028】
図8および図11に示されているように、右用チェック弁ブロック73には第一パイロットチェック弁37Aと第二パイロットチェック弁38Aとが互いに対向して左右対称形に配設されている。
第一パイロットチェック弁37Aは、弁室37Abと、弁室37Abにそれぞれ接続された一次ポート37Acおよび二次ポート37Adと、弁室37Abの一次ポート37Acと二次ポート37Adとの間に配設された弁座37Aeと、弁座37Aeに離着座する弁体37Afと、弁体37Afを弁座37Aeに着座させる方向に付勢するスプリング37Agと、弁体37Afをスプリング37Agに抗して離座させる方向に押すパイロット弁体37Ahと、二次ポート37Adに螺入されたニップル37Aiとを備えている。
第一パイロットチェック弁37Aは、ニップル37Aiに第一給排路18の右前上げ路25Aと左後上げ路35Aとの分岐点よりも第一パイロットチェック弁37A寄りのホース(図示せず)が接続されることにより、前側油圧シリンダ装置20Aの上昇駆動側シリンダ室23Aおよび後側油圧シリンダ装置30Aの上昇駆動側シリンダ室33Aに接続される。
【0029】
第二パイロットチェック弁38Aは、弁室38Abと、弁室38Abにそれぞれ接続された一次ポート38Acおよび二次ポート38Adと、弁室38Abの一次ポート38Acと二次ポート38Adとの間に配設された弁座38Aeと、弁座38Aeに離着座する弁体38Afと、弁体38Afを弁座38Aeに着座させる方向に付勢するスプリング38Agと、弁体38Afをスプリング38Agに抗して離座させる方向に押すパイロット弁体38Ahと、二次ポート38Adに螺入されたニップル38Aiとを備えている。
第二パイロットチェック弁38Aは、ニップル38Aiに第二給排路19の右前下げ路26Aと左後下げ路36Aとの分岐点よりも第二パイロットチェック弁38A寄りのホース(図示せず)が接続されることにより、前側油圧シリンダ装置20Aの下降駆動側シリンダ室24Aおよび後側油圧シリンダ装置30Aの下降駆動側シリンダ室34Aに接続される。
第一パイロットチェック弁37Aの一次ポート37Acは第二パイロットチェック弁38Aのパイロット回路38Aaを兼用しており、第二パイロットチェック弁38Aの一次ポート38Acは第一パイロットチェック弁37Aのパイロット回路37Aaを兼用している。
【0030】
右用チェック弁ブロック73の正面側部分には伸縮用弁40および選択用弁50を迂回する迂回路28Aが開設されており、迂回路28Aには常時閉じで非常時に開かれる止め弁29Aが介設されている。
すなわち、右用チェック弁ブロック73における第一パイロットチェック弁37Aと第二パイロットチェック弁38Aとに直交する中心線上の片側に上下方向に延在するように開設された排出側油路75Aには、迂回路28Aのタンク側油路76Aが水平面内で直角に接続するように開設されているとともに、タンク側油路76Aには迂回路28Aのシリンダ側油路77Aが水平面内で直角に接続するように開設されており、タンク側油路76Aとシリンダ側油路77Aとの交差点には弁座78Aが形成され、弁座78Aには雄ねじ部材で構成された止め弁29Aの弁体79Aが離着座するように配設されている。
ちなみに、排出側油路75Aは排出路14と伸縮用弁40のタンクポートTとを結ぶ油路である。
【0031】
そして、止め弁29Aは弁体79Aがねじ込まれて弁座78Aに着座されることにより常時閉じられた状態になっており、非常時に、弁体79Aが弛められて弁座78Aから離座されることにより開かれるようになっている。
すなわち、伸縮用弁40の電気系統の故障以外の油圧系統やDCモータの故障の場合に、弁体79Aが弛められることにより、止め弁29Aは開かれるようになっている。この止め弁29Aの弁体79Aは左用チェック弁ブロック71のウイング車の内側となる側面に配設されているため、非常時以外の時に誤って操作されることはない。
【0032】
図7図8および図10に示されているように、方向制御弁ブロック72には伸縮用弁40および選択用弁50が背面側および正面側にそれぞれ配置されて互いに平行に設けられている。伸縮用弁40および選択用弁50は構造的にはいずれも、スライドスプール形ポート弁として構成されている。
【0033】
図10に示されているように、伸縮用弁40は円形孔形状のスプール孔41を備えており、スプール孔41には円柱形状のスプール42がスライド自在に挿入されている。スプール孔41の左右両端は左プレート43および右プレート44によってそれぞれ閉塞されており、スプール孔41内の左右両端部には左スプリング45および右スプリング46が左スプリングシート47および右スプリングシート48を介してそれぞれ収容されている。左スプリング45および右スプリング46は左プレート43および右プレート44に反力をとってスプール42を中立位置に維持させるようにそれぞれ付勢している。右プレート44にはソレノイド49が設置されており、ソレノイド49のプランジャ49aはスプール42を左方向に移動させるようになっている。
【0034】
スプール孔41には第一弁座41a、第二弁座41b、第三弁座41c、第四弁座41dおよび第五弁座41eがソレノイド49側(右側)から順に配置されて形成されている。スプール42には第一弁体42a、第二弁体42b、第三弁体42c、第四弁体42dおよび第五弁体42eが、第一弁座41a、第二弁座41b、第三弁座41c、第四弁座41dおよび第五弁座41eにそれぞれ対応するように配置されて形成されている。
第一弁座41aの右脇の第一室41fは第一ドレインポートD1に接続され、第二弁座41bの右脇の第二室41gは第一ポンプポートP1に接続され、第三弁座41cの右脇の第三室41hは選択用弁50に接続され、第三弁座41cはタンクポートTおよび選択用弁50に接続され、第四弁座41dの右脇の第四室41iは選択用弁50に接続され、第五弁座41eの右脇の第五室41jは第二ポンプポートP2に接続され、第五弁座41eは第二ドレインポートD2に接続されている。
スプール42の左端部にはパイロット路42fが第五室41jとスプール42の左脇の第六室41kとを連絡するように開設されている。
【0035】
図8および図10に示されているように、選択用弁50は円形孔形状のスプール孔51を備えており、スプール孔51には円柱形状のスプール52がスライド自在に挿入されている。スプール孔51の左右両端は左プレート53および右プレート54によってそれぞれ閉塞されており、スプール孔51内の左右両端部には左スプリング55および右スプリング56が左スプリングシート57および右スプリングシート58を介してそれぞれ収容されている。左スプリング55および右スプリング56は左プレート53および右プレート54に反力をとってスプール52を中立位置に維持させるようにそれぞれ付勢している。右プレート54にはソレノイド59が設置されており、ソレノイド59のプランジャ59aはスプール52を左方向に移動させるようになっている。
【0036】
スプール孔51には第一弁座51a、第二弁座51b、第三弁座51c、第四弁座51dおよび第五弁座51eがソレノイド59側(右側)から順に配置されて形成されている。スプール52には第一弁体52a、第二弁体52b、第三弁体52c、第四弁体52dおよび第五弁体52eが、第一弁座51a、第二弁座51b、第三弁座51c、第四弁座51dおよび第五弁座51eにそれぞれ対応するように配置されて形成されている。
第二弁座51bには伸縮用弁40の第三室41hに接続された油路51fが接続され、第三弁座51cには伸縮用弁40の第三弁座41cに接続された第二油路51gが接続され、第四弁座51dには伸縮用弁40の第四室41iに接続された第三油路51hが接続され、第五弁座51eの右脇の第五室51iが接続されている。
スプール52の中心部にはパイロット路52fがスプール52の左脇室と右脇室とを連絡するように開設されている。スプール52にはパイロット路52f内外を連通させる弁口が複数個開設されている。
【0037】
以下、前記構成に係るウイング開閉装置10の作用を説明する。
【0038】
ウイング車1の走行中、左ウイング5および右ウイング5Aはウイングボデー3を密閉するようにそれぞれ閉じられた状態に維持される。
この際、左ウイング5の前後の油圧シリンダ装置20および30と、右ウイング5Aの前後の油圧シリンダ装置20Aおよび30Aとは、短縮状態にそれぞれ維持され、伸縮用弁40は図2に示された中立位置に維持され、選択用弁50は図2に示された左ウイング5を選択する位置に維持されている。
【0039】
ウイングボデー3に対する荷の積み下ろし作業に際して、左ウイング5が開放される場合には、伸縮用弁40は図3に示されたウイング上昇作動位置にソレノイド49によって切り換えられ、ポンプポートPが第一負荷ポートL1に接続され、タンクポートTが第二負荷ポートL2に接続される。選択用弁50は左ウイング選択位置を維持する。
【0040】
左ウイング上昇作動位置への切り換えにより、油圧ポンプ12の圧油は、供給路13→伸縮用弁40→第一給排路18→選択用弁50→第一パイロットチェック弁37→スローリターン弁27のチェック弁27a→左前上げ路25および左後上げ路35を経由して、前側上昇駆動側シリンダ室23および後側上昇駆動側シリンダ室33にそれぞれ供給される。
【0041】
同時に、第一パイロットチェック弁37の一次側からパイロット回路38aを介して油圧が印加され、第二パイロットチェック弁38が開かれ、第二パイロットチェック弁38の逆流が許容される状態になる。
前側油圧シリンダ装置20の下降駆動側シリンダ室24と後側油圧シリンダ装置30の下降駆動側シリンダ室34の圧油は、左前下げ路26および左後下げ路36→第二パイロットチェック弁38→選択用弁50→第二給排路19→伸縮用弁40→排出路14を経由して、オイルタンク15にそれぞれ排出される。
【0042】
以上の圧油の供給作動および排出作動により、前後の油圧シリンダ装置20および30が伸長作動されるため、左ウイング5は前後の油圧シリンダ装置20、30のピストンロッド21、31によって前後が同時に上昇され、図1に示されているようにウイングボデー3の側方が開放されて行く。
【0043】
左ウイング5が所定の開度まで上昇されると、伸縮用弁40は図2に示された中立位置に戻される。この中立位置の状態においては、閉鎖時と同じ保持状態が作り出されるため、左ウイング5は所定の開度で開いた状態を維持することができる。
【0044】
次に、開放された左ウイング5が閉鎖されるに際しては、図2の中立状態において、ポンプ12がモータ11によって駆動される。ポンプ12が中立状態で駆動されると、ポンプ12の圧油が伸縮用弁40のパイロット路42f(図10参照)に印加するので、伸縮用弁40は図4に示されたウイング下降作動位置に自動的に切り換えられて、ポンプポートPが第二負荷ポートL2に接続され、タンクポートTが第一負荷ポートL1に接続される。
【0045】
ウイング下降作動位置への切り換えにより、油圧ポンプ12の圧油は、供給路13→伸縮用弁40→第二給排路19→選択用弁50→第二パイロットチェック弁38→左前下げ路26および左後下げ路36を経由して、前側下降駆動側シリンダ室24および後側下降駆動側シリンダ室34にそれぞれ供給される。
【0046】
同時に、第二パイロットチェック弁38の一次側からパイロット回路37aを介して油圧が印加され、第一パイロットチェック弁37が開かれ、第一パイロットチェック弁37の逆流が許容される状態になる。
前側油圧シリンダ装置20の上昇駆動側シリンダ室23と後側油圧シリンダ装置30の上昇駆動側シリンダ室33の圧油は、左前上げ路25および左後上げ路35→第一パイロットチェック弁37→選択用弁50→第一給排路18→伸縮用弁40→排出路14を経由して、オイルタンク15にそれぞれ排出される。
【0047】
以上の圧油の供給作動および排出作動により、前後の油圧シリンダ装置20および30が短縮作動されるため、左ウイング5は前後の油圧シリンダ装置20、30のピストンロッド21、31によって前後が同時に下降され、ウイングボデー3の左側が閉塞されて行く。
【0048】
左ウイング5が閉じられると、伸縮用弁40は図2に示された中立位置に戻される。この中立位置の状態においては、閉鎖時と同じ保持状態が作り出されるため、左ウイング5は閉じた状態を維持することができる。
【0049】
右ウイング5Aが開放される場合には、図5に示されているように、選択用弁50が右ウイング選択位置にソレノイド59によって切り換えられる。
また、伸縮用弁40は図5に示されたウイング上昇作動位置にソレノイド49によって切り換えられ、ポンプポートPが第一負荷ポートL1に接続され、タンクポートTが第二負荷ポートL2に接続される。
【0050】
ウイング上昇作動位置への切り換えにより、油圧ポンプ12の圧油は、供給路13→伸縮用弁40→第一給排路18→選択用弁50→第一パイロットチェック弁37A→スローリターン弁27Aのチェック弁27Aa→右前上げ路25Aおよび右後上げ路35Aを経由して、前側上昇駆動側シリンダ室23Aおよび後側上昇駆動側シリンダ室33Aにそれぞれ供給される。
【0051】
同時に、第一パイロットチェック弁37Aの一次側からパイロット回路38Aaを介して油圧が印加され、第二パイロットチェック弁38Aが開かれ、第二パイロットチェック弁38Aの逆流が許容される状態になる。
前側油圧シリンダ装置20Aの下降駆動側シリンダ室24Aおよび後側油圧シリンダ装置30Aの下降駆動側シリンダ室34Aの圧油は、右前下げ路26Aおよび右後下げ路36A→第二パイロットチェック弁38A→選択用弁50→第二給排路19→伸縮用弁40→排出路14を経由して、オイルタンク15にそれぞれ排出される。
【0052】
以上の圧油の供給作動および排出作動により、前後の油圧シリンダ装置20Aおよび30Aが伸長作動されるため、右ウイング5Aは前後の油圧シリンダ装置20A、30Aのピストンロッド21A、31Aによって前後が同時に上昇され、ウイングボデー3の側方が開放されて行く。
【0053】
右ウイング5Aが所定の開度まで上昇されると、伸縮用弁40は図2に示された中立位置に戻される。この中立位置の状態においては、閉鎖時と同じ保持状態が作り出されるため、右ウイング5Aは所定の開度で開いた状態を維持することができる。
【0054】
次に、開放された右ウイング5Aが閉鎖されるに際しては、開き維持の中立状態において、ポンプ12がモータ11によって駆動される。ポンプ12が中立状態で駆動されると、ポンプ12の圧油が伸縮用弁40のパイロット路42f(図10参照)に印加するので、伸縮用弁40は図6に示されたウイング下降作動位置に自動的に切り換えられ、ポンプポートPが第二負荷ポートL2に接続され、タンクポートTが第一負荷ポートL1に接続される。
【0055】
右ウイング下降作動位置への切り換えにより、油圧ポンプ12の圧油は、供給路13→伸縮用弁40→第二給排路19→選択用弁50→第二パイロットチェック弁38A→右前下げ路26Aおよび右後下げ路36Aを経由して、前側下降駆動側シリンダ室24Aおよび後側下降駆動側シリンダ室34Aにそれぞれ供給される。
【0056】
同時に、第二パイロットチェック弁38Aの一次側からパイロット回路37Aaを介して油圧が印加され、第一パイロットチェック弁37Aが開かれ、第一パイロットチェック弁37Aの逆流が許容される状態になる。
前側油圧シリンダ装置20Aの上昇駆動側シリンダ室23Aおよび後側油圧シリンダ装置30Aの上昇駆動側シリンダ室33Aの圧油は、右前上げ路25Aおよび右後上げ路35A→第一パイロットチェック弁37A→選択用弁50→第一給排路18→伸縮用弁40→排出路14を経由して、オイルタンク15にそれぞれ排出される。
【0057】
以上の圧油の供給作動および排出作動により、前後の油圧シリンダ装置20Aおよび30Aが短縮作動されるため、右ウイング5Aは前後の油圧シリンダ装置20A、30Aのピストンロッド21A、31Aによって前後が同時に下降され、ウイングボデー3の右側が閉塞されて行く。
【0058】
右ウイング5Aが閉じられると、伸縮用弁40は図2に示された中立位置に戻される。この中立位置の状態においては、閉鎖時と同じ保持状態が作り出されるため、右ウイング5Aは閉じた状態を維持することができる。
【0059】
以上の実施形態によれば、伸縮用弁40のソレノイド49を1個として、逆方向の切り換えはパイロット路によって実施することにより、ソレノイドを低減することができるので、イニシャルコストおよびランニングコストを低減することができる。
【0060】
図12図15は本発明の第二実施形態を示している。
本実施形態において、本発明に係る油圧アクチュエータ駆動装置は、図12に示されたテールゲート車のテールゲート(荷受台)昇降装置として構成されている。
【0061】
図12に示されたテールゲート車101はトラック102の荷台103後端左右にそれぞれ垂直に立設された左ガイドポール104および右ガイドポール104Aを備えている。左ガイドポール104内には左スライダ107が垂直方向に摺動自在に嵌入されており、左スライダ107は左滑車105に巻き掛けられた左ワイヤ106を介して左側油圧シリンダ装置120に連結されている。右ガイドポール104A内には右スライダ107Aが垂直方向に摺動自在に嵌入されており、右スライダ107Aは右滑車105Aに巻き掛けられた右ワイヤ106Aを介して右側油圧シリンダ装置130に連結されている。左スライダ107と右スライダ107Aとの間には荷受台109が垂直姿勢と水平姿勢とを往復可能なように、左ヒンジ108および右ヒンジ108Aによって回動自在に架設されている。荷受台109は荷台103の後扉を垂直姿勢の状態で構成する。
【0062】
左側油圧シリンダ装置120は左ガイドポール104内で垂直方向上向きに設置されており、左側油圧シリンダ装置120のピストンロッド121の上端には他端が左スライダ107の上端に係止された左ワイヤ106の一端が係止されている。右側油圧シリンダ装置130は右ガイドポール104A内で垂直方向上向きに設置されており、右側油圧シリンダ装置130のピストンロッド131の上端には他端が右スライダ107Aの上端に係止された右ワイヤ106Aの一端が係止されている。
【0063】
次に、テールゲート昇降装置110の油圧回路の構成を図13について説明する。
図13に示されているように、テールゲート昇降装置110はDCモータ111によって回転駆動される油圧ポンプ112と、作動油が貯留されたオイルタンク115とを備えている。油圧ポンプ112の吸入ポートはオイルタンク115にフィルタ116を介して接続されており、油圧ポンプ112の吐出ポートには供給路113が接続されている。オイルタンク115には排出路114が接続されており、供給路113と排出路114との間にはリリーフ弁117が介設されている。
【0064】
左側油圧シリンダ装置120のシリンダ室はピストン122によって、上昇駆動側シリンダ室123と下降駆動側シリンダ室124とに仕切られている。上昇駆動側シリンダ室123には左側上昇駆動側分岐路(以下、左上げ路という)125が接続されており、下降駆動側シリンダ室124には左側下降駆動側分岐路(以下、左下げ路という)126が接続されている。
【0065】
右側油圧シリンダ装置130のシリンダ室はピストン132によって、上昇駆動側シリンダ室133と下降駆動側シリンダ室134とに仕切られている。上昇駆動側シリンダ室133には右側上昇駆動側分岐路(以下、右上げ路という)135が接続されており、下降駆動側シリンダ室134には右側下降駆動側分岐路(以下、右下げ路という)136が接続されている。
【0066】
左上げ路125と右上げ路126にはチェック弁127aおよび絞り弁127bとからなるスローリターン弁127が接続されている。スローリターン弁127は圧油を上昇駆動側シリンダ室123、133に供給する時にはチェック弁127aを開き、上昇駆動側シリンダ室123、133から圧油を排出する時にはチェック弁127aを閉じて絞り弁127bを介して徐々にタンクを排出し、荷受台109が急下降されるのを防止する。
左上げ路125のスローリターン弁127の下流側には迂回路128の一端が接続されており、迂回路128の他端は排出路114を経由してオイルタンク115に接続されている。迂回路128には常時閉じで非常時に開かれる止め弁129が介設されている。
【0067】
左上げ路125および右上げ路135と左下げ路126および右下げ路136とには、逆流を防止する第一パイロットチェック弁137および第二パイロットチェック弁138が接続されている。第一パイロットチェック弁137のパイロット回路137aは第二パイロットチェック弁138の一次側に接続され、第二パイロットチェック弁138のパイロット回路138aは第一パイロットチェック弁137の一次側に接続されている。
【0068】
供給路113および排出路114には、ソレノイドによって前進位置に切り換えられ、ポンプ112からの圧油によって後退位置に切り換えられる方向制御弁としての伸縮用方向制御弁(以下、伸縮用弁という)140が接続されている。
伸縮用弁140は8ポート・3位置・スプリングセンタ・パイロットおよびソレノイド操作形切換弁として構成されている。伸縮用弁140のポンプポートPは供給路113に接続され、タンクポートTは排出路路114に接続され、第一負荷ポートL1は第一給排路118に接続され、第二負荷ポートL2は第二給排路119に接続されている。
【0069】
以下、前記構成に係るテールゲート昇降装置110の作用を説明する。
【0070】
テールゲート車101の走行中、荷受台(テールゲート)109は荷台103を密閉する垂直姿勢に維持される。
この際、左側油圧シリンダ装置120および右側油圧シリンダ装置130は短縮状態にそれぞれ維持され、伸縮用弁40は図13に示された中立位置に維持されている。
【0071】
荷台103に対する荷の積み下ろし作業に際して、荷受台109は水平姿勢に移動される。
次に、伸縮用弁140が図14に示された伸長作動位置にソレノイド149によって切り換えられ、ポンプポートPが第一負荷ポートL1に接続され、タンクポートTが第二負荷ポートL2に接続される。
この切り換えにより、油圧ポンプ112の圧油は、供給路113→伸縮用弁140→第一給排路118→第一パイロットチェック弁137→スローリターン弁127のチェック弁127a→左上げ路125および右上げ路135を経由して、左側上昇駆動側シリンダ室123および右側上昇駆動側シリンダ室133にそれぞれ供給される。
同時に、第一パイロットチェック弁137の一次側からパイロット回路138aを介して油圧が印加され、第二パイロットチェック弁138が開かれ、第二パイロットチェック弁138の逆流が許容される状態になる。
左側油圧シリンダ装置120の下降駆動側シリンダ室124および右側油圧シリンダ装置130の下降駆動側シリンダ室134の圧油は、左下げ路126および右下げ路136→第二パイロットチェック弁138→第二給排路119→伸縮用弁140→排出路114を経由して、オイルタンク15にそれぞれ排出される。
以上の圧油の供給作動および排出作動により、左側油圧シリンダ装置120および右側油圧シリンダ装置130が伸長されると、左ワイヤ106および右ワイヤ106Aによって連結された左スライダ107および右スライダ107Aが下降するため、荷受台109は下降して行く。
荷受台109が所定の位置まで下降されると、伸縮用弁140は図13に示された中立位置に戻される。この中立位置の状態においては、扉閉鎖時と同じ保持状態が作り出されるため、荷受台109は下降状態を維持することができる。
【0072】
次に、下降された荷受台109が上昇されるに際しては、図13の中立状態において、ポンプ112がモータ111によって駆動される。ポンプ112が中立状態で駆動されると、ポンプ112の圧油が伸縮用弁140のパイロット路142に印加するので、伸縮用弁140は図15に示された短縮作動位置に自動的に切り換えられて、ポンプポートPが第二負荷ポートL2に接続され、タンクポートTが第一負荷ポートL1に接続される。
この切り換えにより、油圧ポンプ112の圧油は、供給路113→伸縮用弁140→第二給排路119→第二パイロットチェック弁138→左下げ路126および右下げ路136を経由して、左側下降駆動側シリンダ室124および右側下降駆動側シリンダ室134にそれぞれ供給される。
同時に、第二パイロットチェック弁138の一次側からパイロット回路137aを介して油圧が印加され、第一パイロットチェック弁137が開かれ、第一パイロットチェック弁137の逆流が許容される状態になる。
左側油圧シリンダ装置120の上昇駆動側シリンダ室123および右側油圧シリンダ装置130の上昇駆動側シリンダ室133の圧油は、左上げ路125および右上げ路135→第一パイロットチェック弁137→第一給排路118→伸縮用弁140→排出路114を経由して、オイルタンク15にそれぞれ排出される。
以上の圧油の供給作動および排出作動により、左側油圧シリンダ装置120および右側油圧シリンダ装置130が短縮されると、左ワイヤ106および右ワイヤ106Aによって連結された左スライダ107および右スライダ107Aが上昇するため、荷受台109は上昇して行く。
荷受台109が所定の位置まで上昇されると、伸縮用弁140は図13に示された中立位置に戻される。この中立位置の状態においては、扉閉鎖時と同じ保持状態が作り出されるため、荷受台109は上昇状態を維持することができる。
【0073】
以上の実施形態によれば、伸縮用弁140のソレノイド149を1個として、逆方向の切り換えはパイロット路によって実施することにより、ソレノイドを低減することができるので、イニシャルコストおよびランニングコストを低減することができる。
【0074】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0075】
油圧アクチュエータ駆動装置はウイング開閉装置やテールゲート昇降装置に使用するに限らず、テールゲートの開閉も油圧シリンダ装置によって実行する所謂全自動式テールゲート昇降装置やダンプカーの荷台昇降装置や乗用車のバックドア開閉装置等にも使用することができる。
【0076】
また、油圧アクチュエータ駆動装置は油圧シリンダ装置に使用するに限らず、前進および後退(正回転および逆回転)する油圧モータ等の油圧アクチュエータ全般に使用することができる。
【0077】
本発明は、ウイング車、テールゲート車、ダンプカーおよび乗用車等の自動車に限らず、鉄道等の車両全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1…ウイング車、2…トラック、3…ウイングボデー、4…左支軸、4A…右支軸、5…左ウイング、5A…右ウイング、6…荷台、7…横根太、
10…ウイング開閉装置(油圧アクチュエータ駆動装置)、11…DCモータ、12…油圧ポンプ、13…供給路、14…排出路、15…オイルタンク、16…フィルタ、17…リリーフ弁、18…第一給排路、19…第二給排路、
20…前側油圧シリンダ装置(第一アクチュエータ)、21…ピストンロッド、22…ピストン、23…前側上昇駆動側シリンダ室、24…前側下降駆動側シリンダ室、25…左前上げ路(前側上昇駆動側分岐路)、26…左前下げ路(前側下降駆動側分岐路)、27…スローリターン弁、27a…チェック弁、27b…絞り弁、28…迂回路、29…止め弁、
30…後側油圧シリンダ装置(第一アクチュエータ)、31…ピストンロッド、32…ピストン、33…後側上昇駆動側シリンダ室、34…後側下降駆動側シリンダ室、35…左後上げ路(後側上昇駆動側分岐路)、36…左後下げ路(後側下降駆動側分岐路)、
37…第一パイロットチェック弁、37a…パイロット回路、37b…弁室、37c…一次ポート、37d…二次ポート、37e…弁座、37f…弁体、37g…スプリング、37h…パイロット弁体、37i…ニップル、
38…第二パイロットチェック弁、38a…パイロット回路、38b…弁室、38c…一次ポート、38d…二次ポート、38e…弁座、38f…弁体、38g…スプリング、38h…パイロット弁体、38i…ニップル、
20A…前側油圧シリンダ装置(第二アクチュエータ)、21A…ピストンロッド、22A…ピストン、23A…前側上昇駆動側シリンダ室、24A…前側下降駆動側シリンダ室、25A…右前上げ路(前側上昇駆動側分岐路)、26A…右前下げ路(前側下降駆動側分岐路)、27A…スローリターン弁、27Aa…チェック弁、27Ab…絞り弁、28A…迂回路、29A…止め弁、
30A…後側油圧シリンダ装置(第二アクチュエータ)、31A…ピストンロッド、32A…ピストン、33A…後側上昇駆動側シリンダ室、34A…後側下降駆動側シリンダ室、35A…右後上げ路(後側上昇駆動側分岐路)、36A…右後下げ路(後側下降駆動側分岐路)、
37A…第一パイロットチェック弁、37Aa…パイロット回路、37Ab…弁室、37Ac…一次ポート、37Ad…二次ポート、37Ae…弁座、37Af…弁体、37Ag…スプリング、37Ah…パイロット弁体、37Ai…ニップル、
38A…第二パイロットチェック弁、38Aa…パイロット回路、38Ab…弁室、38Ac…一次ポート、38Ad…二次ポート、38Ae…弁座、38Af…弁体、38Ag…スプリング、38Ah…パイロット弁体、38Ai…ニップル、
40…伸縮用弁(昇降用方向制御弁、前後用方向制御弁)、41…スプール孔、42…スプール、43…左プレート、44…右プレート、45…左スプリング、46…右スプリング、47…左スプリングシート、48…右スプリングシート、49…ソレノイド、49a…プランジャ、
41a…第一弁座、41b…第二弁座、41c…第三弁座、41d…第四弁座、41e…第五弁座、41f…第一室、41g…第二室、41h…第三室、41i…第四室、41j…第五室、41k…第六室、
42a…第一弁体、42b…第二弁体、42c…第三弁体、42d…第四弁体、42e…第五弁体、42f…パイロット路、
50…選択用弁(選択用方向制御弁)、51…スプール孔、52…スプール、53…左プレート、54…右プレート、55…左スプリング、56…右スプリング、57…スプリングシート、58…右スプリングシート、59…ソレノイド、59a…プランジャ、
51a…第一弁座、51b…第二弁座、51c…第三弁座、51d…第四弁座、51e…第五弁座、51f…第一油路、51g…第二油路、51h…第三油路、
52a…第一弁体、52b…第二弁体、52c…第三弁体、52d…第四弁体、52e…第五弁体52e、52f…パイロット路、
70…弁組立体、71…左用チェック弁ブロック(左ウイング用パイロットチェック弁ブロック)、72…方向制御弁ブロック、73…右用チェック弁ブロック(右ウイング用パイロットチェック弁ブロック)、74…ボルト、
75…排出側油路、76…タンク側油路、77…シリンダ側油路、78…弁座、79…弁体、
75A…排出側油路、76A…タンク側油路、77A…シリンダ側油路、78A…弁座、79A…弁体。
101…テールゲート車(車両)、103…荷台、104…左ガイドポール、104A…右ガイドポール、109…荷受台(テールゲート)、110…テールゲート昇降装置、111…DCモータ、112…油圧ポンプ、113…供給路、114…排出路、115…オイルタンク、116…フィルタ、117…リリーフ弁、120…左側油圧シリンダ装置、121…ピストンロッド、122…ピストン、123…上昇駆動側シリンダ室、124…下降駆動側シリンダ室、125…左側上昇駆動側分岐路(左上げ路)、126…左側下降駆動側分岐路(左下げ路)、127…スローリターン弁、128…迂回路、129…止め弁、130…右側油圧シリンダ装置、131…ピストンロッド、132…ピストン、133…上昇駆動側シリンダ室、134…下降駆動側シリンダ室、135…右側上昇駆動側分岐路(右上げ路)、136…右側下降駆動側分岐路(右下げ路)、
140…伸縮用方向制御弁(伸縮用弁)、142…パイロット路、149…ソレノイド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15