特許第6180169号(P6180169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180169
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】車両のハザードランプ制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/44 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   B60Q1/44 C
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-90885(P2013-90885)
(22)【出願日】2013年4月24日
(65)【公開番号】特開2014-213660(P2014-213660A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105980
【弁理士】
【氏名又は名称】梁瀬 右司
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(72)【発明者】
【氏名】橋目 譲
(72)【発明者】
【氏名】小澤 宏二
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕之
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−069245(JP,A)
【文献】 特開2010−030376(JP,A)
【文献】 特開2012−184737(JP,A)
【文献】 特開平07−125572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンチロックブレーキシステムを搭載し、所定の緊急制動表示作動条件が成立したときにハザードランプを点滅制御して緊急制動表示を実行する機能を有する車両であって、
前記緊急制動表示作動条件の成立時に前記ハザードランプの点滅要求信号を送信し、所定の緊急制動表示停止条件の成立時に前記点滅停止信号を送信する第1の制御手段と、
前記第1の制御手段からの前記点滅要求信号および前記点滅停止信号を中継する中継手段と、
前記中継手段を介した前記点滅要求信号の受信により前記ハザードランプを点滅制御するとともに、前記点滅要求信号に基づく所定の点滅周期での前記ハザードランプの点滅制御中にハザードスイッチのオン操作があれば前記ハザードスイッチのオン操作に基づく前記所定の点滅周期よりも遅い点滅周期での前記ハザードランプの点滅制御を優先する第2の制御手段とを備え、前記第2の制御手段と前記中継手段との間の通信速度が、前記第1の制御手段と前記中継手段との間の通信速度よりも遅い車両のハザードランプ制御装置において、
前記第1の制御手段は、前記緊急制動表示作動条件が成立しているときには前記点滅要求信号の送信を継続し、
前記第2の制御手段は、前記ハザードスイッチがオフ操作されたときに、前記中継手段を介して前記第1の制御手段からの前記点滅要求信号を受信すると、該点滅要求信号に基づき前記ハザードランプを前記所定の点滅周期で点滅制御することを特徴とする車両のハザードランプ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アンチロックブレーキシステムを搭載し、所定の緊急制動表示作動条件が成立したときにハザードランプを点滅制御する緊急制動表示を実行する車両のハザードランプ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、急ブレーキを掛けた場合や、濡れた路面等の低摩擦路でブレーキ操作した場合に、車輪がロックによって路面上をスリップすることを防止するために、車両にアンチロックブレーキシステム(以下では、ABSという)を搭載することが行われている。さらに、この種のABSに加えて、後続車に対する緊急制動時の警報のために、所定速度以上で走行中に所定の減速度以上で減速するときに、ハザードランプを点滅制御する緊急制動表示灯システム(ESS:Emergency Stop signal System)を搭載することも考えられている(特許文献1参照)。なお、ABSは周知のように、Antilock Brake Systemの略である。また、以下ではESSを緊急制動表示の意味でも使用する。
【0003】
このようなESS(緊急制動表示)の制御に関して、車両保安基準にハザードランプ点滅制御のための緊急制動表示作動条件と緊急制動表示停止条件が定められている。すなわち、車速50km/h以上の車体の減速度が6.0m/s以上のとき、または、車速50km/h以上でかつABSの作動中のときに、緊急制動表示作動条件が成立したとして、ハザードランプが、通常のハザードスイッチ操作時よりも早い周期(3〜4Hz)での点滅が許可される一方、ESSの作動開始後の車体の減速度が2.5m/s以下のとき、または、ESSの作動開始後でかつABSの作動解除のときに、緊急制動表示停止条件が成立したとして、ハザードランプの点滅が停止されなければならない旨、保安基準に規定されている。
【0004】
そして、車速および減速度は、マイクロコンピュータ構成のECU(Electronic Control Unit)から成りABS制御を司るABSECUにより検出され、ハザードランプの点滅・停止は、エアコンやランプ、パワーウィンドその他内装品の制御を司るボデーECUにより制御されるのが一般的であり、前者のABSECUは、エンジン等を制御するパワートレイン制御やステアリングなどを制御するシャシー制御などと同様、高速の通信速度及び信頼性が求められるため、通信プロトコルとして多重通信プロトコルであるCAN(Controller Area Network)が採用されるのに対し、後者のボデーECUはパワートレイン制御やシャシー制御ほどの通信速度や信頼性が必要ではないことから、コスト的な観点からも安価なシステムで構築可能な通信プロトコルであるLIN(Local Interconnect Network)が採用されることが多い。
【0005】
このとき、CANでは通信周期10msごとに通信バスを介してデータの送受信を行い、LINでは通信周期80msごとに通信バスを介してデータの送受信を行うため、同期の取れていない両ECU間に中継手段として例えばメータ回路などを設け、このメータ回路とABSECUとの間で10msごとにデータの送受信を行い、メータ回路とボデーECUとの間で80msごとにデータの送受信を行う形態が採られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−1215572号公報(段落0010−0011および図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このようにメータ回路を中継してABSECUとボデーECUとの間でデータの送受信を行う構成の場合に、上記した緊急制動表示作動条件および緊急制動表示停止条件の成立はABSECUにより判断され、それに伴ってESS(緊急制動表示)の作動のための点滅要求信号および停止のための点滅停止信号がABSECUからメータ回路に送信される。
【0008】
そのため、車速が50km/h以上で減速度が6.0m/s以上になり、または、車速が50km/h以上でABSが作動されることによって緊急制動表示作動条件が成立すると、ABSECUから10msごとに作動信号がCANの通信バスを介してメータ回路に送信され、メータ回路からLINの通信バスを介してボデーECUに点滅要求信号が送信され、この点滅要求信号を受けてボデーECUによりハザードランプが3〜4Hzの周期で点滅するように制御される。
【0009】
一方、ESSの作動後に減速度が2.5m/s以下になり、または、ESS作動後にABSが作動解除されることによって緊急制動表示停止条件が成立すると、ABSECUから10msごとに停止信号がCANの通信バスを介してメータ回路に繰り返し送信され、メータ回路からLINの通信バスを介してボデーECUに点滅停止信号が送信され、ボデーECUによりハザードランプの点滅が停止される。このとき、ABSECUからの点滅要求信号または点滅停止信号がボデーECUにより受信されるまでに90ms(=10ms+80ms)の時間遅れが発生する。
【0010】
また、ボデーECUには、ドライバ等がオンオフ操作するハザードスイッチの操作信号も入力されるようになっており、ハザードスイッチのオン操作信号は点滅要求信号に優先されるため、ESS作動中にハザードスイッチのオン操作信号がボデーECUに入力されると、このオン操作信号に基づき、ハザードランプがESS作動時よりも遅い周期で点滅制御される。このとき、ハザードスイッチのオン操作を優先するために、ハザードスイッチのオン操作があったことを知らせるデータがボデーECUからメータ回路を介してABSECUに送信されることにより、ABSECUは点滅要求信号および点滅停止信号の送信を停止する。
【0011】
しかし、このようにハザードスイッチのオン操作信号に基づきハザードランプが点滅制御されている状態でハザードスイッチがオフされると、ボデーECUにオフ操作信号が入力され、これを受けてABSECUは、緊急制動表示作動条件または緊急制動表示停止条件が成立しているかどうか常時判断し、メータ回路を介してボデーECUに点滅要求信号または点滅停止信号を送信する。
【0012】
そのため、ボデーECUは、ABSECUからの点滅要求信号または点滅停止信号を再び受信することで、緊急制動表示作動条件が継続して成立している状態にあるのか、緊急制動表示作動条件は成立しないが緊急制動表示停止条件の成立には至っていない状態にあるのか、緊急制動表示停止条件が成立している状態にあるのかを判断することになり、ボデーECUが、ハザードスイッチのオフ操作のデータを送信してからABSECUからの信号を受信するまでに往復で180msの時間を要するため、ハザードスイッチがオフ操作されてから180ms後にボデーECUがABSECUからの点滅要求信号を再び受信するまでの間はボデーECUによりハザードランプは消灯状態となり、実際にはハザードスイッチのオフ時点で緊急制動表示作動条件が成立していてESSを直ぐに作動すべきであるにも拘わらずESSが作動しない、という不整合が生じるという問題がある。
【0013】
なお、両ECUの通信プロトコルの通信速度を一致させて同期したシステムを構成することも考えられるが、コストの上昇を招くという新たな不都合が生じる。
【0014】
本発明は、中継手段を介して通信速度の異なる2つの制御手段の間で緊急制動表示機能に基づく緊急制動表示を行う場合に、安価な構成により、ハザードランプの点滅制御を的確に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記した目的を達成するために、本発明の車両のハザードランプ制御装置は、アンチロックブレーキシステムを搭載し、所定の緊急制動表示作動条件が成立したときにハザードランプを点滅制御して緊急制動表示を実行する機能を有する車両であって、前記緊急制動表示作動条件の成立時に前記ハザードランプの点滅要求信号を送信し、所定の緊急制動表示停止条件の成立時に前記点滅停止信号を送信する第1の制御手段と、前記第1の制御手段からの前記点滅要求信号および前記点滅停止信号を中継する中継手段と、前記中継手段を介した前記点滅要求信号の受信により前記ハザードランプを点滅制御するとともに、前記点滅要求信号に基づく所定の点滅周期での前記ハザードランプの点滅制御中にハザードスイッチのオン操作があれば前記ハザードスイッチのオン操作に基づく前記所定の点滅周期よりも遅い点滅周期での前記ハザードランプの点滅制御を優先する第2の制御手段とを備え、前記第2の制御手段と前記中継手段との間の通信速度が、前記第1の制御手段と前記中継手段との間の通信速度よりも遅い車両のハザードランプ制御装置において、前記第1の制御手段は、前記緊急制動表示作動条件が成立しているときには前記点滅要求信号の送信を継続し、前記第2の制御手段は、前記ハザードスイッチがオフ操作されたときに、前記中継手段を介して前記第1の制御手段からの前記点滅要求信号を受信すると、該点滅要求信号に基づき前記ハザードランプを前記所定の点滅周期で点滅制御することを特徴としている(請求項1)。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、第1の制御手段から中継手段を介した点滅要求信号が第2の制御手段により受信されると、第2の制御手段により、この点滅要求信号に基づきハザードランプが点滅制御されるとともに、点滅要求信号に基づくハザードランプの点滅制御中にハザードスイッチのオン操作があると、第2の制御手段によりハザードスイッチのオン操作に基づくハザードランプの点滅制御が優先される場合において、緊急制動表示作動条件が成立しているときには、第1の制御手段により点滅要求信号の送信が継続され、ハザードスイッチのオフ操作時に、第2の制御手段により中継手段を介して第1の制御手段からの点滅要求信号が受信されると、第2の制御手段により、この点滅要求信号に基づきハザードランプが点滅制御される。
【0017】
そのため、ハザードスイッチのオン操作に基づくハザードランプの点滅制御が優先されている状態で、ハザードスイッチのオフ操作があっても、第1の制御手段から定期的に送信されてくる点滅要求信号を第2の制御手段が受信することより、受信した点滅要求信号に基づき引き続き緊急制動表示(ESS)が作動され、第1の制御手段から点滅要求信号が送信されなければ、緊急制動表示(ESS)が作動されることはない。
【0018】
したがって、点滅要求信号に基づくハザードランプの点滅制御中にハザードスイッチのオン操作に基づき、ハザードランプが点滅制御されている状態でハザードスイッチがオフ操作された時点において、第1の制御手段からの点滅要求信号があれば、この点滅要求信号に基づく緊急制動表示(ESS)が引き続き作動されるため、両制御手段間でのデータの送受信の時間遅れに起因した従来のような不整合を防止でき、中継手段を介して通信速度の異なる2つの制御手段の間で緊急制動表示の制御を行う場合に、安価な構成により、ハザードランプの点滅制御を的確に行うことが可能な制御装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の車両のハザードランプ制御装置の一実施形態のブロック図である。
図2図1の動作説明用フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
つぎに、本発明の一実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
【0021】
図1において、1は急制動に伴う車輪ロックによるスリップ防止のためのABS制御および横滑り防止のためのVSC(Vehicle Stability Control)制御を司るマイクロコンピュータ構成のABS/VSCECUであり、車速および減速度を検出し、CAN通信により10msごとに通信バスを介してデータの送受信を行う。2はハザードランプ3の点滅・停止のほかエアコンやランプ、パワーウィンドその他内装品の制御を司るマイクロコンピュータ構成のボデーECUであり、LIN通信により80msごとに通信バスを介してデータの送受信を行う。なお、ABS/VSCECU1が本発明における第1の制御手段に相当し、ボデーECU2が本発明における第2の制御手段に相当する。
【0022】
また、ボデーECU2には、ドライバ等がオンオフ操作するハザードスイッチ4の操作信号が入力され、このハザードスイッチ4のオン操作信号はESS(緊急制動表示)の作動信号である点滅要求信号に優先されるようになっており、ESSの作動中にハザードスイッチのオン操作信号がボデーECU2に入力されると、このオン操作信号に基づき、ボデーECU2により、ハザードランプ3がESSでの作動時よりも遅い周期で点滅制御される。
【0023】
さらに、図1において、5は両ECU1,2間に設けられた中継手段としてのメータ回路であり、このメータ回路5とABS/VSCECU1との間で10msごとにデータの送受信を行い、メータ回路5とボデーECU2との間で80msごとにデータの送受信を行う。
【0024】
ところで、ABS/VSCECU1は、検出した車速および減速度から、車両保安基準に定められている緊急制動表示作動条件(以下、ESS作動条件という)および緊急制動表示停止条件(以下、ESS停止条件という)が成立するかどうか判断する。すなわち、車速50km/h以上の車体の減速度が6.0m/s以上のとき、または、車速50km/h以上でかつABSの作動中のときに、ESS作動条件が成立したと判断して点滅要求信号を10ms毎に繰り返し送信する一方、ESSの作動開始後の車体の減速度が2.5m/s以下のとき、または、ESSの作動開始後でかつABSの作動解除のときに、ESS停止条件が成立したと判断して点滅停止信号を送信する。
【0025】
そして、メータ回路5を介してボデーECU2が点滅要求信号を受信すると、ボデーECU2により、ハザードランプ3がハザードスイッチ4のオン操作時よりも早い周期(3〜4Hz)で点滅制御されてESS(緊急制動表示)がなされ、ボデーECU2が点滅停止信号を受信すると、ハザードランプ3の点滅が停止されてハザードランプ3は消灯する。
【0026】
また、メータ回路5を介してボデーECU2が点滅要求信号を受信してESS(緊急制動表示)が作動している状態で、ドライバ等によりハザードスイッチ4がオン操作されると、このハザードスイッチ4のオン操作信号がESS(緊急制動表示)の作動のための点滅要求信号に優先され、ボデーECU2によりハザードランプ3がESS作動時よりも遅い周期で点滅制御される。
【0027】
さらに、ボデーECU2は、従来とは異なり、ハザードスイッチ4のオン操作後もESS作動条件およびESS停止条件が成立しているかどうかの判断を継続し(ステップS1)、図2のステップS2に示すように、(1)ESS作動条件が成立しているときには、ABS/VSCECU1はESS作動のために10msごとに点滅要求信号の送信を継続した後、上記したステップS1に戻り、(2)ESS作動条件は不成立であるがESS停止条件の成立までは至っていないとき、つまりESS作動条件もESS停止条件も不成立のとき、および、(3)ESS停止条件が成立しているときには、ABS/VSCECU1はESS停止のために点滅停止信号を10msごとに送信する(ステップS3)。
【0028】
そして、ハザードスイッチ4のオン操作信号に基づくハザードランプ3の点滅制御に切り替わった後に、ハザードスイッチ4がオフ操作されてボデーECU2にオフ操作信号が入力されたときに、ABS/VSCECU1から継続して送信されている点滅要求信号がボデーECU2により受信されると、ボデーECU2により、受信された点滅要求信号に基づきハザードランプ3がESSの作動周期で点滅制御され、それまでのハザードスイッチ4のオン操作に基づくハザードランプ3の点滅制御から、ESSのハザードランプ3の点滅制御に時間遅れなく切り替わる。
【0029】
一方、ハザードスイッチ4のオン操作信号に基づくハザードランプ3の点滅制御に切り替わった後、ハザードスイッチ4がオフ操作されてボデーECU2にオフ操作信号が入力されたときに、ボデーECU2により、ABS/VSCECU1からの点滅停止信号が受信されると、この点滅停止信号に基づきハザードランプ3は消灯したままとなる。
【0030】
したがって、上記した実施形態によれば、ABS/VSCECU1からのメータ回路5を介して点滅要求信号がボデーECU2により受信されると、ボデーECU2により、この点滅要求信号に基づきハザードランプ3が点滅制御されるとともに、点滅要求信号に基づくハザードランプ3の点滅制御中にハザードスイッチ4のオン操作があると、ボデーECU2によりハザードスイッチ4のオン操作に基づくハザードランプ3の点滅制御が優先される場合において、ハザードスイッチ4のオン操作があった後にESS作動条件が成立しているときには、ABS/VSCECU1により点滅要求信号の送信が継続され、ハザードスイッチ4のオフ操作時に、ボデーECU2によりABS/VSCECU1からの点滅要求信号が受信されると、ボデーECU2により、この点滅要求信号に基づきハザードランプ3が点滅制御されるため、ハザードスイッチ4のオン操作に基づくハザードランプ3の点滅制御が優先されている状態で、ハザードスイッチ4のオフ操作があっても、ABS/VSCECU1から送信された点滅要求信号をボデーECU2が受信することより、受信した点滅要求信号に基づきESSが作動される。
【0031】
その結果、ESSのための点滅要求信号に基づくハザードランプ3の点滅制御中にハザードスイッチ4のオン操作に基づき、ハザードランプ3が点滅制御されている状態でハザードスイッチ4がオフ操作された時点において、ABS/VSCECU1からの点滅要求信号があれば、この点滅要求信号に基づくESS(緊急制動表示)が引き続き作動されるため、両ECU1,2間でのデータの送受信に時間な遅れに起因した従来のような不整合を防止でき、メータ回路5を介して通信速度の異なる2つのECU1,2の間でESSの制御を行う場合に、安価な構成により、ハザードランプ3の点滅制御を的確に行うことができる。
【0032】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行なうことが可能である。
【0033】
上記した実施形態では、中継手段をメータ回路とした例を示したが、中継手段はメータ回路に限定されるものではない。また、中継手段は1つに限らず、2以上の中継手段が第1、第2の制御手段の間に介在する場合であっても、本発明を実施することができる。
【0034】
また、上記した実施形態では、第1の制御手段をABS/VSCECU1とし、第2の制御手段をボデーECU2とした場合について説明したが、第1、第2の制御手段はこれらECUに限定されるものではなく、中継手段を介してデータの送受信を行う通信速度の異なる2つの制御手段であればどのようなものであってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 …ABS/VSCECU(第1の制御手段)
2 …ボデーECU(第2の制御手段)
3 …ハザードランプ
4 …ハザードスイッチ
5 …メータ回路(中継手段)
図1
図2