(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180175
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】統合された安定的振動防止装置を備えた車両用座席はさみ型懸架装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/54 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
B60N2/54
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-99109(P2013-99109)
(22)【出願日】2013年5月9日
(65)【公開番号】特開2013-241176(P2013-241176A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2016年3月8日
(31)【優先権主張番号】13/476,250
(32)【優先日】2012年5月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591076268
【氏名又は名称】シアーズ・マニュファクチュアリング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】SEARS MANUFACTURING COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138438
【弁理士】
【氏名又は名称】尾首 亘聰
(74)【代理人】
【識別番号】100138519
【弁理士】
【氏名又は名称】奥谷 雅子
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100161539
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 美子
(74)【代理人】
【識別番号】100166637
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100177356
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘昭
(72)【発明者】
【氏名】ブロダーセン、コール・ティ
【審査官】
永安 真
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−070544(JP,A)
【文献】
実開平05−022169(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0285006(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部ハウジング;
車両座席を支持するのに適しており、そして縦方向に伸びる側面軌道を持つ上部ハウジング;
前記下部ハウジング及び前記上部ハウジングを連結し、下部ハウジングに対して上部ハウジングを垂直に可動させることの出来るはさみ型連結アセンブリであって、前記はさみ型連結アセンブリは2つの対になった連結部分及び横方向に延びており、連結部分の上端を係合する前方及び後方の横材を含むことを特徴とするはさみ型連結アセンブリ;
前方及び後方への移動路に沿って、上部ハウジングを下部ハウジングに対して移動させることを可能にする往復移動手段であって、前記往復移動手段は、その各々が水平軸に沿って配置されている複数の側面ローラを含み、前記側面ローラは、前記はさみ型連結アセンブリに載置され、そして上部ハウジングの側面軌道内に配置されていることを特徴とする往復移動手段;
上部ハウジングに載置され、そして前方及び後方への移動路に平行に配置されている細長い案内部材;及び
それぞれが垂直軸を持ち、そしてはさみ型連結アセンブリの横材の一つに載置されている2つのガイド係合ローラであって、前記ガイド係合ローラは、間隔を置いて配置されている前記細長い案内部材と共に、上部ハウジングを前方及び後方への移動路に直交する方向に安定させることを特徴とするガイド係合ローラ;
を具備する車両座席懸架装置。
【請求項2】
各々の横材はそれぞれ中間片寄り(offset)部分を持ち、各ガイド係合ローラは、これらの横材の片寄り部分の一つに載置されている、請求項1の車両座席懸架装置。
【請求項3】
はさみ型連結アセンブリが上部ハウジングを垂直に動かす場合に、回転軸の角度の変異を許容する様に各ガイド係合ローラが凸部形状の上部表面を持つ、請求項1の車両座席懸架装置。
【請求項4】
各側面ローラははさみ型連結アセンブリの連結部分の一つの上端に近い位置にあり、この連結部分の上端から横方向、外側に伸びている、請求項1の車両座席懸架装置。
【請求項5】
前記細長い案内部材が2つのチャンネルを持ち、2つのチャンネルの各々は上部ハウジングの下側に取付けられている、請求項1の車両座席懸架装置。
【請求項6】
前記2つのチャンネルが上部ハウジングの横方向の異なる位置に配置されている、請求項5の車両座席懸架装置。
【請求項7】
前記2つのガイド係合ローラが複数の側面ローラと同じ水平面に位置する、請求項1の車両座席懸架装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、一般的に車両の座席に関する。より詳しくは、本願発明ははさみ型懸架アセンブリを用いた、座席懸架機能を向上させるために安定した統合振動防止システムを備えた車両の座席懸架装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、車両の座席に関する技術分野において、座席に対して前方、後方及び側面から加えられる望ましくない力の影響を低減させる機構又はシステムを提供することは常識となっている。これらのいわゆる、「前方及び後方」及び「側面方向」等に備える「振動防止装置」は、通常、一組のローラ上で前後に動く、測面軌道を持つ振動防止板を備えている。しかし、これらの従来技術の振動防止装置にはある種の不利益が伴うという問題がある。そのサイズと許容度上の制約のため、これらの従来技術の振動防止システムは、傾斜し又は、軌道とローラの間で干渉及び摩擦を増大させると言う「問題を起こす」傾向がある。さらに、車両が、オフロード車両でしばしば起きることであるが、平坦でない場所を動く場合、振動防止装置軌道は、ローラの側面に触れて、そのため好ましくない干渉及び摩擦を起こすこともある。これらの問題のいずれも、懸架装置の使用寿命を低減させ、又は修理を必要とする事態を招く。さらに、これらの従来技術の振動防止装置は、座席で感知される「弛み」の感覚を引き起こすこともあり、これは、座席に座る人に好ましくない。
近年、横方向の安定化をもたらす、改良された車両座席振動防止装置が市場に紹介されており、そして米国特許番号7,922,142号に開示されている。この装置は機能的には満足できるものであるが、開示されたはさみ型懸架装置アセンブリ及び振動防止装置は別個の機器であり、そのためコストが増大しまた収容のための空間が必要となる。
【発明の概要】
【0003】
本願発明は、安定化された又は案内機構を持つ振動防止装置システムを持ち、従来技術の欠点を克服する車両座席懸架装置に関する。さらに、本願発明は、機械的に簡単で、信頼性のある、コストの掛からない設計による、向上した振動防止性能を提供する。重要なことは、本願発明は、はさみ型懸架アセンブリにおける振動防止機能を統合するものであり、したがって、装置の全体はよりコンパクトになって、操作のために必要な空間はより小さくて済む。
本願発明の車両座席懸架装置は、下部ハウジング、車両座席を支持するのに適した、縦方向に延びる側面軌道を持つ上部ハウジング、並びに下部ハウジング及び上部ハウジングを連結し、下部ハウジングに対して上部ハウジングを垂直に可動させることの出来るはさみ型連結アセンブリを持つ。はさみ型連結アセンブリは2つの対になった連結部分及び横方向に伸びて、連結部分の上端を係合する前方及び後方の横材を含む。車両座席懸架装置は、また、前方及び後方への移動路に沿って、上部ハウジングを下部ハウジングに対して移動させることを可能にする往復移動手段を含み、往復移動手段は水平軸に沿って配置されている、複数のローラを含み、ローラは、はさみ型連結アセンブリに載置せられ又ははさみ型連結アセンブリにより支持されており、そして上部ハウジングの側面軌道内に配置されており、細長い案内部材が上部ハウジングに載置されており、そして前方及び後方への移動路に通常平行に配置されており;そして、2つのガイド係合ローラを持ち、各ガイド係合ローラはそれぞれ通常垂直軸を持ち、そしてはさみ型連結アセンブリ横材の一つに載置されている。ガイド係合ローラは、間隔を置いて配置されている案内部と共に、上部ハウジングを通常前方及び後方への移動路に直交する方向に安定させる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本願発明の新規な特徴は特許請求の範囲に記載されている。しかし、本願発明の好ましい実施の態様は、その更なる目的及び利益と共に、添付の図面とあわせて以下の明細書の記載を参照することにより、もっともよく理解されるであろう。図面の内容は以下の通りである。
【
図1】
図1は、本願発明のある好ましい実施の態様における斜視図であり、内部の構成を明確にするため、一部の部分については取り外したものとなっている。
【
図2】
図2は
図1に示す本願発明の実施の態様の正面図であり、装置の部分については、
図1の直線2−2における断面図を示す。
【
図4】
図4は
図3の直線4−4における部分断面図であり、本願発明のある好ましい実施の態様におけるガイドローラの構成を示す。
【
図5A5B】
図5A及び5Bは、車両座席懸架装置が傾斜位置にある場合の本願発明の安定化機能を示す正面図である。
【
図6A6B】
図6A及び6Bは、座席懸架装置の位置が異なる高さに移動する場合に、ガイドローラの動きの好ましい実施の態様を示す部分断面図及び概略図の組み合わせ図である。
【0005】
図1及び2を参照して説明すると、本願発明の改良された座席懸架装置は通常符号10で示し、この座席懸架装置には、下部ハウジング又は基台12、上部ハウジング又はプラットフォーム14、及びはさみ型連結アセンブリ16を含む。はさみ型連結アセンブリは当業者に良く知られており、ここでは詳細な説明は差し控える。しかし、通常はさみ型連結アセンブリは2対のはさみ型連結部分よりなり、外側の対の各連結部分は符号20で、内側の対の各連結部分は符号22で示される。さらに、前方の横材又はシャフト24は内側の連結部分22の上部端同志を連結し、後方の横材又はシャフト26は外側の連結部分20の上部端同志を連結する。側面ローラ30は連結部分20及び22の上端に近い位置にあり、通常水平回転軸に沿ってこれらの連結部分から横方向、外側に延びている。
上部ハウジング14は縦方向に延びる側面軌道32を持ち、この側面軌道は側面ローラ30を収容し、それによって上部ハウジングが前方及び後方への移動路に沿って、下部ハウジング12に対して往復運動し、すなわち、前後に動くことが出来る。上部ハウジング14は一対のバネ36及びショックアブソーバ38によりはさみ型連結アセンブリに機械的に連結されており、車両が平坦でない平面を通過する際に、座席懸架装置に加えられた望ましくない力によって、上部ハウジング及びこのハウジングにより支持されている座席及び車両の運転者が与えられる振動を抑制している。この様な方法により、本願発明の好ましい実施の態様においては、振動防止装置及びはさみ型懸架構造は統合されたものであり、よりコンパクトで効果的な座席懸架アセンブリを提供している。
上記の米国特許番号7,922,142は、装置が平坦でない道路状況に曝されたときの、座席振動防止機器に生ずる問題について記述している。座席振動防止機器に側面方向の荷重がかかった場合、その構造で使用されているローラが使用予定期間前に作動しなくなる、又は振動防止装置が傾斜することがある。この問題は機器のサイズを精密に採取すること及び製造過程で十分注意を払うことにより改善される。しかし、この様なアプローチは難しく、またコストが掛かる。本願発明では、その好ましい実施の態様に記載の様に、側面方向の荷重の問題は、全て解消すると言うものではないが、上部ハウジング14の下側に取り付けられた細長い案内部材又はチャンネル40を、はさみ型懸架装置の横木24及び26に載置されている一対の支援ガイドローラ42と共に使用することにより最小に抑えることが出来る。
好ましくは、案内部材40は、上部ハウジングの下側に沿って縦方向に伸びるが、互いに横方向において段差を持つ位置にある2つのチャンネルセグメント41及び43を含む。すなわち、2つのチャンネルセグメント41及び43は横方向で見た場合、異なる横方向の位置にある。ガイドローラ42は、縦方向において、間をおいた位置にある案内部材40に係合しているので、この配置は、通常前方及び後方への移動路に直交する方向に上部ハウジングを安定化させる。これにより、さらに、側面ローラ30の時期早尚の摩耗を減少させ、振動防止装置の傾斜の可能性を低減させる。この内容は
図5A及び5Bに開示されており、この図によると、座席懸架装置が比較的厳しいサイドアングル(side angle)をなす位置にある場合においても、軌道32の内側及びガイドローラ30の外側の間で僅かにスペースがあることを示している。
図4、5A及び5B,6A及び6Bに最も明確に示されている様に、横木24及び26は各々中間片寄り(offset)部分44及び46を持ち、ガイドローラ42は、通常垂直である回転軸を持つこれらの片寄り部分に載置されている。しかし、はさみ型懸架装置が上部ハウジングを垂直に動かすと、横木24、26は小さい弧を通して回転し、これがさらにローラ42を真の垂直位置から移動させて、アセンブリの前面又は後面に向けて僅かに傾斜させる。これは
図6A及び6Bに開示されている。ローラ42がこのように傾斜しても良いように、夫々は通常凸部形状の上部外部表面48を持つ。また、横木24及び26の片寄り(offset)により、はさみ型懸架装置が動く場合、ローラ42はその全移動円弧を通して、側面ローラ30と殆ど同じ水平面に位置する。
図3は振動防止機能を不作動にするために使用される簡単なロックアウト機器を示す。ロックアウト機器は後部横木26に対して固定位置にあるロックピン50及び上部ハウジングの下側に載置された旋回ラッチ機構52を持つ。ラッチ機構52は旋回ピン54を中心に旋回し、ラッチをロックピン50と係合させる様に動かすバイアスバネ56を持つ。アクチュエータ レバー58は連結部分59に作用してラッチ52を係合した、又は係合を解いた位置に動かす様に作用する。
当業者は、本願発明の精神から逸脱することなく、記載された実施の態様に種々の変更及び修正を加えることが出来ることを了解すべきである。その様な変更及び修正は、本願発明の特許請求の範囲に含まれるものである。