特許第6180181号(P6180181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6180181-吸収性物品 図000011
  • 特許6180181-吸収性物品 図000012
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180181
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/53 20060101AFI20170807BHJP
   A61F 13/514 20060101ALI20170807BHJP
   A61F 13/47 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A61F13/53 100
   A61F13/514 400
   A61F13/47 100
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-106513(P2013-106513)
(22)【出願日】2013年5月20日
(65)【公開番号】特開2014-226216(P2014-226216A)
(43)【公開日】2014年12月8日
【審査請求日】2016年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】三宅 浩史
(72)【発明者】
【氏名】大川 幸
(72)【発明者】
【氏名】立川 亜希子
【審査官】 山本 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−130055(JP,A)
【文献】 特表2004−504106(JP,A)
【文献】 特開2001−258936(JP,A)
【文献】 特表2008−507385(JP,A)
【文献】 特開2001−276118(JP,A)
【文献】 特表2008−507386(JP,A)
【文献】 特表2005−525132(JP,A)
【文献】 特表2004−520856(JP,A)
【文献】 特表2005−502509(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0035568(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色の吸収層と該吸収層の肌面側に配置された台紙とを有する吸収コアと、前記吸収コアの肌面側に配置されたトップシートと、前記吸収コアの外面側に配置されたバックシートとを有し、
前記吸収コアの平面視形状が、前記バックシートの平面視形状よりも小さく形成されており、
前記台紙の明度(L*base)が40以下であり、
前記バックシートの明度(L*back)が、40以下であり、
トップシート側から測定したとき、吸収コアが配置されている部分の明度(L*A)が65以下であり、吸収コアが配置されていない部分の明度(L*B)が65以下であり、かつ、前記明度(L*A)と明度(L*B)との差(│L*A−L*B│)が20以下であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記吸収コアが配置されている部分と前記吸収コアが配置されていない部分との色差(ΔEA-B)が15以下である請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記台紙と前記バックシートとの色差(ΔEbase-back)が、15以下である請求項1または2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記トップシートの明度(L*top)が、65以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記トップシートが、白色である請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記トップシートが、目付けが10g/m2〜30g/m2の不織布である請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記台紙とトップシートとの色差(ΔEbase-top)が15以上であり、かつ、前記バックシートとトップシートとの色差(ΔEback-top)が、15以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
男性用軽失禁パッドである請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、失禁パッド、生理用ナプキンなどの吸収性物品に関し、特に有色の下着を着用している際に使用しても目立ちにくい吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、日常生活を営む中で、軽度の失禁対策として軽失禁パッドなどの吸収性物品が使用される。このような吸収性物品は衛生用品であり、一般に、各構成部材には白色のものが使用される。しかしながら、近年では、白色を主体とした下着よりも、有彩色を主体としたものが主流となっている。特に男性においては、黒、グレー、ネイビーなどの暗色系統の色を主体とした下着が好まれる傾向がある。このような有色の下着を着用した際に、従来の白色主体の吸収性物品を使用すると、下着と吸収性物品との色の差が大きいため、男性用トイレ、温泉などの公共施設において、下着をおろした際に吸収性物品が目立つという問題がある。
【0003】
このような吸収性物品について、有色の下着に使用した際に、目立ちにくくする技術が提案されている。例えば、特許文献1には、孔あきトップシート、該トップシートの孔を通して見ることができる下にある層及びバックシートを備え、該トップシート及び該下にある層はそれぞれ60未満のLハンター値を有する吸収性物品が記載されている。
【0004】
また、上記の他に、吸収した排泄物や経血を隠蔽できる吸収性物品が提案されている。例えば、特許文献2には、吸収体と、吸収体の表面側及び裏面側を覆う被覆部分とを有する吸収性物品において、前記吸収体と被覆部分との間に、薄葉紙に印刷を施してなる印刷シートが介在されており、前記印刷シートの印刷が吸収性物品の外面から視認可能に構成されている吸収性物品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2004−504106号公報
【特許文献2】特開2009−050515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているような吸収性物品では、トップシートの下にある層として、60未満のLハンター値を有するシートを配置する必要があり、部品点数が多くなる。特許文献2に記載されているような印刷シートでは、吸収した排泄物や経血を隠蔽することが目的であり、吸収性物品全体としては明度が高い。そのため、特許文献2に記載されているような吸収性物品では、有色の下着に使用した場合に目立ちやすい。
【0007】
また、吸収コアを構成する吸水性樹脂粉末や繊維基材は一般的に白色であるため、吸収コアの明度は高くなる。そのため、特許文献1のようにバックシートに黒いシートを用いた場合、吸収コアが配置されている部分の明度が、吸収コアが配置されていない部分の明度よりも高くなる。このように、吸収性物品に明度の異なる部分があると、下着に装着した際に吸収性物品が目立つ原因となる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、特に有色の下着を着用している際に使用しても目立ちにくい吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決することができた本発明の吸収性物品は、吸収層と該吸収層の肌面側に配置された台紙とを有する吸収コアと、前記吸収コアの肌面側に配置されたトップシートと、前記吸収コアの外面側に配置されたバックシートとを有し、前記吸収コアの平面視形状が、前記バックシートの平面視形状よりも小さく形成されており、トップシート側から測定したとき、吸収コアが配置されている部分の明度(L)が65以下であり、吸収コアが配置されていない部分の明度(L)が65以下であり、かつ、前記明度(L)と明度(L)との差(│L−L│)が20以下であることを特徴とする。
【0010】
本発明の吸収性物品はトップシート側の面は、全体的に明度が65以下であるため、有色の下着の明度と吸収性物品の明度の差が小さくなる。また、本発明の吸収性物品は、吸収コアが配置されている部分の明度(L)と吸収コアが配置されていない部分の明度(L)との差が小さいため、吸収コアの存在が視認されにくい。よって、本発明の吸収性物品は、有色の下着を着用している際に使用しても目立ちにくく、他人に吸収性物品を使用していることを看取されにくくなる。
【0011】
前記吸収コアが配置されている部分と前記吸収コアが配置されていない部分との色差(ΔEA−B)は15以下であることが好ましい。前記台紙の明度(Lbase)は40以下であることが好ましい。前記バックシートの明度(Lback)は、40以下であることが好ましい。前記台紙と前記バックシートとの色差(ΔEbase−back)は、15以下であることが好ましい。前記トップシートの明度(Ltop)は、65以下であることが好ましい。前記台紙とトップシートとの色差(ΔEbase−top)が15以上であり、かつ、前記バックシートとトップシートとの色差(ΔEback−top)が、15以上であることが好ましい。本発明の吸収性物品としては、男性用軽失禁パッドが好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の吸収性物品は、トップシート側から見たときの明度が全体的に低く、かつ、明度のばらつきが小さい。そのため、有色の下着を着用している際に使用しても目立ちにくく、他人に吸収性物品を使用していることを看取されにくい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の吸収性物品の一例の平面図。
図2図1のV−V線の模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の吸収性物品は、吸収層と該吸収層の肌面側に配置された台紙とを有する吸収コアと、前記吸収コアの肌面側に配置されたトップシートと、前記吸収コアの外面側に配置されたバックシートとを有し、前記吸収コアの平面視形状が、前記バックシートの平面視形状よりも小さく形成されており、トップシート側から測定したとき、吸収コアが配置されている部分の明度(L)が65以下であり、吸収コアが配置されていない部分の明度(L)が65以下であり、かつ、前記明度(L)と明度(L)との差(│L−L│)が20以下であることを特徴とする。
【0015】
本発明の吸収性物品はトップシート側の面は、吸収コアが配置されている部分および吸収コアが配置されていない部分の明度が、いずれも65以下である。そのため、有色の下着の明度と吸収性物品の明度との差が小さく、有色の下着を着用している際に使用しても吸収性物品が目立ちにくい。また、本発明の吸収性物品は、吸収コアが配置されている部分の明度(L)と吸収コアが配置されていない部分の明度(L)との差が小さいため、吸収コアの存在が視認されにくい。よって、本発明の吸収性物品は、有色の下着を着用している際に使用しても目立ちにくく、他人に吸収性物品を使用していることを看取されにくくなる。
【0016】
本発明において、明度とは、L表色系(CIE 1976)におけるL値であり、値が大きいほど明るい色である。L=0が理想的な黒色、L=100が理想的な白色である。明度は、例えば、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、V−570)など用いて測定できる。
【0017】
前記吸収コアが配置されている部分の明度(L)は、65以下、好ましくは60以下、より好ましくは55以下である。明度(L)が65以下であれば、有色の下着の明度との差が小さくなり、有色の下着に装着した場合に、吸収性物品が目立ちにくくなる。前記明度(L)の下限は、0である。なお、吸収コアが配置されている部分とは、トップシート、吸収コアおよびバックシートが重なっている部分である。
【0018】
前記吸収コアが配置されていない部分の明度(L)は、65以下、好ましくは60以下、より好ましくは55以下である。明度(L)が65以下であれば、有色の下着の明度との差が小さくなり、有色の下着に装着した場合に、吸収性物品が目立ちにくくなる。前記明度(L)の下限は、0である。なお、吸収コアが配置されていない部分とは、トップシートおよびバックシートが重なっており、これらのトップシートおよびバックシートの間に吸収コアが配置されていない部分である。
【0019】
前記明度(L)と明度(L)との差(│L−L│)は、20以下、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。前記差(│L−L│)が20以下であれば、吸収コアの存在が視認されにくくなり、有色の下着に装着した際に、吸収性物品の存在が一層目立ちにくくなる。前記差(│L−L│)の下限は0である。
【0020】
前記吸収コアが配置されている部分と前記吸収コアが配置されていない部分との色差(ΔEA−B)は15以下であることが好ましく、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。前記色差(ΔEA−B)が15以下であれば、吸収コアの存在が一層視認されにくくなり、下着に装着した際に、吸収性物品の存在がより一層目立ちにくくなる。前記色差(ΔEA−B)の下限は0である。
【0021】
本発明において、色差(ΔE)は、L表色系(CIE 1976)におけるL値、a値、b値を用いて求める。まず、対比対象のそれぞれのL値、a値、b値を測定し、それぞれの値について差(ΔL、Δa、Δb)を求める。そして、求めたΔL、Δa、Δbを用いて、次の式によりΔEを算出する。
色差ΔE={(ΔL+(Δa+(Δb1/2
【0022】
吸収性物品において、吸収コアが配置されている部分の明度(L)、吸収コアが配置されていない部分の明度(L)、明度(L)と明度(L)との差(│L−L│)および吸収コアが配置されている部分と前記吸収コアが配置されていない部分との色差(ΔEA−B)は、後述するトップシート、台紙およびバックシートの明度、目付けなどを調整することで制御できる。
【0023】
以下、本発明の吸収性物品に使用し得る各構成材料について説明する。バックシートは、吸収性物品の最も外面側に配置されるものであり、体液等が外部に漏れだすことを防止する。バックシートの明度(Lback)は40以下であることが好ましく、より好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下である。バックシートの明度(Lback)が40以下であれば、前記明度(L)を65以下に容易に調整できる。前記明度(Lback)の下限は、0である。
【0024】
バックシートに使用される不透液性シートとしては、例えば、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用され、不透液性シートに到達した体液が、吸収性物品の外側にしみ出すのを防止する。不透液性シートにプラスチックフィルムが利用される場合、ムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0025】
前記吸収コアは、体液を吸収し得る。前記吸収コアは、少なくとも一層の吸収層を有しており、この吸収層の肌面側に配置された台紙を有する。前記台紙の明度(Lbase)は40以下であることが好ましく、より好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下である。台紙の明度(Lbase)が40以下であれば、前記明度(L)を60以下に容易に調整できる。前記明度(Lbase)の下限は、0である。
【0026】
前記台紙の目付けは、10g/m以上が好ましく、より好ましくは15g/m以上であり、40g/m以下が好ましく、より好ましくは30g/m以下、さらに好ましくは20g/m以下である。目付けが10g/m以上であれば、台紙が薄くなりすぎず、吸収体の色が透けにくく隠蔽性がより良好となる。40g/m以下であれば、台紙に掛かるコストを低減でき、また、厚くなりすぎず操作性が良好となる。
【0027】
前記台紙と前記バックシートとの色差(ΔEbase−back)は、15以下が好ましく、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下である。前記色差(ΔEbase−back)が15以下であれば、前記色差(ΔEA−B)を15以下に容易に調整できる。前記色差(ΔEbase−back)の下限は、0である。
【0028】
前記台紙には、透液性のシート材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布、ティッシュペーパーが使用できる。台紙として利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)複合不織布であり、これらの不織布を形成する親水性繊維としては通常、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。台紙は、着色された樹脂を用いた繊維から形成された不織布でもよいし、明度の高い不織布またはティッシュペーパーを着色したものでもよい。
【0029】
吸収層は、吸水性材料として、前記吸水性樹脂粉末を含有するものが好ましい。前記吸収層は、吸水性材料として、さらに、吸水性繊維を含有してもよい。前記吸水性樹脂粉末としては、従来吸収性物品に使用されているものが使用できる。前記吸水性樹脂粉末には、防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、無機質粉末及び有機質繊維状物などの添加剤を含むことができる。前記吸水性繊維としては、例えば、パルプ繊維、セルロース繊維、レーヨン、アセテート繊維が挙げられる。前記吸収層は、吸水性樹脂粉末に加えて、繊維基材を含有してもよい。前記繊維基材としては、熱融着繊維などを挙げることができる。熱融着性繊維は、保形性を高めるために使用される。熱融着繊維の具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維や複合繊維などが用いられる。吸水性材料として、吸水性樹脂粉末のみを含有する吸収層は、薄型化が可能である。繊維基材を含有する吸収層は、体液の分散性に優れる。
【0030】
前記吸収層は、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維集合層に粒状の吸水性樹脂粉末を混合したものを、ティッシュペーパーなどの紙シートまたは液透過性不織布シートに固定する、あるいはこれらの液透過性不織布シートで包み所定形状に成形することにより得られる。なお、吸収層を構成する紙シートまたは液透過性不織布シートとして前記台紙を用いてもよい。
【0031】
前記吸収コアの平面視形状は、バックシートの平面視形状よりも小さく形成されている。このように形成することで、吸収コアの周縁部がバックシートで囲われるようになり、吸収コアの端縁部から体液がしみ出した場合でも、バックシートによって吸収性物品の外側漏れ出すのが防止される。前記吸収コアの平面視形状は特に限定されず、例えば、長方形型、砂時計型、ひょうたん型、羽子板型などが挙げられる。また、吸収コアは、前記吸水層の他に、吸水性樹脂粉末などを固定するための接着剤層を有していてもよい。
【0032】
前記トップシートは、吸収性物品の最も着用者側に配置されるものであり、着用者の体液を速やかに捕捉して吸収コアへと移動させる。前記トップシートの明度(Ltop)は、65以下が好ましく、より好ましくは60以下、さらに好ましくは55以下である。前記吸収コアは、肌面側に台紙を有するが、吸水性樹脂粉末などから構成される吸水層が白色であるため、吸収コア全体の明度は台紙の明度よりも高くなる。そのため、バックシートの明度と吸収コアの明度とに差が生じやすい。しかし、明度(Ltop)が65以下のトップシートを配置することで、バックシートの明度と吸収コアの明度との差をぼかすことができ、差(│L−L│)をより小さくすることができる。
【0033】
前記バックシートとトップシートとの色差(ΔEback−top)は、15以上が好ましく、より好ましくは20以上、さらに好ましくは25以上であり、50以下が好ましく、より好ましくは45以下、さらに好ましくは40以下である。色差(ΔEback−top)が上記範囲内であれば、重ね合わせた時にトップシートの白色が目立たなくなる。前記台紙とトップシートとの色差(ΔEbase−top)は、15以上が好ましく、より好ましくは20以上、さらに好ましくは25以上であり、50以下が好ましく、より好ましくは45以下、さらに好ましくは40以下である。台紙とトップシートとの色差(ΔEbase−top)が上記範囲内であれば、重ね合わせた時にトップシートの白色が目立たなくなる。
【0034】
前記トップシートの目付けは、10g/m以上が好ましく、より好ましくは15g/m以上、さらに好ましくは20g/m以上であり、30g/m以下が好ましく、より好ましくは25g/m以下、さらに好ましくは20g/m以下である。目付けが10g/m以上であれば、トップシートの強度が向上し、30g/m以下であれば、重ね合わせたときにトップシートの白色が目立ちにくくなる。
【0035】
前記トップシートは、透液性のシート材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布が使用できる。トップシートとして利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)複合不織布であり、これらの中でもエアスルー不織布が好適である。これらの不織布を形成する親水性繊維としては通常、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。なお、トップシートとして、表面を界面活性剤により親水化処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布が用いられてもよい。
【0036】
次に、本発明の吸収性物品の具体的な適用例について説明する。本発明の吸収性物品としては、例えば、失禁パッド、生理用ナプキンなどの人体から排出される体液を吸収するために用いられる吸収性物品が挙げられる。本発明の吸収性物品としては、軽失禁パッドが好ましく、特に男性用軽失禁パッドが好適である。本発明の吸収性物品は、明度が低い暗色系の下着に用いた場合に、特に擬装性が良好となる。本発明の吸収性物品が使用される下着の明度は40以上が好ましく、65以下が好ましく、より好ましくは60以下である。
【0037】
失禁パッドや生理用ナプキンの形状としては、円形状、楕円形状、多角形状(例えば、矩形状、五角形状)、角丸多角形状(多角形の頂点が丸められた形状)、砂時計型、ひょうたん型などが挙げられる。また、必要に応じて、前記透液性のトップシートの幅方向両側に不透液性のサイドシートが設けられていてもよい。サイドシートは、トップシートの幅方向両側の上面に接合され、接合点より幅方向内方のサイドシートは、吸収コアの両側縁に沿って一対の立ち上がりフラップを形成する。また、吸収性物品の一部を重ね合わせることで、バックシートの表面が突出するように湾曲したカップ状に形成してもよい。
【0038】
以下、本発明の吸収性物品について、男性用の軽失禁パッドを例に挙げ、図1、2を参照して説明する。図1は、軽失禁パッドの平面図を表す。図2は、図1の軽失禁パッドのV−V断面図を表す。
【0039】
軽失禁パッド1は、液透過性のトップシート2と、不透液性のバックシート3と、これらの間に配置された吸収コア4とを有している。吸収コア4は、吸水性樹脂5および繊維基材6を台紙7に固定することで形成されている。トップシート2は、着用者の肌に面するように配置され、着用者の体液を透過する。トップシート2を通過した体液は、吸収コア4に取り込まれ、吸水性樹脂粉末5に吸収される。バックシート3は、体液が軽失禁パッド1の外側に漏れだすことを防止する。
【0040】
図1、2に記載の軽失禁パッド1では、トップシート2およびバックシート3の平面視形状は、角を丸めた長方形となっている。吸収コア4の平面視形状も角を丸めた長方形であるが、トップシート2およびバックシート3よりも一回り小さく形成されている。そして、吸収性物品1は、吸収コア4が配置されている部分(例えば、図中のA点)の明度(L)が65以下であり、吸収コア4が配置されていない部分(例えば、図中のB点)の明度(L)が65以下であり、かつ、明度(L)と明度(L)との差(│L−L│)が20以下である。よって、この吸収性物品1は、全体的に明度が65以下であるため、有色の下着との明度の差が小さいため、有色の下着を着用している際に使用しても目立ちにくい。また、吸収性物品1において、吸収コア4の配置されている部分の明度と配置されていない部分の明度との差が小さいため、吸収性物品1を使用していることが一層目立ちにくくなる。
【0041】
図1では、トップシート2、バックシート3および吸収コア4の平面視形状を角を丸めた長方形としているが、これらは他の形状であってもよい。図2では、吸収コア4を1層としているが、吸収コア4は2層以上としてもよい。図2では、吸収コア4は吸水性樹脂5および繊維基材6を台紙7に固定することで形成しているが、台紙7で吸水性樹脂5および繊維基材6を覆うことで形成してもよい。
【0042】
本発明の吸収性物品の具体例としては、生理用ナプキン、失禁パッドなどの人体から排出される体液を吸収するために用いられる吸収性物品を挙げることができる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0044】
[評価方法]
(明度等)
各材料および吸収性物品の明度等は、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光社製、V−570)を用いて測定した。吸収性物品については、トップシート側から測定し、吸収性コアの配置されている部分(図1、2の点A)と、吸収性コアの配置されていない部分(図1、2の点B)について測定した。
【0045】
[吸収性物品の作製]
吸収性物品1
パルプと吸水性樹脂粉末との混合物を台紙(白色ティッシュペーパー)で覆うことにより吸収コアを形成した。非透液性のバックシートの上に合成ゴム系ホットメルト接着剤を塗布し、この上に前記吸収コアを積層した。前記吸収コア上に合成ゴム系ホットメルト接着剤を塗布した後、透液性不織布のトップシートを積層して吸収性物品1を形成した。
【0046】
吸収性物品2〜24
トップシート、台紙および/またはバックシートの材料を、表1〜4に記載のとおりに変更した以外は、吸収性物品1と同様にして、吸収性物品2〜24を作製した。
【0047】
吸収性物品1〜24について、各構成材料および吸収性物品の明度、吸収性物品の擬装性について評価し、結果を表1に示した。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
(擬装性試験)
吸収性物品を表5に示す明度を有する下着に取り付け、目視にて観察し、擬装性を下記の3段階で評価した。評価結果を表6〜9に示した。
<評価基準>
◎:目立たない。
○:ほとんど目立たない。
×:目立つ。
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】
【表9】
【0058】
表1〜4および6〜9に示すように、明度(L)が65以下であり、明度(L)が65以下であり、かつ、前記明度(L)と明度(L)との差(│L−L│)が20以下である吸収性物品4〜6、11、12、23、24は、有色の下着に装着しても目立ちにくく、擬装性に優れていた。
【0059】
吸収性物品1〜3、7〜10、13〜22は、明度(L)が65超であり、有色の下着との明度の差が大きいため、擬装性に劣った。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、例えば、人体から排出される体液を吸収するために用いられる吸収性物品に好適に使用でき、特に失禁パッド、生理用ナプキンなどの吸収性物品として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0061】
1:軽失禁パッド(吸収性物品)、2:トップシート、3:バックシート、4::吸収コア、5:吸水性樹脂粉末、6:繊維基材、7:台紙、A:吸収コアが配置されている部分の明度、B:吸収コアが配置されていない部分の明度
図1
図2