特許第6180191号(P6180191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180191
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】カートン
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   B65D5/54 301K
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-113345(P2013-113345)
(22)【出願日】2013年5月29日
(65)【公開番号】特開2014-231379(P2014-231379A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】永島 慶士
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−059659(JP,A)
【文献】 特開2004−090975(JP,A)
【文献】 特開平09−290823(JP,A)
【文献】 米国特許第04687104(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D5/00−5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部が操作舌片とされた外側折り返し片、天板、第一の側板、底板、第二の側板、内側折り返し片が、この順に連設され、前記第一の側板と前記第二の側板の両側にサイドフラップが連設され、前記天板と前記底板の両側に主フラップが連設され、前記天板の両側寄りに前記第一の側板から前記外側折り返し片の方向に向けて線状の第一の切断部が形成され、前記外側折り返し片に前記第一の切断部の両端部から前記操作舌片の両端部間にそれぞれ第二の切断部が形成された紙パネルが、前記各部が折曲されることにより箱状に形成され、前記天板、前記第一の側板、前記底板、前記第二の側板の両側にて前記サイドフラップ及び前記主フラップが貼着され、前記第二の側板の内面側に前記内側折り返し片が貼着され、前記第二の側板の表側に前記操作舌片を残して前記外側折り返し片が貼着されたカートンにおいて、
前記第二の側板に前記操作舌片に対応する部分に該操作舌片の幅方向に両端部間に亘って切り込み部が形成され、該切り込み部の両端部から前記第二の切断部に沿って厚み方向の前記カートンの表面側から途中までの深さをもって切り込まれた第一の切り込み線が形成されていることを特徴とするカートン。
【請求項2】
前記外側折り返し片には、前記第二の側板の表側に前記外側折り返し片が貼着された際に、前記切り込み部に対応する箇所に前記第二の側板の上端縁に平行な折り曲げ仮想線が設定されると共に、
前記第二の側板の前記カートンの内方の面には、前記第二の側板の表側に前記外側折り返し片が貼着された際に、前記折り曲げ仮想線の上方に位置させて厚み方向の前記カートンの内側から途中までの深さをもって切り込まれた第二の切り込み線が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカートン。
【請求項3】
前記操作舌片の幅が前記第一の切断部同士の幅より小とされ、
前記第二の側板の表側に前記外側折り返し片が貼着された際に、前記第一の切り込み線が前記切り込み部の両端部から前記第一の切断部の両端部へ向けて拡開するように延び、且つ、前記第二の側板の上端縁に向けて湾曲して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカートン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、洗剤等の粉末商品は、カートンに代表されるように紙パネルを折曲して組み立てた直方体の容器に収容されている。該直方体は、密封された状態で運搬され、且つ、使用時には開封/再封可能に構成されているものが多く、易製函性、初回開封時の易開封性や粉末商品の飛散防止性、防湿性等を高めるための工夫がなされている。
【0003】
上記直方体の容器であるカートンとして、例えば、特許文献1には、天板に連設された外側折り返し片の先端中央部に半円形の操作舌片が形成され、カートンの組立時に該外側折り返し片が手前側の側板の表面に接着されると共に、前記外側折り返し片には前記操作舌片の両端から切断部が傾斜して形成されているカートンが開示されている。
【0004】
特許文献1に記載のカートン以外の例としては、例えば、特許文献2には、手前の側板に外側折り返し片の先端部と該先端部に設けられた操作舌片を差込むための差込口が形成されているカートンが開示されている。特許文献3には、天板の両側において天板を任意の幅に切り離す切り込み線と前記天板に連設された外側折り返し片の先端部を手前側の側板から引き剥がす操作舌片と前記外側折り返し片に設けられた切断部で区画されている操作舌片を係止する係止部が設けられたカートンが開示されている。特許文献4には、操作舌片に操作舌片形成用切断部に連続して且つ差し込み部分の差し込み方向に沿った横切り込み線を設けることにより、操作舌片を前記横切り込み線により分割したカートンが開示されている。また、特許文献5には、天板の開封面とカートン本体の手前側の側板との接着を、前記カートン本体の開口部の前記側板における切断部より内側且つ前記開封面における切り取り線より外側で行うカートンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−59659号公報
【特許文献2】特開平9−278029号公報
【特許文献3】特開平9−183433号公報
【特許文献4】特開2008−280049号公報
【特許文献5】特許第3935599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のカートンでは、切断部において操作舌片と天板とがブリッジを有するミシン目で連結されている上に、外側折り返し片がカートン手前側の側板の表面に接着されているため、外側折り返し片の引き上げに必要な力が強くなり、開封時に粉末商品が飛散する虞があった。また、紙パネルの折り曲げ時に外側折り返し片が切り離されて反転しないように固定し、且つ、外側折り返し片の引き上げ力の増大を抑えるためのブリッジの幅の制御が極めて難しくなる問題があった。
【0007】
一方、特許文献2及び特許文献3に記載のカートンでは、カートン製造時に操作舌片の差込口が小さく、容易に開封/再封できず、再封性にやや劣る問題があった。また、特許文献4に記載のカートンでは、操作舌片の差込口が側板の高さ方向略中央に貫通して設けられているため、粉末商品が漏れ出す虞があった。さらに、特許文献5に記載のカートンでは、開封に際し、外側折り返し片とカートン手前の側板との間を切り、且つ、外側折り返し片の一部をカートンに残す必要があり、開封操作が難しい問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、開封時に必要とされる外側折り返し片の引き上げ力を弱くすることが可能であり、開封/再封が容易にでき、開封不良及び製函時の紙詰まり発生を防止でき、且つ、紙パネルの作成時における切断部や切り込み線の形成が容易なカートンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明のカートンは、先端部が操作舌片とされた外側折り返し片、天板、第一の側板、底板、第二の側板、内側折り返し片が、この順に連設され、前記第一の側板と前記第二の側板の両側にサイドフラップが連設され、前記天板と前記底板の両側に主フラップが連設され、前記天板の両側寄りに前記第一の側板から前記外側折り返し片の方向に向けて線状の第一の切断部が形成され、前記外側折り返し片に前記第一の切断部の両端部から前記操作舌片の両端部間にそれぞれ第二の切断部が形成された紙パネルが、前記各部が折曲されることにより箱状に形成され、前記天板、前記第一の側板、前記底板、前記第二の側板の両側にて前記サイドフラップ及び前記主フラップが貼着され、前記第二の側板の内面側に前記内側折り返し片が貼着され、前記第二の側板の表側に前記操作舌片を残して前記外側折り返し片が貼着されたカートンにおいて、前記第二の側板に前記操作舌片に対応する部分に該操作舌片の幅方向に両端部間に亘って切り込み部が形成され、該切り込み部の両端部から前記第二の切断部に沿って厚み方向の前記カートンの表面側から途中までの深さをもって切り込まれた第一の切り込み線が形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のカートンにおいて、前記外側折り返し片には、前記第二の側板の表側に前記外側折り返し片が貼着された際に、前記切り込み部に対応する箇所に前記第二の側板の上端縁に平行な折り曲げ仮想線が設定されると共に、前記第二の側板の前記カートンの内方の面には、前記第二の側板の表側に前記外側折り返し片が貼着された際に、前記折り曲げ仮想線の上方に位置させて厚み方向の前記カートンの内側から途中までの深さをもって切り込まれた第二の切り込み線が形成されていることが好ましい。
さらに、本発明のカートンでは、前記操作舌片の幅が前記第一の切断部同士の幅より小とされ、前記第二の側板の表側に前記外側折り返し片が貼着された際に、前記第一の切り込み線が前記切り込み部の両端部から前記第一の切断部の両端部へ向けて拡開するように延び、且つ、前記第二の側板の上端縁に向けて湾曲して形成されていることが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、操作舌片がカートン上方に向けて引き上げられると、操作舌片に対応する部分に該操作舌片の幅方向に両端間に亘って設けられた切り込み部を含み且つ内側折り返し片に貼着されていない第二の側板の一部が外側折り返し片に伴って第二の側板から剥離される。引き続き、操作舌片がカートン上方に向けて引き上げられると、第一の切り込み線によって両側端が切り込まれたカートンの表面側から厚み方向途中までの第二の側板(以下、剥離部分という)が外側折り返し片に伴って第二の側板から剥離される。即ち、第一の切り込み線によって両側端が切り込まれた第二の側板において、この第二の側板を構成する紙の層間剥離が発生する。剥離部分が第二の側板から層間剥離するために必要な力は互いに貼着されている二枚の紙を剥離するために必要な力や、ブリッジを有するミシン目からなる切り込み線を切り離すために必要な力に比べて弱いため、外側折り返し片の比較的弱い引き上げ力によって剥離部分が第二の側板から層間剥離される。また、初回開封時に操作舌片がカートン上方に向けて引き上げられるまでは、剥離部分がカートンの内側から厚み方向途中まで第二の側板と連結しているため、紙パネルの組み立て時等に剥離部分が第二の側板から切り離されて反転することで製函機械等に引っかかることもなく、紙詰まりが発生することもない。さらに、第一の切り込み線は、紙パネルを貫通させないことに注意すれば、カートンの表面側から厚み方向途中まで形成すればよく、紙パネル毎の多少の切り込み深さの差が生じても上記の作用は保持される。従って、第一の切り込み線の形成時に特殊な制御等は必要とされない。
【0012】
また、上記の構成によれば、操作舌片に対応する部分に該操作舌片の幅方向に両端間に亘って設けられた切り込み部を含み且つ内側折り返し片に貼着されていない第二の側板の一部が前記厚み方向のカートンの内側から途中までの深さで切り込まれた第二の切り込み線をさらに含んでいるため、操作舌片がカートン上方に向けて引き上げられると、前記第二の側板の一部が、より容易に、弱い引き上げ力によって外側折り返し片に伴って第二の側板から剥離される。
【0013】
さらに、上記の構成によれば、操作舌片の幅が第一の切断部同士の幅より小さい場合であっても、操作舌片がカートン上方に向けて引き上げられるに従って第二の側板から切り離される剥離部分の幅が連続的に拡がる。これにより、剥離部分が円滑に第二の側板から切り離され、続いて第一の切断部を境界としたカートンの幅方向における天板の中央部からなる蓋と天板の両側側端部との切り離しに移行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、開封時に必要とされる外側折り返し片の引き上げ力を弱くすることができ、開封/再封が容易に可能であって開封不良及び製函時の紙詰まり発生を防止でき、且つ、紙パネルの作成時における切断部や切り込み線の形成が容易なカートンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態のカートンを組み立てるために用いられる紙パネルのカートンの内側から見た場合の平面図である。
図2】本発明の実施形態のカートンを組み立てるために用いられる紙パネルのカートンの表面側から見た場合の平面図である。
図3】本発明の実施形態のカートンの斜視図である。
図4】本発明の実施形態のカートンを開封する様子を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態のカートンを開封する様子を示す図であって、(a)は図4に示すX−X線で矢視した場合のカートンの断面図であり、(b)は操作舌片を(a)の状態よりも引き上げたときのカートンの部分断面図である。
図6】本発明の実施形態のカートンを開封する様子を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態のカートンを開封する様子を示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態のカートンを再封した状態を示す図であって、(a)はカートンの斜視図であり、(b)は(a)に示すY−Y線で矢視した場合のカートンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を適用した実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1及び図2は、本実施形態のカートンの展開図、即ち本実施形態のカートンを組み立てるために用いられる紙パネル10の平面図であって、図1はカートンの内側から見た場合の図であり、図2はカートンの表面側(外側)から見た場合の図である。図1及び図2に示すように、紙パネル10は、外側折り返し片12、天板14、第一の側板16、底板18、第二の側板20、内側折り返し片22が、この順に連設され、第一の側板16と第二の側板20の両側にそれぞれサイドフラップ24A,24B,26A,26Bが連設され、天板14と底板18の両側にそれぞれ主フラップ28A,28B,30A,30Bが連設されているものである。外側折り返し片12の先端部は、操作舌片13とされている。
【0018】
天板14の両側寄りには、第一の側板16から外側折り返し片12の方向に向けて線状の第一の切断部32が形成され、図2に示すように、外側折り返し片12に第一の切断部32の両端部34A,34Bから操作舌片13の両端部間36A,36Bにそれぞれ第二の切断部38が形成されている。第一の切断部32は、天板14に厚み方向のカートンの表側から途中までの深さをもって切り込まれ、即ちハーフカットされ、それと共に、その切り込まれた箇所から天板14の中央側にずれて且つ該箇所に並行する位置でカートンの内側からハーフカットされることで構成されている。カートンの開封時にはカートンの表側からのハーフカットと裏側のハーフカットとの間のカートンが層間剥離し、再封時には層間剥離したカートン同士が再び重なる。これにより、カートン内部からの粉末の漏れが抑えられる。
【0019】
図1及び図2に示すように、本実施形態のカートンを組み立てるために用いられる紙パネル10は、第二の側板20の操作舌片13に対応する部分40に、操作舌片13の幅方向に両端部42A,42Bの間に亘って切り込み部44が形成されている。図1に示すように、第二の側板20には、切り込み部44のカートン上方(即ち、図1の紙面における切り込み部44の下方)に第二の側板20の上端縁20aに沿う折り曲げ仮想線48が設定されている。第二の側板20の表側に外側折り返し片12が貼着された際に折り曲げ仮想線48の上に位置させるように、第二の側板20のカートン内方の面に厚み方向のカートンの内側からハーフカットされた第二の切り込み線50が形成されている。
【0020】
また、図2に示すように、切り込み部44の両端部42A,42Bから第二の切断部38に沿って厚み方向のカートンの表面側から途中までの深さをもって切り込まれた第一の切り込み線46が形成されている。第一の切り込み線46は、操作舌片13の両端部36A,36Bから第一の切断部32の両端部34A,34Bへ向けて拡開するように延び、且つ、第一の切断部32の両端部34A,34Bの間に向けて凸をなすように湾曲して設けられている。切り込み部44には、カートン下方(即ち、図1及び図2の紙面における切り込み部44の上方)に、カートンの再封時に操作舌片13を第二の側板20のカートン内側に挿入するための切り込み部45が形成されている。
【0021】
図1及び図2に示すように、第二の側板20の切り込み部44のカートン下方には、接着防止部52が形成されている。接着防止部52は、カートンの内側から表面側に向けて凸となるように形成されている。操作舌片13に対応する位置の内側折り返し片22には、差込口形成部54が形成されている。差込口形成部54は、第二の側板20の内側に内側折り返し片22が貼着された際にカートンの表面側から内側に向けて凸となるように形成されている。図2に示すように、サイドフラップ24A,24B,26A,26Bには、紙の反りを防止するための折り目58と、製函時の接着性を向上させるために厚み方向のカートンの表面側から途中までの深さをもって切り込まれた切り込み60が形成されている。また、主フラップ28A,28B,30A,30Bのうち、カートン内側に位置することになる28A,28Bには、製函時の接着性向上用に厚み方向のカートンの表面側から途中までの深さをもって切り込まれた切り込み56が形成されている。
【0022】
紙パネル10を構成する紙は、一般に用いられる丸網抄紙機によりすき合わせされて多層構成からなるものであれば殆ど使用することができる。
【0023】
本実施形態のカートンは、以下に説明する組み立て工程によって紙パネル10の上記各構成要素が折曲され、箱状に形成されたものである。
【0024】
先ず、図1に示す紙パネル10の折り返し線62Aを山折りにして、差込口形成部54を残して内側折り返し片22と第二の側板20とを貼着する。その後、折り返し線62Bを折り返し、第二の側板20を底板18に対向させた後、折り返し線62Dを折り返し、折り返し線62Eを折り返し線62Aに重ね、操作舌片13を残して外側折り返し片12を第二の側板20に貼着する。
【0025】
次に、天板14を吸引しながら、折り返し線62Dを折り返し線62Bに向かって押すことで、第一の側板16と第二の側板20を立ち上げる。次に、折り返し線62F,62Gを山折りにして、サイドフラップ24A,26Aをカートン内側に向けて折りたたむ。その後、折り返し線62Hを山折りにして、サイドフラップ24A,26Aに主フラップ28Aを貼着する。さらに、折り返し線62Iを山折りにして、主フラップ28Aに主フラップ30Aを貼着する。これにより、サイドフラップ24A,26Aと主フラップ28A,30Aからなる本実施形態のカートンの一方の積層側板が形成される。
【0026】
次に、前記積層側板を底にしてカートンを立て、天板14と底板18と第一及び第二の側板16,20前記積層側板とによって囲まれたカートンの内部空間に所定量の粉末を挿入する。その後、折り返し線62J,62Kを山折りにしてサイドフラップ24B,26Bをカートン内側に向けて折りたたみ、折り返し線62Lを山折りにしてサイドフラップ24B,26Bに主フラップ28Bを貼着する。さらに、折り返し線62Mを山折りにして、主フラップ28Bに主フラップ30Bを貼着する。
【0027】
以上の工程により、本実施形態のカートンが完成する。図3は、紙パネル10を上記説明した組み立て工程により折曲された本実施形態のカートン100の斜視図である。図3に示すように、カートン100は、表面側から見て、少なくとも天板14と、底板18と、第一及び第二の側板16,20と、積層側板70,72と、外側折り返し片12と、操作舌片13と、を備えている。カートン100は密封されており、その内部に図示しない粉末が充填されている。
【0028】
図4図7は、カートン100を開封する様子を示す図であって、図4図6及び図7はカートン100の斜視図であり、図5図4に示すX−X線で矢視した場合のカートン100の断面図である。図3に示す密封状態のカートン100を開封する際には、図4及び図5(a)に示すように、操作舌片13を摘んで矢印のように上方に引き上げると、先ず、図5(b)に示すように、切り込み部44と第二の切り込み線50に囲まれた第二の側板20の一部20pが切り込み部44から第二の切り込み線50の方向に向けて剥離され、貼着剤74によって貼着されている外側折り返し片12に伴って引き上げられる。引き続き、カートンの幅方向両端が第一の切り込み線46により厚み方向のカートン表面側(即ち、図5における紙面の左側)から途中までの深さをもって切り込まれた第二の側板20は、第二の切り込み線50の第二の側板20内方の端部76を基端として、切り込み部44から離れる方向に境界20Sを境に、剥離片78と剥離片80とに層間剥離を起こす。剥離片78のカートン100の内側は貼着剤74により内側折り返し片22に貼着されているため、剥離片78は内側折り返し片22に伴って残留する。一方、剥離片80のカートンの表面側は貼着剤74により外側折り返し片12に貼着されているため、剥離片80が外側折り返し片12に伴って引き上げられる。
【0029】
図6に示すように、操作舌片13を介して外側折り返し片12が両端部34A,34Bまで引き上げられた後に、操作舌片13をさらに引き上げると、図7に示すように、外側折り返し片12に伴って第一の切断部32の間の天板14が周囲から離脱し、蓋82となる。このようにして、カートン100を開封することができる。
【0030】
図8は、再封した状態のカートン100を示す図であって、(a)はカートン100の斜視図であり、(b)は(a)に示すY−Y線で矢視した場合のカートン100の断面図である。図7に示す開封後のカートン100を再封する際には、図8(a)及び(b)に示すように、操作舌片13を第二の側板20の切り込み部44から、切り込み部44,45に囲まれた第二の側板20と内側折り返し片22の差込口形成部54との間の空間に挿入する。これにより、操作舌片13が第二の側板20と内側折り返し片22により挟持されると共に、図8(b)に示すように、第二の側板20の一部20pが剥離片78に係止されて、操作舌片13及び外側折り返し片12が第二の側板20の表面側に固定される。
【0031】
図8に示す再封状態のカートン100を開封する際には、外側折り返し片12を上方へ軽く押し上げることにより、操作舌片13を第二の側板20と内側折り返し片22との間から引き出した後、初回開封時と同様に操作舌片13を摘んで上方へ引き上げると図7に示すようにカートン100が開封される。
【0032】
上記説明したように、本実施形態のカートン100によれば、操作舌片13がカートン100の上方に向けて引き上げられると、先ず、操作舌片13に対応する部分に操作舌片13の幅方向に両端間に亘って設けられた切り込み部44を含み、且つ、内側折り返し片22に貼着されていない第二の側板20の一部20pが外側折り返し片12に伴って第二の側板20から円滑に剥離される。引き続き、操作舌片13がカートン100の上方に向けて引き上げられると、第一の切り込み線46によって両側端がカートン100の表面側から厚み方向途中まで切り込まれた剥離片80が外側折り返し片12に伴って第二の側板20から剥離される。即ち、第一の切り込み線46によって両側端が切り込まれた第二の側板20において、第二の側板20を構成する紙の層間剥離が発生する。第二の側板20において層間剥離を生じさせるために必要な力は、互いに貼着されている二枚の紙を剥離するために必要な力や、ブリッジを有するミシン目からなる切り込み線を切り離すために必要な力に比べて弱い。そのため、操作舌片13及び外側折り返し片12に対する比較的弱い引き上げ力によって第二の側板20が剥離片78,80に層間剥離され得る。従って、カートン100の開封者は、操作舌片13を引き上げて第二の側板20の層間剥離を開始する際に瞬間的な抵抗を感じることなく、円滑に外側折り返し片12の切り離しに移行することができる。そして、開封時のカートン100の内部の粉体を飛散させる虞が払拭される。
【0033】
また、本実施形態のカートン100によれば、初回開封時に操作舌片13がカートン100の上方に向けて引き上げられるまでは、剥離片78,80に層間剥離される第二の側板20がカートンの内側から厚み方向途中まで周囲の第二の側板20と連結しているため、紙パネル10の製函時等に層間剥離される第二の側板20が反転して製函機械等に引っかかることもなく、紙詰まりの発生を確実に防止することができる。さらに、第一の切り込み線46は、紙パネル10を貫通させないことに注意すればカートン100の表面側から厚み方向途中まで形成すればよく、紙パネル10毎の多少の切り込み深さの差が生じても上記の作用効果は保持される。従って、第一の切り込み線46の形成時に特殊な制御等を必要とすることなく、カートン100の易製函性及び生産効率を高めることができる。
【0034】
また、本実施形態のカートン100によれば、操作舌片13に対応する部分に切り込み部44を含み、且つ、内側折り返し片22に貼着されていない第二の側板20の一部20pが第二の切り込み線50を含んでいるため、操作舌片13がカートン100の上方に向けて引き上げられると、第二の側板20の一部20pが、より容易に、弱い引き上げ力によって外側折り返し片12に伴って第二の側板20から剥離される。
【0035】
また、本実施形態のカートン100によれば、操作舌片13の幅が第一の切断部32同士の幅より小さい場合(図7参照)であっても、操作舌片13がカートン100の上方に向けて引き上げられるに従って第二の側板20から切り離される剥離部分の幅が連続的に拡がる。これにより、剥離部分が円滑に第二の側板20から切り離され、開封者は第一の切断部32の間の天板14の中央部からなる蓋82と天板14の両側側端部との切り離しに円滑に移行することができる。
【0036】
さらに、本実施形態のカートン100によれば、操作舌片13を第二の側板20の切り込み部44から、切り込み部44,45に囲まれた第二の側板20と内側折り返し片22の差込口形成部54との間の空間に挿入することで容易に再封することができる。また、操作舌片13が第二の側板20と内側折り返し片22により挟持されると共に、第二の側板20の一部20pが剥離片78に係止されることにより、操作舌片13及び外側折り返し片12が第二の側板20の表面側に確実に固定され、充分な再封性が得られる。
【0037】
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記の実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0038】
10…紙パネル、12…外側折り返し片、13…操作舌片、14…天板、16…第一の側板、18…底板、20…第二の側板、22…内側折り返し片、24A,24B,26A,26B…サイドフラップ、28A,28B,30A,30B…主フラップ、32…第一の切断部、34A,34B,36A,36B…両端部、38…第二の切断部、42A,42B…両端、44…切り込み部、46…第一の切り込み線、48…折り曲げ仮想線、50…第二の切り込み線、100…カートン
図1
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図7
図8