【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明では、次のステップを含む方法を提案する。
(1)トランスミッタンスtを有する平板上光学コンポーネントを得るステップであって、上記トランスミッタンスは、上記コンポーネントの平面における2つの座標に応じて変わるとともに、半径ρ
∞の基礎円上に位置するピークから成る2次元フーリエ変換Tを有するものであるステップと、
(2)上記コンポーネントを、視界方向を向いている光軸Zに対し垂直に配置するステップと、
(3)上記コンポーネントの上記視界とは反対側の上記コンポーネントから距離d
fの位置にある、上記Z軸に対し垂直な平面に画像センサを配置するステップと、
(4)上記物体から出射され、上記コンポーネントを通過した光によって形成された画像を取り込むために上記センサを用いるステップと、
(5)上記取り込んだ画像をフーリエ変換したピークに対応する空間周波数のスペクトルS
totを得るために、上記取り込んだ画像に対しフーリエ変換を実行するステップであって、上記取り込んだ画像に対応する上記スペクトルは、それぞれ、対応する円内に位置している同心の複数の要素を含んでいるステップと、
を含む。
【0011】
上記ステップ(1)で示される光用コンポーネントのトランスミッタンスtの特性により、このコンポーネントは連続した自己結像である。
【0012】
本発明に係る方法では、ステップ(1)において、半径ρ
∞の基礎円内に位置する有限数Nのピークから成る、コンポーネントのトランスミッタンスtのフーリエ変換Tを特徴としている。さらに、本発明に係る方法は、上記ステップ(5)に続く、以下のステップを含む。
(6)参照スペクトルS
refを供給するステップであって、上記参照スペクトルS
refは、Z軸上で、無限に離れた地点にある点光源からの光が上記コンポーネントを通過し上記センサに到達して生成された参照画像のフーリエ変換のピークに対応し、参照空間周波数から成るとともに、基礎円の半径の2倍である半径2ρ
∞の参照円内に位置しているステップと、
(7)共通基準系において、同心円状に、取り込んだ画像S
totの空間周波数の上記スペクトルと上記参照スペクトルS
refとを重ね合わせるステップと、
(8)上記共通基準系において集められた相似形の該相似の比H
i=2ρ
i/2ρ
∞を変えることによって、半径2ρ
∞の参照円内に位置する参照スペクトルS
refをデジタル変換して、可変な半径2ρ
iの円内に位置する変換された参照スペクトルS
iにするステップと、
(9)変換された参照スペクトルS
iの全てのピークが、取り込まれた画像S
totのピークに重ね合わせられとき、変換された参照スペクトルS
iが取り込まれた画像S
totのスペクトルの構成要素の1つと一致し、このとき相似比H
iを格納するステップと、
(10)式d
i=d/(H
i−1)を用いて、視界に存在する物体の1つまでの距離を算出するステップ。
【0013】
格納されている値とは異なる、相似比H
iの新しい値を用いてステップ(9)の実行が不可能になるまで、ステップ(8)からステップ(10)までのシーケンスが繰り返される。視界に存在する物体の1つと対応するステップ(10)の実行により距離d
iが得られる。
【0014】
このように、本発明に係る方法では、画像を取り込むステップ(4)は、それぞれの物体までの距離を求めるために1度だけ実行される。画像が取り込まれた時刻と同時刻における距離を求めるのに、撮像装置を移動させることは必要ない。よって、本発明により、同時刻における、複数の物体までの距離を容易に求めることができる。
【0015】
フーリエ変換の線形性により、ステップ(5)で求められた、複数の物体の画像のフーリエ変換は、1つの物体のみに対し実行されたフーリエ変換を合計したものと等しい。
【0016】
基礎円内に位置する有限数Nのピークから成る、コンポーネントのトランスミッタンスtのフーリエ変換Tに起因して、視界に位置する物体によって生成された空間周波数スペクトルには、ギャップが存在する。これらのギャップにより、ステップ(9)において、取り込まれた画像のスペクトルS
totにおいて、物体それぞれを区別することができ、ステップ(10)において、それぞれの物体までの距離を個々に求めることができる。
【0017】
視界に位置する、距離によって相互に区別される物体を計数することにより、上記方法を補完することができる。この目的のために、異なる相似比H
iの値を生成するステップ(8)からステップ(10)までのシーケンスの繰り返しが計数され、これら繰り返しの数と等しいものとして、視界に位置する物体の数nが決定される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態では、上記コンポーネントは、周期的に連続した自己結像のグレーティング(回折格子)であってもよい。この場合、上記コンポーネントのトランスミッタンスtのフーリエ変換Tのピークは、周期的グレーティング上で半径ρ
∞の参照円上に同時に位置する。これは、ステップ(9)で実行される、参照スペクトルS
refの空間周波数と取り込まれた画像のスペクトルS
totの少なくとも一部分との一致検索を手助けする。視界内で相互に近接している複数の物体それぞれまでの距離を正確に決定することは容易である。
【0019】
本発明はまた、以下の構成を備える距離画像化のための装置を提案する。
−平板上光学コンポーネントであって、可能であれば、周期的に連続した自己結像のグレーティング型の平板上光学コンポーネント。
−上記コンポーネントの上記視界とは反対側の上記コンポーネントから距離d
fの位置にある、上記Z軸に対し垂直な平面に配置された画像センサ。
−センサによって取り込まれた画像、及び、参照スペクトルS
refを格納するのに適合した記憶部。
−上述した方法のステップ(7)からステップ(10)を実行し、相似比H
iの新しい値がステップ(9)で得られるまでステップ(8)からステップ(10)までのシーケンスを繰り返す処理を実行するのに適合した計算ユニット。
【0020】
本発明に係る装置において、上記コンポーネントは、半径ρ
∞の基礎円上に位置するN個のピークから成る、トランスミッタンスtのフーリエ変換Tを実行するのに適している。なお、Nは、有限でも無限でもよい。
【0021】
上記コンポーネントは、フェイズグレーティング(位相格子)であってもよい。これは、可能でよく知られている生成方法によって、容易に配置、及び実行できる。
【0022】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の、限定されない例の説明、及び添付した図面から明らかになるであろう。