(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分散相における前記高級アルコールの含有量に対する前記脂肪酸グリセライドの含有量の質量比(脂肪酸グリセライド/高級アルコール)が0.2〜4である、請求項1〜3の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
前記分散相における前記脂肪酸グリセライド及び前記高級アルコールの合計の含有量に対する前記結晶性美白剤の含有量の質量比(結晶性美白剤/(脂肪酸グリセライド+高級アルコール))が0.1〜3である、請求項1〜4の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
脂肪酸グリセライド及び炭素数14〜22の高級アルコールを含む固体脂、ビフェニル骨格を有する結晶性美白剤、ゲル形成剤、及び水を含有する分散液を、滴下法、噴霧法、又は撹拌法により液滴にして冷却固化させて得られる、請求項1〜9の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
脂肪酸グリセライド及び炭素数14〜22の高級アルコールを含む固体脂、ビフェニル骨格を有する結晶性美白剤、ゲル形成剤、及び水を含有する分散液を、滴下法、噴霧法、又は撹拌法により液滴にして冷却固化させる、請求項1〜9の何れかに記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について詳細に説明する。
【0012】
[ハイドロゲル粒子]
本実施形態に係るハイドロゲル粒子は、非架橋型ハイドロゲルの連続相とその連続相内に分散した分散相とを備える。そして、分散相は、脂肪酸グリセライドA1及び炭素数14〜22の高級アルコールA2(以下「高級アルコールA2」と略す。)を含む固体脂Aと、ビフェニル骨格を有する結晶性美白剤B(以下「結晶性美白剤B」と略す。)を含有する。本実施形態に係るハイドロゲル粒子は、例えば、化粧料、主には美白化粧料に配合されて用いられるものである。
【0013】
本実施形態に係るハイドロゲル粒子によれば、上記構成を有することにより、分散相中に含まれる結晶性美白剤Bのハイドロゲル粒子からの漏出を抑制することができ、それによってハイドロゲル粒子外における結晶性美白剤Bの結晶の析出を抑制することができる。従って、例えば、本実施形態に係るハイドロゲル粒子を化粧料に配合した場合でも、化粧料中における結晶性美白剤Bの結晶の析出が抑制され、そのため長期間に渡って安定して保存することができる。尚、かかる結晶性美白剤Bの結晶の析出抑制効果は、分散相の表層に脂肪酸グリセライドA1及び高級アルコールA2により被膜が形成され、それによって結晶性美白剤Bの分散相からの漏出が抑制されることにより奏されるものではないかと推測される。
【0014】
尚、特許文献1には、ハイドロゲル粒子に美白剤を配合してもよいことが記載されているが、結晶性美白剤についての記載はなく、また、その課題に関しても開示されていない。特許文献2には、美白剤内包マイクロカプセルが記載されているが、このものは、マイクロカプセル中に美白剤を微粒化して配合しており、マイクロカプセル中に油剤を含有させたものではない。
【0015】
ここで、本出願における「ハイドロゲル粒子」とは、非架橋型ハイドロゲルの連続相内に分散相が分散した1個乃至複数個の粒子である。また、本出願における「非架橋型ハイドロゲル」とは、水を溶媒としてゲル形成剤から得られるゲルであり、ゾル−ゲルの熱可逆性によってゲル化が生じるものをいう。尚、ハイドロゲル粒子における連続相内に分散相が分散した構造は、例えば凍結割断SEMによる写真観察分析により確認することができる。
【0016】
ハイドロゲル粒子の体積基準平均粒径は、生産性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上であり、また、化粧料に配合した場合の使用時の感触(以下、単に「使用感」ともいう。)及び外観に優れる観点から、好ましくは10000μm以下、より好ましくは1000μm以下、更に好ましくは250μm以下である。ハイドロゲル粒子の体積基準平均粒径は、レーザー回折散乱法(例えば、堀場製作所社製型番:LA−920)やふるい分け法により測定することができる。尚、1000μm以下の粒子の測定にはレーザー回折散乱法の適用が好ましく、1000μmを超える粒子の測定にはふるい分け法の適用が好ましい。
【0017】
ハイドロゲル粒子の形状は、特に限定されるものではないが、曲面で構成された回転体の形状であることが好ましい。ここで、「曲面で構成された回転体」とは、仮想軸及び連続的な曲線で構成された閉じた図を仮想軸で回転させたものをいい、三角錐や円柱等の平面を有する形状は含まない。ハイドロゲル粒子の形状は、化粧料に配合した際の美観の観点から、球状又は楕円回転状であることがより好ましい。
【0018】
(連続相)
連続相は、非架橋型ハイドロゲルで構成されており、ゲル形成剤と水とを含有する。
【0019】
非架橋型ハイドロゲルの溶解温度は、化粧料に配合する観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上であり、また、生産性の観点から、好ましくは98℃以下、より好ましくは95℃以下である。また、非架橋型ハイドロゲルのゲル化温度は、生産性の観点から、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上、更に好ましくは30℃以上であり、また、同様の観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは45℃以下である。
【0020】
非架橋型ハイドロゲルのゼリー強度は、化粧料等に適用した場合の使用時の感触の観点から、好ましくは147kPa(1500g/cm
2)以下、より好ましくは19.6kPa(200g/cm
2)〜127kPa(1300g/cm
2)である。ゼリー強度は、日寒水式法により求めることができる。具体的には、ゼリー強度は、ゲル形成剤の1.5質量%水溶液を調製し、その水溶液を20℃で15時間放置して凝固させたゲルに、日寒水式ゼリー強度測定器(木屋製作所社製)により荷重をかけ、20℃においてゲルが20秒間その荷重に耐えるときの表面積1cm
2当たりの最大質量(g)として求めることができる。
【0021】
ハイドロゲル粒子における連続相の含有量は、化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上であり、また、ハイドロゲル粒子の化粧料等への配合時における崩壊を抑制する観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
【0022】
ゲル形成剤としては、例えば、寒天、カラギーナン、ゼラチン等が挙げられる。これらのうち、ハイドロゲル粒子の保存安定性の観点から、寒天が好ましい。ゲル形成剤は、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。
【0023】
連続相におけるゲル形成剤の含有量は、化粧料等への配合時におけるハイドロゲル粒子の崩壊を防止する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、化粧料等に適用した場合の使用時の感触が良好であるという観点から、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0024】
ハイドロゲル粒子におけるゲル形成剤の含有量は、化粧料等への配合時におけるハイドロゲル粒子の崩壊を防止する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、また、化粧料等に適用した場合の使用時の感触が良好であるという観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
【0025】
(分散相)
分散相は、固体脂Aと結晶性美白剤Bとを含有する。また、分散相は、液体油Cを更に含有してもよい。この場合、分散相において、固体脂A及び液体油Cは油脂成分を構成する。
【0026】
ここで、本出願における「固体脂A」とは、融点が35℃以上の油脂をいう。また、本出願における「液体油C」とは、融点が35℃未満の油脂をいう。尚、これらの融点は、示差走査熱量測定法(DSC:Differential Scanning Calorimentry)によって測定することができる。
【0027】
ハイドロゲル粒子における分散相の含有量は、ハイドロゲル粒子の化粧料等への配合時における崩壊を抑制する観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上であり、また、化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは35質量%以下である。
【0028】
分散相の体積基準平均粒子径は、好ましくはハイドロゲル粒子の体積基準平均粒子径の1/10以下である。具体的には、分散相の体積基準平均粒子径は、化粧料等に適用した場合に皮膚上で滑らかに延ばすことができるという観点、並びにハイドロゲル粒子からの分散相の漏出抑制及び化粧料等に適用した場合の皮膚へのなじみ性が良好であるという観点から、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.5〜20μmである。尚、分散相の体積基準平均粒子径は、粒子化前の分散液の状態で、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所社製型番:LA−920)を用いたレーザー回折散乱法によって測定することができる。
【0029】
<固体脂A>
固体脂Aは、融点が35℃以上の油脂であり、脂肪酸グリセライドA1及び高級アルコールA2を含む。尚、固体脂Aは、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出抑制効果を阻害しない範囲で、それら以外の、例えば、炭素数14〜22でない高級アルコールや固形パラフィン等を含んでいてもよい。
【0030】
分散相における固体脂Aの含有量は、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは4質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは11質量%以上であり、また、化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは34質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは29質量%以下である。
【0031】
ハイドロゲル粒子における固体脂Aの総含有量は、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上であり、より更に好ましくは3質量%以上であり、また、化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である。
【0032】
−脂肪酸グリセライドA1−
脂肪酸グリセライドA1は、下記一般式(I)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0033】
R
1COOCH
2(CHX)CH
2Y (I)
(式中、X及びYは、各々独立して、OH又はOCOR
2を示し、R
1及びR
2は、各々独立して、炭素数13〜21の飽和炭化水素基、好ましくは炭素数13〜21の直鎖状飽和炭化水素基を示す)
一般式(I)の脂肪酸グリセライドA1は、X及びYのいずれもがOCOR
2である脂肪酸トリグリセライドを含んでもよいが、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、X及びYのいずれもがOHである脂肪酸モノグリセライド並びにX及びYのいずれか一方がOHで且つ他方がOCOR
2である脂肪酸ジグリセライドのうち少なくとも一方を含むことが好ましく、脂肪酸モノグリセライドを含むことがより好ましい。また、同様の観点から、一般式(I)の脂肪酸グリセライドA1は、R
1及びR
2が、各々独立して、炭素数16又は18の飽和炭化水素基であることが好ましく、炭素数18の飽和炭化水素基であることがより好ましい。飽和炭化水素基は、直鎖状及び分岐鎖状のいずれであってもよいが、直鎖状であることが好ましい。
【0034】
具体的な脂肪酸モノグリセライドとしては、例えば、パルミチン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド等が挙げられる。具体的な脂肪酸ジグリセライドとしては、例えば、パルミチン酸ジグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ベヘニン酸ジグリセライド等が挙げられ、脂肪酸グリセライドA1は、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。これらのうち、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、ステアリン酸モノグリセライド及びステアリン酸ジグリセライドからなる群から選ばれる一種以上が好ましく、それらの両方の併用がより好ましい。
【0035】
分散相における脂肪酸グリセライドA1の含有量は、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは6質量%以上であり、また、化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは17質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である。
【0036】
ハイドロゲル粒子における脂肪酸グリセライドA1の総含有量は、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、より更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である。
【0037】
−高級アルコールA2−
高級アルコールA2は、分子中に含まれる炭素数が14〜22の鎖式アルコールである。高級アルコールA2は、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、分子中に含まれる炭素数が好ましくは16〜22、より好ましくは16〜18である。また、高級アルコールA2は、直鎖状又は分岐鎖状の飽和一価アルコールであることが好ましく、更に、直鎖状であることがより好ましい。
【0038】
高級アルコールA2としては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、2−オクチルドデカノール、アラキディルアルコールが挙げられる。高級アルコールA2は、好ましくはこれらの高級アルコールからなる群から選択される1種又は2種以上を含み、より好ましくはセチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールからなる群から選択される1種又は2種以上を含み、更に好ましくはセチルアルコール及び/又はステアリルアルコールを含む。
【0039】
高級アルコールA2は、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。後者の場合、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、セチルアルコール及びステアリルアルコールを混合したセトステアリルアルコールが好ましい。セトステアリルアルコールの混合質量比(セチルアルコール/ステアリルアルコール)は、好ましくは0.33以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは1以上であり、また、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下である。
【0040】
分散相における高級アルコールA2の含有量は、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは6質量%以上であり、また、化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは17質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である。
【0041】
分散相における脂肪酸グリセライドA1及び高級アルコールA2の合計含有量は、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは4質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは11質量%以上であり、また、化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは34質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは29質量%以下である。
【0042】
分散相における高級アルコールA2の含有量に対する脂肪酸グリセライドA1の含有量の質量比(脂肪酸グリセライドA1/高級アルコールA2)は、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上 更に好ましくは0.4以上であり、また、同様の観点から、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2.5以下である。
【0043】
ハイドロゲル粒子における高級アルコールA2の総含有量は、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、より更に好ましくは5質量%以下である。
【0044】
ハイドロゲル粒子における脂肪酸グリセライドA1及び高級アルコールA2の合計総含有量は、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である。
【0045】
<結晶性美白剤B>
本出願における「結晶性美白剤B」とは、ビフェニル骨格を有する結晶性化合物であって、チロシナーゼ活性阻害効果及び/又はメラニン生成抑制効果を奏するものをいう。結晶性であることは、X線回折によりピークを有することで、結晶状態を確認できる。かかる結晶性美白剤Bとしてはマグノリグナンが好ましい。
【0046】
結晶性美白剤Bは、下記一般式(1)で表されるビフェニル化合物を含むことが好ましい。
【0048】
一般式(1)で表される結晶性美白剤Bは、美白効果と安定性の観点から、R
3及びR
4が、各々独立して、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状のアルキル基であるビフェニル化合物を含むことが好ましく、炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基であるビフェニル化合物を含むことがより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基であるビフェニル化合物を含むことが更に好ましい。R
3及びR
4としては、例えば、H、CH
3、C
2H
5、C
3H
7、C
4H
9、C
5H
11、C
6H
13、C
7H
15、C
8H
17等が挙げられる。一般式(1)で表されるビフェニル化合物の結晶性美白剤Bは、R
3及びR
4のそれぞれがC
3H
7である2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジ−n−プロピルビフェニル(マグノリグナン)を含むことがより更に好ましい。
【0049】
結晶性美白剤Bは、下記一般式(2)で表されるビフェニル化合物を含むことが好ましい。
【0051】
一般式(2)で表される結晶性美白剤Bは、R
5及びR
6が、各々独立して、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、アルデヒド基、又はアセチル基であるビフェニル化合物を含むことが好ましく、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基、アルデヒド基、又はアセチル基であるビフェニル化合物を含むことがより好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基であるビフェニル化合物を含むことが更に好ましい。R
5及びR
6としては、例えば、CH
3、C
2H
5、C
3H
7、CH
2OH、C
3H
6OH、CHO、COCH
3、CH
2CH=CH
2等が挙げられる。
【0052】
更に、結晶性美白剤Bは、下記一般式(3)で表されるビフェニル化合物を含んでもよい。また、結晶性美白剤Bは、下記一般式(4)で表されるアシル化ビフェニル化合物を含んでもよい。
【0055】
結晶性美白剤Bは、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。結晶性美白剤Bは、常法により合成して得ることもでき、また、植物等から抽出したものを水添して得ることもできる。
【0056】
分散相における結晶性美白剤Bの含有量は、美白効果の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、また、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点及び化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは13質量%以下である。
【0057】
分散相における脂肪酸グリセライドA1及び高級アルコールA2の合計含有量に対する結晶性美白剤Bの含有量の質量比(結晶性美白剤B/(脂肪酸グリセライドA1+高級アルコールA2))は、美白効果の観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、また、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下、より更に好ましくは1以下である。
【0058】
ハイドロゲル粒子における結晶性美白剤Bの総含有量は、美白効果の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは2質量%以上であり、また、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下である。
【0059】
結晶性美白剤Bは、使用感の観点から、ハイドロゲル粒子内で結晶化していないことが好ましい。
【0060】
<液体油C>
液体油Cは、融点が35℃未満の油脂であり、難溶性の結晶性美白剤Bを安定に配合する観点及び化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、下記一般式(i)で表される脂肪族ジカルボン酸エステルを含むことが好ましい。
【0062】
脂肪族ジカルボン酸エステルを構成する脂肪族ジカルボン酸の分子中に含まれる炭素数は、好ましくは4〜12、より好ましくは6〜12、更に好ましくは8〜12、より更に好ましくは8〜10である。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸等が挙げられる。
【0063】
脂肪族ジカルボン酸エステルを構成するアルコールは、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルコールが好ましい。かかるアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールが挙げられる。
【0064】
具体的には、脂肪族ジカルボン酸エステルとして、例えば、セバシン酸ジイソプロピル等が挙げられる。
【0065】
液体油Cにおける脂肪族ジカルボン酸エステルの含有量は、難溶性の結晶性美白剤Bを安定に配合する観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
【0066】
液体油Cは、その他に、下記一般式(ii)で表されるプロピレングリコール脂肪酸エステルを含んでもよい。また、液体油Cは、その他に、下記一般式(iii)で表されるプロピレングリコール脂肪酸エステルを含んでもよい。
【0069】
液体油Cは、単一種のみが含まれていても、また、複数種が含まれていても、どちらでもよい。
【0070】
分散相における液体油Cの含有量は、難溶性の結晶性美白剤Bを安定に配合する観点及び化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上であり、また、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、より更に好ましくは78質量%以下である。
【0071】
分散相における液体油Cの含有量に対する結晶性美白剤Bの含有量の質量比(結晶性美白剤B/液体油C)、好ましくは分散相における前記脂肪族ジカルボン酸エステルの含有量に対する結晶性美白剤Bの含有量の質量比(結晶性美白剤B/脂肪族ジカルボン酸エステル)は、美白効果を高める観点から、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、また、難溶性の結晶性美白剤Bを安定に配合する観点及び化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下である。
【0072】
分散相における固体脂A及び液体油Cからなる油脂成分の含有量は、難溶性の結晶性美白剤Bを安定に配合する観点及び化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、また、結晶性美白剤Bを配合する観点から、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは93質量%以下である。
【0073】
ハイドロゲル粒子における液体油Cの総含有量は、難溶性の結晶性美白剤Bを安定に配合する観点及び化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上であり、また、使用感に優れる観点及びハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下である。
【0074】
ハイドロゲル粒子における固体脂A及び液体油Cからなる油脂成分の総含有量は、難溶性の結晶性美白剤Bを安定に配合する観点及び化粧料等に適用した場合の皮膚上での延ばしやすさの観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、より更に好ましくは24質量%以上であり、また、使用感に優れる観点及びハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出を抑制する観点の観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは31質量%以下である。
【0075】
(任意成分)
連続相は、非架橋型ハイドロゲルのゲル化剤及び水以外に、特開2000-126586号公報に記載の糖類、多価アルコール、水溶性高分子化合物、水溶性香料等の水溶性有機化合物の成分を含有してもよい。
【0076】
連続相及び分散相のそれぞれは、後述の乳化分散剤、着色剤、防腐剤等の成分を含有していてもよい。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、イソプロピルメチルフェノール、デヒドロ酢酸及びその塩類等が挙げられる。
【0077】
また、連続相及び分散相のそれぞれは、一般的に化粧料に適用される保湿剤、制汗剤、抗菌剤、殺菌剤、粉体等の成分を含有していてもよい。
【0078】
本実施形態に係るハイドロゲル粒子は、以下に説明する製造方法により得られるものであることが好ましい。
【0079】
[ハイドロゲル粒子の製造方法]
以下、本実施形態に係るハイドロゲル粒子の製造方法について説明する。
【0080】
本実施形態に係るハイドロゲル粒子の製造方法は、脂肪酸グリセライド及び炭素数14〜22の高級アルコールを含む固体脂、ビフェニル骨格を有する結晶性美白剤、ゲル形成剤、及び水を含有する分散液を、滴下法、噴霧法、又は撹拌法により液滴にして冷却固化させる方法が好ましい。
【0081】
(分散液の調製)
まず、分散相成分液として、脂肪酸グリセライドA1及び高級アルコールA2を含む固体脂A並びに結晶性美白剤Bを加熱混合して十分に溶解させた混合液を調製する。分散相が液体油Cを含む場合には、分散相成分液に液体油Cを含める。また、連続相成分液として、ゲル形成剤及びイオン交換水を混合し、その溶解温度以上の温度に加熱して十分に溶解させた混合液を調製する。
【0082】
そして、ゲル化温度以上の温度で、分散相成分液と連続相成分液とを混合して水中油型の分散液を調製する。ここで、分散液の調製方法は、特に限定されず、各種攪拌機、分散機等を用いた公知技術を適用することができる。
【0083】
分散相成分液及び/又は連続相成分液には、それらの調製時及び/又は調製後に乳化分散剤を添加することが好ましく、連続相成分液に、その調製時に乳化分散剤を添加することがより好ましい。また、分散相成分液及び連続相成分液の混合時及び/又は混合後に乳化分散剤を添加してもよい。
【0084】
乳化分散剤としては、例えば、高分子乳化分散剤、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。乳化分散剤は、単一種を添加しても、また、複数種を添加しても、どちらでもよい。
【0085】
(分散液の粒子化)
続いて、分散液を調製した後、その分散液を一般的な滴下法、噴霧法、又は攪拌法により液滴にして冷却固化させることによりハイドロゲル粒子を製造する。
【0086】
滴下法は、孔から分散液を吐出させ、吐出された分散液がその表面張力又は界面張力によって液滴になる性質を利用し、その液滴を空気等の気相中又は液相中で冷却固化させてハイドロゲル粒子を製造する方法である。尚、粒径の均一なハイドロゲル粒子を製造する観点から、孔から吐出される分散液に振動を与えることが好ましい。
【0087】
噴霧法は、噴霧ノズルを用い、噴霧ノズルから分散液を気相に噴霧させると共に、その表面張力によって液滴を形成させ、その液滴を気相で冷却固化させてハイドロゲル粒子を製造する方法である。
【0088】
滴下法により、冷却固化させる際の気相又は液相の温度、及び噴霧法により、冷却固化させる際の気相の温度は、生産性の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上であり、また、冷却固化する観点から、好ましくは35℃以下、より好ましくは30℃以下である。
【0089】
攪拌法は、分散液と実質的に混じり合わない性状を有し且つゲル化温度以上の温度に調整した液に分散液を投入すると共に、攪拌による剪断力により分散液を微粒化し、界面張力によって液滴になる性質を利用することによって、その液滴を分散液と実質的に混じり合わない液中で冷却固化させてハイドロゲル粒子を製造する方法である。
【0090】
滴下法、噴霧法、及び攪拌法のいずれの場合も、吐出時、噴霧時、又は投入時の分散液の温度を、美観に優れた球状の粒子を容易に製造することができるという観点から、好ましくはゲル化温度以上、より好ましくはゲル化温度+10℃以上、更に好ましくはゲル化温度+20℃以上であり、また、生産性の観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下、更に好ましくは90℃以下とすることが好ましい。
【0091】
尚、ハイドロゲル粒子からの油脂成分の漏出を抑制する観点からは、滴下法及び噴霧法が好ましく、生産性の観点から、噴霧法が更に好ましい。
【0092】
以上のようにして製造されたハイドロゲル粒子は、必要に応じて更に粉砕等により微細化してもよい。
【0093】
[美白化粧料]
本実施形態に係るハイドロゲル粒子を配合することにより、美白効果を有する美白化粧料を得ることができる。乳化液に用いる場合、w/o型、o/w型のいずれの化粧料にも適用することが可能であるが、ハイドロゲル粒子の分散安定性の観点から、o/w型の化粧料に用いることが好ましい。本実施形態に係るハイドロゲル粒子は、化粧水等の水溶性溶媒を主成分とする化粧料にも適用することが可能である。
【0094】
美白化粧料におけるハイドロゲル粒子の含有量は、美白効果を発現する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、ハイドロゲル粒子の分散安定性の観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
【0095】
美白化粧料における結晶性美白剤Bの含有量は、物質によってその最適量は異なるが、美白効果を発現する観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、結晶性美白剤Bの安定性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0096】
美白化粧料には、結晶性美白剤Bを含むハイドロゲル粒子以外に、ハイドロゲル粒子からの結晶性美白剤Bの漏出抑制効果を阻害しない範囲で、紫外線吸収剤、高分子乳化分散剤、殺菌剤、制汗剤、保湿剤、清涼剤、香料、着色剤等が配合されていてもよい。
【0097】
上述した実施形態に関し、更に以下の構成を開示する。
【0098】
<1>非架橋型ハイドロゲルの連続相と、前記連続相内に分散した分散相とを備え、前記分散相は、脂肪酸グリセライド及び炭素数14〜22の高級アルコールを含む固体脂と、ビフェニル骨格を有する結晶性美白剤とを含有する、ハイドロゲル粒子。
【0099】
<2>前記高級アルコールの炭素数が、好ましくは16〜22、より好ましくは16〜18である、前記<1>に記載のハイドロゲル粒子。
【0100】
<3>前記高級アルコールが、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状の飽和一価アルコールである、前記<1>又は<2>に記載のハイドロゲル粒子。
【0101】
<4>前記高級アルコールが、好ましくはセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、2−オクチルドデカノール、及びアラキディルアルコールからなる群から選択される1種又は2種以上を含み、より好ましくはセチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールからなる群から選択される1種又は2種以上を含み、更に好ましくはセチルアルコール及び/又はステアリルアルコールを含む、前記<1>〜<3>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0102】
<5>前記分散相における前記高級アルコールの含有量が、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは6質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは17質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である、前記<1>〜<4>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0103】
<6>前記分散相における前記高級アルコールの含有量に対する前記脂肪酸グリセライドの含有量の質量比(脂肪酸グリセライド/高級アルコール)が、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上 更に好ましくは0.4以上であり、また、同様の観点から、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2.5以下である、前記<1>〜<5>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0104】
<7>前記分散相における前記脂肪酸グリセライド及び前記高級アルコールの合計の含有量に対する前記結晶性美白剤の含有量の質量比(結晶性美白剤/(脂肪酸グリセライド+高級アルコール))が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、また、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、より更に好ましくは2以下、より更に好ましくは1以下である、前記<1>〜<6>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0105】
<8>前記脂肪酸グリセライドが下記一般式(I)で表される化合物を含む、請求項1〜7の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0106】
R
1COOCH
2(CHX)CH
2Y (I)
(式中、X及びYは、各々独立して、OH又はOCOR
2を示し、R
1及びR
2は、各々独立して、炭素数13〜21の飽和炭化水素基を示す)
<9>前記一般式(I)の脂肪酸グリセライドは、好ましくはX及びYのいずれもがOHである脂肪酸モノグリセライド並びにX及びYのいずれか一方がOHで且つ他方がOCOR
2である脂肪酸ジグリセライドのうち少なくとも一方を含み、より好ましくは脂肪酸モノグリセライドを含む、前記<8>に記載のハイドロゲル粒子。
【0107】
<10>前記一般式(I)の脂肪酸グリセライドは、R
1及びR
2が、各々独立して、好ましくは炭素数16又は18の飽和炭化水素基であり、より好ましくは炭素数16又は18の直鎖状飽和炭化水素基である、前記<8>又は<9>に記載のハイドロゲル粒子。
【0108】
<11>前記一般式(I)の脂肪酸グリセライドが、好ましくはパルミチン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド、パルミチン酸ジグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、及びベヘニン酸ジグリセライドからなる群から選択される1種又は2種以上を含み、更に好ましくはステアリン酸モノグリセライド及びステアリン酸ジグリセライドからなる群から選ばれる一種以上を含み、より更に好ましくはステアリン酸モノグリセライド及びステアリン酸ジグリセライドの併用である、前記<8>〜<10>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0109】
<12>前記結晶性美白剤が、下記一般式(1)で表されるビフェニル化合物を含む、前記<1>〜<11>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0111】
<13>前記一般式(1)で表される結晶性美白剤Bは、R
3及びR
4が、各々独立して、好ましくは水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状のアルキル基であるビフェニル化合物、より好ましくは炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基であるビフェニル化合物、更に好ましくは炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基であるビフェニル化合物、より更に好ましくはC
3H
7である2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジ−n−プロピルビフェニルを含む、前記<12>に記載のハイドロゲル粒子。
【0112】
<14>前記分散相が液体油を更に含有する、前記<1>〜<13>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0113】
<15>前記液体油が、下記一般式(i)で表される脂肪族ジカルボン酸エステルを含む、前記<14>に記載のハイドロゲル粒子。
【0115】
<16>前記液体油の前記脂肪族ジカルボン酸エステルを構成する脂肪族ジカルボン酸の分子中に含まれる炭素数が、好ましくは4〜12、より好ましくは6〜12、更に好ましくは8〜12、より更に好ましくは8〜10である、前記<15>に記載のハイドロゲル粒子。
【0116】
<17>前記脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、及び1,10−デカンジカルボン酸からなる群から選択される1種又は2種以上を含む、前記<15>又は<16>に記載のハイドロゲル粒子。
【0117】
<18>前記液体油がセバシン酸ジイソプロピルを含む、前記<15>又は<16>に記載のハイドロゲル粒子。
【0118】
<19>前記液体油における前記脂肪族ジカルボン酸エステルの含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%である、前記<15>〜<18>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0119】
<20>前記分散相における前記液体油の含有量が、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、より更に好ましくは78質量%以下である、前記<14>〜<19>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0120】
<21>前記分散相における前記液体油の含有量に対する前記結晶性美白剤の含有量の質量比(結晶性美白剤/液体油)、好ましくは前記分散相における前記脂肪族ジカルボン酸エステルの含有量に対する前記結晶性美白剤の含有量の質量比(結晶性美白剤/脂肪族ジカルボン酸エステル)が、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上であり、また、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下である、前記<14>〜<20>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0121】
<22>前記分散相における前記固体脂及び前記液体油からなる油脂成分の含有量が、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、また、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、更に好ましくは93質量%以下である、前記<14>〜<21>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0122】
<23>前記ハイドロゲル粒子における前記液体油の総含有量が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは25質量%以下である、前記<14>〜<22>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0123】
<24>前記ハイドロゲル粒子における前記固体脂及び前記液体油からなる油脂成分の総含有量が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは24質量%以上であり、また、好ましくは40質量%以上、より好ましくは35質量%以上、更に好ましくは31質量%以上である、前記<14>〜<23>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0124】
<25>前記ハイドロゲル粒子における連続相の含有量が、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である、前記<1>〜<24>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0125】
<26>前記ゲル形成剤が寒天である、前記<1>〜<25>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0126】
<27>前記連続相における前記ゲル形成剤の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である、前記<1>〜<26>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0127】
<28>前記ハイドロゲル粒子における前記ゲル形成剤の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である、前記<1>〜<27>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0128】
<29>前記連続相の非架橋型ハイドロゲルの溶解温度が、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは75℃以上であり、また、好ましくは98℃以下、より好ましくは95℃以下である、前記<1>〜<28>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0129】
<30>前記連続相の非架橋型ハイドロゲルのゲル化温度が、好ましくは20℃以上、より好ましくは25℃以上、更に好ましくは30℃以上であり、また、好ましくは50℃以下、より好ましくは45℃以下である、前記<1>〜<29>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0130】
<31>前記分散相の含有量が、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、より更に好ましくは20質量%以上、より更に好ましくは25質量%以上であり、また、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下、より更に好ましくは35質量%以下である、前記<1>〜<30>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0131】
<32>前記分散相における前記固体脂の含有量が、好ましくは4質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは11質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは34質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは29質量%以下である、前記<1>〜<31>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0132】
<33>前記ハイドロゲル粒子における前記固体脂の総含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上、より更に好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である、前記<1>〜<32>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0133】
<34>前記分散相における前記脂肪酸グリセライドの含有量が、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、より更に好ましくは6質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは17質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下である、前記<1>〜<33>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0134】
<35>前記ハイドロゲル粒子における前記脂肪酸グリセライドの総含有量が、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上より沙汰に好ましくは1.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である、前記<1>〜<34>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0135】
<36>前記分散相における前記脂肪酸グリセライド及び前記高級アルコールの合計含有量が、好ましくは4質量%以上、より好ましくは6質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、より更に好ましくは11質量%以上であり、また、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは34質量%以下、より更に好ましくは30質量%以下、より更に好ましくは29質量%以下である、前記<1>〜<35>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0136】
<37>前記ハイドロゲル粒子における前記高級アルコールの総含有量は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは1.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である、前記<1>〜<36>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0137】
<38>前記ハイドロゲル粒子における前記脂肪酸グリセライド及び前記高級アルコールの合計総含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、より更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは10質量%以下である、前記<1>〜<37>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0138】
<39>前記分散相における前記結晶性美白剤の含有量が、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、より更に好ましくは13質量%以下である、前記<1>〜<38>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0139】
<40>前記ハイドロゲル粒子における前記結晶性美白剤の総含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、より更に好ましくは4質量%以下である、前記<1>〜<39>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0140】
<41>前記ハイドロゲル粒子の体積基準平均粒径が、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上であり、また、好ましくは10000μm以下、より好ましくは1000μm以下、更に好ましくは250μm以下である、前記<1>〜<40>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0141】
<42>脂肪酸グリセライド及び炭素数14〜22の高級アルコールを含む固体脂、ビフェニル骨格を有する結晶性美白剤、ゲル形成剤、及び水を含有する分散液を、好ましくは滴下法、噴霧法、又は撹拌法、より好ましくは滴下法又は噴霧法、更に好ましくは噴霧法により液滴にして冷却固化させて得られる、前記<1>〜<42>の何れかに記載のハイドロゲル粒子。
【0142】
<43>前記<1>〜<42>の何れかに記載のハイドロゲル粒子を含有する、美白化粧料。
【0143】
<44>前記ハイドロゲル粒子の含有量が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、また、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である、前記<43>に記載の美白化粧料。
【0144】
<45>前記美白化粧料における前記結晶性美白剤の含有量が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である、前記<43>又は<44>に記載の美白化粧料。
【0145】
<46>脂肪酸グリセライド及び炭素数14〜22の高級アルコールを含む固体脂、ビフェニル骨格を有する結晶性美白剤、ゲル形成剤、及び水を含有する分散液を、好ましくは滴下法、噴霧法、又は撹拌法、より好ましくは滴下法又は噴霧法、更に好ましくは噴霧法により液滴にして冷却固化させる、前記<1>〜<42>の何れかに記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
【0146】
<47>分散液が更に液体油を含有する、前記<46>の記載のハイドロゲル粒子の製造方法。
【実施例】
【0147】
(ハイドロゲル粒子)
以下の実施例1〜10並びに比較例1及び2のハイドロゲル粒子を作製した。それぞれの構成について表1〜3にも示す。
【0148】
<実施例1>
脂肪酸グリセライドA1として(a1)ステアリン酸グリセライド(花王社製 商品名:レオドールMS−60、ステアリン酸モノグリセライド60質量%、ステアリン酸ジグリセライド40質量%)、高級アルコールA2として(a2−1)セチルアルコール(花王社製 商品名:カルコール6098、分子内炭素数16)及び(a2−2)ステアリルアルコール(花王社製 商品名:カルコール8098、分子内炭素数18)、高結晶性美白剤Bとして(b)ジプロピルビフェニルジオール(長谷川香料社製 商品名:マグノリグナン)、並びに液体油Cとして(c)セバシン酸ジイソプロピル(日本サーファクタント工業社製 商品名:N−DIS)を含む分散相成分液を調製した。このとき、得られるハイドロゲル粒子におけるそれぞれの含有量が、(a1)ステアリン酸グリセライド4質量%、(a2−1)セチルアルコール1.2質量%、(a2−2)ステアリルアルコール0.8質量%、(b)ジプロピルビフェニルジオール3質量%、及び(c)セバシン酸ジイソプロピル21質量%となるように配合を行った。
【0149】
ゲル形成剤として寒天(伊那食品工業社製 商品名:CS−16A、非架橋型ハイドロゲルの溶解温度:92℃、非架橋型ハイドロゲルのゲル化温度:40℃)、乳化分散剤としてアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(日光ケミカルズ社製 商品名:PEMULEN TR−2)及びポリビニルアルコール(日本合成化学工業社製 商品名:ゴーセノールEG−05)、pH調整剤として1NNaOH水溶液(キシダ化学社製)、並びにイオン交換水を含む連続相成分液を調製した。このとき、得られるハイドロゲル粒子におけるそれぞれの含有量が、寒天1.5質量%、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体0.1質量%、ポリビニルアルコール0.5質量%、1N NaOH水溶液0.75質量%、及びイオン交換水がその他残部となるように配合を行った。
【0150】
分散相成分液と連続相成分液とを質量比30:70の割合となるように合計1000g準備し、分散相成分液を80℃及び連続相成分液を90℃でそれぞれ加熱溶解させた。その後、連続相成分液に分散相成分液を加え、その混合物をホモミキサー(プライミクス社製 商品名:T.K.ロボミクス)を用いて回転数8000rpmで1分間攪拌することにより水中油型の分散液を調製した。
【0151】
その分散液の温度を80℃に保持し、槽内の3.4mの高さにおいて、分散液を12kg/hrの流量でスプレーノズル(いけうち社製 空円錐ノズルK−010)から、槽内の25℃の気相中に噴霧し、槽下部において、噴霧により形成された分散液の液滴が冷却固化したハイドロゲル粒子を回収した。そして、このハイドロゲル粒子を実施例1とした。
【0152】
実施例1のハイドロゲル粒子は、レーザー回折散乱法(例えば、堀場製作所社製 型番:LA−920)を用いて測定したところ、体積基準平均粒径が約150μmであった。尚、以下の実施例2〜10並びに比較例1及び2のハイドロゲル粒子も同様に、体積基準平均粒径が約150μmであった。
【0153】
原料であるマグノリグナンを、X線回折装置〔株式会社リガク製「Rigaku RINT 2500VC X−RAYdiffractometer」〕を用いて、下記条件で測定したところ、回折角2θ=13.2°、20.6°、21.9°、及び24.0°にX線回折強度のピークが見られた。一方、作製した実施例1のハイドロゲル粒子では、同回折角にはピークが見られず、回折角2θ=21.5°に皮膜構造に由来すると思われるX線回折強度のピークが見られた。
【0154】
測定条件は、X線源:Cu/Kα−radiation、管電圧:40kv、管電流:120mA、測定範囲:回折角2θ=5〜45°、X線のスキャンスピード:10°/minとした。
【0155】
<実施例2>
得られるハイドロゲル粒子における(a1)ステアリン酸グリセライドの含有量が3.0質量%、(a2−1)セチルアルコールの含有量が1.8質量%、及び(a2−2)ステアリルアルコールの含有量が1.2質量%となるように配合を行ったことを除いて実施例1と同一構成のハイドロゲル粒子を作製し、これを実施例2とした。
【0156】
<実施例3>
得られるハイドロゲル粒子における(a1)ステアリン酸グリセライドの含有量が2.0質量%、(a2−1)セチルアルコールの含有量が2.4質量%、及び(a2−2)ステアリルアルコールの含有量が1.6質量%となるように配合を行ったことを除いて実施例1と同一構成のハイドロゲル粒子を作製し、これを実施例3とした。
【0157】
<実施例4>
高級アルコールA2として(a2−2)ステアリルアルコールのみを用い、得られるハイドロゲル粒子における(a1)ステアリン酸グリセライドの含有量が3.0質量%、及び(a2−2)ステアリルアルコールの含有量が3.0質量%となるように配合を行ったことを除いて実施例1と同一構成のハイドロゲル粒子を作製し、これを実施例4とした。
【0158】
<実施例5>
高級アルコールA2として(a2−3)ベヘニルアルコール(花王社製、商品名:カルコール8098、分子内炭素数22)を用い、得られるハイドロゲル粒子における(a2−3)ベヘニルアルコールの含有量が2.0質量%となるように配合を行ったことを除いて実施例1と同一構成のハイドロゲル粒子を作製し、これを実施例5とした。
【0159】
<実施例6>
得られるハイドロゲル粒子における(a1)ステアリン酸グリセライドの含有量が3.0質量%、及び(a2−3)ベヘニルアルコールの含有量が3.0質量%となるように配合を行ったことを除いて実施例5と同一構成のハイドロゲル粒子を作製し、これを実施例6とした。
【0160】
<実施例7>
得られるハイドロゲル粒子における(a1)ステアリン酸グリセライドの含有量が2.0質量%、及び(a2−3)ベヘニルアルコールの含有量が4.0質量%となるように配合を行ったことを除いて実施例5と同一構成のハイドロゲル粒子を作製し、これを実施例7とした。
【0161】
<実施例8>
得られるハイドロゲル粒子における(a1)ステアリン酸グリセライドの含有量が1.5質量%、(a2−1)セチルアルコールの含有量が0.75質量%、及び(a2−2)ステアリルアルコールの含有量が0.75質量%となるように配合を行い、且つ分散相成分液と連続相成分液とを質量比27:73の割合で混合したことを除いて実施例1と同一構成のハイドロゲル粒子を作製し、これを実施例8とした。
【0162】
<実施例9>
得られるハイドロゲル粒子における(a1)ステアリン酸グリセライドの含有量が5.0質量%、(a2−1)セチルアルコールの含有量が2.5質量%、及び(a2−2)ステアリルアルコールの含有量が2.5質量%となるように配合を行い、且つ分散相成分液と連続相成分液とを質量比34:66の割合で混合したことを除いて実施例1と同一構成のハイドロゲル粒子を作製し、これを実施例9とした。
【0163】
<実施例10>
高級アルコールA2として(a2−4)ミリスチルアルコール(花王社製、商品名:カルコール4098、分子内炭素数14)を用い、得られるハイドロゲル粒子における(a1)ステアリン酸グリセライドの含有量が3.0質量%、及び(a2−4)ミリスチルアルコールの含有量が3.0質量%となるように配合を行ったことを除いて実施例1と同一構成のハイドロゲル粒子を作製し、これを実施例10とした。
【0164】
<比較例1>
高級アルコールA2を用いず、得られるハイドロゲル粒子における(a1)ステアリン酸グリセライドの含有量が3.0質量%となるように配合を行い、且つ分散相成分液と連続相成分液とを質量比27:73の割合で混合したことを除いて実施例1と同一構成のハイドロゲル粒子を作製し、これを比較例1とした。
【0165】
<比較例2>
脂肪酸グリセライドA1を用いず、高級アルコールA2として(a2−2)ステアリルアルコールを用い、得られるハイドロゲル粒子における(a2−2)ステアリルアルコールの含有量が3.0質量%となるように配合を行い、且つ分散相成分液と連続相成分液とを質量比27:73の割合で混合したことを除いて実施例1と同一構成のハイドロゲル粒子を作製し、これを比較例2とした。
【0166】
【表1】
【0167】
【表2】
【0168】
【表3】
【0169】
(保存安定性試験評価方法)
実施例1〜10及び比較例1〜2のそれぞれのハイドロゲル粒子について、ハイドロゲル粒子50質量%、フェノキシエタノール(東邦化学社製 商品名:ハイソルブEPH)0.2質量%、エタノール10質量%、及び精製水49.8質量%の組成比となるスラリー状の化粧料を調製した。
【0170】
次いで、このスラリーを5℃、室温、及び40℃のそれぞれの温度雰囲気下で保存すると共に、そのハイドロゲル粒子を含むスラリーの状態をCCD(KEYENCE製 商品名:DIGITAL MICROSCOPE VHX−500)を用いて経時的に観察した。
【0171】
そして、スラリー中において結晶性美白剤の結晶が保存開始から1ヶ月以内で析出した場合はC、1ヶ月を越えて、2ヶ月以内で析出した場合はB、2ヶ月を超えても析出しない場合をAとそれぞれ評価した。また、実施例1〜10については、最長7ヶ月まで観察を継続し、保存開始から結晶性美白剤の結晶が析出するまでの期間を調べた。5℃、室温(25℃)、40℃雰囲気下での全温度領域で、評価が、B以上が必要であり、Aが好ましい。
【0172】
(試験評価結果)
表4は試験結果を示す。尚、表4中、「>7ヶ月」は、保存開始から7ヶ月経過した時点で結晶性美白剤の結晶の析出が認められないことを意味し、同様に、「>2ヶ月」は、保存開始から2ヶ月経過した時点で結晶性美白剤の結晶の析出が認められないことを意味する。
【0173】
【表4】
【0174】
5℃、室温(25℃)、及び40℃雰囲気下での保存安定性評価は、実施例1〜10では、保存開始から1ヶ月を越えても結晶性美白剤の結晶の析出が認められず、評価がA又はBであったのに対し、高級アルコールを用いていない比較例1、脂肪酸グリセライドを用いていない比較例2では、保存開始から3週間で、いずれかの温度で結晶性美白剤の結晶が析出し、評価がCの箇所があった。
【0175】
ステアリルアルコールを用いた実施例4、ベヘニルアルコールを用いた実施例6、及びミリスチルアルコールを用いた実施例10を比較すると、実施例4では、全温度領域で、保存開始から7ヶ月を越えても結晶の析出が認められなかったのに対し、実施例6では、保存開始から3ヶ月で結晶が析出する温度領域があり、実施例10では、保存開始から2ヶ月で結晶が析出する温度領域があり、これらから、ステアリルアルコールが最も保存安定性が高いことが分かる。
【0176】
セチルアルコールとステアリルアルコールを併用した実施例1〜3でも、全温度領域で、保存開始から7ヶ月を越えても結晶の析出が認められず、保存安定性が高いことが分かる。
【0177】
また、実施例1〜10のハイドロゲル粒子を含有する化粧料は、皮膚上に伸ばしやすく、感触に優れるものであった。これは、結晶性美白剤がハイドロゲル粒子内で結晶化していないためであると考えられる。