(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180260
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】樹脂製窓の回転2色射出成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/16 20060101AFI20170807BHJP
B29C 45/32 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/32
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-202240(P2013-202240)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-66773(P2015-66773A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】上瀧修也
【審査官】
長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−051109(JP,A)
【文献】
特開2006−326916(JP,A)
【文献】
特開2014−168936(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0304970(US,A1)
【文献】
特開2008−094087(JP,A)
【文献】
特開昭62−099095(JP,A)
【文献】
特開2001−210707(JP,A)
【文献】
特開2013−141770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる回転軸線を挟んで互いに背中合わせに配置されて該回転軸線回りに一体に回転可能に構成された一対の回転型(5)と、
上記両回転型(5)の一方の回転型(5)に対して水平方向に接離可能に配置され、接近動作により型締めして該回転型(5)とで透光性の樹脂パネル(P1)を射出成形する樹脂パネル成形用可動型(7)と、
上記両回転型(5)の他方の回転型(5)に対して水平方向に接離可能に配置され、上記樹脂パネル(P1)が保持された一方の回転型(5)を反転させた状態で接近動作により型締めして該回転型(5)とで上記樹脂パネル(P1)裏面の周縁部に不透光性の環状枠部(P2)を射出成形して樹脂製窓(P)とする枠部成形用可動型(17)とを備え、
上記回転型(5)及び樹脂パネル成形用可動型(7)は、型開閉方向に互いに摺接する摺接部(5b,7d)をそれぞれ有し、
樹脂パネル(P1)成形時、上記樹脂パネル成形用可動型(7)の型締め位置が樹脂充填位置と、成形された樹脂パネル(P1)の内部応力を全体に亘って均一にするために該樹脂充填位置からキャビティ容積を型開閉方向に狭める樹脂圧縮位置とに上記摺接部(5b,7d)を互いに摺接させて移動する樹脂製窓の回転2色射出成形装置であって、
上記各回転型(5)には、樹脂パネル(P1)成形工程及び樹脂製窓(P)脱型工程では、型開閉方向と直交するキャビティ(5a)外方に後退して先端面がキャビティ(5a)側面と面一になる一方、上記樹脂パネル(P1)が保持された回転型(5)の反転工程では、型開閉方向と直交するキャビティ(5a)内方に進出して先端部が上記樹脂パネル(P1)の収縮により生ずる樹脂パネル(P1)端面とキャビティ(5a)側面との間の隙間(C)を埋め、該樹脂パネル(P1)端面を押圧して当該樹脂パネル(P1)の回転型(5)からの脱落を防止する脱落防止手段(27)が設けられていることを特徴とする樹脂製窓の回転2色射出成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂製窓の回転2色射出成形装置において、
上記脱落防止手段(27)は、上記樹脂パネル(P1)の各辺に対応して複数設けられ、
上記脱落防止ブロック(29)の先端部は、枠部(P2)成形工程にも型開閉方向と直交するキャビティ(5a)内方に進出していることを特徴とする樹脂製窓の回転2色射出成形装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の樹脂製窓の回転2色射出成形装置において、
上記脱落防止手段(27)は、脱落防止ブロック(29)と、
該脱落防止ブロック(29)を型開閉方向と直交するキャビティ(5a)内方に進出付勢する付勢部材(39)と、
上記脱落防止ブロック(29)を進退させる駆動装置(31)と、
一端が上記脱落防止ブロック(29)に連結され、他端に第1係合爪(33a)を有する連結ロッド(33)と、
一端が上記駆動装置(31)に連結され、他端に上記連結ロッド(33)の第1係合爪(33a)に係脱可能に係合する第2係合爪(35a)を有するフック(35)とを備え、
樹脂パネル(P1)成形工程及び樹脂製窓(P)脱型工程では、上記駆動装置(31)の後退駆動により上記フック(35)を後退させて第2係合爪(35a)を上記連結ロッド(33)の第1係合爪(33a)に係合させ、フック(35)の後退動作を連結ロッド(33)に伝えて上記脱落防止ブロック(29)を上記付勢部材(39)の付勢力に抗して後退させる一方、上記樹脂パネル(P1)が保持された回転型(5)の反転工程では、上記駆動装置(31)の進出駆動により上記フック(35)を進出させて第2係合爪(35a)を上記連結ロッド(33)の第1係合爪(33a)から離脱させ、上記脱落防止ブロック(29)を上記付勢部材(39)の付勢力により進出させることを特徴とする樹脂製窓の回転2色射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、透光性の樹脂パネル裏面の周縁部に不透光性の環状枠部が設けられた樹脂製窓の回転2色射出成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人が特許文献1に開示している回転2色射出成形装置では、回転型と樹脂パネル成形用可動型とで透光性の樹脂パネルを射出成形した状態で上記回転型を反転させ、反転位置に配置された枠部成形用可動型を用いて、上記回転型に保持された樹脂パネル裏面の周縁部に不透光性の環状枠部を射出成形して樹脂製窓としている。そして、樹脂パネル成形時に位置決めピンをキャビティに突出させ、成形された樹脂パネル端面に位置決めピンが挿入された状態として樹脂パネルを位置決めピンで支持し、回転型を反転させる際、該回転型に保持された樹脂パネルが回転型から脱落しないようにしている。
【0003】
しかし、樹脂パネル(樹脂製窓)には、位置決めピンのピン孔が形成されるため、該ピン孔が表面から見えて見栄えを損ねる。また、樹脂製窓には、樹脂パネルの表面を保護する観点から、ハードコート層が形成されるが、ハードコート剤がピン孔に溜まって均一な厚みのハードコート層が形成されず、クラック発生の原因となる。さらに、ピン孔がある箇所は、他の箇所と断面形状が異なるため、応力歪みが残る。
【0004】
これらの問題を解決するために、位置決めピンを用いずに樹脂パネルが可動型から脱落しないようにする装置として、
図11に示すような回転2色射出成形装置が考えられる。
図11中、101はキャビティ103を有する回転型、105は樹脂パネル成形用可動型である。上記回転型101には、脱落防止装置107が設置されている。この脱落防止装置107は、駆動装置109を備え、該駆動装置109にはロッド111の一端が連結され、該ロッド111の他端には脱落防止ブロック113が連結されている。
【0005】
図11(a)の型締め状態で樹脂パネル成形用樹脂115をキャビティ103に充填し、この状態から、
図11(b)に示すように、上記可動型105が進出してキャビティ容積を型開閉方向に狭め、上記樹脂パネル成形用樹脂115を圧縮して樹脂パネル117を射出成形する。この間、上記脱落防止ブロック113は、型開閉方向と直交するキャビティ103内方に進出していてキャビティ103周縁部をシールしている。
【0006】
樹脂パネル117を射出成形した後は、図示しないが、上記可動型105が後退して型開きし、樹脂パネル117が保持された回転型101を枠部成形用可動型側に反転させて枠部成形態勢を整える。この反転時に上記脱落防止ブロック113が上記樹脂パネル117の周縁部にキャビティ103開放側から臨み、該樹脂パネル117の回転型101からの脱落を防止している。
【0007】
図11(c)は、次工程である枠部成形工程に備えて上記脱落防止ブロック113を進出状態から後退させた状態を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011―51109号公報(段落0028〜0031欄、
図2〜4,6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、上記の後者の回転2色射出成形装置では、脱落防止ブロック113が樹脂圧縮工程で型開閉方向と直交するキャビティ103内方に進出しているため、成形される樹脂パネル117の脱落防止ブロック113対応箇所には、可動型105による圧縮力が作用しないことから、成形された樹脂パネル117の内部応力を全体に亘って均一にすることができず、応力歪みが発生して表面性状が悪化する。また、ハードコート層形成時に、ハードコート剤により樹脂パネル117表面が溶けて内部応力が解放され、クラックが発生する。
【0010】
この発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、樹脂パネルの成形性を阻害することなく樹脂パネルの回転型からの脱落を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、この発明は、樹脂パネルに対する脱落防止手段の支持箇所を特定したことを特徴とする。
【0012】
具体的には、この発明は、
上下方向に延びる回転軸線を挟んで互いに背中合わせに
配置されて該回転軸線回りに一体に回転可能に
構成された一対の回転型と、上記両回転型の一方の回転型に対して
水平方向に接離可能に配置され、接近動作により型締めして該回転型とで透光性の樹脂パネルを射出成形する樹脂パネル成形用可動型と、上記両回転型の他方の回転型に対して
水平方向に接離可能に配置され、上記樹脂パネルが保持された一方の回転型を反転させた状態で接近動作により型締めして該回転型とで上記樹脂パネル裏面の周縁部に不透光性の環状枠部を射出成形して樹脂製窓とする枠部成形用可動型とを備え、 上記回転型及び樹脂パネル成形用可動型は、型開閉方向に互いに摺接する摺接部をそれぞれ有し、樹脂パネル成形時、上記樹脂パネル成形用可動型の型締め位置が樹脂充填位置と、成形された樹脂パネルの内部応力を全体に亘って均一にするために該樹脂充填位置からキャビティ容積を型開閉方向に狭める樹脂圧縮位置とに上記摺接部を互いに摺接させて移動する樹脂製窓の回転2色射出成形装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0013】
すなわち、第1の発明は、上記各回転型には、樹脂パネル成形工程及び樹脂製窓脱型工程では、型開閉方向と直交するキャビティ外方に後退して先端面がキャビティ側面と面一になる一方、上記樹脂パネルが保持された回転型の反転工程では、型開閉方向と直交するキャビティ内方に進出して先端部が上記樹脂パネルの収縮により生ずる樹脂パネル端面とキャビティ側面との間の隙間を埋め、該樹脂パネル端面を押圧して当該樹脂パネルの回転型からの脱落を防止する脱落防止手段が設けられていることを特徴とする。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、上記脱落防止手段は、上記樹脂パネルの各辺に対応して複数設けられ、上記脱落防止ブロックの先端部は、枠部成形工程にも型開閉方向と直交するキャビティ内方に進出していることを特徴とする。
【0015】
第3の発明は、第1又は2の発明において、上記脱落防止手段は、脱落防止ブロックと、該脱落防止ブロックを型開閉方向と直交するキャビティ内方に進出付勢する付勢部材と、上記脱落防止ブロックを進退させる駆動装置と、一端が上記脱落防止ブロックに連結され、他端に第1係合爪を有する連結ロッドと、一端が上記駆動装置に連結され、他端に上記連結ロッドの第1係合爪に係脱可能に係合する第2係合爪を有するフックとを備え、樹脂パネル成形工程及び樹脂製窓脱型工程では、上記駆動装置の後退駆動により上記フックを後退させて第2係合爪を上記連結ロッドの第1係合爪に係合させ、フックの後退動作を連結ロッドに伝えて上記脱落防止ブロックを上記付勢部材の付勢力に抗して後退させる一方、上記樹脂パネルが保持された回転型の反転工程では、上記駆動装置の進出駆動により上記フックを進出させて第2係合爪を上記連結ロッドの第1係合爪から離脱させ、上記脱落防止ブロックを上記付勢部材の付勢力により進出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、樹脂パネル成形後に回転型を反転させる際、その遠心力が樹脂パネルに作用しても、樹脂パネル端面が脱落防止手段で押さえられているので、回転型の遠心力を脱落防止手段で受け止めて樹脂パネルが回転型から脱落しない。
【0017】
また、特許文献1の如き位置決めピンのピン孔がないので、見栄えが向上するとともに、均一な厚みのハードコート層が形成され、かつ樹脂パネル全体に亘って内部応力が均一になって応力歪みが発生せず、クラックのない優れた表面性状の樹脂パネル(樹脂製窓)が得られる。
【0018】
第2の発明によれば、樹脂パネルは成形後に収縮しても、各辺が脱落防止ブロックで押さえられて、枠部成形時に位置ずれせず、既定通りの樹脂製窓が確実に得られる。
【0019】
第3の発明によれば、脱落防止ブロックの進退動作が、駆動装置の進退駆動により連結ロッドの第1係合爪とフックの第2係合爪とを係脱させるだけで簡単に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の実施形態に係る回転2色射出成形装置の横断面図であり、樹脂パネル成形準備工程と枠部成形準備工程とを示す。
【
図2】樹脂パネル成形用樹脂の射出工程と枠部成形用樹脂の射出工程とを示す回転2色射出成形装置の横断面図である。
【
図3】樹脂パネル成形工程(圧縮工程)と枠部成形工程とを示す回転2色射出成形装置の横断面図である。
【
図4】樹脂パネル成形後の型開き工程と枠部成形後の型開き工程とを示す回転2色射出成形装置の横断面図である。
【
図5】
図1の樹脂パネル成形準備工程から樹脂パネル成形用可動型が回転型に接近した状態を示す拡大断面図である。
【
図6】
図5の工程から樹脂パネル成形用可動型が型締め位置の樹脂充填位置まで移動し、かつ樹脂パネル成形用樹脂を充填した状態を示す拡大断面図である。
【
図7】
図6の工程から樹脂パネル成形用可動型が型締め位置の樹脂圧縮位置まで移動し、かつ樹脂パネルが成形された状態を示す拡大断面図である。
【
図8】
図7の工程から樹脂パネル成形用可動型が後退して型開きしている状態を示す拡大断面図である。
【
図9】成形された樹脂製窓の脱型態勢を整えた状態を示す拡大断面図である。
【
図11】従来例の回転2色射出成形装置の成形工程を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0022】
図10は、車両の天井に形成された窓用開口部に該開口部を閉塞するように取り付けられる樹脂製窓Pを示す。この樹脂製窓Pは、射出成形された透光性の矩形状樹脂パネルP1と、該樹脂パネルP1裏面の周縁部に射出成形された不透光性の矩形環状枠部P2と、上記樹脂パネルP1両面にハードコート剤のコーティングにより形成されたハードコート層P3とで構成されている。上記樹脂パネルP1としては、PC(ポリカーボネート)、PMMA(アクリル)等の樹脂を用いることができる。上記枠部P2としては、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PC/ABSアロイ(ポリカーボネート/アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)等の樹脂を用いることができる。上記ハードコート層P3としては、アクリル系樹脂やシリコン系樹脂等の樹脂を用いることができる。
【0023】
上記樹脂製窓Pは、
図1に示す回転2色射出成形装置1で射出成形される。この回転2色射出成形装置1は、回転ベースプレート3の両面に互いに背中合わせに回転軸3aを中心に図示しない回転装置の作動により一体に回転可能に配置された一対の回転型5を備えている。
【0024】
該両回転型5の一方(
図1右側)の回転型5側には、樹脂パネル成形用可動型7が取付板9に取り付けられて当該回転型5に対して接離可能に配置されている。上記可動型7及び取付板9には、ホットランナー11が貫通形成され、該ホットランナー11の上流端は射出機(図示せず)のノズル13に接続され、ホットランナー11の下流端は成形面7aに達して当該箇所にバルブゲート15が形成されている。そして、上記可動型7の回転型5への接近動作により型締めして該回転型5と可動型7とで上記樹脂パネルP1を射出成形するようになっている。
【0025】
上記両回転型5の他方(
図1左側)の回転型5側には、枠部成形用可動型17が取付板19に取り付けられて当該回転型5に対して接離可能に配置されている。上記可動型17及び取付板19には、下流側が二股に分岐したホットランナー21が貫通形成され、該ホットランナー21の上流端は射出機(図示せず)のノズル23に接続され、ホットランナー21の下流端は矩形環状の枠部成形用凹部17aに達して当該箇所にバルブゲート25が形成されている。そして、上記可動型17の回転型5への接近動作により型締めして該回転型5と可動型17とで上記樹脂パネルP1裏面の周縁部に枠部P2を射出成形して樹脂製窓Pとするようになっている。
【0026】
上記各回転型5は、樹脂パネル成形用キャビティ5aを有し、該キャビティ5aの側面を型締め時の摺接部5b(
図7参照)とするとともに、該摺接部5b外周りに型開閉方向に対して傾斜した傾斜面5c(
図5〜
図9参照)が形成されている。一方、上記樹脂パネル成形用可動型7の成形面7a外周には、型開閉方向に対して傾斜した傾斜面7bが形成され、該傾斜面7bと上記成形面7aとの間には、互いに直角に切り欠かれた切欠面7c,7dが形成され、そのうちの切欠面7dを型締め時の摺接部としている(
図5〜
図8参照)。以下、この摺接部に符号7dを付す。また、上記枠部成形用可動型17の凹部17a外周には、枠部成形用樹脂の射出工程で樹脂パネルP1周縁部に圧接して型締めするための矩形環状の突条部17eが形成され、該突条部17e外周面に連続して型開閉方向に対して傾斜した傾斜面17bが形成されている(
図1参照)。そして、型締め時に、上記回転型5及び可動型7の摺接部5b,7dが型開閉方向に互いに摺接するようになっている。具体的には、可動型7の摺接部7dが回転型5の摺接部5bに摺接するとともに、可動型7の傾斜面7bが回転型5の傾斜面5cに当接してキャビティ5a周縁部をシールするようになっている(
図7参照)。
【0027】
上記各回転型5のキャビティ5a外周りには、
図5〜
図9に拡大して示すように、上記摺接部5bに対応して脱落防止手段としての脱落防止装置27が回転軸3aを挟んで向かい合わせに、つまり上記樹脂パネルP1の2辺に対応して2基設置されている。
【0028】
上記脱落防止装置27は、脱落防止ブロック29と、該脱落防止ブロック29を進退させる例えば流体圧シリンダからなる駆動装置31とを備え、該脱落防止ブロック29には連結ロッド33の一端が螺合連結され、上記連結ロッド33の他端には第1係合爪33aが形成されている。また、連結ロッド33の先端部寄りには、六角ボルトの頭部のような張出部33bが形成され、該張出部33bは、上記脱落防止ブロック29を連結ロッド33の一端に螺合連結する際に締付工具を係合させるためのものである。
【0029】
上記駆動装置31には、フック35の一端が連結され、他端には上記連結ロッド33の第1係合爪33aに係脱可能に係合する第2係合爪35aが形成されている。このフック35と連結ロッド33の他端側略半分は筒部材37に収容され、該筒部材37と上記連結ロッド33の張出部33bとの間には、付勢部材としてのコイルスプリング39が縮装されている。これら脱落防止ブロック29、連結ロッド33、フック35、コイルスプリング39及び筒部材37は、上記回転型5のキャビティ5a側面(摺接部5b)に開口するように該キャビティ5a側面(摺接部5b)に対応して形成された装着孔5dに装着され、上記脱落防止ブロック29は、装着孔5dのキャビティ5a側小径部に進退可能に収容されている。そして、上記コイルスプリング39のバネ力により上記脱落防止ブロック29を型開閉方向と直交するキャビティ5a内方に進出付勢している(
図8参照)。
図5〜
図9中、41は上記駆動装置31を回転型5に取り付けるための取付プレートである。なお、上記駆動装置31は電磁弁で駆動するタイプであってもよい。
【0030】
そして、樹脂パネルP1成形工程及び樹脂製窓P脱型工程では、上記駆動装置31の後退駆動により上記フック35を後退させて第2係合爪35aを上記連結ロッド33の第1係合爪33aに係合させ、フック35の後退動作を連結ロッド33に伝えて上記コイルスプリング39のバネ力に抗して上記脱落防止ブロック29を型開閉方向と直交するキャビティ5a外方に後退させ、脱落防止ブロック29先端面をキャビティ5a側面(摺接部5b)と面一にする(
図5〜
図7、
図9参照)。この際、脱落防止ブロック29は、装着孔5dのキャビティ5a側小径部内周面の段部に当接し、成形圧が作用してもそれ以上後退せず、キャビティ5a側面(摺接部5b)との面一状態が確保される。
【0031】
一方、上記樹脂パネルP1が保持された回転型5の反転工程では、上記駆動装置31の進出駆動により上記フック35を進出させて第2係合爪35aを上記連結ロッド33の第1係合爪33aから離脱させ、上記コイルスプリング39のバネ力により上記脱落防止ブロック29を型開閉方向と直交するキャビティ5a内方に進出させ、脱落防止ブロック29先端部をキャビティ5a内に突出させる。これにより、上記樹脂パネルP1の収縮により生ずる樹脂パネルP1端面とキャビティ5a側面(摺接部5b)と間の隙間Cを埋め、該樹脂パネルP1端面を押圧して当該樹脂パネルP1の回転型5からの脱落を防止するようになっている(
図8参照)。つまり、コイルスプリング39のバネ力は、樹脂パネルP1の回転型5からの脱落を防止する強さに設定されていることは勿論、成形直後で十分に固まっていない樹脂パネルP1に対して変形や押し痕を付けない強さに設定されている。この脱落防止装置27の先端部は、枠部P2成形工程にも型開閉方向と直交するキャビティ5a内方に進出するようになっている(
図3参照)。このように、脱落防止ブロック29の進退動作を、駆動装置31の進退駆動により連結ロッド33の第1係合爪33aとフック35の第2係合爪35aとの係脱操作により簡単に行うことができる。
【0032】
この回転2色射出成形装置1では、
図6に示す型締め工程から
図7に示すように樹脂パネル成形用可動型7をさらに進出させて型締めして、上記回転型5及び樹脂パネル成形用可動型7の摺接部5b,7dを型開閉方向に互いに摺接させる。具体的には、上記樹脂パネル成形用可動型7の摺接部7dを上記回転型5の摺接部5bに型開閉方向に摺接させる。つまり、樹脂パネルP1成形時、上記樹脂パネル成形用可動型7の型締め位置が樹脂充填位置(
図6参照)と、該樹脂充填位置からキャビティ容積を型開閉方向に狭める樹脂圧縮位置(
図7参照)とに移動するようになっていて、これにより、成形された樹脂パネルP1の内部応力を全体に亘って均一にすることができる。
【0033】
次に、上述の如く構成された回転2色射出成形装置1を用いて樹脂製窓Pを射出成形する要領について説明する。なお、以下の括弧付き符号は成形工程の順番を示す。
【0034】
(1)
図1の右側は樹脂パネル成形準備工程を、
図1の左側は枠部成形準備工程をそれぞれ示す。各可動型7,17は共に後退して型開き状態にあり、
図1の右側の回転型5では、前工程で射出成形された樹脂製窓Pが脱型された状態で、脱落防止ブロック29は後退しているが、
図1の左側の回転型5では、樹脂パネルP1が前工程で射出成形され、脱落防止ブロック29は進出して樹脂パネルP1の端面を支持し、樹脂パネルP1が回転型5からの脱落を脱落防止ブロック29で防止されて回転型5のキャビティ5aに保持されている。
【0035】
(2)
図2の右側は樹脂パネル成形用樹脂の射出工程を、
図2の左側は枠部成形用樹脂の射出工程をそれぞれ示す。各可動型7,17は共に進出して型締め状態にある。
図2の状態では、左右の回転型5の脱落防止ブロック29は
図1の状態と同じである。
図5は、可動型7が
図1の工程から
図2の工程に移行する過程(型締め工程)で回転型5に接近している状態を示す。
【0036】
図2の右側では、樹脂パネル成形用樹脂R1がノズル13からホットランナー11、バルブゲート15を経てキャビティ5aに射出されているが、
図2の左側では、枠部成形用樹脂R2はまだ枠部成形用凹部17aに射出されていない。
【0037】
(3)
図3の右側は樹脂パネル成形工程を、
図3の左側は枠部成形工程をそれぞれ示す。
図3の状態では、左右の回転型5の脱落防止ブロック29は
図1,2の状態と同じである。
図3の右側では、可動型7は型締め位置が
図6の樹脂充填位置から
図7の樹脂圧縮位置まで移動する圧縮工程を経て樹脂パネルP1が成形された状態である。
図6の工程から
図7の工程に移行する過程で、可動型7がさらに進出してキャビティ容積を型開閉方向に狭める。これにより、成形された樹脂パネルP1の内部応力を全体に亘って均一にすることができ、応力歪みが発生せず、ハードコート後にクラックの発生のない優れた表面性状の樹脂パネルP1とすることができる。この際の圧縮の一例としては、樹脂パネルP1の材質や厚みにもよるが、概ね0.3mmから1.5mm程度である。また、可動型7の摺接部7dが回転型5の摺接部5bに摺接するとともに、可動型7の傾斜面7bが回転型5の傾斜面5cに当接し、キャビティ5aの周縁部をシールしている。
【0038】
一方、
図3の左側では、枠部成形用樹脂R2がノズル23からホットランナー21、バルブゲート25を経て枠部成形用凹部17aに射出され、枠部P2が成形されている。
【0039】
(4)
図4の右側は樹脂パネル成形後の型開き工程を、
図4の左側は枠部成形後の型開き工程をそれぞれ示し、
図4の右側では、樹脂パネルP1の収縮により、樹脂パネルP1端面とキャビティ5a側面(摺接部5b)との間に隙間Cが形成されている(
図8参照)。
【0040】
図4の右側の回転型5では、
図9で型開き途中を示すように、可動型7の進出駆動によりフック35を進出させて第2係合爪35aを連結ロッド33の第1係合爪33aから離脱させ、コイルスプリング39のバネ力により上記脱落防止ブロック29を型開閉方向と直交するキャビティ5a内方に進出させ、脱落防止ブロック29先端部をキャビティ5a内に突出させている。これにより、上記樹脂パネルP1の収縮により生ずる樹脂パネルP1端面とキャビティ5a側面(摺接部5b)との間の隙間Cを埋め、該樹脂パネルP1端面を押圧して当該樹脂パネルP1の回転型5からの脱落を防止している(
図8参照)。
【0041】
一方、
図4の左側の回転型5では、
図9に示すように、駆動装置31の後退駆動によりフック35を後退させて第2係合爪35aを連結ロッド33の第1係合爪33aに係合させ、フック35の後退動作を連結ロッド33に伝えて上記コイルスプリング39のバネ力に抗して上記脱落防止ブロック29を型開閉方向と直交するキャビティ5a外方に後退させ、脱落防止ブロック29先端面をキャビティ5a側面(摺接部5b)と面一にして、成形された樹脂製窓Pの脱型態勢を整えている(
図9参照)。
【0042】
(5)上記(4)の工程後は、
図4の左側の回転型5では、樹脂製窓Pを脱型工具で吸着保持して回転型5から脱型し、両回転型5を回転軸3aを中心に反転させて
図1の工程に戻る。
【0043】
この反転の際、回転型5の遠心力が樹脂パネルP1に作用するが、樹脂パネルP1端面を脱落防止ブロック29で押さえているので、回転型5の遠心力を脱落防止ブロック29で受け止めて樹脂パネルP1を回転型5から脱落しないようにすることがでる。
【0044】
樹脂パネルP1は、
図10に示すように、脱型後にハードコート剤が両面にコーティングされてハードコート層P3が形成されるが、特許文献1の如き位置決めピンを用いないので、外観を損ねるピン孔がなく、見栄えを向上させることができるとともに、ハードコート剤がピン孔に溜まる事態が生じず、均一な厚みのハードコート層P3を形成することができる。また、ピン孔があることにより他の箇所と断面形状が異なることに起因する応力歪みや、ハードコート剤がピン孔に溜まることによるクラック発生も解消することができる。
【0045】
以降、上述した工程を繰り返すことで、両回転型5で樹脂製窓Pの射出成形を連続して行う。
【0046】
なお、上記の実施形態では、脱落防止装置27を樹脂パネルP1の2辺に対応して2基設置したが、樹脂パネルP1の4辺に対応して4基設置すれば、収縮した樹脂パネルP1を回転時により安定支持して枠部成形時に位置ずれをなくし、既定通りの樹脂製窓を確実に成形することができる。
【0047】
また、上記の実施形態では、樹脂製窓Pが矩形状である場合を例示したが、これに限らず、用途・目的に応じて適宜な形状のものを採用することができる。また、脱落防止装置27の設置個所も樹脂製窓Pの形状に応じて適宜変更設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
この発明は、透光性の樹脂パネル裏面の周縁部に不透光性の環状枠部が設けられた樹脂製窓の回転2色射出成形装置について有用である。
【符号の説明】
【0049】
C 隙間
P 樹脂製窓
P1 樹脂パネル
P2 枠部
1 回転2色射出成形装置
5 回転型
5a キャビティ
5b,7d 摺接部
7 樹脂パネル成形用可動型
17 枠部成形用可動型
27 脱落防止装置(脱落防止手段)
29 脱落防止ブロック
31 駆動装置
33 連結ロッド
33a 第1係合爪
35 フック
35a 第2係合爪
39 コイルスプリング(付勢部材)