特許第6180263号(P6180263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180263
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】ブローボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20170807BHJP
   B67B 3/20 20060101ALN20170807BHJP
【FI】
   B65D1/02 210
   !B67B3/20
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-203070(P2013-203070)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-67304(P2015-67304A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】長岡 篤史
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−104395(JP,A)
【文献】 特開2001−114237(JP,A)
【文献】 実開昭50−043063(JP,U)
【文献】 特開昭61−093093(JP,A)
【文献】 特開2004−224414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00− 1/46
B65D 23/00−25/56
B67B 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、首部、肩部、胴部、及び底部がボトル軸方向に沿ってこの順に連設されるとともに、前記口部と前記首部との連結部分に、径方向の外側に向けてネックリングが突設され、
収容部を有するネックサポートにより前記ネックリングが前記首部側の下側から支持され、かつ前記収容部内に前記首部が収容された状態で、前記口部にキャップが装着されるブローボトルであって、
前記首部には、径方向の外側に向けて突出し、前記収容部に形成された係止部に係止される規制突部が配設され、
前記口部の外周面には、
径方向の外側に向けて突出するとともに、周方向に延在し、かつ前記キャップの内周面に形成された被係合部が係合する係合突条部と、
前記係合突条部をボトル軸方向に貫く縦溝と、
が形成され、
前記規制突部及び前記縦溝それぞれの周方向の位置が互いに一致していることを特徴とするブローボトル。
【請求項2】
前記規制突部は前記ネックリングの下面に連結され、
前記規制突部及び前記ネックリングそれぞれの外周面が面一になっていることを特徴とする請求項1記載のブローボトル。
【請求項3】
前記胴部において最も肉厚の薄い部分の肉厚が、0.6mm以下になっていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のブローボトル。
【請求項4】
前記規制突部は、前記首部において、径方向で対向する位置に一対で形成され、
前記縦溝は、前記口部の外周面において、一対の前記規制突部それぞれの周方向の位置に一致して形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のブローボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブローボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、口部、首部、肩部、胴部、及び底部がボトル軸方向に沿ってこの順に連設されるとともに、口部と首部との連結部分に径方向の外側に向けてネックリングが突設されたブローボトルが知られている。
【0003】
ところで、この種のブローボトルの口部に、キャッピング装置を用いてキャップを装着する際、キャッピング装置によりブローボトルの胴部を把持することで、ブローボトルの、キャッピング装置に対する周方向の位置を固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−126193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のブローボトルでは、口部にキャップを装着する際、キャッピング装置により胴部を把持していたので、キャッピング装置に対するブローボトルの周方向の位置が安定し難い。一方、胴部を強く把持すると、胴部が傷ついたり、変形したりするおそれがあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、胴部を傷つけたり、変形させたりすることなく、口部にキャップを装着する際、キャッピング装置に対する周方向の位置を確実に固定できるブローボトルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るブローボトルは、口部、首部、肩部、胴部、及び底部がボトル軸方向に沿ってこの順に連設されるとともに、前記口部と前記首部との連結部分に、径方向の外側に向けてネックリングが突設され、収容部を有するネックサポートにより前記ネックリングが前記首部側の下側から支持され、かつ前記収容部内に前記首部が収容された状態で、前記口部にキャップが装着されるブローボトルであって、前記首部には、径方向の外側に向けて突出し、前記収容部に形成された係止部に係止される規制突部が配設され、前記口部の外周面には、径方向の外側に向けて突出するとともに、周方向に延在し、かつ前記キャップの内周面に形成された被係合部が係合する係合突条部と、前記係合突条部をボトル軸方向に貫く縦溝と、が形成され、前記規制突部及び前記縦溝それぞれの周方向の位置が互いに一致していることを特徴とする。
【0008】
このような特徴により、首部に規制突部が配設されているので、キャッピング作業において、口部にキャップを装着する際に、首部の規制突部を、ネックサポートの係止部に係止することで、ネックサポートに対するボトルの周方向の位置を固定できる。これにより、キャッピング作業時において、ブローボトルがキャップと共回りするのを防ぎ、口部にキャップを容易かつ確実に装着することが可能になる。
その結果、例えばブローボトルと、ブローボトルに装着されるキャップと、の周方向の位置を容易かつ高精度に決めることができる。
しかも、例えば胴部を強く把持する等してキャッピング作業を行う場合と異なり、胴部の傷や変形を抑えた上で、口部にキャップを容易かつ確実に装着することが可能になる。
【0009】
また、ブロー成形の前後で形状が変化しない口部の外周面に、係合突条部をボトル軸方向に貫く縦溝が形成されているので、ブロー成形前のプリフォームをブロー成形金型にセットする際の、ブロー成形金型に対するプリフォームの位置決めに縦溝を利用することができる。例えば、図示しないブロー成形用位置決め部材を縦溝に係合させた状態で、ブロー成形金型に対してプリフォームを回転させる等することで、ブロー成形金型に対するプリフォームの周方向の位置を決めることが可能になる。これにより、口部と、成形する胴部及び底部と、の周方向に沿う位置を容易かつ正確に合わせることができる。
また、ブロー成形用位置決め部材が、プリフォームの上端部を構成する口部に位置する縦溝に係合するので、ブロー成形用位置決め部材を、プリフォームにおける口部以外の部分に当接させ難くして、ブロー成形を効率的に行うことができる。
【0010】
なお、ブローボトルの口部にキャップが装着された状態(以下、この状態をキャップ付きのボトルという)で、規制突部が外部に露呈している場合には、例えば装飾装置により胴部に対して印刷やラベリング等の装飾を施すために、装飾装置に対するキャップ付きのボトルの周方向の位置を合わせるときにも、規制突部を利用することができる。例えば、装飾装置に設けられた装飾用位置決め部材が規制突部に係止されるまで、キャップ付きのボトルを装飾装置に対して周方向に回転させる。これにより、装飾装置に対するキャップ付きのボトルの周方向の位置を容易かつ正確に合わせることができる。
【0011】
ここで、縦溝と規制突部との周方向に沿う各位置が互いに一致しているので、縦溝及び規制突部のうち、少なくとも何れか一方を基準にして、キャッピング装置やキャップに対するボトルの周方向の位置決め、あるいは装飾時、ブロー成形時等、種々の工程での位置決めを行うことができる。例えばキャッピング作業後、縦溝がキャップにより覆われて、その後の工程において縦溝を位置決めの基準に利用できない場合等、縦溝及び規制突部の何れか一方が利用できない場合であっても、他方を利用することで、ボトルの周方向の位置合わせを全工程に亘って統一して行うことができる。これにより、製造効率の向上や、製造コストの削減を図ることができる。
【0012】
また、前記規制突部は前記ネックリングの下面に連結され、前記規制突部及び前記ネックリングそれぞれの外周面が面一になっていてもよい。
この場合、規制突部がネックリングの下面に連結されているので、規制突部の剛性を確保し、規制突部の変形が抑えられる。この場合には、例えば上述したキャッピング作業時において、ボトルがキャップと共回りするのを確実に防ぐことができる。
さらに、規制突部及びネックリングそれぞれの外周面が面一になっているので、これらの外周面同士の間に段部が形成されることがなく、例えばゴミ等が引っ掛かりやすい箇所が生じるのを防ぐことができる。
【0013】
また、前記胴部において最も肉厚の薄い部分の肉厚が、0.6mm以下になっていてもよい。
この場合、胴部において、最も肉厚の薄い部分の肉厚が、0.6mm以下となっていて、胴部が変形し易いにも関わらず、上述したキャッピング作業時に、胴部を強く把持等する必要がないので、上述した作用効果が顕著に奏功される。
また、前記規制突部は、前記首部において、径方向で対向する位置に一対で形成され、前記縦溝は、前記口部の外周面において、一対の前記規制突部それぞれの周方向の位置に一致して形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るブローボトルによれば、胴部を傷つけたり、変形させたりすることなく、口部にキャップを装着する際、キャッピング装置に対する周方向の位置を確実に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態のボトルの側面図である。
図2】A−A線に相当する断面図であって、キャッピング作業を説明するための説明図である。
図3】実施形態の他の構成を説明するためのボトルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のブローボトル1(以下、単にボトルという)は、口部11、首部12、肩部13、胴部14、及び底部15を備え、これらがそれぞれの中心軸線を共通軸上に位置した状態でこの順に連設された概略構成とされている。
【0017】
以下、上述した共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸O方向に沿って口部11側を上側、底部15側を下側といい、また、ボトル軸Oに直交する方向を径方向といい、ボトル軸O周りに周回する方向を周方向という。
なお、ボトル1は、例えば射出成形により有底筒状に形成された合成樹脂材料からなるプリフォームが、ブロー成形されることで形成されている。また、口部11、首部12、肩部13、胴部14及び底部15はそれぞれ、ボトル軸Oに直交する横断面視形状が円形状となっている。
【0018】
口部11の外周面には、螺旋状の雄ねじ部(係合突条部)11aが形成され、ここにキャップ21の図示しない雌ねじ部(被係合部)が着脱可能に螺着される。
また、口部11には、雄ねじ部11aをボトル軸O方向に貫く縦溝22が周方向に間隔をあけて複数形成されている。縦溝22は、例えばブロー成形時におけるブロー成形金型に対するプリフォームの位置決めに利用するものであって、ボトル軸O方向に沿う口部11全体に亘って延設されている。また、縦溝22のうち、上端部は開放される一方、下端部は後述するネックリング23により閉塞されている。なお、図示の例において、縦溝22は、径方向のうち、一方向で対向して2つ配設されている。但し、縦溝22は、3個以上の複数であっても、単数であっても構わない。
【0019】
ボトル1のうち、口部11と首部12との連結部分には、径方向の外側に向けてネックリング23が突設されている。ネックリング23は、周方向の全周に亘って延設された環状とされている。
【0020】
肩部13は、首部12の下端縁に連設され、径方向の外側に向かうに従い下方に向けて傾斜している。
胴部14は、肩部13の外周縁に連設され、下方に向けて延設されている。なお、図示の例において、胴部14はボトル軸O方向の全体に亘って外径が一様とされているが、これに限られない。また、本実施形態では、胴部14において、最も肉厚の薄い範囲を0.6mm以下(より好ましくは0.1mm〜0.3mm程度)とすることが好ましい。
底部15は、胴部14の下端開口部を閉塞している。
【0021】
ここで、首部12には、径方向の外側に向けて突出する規制突部25が周方向に間隔をあけて形成されている。規制突部25は、径方向から見た側面視で矩形状とされ、その上端面がネックリング23の下面に連結されている。一方、規制突部25の下端面は、肩部13との間にボトル軸O方向に沿う隙間をあけて配設されている。また、規制突部25において、径方向の外側に位置する外周面は、ネックリング23の外周面と面一になっている。
【0022】
さらに、本実施形態において、各規制突部25は、各縦溝22に対して周方向の位置が互いに一致して配設されている。すなわち、各規制突部25は、径方向のうち、一方向で対向するように、周方向に180°ピッチで2つ配設されている。なお、図示の例において、規制突部25は、周方向に沿う幅が縦溝22よりも短くなっている。また、規制突部25の数は、2つに限らず、例えば上述した一方向に加えて、一方向に直交する他方向で対向するように、周方向に90°ピッチで4つ配設してもよい。また、規制突部24の数は、2つ、または4つに限らず、単数や、2つまたは4つ以外の複数であっても構わない。また、各規制突部25間の周方向に沿う間隔も等間隔に限られるものではない。
【0023】
次に、図2に基づいて、上述したボトル1の口部11にキャップ21を装着させるためのキャッピング装置51について簡単に説明する。
キャッピング装置51は、ネックリング23を支持するネックサポート52と、ネックサポート52の上方に配設され、ネックサポート52に支持されたボトル1の口部11に対してキャップ21(図1参照)を装着する図示しないキャッピングヘッドと、を備えている。
【0024】
ネックサポート52は、例えばボトル軸O方向から見た平面視でL字状をなす一対のアーム53a,53bと、各アーム53a,53bを基端部で揺動可能に支持する揺動軸54と、を備えている。なお、揺動軸54は、ボトル軸Oと平行に延在している。
各アーム53a,53bは、首部12を径方向の両側から挟持する挟持位置(図2中の鎖線)と、首部12から離間する離間位置(図2中の実線)と、の間で、揺動軸54周りに揺動しうるように構成されている。この場合、挟持位置において、揺動軸54周りに沿う各アーム53a,53b間は、首部12(図1参照)を収容する収容部55を構成している。各アーム53a,53bの間隔(収容部55の内径)は、首部12の外径よりも大きく、ネックリング23の外径よりも小さくなっている。そして、ネックサポート52は、収容部55内に首部12を収容した状態で、その上面においてネックリング23を首部12側の下方から支持する。
【0025】
各アーム53a,53bのうち、揺動軸54周りに対向する内周面には、ボトル1の上述した規制突部25が係止される係止部56が各別に形成されている。図示の例において、係止部56は、径方向の内側に向けて開放されるとともに、各アーム53a,53bをボトル軸O方向に貫通している。そして、係止部56は、その内側に規制突部25が各別に収容されることで、ネックサポート52に対するボトル1の周方向の両側への移動を規制する。
【0026】
キャッピングヘッドは、ボトル軸O周りに回転可能に構成されるとともに、上下動可能に構成されている。また、キャッピングヘッドは、その下端部において、キャップ21を着脱可能に保持している。
【0027】
このように構成されたキャッピング装置51を用いてキャッピング作業を行う場合、まず図示しない搬送ベルト等によってキャッピング装置51まで搬送されたボトル1は、ネックサポート52により支持される(ネックサポート支持工程)。具体的に、ボトル1がキャッピング装置51まで搬送されると、ネックサポート52の各アーム53a,53bが離間位置から挟持位置に向けて揺動軸54周りに揺動する。これにより、各アーム53a,53b間に位置する収容部55内に首部12が収容されるとともに、ネックリング23が下方から支持される。
【0028】
続いて、ボトル1の口部11にキャップ21を装着する(装着工程)。具体的には、キャップ21を保持した状態で、キャッピングヘッドをボトル軸O周りに回転させながら下降させ、口部11の雄ねじ部11aにキャップ21の雌ねじ部を螺着する。このとき、上述したネックサポート支持工程において、ネックサポート52によりネックリング23が支持されることで、ボトル1の規制突部25がネックサポート52の係止部56に係止され、ネックサポート52に対するボトル1の周方向位置が固定されている。そのため、ボトル1とキャップ21との共回りを防いだ上で、キャップ21を口部11に確実に螺着できる。
【0029】
そして、キャップ21の装着後、キャッピングヘッドによるキャップ21の保持を解除し、キャッピングヘッドのみを上昇させる。これにより、キャッピング作業が完了する。なお、キャッピング作業の完了したボトル1(以下、キャップ21付きのボトル1という)は、その後、図示しない装飾装置に搬送され、胴部14等に対する印刷やラベリング等が行われる。
【0030】
このように、本実施形態では、首部12に規制突部25が配設されているので、上述したキャッピング作業において、口部11にキャップ21を装着する際に、首部12の規制突部25を、ネックサポート52の係止部56に係止することで、ネックサポート52に対するボトル1の周方向の位置を固定できる。これにより、キャッピング作業時において、ボトル1がキャップ21と共回りするのを防ぎ、口部11にキャップ21を容易かつ確実に装着することが可能になる。
その結果、例えばボトル1と、ボトル1に装着されるキャップ21と、の周方向の位置を容易かつ高精度に決めることができる。
【0031】
しかも、例えば胴部14を強く把持する等してキャッピング作業を行う場合と異なり、胴部14の傷や変形を抑えた上で、口部11にキャップ21を容易かつ確実に装着することが可能になる。特に、本実施形態では、胴部14において、最も肉厚の薄い部分の肉厚が、0.6mm以下となっていて、胴部14が変形し易いにも関わらず、上述したキャッピング作業時に、胴部14を強く把持等する必要がないので、上述した作用効果が顕著に奏功される。
【0032】
また、ブロー成形の前後で形状が変化しない口部11の外周面に、雄ねじ部11aをボトル軸O方向に貫く縦溝22が形成されているので、ブロー成形前のプリフォームをブロー成形金型にセットする際の、ブロー成形金型に対するプリフォームの位置決めに縦溝22を利用することができる。例えば、図示しないブロー成形用位置決め部材を縦溝22に係合させた状態で、ブロー成形金型に対してプリフォームを回転させる等することで、ブロー成形金型に対するプリフォームの周方向の位置を決めることが可能になる。これにより、口部11と、成形する胴部14及び底部15と、の周方向に沿う位置を容易かつ正確に合わせることができる。
また、ブロー成形用位置決め部材が、プリフォームの上端部を構成する口部11に位置する縦溝22に係合するので、ブロー成形用位置決め部材を、プリフォームにおける口部11以外の部分に当接させ難くして、ブロー成形を効率的に行うことができる。
【0033】
なお、キャップ21付きのボトル1で、規制突部25が外部に露呈している場合には、例えば装飾装置により胴部14に対して印刷やラベリング等の装飾を施すために、装飾装置に対するキャップ21付きのボトル1の周方向の位置を合わせるときにも、規制突部25を利用することができる。例えば、装飾装置に設けられた装飾用位置決め部材が規制突部25に係止されるまで、キャップ21付きのボトル1を装飾装置に対して周方向に回転させる。これにより、装飾装置に対するキャップ21付きのボトル1の周方向の位置を容易かつ正確に合わせることができる。
【0034】
ここで、縦溝22と規制突部25との周方向に沿う各位置が互いに一致しているので、縦溝22及び規制突部25のうち、少なくとも何れか一方を基準にして、キャッピング装置51やキャップ21に対するボトル1の周方向の位置決め、装飾時、ブロー成形時等、種々の工程での位置決めを行うことができる。この場合、例えばキャッピング作業後、縦溝22がキャップ21により覆われて、その後の工程において縦溝22を位置決めの基準に利用できない場合等、縦溝22及び規制突部25の何れか一方が利用できない場合であっても、他方を利用することで、ボトル1の周方向の位置合わせを全工程に亘って統一して行うことができる。これにより、製造効率の向上や、製造コストの削減を図ることができる。
【0035】
また、本実施形態では、規制突部25がネックリング23の下面に連結されているので、規制突部25の剛性を確保し、規制突部25の変形が抑えられる。この場合には、例えば上述したキャッピング作業時において、ボトル1がキャップ21と共回りするのを確実に防ぐことができる。
さらに、規制突部25及びネックリング23それぞれの外周面が面一になっているので、これらの外周面同士の間に段部が形成されることがなく、例えばゴミ等が引っ掛かりやすい箇所が生じるのを防ぐことができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0037】
上述した実施形態では、口部11の雄ねじ部11aにキャップ21を螺着する構成について説明したが、口部11にキャップ21が装着される構成であれば、キャップ21の構成は適宜設計変更が可能である。
例えば、図3に示すように、口部11にキャップ21を打栓により装着する構成であっても構わない。図3に示すボトル100において、口部11の外周面には、径方向の外側に向けて突出す係合突条部101が全周に亘って形成され、ここにキャップ21の図示しない被係合部がアンダーカット嵌合される。
【0038】
また、口部11には、係合突条部101をボトル軸O方向に貫く縦溝102が周方向に間隔をあけて複数形成されている。各縦溝102は、キャップ21の内周面に形成された図示しないリブが収容可能とされ、これら縦溝102及びリブによってボトル1に対するキャップ21の周方向の位置決めが行われる。なお、キャップ21のリブは、キャップ21の内周面から径方向の内側に向けて突出するとともに、上述した被係合部に直交するように延在している。
【0039】
さらに、口部11には、係合突条部101における縦溝102を画成する一対の周端部分のうち、一方の周端部分から上方に向けて延びるガイド部103が形成されている。このガイド部103は、キャップ21を口部11に装着する際のガイドとして機能する。
【0040】
このように構成されたボトル100では、上述した装着工程において、キャップ21の下端開口部内に口部11の上端部が収容される位置までキャッピングヘッドを下降させる。この状態でキャッピングヘッドをボトル軸O周りに回転させ、キャップ21のリブと、口部11のガイド部103と、を周方向で当接させる。その後、キャッピングヘッドをさらに下降させることで、キャップ21のリブが口部11の縦溝102内に収容されるとともに、キャップ21の被係合部が口部11の係合突条部101にアンダーカット嵌合されることになる。
【0041】
この構成によれば、上述した実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、縦溝22を利用して、ボトル1に対するキャップ21の位置決めを行うことができる。これにより、ボトル1と、ボトル1に装着されるキャップ21と、の周方向の位置を容易かつ高精度に決めることができる。
【0042】
さらに、口部11に装着されるキャップ21は、注出孔やポンプ部材等を備える構成としても構わない。
また、上述した実施形態では、規制突部25がネックリング23と一体に形成した構成について説明したが、これに限らず、ネックリング23と別体で形成しても構わない。
さらに、上述した実施形態では、縦溝22,102が口部11をボトル軸O方向全体に亘って形成されている場合について説明したが、これに限らず、ボトル軸O方向に沿う一部のみに形成されていても構わない。
【0043】
また、上述したキャッピング装置51は一例であり、例えばネックサポート52や係止部56の構成等については適宜設計変更が可能である。
また、上述したネックサポート支持工程の後、ボトル1の係止突部がネックサポート52の係止部56に係止されるまでボトル1を回転させるようにしても構わない。
【0044】
また、ネックサポート52に対するボトル1の周方向の位置を固定するためには、全ての規制突部25が係止部に各別に係止されている必要はなく、何れかの規制突部25が何れかの係止部56に係止されていれば構わない。
また、上述した実施形態では、キャッピング作業の他、ブロー成形時、装飾時等において、規制突部25や縦溝22,102を利用する構成について説明したが、これに限らず、種々の工程での位置合わせに利用することが可能である。
【0045】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1,100…ブローボトル
11…口部
11a…雄ねじ部(係合突条部)
12…首部
13…肩部
14…胴部
15…底部
22,102 縦溝
23…ネックリング
25…規制突部
52…ネックサポート
55…収容部
101…係合突条部
O…ボトル軸
図1
図2
図3