(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の塗布容器にあっては、押下ヘッドに対して不意の外力等が作用した場合、押下ヘッドが容器本体に対して押し下げられ、容器本体内の内容物が予期せず吐出されるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、不意の外力等によって内容物が予期せず吐出されるのを規制できる塗布容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る塗布容器は、内容物が収容される有底筒状の容器本体と、前記容器本体の口部に上方付勢状態で下方移動可能に起立したステムを有する吐出器と、前記ステムの上端部に装着される有頂筒状の塗布部と、
前記塗布部を覆うオーバーキャップと、前記容器本体を径方向の外側から囲繞し、かつ下端開口を通して前記容器本体の底部を外部に露呈させる筒状のグリップ部と、を備え、前記塗布部の頂壁部には、前記ステムを通して内容物が吐出される吐出孔が形成されるとともに、前記頂壁部が内容物を被塗布部に塗布するための塗布面とされ、前記塗布部及び前記グリップ部が一体に形成され
、前記オーバーキャップには、下方に向けて突出する規制突起が備えられ、前記グリップ部には、前記規制突起が差し込まれる差込孔が形成され、前記容器本体は、前記グリップ部内で前記規制突起に係止されることにより、前記グリップ部に対する上方移動が規制されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ステムの上端部に装着される塗布部と、容器本体を径方向の外側から囲繞し、かつ下端開口を通して容器本体の底部を外部に露呈させるグリップ部と、が一体に形成されているため、例えばグリップ部を把持した状態で、塗布部に不意の外力等が作用した場合であっても、塗布部に対する容器本体の移動を抑制できる。これにより、容器本体内の内容物が吐出孔から予期せず吐出されるのを抑制できる。
また、オーバーキャップに、容器本体に係止される規制突起が形成されているため、オーバーキャップが塗布部に装着された状態で、塗布容器が倒立落下した場合等に、塗布部に対する容器本体の容器軸方向に沿う塗布部側への移動を規制できる。これにより、倒立落下の衝撃によりステムが容器本体内に押し込まれ、予期せず内容物が吐出されるのを抑制できる。
【0008】
また、前記吐出孔には、前記ステムから吐出される内容物を前記頂壁部上に拡散させる拡散部材が配設されていてもよい。
この場合、吐出孔に、ステムから吐出される内容物を頂壁部上に拡散させる拡散部材が配設されているため、内容物が吐出孔を通して上方に向けて不意に飛散するのを抑制して、塗布面として機能する頂壁部上に内容物を確実に供給することができる。
【0010】
また、前記頂壁部は、下方に向けて窪む凹曲面状に形成されていてもよい。
この場合、頂壁部が下方に向けて窪む凹曲面状に形成されているため、吐出孔から吐出される内容物を頂壁部上に確保し易くなる。その結果、被塗布部に対して内容物を確実に塗布することができる。
【0011】
また、前記容器本体及び前記グリップ部には、互いが係合して、前記容器本体の前記グリップ部に対する下方移動を規制する規制部が各別に設けられ、前記規制部のうち、グリップ側規制部は、容器側規制部に対して進退自在に設けられ、前記容器本体は、前記グリップ部に着脱自在に装着されていてもよい。
この場合、容器本体及びグリップ部に、容器本体のグリップ部に対する下方移動を規制する規制部が各別に設けられているため、塗布容器が正立落下した場合等の衝撃により容器本体が塗布部及びグリップ部から不意に抜けるのを抑制できる。
しかも、グリップ側規制部が容器側規制部に対して進退自在に設けられているため、グリップ側規制部と容器側規制部との係合を解除することで、容器本体を塗布部及びグリップ部から簡単に取り外すことができる。これにより、容器本体の交換作業を簡単に行うことができ、優れた操作性を具備させることができる。
【0012】
また、前記吐出器は、前記ステムを上方に付勢する付勢部材と、前記ステムに連係するピストンと、内部に前記ピストンが上下摺動自在に収容されるとともに、前記ピストンの下方移動時に加圧され、かつ上方移動時に減圧される加圧部を有するシリンダと、前記シリンダの下端開口部を開閉する主弁体と、前記シリンダ内において、前記加圧部と前記下端開口部との連通及び遮断を切り替える副弁体と、を備え、当該塗布容器の正立時に、前記主弁体が自重により着座して前記下端開口部を閉塞し、かつ前記副弁体が前記シリンダ内において前記副弁体及び前記主弁体の間に位置する部分と前記加圧部とを連通させ、当該塗布容器の倒立時に、前記主弁体が前記下端開口部を開放し、かつ前記副弁体が自重により着座して前記下端開口部と前記加圧部との連通を遮断し、前記シリンダの周面には、倒立時において、前記加圧部が減圧された際に、前記容器本体内の内容物を前記加圧部内に供給する連通孔が形成されていてもよい。
この場合、正立時には、主弁体が自重により着座して下端開口部を閉塞し、かつ副弁体がシリンダ内において副弁体及び主弁体の間に位置する部分と加圧部とを連通させる。この状態で、指等をグリップ部の下端開口に進入させ、容器本体の底部を上方に向けて押し上げる。すると、塗布部によりステムが容器本体の内側に押し込まれる。ステムが押し込まれると、ステムとともにピストンが容器本体の内側に押し込まれることで、シリンダ内の加圧部が加圧される。
加圧部が加圧されると、加圧部の正圧により、シリンダ内の内容物がステムを通して吐出孔から吐出される。
なお、塗布部に対する容器本体の押し上げ操作を解除すると、ステム及びピストンが復元変位することで、加圧部が減圧される。すると、加圧部内の負圧により、主弁体が上昇してシリンダの下端開口部が開放されることで、容器本体内の内容物がシリンダ内に流入する。
【0013】
一方、塗布容器を倒立姿勢とすると、主弁体がシリンダの下端開口部を開放し、かつ副弁体が自重により着座してシリンダの下端開口部と加圧部との連通を遮断する。
この状態で、指等をグリップ部の下端開口に進入させ、容器本体の底部を押し下げる。すると、塗布部によりステムが容器本体の内側に押し込まれる。ステムが押し込まれると、ステムとともにピストンが容器本体の内側に押し込まれることで、シリンダ内の加圧部が加圧される。
加圧部が加圧されると、加圧部の正圧により、副弁体が離反するものの、主弁体が着座してシリンダの下端開口部を閉塞する。これにより、下端開口部と加圧部との連通が遮断されるため、加圧部の正圧が保持される。そして、加圧部の正圧により、シリンダ内の内容物がステムを通して吐出孔から吐出される。
なお、塗布部に対する容器本体の押し下げ操作が解除され、あるいはシリンダ内の内容物が全て吐出されると、ステム及びピストンが復元変位することで、加圧部が減圧される。すなわち、主弁体が自重により離反してシリンダの下端開口部を開放するものの、副弁体が自重により着座してシリンダの下端開口部と加圧部との連通を遮断することで、加圧部が減圧される。すると、容器本体内の内容物が、シリンダの連通孔を通して加圧部内に流入する。
【0014】
このように、正立姿勢及び倒立姿勢の何れの姿勢で塗布動作を行った場合であっても、その後シリンダ内に安定して内容物を供給することができるため、優れた操作性を具備させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る塗布容器によれば、不意の外力等によって内容物が予期せず吐出されるのを規制できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1、
図2に示すように、本実施形態の塗布容器1は、内容物が収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の口部11に装着されて内容物を吐出する有頂筒状の吐出器3と、容器本体2に外装された有頂筒状のカバー体4と、カバー体4に着脱自在に装着されて後述する塗布部65を被覆する有頂筒状のオーバーキャップ5と、を備えている。また、本実施形態の塗布容器1は、いわゆるレフィルタイプの塗布容器1であって、容器本体2及び吐出器3からなるカートリッジ6が、カバー体4に対して着脱可能に構成されている。
【0018】
なお、図示の例では、容器本体2、吐出器3、カバー体4、及びオーバーキャップ5それぞれの中心軸線は、共通軸上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿うオーバーキャップ5側を上側とし、容器本体2側を下側とし、容器軸Oに直交する方向を径方向とし、さらに容器軸O周りの方向を周方向とする。
【0019】
容器本体2は、口部11、肩部12、胴部13、及び底部14を備え、これらが容器軸O方向に沿ってこの順に連設されて構成されている。
胴部13の上部には、径方向の外側に向けて突出する容器側規制部(規制部)21が全周に亘って形成されている。この容器側規制部21は、容器軸O方向に沿う縦断面視で三角形状とされ、径方向の外側への突出量が下方に向かうに従い漸次増加している。
また、胴部13の下部は、上部に比べて拡径した拡径部22とされ、この拡径部22には容器本体2の全周に亘って延びる環状凹溝23が容器軸O方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0020】
吐出器3は、例えばポンプを利用して内容物を吐出させるポンプタイプの吐出器3であって、容器本体2の口部11に装着される装着キャップ31と、口部11に対して上方付勢状態で下方移動可能に配設されたステム32を有する吐出器本体33と、を備えている。
【0021】
装着キャップ31は、口部11に螺着される有頂筒状のキャップ本体35と、キャップ本体35の頂壁部から上方に向けて延在する案内筒36と、を備えている。
キャップ本体35の頂壁部は、環状に形成され、口部11の上端縁上に配置されている。なお、キャップ本体35は、アンダーカット嵌合等により口部11に装着されていても構わない。
案内筒36は、その内側で、ステム32の容器軸O方向に沿う移動を案内する。
【0022】
吐出器本体33は、上述したステム32と、筒状のシリンダ41と、シリンダ41内に配設されるとともに、ステム32に連係する有頂筒状のピストン42と、ステム32及びピストン42を上方に向けて付勢する付勢部材43と、ピストン42の容器軸O方向に沿う移動を案内するピストンガイド44と、シリンダ41内におけるピストンガイド44の下方に配設された弁受部材45と、を備えている。
【0023】
シリンダ41は、その下端側が吸上筒46を介して容器本体2内に連通しているとともに、上端側がステム32を介して後述する塗布部65内に連通している。シリンダ41の上端部には、径方向の外側に向けて外フランジ部47が突設され、この外フランジ部47がパッキン48を間に挟んで口部11の上端縁上に配置されている。そして、シリンダ41は、外フランジ部47が口部11の上端縁と、上述したキャップ本体35の頂壁部と、の間に挟持されることで、容器本体2に固定されている。
【0024】
ステム32は、容器軸O方向に沿って同軸状に配置された筒状の下ステム32a及び上ステム32bを備えている。
下ステム32aは、その下端部がシリンダ41の内周面に摺接しながら容器軸O方向に沿って移動可能とされている。また、下ステム32aの上部は、シリンダ41の上端部から上方に向けて突出するとともに、装着キャップ31の案内筒36内に配置されている。
上ステム32bは、その下端部が案内筒36の内周面に摺接しながら容器軸O方向に沿って移動可能とされている。また、上ステム32bの下端部内には、下ステム32aの上端部が液密に嵌合されている。また、上ステム32bの上端部は、案内筒36の上端部から上方に向けて突出している。
【0025】
ピストン42は、その下端部がシリンダ41内に液密状態で容器軸O方向に摺動可能に嵌合されている。また、ピストン42の上部は、シリンダ41の上端部から上方に向けて突出するとともに、下ステム32a内を貫通している。この場合、ピストン42は、下ステム32aの下端部内に嵌合している。また、ピストン42には、径方向に貫通する貫通孔51が周方向に間隔をあけて複数形成されている。これら貫通孔51は、ピストン42のうち、下ステム32aとの嵌合部分よりも上方に位置する部分に形成され、ピストン42の内外を連通している。
【0026】
ピストンガイド44は、上端部がピストン42内に配置され、下端部がシリンダ41の内周面に液密に嵌合されている。そして、ピストンガイド44は、ピストン42の下方移動時に加圧され、かつ上方移動時に減圧される加圧部S1と、後述する主弁体61及び副弁体62が収納される弁体収納部S2と、にシリンダ41内を仕切っている。また、ピストンガイド44には、径方向に貫通する貫通孔52が周方向に間隔をあけて複数形成され、この貫通孔52を通して弁体収納部S2内と加圧部S1内とが連通可能とされている。なお、上述したシリンダ41には、加圧部S1の内外を連通する連通孔53が周方向に間隔をあけて形成されている。
【0027】
付勢部材43は、ピストンガイド44とピストン42との間に配設され、ピストン42を上方付勢状態で下方移動可能に支持している。
弁受部材45は、有底筒状とされ、シリンダ41内の下端部に嵌合されている。また、弁受部材45は、上述した弁体収納部S2を下側の主弁体収納部S2aと、上側の副弁体収納部S2bと、に仕切っている。また、弁受部材45には、径方向に貫通する側方開口54が周方向に間隔をあけて複数形成され、この側方開口54を通して主弁体収納部S2a内と副弁体収納部S2b内とが連通可能とされている。
【0028】
そして、上述した弁体収納部S2のうち、主弁体収納部S2aには主弁体61が収納され、副弁体収納部S2bには副弁体62が収納されている。
主弁体61は、球体とされ、例えば自重によって主弁体収納部S2a内を移動自在とされている。主弁体61は、シリンダ41の下部内周面に形成されたシール面41aに着座または離反するように構成され、シリンダ41における下端側の開口部(下端開口部)41bと主弁体収納部S2aとの連通及び遮断を切り替えるようになっている。なお、塗布容器1の正立姿勢(オーバーキャップ5が上向き、容器本体2の底部14が下向きの状態)において、主弁体61はシール面41aに着座してシリンダ41の開口部41bを閉塞しており、容器本体2内と主弁体収納部S2aとの連通を遮断している。
【0029】
副弁体62は、主弁体61よりも外径が小さい球体とされ、例えば自重によって副弁体収納部S2b内を移動自在とされている。副弁体62は、ピストンガイド44の下部内周面に形成されたシール面44aに着座または離反するように構成され、副弁体収納部S2bを通した主弁体収納部S2aと加圧部S1との連通及び遮断を切り替えるようになっている。なお、
図3に示す塗布容器1の倒立姿勢(オーバーキャップ5が下向き、容器本体2の底部14が上向きの状態)において、副弁体62はシール面44aに着座して、副弁体収納部S2bを通した主弁体収納部S2aと加圧部S1との連通を遮断している。
【0030】
図1、
図2に示すように、上述したカバー体4は、上述した上ステム32bの上端部に装着される有頂筒状の塗布部65と、容器本体2を径方向の外側から囲繞し、かつ下端開口を通して容器本体2の底部14を外部に露呈させる筒状のグリップ部66と、が一体に形成されたものである。
【0031】
塗布部65の頂壁部71は、内容物を被塗布部に塗布するための塗布面とされ、その内周部分は外周部分に対して下方に向けて窪む凹曲面状の収容凹部72が形成されている。収容凹部72における径方向の中央部には、容器軸O方向に貫通する吐出孔73が形成されている。また、頂壁部71には、容器軸O方向から見た平面視で吐出孔73を囲繞する嵌合筒74が、下方に向けて延設されている。嵌合筒74内には、上ステム32bの上端部が嵌合されており、これによりステム32内と吐出孔73とが連通している。なお、頂壁部71の外周部分には、上方に向けて突出する突起部75が周方向に間隔をあけて複数形成されている。各突起部75は、半球状に形成され、その先端が丸みを帯びている。
【0032】
また、吐出孔73内には、ステム32から吐出される内容物を頂壁部71上に拡散させる拡散部材76が配設されている。拡散部材76は、弾性変形可能な材料により構成されたものであって、吐出孔73内に挿入された軸部76aと、軸部76aの上端部に連設された円板状の弁部76bと、を備えている。
弁部76bは、吐出孔73を上方から閉塞しており、嵌合筒74と上ステム32bとで画成された連通空間S3の内圧上昇に伴い、吐出孔73を開放しうるように構成されている。
【0033】
塗布部65の周壁部81は、装着キャップ31及び上ステム32を径方向の外側から囲繞しており、その下端部は容器本体2の肩部12に容器軸O方向で隙間をあけた状態で対向している。
【0034】
グリップ部66は、容器軸O方向に沿って延びるとともに、その下端部が容器本体2の底部14よりも下方に位置している。また、グリップ部66は、内径が容器本体2の拡径部22の外径よりも大きくなっており、容器本体2を容器軸O方向に沿って移動可能に収容している。グリップ部66の上端部には、径方向の内側に向けて内フランジ部82が突設されている。内フランジ部82のうち、径方向の内側端部には、上述した塗布部65の周壁部81が連設されるとともに、内フランジ部82を容器軸O方向に貫通する差込孔83が周方向に間隔をあけて複数形成されている。なお、各差込孔83は、周方向に沿って延びる円弧状とされている。
【0035】
グリップ部66の下端部には、下方に向けて開放された操作凹部85が周方向に間隔をあけて複数形成されている。図示の例において、操作凹部85は、径方向のうち、一方向で対向する位置に一対で形成されている。そして、各操作凹部85を通して、容器本体2の拡径部22が径方向に露呈している。
【0036】
また、グリップ部66には、径方向のうち、上述した一方向に直交する他方向で対向する位置に、径方向に向けて開放された開口87が形成されている。各開口87には、操作片88が各別に収容されている。操作片88は、その両周端縁が開口87の内周縁のうち、周方向で対向する一対の側面部に弾性ヒンジ部89を介して各別に連結されている。
【0037】
各操作片88は、径方向から見た側面視で容器軸O方向に沿って延びる板状とされている。そして、操作片88は、弾性ヒンジ部89の弾性変形により弾性変位可能に構成されている。図示の例において、操作片88は、周方向に沿って延びるヒンジ軸C周りに回動するようになっている。
【0038】
操作片88の上端部には、径方向の内側に向けて突出するグリップ側規制部(規制部)91が形成されている。グリップ側規制部91は、容器軸O方向に沿う縦断面視で三角形状とされ、径方向の外側への突出量が上方に向かうに従い漸次増加している。そして、グリップ側規制部91は、上述した容器本体2の容器側規制部21に下方から係止され、これによりカバー体4に対する容器本体2の下方移動が規制されている。
操作片88のうち、弾性ヒンジ部89よりも下方に位置する部分は、グリップ側規制部91が容器側規制部21に係止された係止位置から、グリップ側規制部91が容器側規制部21から離脱する解除位置に向けて、操作片88をヒンジ軸C周りに進退自在に操作するための操作部92を構成している。
【0039】
オーバーキャップ5は、天壁部93及び周壁部94を備え、塗布部65に着脱自在に構成されている。周壁部94には、下方に向けて突出する規制突起95が周方向に間隔をあけて形成されている。各規制突起95は、上述したカバー体4の差込孔83内に各別に差し込まれ、その下端縁がカバー体4内で容器本体2の肩部12に容器軸O方向で近接または当接している。すなわち、カバー体4にオーバーキャップ5が装着された被覆状態において、容器本体2は、肩部12が各規制突起95に容器軸O方向で係止されることにより、カバー体4に対する上方移動が規制されている。
【0040】
次に、上述した塗布容器1の動作について説明する。なお、以下の説明では、塗布部65にオーバーキャップ5が装着された被覆状態を初期状態として説明する。
まず、塗布容器1を正立姿勢とした状態で、塗布容器1の塗布動作を行う場合について説明する。
塗布容器1を使用する場合には、まずカバー体4に対してオーバーキャップ5を上方に引き抜き、塗布部65からオーバーキャップ5を取り外す。これにより、塗布部65が外部に露呈するとともに、オーバーキャップ5の規制突起95と容器本体2の肩部12との係止が解除される。
【0041】
次に、指等によりグリップ部66を把持した状態で、カバー体4に対して容器本体2を押し上げる。具体的には、指等を操作凹部85内に進入させながら容器本体2の底部14を上方に向けて押し上げる。すると、カバー体4の嵌合筒74によりステム32が容器軸O方向に沿う容器本体2の内側(下方)に押し込まれる。ステム32が押し込まれると、ステム32とともにピストン42が下方に押し込まれることで、シリンダ41内の加圧部S1が加圧される。
【0042】
加圧部S1が加圧されると、加圧部S1の正圧により、内容物が吐出孔73から吐出される。なお、塗布容器1の正立姿勢において、主弁体61が自重によりシール面41aに着座して、シリンダ41の開口部41bを閉塞し、かつ副弁体62がシール面44aから離反して、加圧部S1と弁体収納部S2とが連通している。
この状態で、加圧部S1が加圧されると、加圧部S1の正圧により、シリンダ41内の内容物が上ステム32bを通して嵌合筒74(連通空間S3)内に流入する。連通空間S3内に供給された内容物は、吐出孔73と拡散部材76の軸部76aとの間の隙間を通った後、弁部76bを上方に向けて弾性変形させる。これにより、吐出孔73が開放され、内容物が頂壁部71上に供給される。
【0043】
ここで、内容物が頂壁部71上に供給される過程において、内容物は弁部76bと収容凹部72との間の隙間を通って頂壁部71上を径方向の外側に向けて供給される。すなわち、吐出孔73から吐出される内容物が頂壁部71上を濡れ広がるように拡散することになるので、内容物が上方に向けて不意に飛散するのを抑制して、塗布面として機能する頂壁部71上に内容物を確実に供給することができる。なお、頂壁部71上に拡散した内容物は収容凹部72内に収容される。
【0044】
この状態で、塗布部65の頂壁部71を被塗布部に接触させる等することで、所定量の内容物が被塗布部に塗布される。具体的には、収容凹部72に収容された内容物は、頂壁部71の外周部分によって引き伸ばされながら、被塗布部に塗布される。しかも、頂壁部71の外周部分には、突起部75が形成されているため、内容物を塗布すると同時に、被塗布部に刺激を与えることもできる。すなわち、本実施形態の塗布容器1では、被塗布部をマッサージしながら内容液の塗布を行うことができる。
【0045】
なお、カバー体4に対する容器本体2の押し上げ操作を解除すると、ステム32及びピストン42が容器軸O方向に沿う容器本体2の外側に向けて復元変位することで、加圧部S1が減圧される。すると、加圧部S1内の負圧により、主弁体61がシール面41aから離反して、シリンダ41の開口部41bが開放されることで、容器本体2内の内容物が吸上筒46を通してシリンダ41内に流入する。
【0046】
次に、
図3に示すように、塗布容器1を倒立姿勢とした状態で、上述した塗布動作を行う場合について説明する。
まず、塗布容器1を倒立姿勢とすると、上述した各弁体61,62が自重により各弁体収納部S2内をそれぞれ移動することで、主弁体61がシリンダ41のシール面41aから離間してシリンダ41の開口部41bを開放し、かつ副弁体62がピストンガイド44のシール面44aに着座して弁体収納部S2と加圧部S1との連通を遮断する。
【0047】
この状態で、塗布部65の頂壁部71を被塗布部に近接または接触させるとともに、カバー体4に対して容器本体2を下方に向けて押し下げる。具体的には、指等を操作凹部85内に進入させながら容器本体2の底部14を下方に向けて押し下げる。すると、カバー体4の嵌合筒74によりステム32が容器軸O方向に沿う容器本体2の内側(上方)に押し込まれる。ステム32が押し込まれると、ステム32とともにピストン42が上方に押し込まれることで、シリンダ41内の加圧部S1が加圧される。
【0048】
加圧部S1が加圧されると、加圧部S1の正圧により、内容物が吐出孔73から吐出される。具体的に、加圧部S1の正圧により、副弁体62がシール面44aから離反するものの、主弁体61がシール面41aに着座してシリンダ41の開口部41bを閉塞する。これにより、開口部41bとシリンダ41内との連通が遮断されるため、加圧部S1の正圧が保持される。そして、加圧部S1の正圧により、シリンダ41内の内容物が上ステム32bを通して嵌合筒74(連通空間S3)内に流入する。連通空間S3内に供給された内容物は、吐出孔73を通って内容物が頂壁部71上に拡散する。
これにより、頂壁部71上に拡散した所定量の内容物を被塗布部に塗布することができる。
【0049】
なお、カバー体4に対する容器本体2の押し下げ操作が解除され、あるいはシリンダ41内の内容物が全て吐出されると、ステム32及びピストン42が容器軸O方向に沿う容器本体2の外側に向けて復元変位することで、加圧部S1が減圧される。すなわち、主弁体61が自重によりシール面41aから離反してシリンダ41の開口部41bを開放するものの、副弁体62が自重によりシール面44aに着座して弁体収納部S2と加圧部S1との連通を遮断することで、加圧部S1が減圧される。すると、容器本体2内の内容物が、シリンダ41の連通孔53を通して加圧部S1(シリンダ41)内に流入する。
【0050】
このように、正立姿勢及び倒立姿勢の何れの姿勢で塗布動作を行った場合であっても、その後シリンダ41内に安定して内容物を供給することができるため、優れた操作性を具備させることができる。
【0051】
次に、カートリッジ6の交換作業について説明する。
まず、
図4に示すように、各操作片88の操作部92を指等により把持し、各操作片88を径方向の内側に向けて押圧する。すると、操作片88は弾性ヒンジ部89の弾性変形によりヒンジ軸C周りに弾性変位することで、係止位置から解除位置に向けて移動する。具体的に、操作片88のグリップ側規制部91が径方向の外側に向けて移動することで、グリップ側規制部91が容器側規制部21から退避する。
【0052】
そして、操作片88を解除位置に維持した状態で、操作凹部85を通して容器本体2の拡径部22を指等により把持し、カバー体4に対して容器本体2を下方に引き抜く。すると、嵌合筒74と上ステム32bとの嵌合が解除されるとともに、カートリッジ6がカバー体4から引き抜かれる。なお、操作片88は、容器側規制部21がグリップ側規制部91を通過した後であれば、規制位置に戻しても構わない。また、本実施形態においては、容器本体2のうち、操作凹部85を通して露呈する拡径部22に環状凹溝23が形成されているため、容器本体2を引き抜く際のグリップ力を向上させることができる。
【0053】
次に、未使用のカートリッジ6を吐出器3側からカバー体4内に挿入する。このとき、操作片88のグリップ側規制部91が、容器側規制部21の外周面に摺接することで。操作片88がヒンジ軸C周りに沿う解除位置側に向けて弾性変位する。
その後、操作片88は、グリップ側規制部91が容器側規制部21を乗り越えた時点で、弾性ヒンジ部89の復元変形により係止位置に向けて弾性変位する。これにより、グリップ側規制部91と容器側規制部21とが係止される。
【0054】
さらに、上ステム32bがカバー体4の頂壁部71に突き当たるまで、容器本体2をカバー体4内に挿入することで、上ステム32bが嵌合筒74内に嵌合される。
以上により、カートリッジ6の交換作業が完了する。
【0055】
このように、本実施形態では、ステム32の上端部に装着される塗布部65と、容器本体2を径方向の外側から囲繞し、かつ下端開口を通して容器本体2の底部14を外部に露呈させるグリップ部66と、が一体に形成されているため、例えばグリップ部66を把持した状態で、塗布部65に不意の外力等が作用した場合であっても、塗布部65に対する容器本体2の移動を抑制できる。これにより、容器本体2内の内容物が吐出孔73から予期せず吐出されるのを抑制できる。
【0056】
また、オーバーキャップ5に、容器本体2の肩部12に係止される規制突起95が形成されているため、オーバーキャップ5が塗布部65に装着された状態で、塗布容器1が倒立落下した場合等に、カバー体4に対する容器本体2の容器軸O方向に沿う塗布部65側への移動を規制できる。これにより、倒立落下の衝撃によりステム32が容器本体2内に押し込まれ、予期せず内容物が吐出されるのを抑制できる。
【0057】
さらに、頂壁部71が下方に向けて窪む凹曲面状に形成されているため、吐出孔73から吐出される内容物を頂壁部71上に確保し易くなる。その結果、被塗布部に対して内容物を確実に塗布することができる。
【0058】
また、容器本体2及びグリップ部66には、容器本体2のグリップ部66に対する下方移動を規制する規制部21,91が各別に設けられているため、塗布容器1が正立落下した場合等の衝撃によりカートリッジ6がカバー体4から不意に抜けるのを抑制できる。
しかも、グリップ側規制部91が容器側規制部21に対して進退自在に設けられているため、グリップ側規制部91を解除位置とすることで、容器本体2をカバー体4から簡単に取り外すことができる。これにより、カートリッジ6の交換作業を簡単に行うことができ、優れた操作性を具備させることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0060】
例えば、上述した実施形態では、レフィルタイプの塗布容器1に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず、いわゆる使いきりタイプの塗布容器100に本発明を適用しても構わない。具体的に、
図5に示す塗布容器100は、グリップ部66のうち、開口87の内周縁から連設された係止片101を備えている。係止片101の上端部には、容器側規制部21に係止されるグリップ側規制部91が形成されており、これによりカバー体4に対する容器本体2の下方移動が規制されている。
【0061】
また、上述した吐出器3として、ポンプタイプの吐出器3を採用した場合について説明したが、これに限られない。例えばエアゾールタイプの吐出器を採用しても構わない。
さらに、上述した実施形態では、容器本体2の胴部13に容器側規制部21を形成した場合について説明したが、これに限らず、容器本体2の任意の位置に容器側規制部を形成することが可能である。
【0062】
また、上述した実施形態では、正立姿勢及び倒立姿勢の双方で使用可能とするために、シリンダ41に連通孔53を形成した構成について説明したが、これに限らず、正立姿勢のみ使用可能とするような構成でも構わない。
さらに、上述した実施形態では、頂壁部71の突起部75をカバー体4と同一の材料により形成した場合について説明したが、これに限られない。例えば、インサート成形等を用いて、エラストマー等の弾性変形可能な軟材質により突起部75を形成しても構わない。
【0063】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。