(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ネットワークに接続された監視カメラと、前記ネットワークを介して前記監視カメラと接続すると共に、前記監視カメラのネットワーク設定情報を管理する中枢サーバとを有するネットワーク映像監視システムにおいて、
交換用の監視カメラを前記ネットワークに接続すると、
前記交換用の監視カメラが、前記中枢サーバと情報交換し、予めメモリ内に保持する自己のカメラ内設定情報と読み取った2次元コードに含まれる書式情報を前記中枢サーバに送信し、
前記中枢サーバが、前記交換用の監視カメラから受信した前記カメラ内設定情報並びに前記書式情報を基にして前記ネットワーク設定情報の変更を行うことを特徴とするネットワーク映像監視システム。
請求項1記載のネットワーク映像監視システムにおいて、前記交換用の監視カメラは、2次元コードに含まれる書式情報を認識するための読み取りコード認識手段を備えることを特徴とするネットワーク映像監視システム。
請求項1または2に記載のネットワーク映像監視システムにおいて、前記書式情報には、システムコード、タイプコード、ノードコード、及び通知先指定の情報が含まれることを特徴とするネットワーク映像監視システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来のネットワーク映像監視システムについて、
図4を参照して説明する。
図4は、従来のネットワーク映像監視システムの構成の一例を示す図である。
図4において、110は、同一ネットワーク空間で構築されたクローズドネットワークである。120は、故障交換のため新たに接続された工場出荷状態の監視カメラである。130は、ネットワーク110内で中枢となるサーバで、例えば、映像記録装置や映像管理サーバなどである。132は、中枢サーバ130にあらかじめ登録された、ネットワーク110に接続されている複数の監視カメラのカメラ情報である。また、140は、監視カメラ120などの監視カメラをシステムに合わせて設定変更するためのPC等である。
【0005】
ネットワーク110は、ローカルネットワークで、ネットワークアドレスは、「192.168.10.0/24」だとする。ネットワーク110に接続される複数の監視カメラには、手動で直接、静的なIPアドレス等が適切に設定されなければならない。ネットワーク110にはDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバが備えられてもよいが、少なくともIPアドレスを動的に割り当てる目的では使用しない。このような固定アドレス運用のネットワーク110は、動的取得に比べ、起動が早く挙動が安定なため、長期にわたりネットワークに変更がないことが前提の、或いは高い信頼性が要求されるアプリケーションにおいてしばしば使用される。また、中枢サーバ130は、監視カメラ毎の配信方法や記録方法の設定等を、IPアドレスと対応付けて保持している。従ってIPアドレスの変更は都合が悪い。
【0006】
また、接続されたばかりの監視カメラ120は、工場出荷状態であり、例えば、IPアドレスが「192.168.0.10/24」という状態で初期設定されている。中枢サーバ130は、カメラ情報132に基づき通信を継続しようとしているが、監視カメラ120の設定が適切でないため通信できない。交換作業者は、PC140をシステムのネットワーク110に接続し、PC140のアドレスをクローズドネットワークであるネットワーク110のアドレス空間にあわせて、例えば、「192.168.10.100/24」に設定した上で、監視カメラ120のIPアドレスに接続し、監視カメラ120を適切な設定に変更する。
【0007】
上記したように、従来の仕組みでは、監視カメラ120に交換した後、PC140を接続して設定を変更・確認する必要があり、PC140の準備が手間である他、設定ミスが起こりやすく、迅速かつ正確に復旧することができなかった。例えば、故障した機器が複数あって、それらを一斉に交換しようとした場合に、交換前の機器との対応付けに誤りがないか、実際に監視カメラ映像で確認する等の作業が生じる。
また、監視カメラの交換作業において設定ミスが発生すると、最悪の場合システム全体に影響して、一部故障の状態から全体停止に陥る危険性もあった。
【0008】
本発明は、このような従来の事情に鑑みなされたものであり、交換のため新たに接続された監視カメラが中枢サーバと情報交換し、読み取った2次元コードに含まれるカメラ設定情報に基づいてネットワークへの自動設定が為されることにより、システムの復旧作業を容易に行うことが可能なネットワーク映像監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るネットワーク映像監視システムは、ネットワークに接続された監視カメラと、前記ネットワークを介して前記監視カメラと接続すると共に、前記監視カメラのネットワーク設定情報を管理する中枢サーバとを有するネットワーク映像監視システムにおいて、交換用の監視カメラを前記ネットワークに接続すると、前記交換用の監視カメラが、前記中枢サーバと情報交換し、予めメモリ内に保持する自己のカメラ内設定情報と読み取った2次元コードに含まれる書式情報を前記中枢サーバに送信し、前記中枢サーバが、前記交換用の監視カメラから受信した前記カメラ内設定情報並びに前記書式情報を基にして前記ネットワーク設定情報の変更を行うことを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するための本発明に係るネットワーク映像監視システムは、上記したネットワーク映像監視システムにおいて、前記交換用の監視カメラは、2次元コードに含まれる書式情報を認識するための読み取りコード認識手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するための本発明に係るネットワーク映像監視システムは、上記したネットワーク映像監視システムにおいて、前記書式情報には、システムコード、タイプコード、ノードコード、及び通知先指定の情報が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、交換のため新たに接続された監視カメラが中枢サーバと情報交換し、読み取った2次元コードに含まれるカメラ設定情報に基づいてネットワークへの自動設定が為されることにより、システムの復旧作業を容易に行うことが可能なネットワーク映像監視システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係るネットワーク映像監視システムについて、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係るネットワーク映像監視システムの構成の一例を示す図である。
【0015】
〔ネットワーク映像監視システムの構成〕
図1において、110は、例えば、無線LAN関連の規格IEEE802.11で構築されたクローズドネットワークである。このネットワーク110に接続される機器はネットワークアドレスに従った共通のアドレス体系を有する。言い換えれば、接続される全ての機器のIPアドレスに(サブ)ネットマスクを適用すると、1つのネットワークアドレスに一致するようなネットワークである。20は、故障交換のため新たに接続された工場出荷状態の監視カメラである。30は、ネットワーク110内で中枢となるサーバで、例えば、映像記録装置や映像管理サーバなどである。また、60は、2次元コード等の読み取りコード61が印刷されたシートであり、読み取りコード61には監視カメラ20の所定の書式情報62が含まれている。
【0016】
また、中枢サーバ30は、ネットワーク110に接続されている複数の監視カメラの情報および状態を格納する機器情報テーブル32と、交換エントリーテーブル34とを有している。
機器情報テーブル32は、機器毎に、キー値32a、MACアドレス32b、IPアドレス32c、及び故障(通信断)状態を管理するためのフラグ(Flag)32dを保持する。本実施例の機器情報テーブル32では、Node番号は第1列のキー値と兼用である。Node番号(キー値32a)は、監視カメラ20(或いはその設置場所)に1対1で対応付けられる、例えば1〜15の番号であり、人にとってIPアドレスそのものより理解しやすい。
中枢サーバ30は、後述する方法で、ネットワーク110に接続された監視カメラ20等のIP機器を把握し、故障(通信断)状態となった機器があれば、それをフラグ32dで記録する。
【0017】
次に、監視カメラ20の具体的な構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、本発明の実施形態1に係るネットワーク映像監視システムの監視カメラの構成を示すブロック図である。
監視カメラ20は、対象物を光学的に撮影するための光学系21、光学系21が撮影した映像データをデジタルデータに変換し、また、映像データの解析を行う映像処理部22、中枢サーバ30からの要求をCPU24に伝達し、また、CPU24からの応答を中枢サーバ30へ返信するためのNIC(Network Interface Controller)27、映像処理部22がデジタル化した映像データを一時保存するためのRAM25、監視カメラのネットワーク設定を保存するためのフラッシュメモリ26、これらの構成部を制御するためのCPU24、ネットワーク設定モード/通常モードを判別表示するための例えばLEDからなるモード表示部23、及び映像処理部22でのネットワーク設定機能をON/OFFするための図示しない切換スイッチを有する。
また、映像処理部22は、2次元コード等の読み取りコードを読み取るための読み取りコード認識手段22aを具備している。
なお、
図1の28は監視カメラ20のカメラ内設定情報であり、フラッシュメモリ26内に保存されている。また、
図1の29は映像処理部22の読み取りコード認識手段22aで読み取った読み取りコード情報を格納するテーブルであり、フラッシュメモリ26内に保存されている。
【0018】
〔ネットワーク映像監視システムのネットワーク設定処理〕
次に、ネットワーク映像監視システムにおける監視カメラ20のネットワーク設定処理について、
図3を参照して説明する。
図3は、本発明の実施形態1に係るネットワーク映像監視システムにおける監視カメラのネットワーク設定処理のシーケンス図である。
始めに、故障交換用に新たに接続された監視カメラ20のカメラ内設定情報28は、工場出荷状態において、ステータス28aが「0000」状態で、IPアドレス28bは未定を示す「0.0.0.0」で、MACアドレス28cは固有の値「00−00−00−00−00−10」を持つとする。
監視カメラ20は、CPU24が起動中に図示しない切換スイッチのONを感知すると、ネットワーク設定モードへ移行し、モード表示部23の表示がネットワーク設定モードに切り換わり、ネットワーク110に接続される(ステップS101)。
監視カメラ20は、ネットワーク110に接続されると、ブロードキャストアドレス(例えば、「255.255.255.255」)宛てに、定められたプロトコルで自身のカメラ内設定情報28を送信する(ステップS102)。カメラ内設定情報28は、ネットワーク(ブロードキャストドメイン)110全体に転送され、中枢サーバ30にも到達する。
【0019】
中枢サーバ30は、ステップS102により受信したカメラ内設定情報28を解析し(ステップS103)、カメラ内設定情報28が示すMACアドレスと一致するものが機器情報テーブル32に存在しないため、当該情報を未把握の機器として交換エントリーテーブル34に登録する(ステップS104)。
交換エントリーテーブル34に登録すると、中枢サーバ30は、Statusを「0001」にする移行指令を、カメラ内設定情報28が示すMACアドレス宛(「00−00−00−00−00−10」)に所定のプロトコルで送信し(ステップS105)、かつ、交換エントリーテーブル34のStatusも「0001」にしてエントリー準備状態に移行する。なお、移行指令の宛先IPアドレスはブロードキャストアドレスである。
ステップS105による移行指令を受信した監視カメラ20は、Statusを「0001」に移行して(ステップS106)、移行したことを示す応答を中枢サーバ30に送信する(ステップS107)。当該応答内容は、「0001」に移行したStatusを含むカメラ内設定情報28でもよい。また、当該応答の宛先には、ステップS105での受信で判明した中枢サーバ30のMACアドレスおよびIPアドレスを用いることが望ましい。
なお、監視カメラ20が、最初のブロードキャスト後、中枢サーバ30からStatus「0001」への移行指令(ステップS105)を一定時間経過しても受信できない場合は、再度カメラ内設定情報28を通知する。数回リトライしても中枢サーバ30に到達しない場合には、通知を停止する。この時、監視カメラ20は、モード表示部23を使用して、LED等で通信の失敗を知らせる表示をしてもよい。
【0020】
監視カメラ20は、ステップS106によりカメラ内設定情報28のStatusを「0001」に移行したら、映像処理部22の読み取りコード認識手段22aを起動し、2次元コード読み取り状態にする(ステップS108)。この時、監視カメラ20は、LED等で読み取り状態を知らせるための通知機能をモード表示部23に設けてもよい。
ここで、作業者が、監視カメラ20の視野角に、2次元コード等の読み取りコード61が印刷されたシート60をかざすようにする(ステップS109)。
シート60の読み取りコード61には、
図1に示すように、書式情報62として、システムコード62a、タイプコード62b、ノードコード62c、及び通知先指定62dの情報が含まれている。例えば、読み取りコード61としてQRコード(登録商標)を使用した場合、2953バイトのバイナリデータを化体できる。システムコード62aは、異なるシステム向けの監視カメラの誤接続を検出するためのもので、システム毎にユニークな値で管理される。タイプコード62bは、機器の種別やシステムの副分類を任意に管理するためのコードである。ノードコード62cは、システム(ネットワーク110)内のIP機器(少なくとも監視カメラ)を一意に特定する情報である。なお、読み取りコード61は、携帯端末などを使い、遠隔で受け取ったコードを携帯端末の画面に表示して読み取らせるようにしてもよい。また、書式情報62の情報はあらかじめ平文ではなく、暗号化のスクランブルをした状態のコードにして2次元コード化する方法もある。
監視カメラ20は、読み取りコード61を読み取り、読取情報格納テーブル29にその情報を格納する(ステップS110)。そして、読取情報格納テーブル29の通知先指定29dが「FF.FF.FFFF」以外(何らかの有意なIPアドレスが設定されている)の場合、その通知先に対して読取情報格納テーブル29の情報を通知し(ステップS111)、通知先指定29dが「FF.FF.FFFF」の場合、ブロードキャストにより、所定のプロトコルでカメラ内設定情報28と読取情報格納テーブル29の情報を通知する。
【0021】
中枢サーバ30は、ステップS111によりカメラ内設定情報28及び読取情報格納テーブル29の情報を受け取ると、読取情報格納テーブル29のシステムコード29aおよびタイプコード29bが適合するかを判断し(ステップS112)、適合した場合、機器情報テーブル32中のフラグ32dを参照し、現在故障交換が必要なカメラを確認する。例えば、フラグ32dが「0」のとき交換対象であるとすると、ノードコード29cがその交換対象とあっているかを照合する。また、ステップS112で適合した場合に、機器情報テーブル32のIPアドレスを参照して、監視カメラ20に対して、新たな設定情報(IPアドレスやネットマスク)を通知するとともに、監視カメラ20のStatusを「0010」に変更するよう通知する(ステップS113)。
【0022】
監視カメラ20は、新たな設定情報を受け取ると、カメラ内設定情報28のStatusを「0010」に変更した後、設定変更を開始する(ステップS114)。設定変更を開始した時、カメラ内設定情報28のStatusを「0110」として再度中枢サーバ30に通知する(ステップS115)。
なお、中枢サーバ30は、ステップS115によるStatus「0110」への変更通知を一定時間受け取れなかった場合にはリトライを行う。
【0023】
監視カメラ20は、ステップS113で受け取った新たな設定情報を元に設定変更を行い、カメラ内設定情報28のStatusを「1000」とし、カメラ内設定情報28及び読取情報格納テーブル29の情報をフラッシュメモリ26に保存して再起動する(ステップS116)。
再起動したら、監視カメラ20は、Status「1000」のカメラ内設定情報28をブロードキャスト通信で通知する(ステップS117)。
ステップS117による通知を受けた中枢サーバ30は、交換エントリーテーブル34の該当するMACアドレス34aの登録したStatus34bを「1000」に更新し、また、送信元のIPアドレスやNode番号が、機器情報テーブル32の該当MACアドレスにおけるそれらと一致するか確認する(ステップS118)。一致した場合、当該IPアドレスを使用して、監視カメラ20とping等のテスト通信を行う(ステップS119)。
テスト通信が完了したら、中枢サーバ30は、機器情報テーブル32の該当するNode番号32aのMACアドレス32bを更新し、また、フラグ32dを「1」に正常化するとともに、交換エントリーテーブル34から消去する(ステップS120)。
【0024】
なお、監視カメラ20は、「0001」〜「0110」のStatusに接続可能上限時間を設け、それ以上経過すると「0000」つまり、初期状態に戻るようにする。また、Statusが「1000」となった以後も、通信不能等の何らかの状況に応じて初期状態に戻るようにする。
また、中枢サーバ30は、機器情報テーブル32のフラグ32dに異常フラグがあったり、交換エントリーテーブル34に残り続けるエントリーがある場合、障害としてログ保存や外部通知を行うようにしてもよい。
また、監視カメラ20は、LED等を用いて、各設定状態のステータスを判別できるようにしてもよい。
また、外部と通信ができるシステムの場合、前述のシート60の読み取りコード61を中枢サーバ30で生成し、あらかじめ登録された携帯端末に送出することも可能である。
【0025】
本実施例によれば、監視カメラ20のStatusが中枢サーバ30によって管理されるので、監視カメラの誤作動、誤設定等により、監視カメラ単体で読み取りコード認識手段22aが起動し読み取りコード61の読み取り状態になることはない。また、読み取りコード61にはNode情報等が含まれるだけで、IPアドレス等は直接表現されないので、IPアドレスの秘匿性を維持でき、また、故意に不正なIPアドレスを監視カメラに設定することも防げる。もし読み取りコード61を取り違えても、中枢サーバ30がフラグ32dやNode情報等で照合を行うので、故障していない機器と重複してIPアドレスを割りてることがない。
【0026】
なお、本実施例の説明では、ステップS102、S105、S107、S110及びS113において、監視カメラ20のIPアドレスは未定のままとしたが、ステップS101を始める前にAutoIP(RFC(Request For Comment)3927)等を用いて取得したリンクローカルアドレスを用いてもよい。
また、ステップS102、S105、S107、S110、S113、S115及びS117としては、既知のRFC2131で規定されるDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)またはBOOTP(Bootstrap Protocol)メッセージのフォーマット や、RFC4795で規定されるLLMNR(Link-local Multicast Name Resolution)ヘッダフォーマットを流用できる。Statusの通知には、前者では4オクテットのXid(トランザクションID)フィールド、後者では16ビットのIDフィールド中の4ビットを割り当てる。
【0027】
以上説明したように、本発明の実施形態1に係るネットワーク映像監視システムによれば、交換のため新たに接続された監視カメラが中枢サーバと情報交換し、読み取った2次元コードに含まれるカメラ設定情報に基づいてネットワークへの自動設定が為されることにより、システムの復旧作業を容易に行うことが可能なネットワーク映像監視システムを提供することができる。
【0028】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。