特許第6180312号(P6180312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180312
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】LEDバックライト
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20170807BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20170807BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170807BHJP
【FI】
   F21S2/00 441
   G02F1/13357
   F21Y115:10
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-259951(P2013-259951)
(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公開番号】特開2015-118758(P2015-118758A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126583
【弁理士】
【氏名又は名称】宮島 明
(72)【発明者】
【氏名】菊地 健一
(72)【発明者】
【氏名】柏木 直哉
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 清一
(72)【発明者】
【氏名】宮下 純司
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−041077(JP,A)
【文献】 特開2013−037846(JP,A)
【文献】 特開2010−040434(JP,A)
【文献】 特開2014−082173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDと、入光端面と出射面を有し前記入光端面と前記出射面の間に斜面が設けられた導光板と、前記導光板の前記出射面に積層する光学シートとを備えるサイドライト方式のLEDバックライトにおいて、
前記LEDが取り付けられるFPCと、
前記FPCに貼り付けられるとともに一部分がFPCから延出するテープと、
前記テープの延出した部分に一端が貼り付けられた遮光シートと
前記LED、前記斜面及び前記出射面の一部を覆うリムシートとを備え、
前記光学シートは、最下層に拡散シートを含み、
前記遮光シートは前記斜面を覆い、前記斜面と前記出射面が交わる部分の近傍であって、前記出射面上において他端が前記導光板と前記拡散シートの間に挟み込まれ
前記他端は、前記リムシートに覆われている
ことを特徴とするLEDバックライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等に使用されるLEDバックライトに関し、さらに詳しくは、LEDの発光を導光板の側端面に入射させ、導光板の出射面から出射させるサイドライト方式のLEDバックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では、液晶パネルを背面から照らすためLEDの発光を導光板の側端面(以下、入光端面と呼ぶ。)に入射させ、液晶パネルと対向する導光板の出射面から出射させるサイドライト方式のLEDバックライトが採用されることがある。このLEDバックライトは、光源用のLED及び導光板に加え、拡散シートやプリズムシートなどの光学シートを備えることが多い。また、このLEDバックライトで使用する導光板は、LEDバックライトの薄型化が要請されるため、入光端面付近の厚さに対し、出射面付近を薄くし、入光端面から出射面の間に斜面を設けることがある。
【0003】
しかしながら導光板に斜面を設けると、導光板内を伝搬しようとする光の一部分が斜面から漏れ出してしまう。この漏れ出た光が拡散シートやプリズムシートなどの光学シートの側端面に入射し、いわゆるホットスポットと呼ばれる輝度ムラを生じることがある。この対策としては斜面と光学シートの側端面との間を遮光すればよい(例えば特許文献1の図2)。そこで特許文献1の図2図3に再掲示し、その構造等を説明する。
【0004】
図3は従来の面状照明装置(LEDバックライト)の断面図である。図3に示す面状照明装置において導光板11は、入光端面14、出射面12、出射面12と対向する他方の主面13、傾斜面16(斜面)を備えており、傾斜部開始位置33から出射面12に向かって薄くなっている。導光板11上には拡散シート17及びプリズムシート18、19が積層している。
【0005】
LED22はFPC21(フレキシブルプリント基板)に取り付けられ、その発光面22aが入光端面14に対向している。FPC21は、カバーフィルム23上に配線層24とベースフィルム25が積層しており、配線層24は接着層24a、24cと導電パターン24b(銅箔層)からなる。またFPC21にはLED22が実装される実装部21aと折り曲げ部21bがある。折り曲げ部21bはベースフィルム25のみの厚さとなっており、その先端は導光板11と拡散シート17の間に挟み込まれている。
【0006】
面状照明装置は、傾斜面16をFPC21のベースフィルム25で覆い、傾斜面16から漏れ出そうとする光を遮っているので、拡散シート17とプリズムシート18、19の側端面から光が入射せず、ホットスポット等の輝度ムラが抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−37846号公報 (図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら図3に示したようなLEDバックライト(面状照明装置)では、ポリイミドからなるベースフィルム25の遮光性が十分でないため、ベースフィルム25から漏れ出す光が光学シート(拡散シート17、プリズムシート18、19)に入り込んでしまう。この結果、このLEDバックライトには輝度ムラを充分に抑え込めないという課題があ
る。
【0009】
またFPC21はベースフィルム25の一部分を延出させているように異形である。このため図3に示したようなLEDバックライトには製造しにくいという課題があるうえ、導光板11や光学シートの形状を変更したときFPC21自体の変更が必要となるため、設計変更に対し柔軟に対応できないという課題もある。
【0010】
そこで本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、導光板の斜面から漏れ出す光による輝度ムラを充分に抑え込みながら、製造しやすく設計変更に柔軟に対応できるLEDバックライトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため本発明のLEDバックライトは、LEDと、入光端面と出射面を有し前記入光端面と前記出射面の間に斜面が設けられた導光板と、前記導光板の前記出射面に積層する光学シートとを備えるサイドライト方式のLEDバックライトにおいて、前記LEDが取り付けられるFPCと、前記FPCに貼り付けられるとともに一部分がFPCから延出するテープと、前記テープの延出した部分に一端が貼り付けられた遮光シートと、前記LED、前記斜面及び前記出射面の一部を覆うリムシートとを備え、前記光学シートは、最下層に拡散シートを含み、前記遮光シートは前記斜面を覆い、前記斜面と前記出射面が交わる部分の近傍であって、前記出射面上において他端が前記導光板と前記拡散シートの間に挟み込まれ、前記他端は、前記リムシートに覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のLEDバックライトは、遮光性能を高くできる遮光シートにより導光板の斜面から漏れ出そうとする光を遮光できるため、導光板の斜面から漏れ出した光が光学シートの端面から光学シートに入射することにより発生する輝度ムラを充分に抑え込める。またFPCは、ベースフィルムだけ延出させるような異形処理を行う必要がないため製造しやすい。さらに導光板や光学シートの形状が変わってもテープや遮光シートの形状を変更すれば設計変更に幅広く対応でき、再設計の負荷が軽減される。
【0013】
以上のように本発明のLEDバックライトは、導光板の斜面から漏れ出す光による輝度ムラを充分に抑え込みながら、製造しやすく設計変更に柔軟に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態として示すLEDバックライトの外観図。
図2図1に示すLEDバックライトの断面図。
図3】従来例として示したLEDバックライトの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図1、2を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また説明のため部材の縮尺は適宜変更している。
【0016】
まず図1により本実施形態のLEDバックライト30の外観について説明する。図1はLEDバックライト30の外観図であり、(a)が平面図、(b)が側面図である。
【0017】
図1(a)で示すようにLEDバックライト30を上面から眺めると、枠状のリムシート31及びリムシート31に取り囲まれた光出射部32が観察される。リムシート31は左辺が太くなっており、その下部にはLED50(図2参照)や導光板41(図2参照)の入光端面44(図2参照)や斜面45(図2参照)がある。光出射部32は、導光板41や拡散シート47(図2参照)を含み、紙面の垂直方向に光を出射する。また図1(b)で示すようにLEDバックライト30を側面から眺めると、反射シート36上にフレー
ム34とリムシート31が積層している様子が観察される。フレーム34は、枠状の部材であり、その内側にLED50や導光板41、拡散シート47などを収納し、上下にリムシート31と反射シート36が貼り付けてある。
【0018】
次に図2によりLEDバックライト30の積層構造を詳細に説明する。図2は、図1のAA線に沿って描いたLEDバックライト30の断面図である。図2に示すLEDバックライト30において導光板41は、入光端面44、出射面42、出射面42と対向する他方の主面43、斜面45を備えており、入光端面44の近傍から出射面42に向かって薄くなっている。導光板41上には拡散シート47及びプリズムシート48、49が積層している。
【0019】
LED50はFPC51(フレキシブルプリント基板)の下面に取り付けられ、その発光面50aが入光端面44に対向している。FPC51の上面に貼り付けられたテープ52は、FPC51から図の右方向に延出しており、この延出部に遮光シート53の一端が貼り付いている。遮光シート53は導光板41の斜面45を覆い、他端が導光板41と拡散シート47の間に挟み込まれている。なお図3では拡散シート47と導光板41の出射面42の間に隙間があるように描いているが、実際の拡散シート47は導光板41と接触するように重なっており、遮光シート53と重なる部分で変形している。この変形はプリズムシート48、49も同様である。
【0020】
その他、導光板41の下面である主面43には反射シート36が貼り付いている。テープ52の上面とプリズムシート49の上面の一部にはリムシート31が貼り付いている。図1に示した光出射部32は、前述のようにリムシート31の開口部であり、反射シート36上に導光板41、拡散シート47、プリズムシート48、49が積層している。なお図2ではフレーム34(図1参照)は図示していない。
【0021】
導光板41は PET(ポリエチレンテレフタレート)からなり、入光端面44近傍の厚さが400μm、出射面42の厚さが300μm、斜面45の長さが1.5mmである。LED50は、リードフレーム又はサブマウウント基板等にLEDダイを実装し蛍光樹脂で被覆したパッケージ品であり、導光板41方向にのみ光を出射させるための反射部材を備え、厚さが0.4mmで紙面に垂直な方向に複数配置される。FPC51はポリイミドシートにCu配線を形成したフレキシブルプリント基板であり、厚さが70〜90μmで可撓性があり、図示していない電力供給部を有し、この電力供給部により外部から電力の供給を受ける。
【0022】
拡散シート47は、PETからなり、厚さが30〜40μmである。プリズムシート48、49は、基材がPETであり、アクリル樹脂からなるマイクロプリズムアレイを備え、厚みが60〜70μmである。プリズムシート48、49はそれぞれのマイクロプリズムの稜線が直交しており、紙面に垂直な方向と紙面に平行な方向の視角特性を調整している。
【0023】
テープ52は、黒色のPETからなり厚さが20μmで片面に粘着材がついている。遮光シート53も黒色のPETからなり厚さが80μmである。反射シート36もPETからなり、厚さが60〜70μmである。リムシート31は、上下の面が黒色のいわゆる両面テープであり、基材がPET、厚さが30μmである。なおLEDバックライト30を液晶表示装置等の製品に組み込むまでは、リムシート31の上面に図示していないセパレータが取り付けられている。
【0024】
LEDバックライト30は、斜面45を遮光シート53が覆い、斜面45から漏れ出そうとする光を遮っているので、拡散シート47とプリズムシート48、49の側端面から
光が入せず、拡散シート47とプリズムシート48、49等の光学シートの側端面から入射する光により生ずるホットスポット等の輝度ムラが生じない。
【0025】
LEDバックライト30に含まれるテープ52及び遮光シート53は、黒色であるため遮光性を高めることができる。反対にテープ52又は遮光シート53を銀色とし反射特性を持たせれば、LEDバックライト30の発光効率を向上させることができる。またFPC51は高価であり厚みの変更も容易でないなかで、比較的安価で様々な厚みを準備できるテープ52や遮光シート53は、LEDバックライト30の設計変更があってもこれら自身の形状や厚みだけの変更により柔軟に対応できることが多い。
【符号の説明】
【0026】
30…LEDバックライト、
31…リムシート、
32…光出射部、
34…フレーム、
36…反射シート、
41…導光板、
42…出射面、
43…主面、
44…入光端面、
45…斜面、
47…拡散シート、
48、49…プリズムシート、
50…LED、
50a…発光面、
51…FPC(フレキシブルプリント基板)、
52…テープ、
53…遮光シート。
図1
図2
図3