(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示の技術は実施形態に限定されるものではなく、実施形態における種々の数値などは例示である。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示のコンパレータ回路、コンパレータ回路の制御方法、A/D変換回路、及び、表示装置、全般に関する説明
2.実施例1(コンパレータ回路の例1)
3.実施例2(コンパレータ回路の例2)
4.実施例3(コンパレータ回路の例3)
5.実施例4(コンパレータ回路の例4)
6.実施例5(コンパレータ回路の例5)
7.実施例6(表示装置の例)
8.実施例7(列並列A/D変換方式の固体撮像装置の例)
【0014】
<本開示のコンパレータ回路、コンパレータ回路の制御方法、A/D変換回路、及び、表示装置、全般に関する説明>
本開示の技術が適用されるコンパレータ回路としては、どのような型式のコンパレータ回路であってもよい。一例として、2つの入力信号の差分を検出する差動回路部を有するチョッパ型のコンパレータ回路や差動型のコンパレータ回路を例示することができる。
【0015】
本開示の技術が適用されるコンパレータ回路について、入力段にコンパレータ回路が設けられるA/D変換回路において、当該コンパレータ回路として用いる構成とすることができる。当該コンパレータ回路を用いるA/D変換回路は、例えば、列並列A/D変換方式の固体撮像装置におけるA/D変換回路として用いることができる。
【0016】
上述した好ましい構成を含む本開示のコンパレータ回路、A/D変換回路、及び、表示装置にあっては、電流供給部について、差動回路部に対して、第1の電流と、当該第1の電流よりも小さい第2の電流とを選択的に供給可能な構成とすることができる。また、制御部について、電流供給部に対して、差動回路部が待機状態にあるときに第2の電流を供給し、差動回路部が待機状態から動作状態に移行する直前に第2の電流の供給から第1の電流の供給に切り替える制御を行う構成とすることができる。
【0017】
また、上述した好ましい構成を含む本開示のコンパレータ回路、A/D変換回路、及び、表示装置にあっては、差動回路部について、2つの入力信号の差に応じた信号を出力する差動アンプ、及び、差動アンプの出力信号を入力とする第1のアンプを含む構成とすることができる。このとき、制御部について、差動アンプの出力信号を入力とする第2のアンプを含み、第2のアンプの出力信号に応じて電流供給部に対する第1の電流と第2の電流との切り替え制御を行う構成とすることができる。第2のアンプは、第1のアンプよりも小さい閾値電圧を有する。
【0018】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示のコンパレータ回路、A/D変換回路、及び、表示装置にあっては、電流供給部について、第1の電流を供給する第1の電流源、電流制限部、及び、電流制限部の入出力端間を選択的に短絡するスイッチ回路を有する構成とすることができる。電流制限部は、第1の電流源から供給される第1の電流を制限して第2の電流とする。このとき、制御部について、スイッチ回路に対して、差動回路部が待機状態にあるときにオフ状態にし、差動回路部が待機状態から動作状態に移行する直前にオン状態にする制御を行う構成とすることができる。
【0019】
また、上述した好ましい構成を含む本開示のコンパレータ回路、A/D変換回路、及び、表示装置にあっては、第1の電流源について、第1の電流に対応したチャネル長の第1の電流源トランジスタから成る構成とすることができる。このとき、電流制限部について、チャネル長が第1の電流源トランジスタよりも大きく、第1の電流源トランジスタに対して直列に接続されるとともに、スイッチ回路に対して並列に接続された第2の電流源トランジスタから成る構成とすることができる。
【0020】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示のコンパレータ回路、A/D変換回路、及び、表示装置にあっては、第1の電流源について、第1の電流に対応した第1のバイアス電圧がゲート電極に印加された第1の電流源トランジスタから成る構成とすることができる。このとき、電流制限部について、第1の電流源トランジスタから供給される第1の電流を第2の電流に絞る第2のバイアス電圧がゲート電極に印加され、第1の電流源トランジスタに対して直列に接続されるとともに、スイッチ回路に対して並列に接続された第3の電流源トランジスタから成る構成とすることができる。
【0021】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示のコンパレータ回路、A/D変換回路、及び、表示装置にあっては、電流供給部について、第2の電流を供給する第2の電流源、及び、第2の電流と加算されて第1の電流となる第3の電流を供給する第3の電流源を有する構成とすることができる。このとき、制御部について、第3の電流源に対して、差動回路部が待機状態にあるときに非活性状態にし、差動回路部が待機状態から動作状態に移行する直前に活性状態にする制御を行う構成とすることができる。
【0022】
また、上述した好ましい構成を含む本開示のコンパレータ回路、A/D変換回路、及び、表示装置にあっては、第2の電流源について、第2の電流に対応した第3のバイアス電圧がゲート電極に印加された第4の電流源トランジスタから成る構成とすることができる。このとき、第3の電流源について、第4の電流源トランジスタに対して並列に接続され、導通状態のときに第3の電流を出力する第5の電流源トランジスタから成る構成とすることができる。
【0023】
また、上述した好ましい構成を含む本開示のコンパレータ回路、A/D変換回路、及び、表示装置にあっては、第2の電流源について、差動回路部が待機状態にある一定期間において、差動回路部への電流の供給を選択的に遮断する機能を有する構成とすることができる。また、差動回路部について、2つの入力信号の差に応じた信号を出力する差動アンプを有し、第2の電流源について、差動回路部が待機状態にある一定期間に、制御波形に応じてオフ状態となって差動アンプへの電流の供給を遮断する第1のスイッチ回路を有する構成とすることができる。また、第2の電流源について、オン/オフ動作することで、差動回路部の出力電圧を安定化する作用を為す第2のスイッチ回路を有する構成とすることができる。
【0024】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示のコンパレータ回路、A/D変換回路、及び、表示装置にあっては、制御部について、第3のアンプを含み、第2のアンプの出力信号及び第3のアンプの出力信号に応じて電流供給部に対する第1の電流と第2の電流との切り替え制御を行う構成とすることができる。第3のアンプは、差動アンプの出力信号を入力とする、第1のアンプよりも大きい閾値電圧を有する。
【0025】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示のコンパレータ回路、A/D変換回路、及び、表示装置にあっては、2つの入力信号の一方が、映像信号の信号電圧であり、2つの入力信号の他方が、鋸波形の電圧変化を有する制御波形である構成とすることができる。
【0026】
上述した好ましい構成を含む本開示の表示装置にあっては、複数の画素が第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列されている。この画素の配列において、第1の方向に沿って配列された画素群を『列方向画素群』と呼ぶ場合があるし、第2の方向に沿って配列された画素群を『行方向画素群』と呼ぶ場合がある。第1の方向を表示装置における垂直方向とし、第2の方向を表示装置における水平方向とした場合、列方向画素群とは垂直方向に配列された画素群を意味し、行方向画素群とは水平方向に配列された画素群を意味する。
【0027】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の表示装置にあっては、複数の画素について、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列され、画素群について第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割された構成とすることができる。そして、第1番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部から、第P番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部まで、画素ブロック毎に、順次、一斉に発光させ、且つ、一部の画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させているとき、残りの画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させない形態とすることができる。
【0028】
あるいは又、上述した好ましい構成を含む本開示の表示装置にあっては、複数の制御波形に基づき、発光部が、複数回、発光する構成とすることができる。そして、この場合、複数の制御波形の時間間隔は一定であることが好ましい。また、1表示フレーム内における制御波形の数よりも、1表示フレーム内における駆動回路に供給される制御波形の数は少ない形態とすることができる。この形態は、1表示フレームにおいて一連の複数の制御波形を生成し、一の画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させないとき、一連の複数の制御波形の一部をマスクして、一の画素ブロックに属する画素を構成する駆動回路には制御波形を供給しないことで達成することができる。
【0029】
更には、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本開示の表示装置において、発光部は発光ダイオード(LED)から構成されている形態とすることができる。発光ダイオードは、周知の構成、構造の発光ダイオードとすることができる。即ち、発光ダイオードの発光色に依って、最適な構成、構造を有し、適切な材料から作製された発光ダイオードを選択すればよい。発光ダイオードを発光部とする表示装置にあっては、赤色発光ダイオードから成る発光部が赤色発光副画素(サブピクセル)として機能し、緑色発光ダイオードから成る発光部が緑色発光副画素として機能し、青色発光ダイオードから成る発光部が青色発光副画素として機能し、これらの3種類の副画素によって1画素が構成され、これらの3種類の副画素の発光状態によってカラー画像を表示することができる。
【0030】
尚、本開示における『1画素』は、このような表示装置における「1副画素」に相当するので、このような表示装置における「1副画素」を、『1画素』と読み替えればよい。3種類の副画素によって1画素を構成する場合、3種類の副画素の配列として、デルタ配列、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、レクタングル配列を挙げることができる。そして、発光ダイオードを、PWM駆動法に基づき、しかも、定電流駆動することで、発光ダイオードのスペクトル波長にブルーシフトが生じることを防止することができる。また、3つのパネルを準備し、第1のパネルを赤色発光ダイオードから成る発光部から構成し、第2のパネルを緑色発光ダイオードから成る発光部から構成し、第3のパネルを青色発光ダイオードから成る発光部から構成し、これらの3つのパネルからの光を、例えば、ダイクロイック・プリズムを用いて纏めるプロジェクタへ適用することもできる。
【実施例1】
【0031】
図1は、本開示の実施例1に係るコンパレータ回路の構成を示す回路図である。
図1に示すように、実施例1に係るコンパレータ回路10Aは、2つの回路入力端子IN
1,IN
2及び1つの回路出力端子OUTに加えて、差動回路部11、電流供給部12、及び、制御部13を有する構成となっている。
【0032】
差動回路部11は、2つの回路入力端子IN
1,IN
2に入力される2つの入力信号の差分を検出する。ここで、一方の回路入力端子IN
1には、比較対象の信号である、例えば、映像信号の信号電圧V
Sigが入力される。他方の回路入力端子IN
2には、比較基準の信号である、例えば、鋸波形の電圧変化を有する制御波形V
Sawが入力される。制御波形V
Sawは、コンパレータ回路の比較出力期間内において、例えば、最大レベルから所定の傾斜角度で下降し、最小レベルに達した後、同じ傾斜角度で上昇する鋸波形である。
【0033】
電流供給部12は、差動回路部11に対して第1の電流と、当該第1の電流よりも小さい第2の電流とを選択的に供給可能な構成となっている。ここで、第1の電流は、差動回路部11を動作状態(アクティブ状態)にするための駆動電流(動作電流)I
Drvである。また、第2の電流は、差動回路部11に対して待機状態(スタンバイ状態)のときに供給する待機電流(スタンバイ電流)I
Stbyである。待機電流I
Stbyは、差動回路部11が待機状態(待機モード)から動作状態(動作モード)に移行する際に、即ち、待機モードからの復帰の際に、セトリング不足が生じないようにできる程度の電流である。
【0034】
制御部13は、差動回路部11の動作タイミングを検出する。ここで言う差動回路部11の動作タイミングとは、差動回路部11が待機状態(待機モード)から動作状態(動作モード)に移行するタイミング(即ち、
動作状態に入るタイミング)や、差動回路部11が待機状態から動作状態に移行する直前のタイミングや、動作状態から待機状態に移行するタイミングなどである。
【0035】
制御部13は、差動回路部11の動作タイミングを検出したら、その検出結果に応じて電流供給部12が差動回路部11に対して供給する電流を制御する。具体的には、制御部13は、電流供給部12に対して、差動回路部11が待機状態にあるときに第2の電流、即ち、待機電流I
Stbyを供給する制御を行う。制御部13は更に、電流供給部12に対して、差動回路部11が待機状態から動作状態に移行する直前のタイミングで、待機電流I
Stbyの供給から第1の電流、即ち、駆動電流I
Drvの供給に切り替える制御を行う。
【0036】
図2は、実施例1に係るコンパレータ回路10Aの回路動作の説明に供するタイミング波形図である。
図2には、制御波形V
Saw、信号電圧V
Sig、ノードAの電位V
A、ノードBの電位V
B、及び、差動回路部11の出力電圧V
Outの各波形と、差動回路部11の消費電流の推移を示している。ここで、ノードAは差動回路部11の出力ノードであり、ノードBは制御部13の出力ノードである。後述する各実施例においても同様である。
【0037】
差動回路部11は、制御波形V
Sawが信号電圧V
Sigを横切るタイミング(本例では、下回るタイミング)から、制御波形V
Sawが信号電圧V
Sigを再び横切るタイミング(本例では、上回るタイミング)までの期間が動作モードとなる。この動作モードで比較動作が実行され、低レベル(例えば、GNDレベル)の出力電圧V
Outが回路出力端子OUTから出力される。
【0038】
一方、差動回路部11の待機モードでは、電流供給部12から差動回路部11に対して待機電流I
Stby、即ち、差動回路部11が待機モードから動作モードに移行する際に、セトリング不足が生じないようにするための電流が供給された状態にある。待機電流I
Stbyは、駆動電流I
Drvよりも小さい電流、より具体的には、セトリング不足が生じないようにできる程度に小さい電流である。従って、差動回路部11における待機モードでの消費電力を、動作モードでの消費電力よりも低く抑えることができる。また、動作モードに移行する前に、差動回路部11に待機電流I
Stbyが流れていることで、動作モードへの移行の際に、セトリング不足が生じることもない。
【0039】
差動回路部11の出力ノードであるノードAの電位V
Aは、制御波形V
Sawの鋸波形の電圧変化に対応して変化する。このノードAの電位V
Aを制御部13が監視する。そして、制御部13は、ノードAの電位V
Aが所定のレベルを超えるタイミングを検出する。この所定のレベルは、差動回路部11が待機状態から動作状態に移行する直前のタイミングを検出可能なレベル、本例では、GND(接地)+αのレベルに設定される。ここで、後述する実施例2のように、差動回路部11の出力段にアンプ(第1のアンプ112に相当)を配置する構成を採る場合は、当該アンプの閾値電圧をV
th1とすると、αは、GND<GND+α<V
th1の条件を満足する値に設定される。
【0040】
ノードAの電位V
AがGND+αのレベルを超えると、制御部13の出力ノードであるノードBの電位V
Bが電源電位V
DDからGNDレベルに遷移する。このノードBの電位V
Bの遷移を受けて、電流供給部12は、差動回路部11に対して供給する電流を、待機電流I
Stbyから駆動電流I
Drvに切り替える。これにより、セトリング不足を生じることなく、待機モードから動作モードへ移行できるとともに、当該動作モードにおいて駆動電流I
Drvによる駆動の下に、比較動作を確実に行うことが可能になる。
【0041】
上述したように、実施例1に係るコンパレータ回路10Aにあっては、外部からの指令(制御信号)に基づいて電流の制御を行うのではなく、内蔵する制御部13の制御の下に、コンパレータ回路自身で差動回路部11の動作状態を把握して電流の制御を行う構成を採っている。すなわち、コンパレータ回路10Aは、外部から制御信号を受けて電流制御を行うのではなく、差動回路部11の動作状態に応じて電流制御を行う。
【0042】
これにより、差動回路部11の動作状態に合わせた、消費電力の最適化を図ることができるため、あらかじめ設定されたシーケンス通りに電流制御を行う場合よりも、コンパレータ回路の消費電力の低減が可能となる。また、差動回路部11の動作状態に応じて電流制御を行う制御部13を内蔵していることで、外部から制御信号を受けて電流制御を行う場合のような、制御信号を伝送するための配線が不要になる利点もある。
【0043】
この配線が不要になる利点については、特に、コンパレータ回路を複数設け、これら複数のコンパレータ回路を異なるタイミングで動作させるようなシステム構成を採る場合に有効に作用する。具体的には、外部の制御部から制御信号を受けて電流制御を行う場合には、複数のコンパレータ回路毎に制御部、及び、外部から制御信号を伝送する配線が必要になるが、制御部13を内蔵する構成となっていることでその必要がないため、システム全体として、ロジック回路やアナログ回路への配線数を削減できる。
【実施例2】
【0044】
図3は、本開示の実施例2に係るコンパレータ回路の構成を示す回路図である。また、
図4は、実施例2に係るコンパレータ回路の回路動作の説明に供するタイミング波形図であり、制御波形V
Saw、信号電圧V
Sig、ノードAの電位V
A、ノードBの電位V
B、及び、出力電圧V
Outの各波形と、差動アンプ111の消費電流の推移を示している。
【0045】
実施例2に係るコンパレータ回路10Bは、差動回路部11、電流供給部12、及び、制御部13を有し、一方の回路入力端子IN
1に映像信号の信号電圧V
Sigが入力され、他方の回路入力端子IN
2に制御波形V
Sawが入力される点で、実施例1に係るコンパレータ回路10Aと同じである。
【0046】
実施例2に係るコンパレータ回路10Bにおいて、差動回路部11は、2つの入力信号、即ち、信号電圧V
Sigと制御波形V
Sawとの差に応じた信号を出力する差動アンプ111と、差動アンプ111の出力信号を入力とするアンプ(第1のアンプ)112とから成る構成となっている。アンプ112は、差動アンプ111の出力信号が閾値電圧V
th1を超えると、低レベルの出力電圧V
Outを、本コンパレータ回路10Bの比較結果として出力する。
【0047】
電流供給部12は、第1の電流源121、電流制限部122、及び、スイッチ回路123を有する構成となっている。第1の電流源121は、第1の電流である駆動電流I
Drvを出力する。電流制限部122は、第1の電流源121から供給される駆動電流I
Drvを第2の電流である待機電流I
Stbyに制限する(絞る)。スイッチ回路123は、電流制限部122の入出力端間を選択的に短絡する。
【0048】
この電流供給部12において、スイッチ回路123がオン(閉)状態にあるときは、当該スイッチ回路123によって電流制限部122の入出力端間が短絡されるため、第1の電流源121から出力される駆動電流I
Drvがそのまま差動アンプ111に供給される。また、スイッチ回路123がオフ(開)状態にあるときは、駆動電流I
Drvが電流制限部122で電流制限される(電流が絞られる)ことによって得られる待機電流I
Stbyが差動アンプ111に供給される。
【0049】
制御部13は、差動アンプ111の出力信号を入力とするアンプ(第2のアンプ)131から構成されている。制御部13のアンプ131は、差動回路部11のアンプ112の閾値電圧V
th1よりも小さい閾値電圧V
th2(V
th1>V
th2)を有し、差動アンプ111の出力信号が閾値電圧V
th2を超えると、低レベル(例えば、GNDレベル)の信号を出力する。この出力信号は、電流供給部12に対して駆動電流I
Drvと待機電流I
Stbyとの切り替え制御を行う電流切替え制御信号として供給される。
【0050】
ここで、差動アンプ111の出力信号(ノードAの電位V
A)が閾値電圧V
th2を超えるタイミングは、差動回路部11、即ち、差動アンプ111が待機状態から動作状態に移行する直前のタイミングである。従って、制御部13は、スイッチ回路123に対して、電流切替え制御信号による制御の下に、差動アンプ111が待機状態にあるときにオフ状態にし、差動アンプ111が待機状態から動作状態に移行する直前にオン状態にする切り替え制御を行うことになる。
【0051】
図5に、実施例2に係るコンパレータ回路10Bにおける電流供給部12の具体的な回路構成例を示す。
【0052】
(回路例1に係る電流供給部)
図5Aは、回路例1に係る電流供給部12Aの回路構成を示す回路図である。回路例1に係る電流供給部12Aにあっては、第1の電流源121は、第1の電流源トランジスタ、例えば、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
11から成る。このPチャネル型電界効果トランジスタTR
11では、チャネル長L、チャネル幅W、ゲート電極に印加されるバイアス電圧VBなどに基づいて駆動電流I
Drvが決定される。
【0053】
電流制限部122は、チャネル長LがPチャネル型電界効果トランジスタTR
11よりも大きく、当該電界効果トランジスタTR
11に対して直列に接続された第2の電流源トランジスタ、例えば、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
12から成る。Pチャネル型電界効果トランジスタTR
12のゲート電極には、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
11と同じバイアス電圧VBが印加されている。ここで、電界効果トランジスタにあっては、チャネル長とチャネル幅の比(W/L)が大きいほどの電流駆動能力が大きくなることが知られている。
【0054】
従って、バイアス電圧VB及びチャネル幅Wを同じとした場合、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
12のチャネル長LをPチャネル型電界効果トランジスタTR
11よりも大きくすることで、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
12の電流駆動能力がPチャネル型電界効果トランジスタTR
11よりも小さくなる。これにより、第1の電流源121から出力される駆動電流I
Drvを、電流制限部122において、待機電流I
Stbyに制限する(絞る)ことができる。
【0055】
電流制限部122の入出力端間を選択的に短絡するスイッチ回路123は、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
12と並列に接続されたスイッチングトランジスタ、例えば、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
13から成る。このPチャネル型電界効果トランジスタTR
13は、制御部13から低レベルの電流切替え制御信号がゲート電極に印加されたときにオン(導通)状態となってPチャネル型電界効果トランジスタTR
12のソース−ドレイン間を短絡し、第1の電流源121から出力される駆動電流I
Drvを差動アンプ111に供給する。
【0056】
(回路例2に係る電流供給部)
図5Bは、回路例2に係る電流供給部12Bの回路構成を示す回路図である。回路例2に係る電流供給部12Bにあっても、回路例1に係る電流供給部12Aと同様に、第1の電流源121は、駆動電流I
Drvに対応した第1のバイアス電圧VBがゲート電極に印加された第1の電流源トランジスタ、例えば、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
11から成る。
【0057】
電流制限部122は、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
11から供給される駆動電流I
Drvを待機電流I
Stbyに制限する(絞る)第2のバイアス電圧VB’がゲート電極に印加され、電界効果トランジスタTR
11に対して直列に接続された第3の電流源トランジスタ、例えば、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
14から成る。スイッチ回路123についても、回路例1に係る電流供給部12Aと同様に、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
12と並列に接続されたスイッチングトランジスタ、例えば、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
13から成る。
【0058】
上記の構成の実施例2に係るコンパレータ回路10Bにあっても、実施例1に係るコンパレータ回路10Aと同様の作用、効果を奏することができる。すなわち、外部から制御信号を受けて電流制御を行うのではなく、差動回路部11の動作状態に応じて電流制御を行うことができることで、差動回路部11の動作状態に合わせて消費電力を最適化することができるため、コンパレータ回路の消費電力の低減が可能となる。また、外部から制御信号を受けて電流制御を行う場合のような、制御信号を伝送するための配線が不要になる利点もある。
【実施例3】
【0059】
図6は、本開示の実施例3に係るコンパレータ回路の構成を示す回路図である。また、
図7は、実施例3に係るコンパレータ回路の回路動作の説明に供するタイミング波形図であり、制御波形V
Saw、信号電圧V
Sig、ノードAの電位V
A、ノードBの電位V
B、及び、出力電圧V
Outの各波形と、差動アンプ111の消費電流の推移を示している。
【0060】
実施例3に係るコンパレータ回路10Cは、差動回路部11、電流供給部12、及び、制御部13を有し、一方の回路入力端子IN
1に映像信号の信号電圧V
Sigが入力され、他方の回路入力端子IN
2に制御波形V
Sawが入力される点で、実施例1に係るコンパレータ回路10Aと同じである。また、差動回路部11及び制御部13の構成については、実施例2に係るコンパレータ回路10Bと同じである。
【0061】
電流供給部12は、第2の電流源124と第3の電流源125との2つの電流源から成り、これらの電流源124,125が並列に接続された構成となっている。第2の電流源124は、第2の電流である待機電流I
Stbyを出力する。第3の電流源125は、待機電流I
Stbyと加算されて(加算されることによって)第1の電流、即ち、駆動電流I
Drvとなる第3の電流I
Drv’を出力する。
【0062】
実施例3に係るコンパレータ回路10Cにあっては、制御部13の出力信号は、電流供給部12の第3の電流源125に対して、当該電流源125の活性状態(オン状態)/非活性状態(オフ状態)の切り替え制御を行うオン/オフ制御信号として供給される。具体的には、制御部13は、電流供給部12に供給するオン/オフ制御信号によって、差動アンプ111が待機状態から動作状態に移行する直前に第3の電流源125を活性状態にし, 差動アンプ111が待機状態にあるときに第3の電流源125を非活性状態にする制御を行う。
【0063】
電流供給部12において、第3の電流源125が非活性状態にあるときには、第2の電流源124から出力される待機電流I
Stbyがそのまま差動アンプ111に供給される。第3の電流源125が活性状態にあるときには、第2の電流源124から出力される待機電流I
Stbyと、第3の電流源125から出力される第3の電流I
Drv’とが加算されて駆動電流I
Drvとして差動アンプ111に供給される。
【0064】
(回路例3に係る電流供給部)
図8は、実施例3に係るコンパレータ回路における電流供給部(回路例3に係る電流供給部)の回路構成例を示す回路図である。回路例3に係る電流供給部12Cにおいて、第2の電流源124は、待機電流I
Stbyに対応した第3のバイアス電圧VB’がゲート電極に印加された第4の電流源トランジスタ、例えば、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
15から成る。第3の電流源125は、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
15に対して並列に接続され、導通(オン)状態のときに第3の電流I
Drv’を出力する第5の電流源トランジスタ、例えば、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
16から成る。Pチャネル型電界効果トランジスタTR
16のゲート電極には、制御部13から出力されるオン/オフ切替え制御信号が与えられる。
【0065】
上記の構成の実施例3に係るコンパレータ回路10Cにあっても、実施例1に係るコンパレータ回路10Aと同様の作用、効果を奏することができる。すなわち、外部から制御信号を受けて電流制御を行うのではなく、差動回路部11の動作状態に応じて電流制御を行うことができることで、差動回路部11の動作状態に合わせて消費電力を最適化することができるため、コンパレータ回路の消費電力の低減が可能となる。また、外部から制御信号を受けて電流制御を行う場合のような、制御信号を伝送するための配線が不要になる利点もある。
【0066】
尚、回路例1乃至回路例3にあっては、第1の電流源121、電流制限部122、スイッチ回路123、第2の電流源
124、及び、第3の電流源125を、Pチャネル型電界効果トランジスタで構成するとしたが、これに限られるものではない。すなわち、第1の電流源121、電流制限部122、スイッチ回路123、第2の電流源
124、及び、第3の電流源125を、Nチャネル型電界効果トランジスタで構成することも可能であるし、Pチャネル型電界効果トランジスタとNチャネル型電界効果トランジスタとの組み合わせで構成することも可能である。
【実施例4】
【0067】
図9は、本開示の実施例4に係るコンパレータ回路の構成を示す回路図である。また、
図10は、実施例4に係るコンパレータ回路の回路動作の説明に供するタイミング波形図であり、制御波形V
Saw、信号電圧V
Sig、ノードAの電位V
A、ノードBの電位V
B、及び、出力電圧V
Outの各波形と、差動アンプ111の消費電流の推移を示している。
【0068】
実施例4に係るコンパレータ回路10Dは、差動回路部11、電流供給部12、及び、制御部13を有し、一方の回路入力端子IN
1に映像信号の信号電圧V
Sigが入力され、他方の回路入力端子IN
2に制御波形V
Sawが入力される点で、実施例1に係るコンパレータ回路10Aと同じである。
【0069】
また、差動回路部11及び制御部13の構成については、実施例3に係るコンパレータ回路10Cと同じである。電流供給部12は、待機電流I
Stbyを出力する第2の電流源124と、第3の電流I
Drv’を出力する第3の電流源125との2つの電流源から成り、これらの電流源124,125が並列に接続された構成となっている。また、制御部13は、電流供給部12に供給するオン/オフ切替え制御信号によって、差動アンプ111が待機状態から動作状態に移行する直前に第3の電流源125を活性状態にし、差動アンプ111が待機状態にあるときに第3の電流源125を非活性状態にする制御を行う構成となっている。
【0070】
そして、実施例4に係るコンパレータ回路10Dにあっては、第2の電流源124は、差動回路部11、より具体的には、差動アンプ111が待機状態(待機モード)にある一定期間T
0において、差動アンプ111への待機電流I
Stbyの供給を選択的に遮断する機能を有する。第2の電流源124における待機電流I
Stbyの選択的な遮断動作は、コンパレータ回路の比較出力期間内において、最大レベルと最小レベルとの間で所定の傾斜角度で下降/上昇を行う制御波形V
Sawに基づいて実行される。ここで、差動アンプ111が待機状態にある一定期間T
0は、制御波形V
Sawが、最大レベルよりも所定レベルだけ低い設定レベルV
0を基準とし、当該設定レベルV
0よりも大きい期間となる。
【0071】
差動アンプ111が待機状態にある一定期間T
0において、差動アンプ111への待機電流I
Stbyの供給が遮断されることで、当該一定期間T
0における差動アンプ111の消費電流は0となる。そして、差動アンプ111に待機電流I
Stbyが供給される期間は、一定期間T
0の終了後の僅かな期間T
1と、一定期間T
0の開始前の僅かな期間T
2となる。期間T
1は、一定期間T
0の終了から差動アンプ111の出力信号(ノードAの電位V
A)が閾値電圧V
th2を超えるまでの期間である。期間T
2は、差動アンプ111の出力信号が閾値電圧V
th2以下になってから一定期間T
0に入るまでの期間である。
【0072】
(実施例4に係るコンパレータ回路の具体的な回路構成)
図11は、実施例4に係るコンパレータ回路10Dの具体的な回路構成を示す回路図であり、
図11Aに回路例1に係る回路構成を示し、
図11Bに回路例2に係る回路構成を示す。
【0073】
(回路例1)
図11Aに示すように、差動アンプ111は、例えば、2つのPチャネル型電界効果トランジスタTR
21,TR
22と、2つのNチャネル型電界効果トランジスタTR
23,TR
24とから成る周知の差動アンプの構成となっている。2つのPチャネル型電界効果トランジスタTR
21,TR
22は、ソース電極が共通に接続されて差動動作を為す差動対トランジスタである。
【0074】
2つのNチャネル型電界効果トランジスタTR
23,TR
24は、能動負荷となるカレントミラー回路を構成している。具体的には、Nチャネル型電界効果トランジスタTR
23は、ドレイン電極及びゲート電極が共にPチャネル型電界効果トランジスタTR
21のドレイン電極に接続され、ソース電極が低電位側の電源GNDに接続されている。Nチャネル型電界効果トランジスタTR
24は、ゲート電極がNチャネル型電界効果トランジスタTR
23のゲート電極に接続され、ドレイン電極がPチャネル型電界効果トランジスタTR
22のドレイン電極に接続され、ソース電極が低電位側の電源GNDに接続されている。
【0075】
上記の構成の差動アンプ111において、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
21のゲート電極が一方の入力端となり、映像信号の信号電圧V
Sigを入力とする。また、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
22のゲート電極が他方の入力端となり、鋸波形の電圧変化を有する制御波形V
Sawを入力とする。そして、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
22のドレイン電極とNチャネル型電界効果トランジスタTR
24のドレイン電極との共通接続点(ノード)が差動アンプ111の出力端(ノードA)となる。
【0076】
第1のアンプ112は、電流源I
1及びNチャネル型電界効果トランジスタTR
25から成る構成となっている。電流源I
1と電界効果トランジスタTR
25とは、高電位側の電源V
DDと低電位側の電源GNDとの間に直列に接続されている。電界効果トランジスタTR
25のゲート電極は、差動アンプ111の出力端、即ち、ノードAに接続されている。そして、電流源I
1と電界効果トランジスタTR
25との共通接続点が、第1のアンプ112の出力端となり、本コンパレータ回路10Dの回路出力端子OUTに接続される。
【0077】
制御部13を構成する第2のアンプ131は、電流源I
2及びNチャネル型電界効果トランジスタTR
26から成る構成となっている。電流源I
2と電界効果トランジスタTR
26とは、高電位側の電源V
DDと低電位側の電源GNDとの間に直列に接続されている。電界効果トランジスタTR
26のゲート電極は、差動アンプ111の出力端、即ち、ノードAに接続されている。そして、電流源I
2と電界効果トランジスタTR
26との共通接続点が、第2のアンプ131の出力端(ノードB)となる。このノードBに導出される信号は、電流供給部12に対して駆動電流I
Drvと待機電流I
Stbyとの切り替え制御を行う電流切替え制御信号として供給される。
【0078】
(回路例2)
回路例2では、主に、電流供給部12の具体的な回路構成について説明する。但し、差動アンプ111、第1のアンプ112、及び、第2のアンプ131の構成の一部が回路例1と若干異なっている。
【0079】
差動アンプ111は、2つのPチャネル型電界効果トランジスタTR
21,TR
22、及び、2つのNチャネル型電界効果トランジスタTR
23,TR
24に加えて、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
27及びNチャネル型電界効果トランジスタTR
28を有する構成となっている。これら電界効果トランジスタTR
27,TR
28は、高電位側の電源V
DDと低電位側の電源GNDとの間に直列に接続されている。そして、電界効果トランジスタTR
27は、ゲート電極とドレイン電極とが共通に接続されたダイオード接続構成となっている。また、電界効果トランジスタTR
28は、電界効果トランジスタTR
23とゲート電極が共通に接続されている。尚、電界効果トランジスタTR
24は、ゲート電極とドレイン電極とが共通に接続されている。
【0080】
電流供給部12は、電流源トランジスタとして、互いに直列に接続された例えば3つのPチャネル型電界効果トランジスタTR
31,TR
32,TR
33を有する。これら電界効果トランジスタTR
31,TR
32,TR
33の各ゲート電極には、駆動電流I
Drvに対応したバイアス電圧VBが印加される。
【0081】
ここで、電界効果トランジスタTR
31は、駆動電流I
Drvを生成する電流源トランジスタであり、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
36と共に第3の電流源125を構成している。そして、電界効果トランジスタTR
36は、後述するスイッチ(第2のスイッチ回路)としての機能の他に、
図3の電流制限部122と同様の機能を有し、駆動電流I
Drvを第3の電流I
Drv’に制限する(絞る)。2つの電界効果トランジスタTR
32,TR
33は、駆動電流I
Drvを基に待機電流I
Stbyを生成する電流源トランジスタであり、第2の電流源124を構成している。すなわち、電界効果トランジスタTR
32,TR
33は、
図3の電流制限部122と同様の機能を有し、駆動電流I
Drvを待機電流I
Stbyに制限する(絞る)。
【0082】
第2の電流源124は、電流源トランジスタであるPチャネル型電界効果トランジスタTR
32,TR
33に加えて、2つのスイッチ回路、即ち、第1のスイッチ回路21及び第2のスイッチ回路22を有する構成となっている。第1のスイッチ回路21は、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
34から成り、制御波形V
Sawに応じてオン/オフ動作する。第2のスイッチ回路22は、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
35から成り、差動回路部11の出力電圧V
Outに応じてオン/オフ動作することで、後述するように、当該出力電圧V
Outを安定化する作用を為す。
尚、
図11Bの回路例では、第2のスイッチ回路22(電界効果トランジスタTR
35)について、第1のスイッチ回路21(電界効果トランジスタTR
34)に対して並列に配置した回路構成を採っているが、その配置位置はこれに限られるものではない。例えば、第2のスイッチ回路22を、電界効果トランジスタTR
32のソース電極側に配置したり、電界効果トランジスタTR
32と電界効果トランジスタTR
33との間に配置したりする回路構成を採ることも可能である。更には、第2のスイッチ回路22を、第3の電流源125に対して並列に接続した回路構成を採ることも可能である。
【0083】
第3の電流源125は、電流源トランジスタであるPチャネル型電界効果トランジスタTR
31に加えて、スイッチ回路23を有する構成となっている。スイッチ回路23は、先述した、駆動電流I
Drvを第3の電流I
Drv’に絞る機能を有するPチャネル型電界効果トランジスタTR
36から成る。電界効果トランジスタTR
36は、制御部13を構成する第2のアンプ131の出力信号(オン/オフ切替え制御信号)に応じてオン/オフ動作する。
【0084】
第1のアンプ112において、電流源I
1は、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
29から構成されている。電界効果トランジスタTR
29は、電界効果トランジスタTR
25に対して直列に接続され、そのゲート電極が電界効果トランジスタTR
27のゲート電極とドレイン電極との共通接続ノードに接続されている。第2のアンプ131において、電流源I
2は、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
30から構成されている。電界効果トランジスタTR
30は、電界効果トランジスタTR
26に対して直列に接続され、そのゲート電極が電界効果トランジスタTR
27のゲート電極とドレイン電極との共通接続ノードに接続されている。
【0085】
上記の構成の電流供給部12において、第2の電流源124の電界効果トランジスタTR
34は、制御波形V
Sawに応じて(制御波形V
Sawの高レベル区間で)、差動アンプ111が待機状態にある一定期間T
0にオフ状態となる。これにより、第2の電流源124から差動アンプ111への待機電流I
Stbyの供給が遮断(停止)される。ここで、一定期間T
0を決める、先述した設定レベルV
0(
図10参照)は、Pチャネル型電界効果トランジスタTR
34の閾値電圧に対応することになる。そして、差動アンプ111が待機状態にある一定期間T
0において、差動アンプ111への待機電流I
Stbyの供給が遮断されることで、当該一定期間T
0における差動アンプ111の消費電流は0となる。
【0086】
また、第2の電流源124の電界効果トランジスタTR
35は、差動アンプ111、第1のアンプ112、及び、第2のアンプ131の出力値を電源電位V
DDに固定するためのスイッチとして作用する。差動アンプ111への供給電流を0にすると、ノードA及びノードBの各電位、並びに、出力電圧V
Outが不定値に成り易いが、電界効果トランジスタTR
35から成る第2のスイッチ回路22の作用によってこれを解消することができる。具体的には、例えば出力電圧V
Outが不定になり、電源電位V
DDから下がってくると、電界効果トランジスタTR
35オン状態になる。すると、コンパレータ回路10Dが動作状態になり、V
Saw>V
Sigなら、出力電圧V
Outが電源電位V
DDになる。このようにして、電界効果トランジスタTR
35は、出力電圧V
Outが不定にならない状態にしている。出力電圧V
Out等が不定にならないので、差動アンプ111への供給電流を0にすることができる。
【0087】
また、第3の電流源125の電界効果トランジスタTR
36は、第2のアンプ131から供給されるオン/オフ切替え制御信号に応じて、第3の電流源125の活性状態/非活性状態の切り替えを行う。具体的には、電界効果トランジスタTR
36は、オン状態になることによって差動アンプ111への第3の電流I
Drv’の供給を開始する(即ち、第3の電流源125を活性状態にする)。また、電界効果トランジスタTR
36は、オフ状態になることによって差動アンプ111への第3の電流I
Drv’の供給を停止する(即ち、第3の電流源125を非活性状態にする)。
【0088】
上記の構成の実施例4に係るコンパレータ回路10Dにあっても、実施例1に係るコンパレータ回路10Aと同様の作用、効果を得ることができる。すなわち、外部から制御信号を受けて電流制御を行うのではなく、差動回路部11の動作状態に応じて電流制御を行うことができることで、差動回路部11の動作状態に合わせて消費電力を最適化することができるため、コンパレータ回路の消費電力の低減が可能となる。また、外部から制御信号を受けて電流制御を行う場合のような、制御信号を伝送するための配線が不要になる利点もある。
【0089】
実施例4に係るコンパレータ回路10Dにあっては更に、差動アンプ111が待機状態にある一定期間T
0に、差動アンプ111への待機電流I
Stbyの供給を遮断し、消費電流を0にすることができるため、先の各実施例よりも差動回路部11の消費電力、ひいては、コンパレータ回路の消費電力を低減できる。
【実施例5】
【0090】
図12は、本開示の実施例5に係るコンパレータ回路の構成を示す回路図である。また、
図13は、実施例5に係るコンパレータ回路の回路動作の説明に供するタイミング波形図であり、制御波形V
Saw、信号電圧V
Sig、ノードAの電位V
A、ノードBの電位V
B、ノードCの電位V
C、及び、出力電圧V
Outの各波形と、差動アンプ111の消費電流の推移を示している。
【0091】
実施例5に係るコンパレータ回路10Eは、差動回路部11、電流供給部12、及び、制御部13を有し、一方の回路入力端子IN
1に映像信号の信号電圧V
Sigが入力され、他方の回路入力端子IN
2に制御波形V
Sawが入力される点で、実施例1に係るコンパレータ回路10Aと同じである。また、差動回路部11の構成については、実施例2に係るコンパレータ回路10Bと同じである。
【0092】
電流供給部12は、第2の電流である待機電流I
Stbyを出力する第2の電流源124、及び、第3の電流I
Drv’を出力する第3の電流源125に加えて、第3の電流源125のオン/オフ制御を行うオン/オフ制御部126を有する構成となっている。オン/オフ制御部126は、制御部13から与えられる制御信号に基づいて、第3の電流源125のオン(活性)/オフ(非活性)の制御を行う。
【0093】
制御部13は、差動アンプ111の出力信号を入力とする2つのアンプ(第2のアンプ及び第3のアンプ)131,132から構成されている。アンプ131が差動回路部11のアンプ(第1のアンプ)112の閾値電圧V
th1よりも小さい閾値電圧V
th2(V
th1>V
th2)を有するのに対して、アンプ132は閾値電圧V
th1よりも大きい閾値電圧V
th3(V
th1<V
th3)を有している。
【0094】
第2のアンプ131は、差動アンプ111のノードAの電位V
Aが閾値電圧V
th2を超えることで、低レベル(例えば、GNDレベル)の制御信号を出力する。第3のアンプ132は、差動アンプ111のノードAの電位V
Aが閾値電圧V
th2を超えることで、低レベル(例えば、GNDレベル)の制御信号を出力する。第2のアンプ131及び第3のアンプ132の各制御信号は、電流供給部12に対して第3の電流源125のオン/オフの制御を行うオン/オフ制御信号として供給される。
【0095】
ここで、第2のアンプ131から低レベルの制御信号が出力される期間は、差動アンプ111が待機状態から動作状態に移行する直前のタイミングから、差動アンプ111が動作状態から待機状態に移行した直後のタイミングまでの期間である。また、第3のアンプ132から低レベルの制御信号が出力される期間は、制御波形V
Sawが信号電圧V
Sigを超えた(本例では、下回った)直後のタイミングから、制御波形V
Sawが再び信号電圧V
Sigを超える(本例では、上回る)直前のタイミングまでの期間である。
【0096】
これら第2のアンプ131及び第3のアンプ132の各制御信号を受けて、電流供給部12のオン/オフ制御部126は、第3の電流源125を以下のようにオン/オフ制御する。先ず、差動アンプ111が待機状態にあるときに第3の電流源125をオフ状態にする。これにより、差動アンプ111が待機状態にあるときには当該差動アンプ111に対して、第2の電流源124から出力される待機電流I
Stbyがそのまま供給される。
【0097】
次に、差動アンプ111が待機状態から動作状態に移行する直前のタイミングで、第2のアンプ131から出力される制御信号に応答して、第3の電流源125をオン状態にする。これにより、第2の電流源124から出力される待機電流I
Stbyと、第3の電流源125から出力される第3の電流I
Drv’とが加算されて駆動電流I
Drvとして差動アンプ111に供給される。
【0098】
次に、制御波形V
Sawが信号電圧V
Sigを超えた(本例では、制御波形V
Sawが信号電圧V
Sigを下回った)直後のタイミングで、第3のアンプ132から出力される制御信号に応答して第3の電流源125をオフ状態にする。これにより、制御波形V
Sawが信号電圧V
Sigを超えた直後から差動アンプ111に対して、第2の電流源124から出力される待機電流I
Stbyが供給される。
【0099】
次いで、制御波形V
Sawが再び信号電圧V
Sigを超える(本例では、制御波形V
Sawが信号電圧V
Sigを上回る)直前のタイミングで、第3の電流源125をオン状態にする。これにより、第2の電流源124から出力される待機電流I
Stbyと、第3の電流源125から出力される第3の電流I
Drv’とが加算されて駆動電流I
Drvとして差動アンプ111に供給される。
【0100】
次に、差動アンプ111が動作状態から待機状態に移行した直後のタイミングで、第2のアンプ131から出力される制御信号に応答して、第3の電流源125をオフ状態にする。差動アンプ111が動作状態から待機状態に移行した直後から差動アンプ111に対して、第2の電流源124から出力される待機電流I
Stbyが供給される。
【0101】
上述したように、第2のアンプ131及び第3のアンプ132の各制御信号に基づく、オン/オフ制御部126による制御の下に、差動アンプ111に対してその比較動作の前後の僅かな期間でのみ、駆動電流I
Drvが供給され、それ以外の期間では待機電流I
Stbyが供給される制御が行われる。
【0102】
ここで、差動アンプ111の比較動作とは、制御波形V
Sawが信号電圧V
Sigを超えることを検出する動作、及び、制御波形V
Sawが再び信号電圧V
Sigを超えることを検出する動作である。また、比較動作の前後の僅かな期間とは、待機状態から動作状態に移行する直前から制御波形V
Sawが信号電圧V
Sigを超えた直後までの期間、及び、制御波形V
Sawが再び信号電圧V
Sigを超える直前から動作状態から待機状態に移行した直後までの期間である。
【0103】
上記の構成の実施例5に係るコンパレータ回路10Eにあっても、実施例1に係るコンパレータ回路10Aと同様の作用、効果を奏することができる。すなわち、外部から制御信号を受けて電流制御を行うのではなく、差動回路部11の動作状態に応じて電流制御を行うことができることで、差動回路部11の動作状態に合わせて消費電力を最適化することができるため、コンパレータ回路の消費電力の低減が可能となる。また、外部から制御信号を受けて電流制御を行う場合のような、制御信号を伝送するための配線が不要になる利点もある。
【0104】
実施例5に係るコンパレータ回路10Eにあっては更に、差動アンプ111に対して比較動作を行う前後の僅かな期間においてのみ駆動電流I
Drvを供給し、それ以外の期間では待機電流I
Stbyを供給することになる。従って、動作モードの期間全体に亘って駆動電流I
Drvを供給する場合よりも、差動回路部11の消費電力、ひいては、コンパレータ回路の消費電力を低減できる。
【0105】
本開示のコンパレータ回路の制御方法にあっては、上記の各実施例に係るコンパレータ回路10A〜10Eにおいて、その制御に当たって、差動回路部11の動作タイミングを検出し、その検出結果に応じて電流供給部12が差動回路部11に対して供給する電流を制御する。
【0106】
[変形例]
上記の各実施例では、電流供給部12を高電位側(例えば、
電源電位V
DD側)に設ける構成を例に挙げて説明したが、例えば実施例1を例に挙げると、
図14に示すように、電流供給部12を低電位側(例えば、GND側)に設ける構成を採ることも可能である(変形例に係るコンパレータ回路10F)。
【実施例6】
【0107】
実施例6に係る表示装置における発光部及び駆動回路から構成された画素等の概念図を
図15に示し、実施例6に係る表示装置を構成する回路の概念図を
図16に示す。尚、図面の簡略化のため、
図16には3×5個の画素を図示している。
【0108】
実施例6に係る表示装置は、発光部31、及び、発光部31を駆動する駆動回路32から構成された画素(より具体的には、副画素であり、以下においても同様である)30が、複数、2次元マトリクス状に配列されて成る。具体的には、複数の画素30は、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列されている。そして、画素群は第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割されている。実施例6に係る表示装置は更に、画素30を駆動するための周辺の駆動部として、電圧供給部101、走査回路102、制御波形生成回路103、及び、画像信号出力回路104を備えている。
【0109】
発光部31は、発光ダイオード(LED)から構成されており、アノード電極が電源部に接続されている。複数の画素30の各駆動回路32は、コンパレータ回路33、電流源34、及び、発光部駆動用トランジスタTR
Drvを備えている。発光部駆動用トランジスタTR
Drvは、例えば、Nチャネル型のトランジスタから成る。但し、Nチャネル型のトランジスタに限られるものではない。発光部駆動用トランジスタTR
Drvは、ドレイン電極が発光部31のカソード電極に接続され、ソース電極が電流源34を介して接地部(グランド)に接続されている。
【0110】
コンパレータ回路33には、鋸波形の電圧変化を有する制御波形(発光制御波形)V
Sawが制御波形生成回路103から制御波形線PSLを通して与えられるとともに、信号電圧(発光強度信号)V
Sigが画像信号出力回路104からデータ線DTLを通して与えられる。尚、信号電圧V
Sigは、具体的には、画素30における発光状態(輝度)を制御する映像信号電圧である。コンパレータ回路33は、制御波形V
Sawと信号電圧V
Sigに基づく電位とを比較し、比較結果に基づく所定電圧(便宜上、『第1の所定電圧』と呼ぶ)を出力する。
【0111】
電流源34には、電圧供給部101から基準電圧V
Ref及び基準電流I
Refが供給される。電流源34は、基準電圧V
Ref及び基準電流I
Refを基に電圧電流変換して定電流を生成する。発光部駆動用トランジスタTR
Drvは、コンパレータ回路33から出力される第1の所定電圧によって駆動されることで、発光部31に電流を供給し、発光部31を発光させる。即ち、発光部駆動用トランジスタTR
Drvは、コンパレータ回路33の出力に応じて発光部31に電流を供給する電流供給部を構成している。
【0112】
そして、コンパレータ回路33は、先述した実施例1〜実施例5に係るコンパレータ回路10A〜10E、あるいは、その変形例に係るコンパレータ回路10Fから成る。実施例6に係る表示装置は、各画素30がコンパレータ回路33を含む駆動回路32を有することで、信号電圧V
Sigに基づく電位に応じた時間だけ発光部31を発光させる、即ち、発光部31をPWM駆動する駆動法を採っている。このPWM駆動法によれば、発光部31の発光ばらつきを軽減できる利点がある。
【0113】
図17に、実施例6に係る表示装置において、1つの画素の動作を説明するための制御波形V
Saw等を示す模式図を示す。また、画素ブロックへの複数の制御波形V
Sawの供給を模式的に
図18に示す。
図18及び後述する
図19においては、制御波形V
Sawの鋸波形を、便宜上、三角形で示している。
【0114】
実施例6に係る表示装置は、発光部31、及び、発光部31を駆動する駆動回路32から構成された画素30が、複数、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列され、画素群は第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割されて成る表示装置である。そして、第1番目の画素ブロックに属する画素30を構成する発光部31から、第P番目の画素ブロックに属する画素30を構成する発光部31まで、画素ブロック毎に、順次、一斉に発光させ、且つ、一部の画素ブロックに属する画素30を構成する発光部31を発光させているとき、残りの画素ブロックに属する画素30を構成する発光部31を発光させない。
【0115】
例えば、画面の水平方向(第2の方向)の画素数が1920、画面の垂直方向(第1の方向)の画素数が1080であるフルHD高精細フルカラー表示装置を想定する。画素群は、第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割されている。ここで、一例として、P=6とする。すると、第1番目の画素ブロックには第1行目の画素群から第180行目の画素群が含まれ、第2番目の画素ブロックには第181行目の画素群から第360行目の画素群が含まれ、第3番目の画素ブロックには第361行目の画素群から第540行目の画素群が含まれ、第4番目の画素ブロックには第541行目の画素群から第720行目の画素群が含まれ、第5番目の画素ブロックには第721行目の画素群から第900行目の画素群が含まれ、第6番目の画素ブロックには第901行目の画素群から第1080行目の画素群が含まれる。
【0116】
以下、第1番目の画素ブロックにおける各画素の動作を説明する。
【0117】
[信号電圧書込み期間]
第1番目の画素ブロックにおいて、第2の方向に配列された1列に属する全ての画素(行方向画素群)における駆動回路32を一斉に作動状態とする。そして、第1番目の画素ブロックにおいて、第2の方向に配列された1列に属する全ての画素(行方向画素群)における駆動回路32が一斉に作動状態となる動作が、第1の方向に配列された第1行目に属する全ての画素(第1行目の行方向画素群)における駆動回路32から最終行(具体的には、第180行目)に属する全ての画素(最終行の行方向画素群)における駆動回路32まで、順次、行われる。
【0118】
[画素ブロック発光期間]
第1番目の画素ブロックにおいて、以上の動作が完了すると、制御波形生成回路103から、第1番目の画素ブロックに制御波形V
Sawが供給される。即ち、第1番目の画素ブロックにおける全画素30を構成する駆動回路32が一斉に作動状態となり、第1番目の画素ブロックに属する全画素30における発光部31が発光する。1つの制御波形V
Sawの電圧の絶対値は、時間の経過と共に減少(下降)し、次いで、増加(上昇)する。そして、時間の経過と共に変化する制御波形V
Sawの電圧によってガンマ補正がなされる。即ち、時間を変数とした制御波形V
Sawの電圧の変化率(微分値)の絶対値は、定数2.2に比例する。
【0119】
図17に示した例において、信号電圧書込み期間にあっては、制御波形V
Sawの電圧は、例えば、3ボルト以上である。従って、信号電圧書込み期間にあっては、コンパレータ回路33(10A〜10E)は、出力部から第2の所定電圧(低レベル)を出力するので、発光部駆動用トランジスタTR
Drvはオフ状態にある。画素ブロック発光期間において、制御波形V
Sawの電圧が下降し始め、制御波形V
Sawの鋸波形の電圧が信号電圧V
Sigに基づく電位に達すると、コンパレータ回路33(10A〜10E)は、出力部から第1の所定電圧(高レベル)を出力する。その結果、発光部駆動用トランジスタTR
Drvはオン状態となり、電源部から発光部31に電流が供給され、発光部31が発光する。
【0120】
制御波形V
Sawの電圧は約1ボルトまで下降し、次いで、上昇に転じる。そして、制御波形V
Sawの鋸波形の電圧と信号電圧V
Sigに基づく電位を超えると、コンパレータ回路33(10A〜10E)は、出力部から第2の所定電圧(低レベル)を出力する。その結果、発光部駆動用トランジスタTR
Drvはオフ状態となり、電源部から発光部31への電流の供給が遮断され、発光部31は発光を中止する(消光する)。即ち、信号電圧(発光強度信号)V
Sigに基づく電位が制御波形V
Sawの鋸波形を切り取る時間の間のみ、発光部31を発光させることができる。そして、このときの発光部31の輝度は、切り取られる時間の長短に依存する。
【0121】
即ち、発光部31が発光する時間は、例えば、画像信号出力回路104から与えられる信号電圧V
Sigと、制御波形生成回路103から与えられる制御波形V
Sawの電圧とに基づく。そして、時間の経過と共に変化する制御波形V
Sawの鋸波形の電圧によってガンマ補正がなされる。即ち、時間を変数とした制御波形V
Sawの電圧の変化率の絶対値は、定数2.2に比例するので、ガンマ補正のための回路を設けることは不要である。例えば、線形の鋸波形の電圧(三角波形)を有する制御波形V
Sawを用い、信号電圧V
Sigを線形の輝度信号に対して2.2乗で変化させる方法も考えられるが、実際には低輝度で電圧変化が小さくなり過ぎ、特に、このような電圧変化をデジタル処理にて実現するためには、大きなビット数が必要とされ、有効な方法とは云えない。
【0122】
実施例6に係る表示装置にあっては、制御波形生成回路103が1つ備えられている。制御波形V
Sawの電圧の変化は、
図17に模式的に示すように、低階調部(低電圧部分)が非常に急峻に変化しており、特に、この部分の制御波形V
Sawの波形品位に対して敏感である。従って、制御波形生成回路103において生成された制御波形V
Sawのばらつきも考慮する必要がある。然るに、実施例6に係る表示装置にあっては、制御波形生成回路103を1つしか備えていないので、制御波形生成回路103において生成された制御波形V
Sawに、実質的に、ばらつきが生じることがない。即ち、表示装置全体を同一の制御波形V
Sawによって発光させることができるので、発光状態のばらつき発生を防止することができる。
【0123】
また、制御波形V
Sawの電圧の絶対値は、時間の経過と共に、減少し、次いで、増加するので、1つの画素ブロックに属する全画素(より具体的には、全副画素)を構成する発光部を、同じタイミングで発光させることができる。即ち、各画素ブロックに属する全画素を構成する発光部の発光の時間的重心を揃える(一致させる)ことができる。それ故、列方向画素群における発光の遅延に起因した、画像上の縦線(縦筋)発生を確実に防止することができる。
【0124】
実施例6に係る表示装置にあっては、複数の制御波形V
Sawに基づき、発光部31が、複数回、発光する。あるいは又、駆動回路32に供給される鋸波形の電圧変化を有する複数の制御波形V
Sawと、信号電圧V
Sigに基づく電位とに基づき、発光部31が、複数回、発光する。あるいは又、制御波形生成回路103にあっては、複数の制御波形V
Sawに基づき、発光部31を、複数回、発光させる。複数の制御波形V
Sawの時間間隔は一定である。具体的には、実施例6に係る表示装置にあっては、画素ブロック発光期間において、4つの制御波形V
Sawが、各画素ブロックを構成する全画素30に送られ、各画素30は、4回、発光する。
【0125】
図18に模式的に示すように、実施例6に係る表示装置にあっては、1表示フレームにおいて、12個の制御波形V
Sawが6つの画素ブロックへ供給される。そして、1表示フレーム内における制御波形V
Sawの数よりも、1表示フレーム内における駆動回路32に供給される制御波形V
Sawの数は少ない。あるいは又、制御波形生成回路103にあっては、1表示フレーム内における制御波形V
Sawの数よりも、1表示フレーム内における駆動回路32に供給される制御波形V
Sawの数は少ない。具体的には、
図18に示した例では、1表示フレーム内における制御波形V
Sawの数は12であり、1表示フレーム内における駆動回路32に供給される制御波形V
Sawの数は4である。隣接する画素ブロックにあっては、2つの制御波形V
Sawが重なりあっている。即ち、2つ隣接する画素ブロックが同時に発光状態となる。また、第1番目の画素ブロックと最終番目の画素ブロックにあっても同時に発光状態となる。このような形態は、1表示フレームにおいて一連の複数の制御波形V
Sawを生成し、一の画素ブロックに属する画素30を構成する発光部31を発光させないとき、一連の複数の制御波形V
Sawの一部をマスクして、一の画素ブロックに属する画素30を構成する駆動回路32には制御波形V
Sawを供給しないことで達成することができる。具体的には、例えば、マルチプレクサを用いて、1表示フレーム内における一連の制御波形V
Sawから一部分(4つの連続した制御波形V
Saw)を取り出し、駆動回路32に供給すればよい。
【0126】
即ち、実施例6の制御波形生成回路103は、画素30が、複数、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列され、画素群は第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割されて成る表示装置において、駆動回路32を制御するための、鋸波形の電圧変化を有する制御波形V
Sawを生成する制御波形生成回路である。そして、制御波形生成回路103は、第1番目の画素ブロックに属する画素30を構成する駆動回路32から、第P番目の画素ブロックに属する画素30を構成する駆動回路32まで、画素ブロック毎に、順次、一斉に制御波形V
Sawを供給し、且つ、一部の画素ブロックに属する画素30を構成する駆動回路32に制御波形V
Sawを供給しているとき、残りの画素ブロックに属する画素30を構成する駆動回路32に制御波形V
Sawを供給しない。ここで、制御波形生成回路103にあっては、1表示フレームにおいて一連の複数の制御波形V
Sawを生成し、一の画素ブロックに属する画素30を構成する発光部31を発光させないとき、一連の複数の制御波形V
Sawの一部をマスクして、一の画素ブロックに属する画素30を構成する駆動回路32には制御波形V
Sawを供給しない。
【0127】
より具体的には、
図20に概念図を示すように、制御波形生成回路103において、メモリ81に格納してある制御波形V
Sawの波形データをコントローラ82によって読み出し、読み出された波形データをD/Aコンバータ83に送る。そして、D/Aコンバータ83において電圧に変換し、電圧をローパスフィルター84で積分することで、2.2乗カーブを有する制御波形V
Sawを作成する。
【0128】
そして、制御波形V
Sawをアンプリファイア85を介して、複数(実施例6にあっては6個)のマルチプレクサ86に分配し、コントローラ82による制御の下、マルチプレクサ86によって、一連の制御波形V
Sawにおいて必要とされる一部分だけを通し、その他の部分をマスクする。このようにすることで、所望の制御波形群(具体的には、4つの連続した制御波形V
Sawから成る制御波形群を6組)を作成する。尚、元となる鋸波形は1つであるので、制御波形生成回路103における制御波形V
Sawの生成におけるばらつき発生を確実に抑制することができる。
【0129】
そして、以上に説明した信号電圧書込み期間及び画素ブロック発光期間における動作を、第1番目の画素ブロックから第6番目の画素ブロックまで、順次、実行する。即ち、
図18に示すように、第1番目の画素ブロックに属する画素30を構成する発光部31から、第P番目の画素ブロックに属する画素30を構成する発光部31まで、画素ブロック毎に、順次、一斉に発光させる。しかも、一部の画素ブロックに属する画素30を構成する発光部31を発光させているとき、残りの画素ブロックに属する画素30を構成する発光部31を発光させない。尚、1表示フレームにおいて、常に、いずれかの画素ブロックが発光している。
【0130】
ところで、1表示フレーム期間の初めの第1の期間に、全画素の発光を停止させた状態で、全画素に映像信号電圧を書き込み、第2の期間に、各画素に書き込まれた映像信号電圧により決定される少なくとも1回の発光期間内に、全画素の発光部を発光させるといった従来の駆動方法では、以下のような問題が生じる。即ち、映像信号は、1表示フレーム全ての時間に亘り、均等に送られて来る場合が多い。従って、テレビジョン受像システムにおいて、垂直ブランキング区間を第2の期間に充当させれば、全画素を同時に発光させる方法も考えられる。しかしながら、垂直ブランキング区間は、通常、1表示フレームの4%程度の時間長さである。それ故、発光効率が非常に低い表示装置となってしまう。また、1表示フレームに亘り送られてくる映像信号を第1の期間において全ての画素に書き込むためには、大きな信号バッファを用意する必要があるし、転送されてくる映像信号レート以上のスピードで各画素に映像信号を伝送するために、信号伝送回路の工夫が必要になる。更には、第2の期間において全画素を一斉に発光させるので、発光に要する電力が短時間に集中してしまい、電源設計が難しくなるという問題もある。
【0131】
これに対して、実施例6に係る表示装置にあっては、一部の画素ブロック(例えば、第1番目及び第2番目の画素ブロック)に属する画素30を構成する発光部31を発光させているとき、残りの画素ブロック(例えば、第3番目から第6番目の画素ブロック)に属する画素30を構成する発光部31を発光させない。従って、PWM駆動法に基づく表示装置の駆動において、発光期間を長くすることが可能となり、発光効率の向上を図ることができる。
【0132】
しかも、1表示フレームに亘り送られてくる映像信号を或る期間内に全ての画素30に一斉に書き込む必要がないので、即ち、従来の表示装置と同様に、1表示フレームに亘り送られてくる映像信号を、行方向画素群毎に、順次、書き込めばよいので、大きな信号バッファを用意する必要がない。また、転送されてくる映像信号レート以上のスピードで各画素に映像信号を伝送するための信号伝送回路の工夫も不要である。
【0133】
更には、画素の発光期間において、全画素30を一斉に発光させるのではないので、即ち、例えば、第1番目及び第2番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させているとき、第3番目から第6番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させない。従って、発光に要する電力が短時間に集中することがなくなり、電源設計が容易となる。
【0134】
図19に、実施例6の表示装置の変形例における画素ブロックへの複数の制御波形V
Sawの供給を模式的に示すが、この例においては、P=5としている。即ち、第1番目の画素ブロックには第1行目の画素群から第216行目の画素群が含まれ、第2番目の画素ブロックには第217行目の画素群から第432行目の画素群が含まれ、第3番目の画素ブロックには第433行目の画素群から第648行目の画素群が含まれ、第4番目の画素ブロックには第649行目の画素群から第864行目の画素群が含まれ、第5番目の画素ブロックには第865行目の画素群から第1080行目の画素群が含まれる。
【0135】
図19に示した例にあっても、画素ブロック発光期間において、4つの制御波形V
Sawが、各画素ブロックを構成する全画素30に送られ、各画素30は、4回、発光する。1表示フレームにおいて、12個の制御波形V
Sawが5つの画素ブロックへ供給される。そして、1表示フレーム内における制御波形V
Sawの数よりも、1表示フレーム内における駆動回路32に供給される制御波形V
Sawの数は少ない。具体的には、
図19に示した例でも、1表示フレーム内における制御波形V
Sawの数は12であり、1表示フレーム内における
駆動回路32に供給される制御波形V
Sawの数は4である。但し、
図18に示した例と異なり、1表示フレームにおいて、発光していない画素ブロックが存在する。隣接する画素ブロックにあっては、3つの制御波形V
Sawが重なりあっている。そして、5つの画素ブロックにおいて、最大、4つの画素ブロックにおける発光状態が重なり合う。このように、
図18に示した例よりも多数の画素ブロックを同時に発光状態とするので、画像表示品質の一層の向上を図ることができる。
【0136】
以上に説明した、PWM駆動法による駆動の下に発光部31を発光駆動する表示装置において、各画素30に設けられるコンパレータ回路33として、実施例1〜実施例5に係るコンパレータ回路10A〜10E、あるいは、その変形例に係るコンパレータ回路10Fを用いることで、次のような作用、効果を得ることができる。
【0137】
すなわち、実施例1〜実施例5に係るコンパレータ回路10A〜10E、あるいは、その変形例に係るコンパレータ回路10Fは、消費電力を低減できる。従って、コンパレータ回路33が各画素30に設けられる表示装置にあっては、表示装置全体の消費電力の大幅な低減が可能になる。
【0138】
また、実施例1〜実施例5に係るコンパレータ回路10A〜10E、あるいは、その変形例に係るコンパレータ回路10Fは、電流制御を行う制御部13を内蔵していることで、外部から制御信号を受けて電流制御を行う場合のような、制御信号を伝送するための配線が不要になる。従って、コンパレータ回路33が各画素30に設けられる表示装置にあっては、配線数を大幅に削減できる。
【実施例7】
【0139】
次に、実施例1〜実施例5に係るコンパレータ回路10A〜10Eを、A/D変換回路の入力段に設けられるコンパレータ回路として用いる実施例7について説明する。実施例7では、列並列A/D変換方式の固体撮像装置におけるA/D変換回路として、実施例1〜実施例5に係るコンパレータ回路10A〜10Eのいずれかを用いる場合を例に挙げて説明するものとする。
【0140】
図21に、実施例7に係る固体撮像装置、例えばX−Yアドレス方式固体撮像装置の一種であるCMOSイメージセンサの構成の概略を示すシステム構成図である。ここで、CMOSイメージセンサとは、CMOSプロセスを応用して、または、部分的に使用して作成されたイメージセンサである。
【0141】
[システム構成]
図21に示すように、実施例4に係るCMOSイメージセンサは、画素40が、複数、2次元マトリクス状に配列されて成る画素アレイ部51と、当該画素アレイ部51の各画素40を駆動する周辺の駆動系や信号処理系を有する。本例では、周辺の駆動系や信号処理系として、例えば、行走査部52、電流源部53、カラム処理部54、参照信号生成部55、列走査部56、水平出力線57、及び、タイミング制御部58が設けられている。これらの駆動系や信号処理系は、画素アレイ部51と同一の半導体基板(チップ)上に集積されている。
【0142】
このシステム構成において、タイミング制御部58は、マスタークロックMCKに基づいて、行走査部52、カラム処理部54、参照信号生成部55、及び、列走査部56などの動作の基準となるクロック信号CKや制御信号CS
1〜CS
3などを生成する。タイミング制御部58で生成されたクロック信号CKや制御信号CS
1〜CS
3などは、行走査部52、カラム処理部54、参照信号生成部55、及び、列走査部56などに対してそれらの駆動信号として与えられる。
【0143】
画素アレイ部51は、受光した光量に応じた光電荷を生成し、かつ、蓄積する光電変換部を有する画素40が行方向及び列方向に、即ち、行列状に2次元配置された構成となっている。ここで、行方向とは画素行の画素の配列方向(即ち、水平方向)を言い、列方向とは画素列の画素の配列方向(即ち、垂直方向)を言う。
【0144】
この画素アレイ部51において、行列状の画素配置に対して、画素行毎に行制御線61(61
1〜61
n)が行方向に沿って配線され、画素列ごとに列信号線62(62
1〜62
m)が列方向に沿って配線されている。行制御線61は、画素40から信号を読み出す際の制御を行うための制御信号を伝送する。
図21では、行制御線61について1本の配線として示しているが、1本に限られるものではない。行制御線61
1〜61
nの各一端は、行走査部52の各行に対応した各出力端に接続されている。列信号線62
1〜62
mには、電流源53
1〜53
mが接続されている。
【0145】
行走査部52は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部51の各画素40を全画素同時あるいは行単位等で駆動する。すなわち、行走査部52は、当該行走査部52を制御するタイミング制御部58と共に、画素アレイ部51の各画素40を駆動する駆動部を構成している。この行走査部52はその具体的な構成については図示を省略するが、一般的に、読出し走査系と掃出し走査系の2つの走査系を有する構成となっている。
【0146】
読出し走査系は、画素40から信号を読み出すために、画素アレイ部51の各画素40を行単位で順に選択走査する。画素40から読み出される信号はアナログ信号である。掃出し走査系は、読出し走査系によって読出し走査が行われる読出し行に対して、その読出し走査よりもシャッタスピードの時間分だけ先行して掃出し走査を行う。この掃出し走査系による掃出し走査により、読出し行の画素40の光電変換部から不要な電荷が掃き出されることによって当該光電変換部がリセットされる。そして、この掃出し走査系による不要電荷の掃き出す(リセットする)ことにより、所謂、電子シャッタ動作が行われる。ここで、電子シャッタ動作とは、光電変換部の光電荷を捨てて、新たに露光を開始する(光電荷の蓄積を開始する)動作のことを言う。
【0147】
読出し走査系による読出し動作によって読み出される信号は、その直前の読出し動作または電子シャッタ動作以降に受光した光量に対応するものである。そして、直前の読出し動作による読出しタイミングまたは電子シャッタ動作による掃出しタイミングから、今回の読出し動作による読出しタイミングまでの期間が、画素40における光電荷の露光期間となる。
【0148】
カラム処理部54は、例えば、画素アレイ部51の画素列毎、即ち、列信号線62(62
1〜62
m)毎に1対1の対応関係をもって設けられたA/D変換回路63(63
1〜63
m)を有する。A/D変換回路63(63
1〜63
m)は、画素アレイ部51の各画素40から列毎に、列信号線62
1〜62
mを通して出力されるアナログ信号(画素信号)をデジタル信号に変換する。
【0149】
参照信号生成部55は、時間が経過するにつれて電圧値が階段状に変化する、所謂、ランプ(RAMP)波形の参照信号V
Refを生成する。参照信号生成部55については、例えば、D/A(デジタル/アナログ)変換回路を用いて構成することができる。尚、参照信号生成部55としては、D/A変換回路を用いた構成に限られるものではない。
【0150】
参照信号生成部55は、タイミング制御部58から与えられる制御信号CS
1による制御の下に、当該タイミング制御部58から与えられるクロック信号CKに基づいてランプ波の参照信号V
refを生成する。そして、参照信号生成部55は、生成した参照信号V
Refをカラム処理部54のA/D変換回路63
1〜63
mに対して供給する。
【0151】
A/D変換回路63
1〜63
mは全て同じ構成となっている。ここでは、A/D変換回路63
mを例に挙げてその具体的な構成について説明するものとする。A/D変換回路63
mは、コンパレータ回路71、計数手段である例えばアップ/ダウンカウンタ(図中、「U/Dカウンタ」と表記している)72、転送スイッチ73、及び、メモリ装置74を有する構成となっている。
【0152】
コンパレータ回路71は、画素アレイ部51のn列目の各画素40から出力される画素信号に応じた列信号線62
mの信号電圧V
Outと、参照信号生成部55から供給されるランプ波の参照信号V
Refとを比較する。そして、コンパレータ回路71は、例えば、参照信号V
Refが信号電圧V
Outよりも大なるときに出力V
coが低レベルになり、参照信号V
Refが信号電圧V
Out以下のときに出力V
coが高レベルになる。
【0153】
アップ/ダウンカウンタ72は非同期カウンタであり、タイミング制御部58から与えられる制御信号CS
2による制御の下に、当該タイミング制御部58からクロック信号CKが参照信号生成部55と同時に与えられる。そして、アップ/ダウンカウンタ72は、クロック信号CKに同期してダウン(DOWN)カウントまたはアップ(UP)カウントを行うことで、コンパレータ回路71での比較動作の開始から比較動作の終了までの比較期間を計測する。
【0154】
転送スイッチ73は、タイミング制御部58から与えられる制御信号CS
3による制御の下に、ある行の画素40についてのアップ/ダウンカウンタ72のカウント動作が完了した時点でオン(閉)状態となる。そして、転送スイッチ73は、アップ/ダウンカウンタ72のカウント結果をメモリ装置74に転送する。
【0155】
このようにして、画素アレイ部51の各画素40から列信号線62
1〜62
mを経由して画素列毎に供給されるアナログ信号について、A/D変換回路63(63
1〜63
m)において、先ず、コンパレータ回路71で比較動作が行われる。そして、アップ/ダウンカウンタ72において、コンパレータ回路71での比較動作の開始から比較動作の終了までカウント動作を行うことで、アナログ信号がデジタル信号に変換されてメモリ装置74に格納される。
【0156】
列走査部56は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、カラム処理部54におけるA/D変換回路63
1〜63
mの列アドレスや列走査の制御を行う。この列走査部56による制御の下に、A/D変換回路63
1〜63
mの各々でA/D変換されたデジタル信号は順に水平出力線57に読み出され、当該水平出力線57を経由して撮像データとして出力される。
【0157】
尚、上記の構成例では、カラム処理部54について、A/D変換回路63が列信号線62毎に1対1の対応関係をもって設ける構成を例に挙げて説明したが、1対1の対応関係の配置に限られるものではない。例えば、1つのA/D変換回路63を複数の画素列で共有し、複数の画素列間で時分割にて使用する構成を採ることも可能である。
【0158】
[画素構成]
図22は、画素40の構成の一例を示す。
図12に示すように、本構成例に係る画素40は、光電変換部として例えばフォトダイオード41を有している。画素40は、フォトダイオード41に加えて、例えば、電荷電圧変換部42、転送トランジスタ(転送ゲート部)43、リセットトランジスタ44、増幅トランジスタ45、及び、選択トランジスタ46を有する構成となっている。
【0159】
尚、ここでは、転送トランジスタ43、リセットトランジスタ44、増幅トランジスタ45、及び、選択トランジスタ46として、例えばNチャネル型のMOSトランジスタを用いている。但し、ここで例示した転送トランジスタ43、リセットトランジスタ44、増幅トランジスタ45、及び、選択トランジスタ46の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
【0160】
この画素40に対して、先述した行制御線61(61
1〜61
n)として、複数の制御線が同一画素行の各画素に対して共通に配線される。
図22では、図面の簡略化のために、複数の制御線については図示を省略している。複数の制御線は、行走査部52の各画素行に対応した出力端に画素行単位で接続されている。行走査部52は、複数の制御線に対して転送信号TRG、リセット信号RST、及び、選択信号SELを適宜出力する。
【0161】
フォトダイオード41は、アノード電極が負側電源(例えば、グランド)に接続されており、受光した光をその光量に応じた電荷量の光電荷(ここでは、光電子)に光電変換してその光電荷を蓄積する。フォトダイオード41のカソード電極は、転送トランジスタ43を介して増幅トランジスタ45のゲート電極と電気的に接続されている。
【0162】
増幅トランジスタ45のゲート電極と電気的に繋がった領域は、電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部42である。以下、電荷電圧変換部42をFD(フローティング・ディフュージョン/浮遊拡散領域/不純物拡散領域)部42と呼ぶ。
【0163】
転送トランジスタ43は、フォトダイオード41のカソード電極とFD部42との間に接続されている。転送トランジスタ43のゲート電極には、高レベル(例えば、V
DDレベル)がアクティブ(以下、「Highアクティブ」と記述する)となる転送信号TRGが行走査部
52から与えられる。転送トランジスタ43は、転送信号
TRGに応答して導通状態となることで、フォトダイオード41で光電変換され、蓄積された光電荷をFD部42に転送する。
【0164】
リセットトランジスタ44は、ドレイン電極がリセット電源V
RSTに、ソース電極がFD部42にそれぞれ接続されている。リセットトランジスタ44のゲート電極には、Highアクティブのリセット信号RSTが行走査部52から与えられる。リセットトランジスタ44は、リセット信号RSTに応答して導通状態となり、FD部42の電荷をリセット電源V
RSTに捨てることで当該FD部42をリセットする。
【0165】
増幅トランジスタ45は、ゲート電極がFD部42に、ドレイン電極が画素電源V
DDにそれぞれ接続されている。この増幅トランジスタ45は、フォトダイオード41での光電変換によって得られる信号を読み出す読出し回路であるソースフォロワの入力部となる。すなわち、増幅トランジスタ45は、ソース電極が選択トランジスタ46を介して列信号線
62に接続されることで、当該列信号線
62の一端に接続される電流源53(53
1〜53
m)とソースフォロワを構成する。
【0166】
選択トランジスタ46は、例えば、ドレイン電極が増幅トランジスタ45のソース電極に、ソース電極が列信号線62にそれぞれ接続されている。選択トランジスタ46のゲート電極には、Highアクティブの選択信号SELが行走査部52から与えられる。選択トランジスタ46は、選択信号SELに応答して導通状態となることで、画素40を選択状態として増幅トランジスタ45から出力される信号を列信号線62に伝達する。
【0167】
尚、選択トランジスタ46については、画素電源V
DDと増幅トランジスタ45のドレイン電極との間に接続した回路構成を採ることも可能である。また、画素40としては、上記の4Trの画素構成のものに限られるものではなく、例えば、選択トランジスタ46を省略し、増幅トランジスタ45に選択トランジスタ46の機能を持たせる3Trの画素構成のものであってもよい。
【0168】
以上に説明した、列並列A/D変換方式のCMOSイメージセンサにおいて、A/D変換回路63(63
1〜63
m)の入力段のコンパレータ回路71として、実施例1〜実施例5に係るコンパレータ回路10A〜10E及びその変形例に係るコンパレータ回路10Fのいずれかを用いることができる。
【0169】
列並列A/D変換方式のCMOSイメージセンサにおいて、画素列毎に設けられるA/D変換回路63(63
1〜63
m)のコンパレータ回路71として、実施例1〜実施例5に係るコンパレータ回路10A〜10E、あるいは、その変形例に係るコンパレータ回路10Fを用いることで、次のような作用、効果を得ることができる。
【0170】
すなわち、実施例1〜実施例5に係るコンパレータ回路10A〜10E、あるいは、その変形例に係るコンパレータ回路10Fは、消費電力を低減できる。従って、コンパレータ回路33が画素列毎に設けられる列並列A/D変換方式のCMOSイメージセンサにあっては、CMOSイメージセンサ全体の消費電力の大幅な低減が可能になる。
【0171】
また、実施例1〜実施例5に係るコンパレータ回路10A〜10E、あるいは、その変形例に係るコンパレータ回路10Fは、電流制御を行う制御部13を内蔵していることで、外部から制御信号を受けて電流制御を行う場合のような、制御信号を伝送するための配線が不要になる。従って、コンパレータ回路33が画素列毎に設けられる列並列A/D変換方式のCMOSイメージセンサにあっては、配線数を大幅に削減できる。
【0172】
尚、本実施例では、実施例1〜実施例5に係るコンパレータ回路10A〜10E及び変形例に係るコンパレータ回路10Fのいずれかを、列並列A/D変換方式のCMOSイメージセンサにおけるA/D変換回路63の入力段のコンパレータ回路71として用いるとしたが、これに限られるものではない。すなわち、実施例1〜実施例5に係るコンパレータ回路10A〜10E及び変形例に係るコンパレータ回路10Fのいずれかは、単独のA/D変換回路の入力段のコンパレータ回路として用いることもできるし、あるいは、A/D変換回路を用いる各種の電子回路において、当該A/D変換回路の入力段のコンパレータ回路として用いることもできる。
【0173】
尚、本開示は以下のような構成をとることもできる。
[1]2つの入力信号の差分を検出する差動回路部と、
差動回路部に電流を供給する電流供給部と、
差動回路部の動作タイミングを検出し、その検出結果に応じて電流供給部が差動回路部に対して供給する電流を制御する制御部と、
を備えるコンパレータ回路。
[2]電流供給部は、差動回路部に対して、第1の電流と、当該第1の電流よりも小さい第2の電流とを選択的に供給可能である、
上記[1]に記載のコンパレータ回路。
[3]制御部は、電流供給部に対して、差動回路部が待機状態にあるときに第2の電流を供給し、差動回路部が待機状態から動作状態に移行する直前に第2の電流の供給から第1の電流の供給に切り替える制御を行う、
上記[2]に記載のコンパレータ回路。
[4]差動回路部は、2つの入力信号の差に応じた信号を出力する差動アンプ、及び、差動アンプの出力信号を入力とする第1のアンプを含み、
制御部は、差動アンプの出力信号を入力とする、第1のアンプよりも小さい閾値電圧を有する第2のアンプを含み、第2のアンプの出力信号に応じて電流供給部に対する第1の電流と第2の電流との切り替え制御を行う、
上記[3]に記載のコンパレータ回路。
[5]電流供給部は、第1の電流を供給する第1の電流源、第1の電流源から供給される第1の電流を制限して第2の電流とする電流制限部、及び、電流制限部の入出力端間を選択的に短絡するスイッチ回路を有し、
制御部は、スイッチ回路に対して、差動回路部が待機状態にあるときにオフ状態にし、差動回路部が待機状態から動作状態に移行する直前にオン状態にする制御を行う、
上記[2]から上記[4]のいずれかに記載のコンパレータ回路。
[6]第1の電流源は、第1の電流に対応したチャネル長の第1の電流源トランジスタから成り、
電流制限部は、チャネル長が第1の電流源トランジスタよりも大きく、第1の電流源トランジスタに対して直列に接続されるとともに、スイッチ回路に対して並列に接続された第2の電流源トランジスタから成る、
上記[5]に記載のコンパレータ回路。
[7]第1の電流源は、第1の電流に対応した第1のバイアス電圧がゲート電極に印加された第1の電流源トランジスタから成り、
電流制限部は、第1の電流源トランジスタから供給される第1の電流を第2の電流に絞る第2のバイアス電圧がゲート電極に印加され、第1の電流源トランジスタに対して直列に接続されるとともに、スイッチ回路に対して並列に接続された第3の電流源トランジスタから成る、
上記[5]に記載のコンパレータ回路。
[8]電流供給部は、第2の電流を供給する第2の電流源、及び、第2の電流と加算されて第1の電流となる第3の電流を供給する第3の電流源を有し、
制御部は、第3の電流源に対して、差動回路部が待機状態にあるときに非活性状態にし、差動回路部が待機状態から動作状態に移行する直前に活性状態にする制御を行う、
上記[2]から上記[4]のいずれかに記載のコンパレータ回路。
[9]第2の電流源は、第2の電流に対応した第3のバイアス電圧がゲート電極に印加された第4の電流源トランジスタから成り、
第3の電流源は、第4の電流源トランジスタに対して並列に接続され、導通状態のときに第3の電流を出力する第5の電流源トランジスタから成る、
上記[8]に記載のコンパレータ回路。
[10]第2の電流源は、差動回路部が待機状態にある一定期間において、差動回路部への電流の供給を選択的に遮断する機能を有する、
上記[8]又は上記[9]に記載のコンパレータ回路。
[11]差動回路部は、2つの入力信号の差に応じた信号を出力する差動アンプを有し、
第2の電流源は、差動回路部が待機状態にある一定期間に、制御波形に応じてオフ状態となって差動アンプへの電流の供給を遮断する第1のスイッチ回路を有する、
上記[10]に記載のコンパレータ回路。
[12]第2の電流源は、オン/オフ動作することで、差動回路部の出力電圧を安定化する作用を為す第2のスイッチ回路を有する、
上記[11]に記載のコンパレータ回路。
[13]制御部は、差動アンプの出力信号を入力とする、第1のアンプよりも大きい閾値電圧を有する第3のアンプを含み、第2のアンプの出力信号及び第3のアンプの出力信号に応じて電流供給部に対する第1の電流と第2の電流との切り替え制御を行う、
上記[4]に記載のコンパレータ回路。
[14]2つの入力信号の一方は、映像信号の信号電圧であり、
2つの入力信号の他方は、鋸波形の電圧変化を有する制御波形である、
上記[1]から上記[13]のいずれかに記載のコンパレータ回路。
[15]2つの入力信号の差分を検出する差動回路部と、
差動回路部に電流を供給する電流供給部と、
を備えるコンパレータ回路の制御に当たって、
差動回路部の動作タイミングを検出し、その検出結果に応じて電流供給部が差動回路部に対して供給する電流を制御する、
コンパレータ回路の制御方法。
[16]2つの入力信号の差分を検出する差動回路部と、
差動回路部に電流を供給する電流供給部と、
差動回路部の動作タイミングを検出し、その検出結果に応じて電流供給部が差動回路部に対して供給する電流を制御する制御部と、
を備えるコンパレータ回路を有するA/D変換回路。
[17]発光部、及び、発光部を駆動する駆動回路から構成された複数の画素が2次元マトリクス状に配置されて成り、
駆動回路は、
信号電圧と制御波形とを比較するコンパレータ回路、及び、
コンパレータ回路の出力に応じて発光部を駆動する駆動用トランジスタ、
を有しており、
コンパレータ回路は、
信号電圧と制御波形との差分を検出する差動回路部と、
差動回路部に電流を供給する電流供給部と、
差動回路部の動作タイミングを検出し、その検出結果に応じて電流供給部が差動回路部に対して供給する電流を制御する制御部と、
を備える表示装置。
[18]複数の画素は、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列され、画素群は第1の方向に沿ってP個の画素ブロックに分割されており、
第1番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部から、第P番目の画素ブロックに属する画素を構成する発光部まで、画素ブロック毎に、順次、一斉に発光させ、且つ、一部の画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させているとき、残りの画素ブロックに属する画素を構成する発光部を発光させない、
上記[17]に記載の表示装置。
[19]発光部は、複数の制御波形に基づき、複数回発光する、
上記[17]又は上記[18]に記載の表示装置。
[20]1表示フレーム内における駆動回路に供給される制御波形の数は、1表示フレーム内における制御波形の数よりも少ない、
上記[17]から上記[18]のいずれかに記載の表示装置。