(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
工場など、設備配管などを隠して外観美観を確保することより、メンテナンス性や建築設備全体の効率を追求する建築構造物では、空調用熱媒配管、空調熱源凝縮器排熱冷却水配管、生産装置用冷却水配管、排水配管、空調ダクト、排気ダクトなどの竪管を、鉄筋鉄骨コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造などの建築躯体の外側において、建築躯体の外壁面などに設けられた、床の設置されていない竪管設置架台に取付けることが行われる。上記配管やダクトの外径は大きく、新築の工場などでは、建屋が建築された後に竪管や竪管を取付ける架台を敷設するのが困難なことを理由に、建築物の躯体工事と並行して竪管設置架台を外壁面に設置することが行われる。
【0003】
商業施設の場合、竪管を建屋内部のパイプシャフトに収めることが多いが、大規模な施設の場合、冷水配管や冷却塔へ行く冷却水配管は大径となり、新築時に配管ユニット工法で建造する場合がある。その際、例えば建築建て方に従って順次フロアが設置され次第、竪管を複数2フロア分などの長さでユニット化した配管ユニットを、建築クレーンでシャフト部床開口に吊りおろし、既に据え付いている下方の管体へと位置合わせして溶接し順次接続していく工法例がある(例えば、特許文献1等参照)。
【0004】
これに対し、工場などの外壁に竪管を露出して設ける場合、竪管の設置工法としては、例えば、
図24(a)に示すような、竪管設置架台301を用いる工法が考えられる。竪管設置架台301は、所定の鉄骨等が矩形状に組み合わされてなる親材302Aと当該親材302Aに架け渡された複数の支持材302Bとを具備する枠体302を有し、外壁などである躯体100の例えば2フロア毎に1箇所、柱状体から張り出されたブラケットに固定され、平面視で多層に設置されている。また、枠体302は、竪管が通過した状態で配置される設置用領域302Sを備えている。工事完了後には、竪管311,312,313,314は、
図24(b)に示すように、設置用領域302Sに配置された状態で枠体302の親材302Aや支持材302Bに固定されることにより、躯体100に対して固定される。
【0005】
この竪管設置架台301を躯体100に固定後、竪管311〜314を施工完了するまで、施工中の作業者の動線を確保するため、例えば竪管311を施工する際には、
図24(c)に示すように、
図24(b)で示した各竪管間の支持材302Bの上部に、仮設用の足場板303を渡してゴムバンドまたは番線などで固定し、設置用領域302Sの未施工の竪管通過部を塞いで足場とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した竪管の設置工法では、
図24(b)に示すように、竪管311〜314の設置後、枠体302の親材302A及び支持材302Bと竪管311〜314の外周との間に、上下に貫通する、例えば100〜200mmにも及ぶ比較的大きな隙間が形成されてしまう。さらに、竪管311〜314のうちのいずれかが将来設置分とすると、本工事では竪管1本が施工されず、例えば600mm角の大きな開口として残ることもある。また、この竪管設置架台301は、竣工後も竪管の取付やフランジ接続(竪管の接続部)の状況の点検、内部に搬送される液体や気体の漏洩を確認するために点検歩廊として利用される場合もあるが、その点検の際に作業者の常設足場を外れた場所での足の踏み外しによるけが、及び大開口があると墜落災害の危険がある。
【0008】
また、施工時にも、
図24(c)に示すように、仮設用の足場板303を支持材302Bなどにゴムバンド等を用いて仮設するにあたり、最初の設置は、竪管設置架台301の取付前での地組みができたとしても、その後の竪管施工が進むに連れて、足場板303を設置用領域302S内でずらす必要が生じ、比較的大きな隙間を横目に狭い架台内で、親綱に安全帯を掛けての作業とはいえ危険作業を強いられてしまう。また、施工中や足場板設置変え作業中、作業者の安全を留意していても、工具や締結部材などを大開口や大きな隙間から落下させてしまい、下方にいる別の作業者の安全性を脅かすおそれがある。
【0009】
このような危険性を回避するために、十分な安全対策を実施しつつ、極めて慎重に作業が行われるが、その分、竪管設置作業の作業効率の大きな低下を招いてしまう。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、施工中の優れた安全性を確保することができると共に、施工時の作業効率向上が図れ、かつ、施工後の歩廊として安全に利用可能である、竪管設置架台、及び、建築プラント構造物、並びに、竪管の設置工法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0012】
手段1.建築物の躯体に竪管を設置するための竪管設置架台であって、
間隔を隔てて平行に配設された一対の第1横辺部、及び、前記各第1横辺部の両端部に直交して接合され前記躯体から突出する突出部材にガセットプレートを介して締結される一対の第2横辺部を有するとともに、前記両第1横辺部及び前記両第2横辺部に囲まれてなる上下に貫通する矩形領域が形成され、かつ、前記矩形領域に1又は複数の前記竪管が配置される枠体と、
前記第1横辺部の前記矩形領域側の部位に対して上方へと回動可能に軸支された2つの扉片部を有する観音扉状をなすとともに、1の前記竪管の設置用領域に対応して設けられた開閉扉と、
前記開閉扉上に配置可能な孔蓋とを備え、
前記扉片部には、前記第1横辺部に軸支される部位とは反対側に半孔部が形成されるとともに、
前記開閉扉を閉じた状態としたときに、前記両扉片部の前記半孔部によって、前記竪管の外周形状に対応する内周形状をなすとともに、前記竪管を挿通可能な挿通孔が形成され、
前記開閉扉を閉じた状態とするとともに、前記孔蓋により前記挿通孔を閉鎖することで、前記矩形領域が閉鎖されるように構成したことを特徴とする竪管設置架台。
【0013】
上記手段1によれば、開閉扉を閉じるとともに、孔蓋により挿通孔を閉鎖することで、枠体の矩形領域を閉鎖することができる。つまり、従来のような足場板の仮設といった面倒な作業を行うことなく、安全性の確保を図ることができる。
【0014】
また、上記手段1によれば、孔蓋を取外し、開閉扉を開くという比較的簡易な作業のみによって、竪管の設置用領域を開放することができる。従って、設置用領域を開放するにあたり、従来の足場板の配置変え作業のような、比較的高所における面倒な作業を行う必要がなくなる。その結果、作業効率や安全性の一層の向上を図ることができる。
【0015】
さらに、上記手段1によれば、竪管の設置後、挿通孔に竪管が挿通されるようにして開閉扉を閉鎖することで、枠体と竪管との間には開閉扉が存在することとなり、枠体と竪管との間に上下に貫通する大きな隙間が形成されてしまうことを防止できる。また、上記手段1によれば、開閉扉に設けられた挿通孔の内周形状は、竪管の外周形状に対応するものとされているため、竪管と開閉扉との間に形成される隙間を十分に小さなものとすることができる。これにより、資材などの落下防止等をより確実に図ることができる。
【0016】
手段2.前記孔蓋は、
前記挿通孔を閉鎖するときに、前記挿通孔を塞ぐようにして前記開閉扉上に載置される孔蓋本体部と、
前記孔蓋本体部から突出するとともに、前記挿通孔を閉鎖するときに前記挿通孔に挿入される前記内側配置部とを備えることを特徴とする手段1に記載の竪管設置架台。
【0017】
上記手段2によれば、孔蓋により挿通孔を閉鎖した状態において、挿通孔に挿入された内側配置部により、孔蓋のずれ動きをより確実に防止することができる。その結果、挿通孔の意図しない開放をより確実に防止することができる。
【0018】
手段3.前記扉片部は、前記半孔部の周縁に沿って延びるとともに、前記開閉扉を閉じた状態において上方に突出する半筒状部を備えるとともに、
前記開閉扉を閉じた状態において、前記両扉片部に設けられた前記半筒状部によって筒状部が形成され、
前記孔蓋は、
前記挿通孔を閉鎖するときに、前記挿通孔を塞ぐように前記開閉扉上に配置される孔蓋本体部と、
前記孔蓋本体部から突出するとともに、前記挿通孔を閉鎖するときに前記筒状部の外周に配置される環状の外側配置部とを備えることを特徴とする手段1に記載の竪管設置架台。
【0019】
上記手段3によれば、筒状部の外周に配置された外側配置部によって、孔蓋のずれ動きをより確実に防止することができる。従って、挿通孔の意図しない開放をより確実に防止することができる。
【0020】
手段4.建築物の躯体と、
前記躯体から突出する突出部材にガセットプレートを介して締結され固定された手段1乃至3のいずれかに記載の竪管設置架台と、
前記開閉扉を閉じることで形成された前記挿通孔に挿通されるとともに、前記竪管設置架台に固定された竪管とを備える建築プラント構造物。
【0021】
上記手段4によれば、基本的には上記手段1等と同様の作用効果が奏される。
【0022】
手段5.前記竪管設置架台は、複数設けられるとともに、前記躯体の外壁に沿って上下に並べて配置され、
前記竪管は、複数設けられるとともに、前記各竪管設置架台の前記矩形領域を通過するようにして設置され、
前記各竪管は、それぞれ異なる前記竪管設置架台に固定されていることを特徴とする手段4に記載の建築プラント構造物。
【0023】
上記手段5によれば、複数の竪管は、それぞれ異なる竪管設置架台に固定されている。従って、複数の竪管の荷重を、1の竪管設置架台へと集中させることなく、各竪管設置架台へと分散させることができる。従って、竪管の設置安定性をより高めることができる。
【0024】
手段6.建築物の躯体に設置される竪管の設置工法であって、
手段1乃至3のいずれかに記載の竪管設置架台を前記躯体から突出する突出部材にガセットプレートを介して締結固定する工程と、
前記挿通孔を閉鎖する前記孔蓋のうち、敷設する竪管を対象とした前記設置用領域の孔蓋を取外し、前記挿通孔を開放する工程と、
前記両扉片部のうち、取外した孔蓋に対応する両扉片部を上方へと回動させて前記開閉扉を開き、前記設置用領域を開放する工程と、
前記竪管設置架台の上方から前記竪管を吊りおろし、前記設置用領域に前記竪管を配置する工程と、
前記竪管設置架台に前記竪管を固定する工程と、
前記両扉片部を下方へと回動させ、前記開閉扉を閉じるとともに、前記挿通孔に前記竪管が挿通された状態とする工程と、
前記竪管が挿通された前記設置用領域の前記開閉扉を開放不能にロックする工程と、
を備えることを特徴とする竪管の設置工法。
【0025】
上記手段6によれば、基本的には上記手段1等と同様の作用効果が奏される。また、施工する竪管が挿通される設置用領域のすぐそばまで扉片部と孔蓋とからなる足場が設置されている状態となり、竪管を竪管設置架台に挿通して施工する際の作業の安全が図れる。さらに、竪管を配設した(例えば、下配管に接続した)後すぐに開閉扉を閉じるので、最低限の竪管周囲開口時間で済み、作業員の安全確保、工具や材料の落下防止も図れる。
【0026】
手段7.建築物の躯体に設置される竪管の設置工法であって、
前記枠体に複数の前記竪管が配置される、手段1乃至3のいずれかに記載の竪管設置架台を前記躯体から突出する突出部材にガセットプレートを介して締結固定する工程と、
前記挿通孔を閉鎖する前記孔蓋のうち、敷設する竪管を対象とした前記設置用領域の孔蓋及び敷設する前記竪管の隣の前記設置用領域の孔蓋を取外し、前記挿通孔を開放する工程と、
前記両扉片部のうち、取外した孔蓋に対応する両扉片部を上方へと回動させて前記開閉扉を開き、前記設置用領域を開放する工程と、
前記竪管設置架台の上方から前記第1横辺部上に固定する固定部材を側方に備える前記竪管を吊りおろし、前記敷設する竪管を対象とした前記設置用領域に前記竪管を設置する工程と、
前記竪管をその中心軸を中心に回転させ、前記固定部材を前記竪管設置架台の前記第1横辺部上に移動したのち載置して前記竪管を固定する工程と、
前記両扉片部を下方へと回動させ、前記開閉扉を閉じるとともに、前記挿通孔に前記竪管が挿通された状態とする工程と、
前記竪管を敷設した前記設置用領域の隣の前記設置用領域の前記挿通孔に取外した前記孔蓋を取付ける工程と、
前記竪管が挿通された前記設置用領域の前記開閉扉を開放不能にロックする工程と、
を備えることを特徴とする竪管の設置工法。
【0027】
上記手段7によれば、竪管の側方に突出する固定部材があっても、隣の設置用領域の孔蓋も取外し開閉扉を開放することで、竪管をその中心軸を軸として回転させて多層の竪管設置架台を貫通させて吊り込め、その後竪管を回転させて所定の向きで設置することができる。従って、最小限の開口で段取りよく安全に竪管を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】建築プラント構造物の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】矩形領域を閉鎖した状態における竪管設置架台を示す平面図である。
【
図3】矩形領域を閉鎖した状態における竪管設置架台を示す斜視図である。
【
図4】設置用領域を開放した状態における竪管設置架台を示す平面図である。
【
図5】設置用領域を開放した状態における竪管設置架台を示す断面図である。
【
図6】孔蓋を取外した状態における竪管設置架台を示す平面図である。
【
図7】挿通孔を閉鎖する孔蓋等を示す断面図である。
【
図9】躯体に対する竪管設置架台の固定工程を説明するための竪管設置架台等の斜視図である。
【
図10】躯体に固定された竪管設置架台等を示す斜視図である。
【
図11】躯体に固定された竪管設置架台、及び、枠組足場等を示す斜視図である。
【
図12】躯体及び竪管設置架台間に設けられた歩廊等を示す平面図である。
【
図13】竪管を設置する工程において、設置用領域を開放した状態の竪管設置架台を示す平面図である。
【
図14】竪管の設置工程の一過程を説明するための竪管設置架台等の斜視図である。
【
図15】設置用領域を通過する際の竪管等を示す平面図である。
【
図16】竪管の設置工程の一過程を説明するための竪管設置架台等の斜視図である。
【
図17】竪管の設置工程の一過程を説明するための竪管設置架台等の斜視図である。
【
図18】(a)は、振れ止め部材の斜視図であり、(b)は、振れ止め部材の平面図であり、(c)は、分割された振れ止め部材の平面図である。
【
図19】竪管の設置工程の一過程を説明するための竪管設置架台等の斜視図である。
【
図20】設置用領域を通過する際の竪管等を示す平面図である。
【
図21】設置用領域を通過する際の竪管等を示す平面図である。
【
図22】竪管の設置後、開閉扉を閉じた状態の竪管設置架台等を示す平面図である。
【
図23】別の実施形態における孔蓋等の構成を示す斜視図である。
【
図24】従来手法を説明するための図であり、(a)は、設置用領域が開放された竪管設置架台を示す平面図であり、(b)は、設置用領域に配置された竪管等を示す平面図であり、(c)は、足場板により設置用領域の大部分が閉鎖された竪管設置架台を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に一実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、建築プラント構造物200は、所定の建築物(例えば、鉄筋鉄骨コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造などの建築躯体の外壁や柱状体、吹き抜け内壁など)の躯体100と、竪管設置架台12,13,14,15と、躯体100の面と平行に上下方向に延びる竪管111,112,113,114とを備えている。尚、本実施形態において、竪管111〜114は、それぞれ円筒状をなす第1管体111A,112A,113A,114Aと、第2管体111B,112B,113B,114Bと、第3管体111C,112C,113C,114Cと、第4管体111D,112D,113D,114Dとが直列的に接続されて構成されている。また、竪管111,112の外径は、竪管113,114の外径よりも若干小さなものとされている。
【0030】
次に、竪管設置架台12〜15の構成について説明する。竪管設置架台12〜15は、躯体100に対して前記竪管111〜114を設置するために用いられるものである。尚、各竪管設置架台12〜15は、それぞれ同一の構成を有している。
【0031】
竪管設置架台12〜15は、
図2及び
図3に示すように、枠体20と、4つの開閉扉31,32,33,34と、当該開閉扉31〜34と同数の孔蓋61,62,63,64と、歩廊71,72とを備えている。
【0032】
枠体20は、それぞれH鋼からなる一対の第1横辺部(長辺部)21A,21Bと、一対の第2横辺部(短辺部)22A,22Bとを備えている。両第1横辺部21A,21Bは、第2横辺部22A,22Bよりも長尺であり、間隔を隔てて平行に配設されている。また、両第2横辺部22A,22Bは、例えば躯体100の通り芯1ブロックの寸法と同じ間隔を隔てて平行に配設されるとともに、自身の一端部側面に第1横辺部21Bの両端部がそれぞれ直交して接合されている。また、両第2横辺部22A,22Bにおける他端側寄りの側面には、第1横辺部21Aの両端部がそれぞれ直交して接合されている。そして、枠体20には、第1横辺部21A,21B及び第2横辺部22A,22Bに囲まれてなる上下に貫通する矩形領域20Kが形成されている(
図3参照)。矩形領域20Kには、竪管111〜114、及び本設の歩廊71,72が配置されることとなる。
【0033】
さらに、第2横辺部22A,22Bの他端部(躯体100側に配置される端部)は、躯体100の外壁から突出する鉄骨からなる突出部材としての取付突部101(
図9参照)へと固定可能となっている。より詳しくは、
図10に示すように、第2横辺部22A,22Bの他端部を取付突部101に突き合わせた状態で、所定のガセットプレート102を第2横辺部22A,22Bの他端部及び取付突部101に対して所定のボルト・ナット等により固定することで、第2横辺部22A,22Bの他端部を取付突部101へと固定できるようになっている。尚、第2横辺部22A,22Bの他端部を取付突部101に固定することで、竪管設置架台12〜15が躯体100へと固定されることとなる。
【0034】
図2及び
図3に戻り、開閉扉31〜34は、一方の第2横辺部22B側から他方の第2横辺部22A側に向けて並べて配設されている。また、各開閉扉31〜34は、第1扉片部31A,32A,33A,34Aと、第2扉片部31B,32B,33B,34Bとを備えた観音扉状とされている。
【0035】
第1扉片部31A〜34Aは、一方の第1横辺部21Aのうち前記矩形領域20K側に位置する部位の下端縁に対して上方へと回動可能に軸支されている。また、第2扉片部31B〜34Bは、他方の第1横辺部21Bのうち矩形領域20K側に位置する部位の下端縁に対して上方へと回動可能に軸支されている。従って、開閉扉31〜34は、
図4及び
図5に示すように、孔蓋61〜64を取外した上で、第1扉片部31A〜34A及び第2扉片部31B〜34Bをそれぞれ上方へと回動させることにより開放可能となっている(尚、
図5では、開閉扉32のみを示しているが、その他の開閉扉31,33,34も開閉扉32と同様の態様で開放可能である)。
【0036】
また、枠体20には、開閉扉31〜34を開くことで、それぞれ上下に貫通する設置用領域20S1,20S2,20S3,20S4が形成されることとなる。設置用領域20S1は、竪管111が設置されたり、竪管111を設置する際に竪管111や後述する固定部材141が通過したりする領域である。設置用領域20S2は、竪管112が設置されたり、竪管112を設置する際に竪管112や固定部材141が通過したりする領域である。設置用領域20S3は、竪管113が設置されたり、竪管113を設置する際に竪管113や固定部材141が通過したりする領域である。設置用領域20S4は、竪管114が設置されたり、竪管114を設置する際に竪管114が通過したりする領域である。
【0037】
さらに、
図6(
図6は、孔蓋61〜64を取外した状態を示す)に示すように、第1扉片部31A〜34Aのうち第1横辺部21Aへと軸支された部位の反対側には、半円形状の貫通孔である第1半孔部35A,36A,37A,38Aが形成されている。また、第2扉片部31B〜34Bのうち第1横辺部21Bへと軸支された部位の反対側には,第1半孔部35A〜38Aと同一形状の半円形状をなす第2半孔部35B,36B,37B,38Bが形成されている。そして、開閉扉31〜34を閉じた状態では、相対する第1半孔部35A〜38Aと第2半孔部35B〜38Bとによって円形状の挿通孔35,36,37,38が形成されるようになっている。本実施形態において、挿通孔35には竪管111が挿通され、挿通孔36には竪管112が挿通され、挿通孔37には竪管113が挿通され、挿通孔38には竪管114が挿通されるようになっている。また、挿通孔35〜38は、自身に挿通される竪管111〜114の外周形状に対応する内周形状を有しており、挿通孔35〜38の内径は、自身に挿通される竪管111〜114の外径よりも若干(例えば、40mm以下だけ)大きい程度に設定されている。
【0038】
また、
図6及び
図8に示すように、第1扉片部31A〜34Aには、開閉扉31〜34を閉じた状態において上方に突出するとともに、第1半孔部35A〜38Aの周縁に沿って延びる半円筒状の第1半筒状部39A,40A,41A,42Aが設けられている。さらに、第2扉片部31B〜34Bには、開閉扉31〜34を閉じた状態で上方に突出するとともに、第2半孔部35B〜38Bの周縁に沿って延びる半円筒状の第2半筒状部39B,40B,41B,42Bが設けられている。そして、開閉扉31〜34を閉じた状態では、相対する第1半筒状部39A〜42Aと第2半筒状部39B〜42Bとによって、円筒状の筒状部39,40,41,42が形成されるようになっている。
【0039】
さらに、
図4及び
図5等に示すように、枠体20には、第2横辺部22A,22Bと略平行に延びるとともに、第1扉片部31A〜34A及び第2扉片部31B〜34Bの下方への回動を規制するための断面L字状の支持部43,44,45,46,47が設けられている。支持部43〜47は、一方の第1横辺部21Aに対してその長手方向に沿って間欠的に設けられるとともに、第1扉片部31A〜34Aの側縁部裏面に接触可能な第1支持部43A,44A,45A,46A,47Aと、他方の第1横辺部21Bに対してその長手方向に沿って間欠的に設けられるとともに、第2扉片部31B〜34Bの側縁部裏面に接触可能な第2支持部43B,44B,45B,46B,47Bとを備えている。そして、第1支持部43A〜47Aが第1扉片部31A〜34Aをその下方にて支持することで、第1扉片部31A〜34Aの下方への回動が規制され、第2支持部43B〜47Bが第2扉片部31B〜34Bをその下方にて支持することで、第2扉片部31B〜34Bの下方への回動が規制されるようになっている。
【0040】
また、第1支持部43A〜37Aは、これに対向する第2支持部43B〜47Bと離間しており、第1支持部43A〜47A及び第2支持部43B〜47B間には隙間48,49,50,51,52が形成されている。各隙間48〜52は、竪管111〜114の設置工程において、後述する固定部材141(
図14等参照)が通過可能な幅を有している。
【0041】
孔蓋61〜64は、
図7及び
図8に示すように、挿通孔35〜38を塞ぐように開閉扉31〜34上に載置されることで、挿通孔35〜38を閉鎖するものである(尚、
図7では、孔蓋62のみを示しているが、その他の孔蓋61,63,64も孔蓋62と同様の態様で挿通孔35,37,38を閉鎖可能である)。また、孔蓋61〜64は、挿通孔35〜38を閉鎖するときに、挿通孔35〜38を塞ぐようにして開閉扉31〜34上に載置される円板状の孔蓋本体部61A,62A,63A,64Aと、当該孔蓋本体部61A〜64Aの裏面から下方に向けて突出するとともに、挿通孔35〜38の内周形状に対応する外周形状をなす円筒状の内側配置部61B,62B,63B,64Bとを備えている。内側配置部61B〜64Bは、挿通孔35〜38を閉鎖するときに挿通孔35〜38へと挿入される部位であり、孔蓋61〜64がその径方向に沿って移動したときに、開閉扉31〜34(筒状部39〜42)に対して接触可能となっている。
【0042】
図2及び
図3に戻り、歩廊71,72は、例えば縞鋼板により形成されるとともに、第1横辺部21A,21B及び第2横辺部22A,22Bで囲まれてなる前記矩形領域20Kのうち開閉扉31〜34が設けられた部位(つまり、設置用領域20S1〜20S4)以外の部位を閉鎖している。歩廊71,72を設けることによって、開閉扉31〜34を閉じるとともに、孔蓋61〜64により挿通孔35〜38を閉鎖することで、前記矩形領域20Kの全域が閉鎖されるようになっている。尚、歩廊72は、本設としての歩廊で、例えば竣工後、竪管111〜114などを流れる流体を使用する施設を使用しているさなか、竪管111〜114の接続状態や流体が漏洩していないかの点検作業をする作業者に対し、躯体100の点検口の開閉踊り場としてのスペースを提供する場である。また、遠い将来に追加の竪管を設置する予備スペースでもある。しかし、近い将来に竪管を設置するならば、縞鋼板で羽目殺しにするのではなく、開閉蓋や孔蓋を設置しておくことが好ましい。
【0043】
また、本実施形態では、安全性の確保を図るべく、第1横辺部21Aには、第1横辺部21Aの長手方向に沿って延びる手すり73(
図1,5等では不図示)が立設されている。
【0044】
次いで、上述した竪管設置架台12〜15を用いた躯体100に対する竪管111〜114の設置工法について説明する。
【0045】
まず、地上において、開閉扉31〜34や孔蓋61〜64、歩廊71,72によって前記矩形領域20Kの全域が閉鎖された竪管設置架台12〜15を予め作製しておく。
【0046】
次いで、各竪管設置架台12〜15に、それぞれH鋼により形成された中間部材122,123,124,125(
図11参照)を予め取付けておく。中間部材122〜125は、竪管111〜114を設置する際に後述する固定部材141が取付けられる部材である。竪管設置架台12においては、第1横辺部21A,21Bのうち開閉扉31の設置位置(つまり、設置用領域20S1)に対応する部位に一対の中間部材122が予め取付けられ、竪管設置架台13においては、第1横辺部21A,21Bのうち開閉扉32の設置位置(つまり、設置用領域20S2)に対応する部位に一対の中間部材123が予め取付けられている。また、竪管設置架台14においては、第1横辺部21A,21Bのうち開閉扉33の設置位置(つまり、設置用領域20S3)に対応する部位に一対の中間部材124が予め取付けられ、竪管設置架台15においては、第1横辺部21A,21Bのうち開閉扉34の設置位置(つまり、設置用領域20S4)に対応する部位に一対の中間部材125が予め取付けられている。すなわち、中間部材122〜125は、各竪管設置架台12〜15に対してそれぞれ一対ずつ取付けられ、また、各設置用領域20S1〜20S4に対応して一対ずつ設けられている。
【0047】
次いで、竪管設置架台12を吊り上げるとともに、
図9及び
図10(
図9及び
図10では、中間部材122〜125を不図示)に示すように、吊り上げた竪管設置架台12における第2横辺部22A,22Bの他端部を取付突部101に固定する。これにより、躯体100に対して竪管設置架台12が固定される。次に、竪管設置架台12と同様に、竪管設置架台13〜15を吊り上げるとともに、各竪管設置架台13〜15における第2横辺部22A,22Bの他端部を取付突部101に固定する。これにより、
図11(尚、
図11等では、図示の便宜上、各竪管設置架台12〜15間の距離を実際よりも短くして示している)に示すように、竪管設置架台12〜15が躯体100に固定される。尚、竪管設置架台13の吊り上げ・固定、竪管設置架台14の吊り上げ・固定、及び、竪管設置架台15の吊り上げ・固定は、この順序で行われる。また、竪管設置架台12〜15は、躯体100の2階〜5階に相当する部位に取付けられても、現場によっては2,4,6,8階に相当する部位に取付けられても、3,5,7,9階に相当する部位に取付けられても、竪管111〜114を支持すべき点の竪(上下)間隔と、躯体100側の階高との関係で決められた上下所定位置に並んで設置される。例えば、竪管設置架台12〜15が、躯体100の2〜5階に相当する部位に取付けられる場合は、躯体100の2階に相当する部位に竪管設置架台12が設置され、躯体100の3階に相当する部位に竪管設置架台13が設置され、躯体100の4階に相当する部位に竪管設置架台14が設置され、躯体100の5階に相当する部位に竪管設置架台15が設置される。
【0048】
さらに、本実施形態では、
図12(
図12では、中間部材122〜125を不図示)に示すように、各竪管設置架台12〜15において、第1横辺部21Aと躯体100との間の隙間に縞鋼板からなる歩廊75が設置される。
【0049】
また、本実施形態では、躯体100に対する竪管設置架台12〜15の設置とともに、躯体100の外壁等の工事を行う際に用いられる枠組足場105が設置される。つまり、竪管設置架台12〜15は、建築建方とほぼ同時期に設置されていることとなる。これにより、第1横辺部21Bの上方に手すり73を予め設置して、第2横辺部22A,22B上方の手すりを後付としておくと、竪管設置架台12〜15を建築外壁工事の枠組足場の一部として利用でき、設備配管用の竪管設置架台12〜15を建築外壁の施工者等に喜んで建築建方工程内に設置してもらえる。これにより、矩形領域20Kの全域が閉鎖された竪管設置架台12〜15と、建築の枠組足場と同レベルの枠組足場105とによって建築躯体外壁工事用の足場が形成できる。
【0050】
枠組足場105や竪管設置架台12〜15等を用いた躯体外壁の工事が終了した後、竪管111〜114の設置前における設備側工事の準備を行う。より詳しくは、
図13(
図13では、中間部材122〜125を不図示)に示すように、各竪管設置架台12〜15において、第2横辺部22Aの長手方向に延びる手すり74を第2横辺部22A上に立設する。さらに、竪管設置架台12〜15に対する昇降用の枠組足場105Aのみを残して、その他の枠組足場105を解体撤去する。これにより、竪管設置架台12〜15は、外壁から離れた側はすでに設置されている第1横辺部21B上方の手すり73で、長手方向の一端は手すり74で、長手方向の他端は昇降用の枠組足場105Aにて囲まれた安全なステージのような形態となっている。
【0051】
併せて、各竪管設置架台12〜15において、まず吊りこみを行う竪管を竪管111とすると、まず最初に吊り込む下方の第1管体111Aには後述する固定部材141が側方に設置されているので、竪管設置架台13〜15において、孔蓋61,62を取外して挿通孔35,36を開放するとともに、第1扉片部31A,32A及び第2扉片部31B,32Bをそれぞれ上方へと回動させ、開閉扉31,32を開く。つまり、固定部材141が通過する竪管設置架台13〜15においては、設置用領域20S1だけでなく、これに隣接する設置用領域20S2も開放する。一方で、固定部材141が通過しない竪管設置架台12においては、設置用領域20S1のみを開放する。尚、吊り込む管体の側方に固定部材がない場合は、当該管体の設置用領域とこれに隣接する設置用領域とを開放することなく、当該管体の設置用領域のみを開放するとしてもよい。
【0052】
次いで、
図14(尚、
図14等では、図示の便宜上、昇降用の枠組足場105Aや手すり73,74を不図示)に示すように、所定のクレーン等(図示せず)によって、竪管111の一部を構成することとなる第1管体111Aを吊り上げるとともに、竪管設置架台15の上方から第1管体111Aを竪管設置架台13〜15の各設置用領域20S1を通して竪管設置架台12へと吊りおろす。
【0053】
尚、第1管体111Aの外周には、第1管体111Aを挟むようにして設けられた一対の固定部材141(いわゆる「ロケット」)が予め接合されている。第1管体111Aを各竪管設置架台13〜15の設置用領域20S1に通す際には、
図15に示すように、第1管体111Aをその中心軸を中心に90度回転させ、隙間49の位置に固定部材141の位置を合わせる。この位置合わせ(第1管体111Aの回転)は、作業員が竪管設置架台13〜15上にて行う。位置合わせ後、第1管体111Aを下降させることにより、第1管体111Aが設置用領域20S1を通過することとなる。
【0054】
竪管設置架台12へと第1管体111Aを吊りおろした後、第1管体111Aをその中心軸を中心に90度回転させて中間部材122の上面に固定部材141を載置する。その上で、所定のボルト・ナット等により中間部材122に対して固定部材141を締着する。これにより、
図16に示すように、第1管体111Aが竪管設置架台12の枠体20へと固定される。尚、第1管体111Aの下端部は、躯体100に既設された複数の末端側管体(図示せず)のうちの1つに対して接続される(その他の第1管体112A,113A,114Aも同様に、複数の前記末端側管体のうちの1つに接続される)。
【0055】
次に、竪管111の一部を構成する第2管体111Bを配設する。尚、第2管体111Bと、この後に配設される第3管体111C及び第4管体111Dとは、側方に固定部材141等の突出部を備えていないため、竪管設置架台13〜15において、第1扉片部32A及び第2扉片部32Bを下方へと回動させ開閉扉32を閉じるとともに、形成された挿通孔36に孔蓋62を取付けて閉鎖し、設置用領域20S2を足場として利用可能にする(つまり、各竪管設置架台12〜15において、設置用領域20S1のみが開放された状態とする)。その上で、前記クレーン等によって、第2管体111Bを吊り上げるとともに、竪管設置架台15の上方から第2管体111Bを竪管設置架台14,15の各設置用領域20S1を通して竪管設置架台13の設置用領域20S1に位置する第1管体111Aの直上方位置まで吊りおろす。そして、
図17に示すように、第1管体111Aの上端部に対して第2管体111Bの下端部をボルト・ナット等により接続することで、第1管体111A及び第2管体111Bを直列的に接続する。
【0056】
さらに、竪管111の横揺れを防止すべく、第1管体111Aの上端部に対応して振れ止め部材151を設ける。振れ止め部材151は、
図18(a)〜(c)に示すように、平面略はしご状をなし、一対の振れ止め片部151A,151Bと、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムなど)からなる複数の衝撃吸収部151Cとを備えている。振れ止め部材151は、振れ止め片部151A,151Bを分離することで分割可能である。また、振れ止め部材151は、衝撃吸収部151Cが竪管111(第1管体111A)側に位置するようにして両振れ止め片部151A,151Bにより竪管111を挟んだ状態で第1横片部21A,21Bに固定されることにより設置されている。尚、振れ止め部材としては、いわゆるUバンド等、その他の部材を用いてもよい。
【0057】
その後、第1管体111A及び第2管体111Bと同様に、第3管体111Cを竪管設置架台15の上方から吊りおろし、第2管体111Bの上端部に第3管体111Cを接続する。また、竪管設置架台14にも、第2管体111Bの上端部に対応する振れ止め部材151を設ける。
【0058】
さらに、第4管体111Dを竪管設置架台15の上方から吊りおろし、第3管体111Cの上端部に第4管体111Dを接続するとともに、竪管設置架台15に、第3管体111Dの上端部に対応する振れ止め部材151を設ける。これにより、竪管111は、
図19に示すように、竪管設置架台12に固定されるとともに、その他の竪管設置架台13〜15にて振れ止めがなされた状態で設置される。この構成により、竪管111の荷重は、主として固定点である竪管設置架台12へと加わり、振れ止め点であるその他の竪管設置架台13〜15にはほとんど加わらない状態となる。また、各管体111A〜111Cの設置後すぐに、設置された管体111A〜111Cに対応する両扉片部31A,31Bを下方へと回動させて開閉扉31を閉じ、挿通孔35に管体111A〜111Cが挿通された状態とする(例えば、第1管体111Aの設置後すぐに、竪管設置架台12,13における第1管体111Aに対応する開閉扉31を閉じ、竪管設置架台12,13の挿通孔35に第1管体111Aが挿通された状態とする)。
【0059】
次いで、竪管112を設置する。この竪管112の設置工程は、上述した竪管111の設置工程とほぼ同様である。すなわち、第1管体112A、第2管体112B、第3管体112C及び第4管体112Dをこの順序で竪管設置架台15の上方から吊りおろすとともに、各管体112A,112B,112C,112Dを直列接続する。また、固定部材141によって竪管112を竪管設置架台13へと固定する。
【0060】
尚、竪管112においては、第1管体112Aの上方側に固定部材141が設けられている。そのため、
図20に示すように、竪管設置架台14,15においては、設置用領域20S2に対応する孔蓋62と、設置用領域20S2に隣り合った設置用領域20S1,20S3に対応する孔蓋(本実施形態では、孔蓋63)を取外し、さらに開閉扉31〜33を開くことで、設置用領域20S2だけでなく、設置用領域20S1,20S3も開口しておく。つまり、固定部材141が通過する竪管設置架台14,15においては、設置用領域20S2だけでなく、これに隣接する設置用領域20S1,20S3も開放する。一方で、固定部材141が通過しない竪管設置架台12,13においては、設置用領域20S2のみを開放する。そして、第1管体112Aを竪管設置架台14,15の設置用領域20S2に通す際には、第1管体112Aをその中心軸を中心に回転させて隙間49,50と固定部材141とを位置合わせした上で、第1管体112Aを下降させる。また、竪管112においては、固定部材141が竪管設置架台13の中間部材123へと固定され、振れ止め部材151が竪管設置架台12,14,15に設けられる。従って、竪管112の荷重は、主として固定点である竪管設置架台13へと加わり、振れ止め点であるその他の竪管設置架台12,14,15にはほとんど加わらない状態となっている。尚、管体112B〜112Dは、側方に固定部材141等の突出部を備えていないため、第1管体112Aの配設後、竪管設置架台14,15において、第1扉片部31A,33A及び第2扉片部31B,33Bを下方へと回動させて開閉扉31,33を閉じるとともに、形成された挿通孔37に孔蓋63を取付けて閉鎖することで、設置用領域20S1,20S3が足場として利用可能とされる(つまり、各竪管設置架台12〜15において、設置用領域20S2のみが開放した状態とされる)。また、各管体112A〜112Cの設置後すぐに、設置された管体112A〜112Cに対応する両扉片部32A,32Bを下方へと回動させて開閉扉32を閉じ、挿通孔36に管体112A〜112Cが挿通された状態とする。
【0061】
次いで、竪管113を設置する。この竪管113の設置工程は、上述した竪管111,112の設置工程とほぼ同様である。すなわち、第1管体113A、第2管体113B、第3管体113C及び第4管体113Dをこの順序で竪管設置架台15の上方から吊りおろすとともに、各管体113A,113B,113C,114Dを直列接続する。また、固定部材141によって竪管113を竪管設置架台14へと固定する。
【0062】
尚、竪管113においては、第2管体113Bの上方側に固定部材141が設けられている。そのため、竪管設置架台15において、設置用領域20S3に隣り合った設置用領域20S2,20S4の孔蓋(本実施形態では、孔蓋64)を取外し、さらに設置用領域20S2,20S4の開閉扉(本実施形態では、開閉扉32,34)を開くことで、設置用領域20S2,20S4を開口しておく。つまり、固定部材141が通過する竪管設置架台15においては、設置用領域20S3だけでなく、これに隣接する設置用領域20S2,20S4も開放する。一方で、固定部材141が通過しない竪管設置架台12〜14においては、設置用領域20S3のみを開放する。そして、第2管体113Bを竪管設置架台15の設置用領域20S3に通す際には、
図21に示すように、第2管体113Bを回転させて隙間50,51と固定部材141とを位置合わせした上で、第2管体113Bを下降させる。また、竪管113においては、固定部材141が竪管設置架台14の中間部材124へと固定され、振れ止め部材151が竪管設置架台12,13,15に設けられる。従って、竪管113の荷重は、主として固定点である竪管設置架台14へと加わり、振れ止め点であるその他の竪管設置架台12,13,15にはほとんど加わらない状態となっている。尚、管体113C,113Dは、側方に固定部材141等の突出部を備えていないため、第2管体113Bの配設後、竪管設置架台15において、第1扉片部32A,34A及び第2扉片部32B,34Bを下方へと回動させて開閉扉32,34を閉じるとともに、形成された挿通孔38に孔蓋64を取付けて閉鎖することで、設置用領域20S2,20S4が足場として利用可能とされる(つまり、各竪管設置架台12〜15において、設置用領域20S3のみが開放した状態とされる)。また、各管体113A〜113Cの設置後すぐに、設置された管体113A〜113Cに対応する両扉片部33A,33Bを下方へと回動させて開閉扉33を閉じ、挿通孔37に管体113A〜113Cが挿通された状態とする。
【0063】
次いで、竪管114を設置する。この竪管114の設置工程は、上述した竪管111〜113の設置工程とほぼ同様であるが、竪管114においては、第3管体114Cに固定部材141が設けられ、当該固定部材141が竪管設置架台15の中間部材125へと固定される。また、竪管114においては、固定部材141が竪管設置架台12〜15を通過することがないため、竪管114の吊りおろし時には、各竪管設置架台12〜15の設置用領域20S4のみが開放される。さらに、振れ止め部材151は、竪管設置架台12〜14に設けられる。従って、竪管114の荷重は、主として固定点である竪管設置架台15へと加わり、振れ止め点であるその他の竪管設置架台12〜14にはほとんど加わらない状態となっている。つまり、本実施形態において、竪管111〜114は、それぞれ異なる竪管設置架台12〜15に固定され、竪管設置架台12〜15は、それぞれ1本ずつ竪管111〜114を支持するように構成されている。また、各管体114A〜114Cの設置後すぐに、設置された管体114A〜114Cに対応する両扉片部34A,34Bを下方へと回動させて開閉扉34を閉じ、挿通孔38に管体114A〜114Cが挿通された状態とする。
【0064】
竪管111〜114の設置後、
図22に示すように、各竪管設置架台12〜15において、挿通孔35〜38に竪管111〜114が挿通された状態とされる。その後、隣接する第1扉片部31A〜34A及び第2扉片部31B〜34B同士を固定する等により、開閉扉31〜34を開放不能にロックする。
【0065】
尚、開閉扉31〜34の閉鎖タイミングは、適宜変更可能である。例えば、全ての竪管111〜114を設置した後に開閉扉31〜34を閉鎖してもよいし、1の竪管111〜114を設置した後、設置された竪管111〜114に対応する開閉扉31〜34のみを閉鎖してもよい。また、設置用領域に管体を配置した後、中間部材122〜125に対する固定部材141の固定や振れ止め部材151の設置を行う前に開閉扉31〜34を閉じてもよい。
【0066】
最後に、竪管111〜114の気密性や躯体100に対する竪管設置架台12〜15の固定状態(例えば、ボルトに緩みがないかなど)をチェックするとともに、昇降用の枠組足場105Aを解体・撤去することで、
図1に示すように、躯体100に対して竪管111〜114の設置された建築プラント構造物200が得られる。
【0067】
以上詳述したように、本実施形態によれば、開閉扉31〜34を閉じるとともに、孔蓋61〜64により挿通孔35〜38を閉鎖することで、枠体20の矩形領域20Kを閉鎖することができる。つまり、従来のような足場板の仮設といった不安定でずらす(配置変え作業の)際に危険性を伴う作業を行う必要がなく、施工する竪管が挿通される設置用領域のすぐそばまで強固な鋼板の開閉扉31〜34と孔蓋61〜64とからなる足場が設置されている状態となり、竪管111〜114を竪管設置架台12〜15に挿通して施工する際の作業の安全が図れる。また、管体を配設(下の管体に接続)した後すぐに開閉扉31〜34を閉じることで、最低限の竪管周囲開口時間で済み、作業員の安全、工具や材料の落下防止も図れる。
【0068】
また、孔蓋61〜64を取外し、開閉扉31〜34を開くという比較的簡易な作業のみによって、竪管111〜114の設置用領域20S1〜20S4を開放することができる。従って、設置用領域20S1〜20S4を開放するにあたり、従来の足場板の配置変え作業のような、比較的高所における面倒な作業を行う必要がなくなる。その結果、作業効率や安全性の一層の向上を図ることができる。
【0069】
さらに、竪管111〜114の設置後、挿通孔35〜38に竪管111〜114が挿通されるようにして開閉扉31〜34を閉鎖することで、枠体20と竪管111〜114との間に上下に貫通する大きな隙間が形成されてしまうことを防止できる。また、挿通孔35〜38の内周形状は、竪管111〜114の外周形状に対応するものとされているため、竪管111〜114と開閉扉31〜34との間に形成される隙間を十分に小さなものとすることができる。これにより、資材などの落下防止等をより確実に図ることができる。
【0070】
加えて、孔蓋61〜64により挿通孔35〜38を閉鎖した状態では、挿通孔35〜38に挿入された内側配置部61B〜64Bにより、孔蓋61〜64のずれ動きをより確実に防止することができる。その結果、挿通孔35〜38の意図しない開放をより確実に防止することがでる。
【0071】
また、本実施形態において、竪管111〜114は、それぞれ異なる竪管設置架台12〜15に固定されている。従って、複数の竪管111〜114の荷重が、1の竪管設置架台に集中してしまうことなく、各竪管111〜114の荷重を各竪管設置架台12〜15へと分散させることができる。従って、竪管111〜114の設置安定性をより高めることができる。
【0072】
さらに、側方に突出する固定部材141を備えた竪管であっても、当該竪管の設置用領域だけでなく、その隣の設置用領域も開放することで、当該竪管をその中心軸を軸として回転させた状態で、多層の竪管設置架台を貫通させて吊りおろすことができる。そして、配置予定位置まで竪管をおろした後、竪管を回転させて所定の向きとした上で、固定部材141により竪管を竪管設置架台へと固定することができる。従って、最小限の開口で段取りよく安全に竪管を設置することができる。
【0073】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0074】
(a)上記実施形態において、竪管111〜114は、第1管体111A〜114A,第2管体111B〜114B,第3管体111C〜114C及び第4管体111D〜114Dにより構成されているが、竪管の構成はこれに限定されるものではない。従って、例えば、建築物の高さ等に合わせて竪管を構成する管体の数を適宜変更してもよいし、竪管を複数の管体により構成することなく、1本の管体により構成してもよい。
【0075】
(b)上記実施形態では、各竪管設置架台12〜15において第1支持部43A〜47Aと第2支持部43B〜47Bとの間に隙間48〜52が形成されているが、竪管111〜114の設置時に固定部材141が通過することとなる設置用領域に対応する支持部のみにおいて隙間が形成されるように構成してもよい。
【0076】
また、上記実施形態において、支持部43〜47は、第1支持部43A〜47A及び第2支持部43B〜47Bにより構成されているが、支持部の構成はこれに限定されるものではない。従って、例えば、支持部を両第1横辺部21A,21Bに跨って設けられた1本の部材により構成してもよい。尚、この場合には、隣接する支持部間の間隔を十分に大きくする等、竪管(固定部材)が竪管設置架台の設置用領域を通過可能となるように構成することが必要である。
【0077】
(c)孔蓋は、挿通孔を閉鎖可能なものであればよく、その構成は上記実施形態の構成に限られるものではない。従って、孔蓋が平板状(つまり、上記実施形態の孔蓋本体部のみを有するもの)であってもよい。
【0078】
また、
図23に示すように、孔蓋81,82,83,84が、円板状の孔蓋本体部81A,82A,83A,84Aの外周から下方に向けて突出するとともに、前記筒状部39〜42の外周形状に対応する内周形状をなす円筒状の外側配置部81B,82B,83B,84Bを備えるものとし、孔蓋81〜84によって挿通孔35〜38を閉鎖するときに、外側配置部81B〜84Bが筒状部39〜42の外周に配置されるように構成してもよい。この場合には、筒状部39〜42の外周に配置された外側配置部81B〜84Bによって、孔蓋81〜84のずれ動きをより確実に防止することができる。その結果、挿通孔35〜38の意図しない開放をより確実に防止することができる。
【0079】
尚、外側配置部の形状は、必ずしも円筒状でなくてもよい。例えば、孔蓋本体部81A〜84Aから突出するとともに、孔蓋本体部81A〜84Aの周方向に沿って環状に配置された複数の突起等により外側配置部を構成してもよい。
【0080】
(d)上記実施形態における竪管や竪管設置架台の数は例示であって、これらの数は適宜変更可能である。また、開閉扉に設けられる挿通孔のサイズは、配置される竪管のサイズに応じて適宜変更可能である。
【0081】
(e)上記実施形態では、竪管設置架台12〜15が足場の一部として利用可能とされているが、必ずしも足場の一部として利用する必要はない。
【0082】
(f)上記実施形態では、開閉扉31〜34や孔蓋61〜64、歩廊71,72によって矩形領域20Kの全域が閉鎖可能とされているが、矩形領域20Kの全域が厳密に閉鎖されている必要はなく、開閉扉31〜34等によって矩形領域20Kを閉鎖したときに、上下に貫通する比較的小さな開口が存在していてもよい。
【0083】
(g)上記実施形態において、内側配置部61B〜64Bは、円筒状をなしているが、内側配置部の形状はこれに限定されるものではない。例えば、孔蓋本体部の周方向に沿って環状に配置された複数の突起により内側配置部を構成してもよい。また、内側配置部は必ずしも筒状や環状でなくてもよい。例えば、孔蓋本体部の背面に対して、X状に交差した状態で接合された2本の棒状部材によって、内側配置部を構成してもよい。