特許第6180363号(P6180363)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180363
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】通信装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20170807BHJP
   H04N 1/32 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H04N1/00 C
   H04N1/00 107Z
   H04N1/32 J
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-100117(P2014-100117)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-220473(P2015-220473A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2016年6月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083172
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 豊明
(72)【発明者】
【氏名】安井 克彰
【審査官】 花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−078382(JP,A)
【文献】 特開2007−104524(JP,A)
【文献】 特開2008−131343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/32 − 1/36
H04N 1/42 − 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリ送信ジョブが受け付けられると、当該ファクシミリ送信ジョブの送信時刻を取得するとともに、予め設定された時間帯のうち、当該送信時刻が含まれる時間帯のパケットエラーの回数を取得する取得部と、
前記取得されたパケットエラーの回数が予め設定された第一の閾値を超過しているか否かを判定する判定部と、
前記パケットエラーの回数が前記第一の閾値を超過している場合、前記送信時刻を、前記パケットエラーの回数が第一の閾値より少ない時間帯に変更する変更部と、
前記変更された送信時刻で、前記ファクシミリ送信ジョブの画像データを当該ファクシミリ送信ジョブの送信先に送信する送信部とを備え、
前記送信部は、前記ファクシミリ送信ジョブを現実に送信する現実送信時刻を含む時間帯のパケットエラーの回数が第一の閾値より小さい第二の閾値より少ない場合に、当該ファクシミリ送信ジョブの送信速度を遅くし、前記現実送信時刻を含む時間帯のパケットエラーの回数が前記第二の閾値より多い場合に、当該ファクシミリ送信ジョブの送信速度を速くすることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記変更部は、変更前の送信時刻が含まれる時間帯の次の時間帯を特定し、当該特定した次の時間帯のパケットエラーの回数が前記第一の閾値以下であるか否かを判定し、前記次の時間帯のパケットエラーの回数が前記第一の閾値以下である場合、前記送信時刻を前記次の時間帯に変更する
請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
ファクシミリ送信ジョブが受け付けられると、当該ファクシミリ送信ジョブの送信時刻を取得するとともに、予め設定された時間帯のうち、当該送信時刻が含まれる時間帯のパケットエラーの回数を取得する取得ステップと、
前記取得されたパケットエラーの回数が予め設定された第一の閾値を超過しているか否かを判定する判定ステップと、
前記パケットエラーの回数が前記第一の閾値を超過している場合、前記送信時刻を、前記パケットエラーの回数が第一の閾値より少ない時間帯に変更する変更ステップと、
前記変更された送信時刻で、前記ファクシミリ送信ジョブの画像データを当該ファクシミリ送信ジョブの送信先に送信する送信ステップとを備え、
前記送信ステップは、前記ファクシミリ送信ジョブを現実に送信する現実送信時刻を含む時間帯のパケットエラーの回数が第一の閾値より小さい第二の閾値より少ない場合に、当該ファクシミリ送信ジョブの送信速度を遅くし、前記現実送信時刻を含む時間帯のパケットエラーの回数が前記第二の閾値より多い場合に、当該ファクシミリ送信ジョブの送信速度を速くする
ことを特徴とする通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリ装置等の通信装置において通信エラーに対する技術が多種存在する。例えば、特開2009−130659号公報(特許文献1)には、パケットロス率やパケットエラー率が所定の閾値を超過したか否かを判定することで、通信情報の変調方式を変更して、通信エラーを回避する通信装置が開示されている。又、特開2005−286530号公報(特許文献2)には、音声の欠落やパケットの欠落を検知すると、TCP/IPのウィンドウサイズを小さくすることにより、音声パケットの欠落を防止するルータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−130659号公報
【特許文献2】特開2005−286530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、パケットロスやパケットエラーが少ない時間帯でも通信速度を下げるため、通信効率が悪いという課題がある。又、特許文献2に記載の技術では、ファクシミリ送信する場合に、音声の欠落が発生した時点で通信エラーとして発声し、パケットの欠落の発生後の対応になるという課題がある。
【0005】
一方、VoIPの電話回線上でファクシミリ送信を行う場合、このファクシミリ送信のパケットエラーの発生によりVoIPのパケットが失われると、当該ファクシミリ送信に大きな影響を与え、通信エラーの発生の原因になる。そのため、パケットエラーが発生し難いと推測される時間帯にファクシミリ送信をすることに大きな意味がある。
【0006】
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、パケットエラーの発生頻度を低下させることが可能な通信装置及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る通信装置は、取得部と、判定部と、変更部と、送信部とを備える。取得部は、ファクシミリ送信ジョブが受け付けられると、当該ファクシミリ送信ジョブの送信時刻を取得するとともに、予め設定された時間帯のうち、当該送信時刻が含まれる時間帯のパケットエラーの回数を取得する。判定部は、前記取得されたパケットエラーの回数が予め設定された第一の閾値を超過しているか否かを判定する。変更部は、前記パケットエラーの回数が前記第一の閾値を超過している場合、前記送信時刻を、前記パケットエラーの回数が第一の閾値より少ない時間帯に変更する。送信部は、前記変更された送信時刻で、前記ファクシミリ送信ジョブの画像データを当該ファクシミリ送信ジョブの送信先に送信する。さらに、前記送信部は、前記ファクシミリ送信ジョブを現実に送信する現実送信時刻を含む時間帯のパケットエラーの回数が第一の閾値より小さい第二の閾値より少ない場合に、当該ファクシミリ送信ジョブの送信速度を遅くし、前記現実送信時刻を含む時間帯のパケットエラーの回数が前記第二の閾値より多い場合に、当該ファクシミリ送信ジョブの送信速度を速くする。
【0008】
本発明の一の局面に係る通信方法は、取得ステップと、判定ステップと、変更ステップと、送信ステップとを備える。取得ステップは、ファクシミリ送信ジョブが受け付けられると、当該ファクシミリ送信ジョブの送信時刻を取得するとともに、予め設定された時間帯のうち、当該送信時刻が含まれる時間帯のパケットエラーの回数を取得する。判定ステップは、前記取得されたパケットエラーの回数が予め設定された第一の閾値を超過しているか否かを判定する。変更ステップは、前記パケットエラーの回数が前記第一の閾値を超過している場合、前記送信時刻を、前記パケットエラーの回数が前記第一の閾値より少ない時間帯に変更する。送信ステップは、前記変更された送信時刻で、前記ファクシミリ送信ジョブの画像データを当該ファクシミリ送信ジョブの送信先に送信する。さらに、前記送信ステップは、前記ファクシミリ送信ジョブを現実に送信する現実送信時刻を含む時間帯のパケットエラーの回数が第一の閾値より小さい第二の閾値より少ない場合に、当該ファクシミリ送信ジョブの送信速度を遅くし、前記現実送信時刻を含む時間帯のパケットエラーの回数が前記第二の閾値より多い場合に、当該ファクシミリ送信ジョブの送信速度を速くする。

【発明の効果】
【0009】
本発明の通信装置及び通信方法によれば、パケットエラーの発生頻度を低下させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る通信装置(複合機)の内部の全体構成を示す概念図である。
図2】本発明の実施形態における複合機の機能ブロック図である。
図3】本発明の実施形態の実行手順を示すためのフローチャートである。
図4】本発明の実施形態の履歴テーブルの時間帯と送信時刻との関係を示す図(図4A)と、本発明の実施形態の送信速度が遅い場合の例を示す図(図4B)と、本発明の実施形態の送信速度が速い場合の例を示す図(図4C)とである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、添付図面を参照して、本発明の通信装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベットSはステップを意味する。
【0012】
以下に、本発明の実施形態の一例として、ファクシミリ送受信機能を有する画像形成装置について説明する。尚、本発明の画像形成装置は、例えば、ファクシミリ、コピー、スキャナ、プリンター等の機能を備えた複合機(MFP:Multi Function Peripheral)が該当する。
【0013】
複合機100は、図1に示すように、VoIPアダプタ101を介してネットワーク102に接続されている。ネットワーク102には、他の通信装置103(ここでは、ファクシミリ送受信可能な電話機)が接続されており、複合機100は、VoIPアダプタ101を介して電話機103とファクシミリ送受信可能な状態である。
【0014】
ここで、VoIPアダプタ101は、通常の電話機(ここでは、複合機100)にIP電話サービスを利用可能とするために設置する装置であり、送信元の電話機と送信先の電話機との間のアナログ音声信号とデジタル音声信号とを含む(IP)パケットを相互に変換する機能を有する。(IP)パケットエラーの情報は、VoIPアダプタ101で発生する。
【0015】
尚、複合機100の制御回路は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、各駆動部に対応するドライバを内部バスによって接続している。
【0016】
複合機100のCPUは、例えば、RAMを作業領域として利用し、ROM、HDD等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいてドライバからのデータ、指示、信号、命令等を授受し、印刷ジョブの実行に関する各駆動部の動作を制御する。又、駆動部以外の後述する各部(図2に示す)についても、CPUが、各プログラムを実行することで当該各部を実現する。ROM、RAM、HDD等には、以下に説明する各部を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0017】
次に、図2図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。先ず、ユーザーが、複合機100の原稿台にファクシミリ用の原稿を設置し、操作部を介してファクシミリ送信先の情報(例えば、電話番号)を入力し、スタートキーを選択する。すると、複合機100の受付部201が、前記ファクシミリ送信ジョブを受け付けて(図3:S101)、前記原稿の画像データを読み取って、前記ファクシミリ送信ジョブに設定し、その旨を取得部202に通知する。当該通知を受けた取得部202は、前記ファクシミリ送信ジョブの送信時刻を取得するとともに(図3:S102)、予め設定された時間帯のうち、当該送信時刻が含まれる時間帯のパケットエラーの回数を取得する(図3:S103)。
【0018】
ここで、取得部202が取得する方法は、特に限定は無いが、例えば、取得部202が前記ファクシミリ送信ジョブに設定された送信時刻(例えば、午後5:30)を取得する。この送信時刻は、ユーザーがファクシミリ送信ジョブを入力する際にユーザーにより任意に設定されても、受付部201がファクシミリ送信ジョブを受け付けた際に受付部201により自動的に設定されても良い。次に、取得部202は、所定のメモリーに予め記憶された履歴テーブル(履歴情報)を参照する。
【0019】
ここで、履歴テーブル400には、図4Aに示すように、予め設定された時間帯401(例えば、午後5:00〜6:00)毎に、今まで発生したパケットエラーの回数402(例えば、5回)が予め記憶されている。この時間帯は、例えば、1日の24時間のうち、1時間毎に設定されている。又、パケットエラーの回数は、今まで実行されたファクシミリ送信ジョブのうち、パケットエラーが発生した場合に記憶された回数である(後述する)。取得部202は、前記履歴テーブル400を参照すると、前記送信時刻と、当該履歴テーブル400の時間帯401とを照合して、当該送信時刻が含まれる時間帯401を特定し、当該特定した時間帯401に対応するパケットエラーの回数402を取得する。
【0020】
さて、取得部202が取得を完了すると、その旨を判定部203に通知し、当該通知を受けた判定部203は、前記取得されたパケットエラーの回数が予め設定された閾値(例えば、4回)を超過しているか否かを判定する(図3:S104)。ここで、閾値は、ユーザーや管理者により、予め設定される。
【0021】
前記判定の結果、前記パケットエラーの回数が前記閾値を超過している場合(前記パケットエラーの回数が前記閾値以下でない場合)(図3:S104YES)、判定部203は、その旨を変更部204に通知する。当該通知を受けた変更部204は、前記送信時刻を、前記パケットエラーの回数が少ない時間帯に変更する(図3:S105)。
【0022】
ここで、変更部204が変更する方法は、特に限定は無いが、例えば、変更部204が、前記履歴テーブル400を参照し、変更前の送信時刻(午後5:30)が含まれる時間帯401(午後5:00〜6:00)の次の時間帯401(午後6:00〜7:00)を特定し、当該特定した次の時間帯401のパケットエラーの回数(例えば、0回)が前記閾値以下であるか否かを判定する。前記判定の結果、前記次の時間帯401のパケットエラーの回数が前記閾値以下である場合、変更部204は、前記次の時間帯401を、前記パケットエラーの回数が少ない時間帯と特定し、前記送信時刻を、当該特定した次の時間帯401に変更する。ここで、変更部204が変更する場合、前記送信時刻を、前記次の時間帯401が開始される開始時刻(午後6:00)に変更しても、前記次の時間帯401が終了する終了時刻(午後7:00)に変更しても、前記次の時間帯401の中間を示す中間時刻(午後6:30)に変更しても良い。一方、前記判定の結果、前記次の時間帯401のパケットエラーの回数が前記閾値を超過する場合、変更部204は、前記次の時間帯401の次の時間帯401(次の次の時間帯、午後7:00〜8:00)を特定し、当該特定した次の次の時間帯401のパケットエラーの回数が前記閾値以下であるか否かを判定する。つまり、変更部204は、上述の判定を繰り返すことで、前記パケットエラーの回数が少ない時間帯を検索することになる。
【0023】
変更部204が変更を完了すると、その旨を送信部205に通知し、当該通知を受けた送信部205は、前記変更された送信時刻で、前記ファクシミリ送信ジョブの画像データを当該ファクシミリ送信ジョブの送信先に送信する(図3:S106)。これにより、今までパケットエラーの発生が多かった時間帯を避けて、ファクシミリ送信ジョブを実行できるため、パケットエラーの発生を回避することが可能となる。
【0024】
一方、S104において、図4Aに示すように、前記送信時刻が午後8:30であり、当該送信時刻を含む時間帯401のパケットエラーの回数402が3回である場合は、下記のようになる。即ち、前記判定の結果、前記パケットエラーの回数(3回)が前記閾値(4回)を超過していない場合(前記パケットエラーの回数が前記閾値以下である場合)(図3:S104NO)、判定部203は、その旨を送信部205に通知し、当該通知を受けた送信部205は、前記送信時刻が変更されることなく、前記ファクシミリ送信ジョブに設定された送信時刻(午後8:30)で、前記ファクシミリ送信ジョブの画像データを当該ファクシミリ送信ジョブの送信先に送信する(図3:S106)。この場合は、パケットエラーの発生の頻度が少ない送信時刻であるため、前記ファクシミリ送信ジョブが円滑に実行される。
【0025】
さて、S106において、送信部205が送信する方法は、特に限定は無いが、例えば、ファクシミリ送信ジョブの画像データを、複合機100(送信元の電話機)と送信先の電話機103との間に設置されたVoIPアダプタ101へ送り、当該VoIPアダプタ101でデータ変換を行わして、所定の送信先の電話機103へ送信させる。又、送信部205は、前記ファクシミリ送信ジョブを現実に送信する現実送信時刻を含む時間帯401のパケットエラーの回数が少ない場合に、当該ファクシミリ送信ジョブの送信速度を遅くし、前記現実送信時刻を含む時間帯401のパケットエラーの回数が多い場合に、当該ファクシミリ送信ジョブの送信速度を速くする。ここで、現実送信時刻は、S104以降の送信時刻を意味し、例えば、前記パケットエラーの回数が前記閾値を超過している場合には(図3:S104YES)、変更後の送信時刻を意味し、前記パケットエラーの回数が前記閾値を超過していない場合には(図3:S104NO)、非変更の送信時刻を意味する。又、現実送信時刻の時間帯401のパケットエラーの回数は上述の処理により前記閾値以下であることは明らかであるから、所定の時間帯401のパケットエラーの回数が少ないか否かの判定は、例えば、送信速度に対応して、当該閾値よりも少ない第二の閾値(2回)を用いて、当該パケットエラーの回数が当該第二の閾値を超過するか否かの判定に対応させる。
【0026】
例えば、上述において、変更後の送信時刻(現実送信時刻)を上述した中間時刻の午後6:30として、送信部205が送信する場合、図4Bに示すように、現実送信時刻が含まれる時間帯401のパケットエラーの回数402が0回である。そのため、送信部205が、現実送信時刻の時間帯401のパケットエラーの回数402が前記第二の閾値を超過しないと判定し、前記ファクシミリ送信ジョブの送信速度を遅くして、当該ファクシミリ送信ジョブを実行する。ここで、送信部205が送信速度を遅くする方法は、特に限定は無く、例えば、予め設定された初期の送信速度を2で除算した送信速度にする方法を挙げることが出来る。これにより、パケットエラーの発生が集中していない時間帯では、送信中にパケットエラーが発生し難い低い送信速度を採用することで、更に、パケットエラーの発生を防止することが出来る。
【0027】
一方、上述において、非変更の送信時刻(現実送信時刻)を午後8:30として、送信部205が送信する場合、図4Cに示すように、現実送信時刻が含まれる時間帯401のパケットエラーの回数402が3回である。そのため、送信部205が、現実送信時刻の時間帯401のパケットエラーの回数402が前記第二の閾値を超過すると判定し、前記ファクシミリ送信ジョブの送信速度を速くして、当該ファクシミリ送信ジョブを実行する。ここで、送信部205が送信速度を速くする方法は、特に限定は無く、例えば、予め設定された初期の送信速度を2で乗算した送信速度にする方法を挙げることが出来る。これにより、パケットエラーの発生が集中する時間帯では、送信中にパケットエラーが発生し難い高い送信速度を採用することで、更に、パケットエラーの発生を防止することが出来る。
【0028】
さて、送信部205が送信を完了すると、その旨を検知部206に通知し、当該通知を受けた検知部206は、前記送信されたファクシミリ送信ジョブにおいてパケットエラーが発生したか否かを検知する(図3:S107)。
【0029】
ここで、検知部206が検知する方法は、特に限定は無いが、例えば、前記VoIPアダプタ101を参照し、前記送信されたファクシミリ送信ジョブにおいてパケットエラーが発生したか否かを検知する。ここで、前記VoIPアダプタ101では、ファクシミリ送信ジョブが実行された場合に、仮に、ネットワーク102等の通信状況やファクシミリ送信ジョブが頻発する時間帯に応じて、パケットエラーが発生すると、その情報が生成される。そのため、検知部206が、前記VoIPアダプタ101を監視することで、前記ファクシミリ送信ジョブにおいてパケットエラーが発生したか否かを検知することが出来る。
【0030】
前記検知の結果、前記パケットエラーが発生しなかった場合(図3:S107NO)、検知部206は、特に何もすること無く、処理を完了する。この場合は、前記ファクシミリ送信ジョブの実行が成功したことに対応する。
【0031】
一方、S107において、前記パケットエラーが発生した場合(図3:S107YES)、検知部206は、その旨を履歴部207に通知する。当該通知を受けた更新部207は、前記VoIPアダプタ101から前記パケットエラーが発生した発生時刻を取得し、当該取得した発生時刻が含まれる時間帯のパケットエラーの回数を更新する(図3:S108)。
【0032】
ここで、更新部207が更新する方法は、特に限定は無いが、例えば、更新部207は、前記履歴テーブル400を参照し、前記発生時刻と、当該履歴テーブル400の時間帯401とを照合して、当該発生時刻が含まれる時間帯401を特定し、当該特定した時間帯401に対応するパケットエラーの回数402を取得する。そして、更新部207は、前記取得したパケットエラーの回数402(例えば、3回)に1回を加算した加算回数を、新たなパケットエラーの回数402(4回)として、前記特定した時間帯401に更新する。これにより、パケットエラーが発生する度に、その発生時刻を履歴テーブル400に反映させることが可能となる。
【0033】
さて、更新部207が更新を完了すると、その旨を受付部201に通知し、当該通知を受けた受付部201は、前記パケットエラーが発生したファクシミリ送信ジョブの再送信を受け付ける(図3:S109)。この場合、S102へ戻り、再度、取得部202が、再送信のファクシミリ送信ジョブの送信時刻を取得するとともに(図3:S102)、当該送信時刻が含まれる時間帯のパケットエラーの回数を取得する(図3:S103)。この場合の送信時刻は、上述した現実送信時刻となるが、前記履歴テーブル400が更新されることで、後述するS104以降の処理により、再送信のファクシミリ送信ジョブの送信時刻が、更に、パケットエラーが発生し難い時間帯の時刻に変更される。これにより、再送信のファクシミリ送信ジョブを確実に実行させることが可能となる。
【0034】
尚、本発明の実施形態では、複合機100が各部を備えるよう構成したが、当該各部を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、前記プログラムを通信装置に読み出させ、当該通信装置が前記各部を実現する。その場合、前記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各部が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明に係る通信装置及び通信方法は、複合機はもちろん、ファクシミリ送受信機、電話機、通信装置等に有用であり、パケットエラーの発生頻度を低下させることが可能な通信装置及び通信方法として有効である。
【符号の説明】
【0036】
100 複合機
201 受付部
202 取得部
203 判定部
204 変更部
205 送信部
206 検知部
207 更新部
図1
図2
図3
図4