(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180370
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】絶縁電線の耐電圧試験
(51)【国際特許分類】
G01R 31/12 20060101AFI20170807BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20170807BHJP
H01R 13/24 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
G01R31/12 B
H01R43/00 Z
H01R13/24
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-112763(P2014-112763)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-228300(P2015-228300A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2016年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(72)【発明者】
【氏名】石田 悦章
【審査官】
竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−062377(JP,U)
【文献】
特開昭63−293845(JP,A)
【文献】
実開昭50−126982(JP,U)
【文献】
特開2002−267709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02 − 31/06
G01R 31/12 − 31/20
H01R 43/00
H01R 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁電線(p、p1、p2、p3)の端末に嵌めるその絶縁電線の耐電圧試験用端末接続治具(10)であって、絶縁性筒体(11)と、その筒体(11)内に装填されたスチールウールからなる導電性弾性体(12)と、その導電性弾性体(12)から前記筒体(11)の外部に導出されたリード線(w、21a)とから成り、前記筒体(11)をその開口から前記絶縁電線(p)の端末に嵌め込み、その嵌め込みによって、前記導電性弾性体(12)を圧縮して絶縁電線(p)の導体(2)に接するようにしたことを特徴とする絶縁電線耐電圧試験用端末接続治具。
【請求項2】
絶縁電線(p、p1、p2、p3)の端末に嵌めるその絶縁電線の耐電圧試験用端末接続治具(10)であって、絶縁性筒体(11)と、その筒体(11)内に装填されたコイルバネ(12a)からなる導電性弾性体(12)と、その導電性弾性体(12)のコイルバネ(12a)の一端を前記筒体(11)の外部に導出して接続されたリード線(w)とから成り、前記筒体(11)をその開口から前記絶縁電線(p)の端末に嵌め込み、その嵌め込みによって、前記導電性弾性体(12)を圧縮してそのコイルバネ(12a)の輪状他端を絶縁電線(p)の導体(2)に接するようにしたことを特徴とする絶縁電線耐電圧試験用端末接続治具。
【請求項3】
絶縁電線(p、p1、p2、p3)の端末に嵌めるその絶縁電線の耐電圧試験用端末接続治具(10)であって、絶縁性筒体(11)と、その筒体(11)内に装填された導電性弾性体(12)と、その導電性弾性体(12)から前記筒体(11)の外部に導出されたリード線(w、21a)とから成り、
上記筒体(11)を弾性体としてその内径を上記絶縁電線(p)の端末径より小さくし、前記筒体(11)を拡径してその開口から絶縁電線(p)の端末に嵌め込み、その嵌め込みによって、前記導電性弾性体(12)を圧縮して絶縁電線(p)の導体(2)に接するようにしたことを特徴とする絶縁電線耐電圧試験用端末接続治具。
【請求項4】
上記導電性弾性体(12)をコイルばね(12a)によって構成したことを特徴とする請求項3に記載の絶縁電線耐電圧試験用端末接続治具。
【請求項5】
絶縁電線(p、p1、p2、p3)の端末に嵌めるその絶縁電線の耐電圧試験用端末接続治具(10)を、絶縁性筒体(11)と、その筒体(11)内に装填された導電性弾性体(12)と、その導電性弾性体(12)から前記筒体(11)の外部に導出されたリード線(w、21a)とから成り、前記筒体(11)をその開口から前記絶縁電線(p)の端末に嵌め込み、その嵌め込みによって、前記導電性弾性体(12)を圧縮して絶縁電線(p)の導体(2)に接するように構成し、その複数の端末接続治具(10)を並べ、その各端末接続治具(10)の各リード線(w)を直列に接続したことを特徴とする絶縁電線耐電圧試験用電線。
【請求項6】
上記導電性弾性体(12)をコイルばね(12a)によって構成したことを特徴とする請求項5に記載の絶縁電線耐電圧試験用電線。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れか一つに記載の複数の端末接続治具(10)を並べ、その各端末接続治具(10)の各リード線(w)を直列に接続したことを特徴とする絶縁電線耐電圧試験用電線。
【請求項8】
絶縁電線(P、p、p1、p2、p3)が巻回された複数のドラム(D)を並べ、その各ドラム(D)から前記絶縁電線を引き出し、その引き出した絶縁電線の端末に請求項5〜7の何れか一つに記載の絶縁電線耐電圧試験用電線(W、w)の各端末接続治具(10)を嵌め込み、その端末接続治具を介して各ドラム(D)の前記絶縁電線に所定の電圧を印加し、ドラム(D)内の前記絶縁電線の間に絶縁破壊が生じた時、電圧計(V)によってその絶縁破壊を検知することを特徴とする絶縁電線耐電圧試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、600V以下の電力を供給する低圧絶縁電線、例えば、電柱から建物に電線を引き込む架空引き込み配線に使用される引込用ビニール絶縁電線(DV電線)等の耐電圧試験を行う際、その絶縁電線の端末に電圧を印加するための接続治具、その接続治具を用いた耐電圧試験用電線及びその電線を使用した耐電圧試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電線は、導体が絶縁体で覆われている絶縁電線と、導体が絶縁体と保護被覆(シース)とで覆われているケーブルに大別でき、それらの電線は、工場からの出荷時、取り扱う電圧に対して十分な絶縁耐力があるかどうかの耐電圧試験が行われる。
そのケーブルの耐電圧試験は、数万KV以上の電圧が印加されるため、導体を露出させた後、その露出導体を絶縁油を封入した碍管で被って行われる(特許文献1、第1図参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2633613号公報
【0004】
一方、前者の一つであるDV電線は、導体を塩化ビニールで絶縁被覆し、その絶縁電線の2本(2相)又は3本(3相)を撚ったものであり、工場からは、ドラムに巻回されて出荷される(本願
図1、
図7参照)。その出荷時、同様に、耐電圧試験が行われる。
【0005】
その耐電圧試験は、低圧(600V以下)であることから、例えば、
図6、
図7に示すように、DV電線Pを巻回したドラムDの所要数を直列に並べ、その各ドラムDからDV電線Pの3本(3相)の絶縁電線p1、p2、p3(絶縁被覆:黒色、緑色、青色、以下、総称して「p」と称する。)を引き出し、その各絶縁電線pをそれぞれリード線wで直列接続し、そのリード線wを電圧計Vを介して電源装置Eに接続して行う。すなわち、低圧であることから、露出導体を絶縁油を封入した碍管で被ったりしない。
【0006】
このとき、3本のリード線wの2本(2相、例えば、黒色絶縁被覆電線p1、緑色絶縁被覆電線p2)を電源装置Eに接続し、例えば、その各絶縁電線p1、p2の間に3000Vの電圧を1分間印加し、その間に、電圧降下が生じないかを測定し、さらに、他の2本(2相、例えば、黒色絶縁被覆電線p1、青色絶縁被覆電線p3)を電源装置Eに接続し、例えば、その各絶縁電線p1、p3の間に3000Vの電圧を1分間印加し、その間に、電圧降下が生じないかを測定して、各絶縁電線p1、p2、p3の間に十分な絶縁耐力があるかどうかを試験する。
【0007】
この試験の場合、黒色絶縁被覆電線p1と緑色絶縁被覆電線p2の間で電圧降下が生じず、黒色絶縁被覆電線p1と青色絶縁被覆電線p3の間で電圧降下が生じた場合は、青色絶縁被覆電線p3の絶縁被覆に十分な絶縁耐力が無いこと、例えば、ピンホール等が存在することとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような絶縁電線の耐電圧試験において、従来、各絶縁電線pとリード線wの接続は、
図7、
図8に示すように、絶縁電線pの端末の絶縁被覆1をカッターにより剥ぎ取って所要長さの導体2を露出させ、その露出導体2にリード線wを括り付けて行っている。
そのカッターによる剥ぎ取りは、手の損傷等の危険が伴い、また、並べられるドラムDは、100個を超える場合があり、その場合は、各絶縁電線pとリード線wの括り付けによる接続作業は、300箇所以上となって、その作業は非常に煩雑なものとなっている。
【0009】
また、試験終了後、リード線wを括り付けた絶縁電線端末は、導体2が露出したままでは製品として出荷できないため、その露出した導体部分を除去する、例えば、
図8(c)の鎖線cの箇所で端末を切り落とす必要があり、その作業が煩わしいと共に、剥離した絶縁被覆及び露出導体が無駄となっている。
【0010】
この発明は、以上の実状に鑑み、各絶縁電線pの端末を無駄にすることなく、各絶縁電線pとリード線wの接続作業を簡単かつ円滑に行い得るようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するため、この発明は、上記各絶縁電線pの端末とリード線wの接続を、絶縁性筒体と、その筒体内に装填された導電性弾性体と、その導電性弾性体から筒体の外部に導出されたリード線とから成る接続治具で行うこととしたのである。
この接続治具であると、絶縁電線の端末に絶縁性筒体を導電性弾性体が縮まるように嵌めると、端末の露出する導体端面がその導電性弾性体に接する。このため、筒体外部に導出されたリード線から絶縁電線の導体に所要の電圧を印加することができる。
【0012】
この発明の構成としては、絶縁電線の端末に嵌めるその絶縁電線の耐電圧試験用端末接続治具において、絶縁性筒体と、その筒体内に装填された導電性弾性体と、その導電性弾性体から筒体の外部に導出されたリード線とから成り、前記筒体をその開口から前記絶縁電線の端末に嵌め込み、その嵌め込みによって、前記導電性弾性体を圧縮して絶縁電線の導体に接するようにした構成を採用することができる。
上記絶縁電線としては、低圧の物に限らず、高圧の物を採用し得るが、その場合には、他の部材、例えば、リード線等もその高圧に耐え得る物を使用する。
【0013】
この構成において、上記筒体を弾性体としてその内径を上記絶縁電線の端末径より小さくしたものとすれば、前記筒体を絶縁電線の端末に嵌め込むと、筒体が絶縁電線の端末に自身の弾力によって固定される。このため、端末の露出する導体端面の導電性弾性体への接し状態が安定する。その筒体の内径と絶縁電線の端末径(外径)の比は、後者に対し前者は91〜96%が好ましい。例えば、後者:7.4mm径、8.8mm径、11.4mm径、13.5mm径であれば、それぞれに対し、前者:7.0mm径、8.0mm径、11.0mm径、13.0mm径として、94.6%、90.9%、96.5%、96.3%とする。
上記導電性弾性体は、その作用を発揮し得る限りにおいて、その態様は任意であるが、例えば、スチールウールやコイルばね等を使用することができる。
【0014】
上記各構成の複数の端末接続治具を並べ、その各端末接続治具の各リード線を直列に接続した絶縁電線耐電圧試験用電線とすることができる。この絶縁電線耐電圧試験用電線は、例えば、絶縁電線が巻回された複数のドラムを並べ、その各ドラムから絶縁電線を引き出し、その引き出した絶縁電線の端末に、その絶縁電線耐電圧試験用電線の各端末接続治具を嵌め込み、その端末接続治具を介して各ドラムの絶縁電線に所定電圧を印加し、ドラム内の絶縁電線の間に絶縁破壊が生じた時、前記電圧計によってその絶縁破壊を検知する構成の絶縁電線耐電圧試験装置の一部として使用することができる。
このとき、その絶縁電線耐電圧試験用電線の端末を電圧計を介して電源装置に接続し、その電源装置によって、前記絶縁電線耐電圧試験用電線及び端末接続治具を介して各ドラムの絶縁電線に所定電圧を印加することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、以上のように構成したので、各絶縁電線の端末を無駄にすることなく、各被試験物である各絶縁電線と電源装置へのリード線との接続作業が簡単かつ円滑に行い得るようになって、耐電圧試験の作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明に係る耐電圧試験装置の一実施形態の概略一部省略斜視図
【
図2】(a)は同実施形態の要部拡大図、(b)は(a)のb−b線断面図
【
図4】この発明に係る端末接続治具の他の実施形態の断面図
【
図5】この発明に係る端末接続治具のさらに他の実施形態の断面図
【
図8】同従来例における絶縁電線端末と電源装置へのリード線との接続作業説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明に係る耐電圧試験装置の一実施形態を
図1〜
図3に示し、この実施形態の電源装置Eへのリード線をなす電圧印加用電線Wは、3本の絶縁電線w(外径:7.4mm)をその長さ方向の適宜な位置で筒状絶縁体cを間にしてテープ巻きtによって一体とし(
図2(b)参照)、そのテープ巻きの間及び一端末に、この発明に係る端末接続治具10を設け、他の端末にアリゲータクリップ(ワニクリップ)5を設けたものである。3本の絶縁電線wを筒状絶縁体cを介して離したのは、試験電圧の印加時、その各絶縁電線wが接してその間で絶縁破壊が生じないようにするためである。
【0018】
端末接続治具10は、
図3に示すように、軟質塩化ビニール樹脂からなって弾性を有する有蓋のキャップ状の絶縁性筒体(内径:7.0mm)11と、その筒体11内に装填されたスチールウールからなる導電性弾性体12とからなり、その筒体11内に、その両側から電圧印加用絶縁電線wの露出導体w1が挿入され括り結ばれて、導電性弾性体12に接している。因みに、キャップ状絶縁性筒体11は、従来、絶縁電線wの端末に嵌められてその端末を保護するキャップとして使用されているものである。
【0019】
この端末接続治具10の筒体11を、
図3(a)から同(b)に示すように、切り落とされた絶縁電線pの端末に嵌め込むと、その端末は導電性弾性体12を押しながら奥に入り込んで筒体11が固定される。このとき、筒体11の内径は絶縁電線pの外径より少し小さく設定されているため(7.0<7.4mm)、筒体11はその弾力でもって絶縁電線pの端末に確実に固定される。また、絶縁電線pの端末は切り落とされているため、その端面に導体2の端面が露出しており、その導体2の端面が
スチールウールからなる導電性弾性体12
を圧縮して面接触によって確実に接する。
このように、絶縁電線pの端末に端末接続治具10が嵌められると、被試験物である絶縁電線pと電圧印加用電線である絶縁電線wは導通状態となる。すなわち、電圧印加用電線wを介して絶縁電線pに電圧を印加可能となる。
【0020】
この3本のリード線(絶縁電線w)をなす電圧印加用電線Wによる耐電圧試験、例えば、3本の絶縁電線pからなるDV電線である絶縁電線Pの耐電圧試験にあっては、
図1に示すように、絶縁電線Pが巻回されたドラムD(約1m径)が並べられた態様において、まず、その各ドラムDから絶縁電線Pを引き出す。その引き出された絶縁電線P(p)の端末の端面は、
図3に示すようにフラットに切り落としとして絶縁被覆1の中心に導体2の端面が露出している状態となっている。この状態は出荷状態である。
その後、又はその前に、その並べたドラムDに沿って電圧印加用電線Wを配置する。このとき、電線Wの長さはドラムDの並べ長さ以上、例えば、ドラムDの並べ長さが100mであれば、100m以上とする。
【0021】
つぎに、その引き出した絶縁電線Pを3相(3本)の絶縁電線p(p1、p2、p3)にばらした後、
図1に示すように、その各絶縁電線pの端末に端末接続治具10を嵌め込み、その絶縁電線耐電圧試験用電線pの端末を電圧計Vを介して電源装置Eに接続する。その接続は、アリゲータクリップ5でもって、3本のリード線wの2本(2相、例えば、黒色絶縁被覆電線p1、緑色絶縁被覆電線p2)を電源装置Eにその端子eを介して接続し、その両絶縁電線p1、p2の間に3000Vの電圧を1分間印加する。その電圧印加の間に、電圧降下が生じないかを測定し、さらに、他の2本(2相、例えば、黒色絶縁被覆電線p1、青色絶縁被覆電線p3)を電源装置Eに接続し、その両絶縁電線p1、p2の間に3000Vの電圧を1分間印加し、その間に、電圧降下が生じないかを測定して、各絶縁電線p1、p2、p3の間に十分な絶縁耐力があるかどうかを試験する。
【0022】
この試験においては、従来と同様に、例えば、黒色絶縁被覆電線p1、緑色絶縁被覆電線p2の間で電圧降下が生じず、黒色絶縁被覆電線p1、青色絶縁被覆電線p3の間で電圧降下が生じた場合は、青色絶縁被覆電線p3の絶縁被覆に十分な絶縁耐力が無いこと、例えば、ピンホール等が存在することとなる。
【0023】
上記端末接続治具10は、
図4に示すように、止めピン21を筒体11の蓋部から差し込んでその導電性ピン部分21aをスチールウールからなる導電性弾性体12に接触させるとともに、露出するそのピン部分12aにリード線wを括り付けて電気的に接続したものとすることができる。この構成は、従来の絶縁電線端末保護用キャップと、市販の金属たわし(束子)としてのスチールウール12及び止めピン21によるため、安価かつ簡単に作り得るものである。
また、端末接続治具10の導電性弾性体12は、
図5に示すように、導電性金属からなるコイルばね12aを採用することができる。
この導電性弾性体12をコイルバネ12aとした場合、同図に示すように、コイルバネ12aの一端を筒体11の外部に導出してリード線wに接続し、筒体11をその開口から絶縁電線pの端末に嵌め込み、その嵌め込みによって、コイルバネ12aを圧縮してその輪状他端を絶縁電線pの導体2に線接触させて試験する。
【0024】
上記各端末接続治具10の筒体11は、有蓋キャップ状としたが、絶縁電線pの端末の嵌め込み時、導電性弾性体12が圧縮されて飛び出さない限りにおいて、蓋のないものとし得る。例えば、
図3において、絶縁電線wの導体w1の括り結び部分でその飛び出しを防げる場合等である。
また、筒体11の内周面には凹凸、例えば、ねじ条(溝)を形成して抜けにくくすることもできる。
さらに、筒体11の内径は嵌める絶縁電線pの太さ(外径)に応じて適宜に設定し、例えば、上記のように、その筒体11の内径と絶縁電線pの端末径の比は、後者に対し前者を91〜96%とする。その材質も塩化ビニール以外の種々の絶縁性樹脂を採用し得ることは勿論である。
【0025】
なお、この発明は、上記の導体2が絶縁体1で覆われている絶縁電線pのみならす、導体が絶縁体と保護被覆(シース)とで覆われたケーブルにおいても採用することができ、この場合は、シースを剥がして端末接続治具10を嵌めることとなる。
また、この発明は、DV電線のみならず、他の低圧又は高圧の絶縁電線及びケーブルの耐電圧試験に採用し得ることは言うまでもない。
さらに、3相に限らず、1相、2相の絶縁電線(ケーブル)においても、この発明は採用できる。1相の場合は、従来と同様に、水槽内に絶縁電線を浸して行う。
このように、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0026】
D ドラム
E 電源装置
P 被試験体である低圧絶縁電線(DV電線)
V 電圧計
p、p1、p2、p3 その低圧絶縁電線をなす3相の各絶縁電線
W 電圧印加用電線
w その電圧印加用電線をなす3本の各絶縁電線
1 被試験体である絶縁電線の絶縁被覆
2 同導体
5 アリゲータクリップ(端末接続子)
10 端末接続治具
11 端末接続治具のキャップ状絶縁性筒体
12 導電性弾性体(スチールウール)
12a 導電性弾性体(コイルばね)
21 端末接続治具の引き出しリード線(止めピン)
21a 同ピン部分