【文献】
REIJERKERK S R,TUNING OF MASS TRANSPORT PROPERTIES OF MULTI-BLOCK COPOLYMERS FOR CO2 CAPTURE APPLICATIONS,JOURNAL OF MEMBRANE SCIENCE,NL,ELSEVIER SCIENTIFIC PUBLISHING COMPANY,2010年 9月 1日,V359 N1-2,P54-63
【文献】
HORROCKS A R,THE EFFECTS OF STRESS, ENVIRONMENT AND POLYMER VARIABLES ON THE DURABILITIES 以下備考,POLYMER DEGRADATION AND STABILITY,英国,1994年 1月 1日,V46 N2,P181-194,OF ORIENTED POLYPROPYLENE TAPES
【文献】
THOERNBLOM K,THE EXTRACTABILITY OF PHENOLIC ANTIOXIDANTS INTO WATER AND ORGANIC SOLVENTS 以下備考,POLYMER DEGRADATION AND STABILITY,英国,2011年 7月28日,V96 N10,P1751-1760,FROM POLYETHYLENE PIPE MATERIALS - PART I
【文献】
GEERTZ G,STABILISER DIFFUSION IN LONG-TERM PRESSURE TESTED POLYPROPYLENE PIPES ANALYSED BY IR MICROSCOPY,POLYMER DEGRADATION AND STABILITY,英国,2009年 7月 1日,V94 N7,P1092-1102
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤、及び/またはスルホン酸塩系酸化防止剤のうち1つまたは複数をさらに含む、請求項1または2のいずれか1項に記載の構成要素。
アミン吸収液、アミン蒸気及び/またはスチームに晒されることが予想される前記構成要素の表面には、前記ポリプロピレン組成物が塗布される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の構成要素。
アミン水溶液、その蒸気及び/またはスチームに晒されることが予想される前記構成要素の表面は、前記構成要素の前記表面に固定される前記ポリプロピレン組成物を含むライナーである請求項1〜7のいずれか1項に記載の構成要素。
請求項1〜9のいずれか1項に記載の構成要素を製造する方法であって、ライナーをアミン吸収液、その蒸気、及び/またはスチームに晒されることが予想される前記構成要素の表面に取り付けることを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0029】
定義
用語「構成要素」は、カラム、管、カラムの筐体部などのような水性アミン溶液及び/または水性アミン流及び蒸気性アミンと接触する本発明に係るプラントの一部を構成する要素を意味する。
【0030】
用語「カラム」は、本体、少なくとも1つの挿入口、及び少なくとも1つの排出口を有する細長い構造を意味する。カラムは、例えば、円柱形または楕円形であり得る。
【0031】
用語「酸性ガス」は、水に溶解した際、pH7以下を示すガスを意味する。
【0032】
本明細書において、用語「ポリオレフィン」は、アルケン由来の単位を含むポリマーを意味する。好ましくは、ポリオレフィンは、C
2及びC
3ポリオレフィンであり、それぞれエチレン及び/またはプロピレンに由来する単位を含む。
【0033】
本明細書において、用語「エチレンポリマー」は、エチレン由来の少なくとも50モル%単位を含むポリマーを意味する。
【0034】
本明細書において、用語「プロピレンポリマー」は、プロピレン由来の少なくとも50モル%単位を含むポリマーを意味する。
【0035】
用語「エチレンホモポリマー」及び「プロピレンホモポリマー」は、それぞれエチレン及びプロピレン由来の反復単位を実質的に含むポリマーを包含することを意味する。ホモポリマーは、例えば、適宜、エチレンまたはプロピレン由来の反復単位に対し、少なくとも99wt%、例えば100wt%含まれ得る。
【0036】
用語「エチレンコポリマー」は、エチレン及び少なくとも1つの他のモノマーから反復単位を含むポリマーを包含することを意味する。通常、コポリマーは、エチレン以外の少なくとも1つのモノマーからの反復単位に対し、少なくとも1wt%、より好ましくは少なくとも2wt%である。
【0037】
用語「ポリエチレンコポリマー」は、プロピレン及び少なくとも1つの他のモノマーからの反復単位を含むポリマーを包含することを意味する。通常コポリマーは、プロピレン以外の少なくとも1つのモノマーに対し、少なくとも1wt%、より好ましくは少なくとも2wt%である。
【0038】
用語「酸化防止剤」は、ポリオレフィンでのラジカル反応、したがって、本発明では分解工程を阻害することが可能な薬剤を意味する。
【0039】
用語「加水分解安定酸化防止剤」は、25℃、pH7で少なくとも3年の半減期を有する酸化防止剤を意味する(EPIWIN HYDROWIN program v1.67)。
【0040】
酸性ガス
酸性ガスは、例えば、CO
2、H
2S、SO
2、CS
2、HCN、COS、NO
2またはメルカプタンであり得る。しかし、高頻度で、酸性ガスは、CO
2であり得る。ガスは一般的に、石炭、有機廃棄物、または油の燃焼などのような酸化反応からの排気物中に存在する。
【0041】
アミン吸収液
酸性ガスの回収に使用されるアミン吸収液は、CO
2などのような酸性ガスの回収に提案されるまたは使用されている任意のアミン水溶液を含み得る。酸性ガスの回収に示唆されるアミンの例としては、とりわけ、2009年8月8日付の米国特許第7585479 B号(INSTITYTE FRANCAIS DU PETROE)に挙げられ得る。本発明と関連して試験を行うアミンの例としては、AMP(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール)、AEP(アミノエチルピペラジン)、MEA(モノエタノールアミン)、ピペラジン、及びその混合物が挙げられる。
【0042】
ポリオレフィン
好ましくは、ポリオレフィンは、エチレンポリマーまたはプロピレンポリマーであり、より好ましくはプロピレンポリマーである。
【0043】
プロピレンポリマー特性
本発明で使用される組成物中のプロピレンポリマーは、好ましくは、プロピレン由来の少なくとも80モル%単位を含む。より好ましくは、プロピレンポリマーは、プロピレン由来の少なくとも95モル%単位、特に好ましいのは、少なくとも99モル%単位を含む(例えば、97〜99.9モル%単位)。
【0044】
プロピレンポリマーは、1つまたは複数のモノマーからの単位を含み得る。例えば、単位は、2、または4〜10炭素原子を有するa−オレフィン由来のものがあり得る。r適切なモノマーの例としては、エチレン、ブタ−1−エン、ペンタ−1−エン、ヘキサ−1−エン及びオクタ−1−エンを含む。エチレン及びブテンが好ましい。
【0045】
好ましいプロピレンポリマーは、2または4〜10炭素原子を有するa−オレフィン由来の単位に対し、40モル%未満含まれる。またさらに好ましいプロピレンポリマーは、2または4〜10炭素原子を有するa−オレフィン由来の単位に対し、20モル%未満、特に好ましくは、例えば5モル%未満など、10モル%未満含まれる。特に好ましいプロピレンポリマーは、ポリピレン由来の単位を本質的に含む(例えば、含有する)。
【0046】
また、より好ましくは、プロピレンポリマーは、ホモポリマーである。プロピレンホモポリマーは、熱耐性が高く、耐薬品性にも優れている。従って、本発明での使用に好ましい。
【0047】
プロピレンポリマーは、好ましくは、密度、855〜946kg/m
3、より好ましくは、900〜920kg/m
3、さらに好ましくは、902〜905kg/m
3である。
【0048】
プロピレンポリマーは、好ましくは、0.01〜100g/10分、好ましくは、0.05〜20g/10分、より好ましくは、0.1〜2g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR2)を有する。好ましくは、プリピレンポリマーのメルトフローレート(MFR2)は、2g/10分未満である。
【0049】
プロピレンポリマーは、好ましくは、130〜171℃、より好ましくは、140〜165℃、さらに好ましくは、140〜150℃(例えば、約150〜165℃)の範囲の融点を有する。
【0050】
プロピレンポリマーは、好ましくは、例えば、およそ30〜70%、例えば、45〜60%の結晶度を有する部分的に結晶体からなる。特に好ましくは、プロピレンポリマーはβ−結晶相を含む。好ましくは、30〜100%、より好ましくは50%超、またさらに好ましくは80%超の最終生成物に存在する結晶相が、β型である。β型の結晶体の存在は、ポリマーの耐薬品性を向上させることが分かっている。
【0051】
本発明で使用されるプロピレンポリマーは、好ましくは、構造的に均質である(例えば、ゲルフリー)。好ましくは、プロピレンポリマーは、135℃でデカリンに可溶である。好ましくは、プロピレンポリマーの分子量分布(MWD)は、2〜20、より好ましくは、2.5〜8、またさらに好ましくは、3〜7、例えば、約3.5〜6.5の範囲である。
【0052】
分子量分布に関し、プロピレンポリマーは、単峰型または多峰型(例えば、双峰型)である。多峰型ポリマーの分子量特性は単一のピークを含まず、むしろ、ポリマーが2つ以上の別の生産成分を含むという事実による結果として、異なる平均分子量に集中する2以上のピークの組み合わせ(区別可能なものも不可なものもある)を含む。
【0053】
プロピレンポリマーが多峰型である場合、その成分はプロピレンホモポリマー、または、プロピレンコポリマーであり得る。しかし、好ましくは、このようなポリマーにおいて、プロピレンポリマー成分は、異なるコポリマーである。各プロピレン成分に対し、少なくとも20wt%、より好ましくは少なくとも30wt%、またさらに好ましくは少なくとも40wt%である多峰型プロピレンポリマーは、ポリマーの総量に基づき存在する。
【0054】
好ましくは、本発明のプロピレンポリマーは、分子量分布に関し単峰型である。
【0055】
本発明で使用される適切なプロピレンポリマーは、市販されている。例えば、b−PP BE60−7032は、Borealis ASより市販されている。
【0056】
あるいは、プロピレンポリマーは、既知の重合工程により調製され得る。
【0057】
エチレンポリマー特性
本発明の組成物に存在するエチレンポリマーは、好ましくは、エチレン由来の少なくとも80モル%単位を含む。またさらに好ましくは、エチレンポリマーは、エチレン由来の、少なくとも95モル%単位、特に好ましくは少なくとも99モル%単位を含む。
【0058】
エチレンポリマーは、1つまたは複数の他のモノマーからの単位を含み得る。単位は、例えば、3〜10炭素元素を有するa−オレフィン由来のものが存在し得る。適切なモノマーの例としては、プロピレン、ブタ−1−エン、ペンタ−1−エンM、ヘキサ−1−エン、及びオクタ−1−エンが含まれる。プロピレン及びブテンが好ましい。
【0059】
好ましいエチレンポリマーは、3〜10炭素元素を有するa−オレフィン由来の単位40モル%未満を含む。またさらに好ましいエチレンポリマーは、3〜10炭素元素を有するa−オレフィン由来の単位20持つ%未満、特に好ましくは10モル%未満、例えば5モル%未満を含む。特に好ましいエチレンポリマーは、エチレン由来の単位を本質的に含む(例えば、含有する)。
【0060】
またさらに好ましくは、エチレンポリマーはホモポリマーである。
【0061】
エチレンポリマーは、好ましくは、密度925〜970kg/m
3、より好ましくは、940〜965kg/m
3、またさらに好ましくは、960〜965kg/m
3である。
【0062】
エチレンポリマーは好ましくは0.0001〜50g/10分、好ましくは0.001〜10g/10分、より好ましくは、0.005〜1g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR2)を有する。好ましくは、エチレンポリマーのメルトフローレート(MFR2)は、0.5g/10分未満である。
【0063】
エチレンポリマーは好ましくは、0.001〜200g/10分、好ましくは0.01〜50g/10分、より好ましくは0.05〜5g/10分の範囲のメルトフローレート(MFR5)を有する。好ましくは、エチレンポリマーのメルトフローレート(MFR5)は、1g/10分未満である。
【0064】
エチレンポリマーは、好ましくは、110℃超、より好ましくは120℃超、またさらに好ましくは125℃超(例えば、約128〜132℃)の融点を有する。エチレンポリマーの最大融点は、150℃であり得る。
【0065】
エチレンポリマーは、また、好ましくは、例えば、およそ40〜80%、例えば60〜70%の結晶度を有する、部分的な結晶構造からなる。
【0066】
本発明のエチレンポリマーは好ましくは、構造的に均質である(例えば、ゲルフリー)。好ましくは、エチレンポリマーは、135℃でデカリンに可溶である。好ましくは、エチレンポリマーのMWDは、2〜20、より好ましくは、3〜10、またさらに好ましくは3.5〜8、例えば約4〜7の範囲である。
【0067】
エチレンポリマーは、分子量分布に関し、単峰型または多峰型(例えば、双峰型)であり得る。多峰型ポリマーの分子量特性は、単一のピークを含まず、むしろ、ポリマーが2つ以上の別の生成成分を含むという事実による結果として、異なる平均分子量に集中する、2つ以上のピークの組み合わせ区別可能なものも不可なものもある)を含む。
【0068】
エチレンポリマーが多峰型である場合、その成分は、エチレンホモポリマーまたはエチレンコポリマーであり得る。しかし、好ましくは、そのようなポリマーにおいて、エチレンポリマー成分は、異なるコポリマーである。各エチレン成分(例えばホモポリマー及び子ポリマー)に対し、少なくとも20wt%、より好ましくは少なくとも30wt%、またさらに好ましくは少なくとも40wt%である多峰型エチレンポリマーは、ポリマーの総量に基づき存在する。
【0069】
好ましくは、本発明のエチレンポリマーは、分子量分布に関し、多峰型である。
【0070】
本発明で使用される適切なエチレンポリマーは、市販されている。例えば、BS2581は、Borealis ASより市販されている。あるいは、エチレンポリマーは、既知の重合工程より調製され得る。
【0071】
ポリオレフィンの機械的特性
本発明で使用されるポリオレフィンの機械的特性は、好ましくは、以下の通りである。
【0072】
ポリオレフィン(例えば、エチレンまたはプロピレンポリマー)の引張弾性係数(1mm/分)は、好ましくは、500〜5000MPa、より好ましくは、800〜3000MPa、またさらに好ましくは、1000〜2000 MPaの範囲である。ポリオレフィンの降伏点での引張歪み(50mm/分)は、好ましくは、2〜25%、より好ましくは、5〜15%、またさらに好ましくは、8〜12%の範囲である。ポリオレフィンの降伏点での引張応力(50mm/分)は、好ましくは、5〜100MPa、より好ましくは、15〜50MPa、またさらに好ましくは、20〜40MPaの範囲である。
【0073】
ポリオレフィン(例えば、エチレンまたはプロピレンポリマー)の荷重たわみ温度(B法−0.45MPa)は、好ましくは、70〜150℃、より好ましくは、80〜130℃、またさらに好ましくは、90〜120℃の範囲である。
【0074】
ポリオレフィン(例えば、エチレンまたはプロピレンポリマー)のビカット軟化温度A50(10N)は、好ましくは、80〜170℃、より好ましくは、100〜165℃、またさらに好ましくは、120〜160℃の範囲である。
【0075】
ポリオレフィン(例えば、エチレンまたはプロピレンポリマー)のノッチ付シャルピー衝撃強度(23℃)は、好ましくは、1〜100kJ/m
2、より好ましくは、25〜75kJ/m
2、またさらに好ましくは、40〜60kJ/m
2の範囲である。
【0076】
ノッチ付シャルピー衝撃強度(−20℃)は、プロピレンポリマーにおいて、好ましくは、1〜10kJ/m
2、より好ましくは、2.5〜7.5kJ/m
2、またさらに好ましくは、4〜6kJ/m
2、エチレンポリマーにおいて、好ましくは、1〜40kJ/m
2、より好ましくは、5〜35kJ/m
2、またさらに好ましくは、10〜30kJ/m
2の範囲である。
【0077】
ポリオレフィンの安定化
ポリオレフィン類は、容易に酸素と反応する。そのような酸化反応は、分子鎖を切断し得り、機械的特性を低下させる要因として極めて重要である。そのような酸化反応の技術は、ポリオレフィン類の分解に関係することがある。
【0078】
ポリマーの分解は、化学的(例えば、水、酸、アミン、及び酸素などによる)にも、物理的(例えば、熱、UV光、高エネルギー放射、または機械的エネルギー)にも影響を受け得る。サービス寿命の間のポリオレフィンの分解度を決定する主要な要因は、温度、環境、及びポリオレフィンの安定化である。本発明で使用されるポリオレフィンは、理論上30年の長期間、60〜100℃の温度で、MEAなどのアミン水溶液に晒される。
【0079】
本発明で使用されるポリオレフィンのサービス寿命は、特定の酸化防止剤を採用すること、特に、酸化防止剤と安定化剤を組み合わせて使用することにより、著しく向上する。理論に制約されることを望むものではないが、本発明で使用されるポリオレフィンのサービス寿命は、主に、添加される酸化防止剤及び安定化剤により決定されると信じられている。そのため、酸化防止剤/安定化剤が尽きるまで、ポリオレフィンは、有害な酸化から保護され、ポリオレフィンの機械的特性は、該期間の間、変化がない状態であるであろう。これに反して、酸化防止剤/安定化剤が尽き次第、酸化反応は加速し、機械的特性は、比較的早く低下するであろう。そのため、ポリオレフィン組成物において加水分解安定酸化防止剤の圧力は、本発明の重要な特徴である。
【0080】
加水分解安定酸化防止剤
本発明で使用される組成物は、加水分解安定酸化防止剤を含む。加水分解安定酸化防止剤は、25℃、pH7で、好ましくは、少なくとも5年、より好ましくは、10年、またさらに好ましくは15年の半減期を有する(EPIWIN HYDROWIN program v1.67)。またさらに好ましくは、本発明で使用される加水分解安定酸化防止剤は、25℃、pH8で、少なくとも1年、より好ましくは2年、またさらに好ましくは5年の半減期を有する(EPIWIN HYDROWIN program v1.67)。加水分解安定酸化防止剤の半減期には上限はない。例えば、pH7では50年、pH8では40年であり得る。
【0081】
好ましくは、本発明で使用される酸化防止剤は、式(I)または(II)
【化3】
(式中、
R
1は、C
1−18アルキル基、C
5−12シクロアルキル基、フェニル基、またはC
7−9フェニルアルキル基であり、
R
2は、水素基、C
1−18アルキル基、C
5−12シクロアルキル基、フェニル基、またはC
7−9フェニルアルキル基であり、
R
3は、水素基またはメチル基であり、
R
4は、(a)、(b)、(c)、または(d)
【化4】
であり、
R
5は、水素基またはフェニル基である)の加水分解安定酸化防止剤を含む。
【0082】
好ましい加水分解安定酸化防止剤は、R
1が、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、またはフェニル基であり、特にtert−ブチル基であるものである。
【0083】
さらに、加水分解安定酸化防止剤は、R
2が、水素基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、またはフェニル基であり、特にtert−ブチル基であるものである。
【0084】
さらに好ましい加水分解安定酸化防止剤は、R
3が水素基であるものである。
【0085】
またさらに好ましい加水分解安定酸化防止剤は、R
4が、群(a)、(b)、または(c)であり、特に(a)であるものである。
【0086】
特に好ましい加水分解安定酸化防止剤は、式(I)のものである。
【0087】
特に好ましい加水分解安定酸化防止剤は、以下の式
【化5】
のものである。
【0088】
この加水分解安定化を有する酸化防止剤 1,3,5−トリ−メチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゼンは、商品名IRGANOX1330として、BASFより、または商品名Ethanox 330(略称 IRGANOX1330)としてAlbemarleより市販されている。
【0089】
合成ハイドロタルサイト
本発明で使用される組成物は、好ましくはハイドロタルサイト、特に合成ハイドロタルサイト(SHT)を含む。SHTは、また、陰イオン性粘土または層状複水酸化物とも称することがある。SHTにおいて、マグネシウムカチオンは、水酸化物の形態で、6つの酸素により八面体的に囲われる。その後、八面体単位は、稜共有を介して、無限シートを形成する。シートは水素結合を介して互いの上部に積み上げられる。その後、格子状構造のマグネシウムのうちいくつかが、高荷電カチオン、例えば、Al
3+により同形配置される際、得られる単一のMg
2+−Al
3+−OH層全体では、陽電荷を得る。炭酸塩の形態における対アニオンも存在する。通常、SHTは、水酸化物の形態である。
【0090】
通常のハイドロタルサイトは、式Mg
1−xAl
x(CO
3)
x/2(OH)
2.mH
2O(式中、0<x≦0.5)で表される。好ましくは、ハイドロタルサイトは、式Mg
4.5Al
2(CO
3)(OH)
13.3.5H
2Oのものである。
【0091】
好ましくは、ハイドロタルサイトは、1〜5g/cm
3、より好ましくは、1.5〜3g/cm
3の範囲の密度を有する。
【0092】
好ましくは、本発明の組成物に存在するハイドロタルサイトは、平均粒子径が0.1〜1mm、より好ましくは、0.2〜0.8mm、またさらに好ましくは、0.30〜0.60mmである。好ましくは、粒子のうち少なくとも75%volは、1mm未満の大きさであり、より好ましくは粒子のうち少なくとも80%volは、1mm未満の大きさであり、またさらに好ましくは粒子のうち85%volは、1mm未満の大きさである。
【0093】
特に好ましくは、本発明の組成物に存在するハイドロタルサイトは、界面活性剤で塗布される。
【0094】
好ましくは、本発明の組成物に存在するハイドロタルサイトは、1〜5Mohs、より好ましくは、1.5〜3Mohsの硬度を有する。
【0095】
本発明で使用される合成ハイドロタルサイトは、例えば、DHT−4AまたはDHT−4Vとして、Kyowa Chemical Industry Co.より市販されている。
【0096】
熱安定性酸化防止剤
本発明で使用される組成物は、好ましくは、熱安定性酸化防止剤を含む。好ましい熱安定性酸化防止剤は、一般式(IIIa)
HO−(R
1R
2R
3R
4フェニル)−W(IIIa)
(式中、
R
1及びR
4は、フェノール残基の2−位及び6−位にあり、同一であっても異なってもよく、C
1〜C
12アルキル基の群より選択され、
R
2及びR
3は、独立して、HまたはC
1−12アルキル基であり、
Wは、C
1〜C
12アルキル基、C
1〜C
12アルコキシ基、C
1〜C
12カルボン酸アルキル基、または、式HO−(R
1R
2R
3R
4フェニル)−(式中R
1〜R
4は、前述のように定義されるもの)の別の群より置換されるC
1〜C
12アルキル基である)のフェノール化合物である。
【0097】
式(IIIa)の好ましい化合物において、R
1及びR
4は、同一である。特に好ましくは、R
1及びR
4は、分岐アルキル基である。特に好ましくは、R
1及びR
4は、tert−ブチル基、イソ−プロピル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アダマンチル基より選択される。
【0098】
さらに好ましい熱安定性酸化防止剤は、式(IIIb)
【化6】
(式中、
R
1は、C
1−18アルキル基、C
5−12シクロアルキル基、フェニル基、またはC
7−9フェニルアルキル基であり、
R
2は、水素基、C
1−18アルキル基、C
5−12シクロアルキル基、フェニル基、またはC
7−9フェニルアルキル基であり、
R
3は、水素基またはメチル基であり、
nは、0または1〜6の整数であり、
pは、2〜6の整数である)のものである。
【0099】
式(IIIb)の好ましい熱安定化酸化防止剤は、R1がtert−ブチル基、シクロヘキシル基、またはフェニル基、特にtert−ブチル基であるものである。
【0100】
式(IIIb)のさらに好ましい熱安定化酸化防止剤は、R
2が、水素基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基、またはフェニル基、特にtert−ブチル基であるものである。
【0101】
式(IIIb)のさらに好ましい熱安定化酸化防止剤は、R
3が水素基であるものである。
【0102】
式(IIIb)のまたさらに好ましい熱安定化酸化防止剤は、nが1、2、または3、特に2であるものである。
【0103】
式(IIIb)のまたさらに好ましい熱安定化酸化防止剤は、pが4であるものである。
【0104】
本発明の組成物に存在する熱安定化酸化防止剤の代表例としては、
−2,6−ジ−tert.−ブチル−4−メチルフェノール;
−ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3’,5’−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸塩;
−オクタデシル3−(3’,5’−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩;
−1,3,5−Triメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン;
−2,2’−チオジエチレン−ビス−(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸塩;
−カルシウム−(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシベンジル モノエチル−ホスホン酸塩);
−1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert.−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート;
−ビス−(3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert.−ブチルフェニル)酪酸)−グリコールエステル;
−4,4’−チオビス(2−tert.−ブチル−5−メチルフェノール);
−2,2’−メチレン−ビス(6−(1−メチル−シクロヘキシル)パラ−クレゾール);
−N,N’−ヘキサメチレン ビス(3,5−ジ−tert.ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド;
−2,5,7,8−テトラメチル−2(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)クロマン−6−オール;
−2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert.−ブチルフェノール);
−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ(hydrosy)−5−tert.−ブチルフェニル)ブタン;
−1,3,5−トリス(4−tert.−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン;
−3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−(β−(3−tert.−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン;
−1,6−ヘキサンジイル−ビス(3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼン−プロパン酸塩);
−2,6−ジ−tert.−ブチル−4−ノニルフェノール;
−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンを有する3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシヒドロけい皮酸 トリエステル;
−4,4’−ブチリデンビス(6−tert.ブチル−3−メチルフェノール);
−2,2’−メチレン ビス(4−メチル−6−tert.−ブチルフェノール);
−2,2−ビス(4−(2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ))エトキシ−フェニル))プロパン;
−トリエチレングリコール−ビス−(3−tert.−ブチル−4−ヒドロキシ−5 メチルフェニル)プロピオン酸塩;
−ベンゼンプロピオン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−,C13−C15−分岐及び直鎖アルキルエステル;
−6,6’’−ジ−tert.−ブチル−2,2’−チオジ−p−クレゾール;
−ジエチル((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスホン酸塩;
−4,6−ビス(オクチルチオメチル)o−クレゾール;
−ベンゼンプロピオン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)4−ヒドロキシ−,C7−C9−分岐及び直鎖アルキルエステル;
−1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオニルオキシ]−5−t−ブチルフェニル]ブタン;及び
−p−クレゾール及びジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物
を含む。
【0105】
好ましい熱安定化酸化防止剤は、
−ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3’,5’−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸塩;
−オクタデシル 3−(3’,5’−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩;
−1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert.−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン;
−1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert.−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート;
−ビス−(3,3−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−tert.−ブチルフェニル)酪酸)−グリコールエステル;及び
−3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−(β−(3−tert.−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)エチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン
である。
【0106】
特に好ましい熱安定化酸化防止剤は、以下の式
【化7】
のものである。
【0107】
この熱安定化酸化防止剤は、商品名IRGANOX1010(略称 IRGANOX1010)として、BASFより市販されている。
【0108】
有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤
本発明で使用される組成物は、好ましくは、有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤を含む。好ましい有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤は、式(IVa)
ビス(R
1)−ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト (IVa)
(式中、R
1は、C
1−6アルキル基により任意に置換されるC1−C25アルキル基群、またはC
6−10アリール基群より選択される)のものである。
【0109】
さらに好ましい有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤は、式(IVb)
【化8】
(式中、
Yは、直接結合される、または−O−であり、
R
1、R
2及びR
3は、独立して、1〜30個の炭素を有する置換または非置換アルキル基、5〜12個の炭素を有する置換または非置換シクロアルキル基、6〜10個の炭素を有する置換または非置換アリール基、または式(V)
【化9】
(式中、
mは、1〜3の範囲の整数であり、
R
4及びR
5は、独立して、C
1−18アルキル基またはC
5−12シクロアルキル基である)の群から選択される)のものである。
【0110】
R
1、R
2及びR
3の群に任意に存在する置換体は、好ましくは、ハロゲンC1−6アルキル基、C
1−6アルコキシ基、またはCOOC
1−6から選択される。特に好ましくは、置換体は、C
1−6アルキル基、例えば、tert−ブチル基である。
【0111】
式(V)の好ましい群は、R
4及びR
5が、C
1−18アルキル基、より好ましくは、C
1−6アルキル基、例えば、C
4アルキル基であるものである。好ましくは、R
4及びR
5は、tert−ブチル基である。
【0112】
好ましい有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤は、Yが−O−である式(IVb)のものである。
【0113】
より好ましい有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤は、R
2及びR
3が、置換または非置換アリール基、特に、置換アリール基、例えば、フェニル基である式(IVb)のものである。好ましい置換体群は、C
1−6アルキル基、例えばtert−ブチル基である。
【0114】
より好ましい有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤は、R
1が置換または非置換アリール基、特に置換アリール基、例えば、フェニル基である式(IVb)のものである。好ましい置換体群は、C
1−6アルキル基、例えば、tert−ブチル基である。
【0115】
本発明の組成物に存在し得る有機亜リン酸またはホスホニト酸化防止剤の代表例は、
−トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)亜リン酸塩;
−テトラキス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホニト
−ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリチル−ジ−亜リン酸塩;
−ジ−ステアリル−ペンタエリスリチル−ジ−亜リン酸塩;
−トリス−ノニルフェニル亜リン酸塩;
−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリチル−ジ−亜リン酸塩;
−2,2’−メチレン ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチル−亜リン酸塩;
−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシル亜リン酸塩−5−t−ブチルフェニル)ブタン;
−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)亜リン酸塩;
−ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト;
−ビス(2−メチル−4,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニル)亜リン酸エチルエステル;
−2,2’,2’’−ニトリロトリエチル−トリス(3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)亜リン酸塩);
−亜リン酸,環状ブチルエチルプロパンジオール,2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルエステル;
−ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−ペンタエリスリチル−ジ−亜リン酸塩;
−2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスホニト
−6−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ)−2,4,8,10−テトラ−tert.−ブチルジベンゾ(d,t)(1.3.2)ジオキサホスフェピン;及び
−テトラキス−(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチル−フェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホニト
を含む。
【0116】
好ましい有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤は、
−テトラキス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホニト;
−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリチル−ジ−亜リン酸塩;
−ジ−ステアリル−ペンタエリスリチル−ジ−亜リン酸塩;及び
−ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト
である。
【0117】
特に好ましい有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤は、以下の式
【化10】
のものである。
【0118】
この酸化防止剤は、商品名 Irgafos 168(略称 AO168)として、BASFより市販されている。
【0119】
スルホン酸塩系酸化防止剤
本発明で使用される組成物は、好ましくは、スルホン酸塩系酸化防止剤を含む。それら酸化防止剤は、ヒドロパーオキサイド類の分解に作用すると信じられている。好ましいスルホン酸塩系酸化防止剤は、ラウリン酸またはステアリン酸由来のものである。
【0120】
好ましいスルホン酸塩系酸化防止剤は、カルボン酸がC
1〜C
10アルキルカルボン酸類から選択される、ジ(C
1−C
20)アルキル基−S−ジ−カルボン酸塩類である。
【0121】
本発明の組成物で使用され得るスルホン酸塩系酸化防止剤の代表例としては、
−ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオン酸塩;
−ジ−パルミチル/ステアリル−チオ−ジ−プロピオン酸塩;
−ジ−ラウリル−チオ−ジ−プロピオン酸塩;
−ジ−トリデシル−チオ−ジ−プロピオン酸塩;
−ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオン酸塩;
−ペンタエリトリトールオクチルチオジプロピオン酸塩;
−ラウリル−ステアリル−チオ−ジ−プロピオン酸塩;
−ジ−オクタデシル−ジスルフィド;
−ジ−tert−ドデシル−ジスルフィド;及び
−ペンタエリトリトール−テトラキス−(3−ラウリルチオプロピオン酸塩)が挙げられる。
【0122】
ペンタエリトリトール テトラキス(B−ラウリルチオプロピオン酸塩) (CAS 29598−76−3))、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸塩(CAS 693−36−7)、及びジラウリル−3,3’−チオジプロピオン酸塩(CAS 123−28−4)が好ましい。特に好ましいスルホン酸塩系酸化防止剤は、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオン酸塩(DSTDP)である。これは、商品名 Irganox PS 802−FLとして、BASFより市販されている。
【0123】
ヒンダードアミン系酸化防止剤
本発明で使用される組成物は、好ましくは、立体障害アミン系酸化防止剤をも含む。好ましい立体障害アミン系酸化防止剤は、500g/mol超の分子量を有する。
【0124】
本発明の組成物で使用される特に好ましいアミン系酸化防止剤は、式(VI)
【化11】
(式中、
Gは、水素基またはメチル基であり、
G
1及びG
2は、水素基、メチル基、または共に=Oである)のラジカルを含む。
【0125】
特に好ましいアミン系酸化防止剤は、以下の式
【化12】
のものである。
【0126】
この酸化防止剤は、商品名 Chimassorb 119として、BASFより市販されている。
【0127】
他の添加物
本発明で使用される組成物は、任意に、他の従来の添加物を含む。適切な添加物の代表例としては、造核剤(aまたはb、好ましくはb、造核剤)、光安定剤、着色料、帯電防止剤、潤滑剤、カーボンブラック、及び難燃剤が挙げられる。充填剤(例えば、タルク)も存在し得る。
【0128】
組成物の調合
ポリオレフィンを、従来技術、例えばブレンドにより、酸化防止剤及び任意にSHTと、同様に組成物中に存在する別の添加物とも混合する。好ましい組成物は、直接ポリマー生成装置による、すなわち、1)ポリマー粉末へ全ての添加製剤を添加し、続いて、押出配合とペレット化を行うことによる、または2)不足している添加物を市販のポリマー(P1)に、好ましくはP1と同種のポリマーに不足する添加物のマスターバッチ(MB)を介して混合することによる調製か、または直接P1への添加物の好ましい添加による調製かいずれかで可能である。1)及び2)の両方において、全てのブレンド物は、押出配合され、ポリマーにおける添加物の最適な配分を得る。
【0129】
本発明で使用される好ましい組成物は、ポリオレフィン、加水分解安定酸化防止剤、及びSHTを含む。本発明で使用される他の好ましい組成物は、ポリオレフィン、加水分解安定酸化防止剤、及び熱安定性酸化防止剤を含む。特に好ましい組成物は、ポリオレフィン、加水分解安定酸化防止剤、熱安定性酸化防止剤、及びSHTを含む。本明細書において前述の組成物は、さらに、有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤、及び/またはチオエーテル系酸化防止剤を含むことが特に好ましい。
【0130】
本発明で使用される好ましい組成物は、
(i)ポリオレフィン、好ましくはプロピレンポリマー、
(ii)加水分解安定酸化防止剤、好ましくは式IまたはIIの化合物、例えば、IRGANOX1330、
(iii)合成ハイドロタルサイト、
(iv)熱安定性酸化防止剤、好ましくは式IIIの化合物、例えば、IRGANOX1010、
(v)有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤、好ましくは式IVの化合物、例えば、Irgafos 168、及び
(vi)チオエーテル系酸化防止剤、好ましくはジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート
を含む。
【0131】
組成物中に存在するポリオレフィン、好ましくはプロピレンポリマーの量は、好ましくは、55〜99.8wt%、またさらに好ましくは、90〜99.5wt%、例えば、98〜99.5wt%である。
【0132】
組成物中に存在する加水分解安定酸化防止剤、好ましくは式IまたはIIの化合物の量は、好ましくは、100〜10,000wt ppm、またさらに好ましくは、2000〜8000wt ppm、例えば、3000〜6000wt ppmである。
【0133】
組成物中に存在する合成ハイドロタルサイトの量は、好ましくは、100〜10000wt ppm、またさらに好ましくは、250〜5000wt ppm、例えば、1000〜3000wt ppmである。
【0134】
組成物中に存在する熱安定性酸化防止剤、好ましくは式IIIの化合物の量は、好ましくは、100〜10000wt ppm、またさらに好ましくは、500〜6000wt ppm、例えば、1000〜4000wt ppmである。
【0135】
組成物中に存在する有機亜リン酸塩系またはホスホニト系酸化防止剤、好ましくは式IVの化合物の量は、好ましくは、100〜5000wt ppm、またさらに好ましくは、300〜3000wt ppm、例えば、500〜2000wt ppmである。
【0136】
組成物中に存在するチオエーテル系酸化防止剤、好ましくは、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネートの量は、好ましくは、500〜10000wt ppm、またはさらに好ましくは、1000〜8000wt ppm、例えば、2000〜6000wt ppmである。
【0137】
組成物中に存在する全酸化防止剤の総量は、好ましくは、400〜35000wt ppm、またさらに好ましくは、2000〜25000wt ppm、例えば、4000〜18000wt ppmである。
【0138】
組成物の特性
単一の平板に関する実施例の部分に記載される方法により決定される組成物の好ましい特性は以下の通りである。
【0139】
アミンの未使用30%水溶液、例えば、80℃で12週間、MEAに晒した後の組成物中の加水分解安定酸化防止剤の量は、元々存在する量に対し、少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%である。またさらに好ましくは、アミンの未使用30%水溶液、例えば、95℃で12週間、MEAに晒した後の組成物中の加水分解安定酸化防止剤の量は、元々存在する量に対し、少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%である。
【0140】
アミンの未使用30%水溶液、例えば、80℃で12週間、MEAに晒した後の組成物の増加質量は、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満、またさらに好ましくは0.3%未満である。またさらに好ましくは、アミンの未使用30%水溶液、例えば、95℃で12週間、MEAに晒した後の組成物の増加質量は、好ましくは、2%未満、より好ましくは、1%未満、またさらに好ましくは0.75%未満である。
【0141】
アミンの未使用30%水溶液、例えば、80℃で12週間、MEAに晒した後の組成物の引張弾性係数は、未劣化の組成部の引張弾性係数に対し、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%である。またさらに好ましくは、アミンの未使用30%水溶液、例えば、95℃で12週間、MEAに晒した後の組成物の引張弾性係数は、未劣化の組成部の引張弾性係数に対し、少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%である。
【0142】
アミンの未使用30%水溶液、例えば、80℃で12週間、MEAに晒した後の組成物の降伏点における応力は、未劣化の組成物の降伏点における応力に対し、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%である。またさらに好ましくは、アミンの未使用30%水溶液、例えば、95℃で12週間、MEAに晒した後の組成物の降伏点における応力は、未劣化の組成物の降伏点における応力に対し、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%である。
【0143】
アミンの未使用30%水溶液、例えば、80℃で12週間、MEAに晒した後の組成物の降伏点における歪みは、未劣化の組成物の降伏点における歪みに対し、150%未満、好ましくは145%未満、より好ましくは140%未満である。またさらに好ましくは、アミンの未使用30%水溶液、例えば、95℃で12週間、MEAに晒した後の組成物の降伏点における歪みは、未劣化の組成物の降伏点における歪みに対し、155%未満、好ましくは150%未満、より好ましくは145%未満である。
【0144】
アミンの未使用30%水溶液、例えば、80℃で12週間、MEAに晒した後の組成物の破断点における応力は、未劣化の組成物の破断点における応力に対し、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%である。またさらに好ましくは、アミンの未使用30%水溶液、例えば、95℃で12週間、MEAに晒した後の組成物の破断点における応力は、未劣化の組成物の破断点における応力に対し、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%である。
【0145】
アミンの未使用30%水溶液、例えば、80℃で12週間、MEAに晒した後の組成物の破断点における歪みは、未劣化の組成物の破断点における歪みに対し、少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%である。またさらに好ましくは、アミンの未使用30%水溶液、例えば、95℃で12週間、MEAに晒した後の組成物の破断点における歪みは、未劣化の組成物の破断点における歪みに対し、少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%である。
【0146】
適用
本発明は、CO
2など酸性ガスの回収用カラムに関する。上述のように、本工程は、通常、例えば、CO
2を含有する排気ガスを、ガスを上方に流し、カラムの1つまたは複数接触部分にある薄い吸収剤(CO
2含有の低い)を逆流させる吸収カラムの下部に導入することを含む。接触部分は、吸収剤とガス間の接触領域を増やすため、構造的または無作為な筐体を任意に含む。接触部分を出発した後、ガスは通常洗浄され、その後、カラムの上部にある管を通り引き下げられる。
【0147】
濃吸収剤(CO
2の含有量が多い)、大抵アミンは通常、回収され(例えば、回収トレイにおいて)、カラムの下部にある管により引き下げられる。それは、再生または脱着カラムに与えられ、CO
2及び水蒸気の流れに対し、下方に、逆流する。好ましくは、CO
2及び水蒸気の流れは、スチーム加熱リボイラを通り脱着器の下部から薄い吸収剤の分画を加熱することにより、発生する。脱着器の下部から、薄い吸収剤は、吸収カラムへ戻り得る。好ましくは、脱着器の情報部には洗浄部があり、CO
2及び水蒸気は、脱着カラムの上部から管を通り引き下げられ、脱着コンデンサで冷却される。
【0148】
従って、吸収カラム及び再生(脱着)カラムは、高温で、長時間、アミン吸収剤に晒され、上述のような材料劣化や損失といった問題を負う。そのため、本発明のカラムは、吸収カラムまたは再生カラムであり得る。しかし、最も好ましくは、カラムが吸収カラムであることである。
【0149】
カラムの内面全体には、本明細書において前述のポリオレフィン組成物を備え得る。あるいは、内面の一部にのみ、ポリオレフィン組成物を備え得る(例えば、吸収剤との接触が生じるカラムの部分の内面(接触部分と称する)にのみ、ポリオレフィン組成物を備え得る。カラムの内面にある他の部分の表面、例えば、回収プレート、トレイ、配管も、本明細書に記載されるようにポリオレフィン組成物で被膜または内張りされ得る。
【0150】
カラムは、本明細書において前述のポリオレフィン組成物で構成され得る。しかし、より好ましくは、カラムは、コンクリート、金属または複合材料で構成される。この場合、内面は、該カラムの内部を該ポリオレフィン組成物で被膜することにより形成される。あるいは、好ましくは、内面は、ポリオレフィン組成物を含むライナーを該カラムの内部に固定することにより、形成され得る。
【0151】
いくつかのライナーにおいて、ライナーをカラムの壁に取り付けるアンカーは、該ポリオレフィン組成物を含む。あるいは、アンカーは異なる組成物を備え得る。
【0152】
本発明のライナーは、糖分やの従来の形態であり得る。例えば、ライナーは、シート、形材、またはチューブの形態、好ましくはシート及び形材であり得る。ライナーの厚さは好ましくは、0.5〜50mm、より好ましくは、2〜20mm、例えば4〜12mmの範囲である。
【0153】
本発明は、上述のものと同様の操作状況に晒される酸性ガス回収工程に使用される他の装置及び部分にも関する。それは、例えば、カラム及び配管に使用される挿入物(例えば、カラム筐体物質、トレイなど)を含む。
【0154】
本発明のライナー、カラム、挿入物、配管、及び装置は、酸性ガス、例えば、CO
2を回収する方法で使用され得る。しかし、最も好ましくは、それらは、アミン、特に1つまたは複数のアミン水溶液を吸収剤として使用する方法で使用される。
【0155】
使用する好ましい吸収剤は、4〜12個の炭素を有する脂肪族または環状脂肪族アミン、4〜12個の炭素を有するアルカノールアミン、1または2個のアルキレン基と共にある1または2個の窒素が5、6、または7員環を形成する環状アミン、上述のものの混合物、及び上述のアミンとその混合物の水溶液がある。使用され得るアミンの代表例としては、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジエチルエタノールアミン(DEEA)、ジイソプロピルアミン(DIPA)、アミノエトキシエタノール(AEE)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、ピペラジン(PZ)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、及び上述のものの混合物並びに上述のものの水溶液を含む。
【0156】
本発明のカラム、ライナー、装置の構造は、従来のもの、及び従来技術に記載されるものである。
図1は、通常の吸収カラムを図解する。
図2は、吸収カラム及び再生カラムを含む通常の装置を図解する。
【0157】
図1を参照すると、一般的に冷却された燃焼ガスは、吸収カラム2の下部にある注入チャンバ1に導入される。注入チャンバ1から、ガスは、吸収カラム内を上方に流れ、1つまたは複数の接触部3、4において、液体吸収剤、例えば、アミン溶液に逆流する。図解する吸収カラムは、連続する2つの接触部3、4に提供されるが、そのような部分の数は含まれない。接触部3、4を出発した後、ガスは、洗浄部5において、逆流する水でにより洗浄され、ガス流中のアミンを除去する。洗浄水は、ライン6を介して導入され、洗浄部5の上部で噴霧される。水は洗浄部の下部にあるプレート7で回収され、ライン8を介して除去される。洗浄されたガス流における水滴は、好ましくはCO
2を消耗した排気ガスを、ライン10を通し引き込む前にデミスタ部9で除去される。カラム2は、上部に複数の水部または他の種類の研磨/洗浄部を含み得る。通常、ガス中に元々存在するCO
2の80〜99%が吸収により除去される。
【0158】
吸収剤は、ライン11を介してカラムに導入され、液体散布手段を用いて上部接触部の上部に噴霧される。吸収剤は、上部接触部4を通り流れ、吸収プレート12で回収される。吸収剤はライン13を介して引き込まれ、下部接触部3の上部で噴霧される。下部接触部3を通り流れた後、吸収剤及びそこを通り吸収されるCO
2は、カラムの下部から回収され、ライン14を介し引き込まれる。
【0159】
吸収ステップにおける吸収剤の温度は、一般的に約30〜100℃であり、1つのカラムを使用する場合、例えば、カラム上部では30〜70℃、カラムの下部では30〜100℃である。吸収ステップ全体の圧力は、一般的に約0.5〜20bara、好ましくは約0.7〜12bara、特に好ましくは0.7〜6baraである。
【0160】
図2を参照すると、再生カラム15において、CO
2濃吸収剤は、下方に流れ、放出されるCO
2と水蒸気との流れは逆流し、再生リボイラ16において吸収剤のうちいくつかを加熱することにより、任意に発生する。薄吸収剤は、排出口17を通り再生カラムを出発する。該薄吸収剤の一部は、加熱され、加熱吸収剤及びライン18を通り再生カラムに再度導入される蒸気を産する再生ボイラ16に導入される。下部からのカラムの加熱は、カラムの下部から上部まで安定した状態の段階的な温度を与え、上部の温度は、カラムの実際の設計に応じて下部より低く約10〜50℃である。通常の再生カラムにおいて、カラム下部の温度は、約120℃上部の温度は約10〜50℃未満である。
【0161】
再生ボイラに導入されない薄吸収剤は、ライン19を通り吸収カラムに戻り再利用され、ライン14にある濃吸収剤に反して熱交換機20において冷却される。熱交換機20において、比較的冷たいCO
2濃吸収剤は、約120℃の温度で脱着装置を出発する比較的熱い吸収剤に反して加熱される。
【0162】
吸収剤から放出されるCO
2及び水蒸気は、ライン21を通り再生カラムから引き込まれる。ライン中のガスは、還流冷却装置22において冷却され、主にCO
2分離器23においてCO
2を含む、残留ガスから分離される水を凝縮する。ライン24に引き込まれたCO
2は、さらに例えば乾燥、圧縮及び/または析出といった処理をされ得る。CO
2分離器において凝縮された水は、ライン25を通り引き込まれ、再生カラムの上部に汲み戻される。
【0163】
本発明のカラム及びライナーは、国際公開公報第2008/108657号、国際公開公報第2008/063079号、国際公開公報第2008/130244号、米国公報第2010/0029466号、国際公開公報第2009/035340号、国際公開公報第2009/108064号、国際公開公報第2010/102877号、及び国際公開公報第2010/142716号に記載される方法で使用され、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0164】
実施例
まず、下記の非限定の実施例を参照して、本発明を説明する。
【0165】
分析試験
明細書及び実施例に記載される値は、以下の試験に従い計測される。
【0166】
メルトフローレート(MFR)は、ISO 1133に従い決定され、g/10分で示される。MFRは、ポリマーの融解粘度の指標ある。MFRは、PPでは230℃、PEでは190℃で決定される。メルトフローレートを決定する上での負荷は、通常、下付き文字で示され、例えば、MFR2は、2.16kgの負荷で計測され、MFR5は、5kgの負荷で計測される。
【0167】
密度は、ISO 1183に従い計測される。
【0168】
重量平均分子量Mw及び分子量分布(MWD=Mw/Mn(式中、Mnは数平均分子量であり、Mwは、重量平均分子量である)は、ISO 16014−4:2003に基づく方法により計測される。屈折率検出器及びオンライン粘度計を備える、Waters製150CV plus instrumentを、Waters製3×HT6Estyragel カラム(スチレン−ジビニルベンゼン)及び1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB,250mg/L 2,6−ジ tert ブチル−4−メチル−フェノールを用いて安定化)を、140℃、1mL/分の一定の流量で溶媒として使用する。500mLのサンプル溶液を分析分、挿入した。カラムのセットを、ユニバーサルキャリブレーション(ISO 16014−2:2003に従い)、1.05kg/mol〜11 600kg/molの範囲の10 狭いMWDポリスチレン(PS)標準を用いて、較正した。Mark Houwink 定数を、ポリスチレン及びポリエチレン(PSでは、K:19×10<−3> dL/g、及びa:0.655、並びにPPでは、K:19×10<−3> dL/g、及びa:0.725)を使用した。全てのサンプルを0.5〜3.5mgのポリマーを4mL(140℃)安定化TCB(移動相と同様)に溶解し、2時間140℃で保持し、GPC装置にサンプリングする前に時折振とうさせ、160℃でさらに2時間保持した。
【0169】
コモノマーの量は、
13C−NMRを用いて較正されたフーリエ変換赤外分光分析(FTIR)の決定に基づく既知の手段で決定することができる。
【0170】
融解温度(Tm)、結晶化温度(Tc)及び結晶化度(Xc)をISO11357に従い計測した。サンプルを圧縮成型から0.2mmフィルムに切断した。計測は、以下の状況で行った。
【表1】
【0171】
Tm及びXcを、第2加熱から決定した。結晶化度(Xc)を、209J/g当量の100%PPの融解エンタルピーを使用して算出した。
【0172】
β含有量を、広角X線回析(WAXD)により計測する。PPサンプルのWAXDスキャンα晶相((110)、(130)、及び(040)面に応じて3つのピーク)とβ晶相((300)面により1つのピーク)との両方の回析ピークを含有する。K値として既知で、以下のように定義されるそれらピークの実験的な強度比(I)は、β含有量を定義するために使用される。
K=I(300)β/I(300)β+I(110)α+I(130)α+I(040)α
【0173】
引張弾性係数をISO 527に従い、計測した。降伏点における引張歪み及び降伏点における引張応力をISO 527−2に従い、計測した。
【0174】
荷重たわみ温度をISO−75−2に従い、計測した。
【0175】
ビカット軟化温度B50(50N)をISO 306に従い、計測した。
【0176】
ノッチ付シャルピー衝撃強度(23及び−20℃)をISO 179/1eAに従い、計測した。
【0177】
さらなる酸化防止剤を有するPP−H−100及びBE60−7032の加速劣化
1a. アンカー無、約20×30cmの大きさ、厚さ8mmのPP−H−100の市販のシートを使用した。
1b. 余剰な酸化防止剤を有するBE60−7032を調製するため、組成物(94% BE60−7032+5% IRGANOX1330+1% SHT)を有するMBを調合した。その後、好ましい組成物の調合のため、該MB10%をBE60−7032に添加した。その後、好ましい組成物を有するペレットを寸法(70mm×40mm×8mm)のプラークに圧縮成型した。
2. 試験用サンプルを、以下のように、帯鋸/丸鋸を使用することにより調製した。
a. 引張弾性試験のため、サンプルをスタンダードドックボーン(standard dog bone (併用式1B型))に粉砕した。
b. 示差走査熱量測定(DSC)のため、サンプルを非暴露及び暴露シートの表面からミクロトームによりスライスした(70×10×8mm)、0〜100μm、1〜2mgサンプル重量。
c. 抗酸化剤の存在量を計測するため、シートの大きさは、60×60×8mmまたは70×40×8mm。
3. 全てのサンプルに番号でラベル付けし、特に増加を計算するためのトレーサビリティを保証した。
4. 全ての試験片を2リットルガラス容器に沈めた。サンプルを、耐酸ステンレススチール製のラックに固定した。これは、サンプル間の良好な距離を保つためであった。
5. 容器に、30% MEA水溶液を充たし、95℃、80℃、または60℃の温度に調整した。
6. 各チャンバに配されるサンプルの最大数は、8スタンダードドックボーン、6試験片の大きさ60×60×8mmまたは70×40×8mm及び6試験片の大きさ70×10×8mmであった。
7. 撹拌は行わなかった。IRGANOX1010、AO168およびDSTDPを含有する市販のPP−H−100サンプルを試験する際、95℃の容器の30%MEA水溶液は、毎週変化し、80℃の容器の30% MEA水溶液の50%は、毎週置き換えられた。IRGANOX1010、IRGANOX1330、SHT及びDSTDPを含有するBE60−7032のサンプルを試験する際、未使用30% MEAまたは使用済み水溶液(前述)を使用した。使用済みアミンは、かなりの時間、試験プラントでCO2回収に使用されており、実際の量のアミン分解産物及び汚染物質を含有するアミンである。使用済みアミンでは、試験期間、溶液の変更は行なわなかった。すべてのサンプルを保証するための補充のみが、全試験期間で、液体によりまかなわれた。
8. DSC及びAO計測用サンプルを、1、2、3、5、8、12及び/または20週間後、取り除いた。弾性試験のため、サンプルを、劣化前及び8、12、及び20週間後、計測した。
9. シートの表面から得た物質でDSCを行った。100μmの厚さの層にスライスし、さらに100μmのスライスを行った。両方の試験片をDSCにより分析し、β結晶の変化を評価した。
10. AO計測。大きさ6×6cm、厚さ8mmのプレートを容器から取り出し、その後、切断/粉砕し、大きさ1mmの粉末にした。粉末を均質な混合物に混合し、その後、適切な溶媒で抽出した。溶液をろ過し、粉末を除去した。その後、溶液をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)マシーンに挿入した。結果の質を保証するため、常に既知の標準物質をサンプルと共に使用した。さらに、内部標準を使用することにより抽出法を実施した。
11. AO計測を使用し、以下のようにシートの寿命を算出した。
【0178】
HPLCの結果から、異なる保存状態における保存時間の関数として、枯渇曲線は、異なるAOで作製されている。時間関数におけるAOの減少は、対数のようであり、従って、ln(濃AO)対時間の関係から、異なる条件において、[AO]=1ppmとなるまでの時間と算出されている。それらの結果をアレニウスプロットに挿入することにより、AO濃度=1ppmとなるまでの時間がいずれの温度においても予測される。
【0179】
試験方法
1.未劣化及び劣化サンプルにおけるAO存在量の決定
方法 液体クロマトグラフィー
器具 Agilent 1100
標本基準 別段の定めがない限り、シングルプレート
クロマトグラフィー条件:
カラム:C−18
移動相:水/AcN/IPA−段階
検出:UV、276nm
【0180】
2.吸収増大試験(DS/ EN ISO 16101:2004 B.2.1 吸収増大への抵抗(Resistance to Absorption Swelling)による)
浸液 モノエタノールアミン、MEA、30%水溶液
容器 加熱チャンバ
標本基準 0.8×4×7cmの厚さのシート
試験条件 サンプルを前述の異なる温度で液体に完全に浸した。サンプルを液体から除去し、人工気候室に23℃で保存し、質量を量った。所定の期間をおいて、質量を量った。
定義 % 質量増加
不確かさの方法: 10%標準偏差
【0181】
3. 引張弾性試験(ISO 527−2による)
器具 マクロ伸び計を有するZwick Z010
標本基準 デリバープレートから厚さ5mm及び8mmにミリングされた併用型1B、標本の幅は、10mmである。
試験条件 試験速度 50mm/分
引張弾性係数 1mm/分
引張弾性係数、MPa(伸長における弾力の係数)−応力−歪み曲線における0,05%〜0,25%の歪み間の割線の傾斜
降伏点における引張応力/歪み、MPa/%−降伏点に対応する引張応力/歪み(歪みの増加により、応力が増加することはない)
破断点における引張歪み、%−断裂の点に対応する引張歪み
破断点における引張応力、MPa−断裂の点に対応する引張応力
【0182】
4.顕微鏡調査
調製器具: Leica RM2165(回転式ミクロトーム)
顕微鏡: Zeiss Axiophot(透過型顕微鏡)
比較法: 透過 明/明視野 pol。及びλ−プレート
透過 明/暗視野
【0183】
5.示差走査熱量測定 DSC(ISO11357−3による)
器具 Perkin Elmer Diamond Hyper DSC
標本基準 95℃に晒された圧縮成形シート。晒されたシートの表面からミクロトームによりスライスされた、0〜100μm、1〜2mgサンプル重量。
試験条件 1.加熱 20〜225℃
冷却 225〜20℃
2. 加熱 20〜225℃
加熱/冷却速度 10℃/分
平行数 3
定義
融解温度、Tm−融解のピーク℃°C
結晶化温度、Tc−結晶化のピーク℃
融解エンタルピー、ΔH−一定圧力における物質の融解に必要な熱、J/g
【0184】
市販物質の評価
IRGANOX1010、AO168及びDSTDPを含有するPP−H−100プレートの試験
【0185】
未劣化PP H−100プ0レートは、前述の方法により決定される、以下の酸化防止組成物を含んでいた。
IRGANOX1010 2680 ppm wt
AO168 1170 ppm wt
AO168−ox 370 ppm w
DSTDP 4950 ppm wt
【0186】
1)劣化サンプルにおけるAO存在量の決定
異なる温度(wt ppm)で30% MEA水溶液にて劣化したプレートに存在する酸化防止剤の量を以下の表に示す。A0168−oxは、AO168亜リン酸塩の酸化物、すなわち、リン酸塩である。
【表2】
【0187】
IRGANOX1010(略称 AO1010)は、最も可能性がある原因として、アルカリ条件における低い加水分解安定性により、全ての条件において濃度減少が最も高い酸化防止剤である。
【0188】
60℃、80℃、及び95℃における30%MEA水溶液に保存されるPP−H 100プレート(厚さ8mm)からのIRGANOX1010の枯渇の結果に基づく寿命予測をも行った。
【0189】
2つの異なる温度におけるPP−H 100中のIRGANOX1010の濃度と30%MEA水溶液に晒された時間との対数関係を以下の
図3aに示す。
【0190】
95℃、8週間超の結果を使用して、23週間後のIRGANOX1010の濃度=1ppmという予測を得た。これを、20週における試験から得られた結果により確認した。
【0191】
80℃における20週間後の結果をも考慮することにより、IRGANOX1010は、80℃で72週間後(8週間後の予測される89週)は、1ppmであることが予想される。
【0192】
結果をアレニウスプロットに挿入することにより(
図3b)、75℃におけるAO=1ppmとなるまでの時間は、30%MEA水溶液中のPP−H−100において、約150週(3年)であると算出されている。しかし、寿命を増加させ得る同様の要因は、(i)加水分解IRGANOX1010のうちいくつかは、酸化防止効果を有し得ること、(ii)この研究において、プレートは、両側からアミンに晒されたが、操作条件により、片側からのみ晒され得ること、及び(iii)AO欠乏ポリオレフィンは、まだ、寿命を有し得ることがある。
【0193】
それらの結果は、全ての要因を考慮して、片側から75℃の30%MEA水溶液に継続的に晒された厚さ8mmのPP H−100シートの寿命が、7〜8年の範囲にあることが予測されることを示す。
【0195】
95℃においてさえ、PP−H 100の増大質量は、非常に小さい。
【0197】
参考物質は、未劣化である。異なる条件における20週間後の機械的特性における変化は、全て目立たない。
【0199】
図4aは、晒されていない参考サンプルである。左手側は、ミクロトーム断面のLM画像である。右手側は、表面のSEM画像である。
【0200】
図4bは、95℃で、30%MEA水溶液に20週間晒されているPP−H−100プレートである。左手側は、ミクロトーム断面のLM画像である。右手側は、表面のSEM画像である。
【0201】
形態学的に、また、20週間晒した後の表面に、著しい違いは観察されなかった。表面にみられる構造(SEM画像)は、人工産物(指紋)により生じ、成形における可変量のスクラッチは、表面の複製に様々なバリエーションを与えた。微小亀裂は観察されなかった。
【0202】
5.DSC
結果を以下の表、及び
図5のグラフに示す。ここで、
図5aは、参考物質のDSC曲線を示し、
図5bは、1、2、3、及び8週間晒されたサンプルと比較した参考物質のDSC曲線を示し、
図5cは、8週間及び20週間晒されたサンプルのDSC曲線を示す。
【表5】
【0203】
DSCは、95℃で、20週晒したことによるβ相における著しい変化を示さなかった。
【0204】
IRGANOX1010、IRGANOX1330、DSTDP及びSHTを含有するBE60−7032プレートの試験
未劣化プレートは、記載される方法により決定される以下の組成物を含んでいた。:
IRGANOX1010 2880ppm wt
AO 1330 4250ppm wt
DSTDP 4900ppm wt
SHT 1000ppm wt
【0205】
1)劣化サンプル中のAO存在量の決定
異なる温度(wt ppm)におけるアミン溶液で劣化したプレートに存在する酸化防止剤の量を以下の表に示す。
【0206】
AMP及びAEPの使用済み水溶液中での劣化(wt ppm)
【表6】
【0207】
未使用30%MEA溶液における劣化(wt ppm)
【表7】
【0208】
試験は、数か月炭素の回収に使用されている、2つの異なるアミン、すなわち、MEAの30%水溶液及びAEP及びAMPの混合水溶液で行っている。溶媒選択の理論的根拠は、異なるアミン間の著しい相違があるかどうかが明らかであること、及びまた、アミン分解産物がポリプロピレンに対する不利益な効果を有するかどうかを調査することである。
【0209】
この結果により、IRGANOX1330が2つの溶媒のいずれかに晒された後、明らかに枯渇しないことを示された。
【0210】
80℃及び95℃で未使用30%MEA水溶液及びAMP及びAEPの使用済み水溶液に保存されるBE60−7032プレート(厚さ8mm)からのIRGANOX1010+A01330の枯渇に基づき、寿命予測を行った。
【0211】
BE60−7032プレート中のAO(IRGANOX1010+A01330)濃度と、80℃及び95℃で未使用30%MEA水溶液とAMP及びAEPの使用済み溶液との両方に晒した時間を以下の
図6a及び6bに示す。
【0212】
図に示す数式を使用することにより、IRGANOX1010+IRGANOX1330の濃度=1ppmとなるまでの時間を算出することができ、結果を市販のPP−H 100の結果と比較して以下の表に示す。
【表8】
【0213】
それらの結果は、95℃及び80℃の両方でIRGANOX1330及びSHTを添加したことにより、AO=1ppmになるまでの時間が5倍超持続したことを示す。
【0214】
結果をアレニウスプロットに挿入することにより(
図6c)75℃におけるAO=1ppmまでの時間が算出されており、未使用MEAと使用済みアミン溶液との両方において、約650週(12,5年)である。
【0215】
全ての要因を考慮して、片側から75℃でアミン水溶液(未使用または使用済み)に継続的に晒されたIRGANOX1330及びSHTを有する厚さ8mmのBE60−7032の寿命は、>15年、おそらく、20年近いと予想されている。
【0216】
2つのプレートにおける試験
上述の全ての試験は、30%MEA水溶液中の厚さ8mmのプレート(すなわち、両側からアミンに晒される)で行われている。片側からのみアミンを晒すような現実の条件により近づけるために、2つの厚さ8mmのプレートを合わせて厚さ16mmとなるよう溶接した。8mmと16mmの両方のプレートを80℃及び95℃で30%MEA水溶液中に15週間劣化させ、残った酸化防止剤の含有量を分液した。
【0217】
劣化前のプレートにおける酸化防止剤(ppm)
【表9】
【0218】
15週間、未使用30%MEA(wt ppm)中で劣化したプレート中の酸化防止剤(ppm)
【表10】
【0219】
単一プレート
T濃度がIRGANOX1010+IRGANOX1330=1ppmとなるまでの時間を15週間の劣化までの結果に基づき推測した。
【表11】
【0220】
時間関数としてのAOの枯渇を
図7aに示す。
【0221】
それらの結果は、80℃と95℃の両方で、IRGANOX1330の濃度が非常にわずかに減少したことを示す。それは、以下のような異なる理由に因るであろう。
a) IRGANOX1330の非常に良好な加水分解安定性
b) IRGANOX1010と加水分解されたIRGANOX1010とは、IRGANOX1330よりも素早くペルオキシラジカルと反応し、ポリマーの分解を停止させ得る。これにより、IRGANOX1330分子は、活性IRGANOX1010及び加水分解されたIRGANOX1010分子がポリマーに存在する限り、“保護されている”。
【0222】
65℃における寿命予測
図7bに示すように、それらの結果をアレニウスプロットに挿入することにより、65℃で30%MEA溶液に継続して晒されたIRGANOX1330を有する厚さ8mmのBE60−7032ライナーの寿命は、推測することができる。
【0223】
この推測は、65℃で両側からアミンを晒した場合、寿命が1300週(25年)であることを示す。寿命予測ため、IRGANOX1010+IRGANOX1330の濃度変化を使用することにより、短い保管期間(例えば、15週)後に作製された予測が、主にIRGANOX1010の加水分解に影響するであろう。従って、寿命予測は、少なく見積もられる。
【0224】
全ての要因を考慮して、片側から、65℃で、30%アミン溶液(未使用または使用済み)に継続して晒されたIRGANOX1330を有する厚さ8mmのBE60−7032の寿命は、>25年、おそらく、>30年と推測されている。
【0225】
2)吸収試験
未使用アミン
【表12】
【0226】
未使用アミン−2つのプレート、溶接されたサンプル
【表13】
【0228】
PP−H 100の増加質量は、使用済み及び未使用のアミンの両方において、95℃でさえ、非常に低い。
【0229】
3)引張弾性力
未使用アミン
【表15】
【0231】
参考物質は、全て未劣化である。異なる条件における8及び12週間後の機械的特性の変化は、全て目立たない。
【0233】
図8aは、参考サンプルである。左手側は、ミクロトーム断面のLM画像である。右手側は、表面のSEM画像である。
【0234】
図8bは、95℃における水液中の30%MEA(未使用)中に12週間晒されているBE60−7032プレートである。左手側は、ミクロトーム断面のLM画像である。右手側は、表面のSEM画像である。
【0235】
図8cは、95℃におけるアミン水溶液(使用済みAMP/AEPの混合物)に12週間晒されているBE60−7032プレートである。左手側は、ミクロトーム断面のLM画像である。右手側は、表面のSEM画像である。
【0236】
形態学的に、12週間晒した後の表面に、著しい違いは観察されなかった。表面にみられる構造(SEM画像)は、人工産物(指紋)及び表面の複製に様々なバリエーションを与える成形における可変量のスクラッチにより生じる。検査したサンプルに微小亀裂は観察されなかった。
【0237】
5.DSC
結果を以下の表及び
図9のグラフに示す。ここで、9aは、参考物質のDSC曲線を示し、
図9bは、3、8及び12週間未使用アミンに晒したサンプルと比較した参考物質のDSC曲線を示し、
図9cは、8及び12週間使用済みアミンに晒したサンプルと比較した参考物質のDSC曲線を示す。
【0240】
95℃におけるアミン溶液での劣化後の130℃における劣化
【0241】
a)サンプルP1及びP2
試験に使用されるサンプルP1及びサンプルP2の組成物を以下の表に示す。両サンプルは、同一のポリマーに基づく。以下の表21は、劣化前に分析した酸化防止剤組成物を示し、一方、SHTの濃度は、添加された濃度であり、分析しなかった。
【表19】
【0242】
本研究において、最初に、及び劣化前に、サンプルP1及びP2を95℃で、P1は、36週間、P2は52週間、ピペラジン/AMP溶液(0.45M ピペラジン+0.9M AMP)(pH−12,5)で、劣化した。IRGANOX1010及びIRGANOX1330と組み合わせたAO1020に関し、添加した酸化防止剤を計測したものを、
図10a及び10bにそれぞれ図解する。計測可能なIRGANOX1010は、32週間後のP1またはP2において発見されなかったが、IRGANOX1330の65%は、劣化1年(52週)後のサンプルP2に残る。
【0243】
IRGANOX1010は、サンプルP1中に残らないが、劣化36週間後の機械的特性は、ほとんど変化しない。サンプルP2においても、劣化52週間後の機械的特性はほとんど変化しない。
【0244】
予め劣化したそれらサンプルは、130℃のオーブンで循環した空気中(すなわち、高温でのピペラジン+AMP溶液における劣化と比較して酸素と容易に接触する)に置かれ、130℃14週間の劣化まで目視で検査され、その後、サンプルに機械的引張弾性試験をした。
【0245】
B)サンプルP5及びP10
サンプルP5及びサンプルP10の組成物を表22に示す。両組成物は、同様のポリマーに基づく。以下の表22は、劣化前に分析された酸化防止剤組成物を示すが、SHTの濃度は、添加された濃度であり、分析しなかった。
【表20】
【0246】
最初に、サンプルP5及びP10を95℃で12週間、ピペラジン/AMP溶液(0.45M ピペラジン+0.9M AMP)(pH−12,5)中で劣化した。残る酸化防止剤は以下の表23に示すものである。
【表21】
【0247】
予め劣化したそれらサンプルは、130℃のオーブンで循環した空気中(すなわち、高温でのピペラジン+AMP溶液における劣化と比較して酸素と容易に接触する)に置かれ、130℃14週間の劣化まで目視で検査され、その後、サンプルに機械的引張弾性試験をした。
【0248】
c)ピペラジン+AMPの酸化防止剤及びポリマーへの効果
サンプルP3の厚さ1mmのサンプル(酸化防止剤を添加しないPPポリマー)を、95℃、空気、水、及びピペラジン/AMP溶液(0.45M ピペラジン+0.9M AMP)(pH−12,5)中で、やがて脆性破壊が起こるまで、劣化させ、32週間ピペラジン+AMP中で劣化したサンプルを脆化するまで130℃でさらに劣化させた。サンプルは、目視で検査され、破壊するまで、毎週180°伸ばした。
【0249】
引張弾性試験−(ISO 527−2による)
器具 マクロ伸び計を有するZwick Z010
標本基準 厚さ8mmに圧縮成形及びミリングされた併用型1B
試験条件 試験速度 50mm/分。
引張弾性係数 1mm/分
【0250】
定義
引張弾性係数、MPa(伸長における弾力の係数)−応力−歪み曲線における0,05%〜0,25%の歪み間の割線の傾斜
降伏点における引張応力/歪み、MPa/%−降伏点に対応する引張応力/歪み(歪みの増加により、応力が増加することはない)
破断点における引張歪み、%−断裂の点に対応する引張歪み
破断点における引張応力、MPa−断裂の点に対応する引張応力
【0251】
結果及び検討
以下の表24は、上記にて定義した時間、ピペラジン/AMP溶液(0.45M ピペラジン+0.9M AMP)(pH−12,5)の前述の混合物中でサンプルを予め劣化させた後、130℃の空気中で、数日、サンプルP1、P2、P5及びP10の表面分解の第1の可視指標が得られるまでの時間を示す。
【表22】
【0252】
86日間劣化させたサンプルP2及びサンプルP3(酸化防止剤を添加していないPP)と共に、72日後のサンプルP1の表面分解の最初の指標を
図11に示す。それらは、32週間、ピペラジン/AMP溶液(0.45M ピペラジン+0.9M AMP)(pH−12,5)で予め劣化され、
図11に示すように、130℃で12日後の表面分解の最初の指標、130℃で24日後、完全に脆化した。
【0253】
以下の表25は、その機能として、サンプルP2、P1、P5、及びP10の機械的特性の変化を示す。
【表23】
【0254】
a)サンプルP1及びP2
表25に示すような機械的特性は、サンプルP1及びP2の降伏点における応力、降伏点における歪み、及び破断点における応力の劣化の間のわずかな変化を示す。
図12に示すように劣化の機能として引張弾性係数及び破断点における歪みが見られる。
【0255】
サンプルP1の引張弾性係数及び破断点における歪みの減少は、明らかに、ポリマーの分解が始まり、おそらく、酸化防止剤を添加していないサンプルP3に見られるような(
図2)130℃のわずかに過剰な週の劣化後、完全にポリマーが脆化したことを示す。文献においては、破断点における歪みが50%減少したことが、ポリマーの劣化の破壊基準として使用されることがある。P1は、ピペラジン+AMP中で、95℃で36週、さらに130℃で4週後、60%減少する。P2における同様の特性は、長期間の劣化後、わずかに変化し、おそらく、それは、P2のより安定なシステムによる。
【0256】
図13は、ピペラジン+AMP中で、95℃36週、さらに130℃14週後のサンプルP1、同様に、ピペラジン+AMO中で、95℃で52週、さらに、130℃で14週後のサンプルP2の破断までの引張弾性試験後の破壊面である。画像は、P1の部分的な脆性破壊及び表面近くで同様に分解したポリマー(上部左P1a)を示すが、サンプル2は、より延性を示し、表面分解の指標は見られなかった。
【0257】
b)サンプルP5及びP10
サンプルP5及びP10間の組成物の違いは、サンプルP5においてSHTの1000 ppmであることのみである。表23〜25の結果は、ピペラジン+AMP中の12週間の劣化後の残りのIRGANOX1330の濃度が同一であり、130℃で14週間のさらなる劣化は、表面分解も、機械的特性の変化も示さない(すなわち、劣化時間は、それら2つのサンプルを区別するには短過ぎる)
【0258】
c)酸化防止剤及びポリマーにおけるピペラジン+AMPの効果
異なる条件における厚さ1mmの非平衡PP(サンプルP3)の劣化後の結果を表6に示す。
【表24】
【0259】
表6は、異なる媒体中での、P3の最初の表面分解及び脆化を示す。
【0260】
この結果により、表面分解の最初の指標(黄色の点)までの時間が、水と空気との両方において、95℃で非平衡なPPと大凡同一であったことを示される。しかし、脆性破壊までの時間は、水よりも空気中の方が早かった。
【0261】
この表6に示す結果により、また、ピペラジン+AMPを含むアミン水溶液が、95℃において、ピペラジン/AMP溶液(0.45M ピペラジン+0.9M AMP)(pH−12,5)中で32週間後の表面分解の指標がなく、ポリプロピレンへの安定な効果を有することをも示される。しかし、空気中で、130℃までのピペラジン+AMPからサンプル3を除去した後、サンプルは、数日(12日)後、消失した。
【0262】
この結果により、ピペラジン+AMPが、水中のIRGANOX1010の枯渇と比較して(pH4,5、pH7及びpH12,5)、酸化防止剤IRGANOX1010(サンプルP1参照)の枯渇への負の効果を有することが教示される。この理由としては、ピペラジン+AMPを含むアミン組成物がポリマーをわずかに増大させ、ポリマーへ複数の水を持ち込み得り、IRGANOX1010分子が、ポリマー内部で加水分解され得ることを挙げてもよい。水中に保存されるPPポリマーでは、IRGANOX1010の加水分解性は、表面で起こると報告されている(すなわち、AO1010がわずかに加水分解され、IRGANOX1010の枯渇が遅い)。これは、また、ポリプロピレンの正しい安定化を選択することが重要であると示す。同時に、サンプルP2の全ての試験結果は、P2の酸化防止剤システムが、非常に長い期間のアミン溶液への特性を与え、ピペラジン+AMP中での95℃における推測されるサービス期間は、20年間、及び、80℃では>30年が保障される。
【0263】
結論
−ピペラジン+AMP中に95℃で36週、さらに空気中に130℃で72日後、サンプルP1のポリマー分解の最初の指標が見られる。
−ピペラジン+AMP中に95℃で52週、さらに空気中に130℃で96日後、サンプルP2のポリマー分解の指標は、見られなかった。
−130℃における時間(96日)は、サンプルP5及びP10間を区別するには短過ぎ、SHTの実際の効果を見ることができた。
−ピペラジン+AMPは、酸化防止剤IRGANOX1010の枯渇において負の効果を有する。
−ピペラジン+AMPは、ポリプロピレンに対する安定性(酸化防止性)を有する。
【0264】
水溶液中の時間の関数としての酸化防止剤の枯渇
異なる水溶液中で、時間の関数として、上述のような試験標本P1及びP3における酸化防止剤の枯渇のため得られた結果を、水中、及びMEA、AMP+AEP、AMP+ピペラキシン、NaOH及びH
2SO
4の水溶液中のそれぞれIRGANOX1010及びIRGANOX1330の枯渇を示す
図14及び15に示す。上述のように実施された上記実施例及び個別の試験の両方にから結果を得、上述の図面に結果を集めた。
【0265】
ポリオレフィンが、IRGANOX1010またはIRGANOX1330のような、フェノール系酸化防止剤がポリマー混合物中に存在する限り、機械的特性を損失し得る熱分解に晒されないことは既知である。従って、酸化防止剤の枯渇は、ポリマーにおいて要求される特性の望まない損失の指標である。
【0266】
例え、基本的な水のpHがアミン溶液のものと同一であったとしても、水、または酸性、または塩基性水よりも、アミン溶液の方が、ポリオレフィンから素早くIRGANOX1010を枯渇させることが、
図14及び15から分かる。全てのIRGANOX1010は、15週間後には、ポリマーから枯渇するが、IRGANOX1330は、同じ期間で、基本的には変化しない。
【0267】
95℃におけるアミン溶液中で浸水させ、15週間、IRGANOX1330が変化しないままであるという発見は、CO
2回収用プラントにおいて、作動状況下で、著しく長い期間、酸化防止剤が、ポリプロピレン中に残るということを示す。polypropyleneこの結果は、それらにおいて試験されたqポリマーからのIRGANOX1330のより早い枯渇を報告するMullerらの上記文献における発見からは予想されていない。
【0268】
試験されるポリプロピレンから全てのIRGANOX1330が枯渇する前の予期せぬ、長い時間に関しては、試験されるポリプロピレンへの添加物の特定の組成物、SHTとの相互作用、またはポリプロピレンポリマーにおける違いのためと説明することができる。さらに、この問いへの返答となる寿命に関する試験が、行われている。