特許第6180418号(P6180418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180418
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】伸縮積層体の製造方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20170807BHJP
   A61F 13/49 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   A61F13/15 311A
   A61F13/49 313Z
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-532966(P2014-532966)
(86)(22)【出願日】2013年8月22日
(86)【国際出願番号】JP2013072416
(87)【国際公開番号】WO2014034520
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年7月27日
(31)【優先権主張番号】特願2012-191944(P2012-191944)
(32)【優先日】2012年8月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】特許業務法人山村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100102060
【弁理士】
【氏名又は名称】山村 喜信
(72)【発明者】
【氏名】阪部 淳也
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−120762(JP,A)
【文献】 特開2011−127240(JP,A)
【文献】 特開2012−120610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15−13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚のシートに前記シートの搬送方向を横切る幅方向に延びる線状の少なくとも1本の弾性部材が配置されて前記幅方向に伸縮する伸縮積層体の製造方法であって、
互いに前記幅方向に離間した第1組および第2組のコンベヤベルトと、
前記二組のコンベヤベルトにより搬送される前記弾性部材を前記シートに付着させて前記伸縮積層体を形成する第1および第2のニップロールとを用い、
前記第1および第2ニップロールのうち少なくとも一方のニップロールが前記二組のコンベヤベルトの間に配置され、
前記第1組および第2組のコンベヤベルトは、それぞれ、前記第1ニップロール側に配置された第1および第3のコンベヤベルトを備え、
前記第1組および第2組のコンベヤベルトは、それぞれ、前記第2ニップロール側に配置された第2および第4のコンベヤベルトを備え、前記製造方法は、
前記二組のコンベヤベルトに張架状態で前記弾性部材を螺旋状に巻回する工程と、
前記少なくとも1枚のシートを前記一対のニップロールの間に供給する工程と、
前記シートを横切る幅方向に延びた状態の前記少なくとも1本の弾性部材の一部と他部とが前記搬送方向に互いに離間した状態で前記少なくとも1本の弾性部材を前記シートの表面に供給する工程と、
前記一対のニップロールにより前記弾性部材の前記一部と前記他部を前記シートに付着させる工程と、
前記両ニップロールが前記シートを介して互いに接する、前記シートの厚さ方向のニップ位置に応じて前記第1〜第4コンベヤベルトの周速度を設定する工程とを備える。
【請求項2】
請求項1の方法おいて、前記ニップ位置が第1および第3コンベヤベルトよりも第2および第4コンベヤベルトに近い場合には、第1および第3コンベヤベルトの平均周速度V13よりも第2および第4コンベヤベルトの平均周速度V24の方が小さい状態で運転され、
一方、前記ニップ位置が第2および第4コンベヤベルトよりも第1および第3コンベヤベルトに近い場合には、第1および第3コンベヤベルトの平均周速度V13よりも第2および第4コンベヤベルトの平均周速度V24の方が大きい状態で運転される。
【請求項3】
少なくとも1枚のシートに前記シートの搬送方向を横切る幅方向に延びる線状の少なくとも1本の弾性部材が配置されて前記幅方向に伸縮する伸縮積層体の製造装置であって、
互いに前記幅方向に離間した第1組および第2組のコンベヤベルトと、
前記二組のコンベヤベルトに張架状態で前記弾性部材を螺旋状に巻回するスピンナと、
前記張架状態の前記弾性部材を前記コンベヤベルトの搬送方向の下流に向かって搬送するために前記二組のコンベヤベルトを回転させる駆動装置と、
前記二組のコンベヤベルトにより搬送される前記弾性部材を前記シートに付着させて前記伸縮積層体を形成する第1および第2のニップロールとを備え、
前記第1および第2ニップロールのうち少なくとも一方のニップロールが前記二組のコンベヤベルトの間に配置され、
前記第1組および第2組のコンベヤベルトは、それぞれ、前記第1ニップロール側に配置された第1および第3のコンベヤベルトを備え、
前記第1組および第2組のコンベヤベルトは、それぞれ、前記第2ニップロール側に配置された第2および第4のコンベヤベルトを備え、
ここにおいて、前記両ニップロールが前記シートを介して互いに接する、前記シートの厚さ方向のニップ位置に応じて前記第1〜第4コンベヤベルトの周速度を設定する制御装置を備える。
【請求項4】
請求項3の製造装置において、前記制御装置は、
前記ニップ位置が第1および第3コンベヤベルトよりも第2および第4コンベヤベルトに近い場合には、第1および第3コンベヤベルトの平均周速度V13よりも第2および第4コンベヤベルトの平均周速度V24の方が小さい状態で運転されるように前記周速度を設定し、
一方、前記ニップ位置が第2および第4コンベヤベルトよりも第1および第3コンベヤベルトに近い場合には、第1および第3コンベヤベルトの平均周速度V13よりも第2および第4コンベヤベルトの平均周速度V24の方が大きい状態で運転されるように前記周速度を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伸縮積層体の製造方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
使い捨てオムツやパンツにおいてはサイドパネルや本体部に伸縮積層体を配置して前記オムツ等が胴にフィットする構造を採用している。かかる伸縮積層体の製造方法として、ニップロールで挟まれる一対のテープの間に前記テープの搬送方向に交差する方向に螺線状の弾性部材をコンベヤベルトで送り込み、その弾性部材を前記一対のテープ間で挟んで固定する方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP63−243309A(第7図)
【発明の概要】
【0004】
しかし、装置のメンテナンス性を考慮してニップロールをレイアウトした場合に、前記テープの厚さ方向のニップ位置が、コンベアの上下の中心に対し芯ズレした状態となることがある。この場合、弾性部材がニップ位置まで搬送される距離は、コンベヤベルト上側の搬送面に接する弾性部材と、コンベヤベルト下側の搬送面に接する弾性部材とでは互いに異なる。
【0005】
例えば、ニップ位置がコンベヤベルトの上側の搬送面と同一面である場合、上側の弾性部材の搬送距離は、巻き始めの位置からニップ位置までの直線距離となる。一方、コンベヤベルトの下側の弾性部材の搬送距離は、巻き始めの位置から下ニップロールとの接触位置までの直線距離に、当該下ニップロールに沿った円弧状の搬送距離をプラスした値となる。そのため、円弧上の搬送部分の長い分だけ下側の弾性部材が上側の弾性部材に対しニップ位置に到達する時間が遅れる。その結果、弾性部材の所期の配置が得られない。
【0006】
したがって、本発明の目的は、コンベヤベルトの2つの搬送面で搬送される弾性部材の搬送時間が互いに同じ値に近づくようにすることである。
【0007】
本発明方法は、少なくとも1枚のシートに前記シートの搬送方向を横切る幅方向に延びる線状の少なくとも1本の弾性部材が配置されて前記幅方向に伸縮する伸縮積層体の製造方法であって、
互いに前記幅方向に離間した第1組および第2組のコンベヤベルトと、
前記二組のコンベヤベルトにより搬送される前記弾性部材を前記シートに付着させて前記伸縮積層体を形成する第1および第2のニップロールとを用い、
前記第1および第2ニップロールのうち少なくとも一方のニップロールが前記二組のコンベヤベルトの間に配置され、
前記第1組のコンベヤベルトは、前記第1ニップロール側に配置された第1のコンベヤベルトを備え、
前記第2組のコンベヤベルトは、前記第1ニップロール側に配置された第3のコンベヤベルトを備え、
前記第1組のコンベヤベルトは、前記第2ニップロール側に配置された第2のコンベヤベルトを備え、
前記第2組のコンベヤベルトは、前記第2ニップロール側に配置された第4のコンベヤベルトを備え、前記製造方法は、
前記二組のコンベヤベルトに張架状態で前記弾性部材を螺旋状に巻回する工程と、
前記少なくとも1枚のシートを前記一対のニップロールの間に供給する工程と、
前記シートを横切る幅方向に延びた状態の前記少なくとも1本の弾性部材の一部と他部とが前記搬送方向に互いに離間した状態で前記少なくとも1本の弾性部材を前記シートの表面に供給する工程と、
前記一対のニップロールにより前記弾性部材の前記一部と前記他部を前記シートに付着させる工程と、
前記両ニップロールが前記シートを介して互いに接する、前記シートの厚さ方向のニップ位置に応じて前記第1〜第4コンベヤベルトの周速度を設定する工程とを備える。
【0008】
例えば、前記ニップ位置が第1および第3コンベヤベルトよりも第2および第4コンベヤベルトに近い場合には、第1および第3コンベヤベルトの平均周速度V13よりも第2および第4コンベヤベルトの平均周速度V24の方が小さい状態で運転され、
一方、前記ニップ位置が第2および第4コンベヤベルトよりも第1および第3コンベヤベルトに近い場合には、第1および第3コンベヤベルトの平均周速度V13よりも第2および第4コンベヤベルトの平均周速度V24の方が大きい状態で運転される。
【0009】
本発明装置は、少なくとも1枚のシートに前記シートの搬送方向を横切る幅方向に延びる線状の少なくとも1本の弾性部材が配置されて前記幅方向に伸縮する伸縮積層体の製造装置であって、
互いに前記幅方向に離間した第1組および第2組のコンベヤベルトと、
前記二組のコンベヤベルトに張架状態で前記弾性部材を螺旋状に巻回するスピンナと、
前記張架状態の前記弾性部材を前記コンベヤベルトの搬送方向の下流に向かって搬送するために前記二組のコンベヤベルトを回転させる駆動装置と、
前記二組のコンベヤベルトにより搬送される前記弾性部材を前記シートに付着させて前記伸縮積層体を形成する第1および第2のニップロールとを備え、
前記第1組のコンベヤベルトは、前記第1ニップロール側に配置された第1のコンベヤベルトを備え、
前記第2組のコンベヤベルトは、前記第1ニップロール側に配置された第3のコンベヤベルトを備え、
前記第1組のコンベヤベルトは、前記第2ニップロール側に配置された第2のコンベヤベルトを備え、
前記第2組のコンベヤベルトは、前記第2ニップロール側に配置された第4のコンベヤベルトを備え、
ここにおいて、前記両ニップロールが前記シートを介して互いに接する、前記シートの厚さ方向のニップ位置に応じて前記第1〜第4コンベヤベルトの周速度を設定する制御装置を備える。
【0010】
例えば、前記制御装置は、
前記ニップ位置が第1および第3コンベヤベルトよりも第2および第4コンベヤベルトに近い場合には、第1および第3コンベヤベルトの平均周速度V13よりも第2および第4コンベヤベルトの平均周速度V24の方が小さい状態で運転されるように前記周速度を設定し、
一方、前記ニップ位置が第2および第4コンベヤベルトよりも第1および第3コンベヤベルトに近い場合には、第1および第3コンベヤベルトの平均周速度V13よりも第2および第4コンベヤベルトの平均周速度V24の方が大きい状態で運転されるように前記周速度を設定する。
【0011】
本発明によれば、搬送距離の短い側のコンベヤベルトの平均周速度が小さく、一方、搬送距離の長い側のコンベヤベルトの平均周速度が大きい。したがって、ニップ位置がシートの厚さ方向にズレて弾性部材の部位ごとに搬送距離が互いに異なっていても、弾性部材が巻き始めの位置から前記ニップ位置まで搬送される時間は均一になり易い。
【0012】
「少なくとも1本の弾性部材の一部と他部」の文言は、弾性部材が1本である場合の一部と他部を含むと共に、前記弾性部材が複数本である場合に1つの弾性部材と別の弾性部材を含むことを意味する。
また、「少なくとも1本の弾性部材が前記シートを横切る幅方向に延びた状態」の文言は、弾性部材が前記搬送方向に対して直交方向に延びた状態を含むと共に、前記弾性部材が前記搬送方向に対して斜め方向に延びた状態を含むことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明にかかる製造装置を示す概略斜視図である。
図2図2は同装置の上流部分を示す概略斜視図である。
図3図3は同装置の一部であるスピンナの側面図である。
図4図4は同装置のコンベヤの下流部分示す概略斜視図である。
図5図5は同装置の上流部分を示す概略平面図である。
図6図6Aは同装置を示す概念的な側面図、図6Bは伸縮積層体の拡大側面図である。
図7図7はニップ位置がコンベヤベルトに対し下方に位置ズレした場合を示す側面図である。
図8図8はニップ位置がコンベヤベルトに対し上方に位置ズレした場合を示す側面図である。
【実施例】
【0014】
本発明は、添付の書類を参考にした以下の好的な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲のみによって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0015】
以下、本発明の一実施例が図面にしたがって説明される。
図1は伸縮積層体Wの製造装置を示す。
【0016】
本実施例の伸縮積層体Wは一対のシートS,Sの間に前記シートSの搬送方向Xを横切る幅方向Yに延びる線状の弾性部材Fが挟まれて前記幅方向Yに伸縮する。なお、前記伸縮積層体Wは、例えば切断されることで使い捨てオムツやパンツのサイドパネルとなる。
【0017】
前記シートSとしては搬送方向Xに連続する連続ウエブであってもよいし、搬送方向Xに不連続のウエブや樹脂シートであってもよい。本実施例の場合、前記弾性部材Fは、いわゆる糸ゴムであるが、帯状のゴムであってもよい。
【0018】
本製造装置はスピンナ2、コンベヤ1、カッタC、一対の第1および第2ニップロール41,42などを備える。前記コンベヤ1は、例えば4本の第1〜第4のコンベヤベルト11〜14および駆動装置3を備える。
【0019】
図2に明示するように、前記第1および第2コンベヤベルト11,12は上下に互いに接近して配置されている。また、第3および第4コンベヤベルト13,14は上下に互いに接近して配置されている。前記第1および2第コンベヤベルト11,12(第1組のコンベヤベルト1A)と第3および第4コンベヤベルト13,14(第2組のコンベヤベルト1B)はニップロール41,42の幅方向Yに互いに離間して配置されている。
【0020】
前記第1組および第2組のコンベヤベルト1A,1Bは、それぞれ、前記上側の第1ニップロール41側に配置された第1および第3のコンベヤベルト11,13を備える。一方、前記第1組および第2組のコンベヤベルト1A,1Bは、それぞれ、前記下側の第2ニップロール42側に配置された第2および第4のコンベヤベルト12,14を備える。
【0021】
すなわち、第1組のコンベヤベルト1Aは、第1ニップロール41側に配置された第1コンベヤベルト11と、第2ニップロール42側に配置された第2コンベヤベルト12とを備える。一方、第2組のコンベヤベルト1Bは、第1ニップロール41側に配置された第3コンベヤベルト13と、第2ニップロール42側に配置された第4コンベヤベルト14とを備える。
【0022】
前記スピンナ2は、駆動中の前記二組のコンベヤベルト1A,1Bに張架状態で前記弾性部材Fを螺旋状に巻回する。たとえば、前記スピンナ2はカップ状の本体20が図3の中空軸21の回りに回転し、前記中空軸21内を挿通された弾性部材Fが前記本体20内に配置した案内用の滑車22の先端から繰り出される。
【0023】
一方、図2の各コンベヤベルト11〜14の外側面がシートSの搬送方向Xの下流に向かって回転している。そのため、弾性部材Fに張力が働いた状態、つまり弾性部材Fが伸張した状態で弾性部材Fは二組のコンベヤベルト1A,1Bに螺旋状に連続的に巻回される。
【0024】
図1において、前記駆動装置3は、前記張架状態の弾性部材Fを前記コンベヤベルト11〜14の搬送方向Xの下流に向かって搬送するために前記4本のコンベヤベルト11〜14を回転させるためのものである。本実施例の場合、図5に示すように、弾性部材Fはコンベヤベルト11〜14の上面および下面に接する。図2の前記コンベヤベルト11〜14は、前記弾性部材Fの第1部F1と前記弾性部材Fの第2部F2とが前記シートSの厚さ方向Zに互いに離間した状態で、前記2枚のシートS,Sおよび一対のニップロール41,42の間に前記弾性部材Fを供給する。また、弾性部材Fの第1部F1および第2部F2がニップロール41,42の軸方向Yと略平行になるように又は平行に近づくように、前記コンベヤベルト11〜14の回転速度が制御される。
【0025】
図4において、前記駆動装置3は第1〜第4モータM1〜M4を有する。前記第1および第4モータM1,M4は、それぞれ、第1および第4コンベヤベルト11,14を高速度VH(±Δ)で回転駆動させる(但し、Δは正の値)。一方、前記第2および第3モータM2,M3は、それぞれ、第2および第3コンベヤベルト12,13を高速度VH(±Δ)よりも小さい低速度VL(±Δ)で回転駆動させる。このコンベヤベルトの速度差により、図5の前記ニップロール41,42(図6)に挟まれる部位の弾性部材Fの前記第1部F1と第2部F2とがニップロール41,42(図6)の軸心に略平行になる。
なお、図1図2および図4において、高速度VH(±Δ)で駆動されるベルト11,14には網点が施されている。
【0026】
図5の前記ニップロール41,42(図6)は、前記第1組のコンベヤベルト1Aと第2組のコンベヤベルト1Bの間の内側の空間において、図6Aの一対の前記シートSを前記二組のコンベヤベルト1A,1B間に導入し、図6A図8に示すように、ニップ位置Oにおいて前記弾性部材Fを前記一対のシートSの間で挟むと共に前記シートSに付着させて図2の前記伸縮積層体Wを形成する。なお、前記シートSに弾性部材Fを付着させる方法としては、シートSの互いに対面する表面に接着剤が塗布されてもよいし、あるいは、両シートS,Sが互いに溶着されてもよい。
【0027】
図2の前記一対のニップロール41,42の下流には一対のカッタC,Cが配置されている。前記一対のカッタC,Cは、前記弾性部材Fが前記一対のシートS,Sの間に挟まれた後に、前記一対のシートS,Sよりも外側において、かつ、二組のコンベヤベルト1A,1Bの間の位置において前記弾性部材Fを切断する。
なお、切断された弾性部材FのシートS,Sから、はみ出している部分は張力が取り除かれて縮む。
【0028】
こうして生成された伸縮積層体Wは、縦横に切断されて、前記サイドパネルなど一部として用いられる。
【0029】
つぎに、本発明の要部について説明される。
本製造装置は、以下に詳細に説明するように、図4の制御装置5を有する。この制御装置5は図6の前記両ニップロール41,42が前記シートSを介して接するニップ位置Oに応じて図4の前記第1〜第4のコンベヤベルト11〜14の周速度を設定する。すなわち、制御装置5は第1〜第4のコンベヤベルト11〜14が前記設定された周速度となるように各サーボモータM1〜M4(駆動装置3の一例)を制御する。
【0030】
図6に示すように、ニップ位置Oが第1および第3コンベヤベルト11,13と第2および第4コンベヤベルト12,14との間のセンターライン1C上にある場合、つまり、一対のニップロール41,42のニップ位置Oから第1および第3コンベヤベルト11,13の上面までの距離と、前記ニップ位置Oから第2および第4コンベヤベルト12,14の上面までの距離が互いに等しい場合、弾性部材の第1部F1と第2部F2との搬送距離(巻き始めの位置からニップ位置までの距離)は互いに等しい。
【0031】
したがって、この場合、第1部F1と第2部F2とは互いに等しい平均周速度(VH+VL)/2でニップ位置Oに向かって搬送される。すなわち、図4の第1コンベヤベルト11および第4コンベヤベルト14は周速度VHとなるように第1および第4モータM1,M4が高速回転し、一方、第2コンベヤベルト12および第3コンベヤベルト13は周速度VLとなるように第2および第3モータM2,M3が低速回転する。
【0032】
ところで、前述のように、装置のメンテナンス性を考慮してニップロール41,42をレイアウトした場合に、前記ニップ位置OはシートSの厚さ方向Zに芯ズレした状態となる場合がある。
【0033】
図7に示すように、前記ニップ位置Oが第1および第3コンベヤベルト11,13よりも第2および第4コンベヤベルト12,14に近い場合には、ニップロール42に近い側の弾性部材Fつまり第2部F2のニップ位置Oまでの距離は第1部F1のそれに比べ短い。したがって、この場合は、第1および第3コンベヤベルト11,13の平均周速度V13よりも第2および第4コンベヤベルト12,14の平均周速度V24の方が小さい状態で運転されるように前記周速度が設定される。
【0034】
たとえば、図4の第1コンベヤベルト11の周速度はVH+Δ、第3コンベヤベルト13の周速度はVL+Δ、第2コンベヤベルト12の周速度はVL−Δ、第4コンベヤベルト14の周速度はVH−Δとなるように各モータM1〜M4の回転速度が制御装置5により制御される。
【0035】
一方、図8に示すように、前記ニップ位置Oが第2および第4コンベヤベルト12,14よりも第1および第3コンベヤベルト11,13に近い場合には、ニップロール41に近い側の弾性部材Fつまり第1部F1のニップ位置Oまでの距離は第2部F2のそれに比べ短い。したがって、この場合は、第1および第3コンベヤベルト11,13の平均周速度V13よりも第2および第4コンベヤベルト12,14の平均周速度V24の方が大きい状態で運転されるように前記周速度が設定される。
【0036】
たとえば、図4の第1コンベヤベルト11の周速度はVH−Δ、第3コンベヤベルト13の周速度はVL−Δ、第2コンベヤベルト12の周速度はVL+Δ、第4のコンベヤベルト14の周速度はVH+Δとなるように各モータM1〜M4の回転速度が制御装置5により制御される。
【0037】
図6の前記ニップ位置Oの芯ズレの値(変位量)はオペレータが計測し、その計測値がオペレータにより制御装置5(図4)に入力されてもよいし、変位センサで軸芯41C又は42Cの変位量を計測し、その計測値が前記センサから制御装置5(図4)に入力されてもよい。この場合、制御装置5(図4)は芯ズレの値、つまり変位量と各モータの回転速度を増加減する値Δとの関係を予め記憶部に記憶しておいてもよい。
【0038】
また、前記ニップ位置Oの芯ズレの値は計測せずに、オペレータが目視で芯ズレの方向のみを見て、前記周速度の変化量Δの値を制御装置5に入力し、伸縮積層体Wにおける弾性部材FのピッチPを目視で検査しながら、前記ピッチPが概ね均一になるまで前記変化量Δの値を制御装置5に繰り返し入力してもよい。
【0039】
つぎに、製造方法が説明される。まず、図6のように、ニップ位置Oが上下のコンベヤベルトのセンタライン1C上に配置されている場合について説明される。
【0040】
図1のコンベヤベルト11〜14が駆動装置3により回転駆動されている状態で、スピンナ2から弾性部材Fが繰り出され、弾性部材Fがコンベヤベルト11〜14の周りに張設状態で巻き付けられる。これにより、弾性部材Fはコンベヤベルト11〜14の周りに螺旋状に巻き付けられながら、搬送方向Xの下流に向かって搬送される。
【0041】
すなわち、弾性部材Fの第1部F1と第2部F2は、軸方向Yに対して若干傾いた状態で、コンベヤベルト11〜14の上面と下面に沿って搬送される。その後、図4の高速度VHで駆動される第1および第4コンベヤベルト11,14と、低速度VLで駆動される第2および第3コンベヤベルト12,13との速度差により、図5に示すように、第1部F1と第2部F2とがニップロール41の軸方向Yに平行に近づきながら図2のニップロール41,42間に供給される。
一方、前記2枚のシートS,Sが一対のニップロール41,42間に供給される。
【0042】
すなわち、前記弾性部材Fの第1部F1と第2部F2とが前記搬送方向Xに互いに離間した状態で前記弾性部材Fが前記2枚のシートS,Sの間に供給される。この際、前記第1部F1と第2部F2とは図6Aに示す前記シートSの厚さ方向Zに互いに離間した状態で前記2枚のシートS,Sの間に供給される。
【0043】
その後、弾性部材Fはニップロール41,42の周方向Rに沿ってニップ位置Oまで搬送される。この搬送後、前記一対のニップロール41,42により前記弾性部材Fが前記2枚のシートS,Sの間に挟まれて、図6Bの弾性部材Fが次々に2枚のシートS,Sに接着された状態で配置される。
【0044】
前記配置後、つまり、前記弾性部材Fが前記一対のシートS,Sの間に挟まれた後に、図2に示すように、前記第1部F1と第2部F2との間で前記弾性部材FがカッタCにより切断される。
こうして、第1部F1と第2部とF2とが交互に互いに平行に、かつ、所定のピッチPで規則正しく配置された伸縮積層体Wが生成される。
【0045】
つぎに、図7のように、ニップ位置Oが下方の第2および第4コンベヤベルト12,14に近い側に芯ズレしている場合について説明する。この場合、第1および第3コンベヤベルト11,13の平均周速度V13よりも第2および第4コンベヤベルト12,14の平均周速度V24の方が小さい状態で運転される。
【0046】
そのため、ニップ位置Oまでの搬送距離が短い第2部F2が速度VH−ΔおよびVL−Δで搬送され、ニップ位置Oまでの搬送距離が長い第1部F1が速度VH+ΔおよびVL+Δで搬送される。
なお、この場合のその他の方法(工程)は前記図6の場合と同様であり、その説明を省略する。
【0047】
つぎに、図8のように、ニップ位置Oが上方の第1および第3コンベヤベルト11,13に近い側に芯ズレしている場合について説明する。この場合、第1および第3コンベヤベルト11,13の平均周速度V13よりも第2および第4コンベヤベルト12,14の平均周速度V24の方が大きい状態で運転される。
【0048】
そのため、ニップ位置Oまでの搬送距離が短い第1部F1が速度VH−ΔおよびVL−Δで搬送され、ニップ位置Oまでの搬送距離が長い第2部F2が速度VH+ΔおよびVL+Δで搬送される。
なお、この場合のその他の方法(工程)は前記図6の場合と同様であり、その説明を省略する。
【0049】
こうして、ニップ位置Oがセンタライン1Cに対して上下に芯ズレしていても、第1部F1と第2部F2とが交互に互いに平行に、かつ、所定のピッチPで規則正しく配置された伸縮積層体Wが生成される。
【0050】
ところで、上下のニップロール41,42の直径は互いに相違していてもよい。その場合、ニップロール41,42同士の曲率の相違を加味して、コンベヤベルト11〜14の周速度を設定してもよい。
【0051】
また、前記実施例では、周速度の増加減を全て±Δとしたが、+Δ1,−Δ2のように増加減する絶対値を上下のコンベヤベルトで異ならせてもよいし、上下の一方を一定速にして他方のみを増減させてもよい。
【0052】
また、図2のニップロール41,42の軸方向Yの両端の全周に弾性部材Fに係合する係合部を設けて弾性部材Fがニップロールの外周に沿ってスリップすることなく搬送できるようにしてもよい。
【0053】
なお、シートSが1枚である場合などにおいて、弾性部材Fが帯状に形成されたものであってもよい。
【0054】
また、前記JP63−243309Aに開示されているように、前記シートSはテープのように帯状の幅の狭いものであってもよい。この場合、帯状の一対のシート(テープ)で弾性部材Fを挟んだ後に、別の幅広のシートで弾性部材Fを挟んでもよい。
【0055】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
【0056】
たとえば、シートS,Sの一方又は両方が連続シートではなく、不連続シートであってもよい。また、本製造装置が並列に複数組設けられていてもよい。
また、サイドパネルではなく、いわゆるオムツの吸収性本体等に適用されてもよい。
また、弾性部材は溶断されて切断されてもよいし、更に、切断される必要もない。
また、弾性部材の第1部および第2部は互いに平行にされる必要はなく、斜めに傾いたままシートに配置されてもよい。
また、スピンナに弾性部材の導出部を複数個設け、スピンナから複数本の弾性部材が導出されてもよい。
【0057】
また、ニップ位置Oがコンベヤベルト1A,1Bよりも上方または下方に芯ズレしている場合、いずれか一方のニップロールの幅方向Y(図1)の長さは第1組のコンベヤベルト1Aの外側面から第2組のコンベヤベルト1Bの外側面までの長さよりも大きくてもよい。
【0058】
たとえば、図7に示すように、ニップ位置Oが第2および第4コンベヤベルト12,14の下面よりも下方に位置している場合、第2ニップロール42の幅方向Y(図1)の長さは前記両コンベヤベルト1A,1Bの外側面同士の間の長さよりも大きくてもよい。この場合、該第2ニップロール42に供給されるシートSの幅は前記外側面同士の間の幅よりも大きくてもよい。
【0059】
更に、前記第2ニップロール42に供給されるシートSの幅と同じ幅を有するシートSを第1ニップロール41に供給してもよい。すなわち、両コンベヤベルト1A,1Bの間の内側の空間に配置された前記第1ニップロール41に対し、前記両コンベヤベルトの外側面同士の間の幅よりも大きい幅のシートSが供給されてもよい。一般的に、シートSは不織布などの柔らかい素材であるため、シートSが前記外側面同士間の幅よりも大きくても、前記内側の空間に配置された第1ニップロール41に供給され得る。なお、この場合、前記第1ニップロール41に供給されるシートSの搬送方向Xに沿った両側縁を供給前に予め折り畳んでもよい。
【0060】
したがって、以上のような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明はシートに線状の弾性部材が複数本配置された伸縮積層体の製造に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1:コンベヤ 1A:第1組のコンベヤベルト 1B:第2組のコンベヤベルト
1C:センタライン 11〜14:第1〜第4コンベヤベルト
2:スピンナ 20:本体 21:中空軸 22:滑車
3:駆動装置
41,42:ニップロール
5:制御装置
C:カッタ
F:弾性部材 F1:第1部 F2:第2部
M1:第1モータ M2:第2モータ M3:第3モータ M4:第4モータ
N:法線方向(径方向)
O:ニップ位置
R:周方向
S:シート
T:接線方向
X:搬送方向 Y:幅方向,軸方向 Z:厚さ方向
W:伸縮積層体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8