【実施例】
【0014】
本発明は、添付の書類を参考にした以下の好的な実施例の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲のみによって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0015】
以下、本発明の実施例が図面にしたがって説明される。
図1は伸縮積層体Wの製造装置を示す。
【0016】
本実施例の伸縮積層体Wは一対のシートS1,S2の間に前記シートS1,S2の搬送方向Xを横切る幅方向Yに延びる線状の弾性部材F(F1,F2)が挟まれて、
図9Cおよび
図9Dに示すように、前記幅方向Yに伸縮する。なお、前記伸縮積層体Wは、例えば切断されることで使い捨てオムツやパンツのサイドパネルやウエストバンドとなる。
【0017】
図1において、前記シートS1,S2としては搬送方向Xに連続する連続ウエブであってもよいし、搬送方向Xに不連続のウエブや樹脂シートであってもよい。本実施例の場合、前記弾性部材Fは、いわゆる糸ゴムであるが、帯状のゴムであってもよい。
【0018】
本製造装置はスピンナ2、コンベヤ1、一対のカッタC、第1および第2ニップロール41,42などを備える。前記コンベヤ1は、例えば4本の第1〜第4のコンベヤベルト11〜14および駆動装置3を備える。
【0019】
図2に明示するように、前記第1および第2コンベヤベルト11,12は上下に互いに接近して配置されている。また、第3および第4コンベヤベルト13,14は上下に互いに接近して配置されている。前記第1および2第コンベヤベルト11,12(第1組のコンベヤベルト1A)と第3および第4コンベヤベルト13,14(第2組のコンベヤベルト1B)とはニップロール41,42の幅方向Yに互いに離間して配置されている。
【0020】
前記スピンナ2は、駆動中の前記二組のコンベヤベルト1A,1Bに張架状態で前記弾性部材Fを螺旋状に巻回する。たとえば、前記スピンナ2はカップ状の本体20が
図3の中空軸21の回りに回転し、前記中空軸21内を挿通された弾性部材Fが前記本体20内に配置した案内用の滑車22の先端から繰り出される。
【0021】
一方、
図2の各コンベヤベルト11〜14の外側面がシートSの搬送方向Xの下流に向かって回転している。そのため、弾性部材Fに張力が働いた状態、つまり弾性部材Fが伸張した状態で弾性部材Fは二組のコンベヤベルト1A,1Bに螺旋状に連続的に巻回された後に、下流に向かって搬送される。
【0022】
図1において、前記駆動装置3は、前記張架状態の弾性部材Fを前記コンベヤベルト11〜14の搬送方向Xの下流に向かって搬送するために前記4本のコンベヤベルト11〜14を回転させるためのものである。本実施例の場合、
図5に示すように、弾性部材Fはコンベヤベルト11〜14の上面および下面に接する。
図2の前記コンベヤベルト11〜14は、前記弾性部材Fの第1部F1と前記弾性部材Fの第2部F2とが前記シートSの厚さ方向Zに互いに離間した状態で、前記2枚のシートS1,S2および一対のニップロール41,42の間に前記弾性部材Fを供給する。また、弾性部材Fの第1部F1および第2部F2がニップロール41,42の軸方向Yと略平行になるように又は平行に近づくように、前記コンベヤベルト11〜14の回転速度が制御される。
【0023】
図4において、前記駆動装置3は制御装置5で制御される第1〜第4モータM1〜M4を有する。前記第1および第4モータM1,M4は、それぞれ、第1および第4コンベヤベルト11,14を高速度VHで回転駆動させる。一方、前記第2および第3モータM2,M3は、それぞれ、第2および第3コンベヤベルト12,13を高速度VHよりも小さい低速度VLで回転駆動させる。このコンベヤベルトの速度差により、
図5の前記ニップロール41,42(
図6)に挟まれる部位の弾性部材Fの前記第1部F1と第2部F2とがニップロール41,42(
図6)の軸心に略平行になる。
なお、
図4において、高速度VHで駆動されるベルト11,14には網点が施されている。
【0024】
図2において、第1ニップロール41の上流には周知のセーラ6が配置されている。このセーラ6は前記第1シートS1の両側縁部Seを折り返し当該折り返した折り返し部Sfが前記第1シートS1と第2シートS2との間に挟まれないように前記第1シートS1の折り返しを実行する。つまり、セーラ6は第1ニップロール41に向かって第1シートS1の両側縁部Seを折り返し、折り返し部Sfは第1ニップロール41と第1シートS1の非折り返し部Snとの間に挟まれる。換言すれば、前記折り返し部Sfは前記第1シートSの前記第1ニップロール41に接する面Ssに重なるように折り返される。
【0025】
図9Aに明示するように前記折り返されていない状態の第1シートS1は第2シートS2と同じ幅である。本実施例の場合、
図8Bの二点鎖線で示すように、第1ニップロール41の長さは第2ニップロール42よりも短く、二組のコンベヤベルト1A,1Bの間の空間内に入り込んでいる。一方、第2ニップロール42の長さは前記空間の幅よりも長く、コンベヤベルト11〜14の下方に配置されている。
【0026】
図6の前記第1および第2ニップロール41,42は、ニップ位置Oにおいて前記弾性部材F(
図5)を前記一対のシートS1,S2の間で挟むと共に前記シートS1,S2に付着させて
図8Cの複合体W1を形成する。すなわち、
図2の一対のニップロール41,42は前記第1シートS1における前記折り返されていない非折り返し部Snと前記第2シートS2との間に前記弾性部材F(F1,F2)を挟んで、前記2枚のシートS1,S2および前記弾性部材Fの幅方向Yの中央部分を互いに貼り合わせて複合体W1を形成する。
【0027】
前記シートS1,S2に弾性部材Fを付着させる方法としては、
図6に示す第2シートS2の第1シートS1に対面する表面に塗布機7から接着剤が塗布されてもよい。たとえば、前記第2ニップロール42の上流(ニップ位置Oの上流)には、塗布機7が配置されている。この塗布機7は第2シートS2の表面に互いに平行で、かつ、搬送方向に延びるライン状の接着剤を塗布する。
【0028】
図6のニップ点Oの若干下流には、
図8Cの二点鎖線で示す一対のカッタC,Cが上下のコンベヤベルト11,12又は13,14間に入り込んだ状態で配置されている。なお、
図6において前記カッタCの図示は省略している。
前記カッタCは前記複合体W1における前記弾性部材Fの前記第1および第2シートS1,S2からはみ出した部分において前記弾性部材Fを切断する。
なお、
図8Cおよび
図8Dに示すように、切断された弾性部材FのシートS1,S2に接着されていない部分、つまり両端部Feは張力が取り除かれて直ちに縮む。
【0029】
図2および
図5に示すように、一対のニップロール41,42の下流には折り戻しロール8が配置されている。
この折り戻しロール8は前記複合体W1の搬送方向Xに直交する幅方向Yに延びる軸線8cを有し、前記幅方向Yの中央から両端8eに向かって径小となり、
図7Aのように、その表面に前記複合体W1の第2シートS2における第1シートS1と反対側の面に接触する。
すなわち、
図2に示すように、折り返しロール8は両側縁においてテーパ状となった円筒面を有し、前記幅方向Yに沿った前記テーパ状の円筒面同士の間において軸線8cに対し平坦または緩やかに湾曲した円筒面を有する。
なお、本発明において折り返しロール8の幅方向Yの「中央」とは、折り返しロール8の幅方向Yの中心を含み、かつ、同ロール8の幅方向Yの両端を含まない領域を意味する。
【0030】
この折り戻しロール8は前記第2シートS2を接触させながら前記複合体W1を搬送して、前記弾性部材Fの中央部分Fcが収縮するのに伴い前記複合体W1の中央部分Wcが前記幅方向Yに収縮することで、前記第1シートS1の折り返し部Sfが
図7Bのように前記折り返しロール8の幅方向Yの両側縁に向かって折り戻されて前記第2シートS2の両側縁部Seに重なる。こうして、
図9Aおよび
図9Bに示す伸縮積層体Wが生成される。
【0031】
図6に示すように、前記折り戻しロール8の更に下流には転向ロール10および接合装置9が配置されている。この接合装置9は
図9Cのようにエンボス加工を施し、前記第1シートS1の折り戻された部分と前記第2シートS2の両側縁部Seとを互いに接合する。
【0032】
つぎに、伸縮積層体Wの製造方法について説明する。
図1の第1シートS1の搬送方向に沿う両側縁部Seがセーラ6で折られる。この第1シートS1の両側縁部Seを折り返す工程において、
図8Aに明示するように、当該折り返した折り返し部Sfが前記第1シートS1と第2シートS2との間に挟まれないように前記第1シートS1を折り返す。すなわち、第1ニップロール41に接する面Ssに前記折り返し部Sfが重なるように前記折り返し部Sfが折り返される。一方、
図8Aの第2シートS2の中央部分Scに塗布機7から接着剤Dが塗布される。
【0033】
図1のコンベヤベルト11〜14が駆動装置3により回転駆動されている状態で、
図2のスピンナ2から弾性部材Fが繰り出され、弾性部材Fがコンベヤベルト11〜14の周りに張設状態で巻き付けられる。これにより、弾性部材Fはコンベヤベルト11〜14の周りに螺旋状に巻き付けられながら、搬送方向Xの下流に向かって搬送される。
【0034】
すなわち、弾性部材Fの第1部F1と第2部F2は、軸方向Yに対して若干傾いた状態で、コンベヤベルト11〜14の上面と下面に沿って搬送される。その後、
図4の高速度VHで駆動される第1および第4コンベヤベルト11,14と、低速度VLで駆動される第2および第3コンベヤベルト12,13との速度差により、
図5に示すように、第1部F1と第2部F2とがニップロール41の軸方向Yに平行に近づきながら
図2のニップロール41,42間に供給される。
一方、前記2枚のシートS1,S2が一対のニップロール41,42間に供給される。
【0035】
すなわち、前記弾性部材Fの第1部F1と第2部F2とが前記搬送方向Xに互いに離間した状態で前記弾性部材Fが前記2枚のシートS1,S2の間に供給される。この際、前記第1部F1と第2部F2とは
図8Aに示す前記シートS1,S2の厚さ方向Zに互いに離間した状態で前記2枚のシートS1,S2の間に供給される。
【0036】
その後、弾性部材Fはニップロール41,42の周方向Rに沿ってニップ位置Oまで搬送される。この搬送後、前記一対のニップロール41,42により前記弾性部材Fが前記2枚のシートS1,S2の間に挟まれて、
図8Bの弾性部材Fが次々に2枚のシートS1,S2に接着された状態で配置される。
【0037】
すなわち、前記第1シートS1における前記折り返されていない非折り返し部Snと前記第2シートS2との間に前記弾性部材Fを挟んで、前記2枚のシートS1,S2および前記弾性部材Fの幅方向Yの中央部分Sc,Fcを互いに貼り合わせて複合体W1が形成される。
【0038】
前記配置後、たとえば、前記弾性部材Fが前記一対のシートS1,S2の間に挟まれた直後に、
図8Cに示すように、第1シートS1と第2シートS2からはみ出した部分において前記第1部F1と第2部F2との間の前記弾性部材Fが一対のカッタC,Cにより次々に切断される。この際、
図8Dの弾性部材FにおけるシートS1,S2に非接着の両端部Feは、いわゆるスナップバックして縮む。
こうして、
図5の第1部F1と第2部とF2とが交互に互いに平行で、かつ、所定のピッチPで規則正しく配置された
図8Dの複合体W1が生成される。
【0039】
前記
図8Dの複合体W1は、
図7Aに示すように、折り戻しロール8の表面に、前記複合体W1の第2シートS2における第1シートS1と反対側の面が接触しながら搬送される。
【0040】
ここで、
図7Aに示すように、前記折り戻しロール8は幅方向Yの中央から両端に向かって径小となる2つの部位82,82を有する表面を有しており、複合体W1の中央部分Wcが弾性部材Fの収縮力で縮もうとするのに伴い、第1シートS1の折り返し部Sfが
図7Bおよび
図9Aのように折り戻される。すなわち、
図8Dの前記弾性部材Fの中央部分Fcが収縮するのに伴い前記複合体W1の中央部分Wcが前記幅方向Yに収縮することで、前記第1シートS1の折り返し部Sfを矢印Arで示すような折り戻す力が作用し、前記折り返し部Sfが、
図9Aのように、折り戻されて前記第2シートS2の両側縁部Seに重なる。
複合体W1が幅方向Yに収縮することにより、
図7Bに示す複合体W1(伸縮積層体W)の幅方向Yの長さは
図7Aに示す複合体W1の幅方向Yの長さよりも短くなっている。
【0041】
こうして、
図9Aおよび
図9Bに示すような伸縮積層体Wが生成される。
なお、前記重なる工程およびその後において、弾性部材Fおよび複合体W1の中央部分Fc,Wcは
図9Bのように収縮する。
【0042】
前記収縮後、前記伸縮積層体Wは
図6の転向ロール10から接合装置9に供給され、例えば
図9Cの第2シートS2の両端部Seに多数のエンボス加工が施されることにより前記第1シートS1の折り戻された部分と前記第2シートS2の両側縁部Seとが互いに接合される。なお、この接合は接着剤とニップロールを用いてなされてもよいし、溶着されてもよい。
【0043】
こうして、
図9Cおよび
図9Dに示すように、中央部分Wcが伸縮し、かつ、両端部Weが非伸縮の伸縮積層体Wが得られる。なお、前記伸縮積層体Wは幅方向Yに延びる切断線に沿って切断されて、サイドパネルとして用いられてもよい。
【0044】
ところで、
図7Aの折り戻しロール8は円筒面81の両端の円錐台状のテーパ円筒面82を有している。すなわち、円筒面81は軸線8cに対し平坦または緩やかに湾曲しており、テーパ円筒面82は軸線8cに対し前記円筒面81よりも大きく傾斜している。しかし、折り戻しロール8の表面は軸線8cに対して湾曲していてもよく、たとえば、樽型などであってもよい。
【0045】
また、
図6に示すように、前記折り戻しロール8は固定軸88を中心にアーム89のまわりに回転可能かつ固定可能な構造とし、折り戻しロール8の位置調整を容易にしてもよい。
また、
図2のニップロール41,42の軸方向Yの両端の全周に弾性部材Fに係合する係合部を設けて弾性部材Fがニップロールの外周に沿ってスリップすることなく搬送できるようにしてもよい。
なお、弾性部材Fは帯状に形成されたものであってもよい。
【0046】
また、前記JP63−243309Aに開示されているように、帯状の幅の狭い一対のテープで弾性部材F1,F2を挟み、その帯状の一対のテープで弾性部材Fを挟んだ後に、別の幅広のシートで弾性部材Fを挟んでもよい。
【0047】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施例を説明したが、当業者であれば本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
【0048】
たとえば、シートS1,S2の一方又は両方が連続シートではなく、不連続シートであってもよい。また、本製造装置が並列に複数組設けられていてもよい。また、一対のシートは接着ではなく溶着されてもよい。
また、弾性部材は溶断されて切断されてもよい。
また、弾性部材の第1部および第2部は互いに平行にされる必要はなく、斜めに傾いたままシートに配置されてもよい。
また、スピンナに弾性部材の導出部を複数個設け、スピンナから複数本の弾性部材が導出されてもよい。
また、一対のニップロール41,42の幅方向Yの長さをそれぞれ小さくし、かつ、ニップ位置Oが二組のコンベヤベルト1A,1Bの間に位置するようにしてもよい。
【0049】
したがって、以上のような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。