特許第6180501号(P6180501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180501
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】基板貼合方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 5/06 20060101AFI20170807BHJP
   C09J 7/00 20060101ALI20170807BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20170807BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   C09J5/06
   C09J7/00
   C09J201/00
   G06F3/041 662
   G06F3/041 400
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-257347(P2015-257347)
(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公開番号】特開2016-138249(P2016-138249A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2015年12月28日
(31)【優先権主張番号】201510036964.6
(32)【優先日】2015年1月26日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512299015
【氏名又は名称】ティーピーケイ タッチ ソリューションズ(シアメン)インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リー ユーウェン
(72)【発明者】
【氏名】シュー シエンビン
(72)【発明者】
【氏名】リン フォンミン
【審査官】 佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−501356(JP,A)
【文献】 特開2003−336020(JP,A)
【文献】 特開2005−319752(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/073848(WO,A1)
【文献】 特表2010−519394(JP,A)
【文献】 特開2013−088799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00 −201/10
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板に対向して複数の第1細長状凹陥部を有する光学透明接着剤を該第1基板上に設けるステップと、
前記第1基板と前記光学透明接着剤を加熱して、該光学透明接着剤を軟化させるステップと、
前記軟化した光学透明接着剤の前記第1基板と反対の側に圧力を付与して、該軟化した光学透明接着剤を変形させて前記第1細長状凹陥部を密着させるステップと、
を含み、
前記第1細長状凹陥部の前記第1基板上における投影を第1方向に沿って延在させ、前記軟化した光学透明接着剤に対して前記圧力を付与する際はローラを前記第1方向に沿って移動させて、段階的に加圧することを特徴とする基板貼合方法。
【請求項2】
前記第1基板の周囲に設けられて少なくとも1つの側壁を有する遮光層が、前記第1基板と前記光学透明接着剤との間に設けられ、
前記光学透明接着剤を前記第1基板上に設けるステップが、前記第1細長状凹陥部を前記側壁に対応させて配置し、該第1細長状凹陥部の前記第1基板における投影と前記側壁の前記第1基板における投影が、少なくとも部分的に重なるようにすることを含むことを特徴とする請求項1に記載の基板貼合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板貼合方法に関し、特に光学透明接着剤、該光学透明接着剤を用いて貼り合わせるパネルおよび基板貼合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイの発展により関連産業が大きく成長している。ディスプレイ産業では通常、様々な基板を貼り合わせてその目標とする効果を達成させている。例えば、表示パネルとタッチパネルを互いに貼り合わせれば、表示とタッチ制御の機能を備えたタッチ表示装置が形成される。あるいは、表示パネルと他のガラスを貼り合わせて表示装置を形成し、その貼り合わせにより表示装置の耐衝撃性を強化している。さらには、タッチパネル内部の機能層別間の貼り合わせもある。
【0003】
一般に、慣用される貼合方法では、光学透明接着剤(Optically Clear Adhesive,OCA)を用いて2つの基板を接着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国実用新案公告第201678621号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、貼り合わせの過程で、基板の表面が平坦でない場合、空気が光学透明接着剤と基板の間に残り、気泡が形成され、排出が困難になる。こうした気泡は光の屈折率を変え、画像の質に大きく影響することがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光学透明接着剤、該光学透明接着剤を用いて貼り合わせるパネルおよび基板貼合方法を提供するもので、細長状凹陥構造が設けられた光学透明接着剤を用い、基板貼り合わせの加圧過程において、気泡を細長状凹陥構造に沿って排出し、かつ光学透明接着剤を加熱、加圧し、光学透明接着剤を変形させて細長状凹陥構造を密着させることができる。
【0007】
本発明は一実施形態において、対向する第1面と第2面、および第1面上に設けられる複数の第1細長状凹陥部を有し、可視光範囲の透過率が80%より大きい光学透明接着剤を提供している。
【0008】
本発明は一または複数の実施形態において、第1細長状凹陥部における第1面に近い側の開口の幅は、第1細長状凹陥部における第1面から離れた側の開口の幅より大きくなっている。
【0009】
本発明は一または複数の実施形態において、各第1細長状凹陥部の光学透明接着剤の側面上に投影される形状は、半楕円形、三角形または台形である。
【0010】
本発明は一または複数の実施形態において、各第1細長状凹陥部の深さは、光学透明接着剤の厚みの半分以下である。
【0011】
本発明は一または複数の実施形態において、光学透明接着剤は、第2面上に設けられる複数の第2細長状凹陥部を有する。
【0012】
本発明は一または複数の実施形態において、各第1細長状凹陥部の深さと、各第2細長状凹陥部の深さの合計が、光学透明接着剤の厚みの半分以下である。
【0013】
本発明は一または複数の実施形態において、各第1細長状凹陥部の一端が光学透明接着剤の側面まで延在し、各第1細長状凹陥部の他端が光学透明接着剤の他方の側面まで延在し、2つの側面は対向配置される。
【0014】
本発明は一または複数の実施形態において、光学透明接着剤の粘度範囲は40〜500N/cmである。
【0015】
本発明は一実施形態において、第1基板に対向して複数の第1細長状凹陥部を有する光学透明接着剤を第1基板上に設けるステップと、第1基板と光学透明接着剤を加熱して、光学透明接着剤を軟化させるステップと、軟化した光学透明接着剤の第1基板と反対の側に圧力を付与して、軟化した光学透明接着剤を変形させ第1細長状凹陥部を密着させるステップと、を含む基板貼合方法を提供している。
【0016】
本発明は一または複数の実施形態において、第1基板の周囲に設けられて少なくとも1つの側壁を有する遮光層が、第1基板と光学透明接着剤との間に設けられ、光学透明接着剤を第1基板上に設けるステップが、第1細長状凹陥部を側壁に対応させて配置し、第1細長状凹陥部の第1基板における投影と側壁の第1基板における投影が、少なくとも部分的に重なるようにすることを含む。
【0017】
本発明は一または複数の実施形態において、軟化した光学透明接着剤に圧力を付与する際は全面に加圧し、かつ真空環境下で実施する。
【0018】
本発明は一または複数の実施形態において、第1細長状凹陥部の第1基板上における投影が第1方向に沿って延在し、軟化した光学透明接着剤に圧力を付与する際はローラを第1方向に沿って移動させて、段階的に加圧する。
【0019】
本発明は一または複数の実施形態において、第1基板、第2基板、光学透明接着剤および遮光層を含むパネルを提供している。第2基板は第1基板に対向して設けられる。光学透明接着剤は第1基板と第2基板との間に設けられる。光学透明接着剤は対向する第1面と第2面を有し、ここで光学透明接着剤の可視光範囲の透過率は80%より大きい。第1細長状凹陥部は第1面上に設けられる。遮光層は第1基板と光学透明接着剤との間に設けられ、かつ第1基板の周囲に位置し、ここで遮光層は少なくとも1つの側壁を有し、第1細長状凹陥部の第1面における投影と、側壁の第1面における投影が少なくも部分的に重なっている。
【0020】
本発明は一または複数の実施形態において、第1細長状凹陥部における第1基板に近い側の開口の幅が、第1細長状凹陥部における第1基板から離れた側の開口の幅より大きい。
【0021】
本発明は一または複数の実施形態において、第1細長状凹陥部の第1基板における投影が第1方向に沿って延在し、側壁の第1基板における投影が第2方向に沿って延在し、第1方向は前記第2方向に対して垂直である。
【0022】
本発明は一または複数の実施形態において、第1細長状凹陥部の第1基板における投影が第1方向に沿って延在し、側壁の第1基板における投影が第1方向に沿って延在している。
【0023】
本発明は一または複数の実施形態において、光学透明接着剤は第2面上に設けられる複数の第2細長状凹陥部を有する。
【0024】
本発明は一または複数の実施形態において、第1基板は該光学透明接着剤に近い側に設けられるタッチ機能層を有する。
【0025】
本発明は一または複数の実施形態において、第2基板は該光学透明接着剤に近い側または遠い側の少なくとも一方に設けられるタッチ機能層を有する。
【0026】
本発明は一または複数の実施形態において、光学透明接着剤の厚みが15〜250μmである。
【0027】
本発明は一または複数の実施形態において、光学透明接着剤の厚みが25〜125μmである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の一実施形態に基づく光学透明接着剤の立体図である。
図2A図2Aは、本発明の別の実施形態に基づく光学透明接着剤の側面図である。
図2B図2Bは、本発明のさらなる実施形態に基づく光学透明接着剤の側面図である。
図2C図2Cは、本発明のさらに別の実施形態に基づく光学透明接着剤の上面図である。
図3図3は、本発明のまた1つの実施形態に基づく光学透明接着剤の側面図である。
図4図4は、本発明のまた別の実施形態に基づく基板貼合方法のフロー図である。
図5A図4の基板貼合方法のステップを示した図である。
図5B図4の基板貼合方法のステップを示した図である。
図5C図4の基板貼合方法のステップを示した図である。
図5D図4の基板貼合方法のステップを示した図である。
図5E図4の基板貼合方法のステップを示した図である。
図6図6は、本発明のさらに1つの実施形態に基づくパネルの立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に図面を参照して本発明の複数の実施形態を開示するが、説明を明確にするため、実務上の詳細の多くは下記の内容において一括して説明している。しかしながら、これら実務上の詳細は本発明を限定するためのものではないことを理解すべきである。すなわち、本発明の一部の実施形態においては、これら実務上の詳細は必要なものではない。また、図面を簡略化するため、一部の周知慣用的な構造や組立体は、図面において簡単に示されている。
【0030】
図1を参照されたい。図1は本発明の一実施形態に基づく光学透明接着剤の立体図である。光学透明接着剤100は対向する第1面112と第2面114、および第1細長状凹陥部120を有し、ここで光学透明接着剤100は可視光範囲における透過率が80%より大きい。第1細長状凹陥部120は第1面112上に設けている。第1面112と第2面114は少なくとも一方が貼合面である。
【0031】
本発明の一または複数の実施形態において、複数の第1細長状凹陥部120は互いに略平行に配列することができ、各第1細長状凹陥部120の第1面112に近い側の開口の幅が、第1細長状凹陥部120の第1面112から遠い側の開口の幅より大きい。より正確に言えば、第1面112から遠ざかるほど、第1細長状凹陥部120の開口の幅は小さくなり、またその幅は外(第1面112)から内(光学透明接着剤100の内部)へ漸次縮小する。
【0032】
本発明の一または複数の実施形態において、各第1細長状凹陥部120の深さH1は、光学透明接着剤100の厚みTの半分以下である。
【0033】
本実施形態において、各第1細長状凹陥部120の一端122は、光学透明接着剤100の側面116まで延在し、各第1細長状凹陥部120の他方の一端124は、光学透明接着剤100の他方の側面118まで延在し、ここで側面116と側面118は対向配置され、側面116または側面118は第1面112と第2面114を接続している。換言すれば、第1細長状凹陥部120は光学透明接着剤100の対向する側面116と側面118を接続し、空気を第1細長状凹陥部120に沿って側面116または側面118から流出させることができる。
【0034】
光学透明接着剤100の表面にはさらに複数の離型フィルム130を設けてもよく、例えば光学透明接着剤100の第1面112および第2面114上にそれぞれ設置して、光学透明接着剤100が汚染、酸化されないように保護することで、光学透明接着剤100の粘性を保持させる。本実施形態において、光学透明接着剤100の材質は、アクリル酸樹脂重合体やその他のアクリル樹脂等の材料であってもよく、光学透明接着剤100の常温下では粘性を有する固体材料であって光硬化によらずに液状から固体に変化することが望ましい。光学透明接着剤100は加熱により溶融または軟化状態を示すことができる。光学透明接着剤100の粘度範囲は1平方センチメートル当たり40〜500ニュートン(N/cm)であり、135〜165N/cmであることが好ましい。
【0035】
こうして、光学透明接着剤100を基板に貼り合わせるとき、光学透明接着剤100と基板との間の空気は第1細長状凹陥部120内へ圧入される。次に、光学透明接着剤100は加熱されて溶融または軟化状態を示し、さらに加圧されて光学透明接着剤100が変形することで、第1細長状凹陥部120を密着させ、空気を第1細長状凹陥部120に沿って外向きに光学透明接着剤100の側面116または側面118から排出させることができる。
【0036】
光学透明接着剤100自体は固体であり、光学透明接着剤100の加圧後の変形力には限度があることを考慮し、第1細長状凹陥部120の開口の幅と深さH1が、光学透明接着剤100の加熱加圧後の変形範囲内において密着可能であるかを設計において検討する必要がある。そこで、第1細長状凹陥部120の開口を外拡内縮に規制し、さらにその深さ範囲を規制することにより、第1細長状凹陥部120が加熱や加圧後の変形範囲内において密着可能になるように確保することができ、また開口を外拡内縮とすることで気体の排出にさらに有利となり、狭い部分が先に密着されるために気体が第1細長状凹陥部120の内部を覆うことを回避して、気泡に起因する光効果への影響を除外する。
【0037】
本実施形態において、第1細長状凹陥部120の側面116における投影の形状は半楕円形であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1細長状凹陥部120の断面形状は、三角形、台形等であってもよい。第1細長状凹陥部120の断面形状は、いかなる形状であっても、貼合面に近いほど第1面112の開口の幅が大きくなることが好ましい。
【0038】
図2Aを参照されたい。図2Aは本発明の別の実施形態に基づく光学透明接着剤の側面図である。本実施形態は図1の実施形態と類似しているが、本実施形態では、第1細長状凹陥部120の断面形状が三角形である点で相違している。本実施形態の他の詳細は図1に示した実施形態と略同じであり、その説明は省略する。
【0039】
図2Bを参照されたい。図2Bは本発明のさらなる実施形態に基づく光学透明接着剤の側面図である。本実施形態は図1の実施形態と類似しているが、本実施形態では、第1細長状凹陥部120の断面形状が台形である点で相違しており、図2Bに示したように、上側の離型フィルム130に近い側の開口の幅は大きく、上側の離型フィルム130から遠い側の開口の幅は小さくなっている。本実施形態の他の詳細は図1に示した実施形態と略同じであり、その説明は省略する。
【0040】
図2Cを参照されたい。図2Cは本発明のさらに別の実施形態に基づく光学透明接着剤の上面図である。本実施形態は図1の実施形態と類似しているが、本実施形態では、第1細長状凹陥部120の形状が周期的な弦波形状である点で相違している。ここでは説明が容易になるように、図2Cには離型フィルムを図示していない。
【0041】
同様に、本実施形態において、各第1細長状凹陥部120の一端122は光学透明接着剤100の側面116まで延在し、各第1細長状凹陥部120の他方の一端124は光学透明接着剤100の他方の側面118まで延在し、ここで側面116と側面118は対向配置される。
【0042】
こうして、光学透明接着剤100を基板に貼り合わせるとき、光学透明接着剤100と基板との間の空気は第1細長状凹陥部120内へ圧入される。次に、加熱と加圧により光学透明接着剤100が変形されて第1細長状凹陥部120を密着させ、空気を第1細長状凹陥部120に沿って外向きに光学透明接着剤100の側面116または側面118から排出させることができる。
【0043】
本実施形態のその他の詳細は、図1に示した実施形態の内容と略同じであり、その説明は省略する。
【0044】
図3を参照されたい。図3は本発明のまた1つの実施形態に基づく光学透明接着剤100の立体図である。本実施形態は図1の実施形態と類似しているが、本実施形態では、光学透明接着剤100がさらに、第2面114上に設けられる複数の第2細長状凹陥部140を有する点で相違している。
【0045】
同様に、本実施形態において、複数の第2細長状凹陥部140は互いに平行に配列され、各第2細長状凹陥部140の一端は、光学透明接着剤100の側面116まで延在し、第2細長状凹陥部140の他方の一端は、光学透明接着剤100の他方の側面118まで延在し、ここで側面116と側面118は対向配置される。
【0046】
本発明の一または複数の実施形態において、第1細長状凹陥部120の深さH1と第2細長状凹陥部140の深さH2の合計は、光学透明接着剤100の厚みTの半分以下である。本実施形態において、第1細長状凹陥部120の離型フィルム130上における投影の延在方向と、第2細長状凹陥部140の離型フィルム130上における投影の延在方向は同じであることが好ましく、これは両側を同時に貼合可能な貼合体に有利であるが、本発明はこれに限定されない。別の実施形態において、貼合形式の違いにより、第1細長状凹陥部120の離型フィルム130上における投影の延在方向と、第2細長状凹陥部140の離型フィルム130上における投影の延在方向は異なっていてもよい。
【0047】
こうして、2つの異なる基板を光学透明接着剤100により一つに貼り合わせることができ、また第1細長状凹陥部120と第2細長状凹陥部140により、空気が光学透明接着剤100と2つの基板との間に滞留することを減少乃至回避することができる。
【0048】
本実施形態のその他の詳細は、図1に示した実施形態の内容と略同じであり、その説明は省略する。
【0049】
図4は、本発明のまた別の実施形態に基づく基板貼合方法のフロー図である。図5A図5Eは、図4の基板貼合方法の複数のステップを示した図である。本実施形態の基板貼合方法はステップS1〜S3を含み、パネルの貼り合わせに用いることができる。
【0050】
図5A図4を同時に参照されたい。先ず、ステップS1から開始し、光学透明接着剤100を第1基板200上に配置する。第1基板200はタッチパネルの保護カバー板であってもよく、あるいは第1基板200はタッチ機能層を設けた基板であってもよい。光学透明接着剤100は複数の第1細長状凹陥部120を有し、第1細長状凹陥部120は第1基板200に対向している。理解されるべきであるが、例えば図1の実施形態における光学透明接着剤100のように、使用前の光学透明接着剤100は一般に離型フィルムを有しているが、本実施形態では、光学透明接着剤100を実際に用いて基板を接着するために、貼合面の離型フィルムは除去した状態にしている。ここで離型フィルムは図示されていないが、光学透明接着剤100の貼合しない面に離型フィルムを設置可能であることは理解されるべきであり、離型フィルム設置の有無は本発明の範囲に影響を及ぼさない。
【0051】
一般に貼合面が平坦でない場合、貼合時に気泡が出現し易く、本実施形態では、第1基板200の貼合面に遮光層300を設けて、貼合フローを例示的に説明するが、これに限定されるわけではない。第1基板200と光学透明接着剤100との間に遮光層300を設置するが、遮光層300は周囲の関連回路を遮蔽するように第1基板200の周囲に設ける。遮光層300は少なくとも1つの側壁310を有する。本発明の一または複数の実施形態において、光学透明接着剤100を設置するとき、第1細長状凹陥部120の1つを側壁310に対応させて設けてもよい。例えば、図示したように、1つの第1細長状凹陥部120の辺縁と側壁310を揃えるようにする。実際の使用において、本発明の範囲は、第1細長状凹陥部120の辺縁を側壁310と揃えることに限定されるものではない。本発明の一または複数の実施形態では、実際に設置する際、第1細長状凹陥部120の第1基板200における投影と、側壁310の第1基板200における投影が少なくとも部分的に重なるように配置してもよい。
【0052】
本発明の一または複数の実施形態において、遮光層300の材料は、白色インク、白色レジスト、ブラックインク、あるいはブラックレジストであってもよく、材料の違いにより遮光層300の厚みは異なるが、遮光層300の厚みは光を吸収して関連回路を遮蔽できることを満たすものとする。一般に、遮光層300の厚み範囲は約10μmから約100μmである。
【0053】
次に、図5B図4を同時に参照されたい。ステップS2において、第1基板200と光学透明接着剤100を加熱し、光学透明接着剤100を軟化させる。ここでの加熱方法は、第1基板200とその上の光学透明接着剤100をヒータステージ400に設置し、熱伝導、熱対流等により熱エネルギーを光学透明接着剤100に伝達するものである。しかし注意すべきであるが、本発明はこうした加熱方法に限定されるものではなく、第1基板200とその上の光学透明接着剤100を加熱チャンバ内部に配置して比較的均一な加熱形式にすることもできる。
【0054】
本発明の一または複数の実施形態において、光学透明接着剤100は一定の粘着力を有する。また図1の実施形態に示したように、光学透明接着剤100自体は固体であり、軟化した光学透明接着剤100は溶融状態であって、微弱な変形力を有している。
【0055】
さらに、図5C図4を同時に参照されたい。ステップS3において、軟化した光学透明接着剤100に圧力を付与し、軟化した光学透明接着剤100を変形させて第1細長状凹陥部120を密着させる。
【0056】
本発明の一または複数の実施形態において、先に空気を抽気し一定の真空環境にしてから加圧してもよい。あるいは、加圧と同時に抽気することもできる。真空環境のサポートにより、気泡を効果的に外に移動させて排出することができる。
【0057】
本実施形態において、圧力の付与は圧力板500により、光学透明接着剤100の第1基板200と反対の側に加圧するが、本発明の範囲はこれに限定されない。
【0058】
一実施形態において、圧力の付与は圧力板500により、光学透明接着剤100の第1基板200と反対の側に間接的に加圧することもできる。例えば、光学透明接着剤100の第1基板200と反対の側に、離型フィルム(図示せず)や第2基板(図示せず)等の別の板材を設けてもよい。圧力を付与する際は、圧力板500により離型フィルムや第2基板に加圧して、光学透明接着剤100と第1基板200の貼合を完成させることができる。
【0059】
本実施形態において、軟化した光学透明接着剤100に圧力を付与する際は全面に加圧するが、注意すべきであるのは、本発明の複数の実施形態の加圧方法は、全面加圧に限定されないことである。
【0060】
本発明の一部の実施形態において、ステップS3は段階的な加圧方式で実施してもよい。図5D図4を同時に参照されたい。図中、ローラ700の加圧により段階的に加圧している。第1細長状凹陥部120の第1基板200における投影は、第1方向D1に沿って延在し、ローラ700により第1方向D1に沿って移動する。こうして、空気は段階的な押圧を受けて、第1方向D1に沿って第1細長状凹陥部120内を移動して排出される。
【0061】
遮光層300を設置したことにより、光学透明接着剤100が接触する平面が平坦にならないため、遮光層300、第1基板200、光学透明接着剤100を一つに接着する際、一部の貼合領域では遮光層300、第1基板200、光学透明接着剤100を組み合わせ、一部の接着領域では第1基板200と光学透明接着剤100だけを組み合わせることになり、したがって境界に近い箇所は遮光層300の有無により厚みが異なり、空気が滞留し易い。
【0062】
本実施形態において、第1細長状凹陥部120を設計し、遮光層300の側壁310近傍の空気を導引することで、光学透明接着剤100により封止されて空気が移動できない状態にはならず、さらに加圧、真空排気等の方法により、空気が第1細長状凹陥部120に沿って排出されるよう促している。
【0063】
図5Eを参照されたい。図5Eは光学透明接着剤100と第1基板200の貼合完了後の側面図である。加熱、加圧および真空排気により、空気は第1基板200と光学透明接着剤100との間に滞留せず、また第1細長状凹陥部は密着されて消失し、このため、光学透明接着剤100と第1基板200は直に貼合されている。
【0064】
図6を参照されたい。図6は本発明のさらに1つの実施形態に基づくパネル800の立体図である。本発明のパネル800は、タッチパネル、表示パネルまたはタッチ表示パネルであってもよい。本実施形態はパネル貼合過程における1つの仮形態である。本発明の一または複数の実施形態において、パネル800は、第1基板200、第2基板600、光学透明接着剤100および遮光層300を有する。第2基板600は第1基板200に対向して配置される。光学透明接着剤100は第1基板200と第2基板600との間に設けられる。光学透明接着剤100は対向する第1面112と第2面114を有し、ここで光学透明接着剤100は可視光範囲の透過率が80%より大きい。第1細長状凹陥部120は第1面112上に設けられる。遮光層300は第1基板200と光学透明接着剤100との間に設けられ、かつ第1基板200の周囲に位置し、ここで遮光層300は少なくとも1つの側壁310を有し、第1細長状凹陥部120の第1面112における投影と、側壁310の第1面112における投影は、少なくとも部分的に重なっている。
【0065】
本発明の一実施形態において、第1基板200はタッチパネルのカバー板であってもよく、第2基板600はタッチ機能層(図示せず)を含む基板であってもよく、タッチ機能層は光学透明接着剤100に近い側または遠い側の少なくとも一方に設けることができる。しかし本発明はこれらに限定されることはなく、他の実施形態において、第1基板200はタッチ機能層を含むカバー板であってもよく、タッチ機能層は光学透明接着剤100に近い側に設け、第2基板600は保護基板または表示ユニットとしてもよい。あるいは、第1基板200は表示装置のカバー板とし、第2基板600は表示ユニットとしてもよい。
【0066】
本発明の一または複数の実施形態において、第1細長状凹陥部120の第1基板200における投影は第1方向D1に沿って延在し、側壁310の第1基板200における投影は第1方向D1に沿って延在する。
【0067】
本実施形態において、遮光層300は別の側壁320を有し、第1細長状凹陥部120の第1基板200における投影は第1方向D1に沿って延在し、側壁320の第1基板200における投影は第2方向D2に沿って延在し、第1方向D1は第2方向D2に対して垂直である。
【0068】
上記説明において、第1細長状凹陥部120と、遮光層300の側壁310と、側壁320との配列関係は、気泡排出の難易度に影響し、ここではこの配列関係を簡単に平行または垂直としているが、ここで詳述されない複数の設定があることを理解しておくべきである。また注意すべきあるが、第1細長状凹陥部120の第1基板200における投影は、少なくとも側壁310および側壁320の第1基板200における投影と部分的に重なっており、側壁310および側壁320近傍の気泡の排出を促す。
【0069】
このように、基板貼合過程において、遮光層300により貼合面の厚さに違いが生じ、遮光層300近傍の空気が滞留して気泡が形成され易いが、光学透明接着剤100に第1細長状凹陥部120を設けることにより、遮光層300の側壁310と側壁320近傍の気泡を第1細長状凹陥部120内に圧縮させ、さらに後続の加圧処理により、気泡を第1細長状凹陥部120に沿って移動させて排出し、かつ第1細長状凹陥部120を密着させることができる。
【0070】
通常は貼合面が平坦でないために光学透明接着剤に気泡が発生することを回避するため、光学透明接着剤を厚めにして2つの貼合基板を貼合させているが、本発明の実施例におけるパネルは、光学透明接着剤100で貼り合わせる際、気体は凹陥部により排出することができ、このため光学透明接着剤100は相対的に厚みが薄くなり、パネルの全体的な厚みを薄型化することができる。例えば、光学透明接着剤100の第1面112と第2面114と間の厚みは15〜250μmであり、好適には25〜125μmである。
【0071】
説明しておくが、図6の対応する実施形態は、パネル貼合過程における1つの仮形態であり、本実施形態のパネル800は、貼合過程で加熱、加圧および真空排気された後、第1基板200と光学透明接着剤100との間の空気が、第1細長状凹陥部120に沿って排出され、貼合完了後、第1細長状凹陥部120は密着されて消失し、こうして貼り合わせる際に気泡が発生し、パネルの画像の質的効果に影響することを回避できる。
【0072】
その他関連する詳細は、図1および図2Aから図2Cに示した実施形態の内容と略同じであり、その説明は省略する。
【0073】
上記は本発明の好適な実施例にすぎず、本発明を限定するためのものではなく、本発明の趣旨および原則を逸脱せずに施される修正、同等の置換え、改良等はいずれも、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0074】
100 光学透明接着剤
112 第1面
114 第2面
116、118 側面
120 第1細長状凹陥部
122、124 端部
130 離型フィルム
140 第2細長状凹陥部
200 第1基板
300 遮光層
310、320 側壁
400 ヒータステージ
500 圧力板
600 第2基板
700 ローラ
800 パネル
D1 第1方向
D2 第2方向
H1、H2 深さ
T 厚み
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6