特許第6180503号(P6180503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180503
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】水平型撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 7/06 20060101AFI20170807BHJP
   B01F 7/02 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B01F7/06
   B01F7/02 D
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-503810(P2015-503810)
(86)(22)【出願日】2013年3月20日
(65)【公表番号】特表2015-514007(P2015-514007A)
(43)【公表日】2015年5月18日
(86)【国際出願番号】EP2013055837
(87)【国際公開番号】WO2013149833
(87)【国際公開日】20131010
【審査請求日】2015年9月30日
(31)【優先権主張番号】102012205577.0
(32)【優先日】2012年4月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509233585
【氏名又は名称】インベント ウムウェルト− ウント フェルファーレンステヒニック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144082
【弁理士】
【氏名又は名称】林田 久美子
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(72)【発明者】
【氏名】ヘフケン・マルクス
【審査官】 高橋 成典
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−519022(JP,A)
【文献】 米国特許第04566801(US,A)
【文献】 独国特許発明第19620986(DE,C2)
【文献】 特開2005−199150(JP,A)
【文献】 特開昭55−089092(JP,A)
【文献】 実開昭63−160932(JP,U)
【文献】 実開昭64−052535(JP,U)
【文献】 特開平02−075333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 7/00 − 7/32、
5/00 − 5/26
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラリファイヤーにおいて流れを生成する水平型撹拌装置であって、
プロペラ(1)が、水中モータ(3)に、当該水中モータ(3)から軸心方向に少しずらして接続されており、
前記プロペラ(1)および前記水中モータ(3)は、当該水中モータ(3)が動作すると当該プロペラ(1)から当該水中モータ(3)の方向に流れが生成されるように構成されており、
前記プロペラ(1)の下流側には、当該プロペラの軸心に対して略平行に延在する少なくとも1つの軸心方向平面上に延設された、プレート状の流れ案内要素(5,7)が設けられている、水平型撹拌装置において、
前記水中モータ(3)が、少なくとも2つの第1の流れ案内要素(5)を介して、前記クラリファイヤーの底部(B)に支持されており、
前記第1の流れ案内要素(5)が、前記水中モータ(3)を支持する少なくとも1つのキャリアプレート(4a,4b)を介して相互連結しており、
前記第1の流れ案内要素(5)が取り付けられた前記キャリアプレート(4a,4b)によってマウント(A)を形成しており、このマウント(A)に、前記水中モータ(3)および前記プロペラ(1)で構成される組立ユニット(M)が、カップリング装置(8a,8b,9a,9b)によって着脱可能に固定されていることを特徴とする、水平型撹拌装置。
【請求項2】
請求項に記載の水平型撹拌装置において、前記第1の流れ案内要素(5)がそれぞれ、前記キャリアプレート(4a,4b)から90°〜140°の角度で延出する、水平型撹拌装置。
【請求項3】
請求項またはに記載の水平型撹拌装置において、前記第1の流れ案内要素(5)および/または前記少なくとも1つのキャリアプレート(4a,4b)が、折り曲げられたシートメタルから製作されている、水平型撹拌装置。
【請求項4】
請求項からのいずれか一項に記載の水平型撹拌装置において、前記第1の流れ案内要素(5)が、前記底部の側で、少なくとも1つの連結要素(6a,6b)を介して相互連結している、水平型撹拌装置。
【請求項5】
請求項からのいずれか一項に記載の水平型撹拌装置において、前記水中モータ(3)から、前記クラリファイヤーの前記底部(B)から遠ざかる方向に延出する、第2の流れ案内要素(7)が設けられている、水平型撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載されているとおりクラリファイヤーにおいて水の流れを生成する水平型撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような水平型撹拌装置は、特許文献1から知られている。この既知の水平型撹拌装置は、柱状のフレームに沿って鉛直方向に可動なスライドに支持される。この既知の水平型撹拌装置では、その柱状のフレームの方向に向かって、水平方向の水の流れを効率良く生成することができる。しかしながら、その水平方向の水の流れの生成効率のさらなる向上が所望される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/101633号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術の短所を改善することである。具体的に述べると、本発明の目的は、水平方向の水の流れをさらに効率良く生成することができる水平型撹拌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、請求項1の構成によって達成される。本発明の好適な実施形態は、請求項1〜7の構成から明らかである。
【0006】
本発明では、水中モータを、少なくとも2つの第1の流れ案内要素を介してクラリファイヤーの底部に支持する。2つの第1の流れ案内要素を水中モータの支持に利用するので、水中モータの支持に従来用いられてきた既知のフレームを省くことができる。
【0007】
これにより、そのフレームによる流動抵抗がなくなる。このような水平型撹拌装置により、水平方向の流れを極めて効率良く生成することができる。さらに、このような水平型撹拌装置は、簡単に且つ安価に製造することができる。なお、「軸心方向平面」という用語は、プロペラの略水平方向に延びる軸心を含む平面のことを言う。
【0008】
有利な一実施形態において、前記第1の流れ案内要素は、前記水中モータを支持する少なくとも1つのキャリアプレートを介して相互連結している。前記第1の流れ案内要素はそれぞれ、前記キャリアプレートから90°〜140°の角度で、好ましくは100°〜120°の角度で延出する。具体的には、前記第1の流れ案内要素のそれぞれを、前記キャリアプレートから90°を超える角度で互いに遠ざかるように延出したものとすることにより、前記水中モータの支持を極めて安定して行うことができる。
【0009】
有利な他の実施形態において、前記第1の流れ案内要素および/または前記少なくとも1つのキャリアプレートは、折り曲げられたシートメタルから製作されている。特に好ましくは、前記第1の流れ案内要素および/または前記少なくとも1つのキャリアプレートが、折り曲げられたシートメタルから二重壁構造で製作されている。二重壁構造とした場合、その二重壁のうちの少なくとも1つの壁に、当該二重壁内部に空気溜まりが生じるのを防ぐための孔が設けられる。
【0010】
他の実施形態において、前記少なくとも2つの第1の流れ案内要素は、前記クラリファイヤーの前記底部の側で、少なくとも1つの連結要素を介して相互連結している。前記少なくとも1つのキャリアプレート、当該キャリアプレートから延出する前記第1の流れ案内要素、および前記少なくとも1つの連結要素により、トンネル状の極めて安定した構造体が形成される。
【0011】
他の実施形態では、前記キャリアプレートに取り付けられた支持構造体からまたは前記水中モータから、前記クラリファイヤーの前記底部から遠ざかる方向に延出する、第2の流れ案内要素が設けられている。このような第2の流れ案内要素を設けることにより、前記水平方向の流れの方向性が向上する。
【0012】
特に有利な一実施形態において、前記第1の流れ案内要素が取り付けられた前記キャリアプレートによってマウントを形成しており、このマウントに、前記水中モータおよび前記プロペラで構成される組立ユニットが、カップリング装置によって着脱可能に固定されている。好ましくは、前記組立ユニットは、さらに、前記第2の流れ案内要素を含む。このように前記マウントに前記組立ユニットを着脱可能に固定する構成により、その組立ユニットの保守および/または修理を極めて容易に行うことができる。前記組立ユニットは、例えばケーブルウィンチなどにより、前記マウントから切り離して前記クラリファイヤー内に収容された排水の水面よりも高い位置に持ち上げることができる。
【0013】
以下では、本発明の例示的な実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】水平型撹拌装置の斜視図である。
図2図1に示された装置の断面図である。
図3図1に示された装置の正面図である。
図4図1に示された装置の側面図である。
図5図1に示された装置の平面図である。
図6図1に示された装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図示の水平型撹拌装置では、プロペラ1が伝動機構2を介して水中モータ3に接続されている。水中モータ3は、プロペラ1から水中モータ3に向かう流れを生成するように動作する。
【0016】
プロペラ1は、水中モータ3と伝動機構2と共に組立ユニットを形成する。この組立ユニットは、水流に対して上流側である前方のキャリアプレート4aおよび水流に対して下流側である後方のキャリアプレート4bに支持されている。前方のキャリアプレート4aおよび後方のキャリアプレート4bから、第1の流れ案内要素5が、約100°〜約120°の角度で延出している。第1の流れ案内要素5は、プレート状に形成されている。第1の流れ案内要素5の平面は、プロペラ1の軸心に対して略平行に延在している。
【0017】
好ましくは、前方のキャリアプレート4a、後方のキャリアプレート4bおよび第1の流れ案内要素5は、折り曲げられたシートメタルから製作されている。キャリアプレート4a,4bおよび/または第1の流れ案内要素5は、安定性を向上させるために二重壁とされている。この場合、好ましくは、前記折り曲げられたシートメタル同士はリベットで接続されている。このようにして形成されたマウントAは、優れた安定性を有する。
【0018】
好ましくは、前記第1の流れ案内要素5は、クラリファイヤーの底部Bの領域で、水流に対して上流側である前方の連結要素6aおよび水流に対して下流側である後方の連結要素6bに連結している。前方の連結要素6aおよび後方の連結要素6bはそれぞれ、水流に対して上流側の平坦な流入面と下流側の急勾配の流出面とを有している。
【0019】
前記組立ユニットを符号Mで示す。この組立ユニットMは、さらに、水中モータ3から鉛直方向上方に延在する第2の流れ案内要素7を含む。第2の流れ案内要素7は、曲線状のリーディングエッジ(水流の流入側縁)を有する。
【0020】
組立ユニットMは、前述したキャリアプレート4a,4b、キャリアプレート4a,4bから延出する第1の流れ案内要素5および連結要素6a,6bを含むマウントAに、着脱可能に接続されている。組立ユニットMをマウントAに着脱可能に接続するために、第1のカップリング要素8aが前方のキャリアプレート4aに、第2のカップリング要素8bが後方のキャリアプレート4bに取り付けられている。さらに、組立ユニットMに、第1のカップリング要素8aに対応する第3のカップリング要素9aと、第2のカップリング要素8bに対応する第4のカップリング要素9bとが取り付けられている。
【0021】
符号10はケーブルを示す。組立ユニットMは、ガイド11(好ましくは、溝付きガイド)を介して、そのケーブル10に沿って案内される。ガイド11は、第2の流れ案内要素7に延設されている。
【0022】
組立ユニットMには、当該組立ユニットMを持ち上げるためのさらなるケーブル12が固定される。このさらなるケーブル12を介して引張力を加えることにより、マウントAと組立ユニットMとの間の、前述したカップリング要素8a,8b,9a,9bによるカップリングを解除することができ、さらに、組立ユニットMをケーブル10に沿って案内しクラリファイヤーから持ち上げることができる。
【0023】
図2から分かるように、ケーブル10の一端は、後方のキャリアプレート4bおよび前方のキャリアプレート4aを通って案内されて、第3のカップリング要素9aの領域で組立ユニットMに固定される。ケーブル10の他端は、クラリファイヤーの上方で固定されたプーリ(図示せず)を介して案内されて、固定ポイントに固定される。これにより、ケーブル10は、さらなるケーブル12と共にケーブルウィンチを形成することができる。このようなケーブルウィンチにより、組立ユニットMを案内しながら当該組立ユニットMをマウントAの方向に下ろすことができる。さらに、そのようなケーブルウィンチは、カップリング装置を構成するカップリング要素8a,8b,9a,9bと協働することによって当該組立ユニットMをマウントAに接続することができる。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
クラリファイヤーにおいて流れを生成する水平型撹拌装置であって、
プロペラ(1)が、水中モータ(3)に、当該水中モータ(3)から軸心方向に少しずらして接続されており、
前記プロペラ(1)および前記水中モータ(3)は、当該水中モータ(3)が動作すると当該プロペラ(1)から当該水中モータ(3)の方向に流れが生成されるように構成されており、
前記プロペラ(1)の下流側には、当該プロペラの軸心に対して略平行に延在する少なくとも1つの軸心方向平面上に延設された、プレート状の流れ案内要素(5,7)が設けられている、水平型撹拌装置において、
前記水中モータ(3)が、少なくとも2つの第1の流れ案内要素(5)を介して、前記クラリファイヤーの底部(B)に支持されていることを特徴とする、水平型撹拌装置。
[態様2]
態様1に記載の水平型撹拌装置において、前記第1の流れ案内要素(5)が、前記水中モータ(3)を支持する少なくとも1つのキャリアプレート(4a,4b)を介して相互連結している、水平型撹拌装置。
[態様3]
態様1または2に記載の水平型撹拌装置において、前記第1の流れ案内要素(5)がそれぞれ、前記キャリアプレート(4a,4b)から90°〜140°の角度で、好ましくは100°〜120°の角度で延出する、水平型撹拌装置。
[態様4]
態様1から3のいずれか一態様に記載の水平型撹拌装置において、前記第1の流れ案内要素(5)および/または前記少なくとも1つのキャリアプレート(4a,4b)が、折り曲げられたシートメタルから製作されている、水平型撹拌装置。
[態様5]
態様1から4のいずれか一態様に記載の水平型撹拌装置において、前記第1の流れ案内要素(5)が、前記底部の側で、少なくとも1つの連結要素(6a,6b)を介して相互連結している、水平型撹拌装置。
[態様6]
態様1から5のいずれか一態様に記載の水平型撹拌装置において、前記キャリアプレート(4a,4b)に取り付けられた支持構造体からまたは前記水中モータ(3)から、前記クラリファイヤーの前記底部(B)から遠ざかる方向に延出する、第2の流れ案内要素(7)が設けられている、水平型撹拌装置。
[態様7]
態様1から6のいずれか一態様に記載の水平型撹拌装置において、前記第1の流れ案内要素(5)が取り付けられた前記キャリアプレート(4a,4b)によってマウント(A)を形成しており、このマウント(A)に、前記水中モータ(3)および前記プロペラ(1)で構成される組立ユニット(M)が、カップリング装置(8a,8b,9a,9b)によって着脱可能に固定されている、水平型撹拌装置。
【符号の説明】
【0024】
1 プロペラ
2 伝動機構
3 水中モータ
4a 第1(前方)のキャリアプレート
4b 第2(後方)のキャリアプレート
5 第1の流れ案内要素
6a 第1(前方)の連結要素
6b 第2(後方)の連結要素
7 第2の流れ案内要素
8a 第1のカップリング要素
8b 第2のカップリング要素
9a 第3のカップリング要素
9b 第4のカップリング要素
10 ケーブル
11 ガイド
12 さらなるケーブル
A マウント
B クラリファイヤーの底部
M 組立ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6