(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
0℃以下の沸点を有する1種又は複数のハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物と混合されている2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテンを含む組成物であって、
0℃以下の沸点を有するハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、又はフルオロオレフィン化合物(1種又は複数)が−5℃以下の沸点を有し、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,3,3−テトラフルオロプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン、2,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロプロパン、イソブテン及びプロパン、並びにそれらの混合物から選択される、組成物。
2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテンと、0℃以下の沸点を有する1種又は複数のハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物との混合物からなる、請求項1に記載の組成物。
2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテンと、0℃以下の沸点を有するハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物との二成分混合物であるか;又は、2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−1−ブテンと、0℃以下の沸点を有する第1のハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物、及び0℃以下の沸点を有する第2のハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物との三成分混合物である、請求項1から3の何れか一項に記載の組成物。
0℃以下の沸点を有するハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物(1種又は複数)が1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン及び1,1,1−トリフルオロプロパン、並びにそれらの混合物から選択される、請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
熱伝達流体を含有する蒸気圧縮回路により流体又は物体を加熱又は冷却する方法において、連続的に、熱伝達流体の蒸発、熱伝達流体の圧縮、熱伝達流体の凝縮、及び熱伝達流体の減圧を含み、熱伝達流体が請求項1から8の何れか一項に記載の組成物である方法。
流体又は物体を冷却する方法であり、冷却された流体又は物体の温度が−15℃から15℃であるか、又は、流体又は物体を加熱する方法であり、加熱された流体又は物体の温度が30℃から90℃である、請求項13に記載の方法。
初期熱伝達流体を含有する蒸気圧縮回路を備える熱伝達設備の環境に対する影響を低減する方法において、蒸気圧縮回路中の初期熱伝達流体を最終伝達流体と置き換える工程を含み、最終伝達流体が初期熱伝達流体よりも低いGWPを有し、最終熱伝達流体が請求項1から8の何れか一項に記載の組成物である方法。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、第一に、0℃以下の沸点を有する1種又は複数のハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物との混合物としての2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エンを含む組成物に関する。
【0012】
一実施態様によれば、本組成物は、2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エンと、0℃以下の沸点を有する1種又は複数のハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物の混合物からなる。
【0013】
一実施態様によれば、本組成物は、化合物の二成分混合物であるか、又は、化合物の三成分混合物である。
【0014】
一実施態様によれば、本組成物は、2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エンと、0℃以下の沸点を有するハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物との二成分混合物であるか、又は、2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エンと、0℃以下の沸点を有する第1のハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物、及び0℃以下の沸点を有する第2のハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物との三成分混合物である。
【0015】
一実施態様によれば、0℃以下の沸点を有するハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物(1種又は複数)は、−5℃以下、好ましくは−10℃以下の沸点を有する。
【0016】
一実施態様によれば、0℃以下の沸点を有するハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物(1種又は複数)は、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,3,3−テトラフルオロプロペン、3,3,3−トリフルオロプロペン、2,3,3−トリフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロプロパン、イソブタン及びプロパン、並びにそれらの混合物から選択される。
【0017】
一実施態様によれば、0℃以下の沸点を有するハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル又はフルオロオレフィン化合物(1種又は複数)は、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン及び1,1,1−トリフルオロプロパン、並びにそれらの混合物から選択される。
【0018】
一実施態様によれば、本組成物は、
− 2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの混合物;又は
− 2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エン及び1,1,1−トリフルオロプロパンの混合物;又は
− 2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エン及び1,1,2,2−テトラフルオロエタンの混合物;又は
− 2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エン及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンの混合物;又は
− 2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エン及び1,1−ジフルオロエタンの混合物;又は
− 2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの混合物;又は
− 2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン及び1,1,1−トリフルオロプロパンの混合物;又は
− 2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン及び1,1−ジフルオロエタンの混合物;又は
− 2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの混合物;又は
− 2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン及び1,1,1−トリフルオロプロパンの混合物
を含むか、又は、好ましくはこれらからなる。
【0019】
一実施態様によれば、−5℃の温度での飽和液圧と飽和蒸気圧との間の差は、飽和液圧の10%以下である。
【0020】
一実施態様によれば、本組成物は不燃性である。
【0021】
本発明はまた、熱伝達流体としての上述の組成物の使用に関する。
【0022】
本発明はまた、熱伝達流体としての上述の組成物と、さらに、潤滑剤、安定剤、界面活性剤、トレーサー、蛍光剤、付臭剤及び可溶化剤、並びにそれらの混合物から選択される1種又は複数の添加剤とを含む、熱伝達組成物に関する。
【0023】
本発明はまた、熱伝達流体としての上述の組成物を含有するか、又は上述の熱伝達組成物を含有する、蒸気圧縮回路を備える熱伝達設備に関する。
【0024】
一実施態様によれば、本設備は、移動式又は定置式のヒートポンプ加熱設備、空調設備、冷蔵設備、冷凍設備、及びランキンサイクル設備から選択され、好ましくはコンテナ冷蔵設備である。
【0025】
本発明はまた、熱伝達流体を含有する蒸気圧縮回路により流体又は物体を加熱又は冷却する方法において、連続的に、熱伝達流体の蒸発、熱伝達流体の圧縮、熱伝達流体の凝縮、及び熱伝達流体の減圧を含み、熱伝達流体が上記の組成物である方法に関する。
【0026】
一実施態様によれば、この方法は流体又は物体を冷却する方法であり、冷却された流体又は物体の温度は−15℃から15℃、好ましくは−10℃から10℃、特により好ましくは−5℃から5℃であるか、又は、この方法は流体又は物体を加熱する方法であり、加熱された流体又は物体の温度は30℃から90℃、好ましくは35℃から60℃、特により好ましくは40℃から50℃である。
【0027】
本発明はまた、初期熱伝達流体を含有する蒸気圧縮回路を備える熱伝達設備の環境に対する影響を低減する方法において、蒸気圧縮回路中の初期熱伝達流体を最終伝達流体と置き換える工程を含み、最終伝達流体が初期熱伝達流体よりも低いGWPを有し、最終伝達流体が上記の組成物である方法に関する。
【0028】
本発明は、先行技術の欠点を解消することができる。本発明は、より詳細には、通常の熱伝達流体と置き換えることができる、GWPの低い熱伝達流体を提供する。
【0029】
特に、特定の実施態様において、本発明は擬似共沸性の熱伝達流体を提供する。特定の実施態様において、本発明は、通常の熱伝達流体と比較した場合に良好なエネルギー性能品質(とりわけ、容積及び/又は成績係数)を有する熱伝達流体、及び/又は公知のGWPの低い熱伝達流体と比較した場合にエネルギー性能品質が改善された熱伝達流体を提供する。
【0030】
これは、第一に、HFO−1336yfを含み、第二に、上述の化合物のリストから特に選択される、0℃以下、好ましくは−10℃以下の沸点を有する少なくとも1種のハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン又はフルオロオレフィン化合物を含む混合物によって達成される。
【0031】
低沸点の化合物を含む混合物は、HFO−1336yf単独と比較した場合に容積の改善を示した。組成物の容積が増大すると、排気容量の小さい圧縮器を使用することができ、したがってより小さなサイズが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで、本発明を、以下の記述においてより詳細に、且つ限定しないように説明する。
【0033】
本発明の文脈において使用される主たる化合物を以下に述べる:
− 2,3,3,4,4,4−ヘキサフルオロブタ−1−エン:HFO−1336yf;
− 1,3,3,3−テトラフルオロプロペン:HFO−1234ze;
− 2,3,3,3−テトラフルオロプロペン:HFO−1234yf;
− 1,1,3,3−テトラフルオロプロペン:HFO−1234zc;
− 3,3,3−トリフルオロプロペン:HFO−1243zf;
− 2,3,3−トリフルオロプロペン:HFO−1243yf;
− 1,1,1,2−テトラフルオロエタン:HFC−134a;
− 1,1,2,2−テトラフルオロエタン:HFC−134;
− ペンタフルオロエタン:HFC−125;
− 1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン:HFC−227ea;
− 1,1−ジフルオロエタン:HFC−152a;
− 1,1,1−トリフルオロプロパン:HFC−263fb;
− プロパン:HC−290;
− イソブタン:HC−600a。
【0034】
特段の記載のない限り、本特許出願の全体を通して、示した化合物の割合は質量百分率として表す。
【0035】
HFO−1234zeはシス型若しくはトランス型であってもよく、又はこれらの2つの型の混合物であってもよい。好ましくは、これはトランス型(E)である。
【0036】
本特許出願によれば、地球温暖化係数(GWP)は、二酸化炭素に対して、且つ100年間という期間に対して、「The scientific assessment of ozone depletion, 2002, a report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project」で示されている方法に従い定義されている。
【0037】
「熱伝達化合物」、又は「熱伝達流体」(若しくは冷媒)という用語はそれぞれ、蒸気圧縮回路中で、低温及び低圧で蒸発することによって熱を吸収することができ、高温及び高圧で凝縮することによって熱を放出することができる化合物又は流体をそれぞれ意味する。一般に、熱伝達流体は、1、2、3種、又は3種より多くの熱伝達化合物を含み得る。
【0038】
「熱伝達組成物」という用語は、熱伝達流体を含み、任意選択的に、目的とする用途用の熱伝達化合物以外の1種又は複数の添加剤を含む組成物を意味する。
【0039】
添加剤は、特に、潤滑剤、ナノ粒子、安定剤、界面活性剤、トレーサー、蛍光剤、付臭剤及び可溶化剤から選択することができる。
【0040】
安定剤(1種又は複数)は、存在する場合、好ましくは、熱伝達組成物中、最高で5重量%を占める。安定剤のうち、特に、ニトロメタン、アスコルビン酸、テレフタル酸、アゾール、例えば、トルトリアゾール又はベンゾトリアゾール、フェノール化合物、例えば、トコフェロール、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、エポキシド(任意選択的にフッ素化又は過フッ素化されているアルキル又はアルケニル又は芳香族)、例えば、n−ブチルグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、ホスファイト、ホスホネート、チオール及びラクトンを挙げることができる。
【0041】
特に使用することができる潤滑剤としては、鉱物油、シリコーン油、天然パラフィン、ナフテン、合成パラフィン、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィン、ポリアルケングリコール、ポリオールエステル、及び/又はポリビニルエーテルが挙げられる。
【0042】
特に使用することができるナノ粒子としては、カーボンナノ粒子、(銅又はアルミニウムの)金属酸化物、TiO
2、Al
2O
3、MoS
2などが挙げられる。
【0043】
トレーサー(検出可能であるもの)としては、重水素化又は非重水素化ハイドロフルオロカーボン、重水素化ハイドロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。トレーサーは、熱伝達流体を構成する熱伝達化合物(1種又は複数)とは異なる。
【0044】
記載することができる可溶化剤としては、ハイドロカーボン、ジメチルエーテル、ポリオキシアルキレンエーテル、アミド、ケトン、ニトリル、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテル、及び1,1,1−トリフルオロアルカンが挙げられる。可溶化剤は、熱伝達流体を構成する熱伝達化合物(1種又は複数)とは異なる。
【0045】
記載することができる蛍光剤としては、ナフタルイミド、ペリレン、クマリン、アントラセン、フェナントラセン(phenanthracene)、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン、フルオレセイン、並びにそれらの誘導体及び組み合わせが挙げられる。
【0046】
記載することができる付臭剤としては、アクリル酸アルキル、アクリル酸アリル、アクリル酸、アクリル酸エステル、アルキルエーテル、アルキルエステル、アルキン、アルデヒド、チオール、チオエーテル、ジスルフィド、イソチオシアン酸アリル、アルカン酸、アミン、ノルボルネン、ノルボルネン誘導体、シクロヘキセン、複素環芳香族化合物、アスカリドール、o−メトキシ(メチル)フェノール、及びそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0047】
本発明による熱伝達方法は、熱伝達流体を含有する蒸気圧縮回路を備える設備の使用に基づく。本熱伝達方法は、流体又は物体を加熱又は冷却する方法であり得る。
【0048】
熱伝達流体を含有する蒸気圧縮回路は、少なくとも1つの蒸発器、圧縮器、凝縮器、及び減圧器と、さらにこれらの構成要素の間の熱伝達流体の輸送用ラインとを備える。蒸発器及び凝縮器は、熱伝達流体と別の流体又は物体との間で熱交換するための熱交換器を備える。
【0049】
特に使用することができる圧縮器としては、一段階式又は多段階式遠心圧縮器、又は小型遠心圧縮器が挙げられる。ロータリー式、スパイラル式、ピストン式、又はスクリュー式の圧縮器も使用することができる。圧縮器は、電気モーターにより、ガスタービン(例えば、移動用途の乗り物の排気ガスが供給される)により、又は伝動装置により駆動させることができる。
【0050】
本設備は、発電用のタービンを備えることもできる(ランキンサイクル)。
【0051】
本設備はまた、熱伝達流体回路と、加熱又は冷却される流体又は物体との間で熱を(状態を変化させるか、又は変化させずに)送るために使用される、少なくとも1種の熱伝達流体を任意選択的に備え得る。
【0052】
本設備はまた、同一の又は異なる熱伝達流体を含有する、2つの(又はそれ以上の)蒸気圧縮回路を任意選択的に備え得る。例えば、蒸気圧縮回路は、互いに連結させることができる。
【0053】
蒸気圧縮回路は、標準の蒸気圧縮サイクルに従って作動する。本サイクルは、熱伝達流体の比較的低圧での液相(又は液体/蒸気の二相)から蒸気相への状態の変化と、その後の、蒸気相における流体の比較的高圧への圧縮と、熱伝達流体の比較的高圧での蒸発相から液相への状態の変化(凝縮)と、サイクルを再開するための減圧とを含む。
【0054】
冷却方法の場合には、(熱伝達流体を介して直接的又は間接的に)冷却されている流体又は物体から生じた熱は、その蒸発の間に、周囲に対して相対的に低い温度で、熱伝達流体により吸収される。この冷却方法は、空調方法(例えば、乗り物などにおける移動式設備、又は定置式設備によるもの)、冷蔵方法(例えば、コンテナなどにおける移動式設備、又は定置式設備によるもの)及び冷凍方法、又は極低温方法を含む。
【0055】
加熱方法の場合には、熱は、その凝縮の間に、周囲に対して相対的に高い温度で、熱伝達流体から、加熱される流体又は物体に(熱伝達流体を介して直接的又は間接的に)渡される。この場合、熱伝達を行うための設備は、「ヒートポンプ」と呼ばれる。
【0056】
本発明による熱伝達流体の使用においては、任意のタイプの熱交換器、特に、並流熱交換器、好ましくは、向流熱交換器を使用することができる。
【0057】
本発明の文脈で使用される熱伝達流体は、HFO−1336yfを、圧力101.325kPaで−10℃以下の沸点を有する少なくとも1種のハイドロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン又はフルオロオレフィン化合物(好ましくは、ハイドロフルオロカーボン又はフルオロオレフィン化合物)と組み合わせて含む組成物である。
【0058】
沸点は、2008年4月のNF EN 378−1規格によって測定することができる。
【0059】
好ましくは、本化合物は、HFO−1234yf、HFO−1234ze、HFO−1234zc、HFO−1243zf、HFO−1243yf、HFC−134a、HFC−134、HFC−125、HFC−227ea、HFC−152a、HFC−263fb、HC−290及びHC−600aから選択される。
【0060】
これらの化合物のうち、HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFC−134a、HFC−134、HFC−263fb及びHFC−152aが好ましい。
【0061】
これらの化合物の1バールでの標準沸点は、0.5℃以内までで次のとおりである:
− HFO−1234ze:−18.5℃;
− HFO−1234yf:−29.5℃;
− HFC−134a:−26℃;
− HFC−134:−17.5℃;
− HFC−263fb:−13.0℃;
− HFC−152a:−24.0℃。
【0062】
特に、上記の組成物は、化合物の二成分又は三成分混合物であってもよい。
【0063】
二成分混合物は、2種の熱伝達化合物の混合物である。三成分の混合物は、3種の熱伝達化合物の混合物である。
【0064】
熱伝達流体中には、不純物が存在していても、存在していなくてもよい。不純物が存在する場合、組成物の1%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.1%未満、好ましくは0.05%未満、好ましくは0.01%未満で存在する。
【0065】
三成分混合物の場合には、熱伝達流体は、HFO−1336yfを、HFO−1234yf、HFO−1234ze、HFO−1234zc、HFO−1243zf、HFO−1243yf、HFC−134a、HFC−134、HFC−125、HFC−227ea、HFC−152a、HFC−263fb HC−290及びHC−600aから選択される2種の化合物と組み合わせて含み得るか;あるいは、HFO−1336yfを、HFO−1234yf、HFO−1234ze、HFO−1234zc、HFO−1243zf、HFO−1243yf、HFC−134a、HFC−134、HFC−125、HFC−227ea、HFC−152a、HFC−263fb、HC−290及びHC−600aから選択される化合物と、さらに、好ましくはハイドロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル、(ハイドロカーボンの)エーテル、フルオロオレフィン、アンモニア及び二酸化炭素から選択される追加の化合物と組み合わせて含み得る。
【0066】
上記の組成物において、HFO−1336yfは、組成物の0.1%から1%まで又は組成物の1%から2%まで;又は組成物の2%から3%まで;又は組成物の3%から4%まで;又は組成物の4%から5%まで;又は組成物の5%から6%まで;又は組成物の6%から7%まで;又は組成物の7%から8%まで;又は組成物の8%から9%まで;又は組成物の9%から10%まで;又は組成物の10%から11%まで;又は組成物の11%から12%まで;又は組成物の12%から13%まで;又は組成物の13%から14%まで;又は組成物の14%から15%まで;又は組成物の15%から16%まで;又は組成物の16%から17%まで;又は組成物の17%から18%まで;又は組成物の18%から19%まで;又は組成物の19%から20%まで;又は組成物の20%から21%まで;又は組成物の21%から22%まで;又は組成物の22%から23%まで;又は組成物の23%から24%まで;又は組成物の24%から25%まで;又は組成物の25%から26%まで;又は組成物の26%から27%まで;又は組成物の27%から28%まで;又は組成物の28%から29%まで;又は組成物の29%から30%まで;又は組成物の30%から31%まで;又は組成物の31%から32%まで;又は組成物の32%から33%まで;又は組成物の33%から34%まで;又は組成物の34%から35%まで;又は組成物の35%から36%まで;又は組成物の36%から37%まで;又は組成物の37%から38%まで;又は組成物の38%から39%まで;又は組成物の39%から40%まで;又は組成物の40%から41%まで;又は組成物の41%から42%まで;又は組成物の42%から43%まで;又は組成物の43%から44%まで;又は組成物の44%から45%まで;又は組成物の45%から46%まで;又は組成物の46%から47%まで;又は組成物の47%から48%まで;又は組成物の48%から49%まで;又は組成物の49%から50%まで;又は組成物の50%から51%まで;又は組成物の51%から52%まで;又は組成物の52%から53%まで;又は組成物の53%から54%まで;又は組成物の54%から55%まで;又は組成物の55%から56%まで;又は組成物の56%から57%まで;又は組成物の57%から58%まで;又は組成物の58%から59%まで;又は組成物の59%から60%まで;又は組成物の60%から61%まで;又は組成物の61%から62%まで;又は組成物の62%から63%まで;又は組成物の63%から64%まで;又は組成物の64%から65%まで;又は組成物の65%から66%まで;又は組成物の66%から67%まで;又は組成物の67%から68%まで;又は組成物の68%から69%まで;又は組成物の69%から70%まで;又は組成物の70%から71%まで;又は組成物の71%から72%まで;又は組成物の72%から73%まで;又は組成物の73%から74%まで;又は組成物の74%から75%まで;又は組成物の75%から76%まで;又は組成物の76%から77%まで;又は組成物の77%から78%まで;又は組成物の78%から79%まで;又は組成物の79%から80%まで;又は組成物の80%から81%まで;又は組成物の81%から82%まで;又は組成物の82%から83%まで;又は組成物の83%から84%まで;又は組成物の84%から85%まで;又は組成物の85%から86%まで;又は組成物の86%から87%まで;又は組成物の87%から88%まで;又は組成物の88%から89%まで;又は組成物の89%から90%まで;又は組成物の90%から91%まで;又は組成物の91%から92%まで;又は組成物の92%から93%まで;又は組成物の93%から94%まで;又は組成物の94%から95%まで;又は組成物の95%から96%まで;又は組成物の96%から97%まで;又は組成物の97%から98%まで;又は組成物の98%から99%まで;又は組成物の99%から99.9%までを占め得る。HFO−1336yfの含量はまた、上記のいくつかの範囲内で、例えば、1%から2%までと2%から3%までで、すなわち、1%から始まり3%までの範囲内で変動し得る。
【0067】
さらに、上記の組成物において、−10℃以下の沸点を有するこの、又はそれぞれのハイドロカーボン、エーテル、ハイドロフルオロエーテル、ハイドロフルオロカーボン、又はフルオロオレフィン化合物は、組成物の0.1%から1%まで;又は組成物の1%から2%まで;又は組成物の2%から3%まで;又は組成物の3%から4%まで;又は組成物の4%から5%まで;又は組成物の5%から6%まで;又は組成物の6%から7%まで;又は組成物の7%から8%まで;又は組成物の8%から9%まで;又は組成物の9%から10%まで;又は組成物の10%から11%まで;又は組成物の11%から12%まで;又は組成物の12%から13%まで;又は組成物の13%から14%まで;又は組成物の14%から15%まで;又は組成物の15%から16%まで;又は組成物の16%から17%まで;又は組成物の17%から18%まで;又は組成物の18%から19%まで;又は組成物の19%から20%まで;又は組成物の20%から21%まで;又は組成物の21%から22%まで;又は組成物の22%から23%まで;又は組成物の23%から24%まで;又は組成物の24%から25%まで;又は組成物の25%から26%まで;又は組成物の26%から27%まで;又は組成物の27%から28%まで;又は組成物の28%から29%まで;又は組成物の29%から30%まで;又は組成物の30%から31%まで;又は組成物の31%から32%まで;又は組成物の32%から33%まで;又は組成物の33%から34%まで;又は組成物の34%から35%まで;又は組成物の35%から36%まで;又は組成物の36%から37%まで;又は組成物の37%から38%まで;又は組成物の38%から39%まで;又は組成物の39%から40%まで;又は組成物の40%から41%まで;又は組成物の41%から42%まで;又は組成物の42%から43%まで;又は組成物の43%から44%まで;又は組成物の44%から45%まで;又は組成物の45%から46%まで;又は組成物の46%から47%まで;又は組成物の47%から48%まで;又は組成物の48%から49%まで;又は組成物の49%から50%まで;又は組成物の50%から51%まで;又は組成物の51%から52%まで;又は組成物の52%から53%まで;又は組成物の53%から54%まで;又は組成物の54%から55%まで;又は組成物の55%から56%まで;又は組成物の56%から57%まで;又は組成物の57%から58%まで;又は組成物の58%から59%まで;又は組成物の59%から60%まで;又は組成物の60%から61%まで;又は組成物の61%から62%まで;又は組成物の62%から63%まで;又は組成物の63%から64%まで;又は組成物の64%から65%まで;又は組成物の65%から66%まで;又は組成物の66%から67%まで;又は組成物の67%から68%まで;又は組成物の68%から69%まで;又は組成物の69%から70%まで;又は組成物の70%から71%まで;又は組成物の71%から72%まで;又は組成物の72%から73%まで;又は組成物の73%から74%まで;又は組成物の74%から75%まで;又は組成物の75%から76%まで;又は組成物の76%から77%まで;又は組成物の77%から78%まで;又は組成物の78%から79%まで;又は組成物の79%から80%まで;又は組成物の80%から81%まで;又は組成物の81%から82%まで;又は組成物の82%から83%まで;又は組成物の83%から84%まで;又は組成物の84%から85%まで;又は組成物の85%から86%まで;又は組成物の86%から87%まで;又は組成物の87%から88%まで;又は組成物の88%から89%まで;又は組成物の89%から90%まで;又は組成物の90%から91%まで;又は組成物の91%から92%まで;又は組成物の92%から93%まで;又は組成物の93%から94%まで;又は組成物の94%から95%まで;又は組成物の95%から96%まで;又は組成物の96%から97%まで;又は組成物の97%から98%まで;又は組成物の98%から99%まで;又は組成物の99%から99.9%までを占め得る。本化合物又はそれぞれの化合物の含量はまた、上記のいくつかの範囲内で、例えば、1%から2%までと2%から3%までで、すなわち、1%から始まり3%までの範囲内で変動し得る。
【0068】
好ましい組成物は次のとおりである:
− HFO−1336yf及びHFO−1234ze(特にHFO−E−1234ze)の二成分混合物;
− HFO−1336yf及びHFC−263fbの二成分混合物;
− HFO−1336yf及びHFC−134の二成分混合物;
− HFO−1336yf及びHFC−134aの二成分混合物;
− HFO−1336yf及びHFC−152aの二成分混合物;
− HFO−1336yf、HFC−134a及びHFO−1234ze(特にHFO−E−1234ze)の三成分混合物;
− HFO−1336yf、HFC−134a及びHFC−263fbの三成分混合物;
− HFO−1336yf、HFC−134a及びHFC−152aの三成分混合物;
− HFO−1336yf、HFC−134及びHFO−1234ze(特にHFO−E−1234ze)の三成分混合物;並びに、
− HFO−1336yf、HFC−134及びHFC−263fbの三成分混合物。
【0069】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、下記の表に挙げた配合の1つを有する。
【0070】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、下記の表に挙げた配合の1つを有する。
【0071】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、下記の表に挙げた配合の1つを有する。
【0072】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、下記の表に挙げた配合の1つを有する。
【0073】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、下記の表に挙げた配合の1つを有する。
【0074】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、下記の表に挙げた配合の1つを有する。
【0075】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、下記の表に挙げた配合の1つを有する。
【0076】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、下記の表に挙げた配合の1つを有する。
【0077】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、下記の表に挙げた配合の1つを有する。
【0078】
特定の実施態様において、本発明による組成物は、下記の表に挙げた配合の1つを有する。
【0079】
上記組成物のうち、そのうちの一部は、擬似共沸であるという利点を有する。
【0080】
「擬似共沸」という用語は、一定温度で、飽和液圧及び飽和蒸気圧が実質的に同一である(最大圧力差が、飽和液圧に対して、10%、さらに有利には5%である)組成物を意味する。これらの熱伝達流体は、使用しやすいという利点を有する。有意な温度勾配がない状態で、循環している組成物に有意な変化はなく、漏洩時においても組成物にいかなる有意な変化もない。
【0081】
本発明の組成物の一部は、−5℃の基準温度で擬似共沸である。
【0082】
本発明の組成物の一部は、ASHRAE 34−2007規格の意味の範囲内で、好ましくは100℃の代わりに60℃の試験温度で、可燃性である。
【0083】
本発明の組成物の一部は、基準熱伝達流体、例えば、HFO−1234ze又はHC−600aに対して同等であるか、又は、改善されている性能品質を有する。
【0084】
これらの性能品質は、特に容積及び/又は成績係数であり得る。
【0085】
同等の又は改善された性能品質は、中程度の温度の冷却方法に対して、すなわち、冷却された流体又は物体の温度が−15℃から15℃、好ましくは−10℃から10℃、より特に好ましくは−5℃から5℃(理想的には約0℃)である方法に対して特に検証することができる。
【0086】
あるいは、同等の又は改善された性能品質は、中程度の温度の加熱方法に対して、すなわち、加熱された流体又は物体の温度が30℃から80℃、好ましくは35℃から55℃、より特に好ましくは40℃から50℃(理想的には約45℃)である方法に対して特に検証することができる。
【0087】
上述の「中程度の温度の冷却又は加熱」方法において、蒸発器での熱伝達流体の入口温度は、好ましくは、−20℃から10℃、特に−15℃から5℃、より特に好ましくは−10℃から0℃、例えば、約−5℃であり、凝縮器での熱伝達流体の凝縮開始温度は、好ましくは、25℃から90℃、特に、30℃から70℃、より特に好ましくは35℃から55℃、例えば、約50℃である。これらの方法は、冷蔵方法、空調方法、又は加熱方法であってよい。
【0088】
あるいは、同等の又は改善された性能品質は、低温の冷蔵方法に対して、すなわち、冷却された流体又は物体の温度が−40℃から−10℃、好ましくは−35℃から−25℃、より特に好ましくは−30℃から−20℃(理想的には約−25℃)である方法に対して特に検証することができる。
【0089】
上述の「低温の冷蔵」方法において、蒸発器での熱伝達流体の入口温度は、好ましくは、−45℃から−15℃、特に−40℃から−20℃、より特に好ましくは−35℃から−25℃、例えば、約−30℃であり、凝縮器での熱伝達流体の凝縮開始温度は、好ましくは、25℃から80℃、特に、30℃から60℃、より特に好ましくは35℃から55℃、例えば、約40℃である。
【0090】
また、本発明の一部の組成物は、高温の加熱方法にとって、すなわち、加熱された流体又は物体の温度が90℃よりも高く、例えば110℃以上、又は130℃以上、好ましくは170℃以下である方法にとって特に有利である。
【0091】
またさらに、本発明の一部の組成物は、特に冷蔵輸送の用途、とりわけ冷蔵コンテナにとって特に有利である。
【0092】
本発明による組成物は、様々な熱伝達の用途において様々な熱伝達流体を置き換えるために有用であり得る。例えば、本発明による組成物は、次のものを置き換えるために有用であり得る:
− 1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a);
− 1,1−ジフルオロエタン(R152a);
− 1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(R245fa);
− ペンタフルオロエタン(R125)と1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)とイソブタン(R600a)との混合物、すなわち、R422;
− クロロジフルオロメタン(R22);
− 51.2%のクロロペンタフルオロエタン(R115)と48.8%のクロロジフルオロメタン(R22)との混合物、すなわち、R502;
− 任意のハイドロカーボン;
− 20%のジフルオロメタン(R32)と40%のペンタフルオロエタン(R125)と40%の1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)との混合物、すなわち、R407A;
− 23%のジフルオロメタン(R32)と25%のペンタフルオロエタン(R125)と52%の1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)との混合物、すなわち、R407C;
− 30%のジフルオロメタン(R32)と30%のペンタフルオロエタン(R125)と40%の1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)との混合物、すなわち、R407F;
− 44%のペンタフルオロエタン(R125)と52%の1,1,1−トリフルオロエタン(R143a)と4%の1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)の混合物、すなわちR404A;
− R1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロプロペン);
− R1234ze(1,3,3,3−テトラフルオロプロペン)。
【0093】
本発明による組成物はまた、熱伝達流体としてのそれらの使用に加えて、膨張剤、噴射剤(例えば、エアロゾル用)、洗浄剤、又は溶媒として使用することができる。
【0094】
噴射剤として、本発明による組成物は、単独で、又は公知の噴射剤と組み合わせて使用することができる。噴射剤は、本発明による組成物を含み、好ましくは、本発明による組成物からなる。噴霧しようとする活性物質は、噴霧させる組成物を形成させるために、噴射剤及び不活性化合物、溶媒、又は他の添加剤と混合することができる。好ましくは、噴霧される組成物は、エアロゾルである。
【0095】
膨張剤として、本発明による組成物は、膨張組成物に含ませることができ、膨張組成物は、当業者に公知であるような、適切な条件下で反応し、泡又は気泡構造を形成することが可能な1種又は複数の化合物を好ましくは含む。
【0096】
特に、本発明は、第一に、ポリマー発泡組成物の調製を含む、発泡性熱可塑性製品を調製するための方法を提供する。典型的には、ポリマー発泡組成物は、ポリマー樹脂を可塑化し、初期圧力で発泡組成物の化合物を混合することにより調製される。ポリマーの可塑化は、熱の作用下で、ポリマー樹脂を加熱して、発泡剤組成物を混合するのに十分に軟らかくすることにより実施することができる。一般的に、可塑化温度は、結晶性ポリマーのガラス転移温度又は融点に近い。
【0097】
本発明による組成物の他の使用は、溶媒、洗浄剤等としての使用を含む。記載することができる例としては、蒸気脱脂、精密洗浄、電子回路の洗浄、ドライクリーニング、研磨洗浄、潤滑剤及び剥離剤の被覆用溶媒、並びに他の溶媒又は表面処理を挙げることができる。
【実施例】
【0098】
実施例1− 考えられる各種構造の熱伝達流体の特性を計算する方法
混合物に関する密度、エンタルピー、エントロピー及び液体/蒸気平衡データの計算にはRK−Soave方程式を使用する。この方程式の使用にあたっては、検討下の混合物で使用される純物質の特性と、さらに各二成分混合物の相互作用係数についての知識が必要である。
【0099】
各純粋物質に利用され得るデータは、沸点、臨界温度及び臨界圧、沸点から臨界点までの温度を関数とする圧力曲線、温度を関数とする飽和液体密度及び飽和蒸気密度である。
【0100】
HFCに関するデータはASHRAE Handbook 2005、第20章に公表されており、さらにRefrop(冷熱生成流体の特性を計算するためにNISTによって開発されたソフトウェア)から入手できる。
【0101】
HFOに関する温度−圧力曲線のデータは静的方法により測定する。臨界温度及び臨界圧は、Setaram社から販売されているC80熱量計を用いて測定する。
【0102】
RK−Soave方程式は、混合物としての製品の挙動を表すために二体相互作用係数を使用する。この係数は、液体/蒸気平衡実験データの関数として計算される。
【0103】
液体/蒸気平衡測定に使用される技術は、静的セル分析方法である。平衡セルはサファイアチューブを備え、2つの電磁ROLSITMサンプラーを装備している。これを低温サーモスタット制御式浴(Huber HS40)中に浸漬する。可変速度で回転駆動されるマグネチックスターラーを使用して、平衡に達するように加速する。サンプルは、カタロメーター(TCD)を使用し、ガスクロマトグラフィー(HP5890シリーズII)によって分析する。
【0104】
HFC−134/HFO−1234ze二成分混合物の液体/蒸気平衡測定は、次の等温式において実施する:20℃。
【0105】
HFC−134/HFC−263fb二成分混合物の液体/蒸気平衡測定は、次の等温式において実施する:30℃。
【0106】
HFC−134/HFO−1336yf二成分混合物の液体/蒸気平衡測定は、次の等温式で実施する:50℃。
【0107】
HFC−134a/HFO−1234ze二成分混合物の液体/蒸気平衡測定は、次の等温式で実施する:20℃。
【0108】
HFC−134a/HFC−263fb二成分混合物の液体/蒸気平衡測定は、次の等温式で実施する:30℃。
【0109】
HFC−134a/HFO−1336yf二成分混合物の液体/蒸気平衡測定は、次の等温式で実施する:50℃。
【0110】
HFC−134a/HFO−1234yf二成分混合物の液体/蒸気平衡測定は、次の等温式で実施する:20℃。
【0111】
HFO−1234ze/HFC−263fb二成分混合物の液体/蒸気平衡測定は、次の等温式で実施する:30℃。
【0112】
HFO−1234ze/HFO−1336yf二成分混合物の液体/蒸気平衡測定は、次の等温式で実施する:50℃。
【0113】
HFO−1234ze/HFO−1234yf二成分混合物の液体/蒸気平衡測定は、次の等温式で実施する:18℃。
【0114】
HFO−1234yf/HFO−1336yf二成分混合物の液体/蒸気平衡測定は、次の等温式で実施する:50℃。
【0115】
HFO−1336yf/HFC−263fb二成分混合物の液体/蒸気平衡測定は、次の等温式で実施する:50℃。
【0116】
エネルギー性能品質を評価するため、蒸発器及び向流凝縮器、スクリュー圧縮器及び減圧器を装備した圧縮システムを検討する。
【0117】
このシステムを5℃のオーバーヒートで作動させる。蒸発温度は−5℃であり、凝縮温度は50℃である。
【0118】
成績係数(COP)は、システムによって供給又は消費される電力に対する、システムによって提供される作動能力(working power)として定義される。
【0119】
ローレンツ成績係数(COPLorenz)は、性能の基準となる係数である。これは温度依存性であり、異なる流体のCOPの比較に使用される。
【0120】
ローレンツ成績係数は、以下のように定義される(温度TはKである):
T凝縮器平均=T凝縮器入口−T凝縮器出口
T蒸発器平均=T蒸発器出口−T蒸発器入口
【0121】
空調管理と冷蔵の場合のローレンツCOPは次のとおりである:
【0122】
加熱の場合のローレンツCOPは次のとおりである:
【0123】
各組成物について、ローレンツサイクルの成績係数は対応する温度の関数として計算される。
【0124】
以下の表において、「温度(℃)」は温度を示し、「飽和液圧」は液体の飽和圧力を示し、「飽和蒸気圧」は蒸気の飽和圧力を示し、「圧力差(%)」は、飽和液圧と飽和蒸気圧の間の差の飽和液圧に対する比率(%)を示し、「蒸発器出口温度」は、蒸発器出口での流体の温度を示し、「圧縮器出口温度」は、圧縮器出口での流体の温度を示し、「凝縮器出口温度」は、凝縮器出口での流体の温度を示し、「減圧器入口温度」は、減圧器入口での流体の温度を示し、「蒸発器圧力(バール)」は、蒸発器中の流体の圧力を示し、「凝縮器圧力(バール)」は、凝縮器中の流体の圧力を示し、「比率(p/p)」は、圧縮率を示し、「勾配」は、温度勾配を示し、「CAP%」は、最初の行に示した基準流体に対する流体の容積を示し、「COP/COPローレンツ%」は、対応するローレンツサイクルのCOPに対するシステムのCOPの比率を示す。
【0125】
実施例2− 擬似共沸性混合物に関するデータ
【0126】
実施例3− HFO−1234zeと比較した中程度の温度の冷蔵に関する結果