【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明は、ロチゴチンを脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及びこれの誘導体からなる群より選ばれた一つ以上の結晶防止剤と混合する段階を含むロチゴチンの結晶防止方法を提供する。
【0012】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、ロチゴチンと、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及びこれの誘導体からなる群より選ばれた一つ以上の結晶防止剤とを有効成分として含む経皮吸収製剤を提供する。
【0013】
さらに、本発明の他の目的を達成するために、本発明は、ロチゴチンを脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及びこれの誘導体からなる群より選ばれた一つ以上の物質と混合する段階を含む経皮吸収製剤製造方法を提供する。
【0014】
さらに、本発明の他の目的を達成するために、本発明は、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及びこれの誘導体からなる群より選ばれた一つ以上の結晶防止剤、ロチゴチン及び粘着剤を含む薬剤含有粘着剤層、並びに前記薬剤含有粘着剤層を支持する基材を含む経皮治療システムを提供する。
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明は、ロチゴチンを脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及びこれの誘導体からなる群より選ばれた一つ以上の結晶防止剤と混合する段階を含むロチゴチン結晶防止方法を提供する。
【0017】
本発明のロチゴチンの結晶防止方法は、ロチゴチンを脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及びこれの誘導体からなる群より選ばれた一つ以上の結晶防止剤と混合する段階を含むことを特徴とする。
【0018】
ロチゴチン((-)-5,6,7,8-テトラヒドロ-6-[プロピル-[2-(2-チエニル)エチル]アミノ]-1ナフタレノール)は下記化学式1のような構造を有し、非エルゴリン系ドーパミン作動薬(non-ergoline dopamine agonist)として、パーキンソン病(Parkinson's disease(PD))及び下肢不安症候群(restless legs syndrome(RLS))の治療のために使用される。
【0019】
【化1】
【0020】
本発明の結晶防止剤は、ロチゴチンの結晶化を抑制する物質であって、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドまたはその誘導体から選ばれ得る。好ましくは本発明の結晶防止剤の脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドは、炭素の個数が一つ以上であるものを含み、40個以下のものを含み得る。さらに、これらの群には炭素間の二重結合を含まないか、または一つ以上を含むことができる。より好ましくは、本発明の結晶防止剤は、オレイン酸、オレインアルコール、カプリル酸またはヘキサン酸からなる群より選ばれたものでもあり得る。
【0021】
脂肪アルコールは8乃至22個の炭素が鎖状に結合したアルコールを意味する。本発明の脂肪アルコールは、例えば、capryl alcohol、2-ethyl hexanol、Lauryl alcohol、Tridecyl alcohol、Myristyl alcohol、oleyl alcohol、linoleyl alcoholでもあって、好ましくは、オレイルアルコール(oleyl alcohol)でもあり得る。
【0022】
脂肪酸は長い脂肪族鎖にカルボキシル基が付いているものを意味し、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸をすべて含む。本発明の脂肪酸は例えば、Myristoleic acid、Palmitoleic acid、Sapienic acid、Oleic acid、Elaidic acidでもあって、好ましくはオレイン酸でもある。
【0023】
脂肪酸エステルは脂肪酸の水素をアルキル群に置換したものを意味し、本発明の脂肪酸エステルは例えば、isopropyl palmitate、isopropyl laurate、isooctyl palmitate、isooctyl stearate、lauryl stearate、butyl stearate、methyl n-caprylate、methyl n-caprate、methyl laurate、methyl stearate、methyl oleateでもある。
【0024】
脂肪酸アミドは脂肪酸の水素をアミド群に置換したものを意味し、本発明の脂肪酸アミドは例えば、oleamide、stearamide、erucamide、behenamide、N-oleylpalmitamide、N-stearylerucamideでもある。
【0025】
前記結晶防止剤はロチゴチンの結晶化を効果的に遮断して、長期保管安定性が高いロチゴチン含有パッチ剤を製造できるようにする。脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなどがロチゴチンと混合される場合に、ロチゴチンの結晶化が遮断されるということは、本発明で最初に公開されるものである。
【0026】
ロチゴチンと混合される結晶防止剤の量は特に制限はされないものの、好ましくはロチゴチンと結晶防止剤の重量比は10:0.1乃至40でもあって、さらに、好ましくは10:0.1乃至30でもあり、最も好ましくは10:0.3乃至20でもある。結晶防止剤が、0.1重量部未満で添加される場合、ロチゴチンの結晶化される可能性が高くなり、40重量部を越える場合、ロチゴチンの皮膚透過率が落ちて治療効果が劣ることもあり得る。
【0027】
本発明の方法は、ロチゴチンが有効成分として含まれた多様な剤形に適用が可能であり、好ましくはパッチ剤、液剤、軟膏剤などに適用できる。
【0028】
一方、本発明は、ロチゴチン及び結晶防止剤を有効成分として含む経皮吸収製剤を提供する。
【0029】
本発明の経皮吸収製剤は有効薬剤成分として、ロチゴチンを含み、皮膚貼付方式で簡便に薬剤を人体内に投与することができて、薬効を長時間保つことができる。さらに、結晶防止剤を有効成分として含み、ロチゴチンが結晶化されないので長時間安定的に保管が可能である。
【0030】
本発明の経皮吸収製剤の有効成分であるロチゴチン及び結晶防止剤に関しては前述した通りである。
【0031】
一方、本発明の経皮吸収製剤は、ロチゴチン及び結晶防止剤の他に粘着剤を追加して含め得る。
【0032】
粘着剤は、本発明の経皮吸収製剤を皮膚に持続的に接触させて有効成分の吸収が円滑になされるようにするもので、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、エチレンビニルアセテート粘着剤、スチレン系粘着剤及びシリコン系粘着剤などを含むことができる。より好ましくはスチレン系粘着剤でもある。“スチレン系粘着剤”はスチレン系ブロックコポリマーを基本物質とする粘着剤である。前記スチレン系ブロックコポリマーはこれに限定はされないが、スチレンーイソプレン(styrene-isoprene)、スチレンーブタジエン(styrene-butadiene)、スチレンーイソプレンースチレン(styrene-isoprene-styrene)、スチレンーブタジエンースチレン(styrene-butadiene-stydene)、スチレンーイソプレンースチレンーイソプレン(styrene-isoprene-styrene-styrene)及びスチレンーブタジエンースチレンーブタジエンーからなる群より選ばれる一つ以上のブロックコポリマーでもある。
【0033】
本発明の粘着剤の好ましい含量は、ロチゴチン10重量部当り40乃至500重量部の比率で含まれることが好ましい。
【0034】
本発明の経皮吸収製剤は、皮膚透過促進剤、賦形剤、刺激緩和剤または担体を追加して含むことができる。
【0035】
前記皮膚透過促進剤は、薬剤の皮膚透過を促進するためのものであって、例えば、hydrophilic organic solvent、aprotic solvent、fatty acid、fatty alcohol、fatty acid ester、pyrrolidone、essential oil、surfactant、phospholipidsなどを使用することができる。
【0036】
本発明の経皮吸収製剤に含まれる担体は、生体的合成担体であり、これに限定はされないが非経口投与用担体でもあって、非経口投与用担体は水、適合したオイル、食塩水、水性グルコース及びグリコールなどを含むことができる。その他の薬学的に許容される担体には下記の文献に記載されているところを参考にすることができる(Remington's Pharmaceutical Sciences、19th ed.、Mack Publishing Company、Easton、PA、1995)。生体適合性担体の濃度はこれに限定はされないが、約2-70重量%の範囲でもある。
【0037】
本発明の経皮吸収製剤は、パッチ剤、液剤、軟膏剤などに剤形化が可能であり、好ましくはパッチ剤に剤形化することができる。
【0038】
さらに、本発明は、ロチゴチンを脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及びこれの誘導体からなる群より選ばれた一つ以上の結晶防止剤と混合する段階を含む経皮吸収製剤製造方法を提供する。
【0039】
本発明の製造方法は、ロチゴチンを脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及びこれの誘導体からなる群より選ばれた一つ以上の結晶防止剤と混合する段階を含むことを特徴とする。ロチゴチン及び結晶防止剤に関しては前述の通りである。
【0040】
本発明の製造方法は、ロチゴチン及び前記結晶防止剤混合物に粘着剤を混合する段階を含む製造方法でもある。
【0041】
本発明の製造方法によれば、ロチゴチンが結晶析出されず、長期安定性が大きく向上された経皮吸収製剤を製造することができる。
【0042】
一方、本発明は、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及びこれの誘導体からなる群より選ばれた一つ以上の結晶防止剤、ロチゴチン及び粘着剤を含む薬剤含有粘着剤層、並びに薬剤含有粘着剤層を支持する基材を含む経皮治療システムを提供する。
【0043】
本発明の経皮治療システムは、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及びこれの誘導体からなる群より選ばれた一つ以上の結晶防止剤、ロチゴチン及び粘着剤を含む薬剤含有粘着剤層、並びに前記薬剤含有粘着剤層支持する基材を含むことを特徴とし、ロチゴチンの皮膚吸収を通じてパーキンソン病痴呆、下肢不安症候群などの疾患に治療効果がある。
【0044】
本発明の薬剤含有粘着剤層は、有効薬剤であるロチゴチン、ロチゴチンの結晶析出を防止する結晶防止剤、及び粘着剤を含むことを特徴とする。本発明におけるロチゴチン、結晶防止剤及び粘着剤に関しては前述した通りである。
【0045】
本発明の薬剤治療システムにおいて、結晶防止剤の含量は、特に制限はされないが、好ましくは薬剤含有粘着剤層の総重量に対して、0.1重量%より多く、37重量%以下に含まれることができる。0.1重量%以下に添加される場合、ロチゴチンが4週内に結晶化される可能性が高く、37重量%を超過する場合、ロチゴチンの皮膚透過率が落ちる。
【0046】
本発明の薬剤含有粘着剤層のロチゴチン、結晶防止剤及び粘着剤の比率は特に制限はされないが、好ましくはロチゴチン、結晶防止剤及び粘着剤の重量比は10:0.1乃至40:40乃至500でもある。より好ましくは結晶防止剤の比率は0.3乃至20でもある。
【0047】
粘着剤が前記比率より低い場合、粘着力が落ちて薬剤含有粘着剤層が皮膚によく付着せず、前記比率より高い場合には皮膚付着が強すぎて薬剤伝達システムを皮膚に付着した後、脱着する際に刺激的があったり、薬剤放出が遅延することがある。
【0048】
本発明の経皮治療システムは、薬剤含有粘着剤層を支持する基材を含むことを特徴とする。このような基材には、公知のパッチ剤などに使用される基材を使用することができ、前記本発明の基材は、薄くて柔軟性があって薬剤含有粘着剤層と反応性がなく、皮膚との反応性もなく、アレルギー反応を引き起こさないことが好ましい。本発明の基材には例えば、不織布、ポリエチレンテレフタレート、軟質ポリビニルクロライド、ポリウレタン、ポリエステル、シリコーンコーティングフィルムを使用することができる。好ましくはシリコーンコーティングフィルムまたはポリエチレンテレフタレート(PET)でもある。
【0049】
本発明の経皮治療システムのロチゴチンの含量は、患者の年齢、体重、性別、投与形態、健康状態、疾患程度などによって異なることがある。例えば、皮膚に1日1回または複数回適用して、0.5乃至100mgの活性物質を投与するように含めることができる。
【0050】
本発明の一実施例では、ロチゴチン、エタノール、ヘキサン、ポリイソブチレン及び結晶防止剤を混合して薬剤含有粘着剤層を製造し、これをシリコーンコーティングフィルムに塗布後、PETフィルムで覆って経皮治療システムを製造し、加速試験条件で2週、または4週間保管して安定性を試験した。その結果、結晶防止剤が含まれていない対照群ではロチゴチンの結晶が析出されたのに対して、本発明の経皮治療システムでは結晶が析出されないことを確認した。
【0051】
本発明の他の一実施例では、経皮治療システムに含まれる結晶防止剤の含量を多様にして、結晶防止剤の含量変化によるロチゴチンの安定性を測定した。その結果、結晶防止剤が薬剤含有粘着剤層の総重量に対して、0.1重量%より多く、37重量%以下に含まれる範囲で、ロチゴチン結晶が析出されないことを確認した。前記重量%からロチゴチン結晶防止剤の重量比は10:0.1乃至10:40が適当であることが分かった。より好ましくは10:0.1乃至10:30である。