(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180523
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】改良されたナビゲーションメッセージを有するGNSS無線信号を送信及び受信する測位方法並びにこれに使用されるGNSS受信機及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 19/02 20100101AFI20170807BHJP
H04L 7/04 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
G01S19/02
H04L7/04 100
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-520972(P2015-520972)
(86)(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公表番号】特表2015-528906(P2015-528906A)
(43)【公表日】2015年10月1日
(86)【国際出願番号】EP2013064573
(87)【国際公開番号】WO2014009409
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2015年8月4日
(31)【優先権主張番号】1256696
(32)【優先日】2012年7月11日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507233361
【氏名又は名称】セントル・ナショナル・デチュード・スパシアル
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】グルリエ,トマス
(72)【発明者】
【氏名】リース,リオネル
【審査官】
吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】
特表2001−517803(JP,A)
【文献】
特表2008−527873(JP,A)
【文献】
特開平10−73651(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0260207(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 19/00−19/55、
5/00−5/14
H04L 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意にグループ状および/またはサブグループ状に編成された、連続したデータパケットとして送信されるナビゲーションメッセージを含み、各データパケットは、同期シンボルヘッダーが先行する、符号を適用することによって得られるシンボルのシーケンスの形態となっており、前記データパケットは、データフィールドの内部に編成されている、GNSS無線信号であって、前記連続するデータパケットのうちの少なくとも所定のデータパケットは、前記符号を適用することにより同期シンボルパターンに変換された同期ビットフィールドを含むGNSS無線信号を送信する、ことを特徴とするGNSS測位方法。
【請求項2】
前記連続するデータパケットの少なくとも6番目の各データパケットは、前記符号を適用することにより、同期シンボルパターンに変換された同期ビットフィールドを含む、請求項1に記載のGNSS測位方法。
【請求項3】
前記連続するデータパケットの各データパケットは、前記符号を適用することにより、同期シンボルパターンに変換された同期ビットフィールドを含む、請求項1に記載のGNSS測位方法。
【請求項4】
前記同期シンボルパターンおよび/またはデータパケットのサブグループ内の前記同期シンボルパターンの位置は、前記GNSS無線信号の送信機または送信機のグループを識別する、請求項1に記載のGNSS測位方法。
【請求項5】
前記連続するデータパケットの少なくとも所定のデータパケットの各々は、連続するパケットにて異なる同期シンボルパターンが交互に位置するよう、複数の異なる同期ビットフィールドから選択された同期ビットフィールドを含む、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載のGNSS測位方法。
【請求項6】
前記符号は、誤り訂正符号である、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載のGNSS測位方法。
【請求項7】
前記符号は、畳み込み符号である、請求項6に記載のGNSS測位方法。
【請求項8】
前記同期ビットフィールドは、前記畳み込み符号の制限長さを考慮するパディングビットを含む、請求項7に記載のGNSS測位方法。
【請求項9】
ナビゲーションメッセージの検出を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のGNSS測位方法によって送信される複数のGNSS無線信号を受信するステップを含むGNSS測位方法において、
前記ナビゲーションメッセージを検出するステップは、前記同期シンボルパターンを識別することを含むことを特徴とする、GNSS測位方法。
【請求項10】
アシスト型GNSS測位方法である、請求項9に記載のGNSS測位方法。
【請求項11】
コンピュータプログラムがGNSS受信機によって実行されるときに、前記GNSS受信機に請求項9または10に記載の方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラムを含むメモリ手段を備えた、GNSS受信機。
【請求項12】
コンピュータプログラムがGNSS受信機によって実行されるときに、前記GNSS受信機に請求項9または10に記載の方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛星無線ナビゲーションの技術分野に関する。本発明は、衛星から送信される無線ナビゲーション信号(以下、「GNSS無線信号」または「GNSS信号」と称す)に関し、特にユーザーの受信機による地球測位を可能にまたは容易にするよう上記信号によりユーザーの受信機へ伝送されるナビゲーションメッセージに関する。
【背景技術】
【0002】
GNSS信号(「宇宙内信号」セグメント)は、GNSS(「全地球衛星航法システム信号」)の宇宙インフラストラクチュアとその種々のユーザーセグメントとの間の主要インターフェースとなっている。この点に関し、この信号は、与えられた環境および使用コンテキストにおいてユーザーが利用できる性能の主要な役割を果している。その理由は、その性能が使用されている受信アルゴリズム(使用コンテキストの機能)と(伝搬状態によって影響を受ける)ユーザーに到達する信号の質の結果となっているからである。
【0003】
信号のスペクトルおよび時間的特性、例えば、搬送周波数、電力または変調(PRN,BPSK,BOCレート)パラメータは、相互運用性、トラッキング、および干渉ならびにマルチパスへのロバスト性等に関する性能を実質的に決定する。
【0004】
ナビゲーションメッセージ自体も性能における決定的要素であり、このメッセージは、コンテントの点だけでなく、その構造による利用可能性(ロバスト性)および遅延性(すなわち、応答可能性)の点でもサービスを決定する。ナビゲーションメッセージは、とりわけ衛星からの軌道暦(ephemeris)とクロック補正データの組(「DECH」)を含む。このDECHの組は、受信機が衛星の位置および衛星のクロックの誤差を計算できるよう充分なデータの1つの組を平均化するものと見なされる。このナビゲーションメッセージは、捕捉性能、特に捕捉時間(「初期位置算出時間」としても知られる)に大幅に寄与する。
【0005】
しかしながら、GNSS信号およびそのナビゲーションメッセージの設計構造は、意図する種々のサービス要件とコンテント(例えば、ガリレオでは、オープンサービス(OS),セイフティオブライフ(SoL),捜索救助返信リンクメッセージ(SAR RLM)等との間の妥協でもあり、この妥協では、性能目的(応答可能性およびロバスト性)と運用上または技術的制約(衛星の相互運用性、質量/利用量/ボリューム等)とが相反することが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、ガリレオE1
OSおよびGPS L1C信号は、GPS C/A信号と比較して多数の変更、例えば新しいナビゲーションメッセージ構造、PRN符号、最適変調方式等を含む。双方の信号は、とりわけ基本的には、民生用受信機のオープンサービス向けのものであり、異なる環境(例えば、都会のビルの谷間)で運用されることが多い。しかしながら、これら2つの信号は、それらの設計が大幅に異なる。すなわち、GPS L1C信号は、オープンサービス用のものでしかないが、他方ガリレオOS信号は、オープンサービスの取り扱いとリアルタイム完全データ(SoL)およびSARリターンリンクチャンネル(SAR RLM)の供給の双方を行うように設計されている。この結果、ガリレオのメッセージは、軌道暦および時間(クロック補正)データのアイテムだけでなく、追加データアイテムも含む。
【0007】
特にガリレオオープンサービス(ガリレオOS)からのナビゲーションメッセージ内で一斉送信される同期データには、ロバストネスが欠如しているという問題があると理解できよう。この情報は、受信機の位置を計算するために必要であるので、ロバストネスが低レベルであることは特に「困難」な環境、例えば都会のビルの谷間または建物の内部における捕捉スレッショルドに対するガリレオ受信機の性能に悪影響を与える。
【0008】
本発明の目的は、有効な情報、特にナビゲーションメッセージを搬送するGNSS信号のロバストネスを高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するために、GNSS無線信号は、任意にグループ(フレーム)状および/またはサブグループ(サブフレーム)状に編成された、連続したデータパケット(例えば、「ページ」または「半ページ])として送信されるナビゲーションメッセージを含み、各データパケットは、同期シンボルヘッダーが先行する、(2進メッセージの符号ワードへの転換を保証する)符号を適用することによって得られるシンボルのシーケンスのGNSS無線信号の形態となっており、前記データパケットは、データフィールドの内部に編成されている。本発明によれば、連続するデータパケットのうちの少なくとも所定のデータパケットは、符号を適用することにより同期シンボルパターンに変換された同期ビットフィールドを含む。
【0010】
したがって、ナビゲーションメッセージは、搬送波周波数で変調されたシンボルのレベルで複数のグループの同期シンボルを含み、この同期シンボルヘッダーは、所定のパケットで生じる同期シンボルパターンと共に各データパケットのスタートをマークすることが理解できよう。2進メッセージのレベルでは同期シンボルヘッダーは、均等のものを有しない(送信に先立ち、シンボルのシーケンスにヘッダーが追加される)が、他方、同期シンボルパターンは、ナビゲーションメッセージの2進シーケンスに組み込まれたビットの1つのシーケンスに対応することに留意されたい。このビットシーケンスは、符号化後に所望する同期パターンを現すように選択されている。
【0011】
したがって、所定のデータパケットが受信機に予め既知となっている同期シンボル(ヘッダーおよびパターン)の複数のシーケンスを有していると仮定すれば、特に信号対ノイズ比条件が悪い場合でも、受信機によるナビゲーションメッセージの検出の信頼性がより高くなる。
【0012】
好ましくは、サブフレームごとの少なくとも1つのデータパケットは、符号を適用することにより、同期シンボルパターンに変換された同期ビットフィールドを含む。より好ましくは、連続するデータパケットの少なくとも6番目ごとのデータパケットは、符号を適用することにより、同期シンボルパターンに変換された同期ビットフィールドを含む。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によれば、連続するデータパケットの各データパケットは、符号を適用することにより、同期シンボルパターンに変換された同期ビットフィールドを含む。
【0014】
同期シンボルパターンおよび/またはデータパケットのサブグループ(サブフレーム)内の同期シンボルパターンの位置を、1つの送信機(衛星または疑似衛星)もしくは送信機のグループに固有のものにすることができる。この場合、同期シンボルパターンおよび/またはデータパケットのグループ(サブフレーム)内の同期シンボルパターンの位置が、GNSS無線信号の送信機または送信機のグループを識別する。GNSSで本発明を利用するため、送信機(衛星および/または疑似衛星)の複数のグループを定義することが可能であり、各グループは(サブフレームのうちの)時間内の異なる時刻に同期パターンを送信するようになっている。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、連続するデータパケットの少なくとも所定のデータパケットの各々は、連続するパケッ
トにて異なる同期シンボルパターンが交互に位置するよう、複数の異なる同期ビットフィールドから選択された同期ビットフィールドを含む。複数の同期シンボルパターンは、アンビギュイティ時間を長くすると理解できよう。例えば、各々が2秒の時間長さを有するパケット上で3つの同期シンボルパターンが交互に位置する場合、得られるアンビギュイティは、6秒となる。この解決方法の利点は、システム時間が既知となっている精度の制約が受信機に対して緩和されるということである。
【0016】
好ましくは、2進シンボルメッセージを転換するのに使用される符号は、誤り訂正符号である。この符号は、例えば(ガリレオOS E1信号のナビゲーションメッセージの場合のように)制限長さが7であり、符号化率が1/2であるような畳み込み符号にすることができる。
【0017】
同期ビットフィールドは、好ましくは畳み込み符号の制限長さを考慮したパディングビットを含む。この畳み込み符号のメモリ効果として、前のフィールドのコンテントに応じ、同期ビットフィールドに符号を適用することによって得られる第1シンボルが得られる。このパディングビットは、前のフィールドのコンテントの変化によって同期パターンが影響されないように保証できる。
【0018】
本発明の別の様相は、上記のように複数のGNSS無線信号を受信するステップを含むGNSS測位方法にある。ナビゲーションメッセージの受信は、ナビゲーションメッセージを検出すること(任意で必ずしも復号化を含まない)を含む。ナビゲーションメッセージを検出するステップは、例えば同期シンボルヘッダーを検出することの他に、上記同期シンボルパターンを識別することを含む。
【0019】
このGNSS測位方法は、ナビゲーションメッセージを除く送信チャンネルによって、ナビゲーションメッセージ内に含まれる情報アイテムまたは同様な情報アイテムが受信機に送信されるようになっている、アシスト型GNSS測位方法(A−GNSS方法)でよいことが理解されよう。特に、同期シンボルパターンが存在することによりA−GNSS受信機は、ナビゲーションメッセージを復号化(かつその内容にアクセス)することなく、ナビゲーションメッセージにより良好に同期できると理解できよう。
【0020】
本発明の別の様相は、コンピュータプログラムがGNSS受信機によって実行されるときに、前記GNSS受信機に上記方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラムを含むメモリ手段を備えた、GNSS受信機にある。
【0021】
最後に、本発明は、コンピュータプログラムがGNSS受信機によって実行されるときに、前記GNSS受信機に上記方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラムにも拡張できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、添付図面を参照して説明する一部の好ましい実施形態の詳細な説明から、本発明の上記以外の顕著な特性および特徴が明らかとなろう。
【
図1】E1−B信号成分によって提供されるガリレオI/NAV無線ナビゲーション信号の構造の図である。
【
図2】E1−B信号成分上のI/NAV無線ナビゲーションメッセージのサブフレームの構造の図である。
【
図3】本発明の第1の変形例に係るI/NAV無線ナビゲーションメッセージのサブフレーム構造の図である。
【
図4】本発明の第2の変形例に係るI/NAV無線ナビゲーションメッセージのサブフレーム構造の図である。
【
図5】本発明の第3の変形例に従って変更されたI/NAV無線ナビゲーションメッセージのサブフレーム構造の図である。
【
図6】本発明の第3の変形例に従って変更されたI/NAV無線ナビゲーションメッセージのサブフレーム構造の図である。
【
図7】本発明の第3の変形例に従って変更されたI/NAV無線ナビゲーションメッセージのサブフレーム構造の図である。
【
図8】同期シンボルパターンを発生するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下説明する本発明の実施例は、ガリレオナビゲーションシステムのE1−B成分(E1 OS信号のデータチャンネル)で送信されるI/NAVナビゲーションメッセージに基づくものであり、この実施例では、変更例が提案されている。しかしながら、この選択案は、単に本発明を説明するために記載したものにすぎず、この選択案は、(ガリレオ、GPS,グロナス,コムパスなど、又は地域システムからの)その他のGNSS信号でも実施できることに留意されたい。更なる情報は、ウェブサイト:http://ec.europa.eu/enterprise/policies/satnav/galileo/open−service/index en_htm.にて欧州委員会から2010年9月に発行された「宇宙インターフェース管理文書における欧州GNSS(ガリレオ)オープンサービス信号」第1.1版(以下、ガリレオOS SIS ICD)を参照することによって入手できる。
【0024】
ガリレオI/NAVメッセージは、720秒の1つのフレームからなり、このフレームは、各々が30秒の24個のサブフレームに分割されている。各サブフレームは、2秒の15ページからなり、各ページは、1秒の長さの、偶数部分と奇数部分からなる。
図1にI/NAVメッセージの構造が略図で示されている。
【0025】
1ページのうちの偶数部分および奇数部分は、有効データの120ビットからなり、従って、完全な1ページは、240ビットの有効情報を含む。これらビットは、(制限長さL=7および符号化率R=1/2の)畳み込み符号で符号化されており、符号化の後で、120ビットの有効データが240個のシンボルに変換され、これらシンボルには、ヘッダーとして10シンボルの同期化ヘッダーが追加されている。従って、半ページは、250個のシンボルを含む。
【0026】
図2は、ガリレオOS E1−Bの1つのサブフレームのコンフィギュレーションを示す。各ページ(奇数の半ページおよび偶数の半ページ)は、128ビットのデータフィールドを含み、このフィールドは、「ワード」として知られており、ページのうちの2つの部分(それぞれ、16ビットと112ビットに分割されている)にわたって分散されている。
【0027】
ワードは、ナビゲーション受信機の位置を計算するためにナビゲーション受信機が使用する情報のアイテム(軌道暦(ephemeris)、ガリレオシステム時間、クロック補正、電離層補正、衛星暦(almanacs)等)を含む。
【0028】
ガリレオOS SIS ICDでは、コンテント(ワード1から10)に応じ、10のタイプのワードが定義されている。「スペア」(フリー)のワード、すなわち、有効情報を含まないワードに対し11番目のタイプが保留されている。
【0029】
ハーフページは、データパケットを示し、符号化後でこれらデータパケットに同期シンボルヘッダーが先行する。ガリレオOS E1−B信号に本発明を実施し、図示された実施例として示すために、各奇数半ページの「保留された1」に2進同期ワードを設けることを提案する。このフィールドは、サイズが40ビットであるので、畳み込み符号により一旦80個のシンボルに変換される同期シンボルパターンとなる40ビットの1つのシーンケンスを定義することが課題である。前記符号(L=7およびR=1/2)のメモリ効果によって、最初の12個のシンボルは未知となる。したがって、この同期情報は、68個のシンボルにわたってしか符号化できない。
【0030】
(畳み込み符号メモリ効果を考慮するために設けられるパディングビットを含む)同期ビットのシーケンスを選択することが可能であり、それによって捕捉スレッショルドを3dBより大きく下げることが可能となる。畳み込み符号を加えることにより、適切な自己相関特性を有する同期シンボルとなるような同期ビットのシーケンスを選択することが課題である。
【0031】
図3に示された第1の変形例によれば、各奇数半ページの「保留された1」内に同じ同期ビットフィールド(すなわち同じシーケンスのビット)が挿入される。この結果得られる時間のアンビギュイティは、2秒となる。
【0032】
図4に示された第2の変形例によれば、各サブフレームの奇数の半ページの「保留された1」フィールド内に3つの異なる同期ビットフィールドが交互に配置される。この結果得られる時間アンビギュイティは6秒となる。
【0033】
図5〜7には(空間ダイバーシティが追加された)第3の変形例が示されている。N
sat個の衛星のN
g個のグループを検討する。1つの同じグループのすべての衛星が、サブフレーム内の同一時刻に同期シンボルパターンを送信する。
【0034】
複数のグループは、異なる時刻に同期シンボルパターンを送信する。この方法の利点は、時間アンビギュイティがN
gによって倍増されることであり、このことによってシステム時刻を知る精度に対する制約が緩和される。
【0035】
1グループにつき10機のガリレオ衛星を含む3つのグループがある場合、6秒の時間アンビギュイティに達する。第1グループは、時刻T
0=0,6,12,18および24でスタートするページ内の第1同期パターンを送信する(
図5)。第2グループは、時刻T
0=2、8、14、20および26でスタートするページ内の第2同期パターンを一斉送信する(
図6)。第3グループは、時刻T
0=4,10,16,22および28でスタートするページ内の第3同期パターンを一斉送信する(
図7)。
【0036】
図8は、同期シンボルパターン(および対応するビットシーケンス)を捜すための可能な方法を示す。N
sは、同期シンボルパターンの(シンボル内の)長さとして表記されている。(最初の12個のシンボルは前のフィールドのコンテントに依存するので、「保留された1」のフィールドの例では、N
s=68である。)この目的は、最適な同期特性を有することである。すなわちシーケンスの自己相関機能(ホワイトノイズの機能に類似する、すなわちクロネッカーデルタ関数に最も近い自己相関機能)によって所定の数の性能基準を満足するN
sのシンボルの1つのシーケンスを決定することである。
【0037】
図8に示されるように進行させることも可能である。長さk=2
n−1(ここで、nは、整数を示し、k<N
sである)のシンボルのシーケンスS
1を選択する。特に「最大長さのシーケンス」としても知られるmシーケンスを選択する。疑似ランダムシーケンスは、(ホワイトノイズの特性に極めて近い)最適な自己相関特性を有する。連結されたシーケンス[S
1、S
2]が自己相関特性に対して定められた条件を満足するように、長さp=N
s−kのシンボルのシーケンスS
2を求める。シーケンスS
2に対して2
p個の候補シーケンスが存在する。したがって、シーケンスS
2を求めるとき、すべての可能なシーケンスから最良の候補シーケンスを選択する。
【0038】
次に、N
s・Rビット(ここでR=訂正符号の符号化率である)を捜すために、(例えばビタルビ復号器を使って)N
sシンボルの連結されたシーケンス[S
1、S
2]を復号化する。このステージでは、(訂正符号を適用することにより)長さN
s+(L−1)/Rの長さの「最良の」シンボルシーケンスS
3を生じさせる、シーケンスB
1の前に置くべきL−1ビット(L=畳み込み符号の制限長さ)のシーケンスB
2を捜す必要がある。このシンボルの「最良の」シーケンスは、最良の自己相関特性を最終のN
sのシンボルが有するようなシーケンスを平均化するものと見なされる。L−1の充填ビットの2
L−1の可能なシーケンスがあるので、2
L−1個の候補シンボルシーケンスを評価しなければならない。この評価のうちで、最良の同期特性を有する1つを選択する。
【0039】
長さkのシンボルシーケンスS
1の一組に対してこの方法を繰り返す。最良の結果を生じさせるようなNsのシンボルのシーケンスおよびL−1個の充填ビットのシーケンスを最終的に選択する。