特許第6180525号(P6180525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180525
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】コークスキャッチャー
(51)【国際特許分類】
   C10G 9/16 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   C10G9/16
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-523133(P2015-523133)
(86)(22)【出願日】2013年7月11日
(65)【公表番号】特表2015-522695(P2015-522695A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】US2013050013
(87)【国際公開番号】WO2014014731
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2015年3月13日
【審判番号】不服2016-17224(P2016-17224/J1)
【審判請求日】2016年11月18日
(31)【優先権主張番号】13/554,460
(32)【優先日】2012年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510089188
【氏名又は名称】ルムス テクノロジー インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 喜平
(74)【代理人】
【識別番号】100123548
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 晃二
(72)【発明者】
【氏名】デ ハーン、 ステファン
(72)【発明者】
【氏名】タム、 ピーター、 キン‐リー
【合議体】
【審判長】 川端 修
【審判官】 國島 明弘
【審判官】 日比野 隆治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−257403(JP,A)
【文献】 特開昭53−18062(JP,A)
【文献】 特開昭61−274720(JP,A)
【文献】 特開平8−28208(JP,A)
【文献】 特開平11−324616(JP,A)
【文献】 特開2008−215098(JP,A)
【文献】 実開平2−108716(JP,U)
【文献】 実開平4−78253(JP,U)
【文献】 特開平8−28208(JP,A)
【文献】 特表平4−502175(JP,A)
【文献】 特開昭58−132081(JP,A)
【文献】 特開昭55−027383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10G 9/16
B01D 45/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的又は半連続的プロセスからのプロセス流れであって、気相フラクション及びファウラントフラクションを含むプロセス流れを、流れ導管を通して、プロセス装置に移送し、その際、(i)前記気相フラクションの流れは、前記プロセス装置に入る前に、方向を変化させ、かつ、(ii)前記ファウラントフラクションの流れは、ファウラント収集装置又はその部分に継続して流れるように、前記流れ導管が分岐しており;
前記ファウラント収集装置又はその部分中に、一定量の前記ファウラントフラクションを蓄積し;
前記ファウラント収集装置の第一の部分を、前記ファウラント収集装置の第二の部分から分離し;そして、
蓄積されたファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置から分離して除去する
ことを含み、
前記プロセス装置が、ポンプ、熱交換器、バルブ、及びコンプレッサーのうち少なくともひとつを含む、オレフィン含有プロセス流れにおけるファウリングを低減するための方法。
【請求項2】
前記連続的又は半連続的プロセスの一又はそれより多い部分を停止させることなく、前記分離して除去することを行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
連続的又は半連続的プロセスからのプロセス流れであって、気相フラクション及びファウラントフラクションを含むプロセス流れを、当該流れ導管を通して、プロセス装置に移送するための流れ導管と;
(i)前記気相フラクションの流れを、前記プロセス装置に入る前に、方向を変化させ、かつ、(ii)前記ファウラントフラクションの流れを、ファウラント収集装置又はその部分に継続して流れるようにする、前記流れ導管における分岐と;
一定量の前記ファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置中に蓄積するための容積を有する前記ファウラント収集装置と;
前記ファウラント収集装置の第一の部分を、前記ファウラント収集装置の第二の部分から分離し、かつ、蓄積されたファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置から分離して除去するための手段と
を含み、
前記プロセス装置が、ポンプ、熱交換器、バルブ、及びコンプレッサーのうち少なくともひとつを含む、オレフィン含有プロセス流れにおけるファウリングを低減するための装置。
【請求項4】
前記分離して除去するための手段は、前記連続的又は半連続的プロセスの一又はそれより多い部分を停止させることなく、前記分離して除去することが可能であるように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
連続的又は半連続的なプロセスからのオレフィン含有プロセス流れを第一の熱交換器において冷却して、気相フラクション及びファウラントフラクションを含む冷却された流出物を形成し;
前記冷却された流出物を流れ導管を通して第二の熱交換器に移送して、その際、(i)前記気相フラクションの流れは、前記第二の熱交換器に入る前に、方向を変化させ、かつ、(ii)前記ファウラントフラクションの流れは、ファウラント収集装置に継続して流れるように、前記流れ導管が分岐しており;
前記ファウラント収集装置又はその第一の部分中に、一定量の前記ファウラントフラクションを蓄積し;
前記ファウラント収集装置の第一の部分を、前記ファウラント収集装置の第二の部分から分離し;そして、
蓄積されたファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置から分離して除去する
ことを含む、熱交換器のファウリングを低減するための方法。
【請求項6】
前記連続的又は半連続的プロセスの一又はそれより多い部分を停止させることなく、前記分離して除去することを行う、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記蓄積工程が、一定の量の前記ファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置の第一の部分に蓄積することを含み、
前記方法が、前記蓄積されたファウラントを前記ファウラント収集装置の第二の部分に移送することをさらに含求項5に記載の方法。
【請求項8】
連続的又は半連続的プロセスからのオレフィン含有プロセス流れを冷却して、気相フラクション及びファウラントフラクションを含む冷却された流出物を形成するための第一の熱交換器と;
前記冷却された流出物を、当該流れ導管を通して第二の熱交換器に移送するための流れ導管と;
(i)前記気相フラクションの流れを、前記第二の熱交換器に入る前に、方向を変化させ、かつ、(ii)前記ファウラントフラクションの流れを、ファウラント収集装置に継続して流れるようにする、前記流れ導管における分岐と;
一定量の前記ファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置中に蓄積するための容積を有する前記ファウラント収集装置と;
前記ファウラント収集装置の第一の部分を、前記ファウラント収集装置の第二の部分から分離し、かつ、蓄積されたファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置から分離して除去するための手段と
を含む、熱交換器のファウリングを低減するための装置。
【請求項9】
前記分離して除去するための手段は、前記連続的又は半連続的プロセスの一又はそれより多い部分を停止させることなく、前記分離して除去することが可能であるように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ファウラント収集装置が
記第二部分から前記第一部分を分離させて、前記連続的又は半連続的プロセスの一又はそれより多い部分を停止させることなく、前記第二部分からの蓄積されたファウラントを分離して除去することを可能とするバルブと
を含
前記ファウラント収集装置の第一の部分が、一定量の前記ファウラントフラクションを蓄積するための体積を有し、前記ファウラント収集装置の第二の部分が、前記ファウラント収集装置の第一の部分から、蓄積されたファウラントフラクションを受容するための体積を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
クラッキングサイクルの間に、炭化水素供給物及び任意に蒸気を、前記炭化水素の少なくとも一部をクラッキングするための条件にて、ヒーターの放射加熱チャンバーにおける熱交換チューブを通して通過させて、オレフィンと、重質炭化水素及びコークスを含む副生物とを含む流出物を形成し;
デコーキングサイクルの間に、窒素、蒸気、空気、及び酸素のうち少なくともひとつを、ヒーターの放射加熱チャンバーにおける熱交換器チューブの少なくとも一部をデコーキングするための条件にて、前記熱交換チューブを通して通過させて、脱コークス流出物を形成し;
前記流出物又は前記脱コークス流出物を、一次移送ライン熱交換器において冷却して、気相フラクション及びファウラントフラクションを含む冷却された流出物を形成し;
前記冷却された流出物を、流れ導管を通して、第二の移送ライン熱交換器に移送し、その際、(i)前記気相フラクションの流れは、少なくとも前記クラッキングサイクルの間に、前記第二の移送ライン熱交換器に入る前に、方向を変化させ、かつ、(ii)前記ファウラントフラクションの流れは、コークスキャッチャーに継続して流れるように、前記流れ導管が分岐しており;
一定量の前記ファウラントフラクションを前記コークスキャッチャー又はその第一の部分に蓄積し;
前記蓄積されたファウラントを前記コークスキャッチャーの第二の部分に移送し;
前記コークスキャッチャーの第一の部分を、前記コークスキャッチャーの第二の部分から分離し;そして、
前記ヒーターをシャットダウンすることなく、前記コークスキャッチャー又はその第二の部分からの蓄積されたファウラントフラクションを除去する
ことを含む、オレフィンを生成するための方法。
【請求項12】
前記コークスキャッチャーの第二の部分において前記蓄積されたファウラントを、前記除去する工程の前に、蒸気、水、及び窒素のうち少なくともひとつと接触させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記クラッキングサイクルから前記デコーキングサイクルに遷移する際に、前記蓄積されたファウラントを前記第一の部分から前記第二の部分に移送することを開始する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記デコーキングサイクルの間に、脱コークス流出物が、前記コークスキャッチャーの少なくとも第一の部分を通過する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ヒーターと;
a)クラッキングサイクルの間に、炭化水素供給物及び任意に蒸気を、前記炭化水素の少なくとも一部をクラッキングするための条件にて、前記ヒーターの放射加熱チャンバーを通過させて、オレフィンと、重質炭化水素及びコークスを含む副生物とを含む流出物を形成し、
b)デコーキングサイクルの間に、熱交換器チューブの少なくとも一部をデコーキングするための条件にて、窒素、蒸気、空気、及び酸素のうち少なくともひとつを、前記ヒーターの放射加熱チャンバーに通過させて、流出物をデコーキングするための、一又はそれより多い熱交換チューブと;
前記デコーキングされた流出物を冷却して、気相フラクション及びファウラントフラクションを含む冷却された流出物を形成するための一次移送ライン交換器と;
前記冷却された流出物を二次移送ライン交換器に移送するための流れ導管と;
(i)少なくとも前記クラッキングサイクルの間に、前記気相フラクションの流れを、前記二次移送ライン交換器に入る前に、方向を変化させ、かつ、(ii)前記ファウラントフラクションの流れを、コークスキャッチャーに継続して流れるようにする、前記流れ導管における分岐と;
一定量の前記ファウラントフラクションを蓄積するための容積を有する一又はそれより多いセクションを有する前記コークスキャッチャーと;
前記ヒーターをシャットダウンすることなく、蓄積されたファウラントフラクションを前記コークスキャッチャー又はそのセクションから分離して除去するための手段と
を含む、オレフィンを生成するための装置。
【請求項16】
前記コークスキャッチャーが、
一定量の前記ファウラントフラクションを蓄積するための体積を有する第一のセクションと;
蓄積されたファウラントフラクションを前記第一のセクションから受容するための第二のセクションと;
前記第二のセクションから前記第一のセクションを分離させて、前記ヒーターをシャットダウンさせることなく、前記第二のセクションからの蓄積されたファウラントを分離して除去することを可能とするバルブと
を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記コークスキャッチャーの前記第二のセクションにおいて前記蓄積されたファウラントを、蒸気、水、及び窒素のうち少なくともひとつと接触させるための流れ導管をさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記バルブが、前記クラッキングサイクルから前記デコーキングサイクルに遷移するときに、前記蓄積されたファウラントを前記第一のセクションから前記第二のセクションに提供するために開放するよう構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
デコーキング流れ導管をさらに含み、該デコーキング流れ導管が、前記バルブの下流に配置され、かつ、前記一次移送ライン交換器からの前記デコーキングされた流出物を、前記コークスキャッチャーの前記第一のセクションを通して、前記デコーキング流れ導管に流すことを可能とするように構成された、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示する態様は、概して、炭化水素のクラッキングのための方法に関する。より具体的には、本明細書中に開示する態様は、エタン、プロパン、及びブタンをクラッキングして、エチレン及びプロピレンを生成するための装置及び方法、ならびに、通常のクラッキング運転の間及びこの装置の定期的なデコーキングの間の、これらの装置の効率的なメンテナンスに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素を長鎖分子からガソリンへ、及び、オレフィンなどの他の有用な短鎖炭化水素へとクラッキングすることにより、結果として、反応の有意な二次的副生物、最も顕著であるのは炭素質堆積物又はコークスが生ずる。特に、クラッキング反応が起こるプロセス反応器管を利用する加熱型管状炉反応器などにおいて、反応において生成されるコークスの影響は考慮すべきものである。
【0003】
反応の間に、コークス副生物は、反応器のプロセス管の内部で層として堆積物を形成する。コークス堆積物は、圧力降下を増し、管全体の熱移動を阻害し、これによりプロセスに不利益をもたらす。したがって、コークスは定期的に除去して、圧力降下と熱移動を通常のレベルに戻さなければならない。コークス除去プロセスは、概して、デコーキングと呼ばれ、一般に、燃焼(蒸気−空気デコーキングとしても知られている)又は蒸気反応により実施されている。
【0004】
図1を参照すると、従来技術のクラッキングプロセスの単純化されたプロセスフローダイアグラムが図示されている。加熱型管状炉1は、炭化水素をエチレン及び他のオレフィン化合物へとクラッキングするために使用される。加熱型管状炉1は、対流セクション2とクラッキングセクション3を有する。加熱型管状炉1は、一又はそれより多いプロセス管4を含有し、このプロセス管を通じて、炭化水素供給ライン6を通して供給された炭化水素が熱を適用することによりクラッキングされて、生成物ガスが生成され、本明細書中においてコークスと呼ぶ炭素質堆積物が副生物として生成される。蒸気は、流れライン7を介するなどして、希釈剤として付加的に供給してもよい。炉1のクラッキングセクション3において、ハースバーナー、フロアバーナー、又はウォールバーナーなどの加熱媒体注入口8を通してプロセス管4の外部に導入され、排出10を通して出る加熱媒体により、熱が供給される。供給物が対流セクション2及びクラッキングセクション3を通して処理された後、生成物ガスが生成物ガス出口12を通過し、次いで、一又はそれより多い急冷/熱交換器14及び16を通過する。本明細書中において急冷/熱交換器14及び16は、一次移送ライン交換器14及び二次移送ライン交換器16とも呼ぶ。次いで、生成物ガスはライン18に沿って、急冷塔及び分離手段(図示せず)などの下流の処理装置へと方向づけられる。
【0005】
これまでに言及したように、クラッキング運転の間にコークスはプロセス管4上に形成し得る。バルブ20は、炭化水素供給ライン6に位置して、デコーキング運転のために炭化水素供給物を遮断する。炭化水素供給物流れを遮断した後、空気導管22からの蒸気及び/又は空気を注入して、プロセス管4からコークスの積層物を除去する。
【0006】
デコーキングの間、下流バルブ34、36により流出物ガスの方向が制御され、コークスは生成物分離装置(図示せず)から除去される(spall away)。炭化水素供給バルブ20を閉鎖する場合、下流処理装置(図示せず)へのバルブ34も閉鎖し、デコーキング流出物バルブ36を開放して、デコーキング流出物が、流出物ライン38に沿ってデコーキングドラム(図示せず)又は火室などへと方向づけられる。空気は分離装置に導入することができないので、炭化水素供給物流れを遮断し、空気をデコーキングのための蒸気マトリックスに導入すると同時に、処理装置へのバルブ34は閉鎖して、流出物バルブ36を開放して、流出物を処理装置に向かわないように方向づける。
【0007】
通常の運転の間のクラッキング条件の混乱や意図的な変更により、プロセス管4の冷却や収縮をもたらす場合がある。これにより、続いて、コークスの離脱又は剥離をもたらす場合がある。剥離は、炉1を通常のクラッキング運転からデコーキング運転へと切り替えるときにも起こり得る。剥離したコークスは下流に流れて、二次移送ライン交換器16の管42及び/又は下流のプロセスを詰まらせる場合がある。具体的な設計に依存して、コークスは急冷塔に入って、油/水の分離をより困難にしたり、デコーキングの間に火室に入って、ヒーターの煙突から過剰な微粒子放出物をもらしたりする可能性がある。
【0008】
図2を参照すると、別の従来技術のクラッキングプロセスの単純化されたプロセスフローダイアグラムが図示されている。図中、同様の数字は同様の部分を示す。図示されるように、この装置は、二次移送ライン交換器の詰まりと、急冷水装置又は火室(図示せず)へのコークスの混入を最小限にするための「コークスキャッチャー」50を含む。コークスキャッチャー50は、二次移送ライン交換器16の上流に位置し、一次移送ライン交換器14からの流出物の方向を変化させて、流出物ガスは流れライン52を介して二次移送ライン交換器16に向けながら、コークスはまっすぐコークスキャッチャー50に流れ続けるようにする。コークスキャッチャーは、本質的には、一定の長さのパイプであり、一次移送ライン交換器14の後で二次移送ライン交換器16の前に配置されるヒーター出口における「デッドレッグ(dead leg)」を形成する。
【0009】
コークスキャッチャーは、コークスを定期的に空にして廃棄のために運び去ることができるようにプラントに配置される。残念ながら、図2に図示したような設計は、ヒーター流出物からコークスキャッチャーを分離するための手段を提供していないので、ヒーター1の運転を休止し冷却して、コークスキャッチャー50を掃除する必要がある。冷温停止はヒーターの部品に応力を与え、製造ロスを招来する。また、運転長さを延長するためのコークスキャッチャーの大きさは非常に大きな容積を必要とする場合があり、そのような延長した期間の間、コークスと潜在的には一部のタールとをコークスキャッチャー中に残すことにより、除去することが困難な塊をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、コークスキャッチャーを含むプロセスを提供する。コークスキャッチャーは、通常の運転又は蒸気待機の間に空にすることができ、これによりこれまでに説明したような従来技術の設計における欠点を克服する。本明細書中に開示するコークスキャッチャー及びプロセスフローは、ヒーターの冷温停止の間の時間を制限することなく、ファウラントから二次移送ライン交換器を保護する。本設計は、デコーキングドラムと対照的に火室に対してデコーキングする場合などの、デコーキングオプションの影響を考慮している。さらに、種々の態様において、流れとコストの考慮事項にも取り組んでいる。例えば、デコーキングバルブはかなり高価であり、本明細書中に開示するプロセスフローは、全体の運転フロースキームに対して高価なバルブを付加することなく、デコーキングバルブの位置を変えて、コークスキャッチャーの運転を促進することができる。
【0011】
一の側面において、本明細書中に開示する態様は、連続的又は半連続的プロセスからのプロセス流れであって、気相フラクション及びファウラントフラクションを含むプロセス流れを、流れ導管を通して、プロセス装置に移送し、その際、(i)前記気相フラクションの流れは、前記プロセス装置に入る前に、方向を変化させ、かつ、(ii)前記ファウラントフラクションの流れは、ファウラント収集装置又はその部分に継続して流れるように、前記流れ導管が分岐しており;前記ファウラント収集装置又はその部分中に、一定量の前記ファウラントフラクションを蓄積し;そして、蓄積されたファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置から分離して空にすることを含む、ファウリングを低減するための方法に関する。
【0012】
別の側面において、本明細書中に開示する態様は、連続的又は半連続的プロセスからのプロセス流れであって、気相フラクション及びファウラントフラクションを含むプロセス流れを、当該流れ導管を通して、プロセス装置に移送するための流れ導管と;(i)前記気相フラクションの流れを、前記プロセス装置に入る前に、方向を変化させ、かつ、(ii)前記ファウラントフラクションの流れを、ファウラント収集装置又はその部分に継続して流れるようにする、前記流れ導管における分岐と;一定量の前記ファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置中に蓄積するための容積を有する前記ファウラント収集装置と;蓄積されたファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置から分離して空にするための手段とを含む、ファウリングを低減するための装置に関する。
【0013】
別の側面において、本明細書中に開示する態様は、連続的又は半連続的なプロセスからのプロセス流れを第一の熱交換器において冷却して、気相フラクション及びファウラントフラクションを含む冷却された流出物を形成し;前記冷却された流出物を流れ導管を通して第二の熱交換器に移送して、その際、(i)前記気相フラクションの流れは、前記プロセス装置に入る前に、方向を変化させ、かつ、(ii)前記ファウラントフラクションの流れは、ファウラント収集装置又はその部分に継続して流れるように、前記流れ導管が分岐しており;前記ファウラント収集装置又はその第一の部分中に、一定量の前記ファウラントフラクションを蓄積し;そして、蓄積されたファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置から分離して空にすることを含む、熱交換器のファウリングを低減するための方法に関する。
【0014】
別の側面において、本明細書中に開示する態様は、連続的又は半連続的プロセスからのプロセス流れを冷却して、気相フラクション及びファウラントフラクションを含む冷却された流出物を形成するための第一の熱交換器と;前記冷却された流出物を、当該流れ導管を通して第二の熱交換器に移送するための流れ導管と;(i)前記気相フラクションの流れを、前記プロセス装置に入る前に、方向を変化させ、かつ、(ii)前記ファウラントフラクションの流れを、ファウラント収集装置又はその部分に継続して流れるようにする、前記流れ導管における分岐と;一定量の前記ファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置中に蓄積するための容積を有する前記ファウラント収集装置と;蓄積されたファウラントフラクションを前記ファウラント収集装置から分離して空にするための手段とを含む、熱交換器のファウリングを低減するための装置に関する。
【0015】
別の側面において、本明細書中に開示する態様は、クラッキングサイクルの間に、炭化水素供給物及び任意に蒸気を、前記炭化水素の少なくとも一部をクラッキングするための条件にて、ヒーターの放射加熱チャンバーにおける熱交換チューブを通して通過させて、オレフィンと、重質炭化水素及びコークスを含む副生物とを含む流出物を形成し;デコーキングサイクルの間に、窒素、蒸気、空気、及び酸素のうち少なくともひとつを、前記熱交換器チューブの少なくとも一部をデコーキングするための条件にて、ヒーターの放射加熱チャンバーにおける熱交換チューブを通して通過させて、脱コークス流出物を形成し;前記流出物又は前記脱コークス流出物を、一次移送ライン熱交換器において冷却して、気相フラクション及びファウラントフラクションを含む冷却された流出物を形成し;前記冷却された流出物を、流れ導管を通して、第二の移送ライン熱交換器に移送し、その際、(i)前記気相フラクションの流れは、少なくとも前記クラッキングサイクルの間に、前記第二の移送ライン熱交換器に入る前に、方向を変化させ、かつ、(ii)前記ファウラントフラクションの流れは、コークスキャッチャーに継続して流れるように、前記流れ導管が分岐しており;一定量の前記ファウラントフラクションを前記コークスキャッチャー又はその第一の部分に蓄積し;そして、前記ヒーターをシャットダウンすることなく、前記コークスキャッチャー又はその第二の部分からの蓄積されたファウラントフラクションを空にすることを含む、オレフィンを生成するための方法に関する。
【0016】
別の側面において、本明細書中に開示する態様は、ヒーターと;(a)クラッキングサイクルの間に、炭化水素供給物及び任意に蒸気を、前記炭化水素の少なくとも一部をクラッキングするための条件にて、前記ヒーターの放射加熱チャンバーを通過させて、オレフィンと、重質炭化水素及びコークスを含む副生物とを含む流出物を形成し、(b)デコーキングサイクルの間に、前記熱交換器チューブの少なくとも一部をデコーキングするための条件にて、窒素、蒸気、空気、及び酸素のうち少なくともひとつを、前記ヒーターの放射加熱チャンバーに通過させて、流出物をデコーキングするための、一又はそれより多い熱交換チューブと;前記デコーキングされた流出物を冷却して、気相フラクション及びファウラントフラクションを含む冷却された流出物を形成するための一次移送ライン交換器と;前記冷却された流出物を二次移送ライン交換器に移送するための流れ導管と;(i)少なくとも前記クラッキングサイクルの間に、前記気相フラクションの流れを、前記二次移送ライン交換器に入る前に、方向を変化させ、かつ、(ii)前記ファウラントフラクションの流れを、コークスキャッチャーに継続して流れるようにする、前記流れ導管における分岐と;一定量の前記ファウラントフラクションを蓄積するための容積を有する一又はそれより多いセクションを有する前記コークスキャッチャーと;前記ヒーターをシャットダウンすることなく、蓄積されたファウラントフラクションを前記コークスキャッチャー又はそのセクションから分離して空にするための手段とを含む、オレフィンを生成するための装置に関する。
【0017】
他の側面及び利点は、以下の説明及び添付する特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、炭化水素クラッキングのための従来技術の方法の単純化されたプロセスフローダイアグラムである。
図2図2は、炭化水素クラッキングのための従来技術の方法の単純化されたプロセスフローダイアグラムである。
図3図3は、本明細書中に開示した態様にしたがった、熱交換器のファウリングを低減するための方法の単純化されたプロセスフローダイアグラムである。
図4図4は、本明細書中に開示した態様にしたがった、熱交換器のファウリングを低減するための方法の単純化されたプロセスフローダイアグラムである。
図5図5は、本明細書中に開示した態様にしたがった、熱交換器のファウリングを低減するための方法の単純化されたプロセスフローダイアグラムである。
図6図6は、本明細書中に開示した態様にしたがった、熱交換器のファウリングを低減するための方法の単純化されたプロセスフローダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一の側面において、本明細書中の態様は、概して、炭化水素のクラッキングのための方法に関する。より具体的には、本明細書中に開示する態様は、エタン及びプロパンをクラッキングして、エチレン及びプロピレンを生成するための装置及び方法、ならびに、通常のクラッキング運転の間及びこの装置の定期的なデコーキングの間の、これらの装置の効率的なメンテナンスに関する。
【0020】
全体として、熱交換器のファウリングは、石油化学産業における共通の問題である。これまでに言及したように、通常の運転の間のクラッキング条件の混乱や意図的な変更により、放射セクションの管の冷却や収縮をもたらし、コークスの離脱又は剥離が起こり、コークス又は剥離が下流に流れて、二次移送ライン交換器及び/又は下流のプロセスを詰まらせる場合がある。
【0021】
本明細書中に開示した態様は、連続的又は半連続的プロセスにおける熱交換器のファウリングを低減するための方法に関する。また、本明細書中に開示した態様は、ポンプ、バルブ、コンプレッサーなどの他のプロセス設備や、不要なファウリングの積層が望ましくないか又は固体成分の存在が望まれない他の共通の設備において、ファウリングを防止するのに役立ち得る。最終的に、火室デコーキングの場合に火室に入る大きなコークス粒子の量を最小限にすることにより、コークスの完全な燃焼を促進し、ヒーターの煙突の放出を低減するのに役立つ。一部の態様においては、連続的又は半連続的なプロセスの一又はそれより多い部分を中止することなく、ファウラント収集装置を分離して、空にすることができる。この様式では、ファウラントフラクションは、第二の熱交換装置には移送されない。また、蓄積されたファウラントは、プロセスに重要な意味をもつプロセス運転を停止する必要なく、定期的に収集装置から空にすることができ、これにより運転の連続性と、低減された応力、再開始の容易さ、増加された生産、及び炭化水素クラッキングプロセスに関係する以下の態様から明らかとなる他の利点などの、改良されたプロセス側面が提供される。
【0022】
図3を参照すると、オレフィンの製造の間に、熱交換器のファウリング及び/又は煙突の放出を低減するための方法の一態様の単純化されたプロセスフローダイアグラムが図示されている。加熱型管状炉301は、炭化水素をエチレン及び他のオレフィン化合物へとクラッキングするために使用される。加熱型管状炉301は、対流セクション302とクラッキングセクション303を有する。炉301は、一又はそれより多いプロセス管304を含有し、このプロセス管を通じて、炭化水素供給ライン306を通して供給された、ブタン、プロパン、及び/又はエタンなどの炭化水素が熱を適用することによりクラッキングされて、エチレン及びプロピレンなどの生成物ガスが生成される。また、他の態様にしたがえば、C5、C6、及びより重質の炭化水素などの他の炭化水素を使用してオレフィンを製造してもよい。クラッキング反応の間に、コークス及びタールなどの炭素質のファウラントが副生物として生成され得る。蒸気は、流れライン307を介するなどして、希釈剤として付加的に供給してもよい。炉301のクラッキングセクション303において、ハースバーナー、フロアバーナー、又はウォールバーナーなどの加熱媒体注入口308を通してプロセス管304の外部に導入され、排出310を通して出る加熱媒体により、熱が供給される。供給物が対流セクション302及びクラッキングセクション303を通して処理された後、生成物ガスが生成物ガス出口312を通過し、次いで、本明細書中において一次移送ライン交換器(PTLE314)及び二次移送ライン交換器(STLE316)とも呼ばれる一又はそれより多い移送ライン交換器314及び316を通過する。次いで、生成物ガスはライン318に沿って、急冷塔及び分離手段(図示せず)などの下流の処理装置へと方向づけられる。
【0023】
これまでに言及したように、クラッキング運転の間にコークスはプロセス管304に形成し得る。バルブ320は、炭化水素供給ライン306上に位置して、デコーキング運転のために炭化水素供給物を遮断する。炭化水素供給物流れを遮断した後、空気導管322からの蒸気及び/又は空気を注入して、プロセス管304からコークスの積層物を除去する。
【0024】
デコーキングの間、下流バルブ334、336により流出物ガスの方向が制御され、コークスは生成物分離装置(図示せず)から除去される(spall away)。炭化水素供給バルブ320を閉鎖する場合、下流処理装置(図示せず)へのバルブ334も閉鎖し、デコーキング流出物バルブ336を開放して、デコーキング流出物を流出物ライン338に沿ってデコーキングドラム(図示せず)又は火室(加熱媒体注入口308又は他の燃焼装置を介するなどして)などへと方向づける。空気は分離装置に導入することができないので、炭化水素供給物流れを遮断し、空気をデコーキングのための蒸気マトリックスに導入すると同時に、処理装置へのバルブ334は閉鎖して、流出物バルブ336を開放して、流出物を処理装置に向かわないように方向づける。
【0025】
STLE316の上流で、移送ライン315は分岐し、流れ導管350は移送ライン315における流れと同じ大まかな方向に進み、流れライン352は移送ライン315から曲げられる。流れ導管350、352の大まかな方向は、流れのモーメントがコークス/ファウラントを導管350に運搬する一方、生成物ガスが導管352を通過して更なる冷却と下流の運転(図示せず)に対する供給のためにSTLE316へ流れるようにする。
【0026】
これまでに言及したように、通常のクラッキング運転の間、バルブ336は通常閉鎖される。この態様に図示するように、コークスキャッチャー又はデッドレッグの第一の部分354は、分岐点355とバルブ336の間の流れ導管350の容積として考慮することができる。コークスキャッチャーのこの部分は、コークスキャッチャーに運ばれるファウラントを一時的に蓄積するような大きさにすることができる。
【0027】
一部の態様において、第一の部分354のバルブは、一回のクラッキングサイクル又はその一部の間に生成された一定量のコークス/ファウラントを収集するような大きさにすることができる。他の態様においては、第一の部分は、コークスが予想よりも多くなったり、典型的な運転の間よりも多くなったりした場合に、一定期間収容するように、一回より多いクラッキングサイクルのための大きさにすることができる。
【0028】
デッドレッグ部分354は、デコーキングの前に高蒸気待機の間、バルブの336の循環を介して、空にされ、コークスキャッチャーの残りの容積へと移される。バルブ334及び336の位置をデコーキング運転のために切り替える場合、蓄積されたファウラントは、次いでバルブ336を介して流れ導管360へと通過する。
【0029】
移送ライン315と同様に、流れ導管350は分岐し、流れ導管360は移送ライン350における流れと同じ大まかな方向に進み、流れライン338は移送ライン350から曲げられる。流れ導管360、338の大まかな方向は、流れのモーメントが、流出物において蓄積されたファウラント及びすべての固体成分を導管360に運搬する一方、PTLE314から回収されたデコーキング流出物の種々の成分が、方向を変えて、導管338を通過してデコーキングドラム又は火室などの下流の運転(図示せず)へ流れるようにする。
【0030】
図示するように、デコーキング運転の間、コークスキャッチャー又はデッドレッグの第二の部分364は、分岐点365とバルブ366の間の流れ導管352の容積として考慮することができる。コークスキャッチャーのこの部分は、一回のクラッキング及びデコーキングサイクル又は複数回のクラッキング及びデコーキングサイクルで生成されたものなどの、コークスキャッチャーに運ばれるコークス/ファウラントを一時的に蓄積するような大きさにすることができる。部分354及び364の大きさは、コークス/ファウラントが、流れ338や、前述のデコーキングドラム又は火室などの下流の運転に運ばれないようなものであるものとする。
【0031】
コークスキャッチャーの末端部分370は、蓄積されたコークス/ファウラントを定期的に空にして廃棄のために、運び去ることができるようにプラントに配置することができる。蓄積されたファウラントを空にして移すごみ箱379、容器、ホッパー、又は構造物は、車輪やフォークリフトによるなどして移動可能であることができ、末端部分370の近くに連続的に配置するか、又は、所望な場合若しくは必要な場合に空にするために一時的に置くことができる。
【0032】
本明細書中に開示した種々の態様にしたがったコークスキャッチャーは、他のバルブ、バルクヘッド、ハンドホール、又は他の機能的接続部を含んでいてもよい。例えば、バルブ372は、放出する前に、蓄積されたコークス/ファウラントから任意の軽質炭化水素をパージするための蒸気供給入口として提供することができる。別の例として、バルブ374は、蓄積されたファウラントを急冷して、自然発火の可能性のある物質を大気に露出するのを防止するための液体環境を提供する、冷却水入口として提供することができる。他の入口及び出口も、窒素パージ又は清掃、洗浄、又は他の目的のために提供することができる。所望であれば、又は有益であれば、角度を付けた接続部を用いて一又はそれより多い接続部をコークスキャッチャーにくっ付けて、ファウラントの積層を防止することができる。
【0033】
図4を参照すると、オレフィンの製造の間に、熱交換器のファウリング又は煙突の放出を低減するための方法の一態様の単純化されたプロセスフローダイアグラムが図示されている。同様な数字は同様な部分を示している。この態様において、PTLE314からの流出物ライン315が水平に横切っている。気相流出物は、分岐ライン352へと方向を変え、STLE316の上部ヘッドへと流れる。流れのモーメントは、分岐ライン350中にファウラントを前方へと運び、ファウラントを蒸気から効率的に分離し、STLE316が詰まる可能性を防ぐ。
【0034】
空にする際の容易さを付与するためには、垂直に方向づけられた流れ導管中にファウラントを蓄積することが望ましい。分岐ライン350は水平であるため、曲がり380を提供して、運転サイクル(単一又は複数)の間の蓄積のための部分354中にファウラントを向けてもよい。一部の態様では、曲がり380は配管エルボ、ティー、又は同様な接続部の使用により提供してもよい。他の態様では、曲がり380は、腐食バリア382を有するエルボであってもよい。他の態様においては、曲がり380は、その一方のレッグにコークス粒子、固体金属パッド、又は他の適する材料を充填して腐食バリア382を形成することができるティーの使用により提供してもよい。曲がり380がティーである場合、腐食バリア382は、ティーの残りと一体であってもよく、あるいは、曲がり380の全体を取り外す必要なく腐食バリアを定期的に取り換えたり修理したりできるように、取り外し可能なプラグ又はパッドであってもよい。
【0035】
これまでに説明した他のバルブに加えて、図4は、通常の運転、スチームパージング、又は水冷却の間にコークスキャッチャー中にたまる可能性がある水又は他の液体を除去するために提供されるドレーンライン390も含む。また、この態様に図示されるように、ごみ箱379は、気密性シールを必要としない開放型の構造物を含む、任意のタイプの収集装置であることができる。これは、ライン338を火室ではなくデコークスドラムに供給する役割を担う。したがって、デコークスバルブ336の使用により、プロセス流れからの積極的分離を提供でき、ファウラントを空にするために底部バルブ366を開放しているときは、他のヒーターは同じデコークスドラムにデコーキングされることはない。
【0036】
ここで図5を参照すると、オレフィンの製造の間に、熱交換器のファウリングを低減するための方法の一態様の単純化されたプロセスフローダイアグラムが図示されている。同様な数字は同様な部分を示している。この態様において、収集ごみ箱379は、全体的にシールされた系を提供するために、フレキシブルタイプの接続部392又は他の接続手段を用いてバルブ366に接続される。図4のコークス/ファウラントの開放型排出と比較して、図5のシール系は、コークス、ベンゼン、又は他の化学種への曝露に対して大きな保護を提供する。充填(コークスキャッチャーを空にする)の間、ごみ箱379を流れライン338を介して放出して、ドラム又は火室をデコーキングする。火室内の圧力が下流の圧力を超える可能性があり、熱い燃焼排ガスがデコークスラインを通って押し戻される場合があるため、図5に示す態様は、曝露に対する可能性が低減されることに加えて、火室に対してデコーキングする場合も好ましい。
【0037】
図3〜5の態様、その組合せ、又はその変形に図示するように、デコークスライン338はコークスキャッチャーに組み込まれる。デコークスライン338より低い位置にある、コークスキャッチャー中の配管の容積は、デコークスライン338自体を妨害することなく、コークス/ファウラントを蓄積させるために有意に充分なものである必要がある。したがって、コークスキャッチャーを空にする間の時間は、提供される容積ならびに運転の間の典型的なコークス生成に必ず依存する。容積が多いか、又は定期的に空にすれば、デコークスライン338の閉塞を防止し得る。あるいは、蓄積されたレベルがデコークスライン338に到達する前にコークスキャッチャーを定期的に空にできるように、レベル測定装置を提供してもよい。
【0038】
また、デコークスライン338をコークスキャッチャーに組み込む結果として、STLEはコークスが除去されない。STLEにおける積層は図1のプロセスに示したようにデコーキングの間に除去することができるが、図3〜5に図示され本明細書中に開示された態様にしたがったコークスキャッチャーを用いると、通常の運転の間のSTLE中の積層は有意に低減されると予期され、これは、必要となるのはSTLEの周期的なメンテナンスだけであることを意味し、図1のプロセスのためであっても別のやり方で決まった手順で実施される(例えば、デコークスラインをSTLEの上流に移動した場合に追加のメンテナンスコストは全く予期されない)。別の違いとして、STLEは、デコークス運転の間にひとつの側だけに流れる。これにより、デコーキング運転の間の効率と熱回収が少しロスし、また、STLE成分上に応力を与える結果となる。効率のわずかなロスは、全体の装置の運転性が改良されることで相殺することができる。また、流れはシェル側へ維持されるので、管側のプロセス流れのみが遮断され、STLEへの付加的な応力は許容できる(予期される熱膨張差に関する通常の設計基準の範囲内にある)。
【0039】
一部の態様においては、これまでに言及した効率のロスや応力を防止するなどのために、デコークスラインをSTLEの下流に維持することが望ましい場合がある。ここで図6を参照すると、オレフィンの製造の間に、熱交換器のファウリングを低減するための方法の一態様の単純化されたプロセスフローダイアグラムが図示されている。同様な数字は同様な部分を示している。この態様において、デコークスライン338及びデコークスバルブ336は、STLE316の下流に位置する。コークスキャッチャーは、バルブ400によりヒーターから分離することができ、コークスキャッチャーを空にする間に底部部分364を分離するために、このバルブは、図3〜5の態様において使用されるバルブ336と同様のデコークスタイプのバルブであってもよい。この系は、有利なことに、熱回収効率を維持するが、全体の系の資本コストと維持コストに加えて、追加のデコークスバルブを必要とする。
【0040】
図5において、またこれまでに説明したように、デコークスラインは、コークスキャッチャーをごみ箱379へと空にする間に蒸気のベントを提供する。図6の態様においては、ごみ箱379とデコークスラインとの間に小さいベントライン410を提供して、コークスキャッチャーを空にする間のベントを提供できる。
【0041】
これまでに説明したように、通常の運転の間のクラッキング条件の混乱や意図的な変更により、放射セクションの管の冷却や収縮をもたらす場合がある。これにより、次に、コークスの離脱又は剥離をもたらす場合がある。剥離は、ヒーターを通常のクラッキング運転からデコーキング運転へと切り替えるときにも起こり得る。剥離したコークスは下流に流れて、二次移送ライン交換器及び/又は下流のプロセスを詰まらせる場合がある。具体的な設計に依存して、コークスは急冷塔に入って、油/水の分離をより困難にしたり、デコーキングの間に火室に入って、ヒーターの煙突から過剰な微粒子放出物をもらしたりする可能性がある。
【0042】
有利なことに、本明細書中に開示する態様は、通常の運転又は蒸気待機の間に空にすることができるコークスキャッチャーを含むプロセスを提供できる。本明細書中に開示するコークスキャッチャー及びプロセス流れは、ヒーターの冷間停止の間の時間を制限することなく、二次移送ライン交換器をファウラントから保護することができる。この設計は、デコーキングドラムと対照的に火室に対してデコーキングする場合などの、デコーキングオプションの影響を考慮している。さらに、種々の態様において流れとコストの考慮事項にも取り組んでいる。例えば、デコーキングバルブはかなり高価であり、本明細書中に開示するプロセスフローは、全体の運転フロースキームに対して高価なバルブを付加することなく、デコーキングバルブの位置を変えて、コークスキャッチャーの運転を促進することができる。また、本明細書中に開示する態様は、火室のデコーキングの間に、大部分のコークスを火室から排除することにより、放出物を低減することができる。
【0043】
本開示は限られた数の態様を含んでいるが、この開示の利益を享受する当業者は、本開示の範囲を逸脱しない他の態様を考え出せることを認識するであろう。したがって、範囲は添付する特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6