(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180530
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】工具ホルダ用のロック
(51)【国際特許分類】
E02F 9/28 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
E02F9/28 A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-533010(P2015-533010)
(86)(22)【出願日】2013年9月12日
(65)【公表番号】特表2015-529292(P2015-529292A)
(43)【公表日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】SE2013000140
(87)【国際公開番号】WO2014046587
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2016年6月6日
(31)【優先権主張番号】1230098-4
(32)【優先日】2012年9月21日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】505239356
【氏名又は名称】コンビ ウエア パーツ アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】クアルフォルドト, ペル
(72)【発明者】
【氏名】ガベラ, アドナン
【審査官】
西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】
特表2006−525449(JP,A)
【文献】
カナダ国特許出願公開第02316712(CA,A1)
【文献】
特開昭49−004290(JP,A)
【文献】
特表2008−517710(JP,A)
【文献】
特開2009−243488(JP,A)
【文献】
特表2006−525448(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0260539(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 18/08
B23G 1/04
E02F 9/28
F16D 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩耗部品システム(1)において摩耗部品ホルダ(4)に掘削歯(3)を解除可能に係止するためのロック(2)であって、掘削歯(3)および摩耗部品ホルダ(4)は共にロック(2)を受容するためのロック開口(6)を画定し、ロックは、螺刻された円錐形ねじ(10)と、第1ねじベッド(23)を持つように設計された第1ねじ半体(20)とを含むものにおいて、第1ねじ半体(20)、および第2ねじベッド(33)を持つように設計された第2ねじ半体(30)は、ロック開口(6)に取り付けられ、互いに向き合うねじベッド(23,33)を持つ第1ねじ半体(20)および第2ねじ半体(30)は共に、螺刻された円錐形ねじ(10)の回転により、螺刻されたねじがねじベッド(23,33)に沿ってねじの軸線方向にロック開口(6)内へ移動し、第1ねじ半体(20)が掘削歯(3)に向かって移動し、かつ第2ねじ半体(30)が摩耗部品ホルダ(4)に向かって移動するときに、ロック(2)が係止されるように、螺刻された円錐形ねじ(10)を螺着するための開口を画定すること、およびロック開口(6)内の摩耗部品ホルダ(4)は、第1ねじ半体(20)および第2ねじ半体(30)がロック開口(6)に配置されたときに、第2ねじ半体(30)に形成された上部リアアーム(36)を受容するためのキャビティ(42)、ならびに第1ねじ半体(20)に形成された上部横アーム(28)および第2ねじ半体(30)に形成された上部横アーム(38)を受容するためのキャビティ(43)を持つように設計されることを特徴とするロック(2)。
【請求項2】
組立穴(53)を持つように設計された保護キャップ(50)は円錐形ねじ(10)のねじ頭(14)に配置され、ウィング(51,52)が保護キャップ(50)を係止しかつしたがって第1ねじ半体(20)と第2ねじ半体(30)との間にねじ(10)を係止することにより、円錐形ねじ(10)は螺入位置に維持されることを特徴とする請求項1に記載のロック(2)。
【請求項3】
ロック開口(6)内の摩耗部品ホルダ(4)は、第1ねじ半体(20)および第2ねじ半体(30)がロック開口(6)に配置されたときに、第2ねじ半体(30)に形成された上部リアアーム(36)を受容するためのキャビティ(42)、ならびに第1ねじ半体(20)に形成された上部横アーム(28)および第2ねじ半体(30)に形成された上部横アーム(38)を受容するためのキャビティ(43)を持つように設計されることを特徴とする請求項1に記載のロック(2)のための摩耗部品ホルダ(4)。
【請求項4】
ロック開口(6)内の掘削歯(3)は、第1ねじ半体(20)に形成された下部凹部(25)が当接配置される下部ピン(40)、および第2ねじ半体(30)に形成された上部リアアーム(36)が当接配置される上部ピン(41)を持つように設計されることを特徴とする請求項1に記載のロック(2)のための掘削歯(3)。
【請求項5】
摩耗部品ホルダ(4)、掘削歯(3)、ロック装置(2)を含む摩耗部品システム(1)であって、ロック装置(2)は、第1ねじベッド(23)を持つように設計された第1ねじ半体(20)と、掘削歯(3)を摩耗部品ホルダ(4)に係止するための円錐形ねじ(10)とを含むものにおいて、ロック装置(2)は第1ねじ半体(20)、円錐形ねじ(10)、および第2ねじベッド(33)を持つように設計された第2ねじ半体(30)を含み、第1ねじ半体(20)は第1ねじベッド(23)を摩耗部品ホルダ(4)に向けてロック開口(6)に取り付けられ、かつ第2ねじ半体(30)は第2ねじベッド(33)を掘削歯(3)に向けてロック開口(6)に取り付けられ、ねじベッド(23,33)は共に開口(21,31)を画定し、円錐形ねじ(10)はこの開口内で回転することができ、第1ねじ半体(20)が掘削歯(3)に向かって移動しかつ第2ねじ半体(30)が摩耗部品ホルダ(4)に向かって移動して、掘削歯(3)を摩耗部品ホルダ(4)に係止するように、ねじベッド(23,33)に沿ってねじ(10)の軸線方向に移動することができること、およびロック開口(6)内の摩耗部品ホルダ(4)は、第1ねじ半体(20)および第2ねじ半体(30)がロック開口(6)に配置されたときに、第2ねじ半体(30)に形成された上部リアアーム(36)を受容するためのキャビティ(42)、ならびに第1ねじ半体(20)に形成された上部横アーム(28)および第2ねじ半体(30)に形成された上部横アーム(38)を受容するためのキャビティ(43)を持つように設計されることを特徴とする摩耗部品システム(1)。
【請求項6】
ロック(2)の部品である第1ねじ半体(20)であって、第1ねじ半体(20)は第1ねじベッド(23)と、第1ねじ半体(20)の上方部分で、第1ねじ半体(20)の中心線(A)から外に直角に、かつ第1ねじ半体(20)の前面(22)および後面(29)を貫通する第1断面(B)から直角に形成された上部横アーム(28)と、第1ねじ半体(20)の下方部分で前面(22)から外に第1ねじ半体(20)の中心線(A)から直角に形成された下部ヒール(27)と、第1ねじ半体(20)の下方部分で後面(29)から内に第1ねじ半体(20)の中心線(A)から直角に形成された下部凹部(25)とを持つように設計されることを特徴とする第1ねじ半体(20)。
【請求項7】
請求項6に記載のロック(2)の部品である第1ねじ半体(20)であって、第1ねじ半体(20)のねじベッド(23)は台形ねじとして設計され、第1ねじベッド(23)は1回転当たり6〜10mmに対応するピッチに設計され、第1ねじ半体(20)は完全に鍛造によって生産されることを特徴とする第1ねじ半体(20)。
【請求項8】
ロック(2)の部品である第2ねじ半体(30)であって、第2ねじ半体(30)は第2ねじベッド(33)と、第2ねじ半体(30)の上方部分で、第2ねじ半体(30)の中心線(C)から外に直角に、かつ第2ねじ半体(30)の前面(32)および後面(39)を貫通する第2断面(D)から直角に形成された上部横アーム(38)と、第2ねじ半体(30)の後面(39)から外の方向に第2ねじ半体(30)の中心線(C)から直角に形成された上部後アーム(36)とを持つように設計されることを特徴とする第2ねじ半体(30)。
【請求項9】
請求項8に記載のロック(2)の部品である第2ねじ半体(30)であって、第2ねじ半体(30)のねじベッド(33)は台形ねじとして設計され、第2ねじベッド(33)は1回転当たり6〜10mmに対応するピッチに設計され、第2ねじ半体(30)は完全に鍛造によって生産されることを特徴とする第2ねじ半体(30)。
【請求項10】
摩耗部品システム(1)の摩耗部品ホルダ(4)に掘削歯(3)を、螺刻された円錐形ねじ(10)およびねじベッド(23)を持つ第1ねじ半体(20)を含むロック(2)により、解除可能に係止するための方法において、以下のことを含むことを特徴とする方法:
a)掘削歯(3)は摩耗部品ホルダ(4)に対して取り付けられ、
b)第1ねじベッド(23)を持つように設計された第1ねじ半体(20)、および第2ねじベッド(33)を持つように設計された第2ねじ半体(30)は、摩耗部品ホルダ(4)と共に掘削歯(3)に形成された組立開口(6)内に互いに対面して取り付けられ、ただし、ロック開口(6)内の摩耗部品ホルダ(4)は、第1ねじ半体(20)および第2ねじ半体(30)がロック開口(6)に配置されたときに、第2ねじ半体(30)に形成された上部リアアーム(36)を受容するためのキャビティ(42)、ならびに第1ねじ半体(20)に形成された上部横アーム(28)および第2ねじ半体(30)に形成された上部横アーム(38)を受容するためのキャビティ(43)を持つように設計されており、
c)螺刻された円錐形ねじ(10)は、第1ねじ半体(20)と第2ねじ半体(30)との間の開口に取り付けられ、
d)螺刻された円錐形ねじ(10)の螺入中に、螺刻された円錐形ねじ(10)の軸線方向の移動が、第1ねじ半体(20)および第2ねじ半体(30)を円錐形ねじ(10)の軸線方向から直角に外に移動させるときに、ロックは拡張し、摩耗部品(3)をホルダ(4)に係止し、
e)螺刻された円錐形ねじ(10)を緩めている間に、螺刻された円錐形ねじ(10)の軸方向の移動が、第1ねじ半体(20)および第2ねじ半体(30)を円錐形ねじ(10)の軸線方向に直角に内に移動させるときに、ロックは収縮し、ホルダ(4)から摩耗部品(3)を解放する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩耗部品システムの摩耗部品ホルダに掘削歯を解除可能に係止するためのロックに関し、ここで掘削歯および摩耗部品ホルダは共にロックを受容するためのロック開口を画定し、ロックは、螺刻された円錐形ねじと、第1ねじベッドを持つように設計された第1ねじ半体とを含む。本発明はまた、摩耗部品システム、第1ねじ半体、第2ねじ半体、円錐形ねじ、およびロック付き摩耗部品システムの摩耗部品ホルダに掘削歯を解除可能に係止するための関連方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
掘削機、ホイール装着ローダ、掘削ローダ、または物質や土砂を掘削しあるいは他の仕方で操縦もしくは移動することを目的とする他の種類の機械のような様々な種類のプラント機器は通常、バケットまたは物質を操縦または移動するために使用される装置に装着された掘削歯または別の交換可能な摩耗部品もしくは工具を使用する。掘削歯を用いて物質または土砂を操縦するように設計されたプラント機器では、摩耗はほとんどの場合、プラント機器に装備された掘削歯に発生する。掘削歯は摩耗後に交換することができるように設計され、また掘削歯は、プラント機器によって操縦すべき物質または土砂を様々な仕方で操縦するようにも設計される。掘削歯は例えばねじ接続またはコッタ継手によってバケットに装着される。溶接または焼嵌めのような様々な種類の熱的組立は、考えられる他の組立方法である。
【0003】
掘削歯は摩耗部品ホルダまたは工具ホルダに取り付けられ、継続的に交換することができる。工具に作用する力は摩耗部品ホルダに影響し、かなりの使用期間後に、摩耗部品ホルダも交換することが必要になる。伝統的に、摩耗部品ホルダはバケットまたは装置に溶接されるか、あるいは別の熱的接合技術を用いて取り付けられる。しかし、摩耗部品ホルダはねじ接続、コッタ継手、または他の機械的組立方法を用いて取り付けることも考えられる。また、掘削歯はバケットまたは装置に直接取り付けることもできる。
【0004】
米国特許第7997017号明細書は、摩耗部品をホルダに固定するためのクランプまたはくさびを持つ工具装置または摩耗部品装置を記載している。くさびは、表面に螺条を持つ円錐形ねじとして形作られる。クランプは、少なくとも1つの上部アーム、好ましくは2つのアームを持ち、T字状のクランプを形成するように設計される。クランプはまた下部アームをも有する。クランプは、くさびの表面に面する傾斜部を持つように設計される。傾斜部は凹面であり、くさびにおける螺条構成と合致する螺条構成をもたらす陥凹部を持つように設計される。クランプは、エラストマで満たされたキャビティを持つように設計される。摩耗部品の組立後、クランプは最初に、T字形状部が摩耗部品に形成された凹部に嵌合しかつ下部アームがホルダに形成された凹部に嵌合するように、取り付けられる。その後、くさびは基本的にホルダとクランプとの間に螺合される。米国特許第7997017号明細書に記載された発明では、くさびとクランプとの間の螺接はこうして、単一のクランプの螺条面に限定され、それは、特に組立の初期段階では、くさびとクランプとの間の限定された機械的接触をもたらす。ホルダに対するくさびの当接支承は、組立中にくさびの螺条が非螺刻面に支承されることを意味し、その理由から、螺条は特に、尖端設計を持つ従来の螺条としてではなく、大きい支承面を持つことを目的として設計される。
【0005】
工具装置または摩耗部品装置を記載する特許文書の一例として米国特許第6986216号明細書がある。この特許文書は、掘削機または地ならし機のアダプタの組立のための問題解決策を記載している。次いで摩耗部品はアダプタに取り付けられる。装置は、特許文書に記載される通り、アダプタを係止するための既存の問題解決策に取って代わるために使用することができるように意図されている。リップに2つのボスが、好ましくは2つのボスに形成された切欠き部を溶接することによって取り付けられる。キー溝挿入体は溶接によってリップに取り付けることができ、くさびに対する摩耗面として機能することができる。ロックはくさびと、相補的螺条を有するクランプとで構成される。クランプは、くさびがクランプに螺合されるときにくさびの溝に面する隆起縁を持つように設計された、溝を有する。くさびは、エラストマを取り付けることのできる凹部を持つように設計される。くさびの溝に歯を係止するためにクランプに係止用フックを形成することができる。クランプの取付を容易にするために、クランプにはハンドルが設けられる。米国特許第6986216号明細書に記載された発明では、くさびは、相補的に螺刻されたくさびおよびキー溝挿入体に螺合される。キー溝挿入体には螺条が無いので、キー溝挿入体に対するくさびの当接支承は、くさびの螺条が組立中に非螺刻面に支承されることを意味し、その理由から、螺条は特に、尖端設計を持つ通常の螺条としてではなく、大きい支承面を持つことを目的として設計される。
【0006】
米国特許出願公開第2007/0051022号明細書は、クランプの形で互いに対立する2つの部品から成るロックと、螺合中に、2つのクランプを互いに対してねじの軸線方向に移動させるねじを備えた、掘削機または地ならし機のための歯を開示している。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、摩耗部品のホルダへの組立を簡素化かつ改善するための摩耗部品システム用のロックを提案することである。
【0008】
本発明の他の目的は、本発明の詳細な説明に関連してさらに詳細に説明する。
【0009】
本発明は、摩耗部品システムにおいて摩耗部品ホルダに掘削歯を解除可能に係止するためのロックに関し、ここで掘削歯および摩耗部品ホルダは共にロックを受容するためのロック開口を画定し、ロックは、螺刻された円錐形ねじと、第1ねじベッドを持つように設計された第1ねじ半体とを含み、第1ねじ半体、および第2ねじベッドを持つように設計された第2ねじ半体は、ロック開口に取り付けられ、互いに向き合うねじベッドを持つ第1ねじ半体および第2ねじ半体は共に、螺刻されたねじの回転により、螺刻されたねじがねじベッドに沿ってねじの軸線方向にロック開口内へ移動し、第1ねじ半体が掘削歯に向かって移動し、かつ第2ねじ半体が摩耗部品ホルダに向かって移動するときに、ロックが係止されるように、螺刻された円錐形ねじを螺着するための開口を画定する。
【0010】
摩耗部品システムにおける摩耗部品ホルダに掘削歯を解除可能に係止するための改善されたロックのさらなる態様によると、次のような備えが施される。
組立穴を持つように設計された保護キャップは円錐形ねじのねじ頭に配置され、ウィングが保護キャップを係止しかつしたがって第1ねじ半体と第2ねじ半体との間にねじを係止することにより、円錐形ねじは螺入位置に維持される。
ロック開口内の摩耗部品ホルダは、第1ねじ半体および第2ねじ半体がロック開口に配置されたときに、第2ねじ半体に形成された上部リアアームを受容するためのキャビティ、ならびに第1ねじ半体に形成された上部横アームおよび第2ねじ半体に形成された上部横アームを受容するためのキャビティを持つように設計される。ねじ半体の上部横アームを維持するように形成されたキャビティは、ねじ半体を組立開口内に維持する。
ロック開口内の掘削歯は、第1ねじ半体に形成された下部凹部が当接配置される下部ピン、および第2ねじ半体に形成された上部リアアームが当接配置される上部ピンを持つように設計される。
【0011】
本発明はまた、摩耗部品ホルダ、掘削歯、ロック装置を含む摩耗部品システムにも関し、ここでロック装置は、第1ねじベッドを持つように設計された第1ねじ半体と、掘削歯を摩耗部品ホルダに係止するための円錐形ねじとを含み、ロック装置は第1ねじ半体、円錐形ねじ、および第2ねじベッドを持つように設計された第2ねじ半体を含み、第1ねじ半体は第1ねじベッドを摩耗部品ホルダに向けてロック開口に取り付けられ、かつ第2ねじ半体は第2ねじベッドを掘削歯に向けてロック開口に取り付けられ、ねじベッドは共に開口を画定し、円錐形ねじはこの開口内で回転することができ、第1ねじ半体が掘削歯に向かって移動しかつ第2ねじ半体が摩耗部品ホルダに向かって移動して、掘削歯を摩耗部品ホルダに係止するように、ねじベッドに沿ってねじの軸線方向に移動することができる。
【0012】
本発明は第1ねじ半体にも関し、ここで第1ねじ半体はロックの部品であり、第1ねじ半体は第1ねじベッドと、第1ねじ半体の上方部分で、第1ねじ半体の中心線から外に直角に、かつ第1ねじ半体の前面および後面を貫通する第1断面から直角に形成された上部横アームと、第1ねじ半体の下方部分で前面から外に第1ねじ半体の中心線から直角に形成された下部ヒールと、第1ねじ半体の下方部分で後面から内に第1ねじ半体の中心線から直角に形成された下部凹部とを持つように設計される。
【0013】
第1ねじ半体のさらなる態様によると、次のような備えが施される。
第1ねじ半体のねじベッドは台形ねじとして設計され、第1ねじベッドは1回転当たり6〜10mmに対応するピッチに設計され、第1ねじ半体は完全に鍛造によって生産される。
【0014】
本発明は第2ねじ半体にも関し、第2ねじ半体はロックの部品であり、第2ねじ半体は第2ねじベッドと、第2ねじ半体の上方部分で、第2ねじ半体の中心線から外に直角に、かつ第2ねじ半体の前面および後面を貫通する第2断面から直角に形成された上部横アームと、第2ねじ半体の後面から外の方向に第2ねじ半体の中心線から直角に形成された上部後アームとを持つように設計される。
【0015】
第2ねじ半体のさらなる態様によると、次のような備えが施される。
第2ねじ半体のねじベッドは台形ねじとして設計され、第2ねじベッドは1回転当たり6〜10mmに対応するピッチに設計され、第2ねじ半体は完全に鍛造によって生産される。
【0016】
本発明は円錐形ねじにも関し、ここで円錐形ねじはロックの部品であり、円錐形ねじの螺条は様々なピッチの螺条部分を持つように設計された台形螺条である。
【0017】
円錐形ねじのさらなる態様によると、次のような備えが施される。
円錐形ねじの螺条は、1回転当たり6〜10mmに対応するピッチに設計される。
円錐形ねじは完全に鍛造によって生産され、製作が鍛造によって行われるという事実は、高強度を達成するため、生産コストを低く維持するため、円錐形ねじが2つのねじ半体に対し適切な摩擦力を有しかつしたがって円錐形ねじをねじ半体の間の螺入位置に維持するのに資する適切な表面を得るために、重要である。
【0018】
本発明はまた、摩耗部品システムの摩耗部品ホルダに掘削歯を、螺刻された円錐形ねじおよびねじベッドを持つ第1ねじ半体を含むロックにより、解除可能に係止するための方法にも関する。ここで、
a)掘削歯は摩耗部品ホルダに対して取り付けられる。
b)第1ねじベッドを持つように設計された第1ねじ半体、および第2ねじベッドを持つように設計された第2ねじ半体は、摩耗部品ホルダと共に掘削歯に形成された組立開口内に互いに対面して取り付けられる。
c)螺刻された円錐形ねじは、第1ねじ半体と第2ねじ半体との間の開口に取り付けられる。
d)螺刻された円錐形ねじの螺入中に、螺刻された円錐形ねじの軸線方向の移動が、第1ねじ半体および第2ねじ半体を円錐形ねじの軸線方向から直角に外に移動させるときに、ロックは拡張し、摩耗部品をホルダに係止する。
e)螺刻された円錐形ねじを緩めている間に、螺刻された円錐形ねじの軸方向の移動が、第1ねじ半体および第2ねじ半体を円錐形ねじの軸線方向に直角に内に移動させるときに、ロックは収縮し、ホルダから摩耗部品を解放する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、添付図面を参照して以下により詳細に記載される。
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の1つの実施形態に係る摩耗部品システムの断面を示す。
【0021】
【
図2a-2e】
図2aは、本発明の1つの実施形態に係る第1ねじ半体の側面図を示し、
図2b、
図2c、
図2dおよび
図2eは、各々本発明の1つの実施形態に係る第1ねじ半体の別の図を示す。
【0022】
【
図3a-3e】
図3aは、本発明の1つの実施形態に係る第2ねじ半体の側面図を示し、
図3b、
図3c、
図3dおよび
図3eは、各々本発明の1つの実施形態に係る第2ねじ半体の別の図を示す。
【0023】
【
図4a-4b】
図4aは、本発明の1つの実施形態に係る円錐形ねじを示す。
図4bは、上から見た本発明の1つの実施形態に係る円錐形ねじを示す。
【0024】
【
図5a-5b】
図5aは、本発明の1つの実施形態に係る摩耗部品システムの断面の拡大部分を示す。
図5bは、上から見た本発明の1つの実施形態に係る摩耗部品システムの一部を示す。
【0025】
【
図6a-6b】
図6aは、本発明の1つの実施形態に係る保護キャップを持つ円錐形ねじの図を示す。
図6bは、本発明の1つの実施形態に係る保護キャップを取り付けられたロックの図を示す。
【0026】
【
図7】
図7は、本発明の1つの実施形態に係る保護キャップおよび保持装置を取り付けられたロックの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1の断面図は、摩耗部品システム1の実施形態の1つを示す。掘削歯3または他の形の工具もしくは摩耗部品は、ホルダ、工具ホルダ、またはアダプタとも呼ばれる摩耗部品ホルダ4に取り付けられる。掘削歯3はまた、バケットまたは掘削歯を使用する装置に直接取り付けることもできる。掘削歯は、掘削歯3を摩耗部品ホルダ4に係止するロック2により取り付けられる。掘削歯3が摩耗部品である場合、掘削歯は、掘削歯3を交換することが必要な摩耗度になったときに、交換される。掘削歯を交換する場合、交換が容易に行えること、および掘削歯が摩耗部品ホルダに維持されるように係止されることが重要である。伝統的に、様々な種類の係止方法、例えば様々な種類のくさびまたは溶接接続が使用されてきた。掘削歯を効率的に係止する先行技術で公知の組立方法は、掘削歯の交換中にはあまり効果的ではなく、逆に、掘削歯の交換を容易にした先行技術で公知の組立方法は、掘削歯の摩耗部品ホルダへの係止に関して短所を有することが示されてきた。
図1に示すロックは、くさびとも呼ばれる円錐形ねじ10、第1クランプまたは前部ねじ半体とも呼ばれる第1ねじ半体20、および第2クランプまたは後部ねじ半体とも呼ばれる第2ねじ半体30から構成される。螺条を持つねじとして設計された円錐形ねじ10は、第1ねじ半体20および第2ねじ半体30を掘削歯3と摩耗部品ホルダ4との間に係止する。ロック2は、掘削歯3が摩耗部品ホルダ4に対して配置されたときに生じるロック開口6に配置される。こうして、掘削歯3および摩耗部品ホルダ4は両方とも、ロック2が設置されるロック開口6を形成するために、開口を持つように設計される。掘削歯3が摩耗部品ホルダ4に対して配置されたときに、摩耗部品ホルダ4に形成された先端7は、掘削歯3に形成された凹部8内に嵌合し、先端7が凹部8内に完全に挿入されると、ロック開口6は、ロック2を配置することができかつ掘削歯3を摩耗部品ホルダ4に係止することのできる開口を画定する。摩耗部品ホルダ4は、摩耗部品ホルダを保護するために使用される摩耗キャップ5を持つように設計される。摩耗部品ホルダは、摩耗キャップ5を持たないように設計することもできる。
【0028】
図2aは第1ねじ半体20の側面図を示し、第1ねじ半体20は、第2ねじ半体30に対する配置を容易にする下部ヒール27と、第1ねじ半体20をロック開口6に配置させることのできる上部横アーム28および下部凹部25とを持つように設計することが好ましい。下部凹部25は第1ねじ半体の後面29に形成される。第1ねじ半体20の組立後に、第1ねじ半体の後面29は、実質的に掘削歯3に当接して配置される。第1ねじ半体20の後面29には可撓性隆起26が存在する。可撓性隆起26は例えばエラストマで作ることができる。ロック2およびしたがって第1ねじ半体20が高温環境で使用されるように設計される場合、可撓性隆起26は耐熱性材料、例えば鋼または他の金属で作られる。組立後に、第1ねじ半体の前面22は、第2ねじ半体30の前面32に向けられる。こうして、第1ねじ半体20の第1ねじベッド23は第2ねじ半体30の第2ねじベッド33に向けられる。
図2bは第1ねじ半体20の図を示し、ここで第1ねじベッド23を見ることができる。第1ねじベッド23は凹面であり、円錐形ねじ10の螺条11に面するように設計される。第1ねじベッドは傾斜するかまたはランプ状であり、第1ねじ半体20の上方部分の凹部はより深く、第1ねじ半体20の下方部分の螺条の端部に向かってより浅い凹部になっている。第1ねじ半体20は、第1ねじ半体20を第2ねじ半体30に対して保持するために保持装置60を配置することのできる保持装置凹部24を持つように設計される。第1ねじ半体20の上方部分でねじベッド23の前に形成される凹部21は、第2ねじ半体30の凹部31と共に、円錐形ねじ10がロック2に締め付けられまたは螺入されたときに円錐形ねじ10のねじ頭14および/または円錐形ねじ10の上方部分が着座するキャビティを形成する。第1ねじ半体20は、ロック開口6から見たときに、後面29を掘削歯3に向けて配置することが好ましい。
図2cは、上部横アーム28が第1ねじ半体の上方部分に配置された、第1ねじ半体20の後面29の図を示す。
図2dは、下から見た第1ねじ半体20の図を示す。
図2eは上から見た第1ねじ半体20の図を示し、ここで上部横アーム28は、第1ねじ半体20の中心線Aから外に直角に、かつ、第1ねじ半体の前面22および後面29を貫通して第1ねじベッド23を横切る方向に沿った第1断面Bから直角に位置する。下部ヒール27は、ねじベッドに沿った方向に、第1ねじ半体20の中心線Aから直角に前面22から外に位置する。第1ねじ半体20の第1ねじベッド23は好ましくは台形螺条であり、かつ鍛造によって生産することができるように設計され、螺条頂面および螺条底面は鍛造工具に適した抜き勾配または傾斜を持つように選択される。第1ねじベッド23は鍛造することができるように設計されるので、第1ねじ半体20の全体を鍛造によって生産することができる。第1ねじ半体のねじベッドにおける螺条頂面の溝幅は、第1ねじベッドの螺条底面の溝幅の70パーセントから90パーセントの間であり、第1ねじベッドは1回転当たり6〜10mmに対応するピッチに設計される。ピッチおよび溝幅は両方とも自由に変化させ、様々な掘削歯および工具ホルダに適応させることができる。
【0029】
図3aは第2ねじ半体30の側面図を示し、ここで上部後アーム36は、摩耗部品ホルダ4に取り付けられたときに掘削歯3に得られるキャビティに嵌合するように設計される。上部後アーム36は、第2ねじ半体30がロック開口6に取り付けられたときに掘削歯3と合致するヒール構成を有する。第2ねじ半体30は、第2ねじ半体の前面32に形成された下部凹部35であって、その中に第1ねじ半体のヒール27が嵌合される下部凹部35を持つように設計される。
図3bは、第2ねじ半体の前面32の図を示し、そこに第2ねじベッド33を見ることができる。第2ねじベッド33は凹面であり、円錐形ねじ10の螺条11に面するように設計される。第2ねじベッドは傾斜するかまたはランプ状であり、第2ねじ半体30の上方部分の凹部はより深く、第2ねじ半体30の下方部分の第2ねじベッド33の端部に近づくにつれてより浅い凹部になっている。第2ねじ半体30は、ロック開口6から見たときに、後面39を摩耗部品ホルダ4に向けて配置されることが好ましい。第2ねじ半体30は、第1ねじ半体20の下部ヒール27に対する配置を容易にするために、下部凹部35を持つように設計することが好ましい。第1ねじ半体の下部ヒール27は、第2ねじ半体の凹部35に嵌合するように設計される。
図3cは第2ねじ半体30の後面39を示し、上部後アーム36が示されている。
図3dは下から見た第2ねじ半体30の図を示す。
図3eは上から見た第2ねじ半体30の図を示し、ここで上部横アーム38は、第2ねじ半体30の中心線Cから外に直角に、かつ第2ねじベッド33を横切り第2ねじ半体の前面32および後面39を貫通する方向に沿った第2断面Dから直角に位置する。さらに、上部後アーム36は、後面39から外の方向に、第2ねじ半体30の中心線Cから直角に位置する。第2ねじ半体30の第2ねじベッド33は好ましくは台形螺条であり、かつ鍛造によって生産することができるように設計され、螺条頂面および螺条底面は鍛造工具に適した抜き勾配または傾斜を持つように選択される。第2ねじベッド33は鍛造することができるように設計されるので、第2ねじ半体30の全体を鍛造によって生産することができる。第2ねじ半体のねじベッドにおける螺条頂面の溝幅は、第2ねじベッドの螺条底面の溝幅の70パーセントから90パーセントの間であり、第2ねじベッドは1回転当たり6〜10mmに対応するピッチに設計される。ピッチおよび溝幅は両方とも自由に変化させ、様々な掘削歯および工具ホルダに適応させることができる。第2ねじ半体30は、ロック2を組立開口6内に配置するときに、第2ねじ半体30およびしたがってロック2の向き付けに有利な連続部37を持つように設計される。
【0030】
図4aは円錐形ねじ10を示す。円錐形ねじ10はピッチ11を持つように設計される。ピッチ11は好ましくは台形の螺条であり、螺条頂面12および螺条底面13を有する。円錐形ねじはねじ頭14および先端15を有する。円錐形ねじの螺条はねじベッド23、33と合致するように設計され、ねじ半体がロック2に取り付けられているときに、円錐形ねじが好ましくは時計方向に回転すると、円錐形ねじ10は第1ねじ半体20と第2ねじ半体30との間に進入するようになる。円錐形ねじは鍛造によって生産されることが好ましいが、機械加工も可能である。円錐形ねじの螺条底面13は、円錐形ねじの螺条頂面12よりわずかに小さい溝幅、または円錐形ねじ10の軸線方向の長さを有することが好ましい。螺条底面13の溝幅は螺条頂面12より小さいので、螺条11は、螺条底面13から螺条頂面12まで傾斜するように設計される。螺条底面13は螺条頂面12の溝幅の70パーセントないし90パーセント程度である。傾斜した設計または抜き勾配のおかげで、円錐形ねじは鍛造によって生産することができる。円錐形ねじ10の設計および鍛造による生産の方法は、円錐形ねじ10が第1ねじ半体20と第2ねじ半体30との間で延伸されたときに、円錐形ねじ10が自己係止することを意味する。円錐形ねじ10は鍛造によって生産される。鍛造工具は、2つの工具半体が円錐形ねじ10を円錐形ねじの軸線方向に押圧することによって円錐形ねじ10を形成する。鍛造工具がいわゆる抜き勾配を持つように設計された場合、それはねじが鍛造工具から緩み易くなることを意味し、円錐形ねじの台形螺条はねじの螺条11全体にわたって可変ピッチを持つ設計を有する。円錐形ねじ10のピッチ11の外見は、螺条が1回転する毎に、ピッチが存在せず螺条11が直線状である部分が2か所存在する。螺条が直線状または略直線状である部分では、円錐形ねじの軸線方向に螺条ピッチが存在せず、あるいはほとんど存在しない。これらの直線状または平坦な部分は、円錐形ねじが第1ねじ半体20および第2ねじ半体30に対して組み立てられたときに、円錐形ねじ10が係止機能を有するのに貢献する。円錐形ねじ10には、螺条1回転にわたってピッチが変動する螺条11が与えられ、螺条1回転毎に2か所が直線状または平坦な形状構成になる。1回転分の螺条の残りの部分のピッチと比較して、ピッチがかなり少なく、あるいは完全に直線状になる部分が、螺条1回転毎に2か所存在する。
図4bは上から見た円錐形ねじ10を示し、ここでねじ頭14は六角形タイプであるが、六角穴付きまたはトルクス(登録商標)(Torx)のような他の変形例を使用することが可能である。
【0031】
図5aは、摩耗部品システム1の断面の拡大部分を示す。第1ねじ半体20の下部凹部25が掘削歯の下部ピン40に当接配置されたときに、第1ねじ半体は、掘削歯3に形成された下部ピン40に対して取り付けられる。第2ねじ半体30の上部後アーム36が掘削歯3の上部ピン41に当接配置されたときに、第2ねじ半体は、掘削歯3に形成された上部ピン41に対して取り付けられる。摩耗部品ホルダ4のロック開口6は、第2ねじ半体がロック開口6に配置されたときに、第2ねじ半体30の上部後アーム36を受容するためのキャビティ42を持つように設計される。
図5bは摩耗部品システム1の上面図を示しており、ここでロック開口6と同様に、第1ねじ半体20および第2ねじ半体30を保持するために、第1ねじ半体20の上部横アーム28および第2ねじ半体30の上部横アーム38が配置されるキャビティ43が見える。こうして、第1ねじ半体20の前面22および第2ねじ半体30の前面32は、それらが互いに向き合うように、かつ上部横アーム28、38がキャビティ43に面するように配置される。キャビティ43は掘削歯3もしくは摩耗部品ホルダ4に、または部分的に掘削歯3にかつ部分的に摩耗部品ホルダ4に形成することができる。
【0032】
図6aは、ねじ頭14に保護キャップ50が取り付けられた円錐形ねじ10を示す。保護キャップ50はねじ頭14のための保護装置であり、かつ円錐形ねじ10のための係止装置である。保護キャップ50は、一方ではそれをねじ頭14に弾性的に取り付けることができるように、かつ他方ではねじ頭14に対するかなりの摩擦をもたらすことができるように、ゴムもしくは別のエラストマで、あるいは軟質金属で作られる。保護キャップは、ねじ頭14がその中に押し込まれる穴53を持つように設計される。保護キャップ50に形成される穴53は円形とすることができるが、ねじ頭14と保護キャップ50との間に高摩擦を持つねじ頭14との接触を達成するための他の構成または形状を有することもできる。保護キャップ50は、少なくとも1つのアーム、好ましくは2つのアーム51、52を持つように設計され、それは、保護キャップ50がねじ頭14に配置されたときに、ねじ頭14を組立穴53内に係止し、かつ保護キャップ50を第1ねじ半体20と第2ねじ半体30との間に係止する。
図6bは第1ねじ半体20、第2ねじ半体30、円錐形ねじ10、および保護キャップ50を持つロック2を示す。保護キャップ50がねじ頭14に配置されたときに、保護キャップ50は円錐形ねじ10を係止し、かつねじ頭14と組立穴53との間の摩擦結合によって、保護キャップ50はねじ頭に固定され、ねじ頭が組立穴53内で回転するのを防止する。保護キャップは、少なくとも1つのアーム51を持つように設計され、それは、保護キャップ50が円錐形ねじ10のねじ頭14の上に押し付けられたときに、第1ねじ半体20と第2ねじ半体30との間に配置される。保護キャップのアーム51、52は、それらの大きさに関して、第1ねじ半体20と第2ねじ半体30との間に嵌合するように設計される。保護キャップのアーム51、52は、保護キャップ50を円錐形ねじ10のねじ頭14に取り付けられた位置で係止し、保護キャップ50はねじ頭14の周囲の空間内に土または他の埃が侵入するのを防止する。保護キャップ50のアーム51、52は、ロック2における円錐形ねじ10の位置を摩擦により係止し、ねじ10の螺条もまた、円錐形ねじ10が緩むのを防止するように設計される。
【0033】
図7は、円錐形ねじ10、第1ねじ半体20、第2ねじ半体30、保護キャップ50、および保持装置60を持つロック2を示す。保持装置用凹部24、34に取り付けられる保持装置60によって、第1ねじ半体20は第2ねじ半体30に対して動かないように維持され、こうしてねじ半体の間に円錐形ねじ10を保持する。このようにして、ロック2はその全ての構成部品と共に、例えば供給のために、1つのユニットとして一体に保持することができる。保持装置60は例えばばね鋼またはゴムで作られるが、他の金属またはエラストマも考えられる。
【0034】
掘削歯3が摩耗部品ホルダ4に取り付けられるときに、ロック2を取り付けるロック開口6が画定され、あるいは発生する。第1ねじ半体20がロック開口6に配置され、第1ねじ半体の下部凹部25が、掘削歯3に形成されたヒール40に面することによって、ロック2はロック開口6に取り付けられる。さらに、第1ねじ半体20は、好ましくは摩耗部品ホルダ4に上部横アーム28用に形成されたキャビティ43内に第1ねじ半体20を保持する上部横アーム28を有するが、キャビティは掘削歯3に、または掘削歯3および摩耗部品ホルダ4に組み合わせて形成することもできる。第1ねじ半体20はまた、ねじ半体をロック開口に保持するために別の仕方で、例えばT字状の外見を持つように、形成することもできる。第1ねじ半体20が取り付けられた後、第2ねじ半体の下部凹部35を第1ねじ半体の下部ヒール27に当接して配置することによって、第2ねじ半体30を開口6内に配置して取り付けることができる。さらに、第2ねじ半体30はまた、好ましくは摩耗部品ホルダ4に上部横アーム38用に形成されたキャビティ43内に第2ねじ半体30を保持する上部横アーム38をも有するが、キャビティは掘削歯3に、または掘削歯3および摩耗部品ホルダ4に組み合わせて形成することもできる。第2ねじ半体30は、ねじ半体をロック開口6に保持するために別の仕方で、例えばT字状の外見を持つように設計することができる。第1ねじ半体20の上部横アーム28は、第1ねじ半体20がロック開口6で第2ねじ半体30に当接して配置されたときに、第2ねじ半体30の上部横アーム38に面するように配置されることが好ましい。さらに、第2ねじ半体30は、掘削歯3の上部ピン41に当接して配置されると共に、摩耗部品ホルダ4に形成されたキャビティ42内に配置される、上部後アーム36を有する。2つのクランプとも呼ばれる2つのねじ半体、すなわち第1ねじ半体20および第2ねじ半体30がロック開口6に取り付けられた後、2つのねじ半体の間に生じた開口に円錐形ねじ10を取り付けることができる。第2ねじ半体30が第1ねじ半体20に当接して取り付けられると、凹部21は凹部31と対面し、開口が生じ、そこに円錐形ねじ10を配置することができる。円錐形ねじ10が凹部21と凹部31との間の開口に配置されると、円錐形ねじの先端15は第1ねじベッド23と第2ねじベッド33との間に配置され、それにより、円錐形ねじの螺条11は第1ねじベッド23および第2ねじベッド33と接触する。円錐形ねじ10がねじベッド内に螺入されると、円錐形ねじ10は円錐形ねじの軸線方向に進入し、第1ねじ半体20と第2ねじ半体30との間の距離を広げ、それにより第1ねじ半体20は、略側方移動で掘削歯3の方向に移動し、かつ第2ねじ半体30は、略側方移動で摩耗部品ホルダ4の方向に移動する。側方移動は、ねじの軸線方向に対し直角に、ねじから径方向外向きに行われる。第1ねじ半体20のねじベッド23および第2ねじ半体30のねじベッド33が傾斜している場合、かつ円錐形ねじ10が円錐形である場合、円錐形ねじ10が第1ねじ半体20と第2ねじ半体30との間で軸線方向に移動すると、これは結果的に、第1ねじ半体20および第2ねじ半体30に、ねじから径方向の側方移動を引き起こす。円錐形ねじ10が好ましくは時計方向に回転するにつれて、2つのねじ半体20、30は摩耗部品ホルダ4に対して掘削歯3を固定し、かつ摩耗部品システム1全体を係止するようになる。第1ねじ半体20が掘削歯3の方向に移動すると、可撓性隆起26は圧縮され、円錐形ねじ10が回転するときに抵抗を増大させる。可撓性隆起26が圧縮されることによって、第1ねじ半体20およびしたがってロック2に対し静的な力が加えられ、この力は円錐形ねじ10およびしたがってロック2を係止状態に保持する。円錐形ねじ10が予め定められたトルクで、あるいは予め定められた位置まで締め付けられると、円錐形ねじ10の回転は停止し、円錐形ねじ10は、例えば保護キャップ50またはゴムフードまたはねじ頭14用の他の保護装置によって保護かつ/または固定することができる。保護キャップ50は、一方ではそれをねじ頭14に弾性的に取り付けることができるように、かつ他方ではねじ頭14に対するかなりの摩擦をもたらすことができるように、ゴムまたは別のエラストマで作られる。保護キャップは、ねじ頭14が押し込まれる穴53を持つように設計される。保護キャップ50に形成された穴53は円形とすることができるが、他の構成、例えば12角形、またはねじ頭14と保護キャップ50との間に高摩擦を持つねじ頭14との接触を達成するための他の形状を持つこともできる。保護キャップは少なくとも1つのアーム、好ましくは2つのアーム51、52を持つように設計され、それは、保護キャップがねじ頭14に配置されたときに、組立穴53にねじ頭14を係止し、かつ第1ねじ半体20と第2ねじ半体30との間に保護キャップ50を係止する。円錐形ねじ10をロック2内に保持するために、螺条11は、円錐形ねじ10をロック2に静的に係止するように設計することができる。螺条の構成に加えて、エラストマまたは他の弾性もしくは可撓性装置をねじの先端15とねじ半体の底部との間に使用することができる。エラストマは第1ねじ半体20の螺条23および第2ねじ半体30の螺条32にも設けることができ、あるいは第1ねじ半体20が第2ねじ半体30に当接して配置されたときに生じる空間に、ゴムブロックまたは他の装置の形で別個に取り付けることができる。さらに、エラストマはねじ10の先端15に設けるように設計することもできる。円錐形ねじ10がロック2に螺入されるときに、エラストマは圧縮され、円錐形ねじ10に係止力を与える。円錐形ねじ10は適切な機器、例えば油圧または空気圧ナット締結装置を用いて、予め定められたトルクまで螺入される。空気圧または油圧ナット締結装置が無い場合、適切なラチェットハンドルまたは他の機器を使用して、円錐形ねじ10を適切なトルクまで締め付けることもできる。円錐形ねじ10、ねじ半体20、30、掘削歯3、または摩耗部品ホルダ4は、円錐形ねじ10が締め付けられた位置を示す視標を持つように設計することもできる。ロック2の組立後に、保持装置60を使用すると、保持装置60によって一体に保持された第1ねじ半体20および第2ねじ半体30は一緒に組立凹部6に配置される。第1ねじ半体の下部ヒール27が大きく、かつ第2ねじ半体の下部凹部35に当接配置される場合、第1ねじ半体20および第2ねじ半体30が組み合わせて取り付けられるときに、ロック2は容易に組み立てることができる。第1ねじ半体の下部ヒール27の大きさを適応させることによって、第1ねじ半体20および第2ねじ半体30の組立および分解を別々に実行することができる。好ましくは、第1ねじ半体20および第2ねじ半体30は、保持装置60によって一体に保持された状態で組み立てられかつ分解される。第1ねじ半体20および第2ねじ半体30が組立開口6に配置されているときに、円錐形ねじ10は凹部21と凹部31との間の開口に配置され、第1ねじベッド23と第2ねじベッド33との間に螺入され、このようにしてロック2を係止する。
【0035】
掘削歯3が摩耗して交換することが必要になったときに、円錐形ねじ10のねじ頭14から保護キャップ50が取り外される。その後、ロック2を解除するために、円錐形ねじ10は好ましくは反時計方向に回転される。円錐形ねじ10が緩められ、ロック開口6から取り外されると、第2ねじ半体30をロック開口6から引き上げることができ、かつ第1ねじ半体20をロック開口6から引き上げることができる。その後、掘削歯3を摩耗部品ホルダ4から取り外すことができる。ロック2の分解時に、保持装置60が使用されている場合、保持装置60によって一体に保持された第1ねじ半体20および第2ねじ半体30は、組立凹部6から一緒に取り外される。
【0036】
摩耗部品システムの設計の実施例は、第1ねじ半体20、第2ねじ半体30、および円錐形ねじ10を含むロック2またはロックシステムから構成される。ロック2は掘削歯3と摩耗部品ホルダ4との間に取り付けられ、掘削歯3を摩耗部品ホルダ4に係止する。各装置、例えばバケットは、装置に取り付けられた複数の摩耗部品システム1を有する。摩耗部品ホルダ4はバケットに溶接され、摩耗部品ホルダ4を交換する必要がある場合に、バケットから取り外すことができる。摩耗部品システム1およびしたがってロックシステム2は、あらゆるサイズの摩耗部品3に、かつあらゆる種類の用途の掘削歯、摩耗部品システム、および工具に適応される。掘削歯は機械類のオペレータによって、くさびが所定の位置に打ち込まれた従前の方法と比較して確実に、継続的に交換することができる。円錐形ねじ10は、第1ねじ半体20と第2ねじ半体30との間に打ち込まれるか押し込まれる円錐形くさび(図には示さず)によって交換することができる。円錐形くさびは硬質エラストマで作られることが好ましいが、銅または別の金属のような他の材料を使用することができる。