【実施例】
【0060】
(実施例1)
ボリコナゾールの調製
【0061】
【化18】
ステップ1
CuF(PPh
3)
3メタノール溶媒和物(0.019g)および(S)−1−{(S
P)−2−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]フェロセニル}エチルビス[3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン(0.093g)の混合物に、2−メチル−2−ブタノール(16mL)を添加した。混合物を、窒素下、室温で、すべての固体が溶解するまで30分間撹拌した。次いで、得られた溶液に、1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)エタノン(2.69g)および水(0.36g)を添加した。次いで、反応物スラリーを室温で20分間撹拌した後、−9℃に冷却した。
【0062】
次いで、−9℃の反応物スラリーに、2−メチル−2−ブタノール(4mL)中の4−クロロ−5−フルオロ−6−ビニルピリミジン(1.59g、限定試薬)およびフェニルシラン(1.09g)の溶液を、45分間かけて添加した。−9℃で270分間撹拌した後(その時点でHPLC分析により4−クロロ−5−フルオロ−6−ビニルピリミジンは観察できなかった)、反応混合物を室温に加温し、その温度で18時間保持した。次いで、水(3.98g)を添加して、反応物をクエンチした。次いで、トルエン(30mL)を、クエンチした反応混合物に添加して、(2R,3S)−3−(6−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オールを含有する二相混合物を得た。
【0063】
残留物がおよそ8mLになるまで、溶媒を、45〜50℃、真空で除去した。これに、さらなるトルエン(50mL)、続いて50mLのクエン酸水溶液(20%w/v)を添加した。二相混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、層を20分間分離させた。水層を廃棄し、トルエン層に、さらなるクエン酸水溶液(50mL、20%w/v)を添加した。二相混合物を10分間撹拌し、次いで、層を20分間分離させた。再度、水層を廃棄した。トルエン層に水(9.5mL)を添加した。二相混合物を10分間撹拌し、分離させ(20分)、分離した。
【0064】
残留トルエン層に、活性炭(0.192g)を添加した。次いで、混合物を50℃に3時間加熱した後、室温に冷却した。パラジウム炭素触媒(Evonik E101 NE/W 10%Pd/C、50%水湿、0.546g)、続いて酢酸ナトリウム(2.06g)および水(5.97g)を混合物に添加した。反応混合物を40℃に加熱した後、反応ベッセルを水素(5バール)で加圧した。反応混合物を、5バールの水素下、40℃で7時間撹拌した後、さらに15時間、約21℃に冷却した。次いで、水素化反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(9.5mL)で希釈した後、Celite(登録商標)に通して濾過した。フィルターを水(1.59mL)およびトルエン(2×100mL)で洗浄した。
【0065】
一部の粗生成物を、シリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって精製し、キラルカラムクロマトグラフィー(Chiralcel OD−RH 150×4.6mmカラム、30℃、1ml/分流速、60:40のヘプタン:エタノール溶離液、約600psi背圧)によって分析した。結果は、所望の(2R,3S)エナンチオマー対望まれない(2S,3R)エナンチオマーの比が97:3であったことを示していた(94%エナンチオマー過剰率)。
【0066】
リガンド((R
P)−1−[(R)−α−(ジメチルアミノ)−2−(ジフェニルホスフィノ)ベンジル]−2−ジフェニルホスフィノフェロセン)を利用したことを除いて同様の条件下で、約84%のエナンチオ選択性が観察された(これは、およそ70%のエナンチオマー過剰率に相当する)。
【0067】
次いで、二相混合物を10分間分離させた後、水層を廃棄した。次いで、トルエン層を水(10mL)で洗浄した後、真空で濃縮して、約45mLとした。トルエン溶液(ボリコナゾールAPI−(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(5−フルオロピリミジン−4−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オールを含有する)を45℃に加熱し、次いで、アセトン(40mL)中のカンファースルホン酸(CSA)(1.40g)の溶液で60分間かけて処理した。次いで、得られた溶液を60分間かけて5℃に冷却した後、さらに120分間撹拌した。次いで、固体を単離し、トルエン(2×20mL)で洗浄し、減圧下で18時間乾燥させて、(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(5−フルオロピリミジン−4−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール((1R,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンスルホネート(2.52g、ピリミジン出発材料に基づき43%)を得た。
【0068】
乾燥させた(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(5−フルオロピリミジン−4−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール((1R,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンスルホネート(2.52g)に、EtOH/アセトン溶液(3:1比、22mL)を添加した。次いで、スラリーを50℃に30分間加熱した後、5℃に60分間冷却した。次いで、固体を単離し、減圧下、40℃で24時間乾燥させて、(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(5−フルオロピリミジン−4−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール((1R,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンスルホネートを白色固体(2.39g、ピリミジン出発材料に基づき41.0%収率)として得た。
1H NMR
(400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) = 9.42 (1H, s,
ArH), 9.10 (1H, s, ArH), 8.67 (1H, s, ArH), 8.14 (1H, s, ArH), 7.49 (1H, m,
ArH), 7.53-7.42 (2H, m, 2 x ArH), 4.96 (1H, d, CH
2), 4.48 (1H, d, CH
2),
4.11 (1H, 七重線, CH), 3.25 (1H, d, CH
2), 2.81
(1H, d, CH
2), 2.56-2.41 (1H, m, CH
2), 2.38-2.25 (1H, m,
CH
2), 2.11-1.95 (2H, m, CH
2), 1.90 (1H, d, CH
2),
-1.86-1.73 (1H, m, CH
2), 1.45-1.35 (1H, m, CH
2), 1.15
(3H, d, CH
3), 1.03 (3H, s, CH
3), 0.82 (3H, s, CH
3).
【0069】
ステップ2
(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(5−フルオロピリミジン−4−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール((1R,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル)メタンスルホネート(2.125g)に、EtOH(3.8mL)および水(3.8mL)を添加した。スラリーを32.5℃に加熱したところ、ほぼ無色の溶液が得られた。次いで、この溶液を、小アリコート(1mL)で、水(4.1mL)中の酢酸ナトリウム(0.30g)の冷やした(0℃)溶液に、45分間かけて添加した。次いで、得られたスラリーに、EtOH(0.45mL)および水(0.45mL)の溶液を添加した。次いで、混合物を2℃で30分間撹拌した後、水(4.5mL)を20分間かけて徐々に添加した。次いで、スラリーを2℃で13.5時間撹拌した後、固体を単離し、0〜5℃で2回、水(6.4mL)中で再スラリー化した。次いで、単離された固体を、減圧下、45℃で約48時間乾燥させて、(2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(5−フルオロピリミジン−4−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オールを白色固体(0.969g、76%収率)として得た。
1H NMR
(400 MHz, CDCl
3): δ (ppm) = 8.95 (1H, s,
ArH), 8.61 (1H, s, ArH), 8.10 (1H, s, ArH), 7.62-7.56 (1H, m, ArH), 7.25 (1H,
s, ArH), 6.90-6.79 (2H, m, 2 x ArH),6.50 (1H, br s, OH), 4.76 (1H, d, CH
2),
4.37 (1H, d, CH
2), 4.14 (1H, 七重線, CH), 1.11
(3H, d, CH
3).
【0070】
(実施例2)
ボリコナゾールの調製
【0071】
【化19】
CuF(PPh
3)
3メタノール溶媒和物(0.0038g)および(S)−1−{(S
P)−2−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]フェロセニル}エチルビス[3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン(0.0187g)の混合物に、3−メチル−3−ペンタノール(0.5mL)を添加した。混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で、すべての固体が溶解するまで20分間撹拌した。次いで、得られた溶液を0℃に冷却した後、3−メチル−3−ペンタノール(2mL)中の5−フルオロ−4−ビニルピリミジン(0.050g、限定試薬)および1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)エタノン(0.0899g)を添加した。次いで、0℃のこの混合物に、3−メチル−3−ペンタノール(0.5mL)中のフェニルシラン(0.0436g)の溶液を、約30分間かけて添加した。
【0072】
反応混合物を、HPLCによって5−フルオロ−4−ビニルピリミジンの完全消費が観察されるまで21時間、0℃で撹拌した。分析した反応混合物は、所望生成物((2R,3S)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(5−フルオロピリミジン−4−イル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール)をおよそ40%収率(ピリミジン出発材料に基づき)で含有することが分かった。
【0073】
(実施例3)
ボリコナゾールの調製
銅触媒としてのCuF(PPh
3)
3.MeOH、キラルホスフィンリガンドとしての(S)−1−{(S
P)−2−[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]フェロセニル}エチルビス[3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン、および溶媒としての2−メチル−2−ブタノールを用い、実施例2において記述されているものと同様の手順を使用して、ボリコナゾールを70%エナンチオマー過剰率で得た。
【0074】
キラルホスフィンリガンドとしての((R
P)−1−[(R)−α−(ジメチルアミノ)−2−(ジフェニルホスフィノ)ベンジル]−2−ジフェニルホスフィノフェロセン)を用いたことを除いて同様の条件を使用して、50%のエナンチオマー過剰率が実現された。
【0075】
(実施例4)
ボリコナゾール前駆体の調製
【0076】
【化20】
CuF(PPh
3)
3メタノール溶媒和物(0.0029g)および(R
P)−1−[(R)−α−(ジメチルアミノ)−2−(ジフェニルホスフィノ)ベンジル]−2−ジフェニルホスフィノフェロセン(0.0108g)の混合物に、酢酸n−ブチル(1mL)を添加した。混合物を、アルゴン雰囲気下、室温で、すべての固体が溶解するまで30分間撹拌した。次いで、得られた溶液を0℃に冷却した後、酢酸n−ブチル(1mL)中の2−クロロ−5−フルオロ−4−ビニルピリミジン(0.050g、限定試薬)および1−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)エタノン(0.074g)を添加した。次いで、0℃のこの混合物に、酢酸n−ブチル(0.25mL)中のフェニルシラン(0.034g)の溶液を、約5分間かけて添加した。
【0077】
反応混合物を、2−クロロ−5−フルオロ−4−ビニルピリミジンの完全消費が観察されるまで24時間、0℃で撹拌した。反応混合物をHPLCによって分析したところ、所望生成物((2R,3S)−3−(2−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ブタン−2−オール)をおよそ5%収率で含有することが分かった。
【0078】
(実施例5)
ボリコナゾール中間体の調製
【0079】
【化21】
アルゴン下、CuF(PPh
3)
3メタノール溶媒和物(0.0094g)および(R
P)−1−[(R)−α−(ジメチルアミノ)−2−(ジフェニルホスフィノ)ベンジル]−2−ジフェニルホスフィノフェロセン(0.0068g)に、テトラヒドロフラン(1mL)を添加した。混合物を、20℃(アルゴン下)で、すべての固体が溶解するまで30分間撹拌した。次いで、溶液を−20℃に冷却し、フェニルシラン(0.027g)を添加した。10分後、テトラヒドロフラン(1.5mL)中の4−クロロ−5−フルオロ−6−ビニルピリミジン(0.180g)および2−クロロ−1−(2,4−ジフルオロフェニル)エタノン(0.095g)の溶液を、およそ5分間かけて添加した。反応混合物を、HPLC分析によってビニルピリミジンの完全消費が観察されるまで、−20℃で1時間撹拌した。反応物を、塩化アンモニウム水溶液(1M、3mL)、続いてメチルtert−ブチルエーテル(5mL)の添加によってクエンチした。有機層を乾燥させて残留物とし、次いで、これをカラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中0〜20%酢酸エチルで溶離する)による精製に供して、(2R,3S)−1−クロロ−3−(6−クロロ−5−フルオロピリミジン−4−イル)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)ブタン−2−オール(0.259g、65%収率)を白色固体として得た。
1H NMR
(500 MHz, CDCl
3): δ (ppm) = 8.71 (1H, s,
ArH), 7.75 (1H, m, ArH), 6.90 (1H, m, ArH), 6.78 (1H, m, ArH), 5.51 (1H, S,
OH), 4.00 (1H, 七重線, CH), 3.94 (1H, d, CH
2),
3.51 (1H, d, CH
2), 1.08 (3H, d, CH
3).
【0080】
生成物のキラルHPLC分析(Chiralcel−OJ−H、95:5のヘキサン:IPAを用い、1ml/分で)は、還元的アルドール反応(約91%e.e)における約95.7%のエナンチオ選択性を実証した。
【0081】
(実施例6)
ボリコナゾール中間体の調製
【0082】
【化22】
CuF(PPh
3)
3メタノール溶媒和物(0.137g)および(R
P)−1−[(R)−α−(ジメチルアミノ)−2−(ジフェニルホスフィノ)ベンジル]−2−ジフェニルホスフィノフェロセン(0.100g)に、テトラヒドロフラン(14mL)を添加した。混合物を、0〜5℃(アルゴン下)で、すべての固体が溶解するまで30分間撹拌した。次いで、この溶液に、フェニルシラン(0.789g)を添加した。10分後、テトラヒドロフラン(22mL)中の5−フルオロ−4−ビニルピリミジン(0.903g)および2−クロロ−1−(2,4−ジフルオロフェニル)エタノン(1.68g)の溶液を、30分間かけて添加した。反応混合物を0〜5℃で1時間撹拌し、この後、さらなる5−フルオロ−4−ビニルピリミジンはHPLCによって観察できなかった。反応物を、塩化アンモニウム水溶液(1M、15mL)、続いてメチルtert−ブチルエーテル(30mL)の添加によってクエンチした。有機層を乾燥させて残留物とし、これを、カラムクロマトグラフィー(シクロヘキサン中5〜40%酢酸エチルで溶離する)による精製に供して、(2R,3S)−1−クロロ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(5−フルオロピリミジン−4−イル)ブタン−2−オールを白色固体(1.70g、74%収率)として得た。
1H NMR
(500 MHz, CDCl
3): δ (ppm) = 8.93 (1H, s,
ArH), 8.57 (1H, m, ArH), 7.76 (1H, m, ArH), 6.90 (1H, m, ArH), 6.78 (1H, m,
ArH), 5.79 (1H, S, OH), 3.97 (1H, 七重線, CH), 3.93 (1H,
d, CH
2), 3.49 (1H, d, CH
2), 1.05 (3H, d, CH
3).
【0083】
(2R,3S)−1−クロロ−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−3−(5−フルオロピリミジン−4−イル)ブタン−2−オール生成物のキラルHPLC分析(Cellulose−1カラム、60:40 アセトニトリル:水比の溶離液を1mL/分および25℃で使用する)は、還元的アルドール反応(約86%エナンチオマー過剰率)における約93.2%のエナンチオ選択性を実証した。
【0084】
下記の調製は、ビニルヘテロアリール出発材料がどのように調製され得るかを示すものである。
【0085】
調製1− 4−クロロ−5−フルオロ−6−ビニルピリミジン
【0086】
【化23】
ジクロロメタン(50mL)中の4,6−ジクロロ−5−フルオロピリミジン(5.0g、30.0mmol、1.0当量)およびトリブチル(ビニル)スズ(10.4g、33.0mmol、1.1当量)の混合物を、窒素流で10分間脱気した。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(0.53g、0.75mmol、0.025当量)を添加した。得られた混合物を、追加で15分間、窒素流で脱気し、72時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、フッ化カリウム水溶液(2M、75mL、5当量)でクエンチした。得られた混合物を2時間撹拌し、Celite(登録商標)に通して濾過した。濾液を分液漏斗に注ぎ入れ、分離した。有機層を水(20mL)および飽和ブライン(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下、20℃で濃縮した。得られた粗生成物を、AnaLogix(登録商標)(SF40−115g)カラム上で精製した。精製に利用した勾配は、10分間のアイソクラチックなペンタン、続いて20分間でのペンタン中5%ジエチルエーテルへの傾斜であった。純粋画分を合わせ、減圧下、20℃で濃縮して、4−クロロ−5−フルオロ−6−ビニルピリミジン(3.0g、63%収率)を得た。
質量スペクトル(陽モード): m/z
158.0 (M
+).
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 8.71 (s, 1H), 6.99 (m, 1H), 6.75 (dd, J=17.4 Hz, 1.8 Hz, 1H),
5.90 (dd, J=10.5 Hz, 1.5 Hz, 1H).
19F NMR (282 MHz, CDCl
3):
δ133.88 (s).
【0087】
調製2− 4−クロロ−5−フルオロ−6−ビニルピリミジン、代替的経路
【0088】
【化24】
4,6−ジクロロ−5−フルオロピリミジン(6g、36.0mmol)を、カリウムビニルトリフルオロボレート(1.60g、37.8mmol、1.05当量)および炭酸セシウム(17.58g、1.5当量)と水/メチルテトラヒドロフラン中で反応させた。反応物を、アルゴン下、Pd(PPh
3)
2Cl
2(504mg、0.02当量)およびPPh
3(189mg、0.02当量)で処理した。反応物を還流まで加熱し、還流下で20分間保持した。反応物を、さらなる水およびtert−ブチルメチルエーテルの添加によってクエンチした。有機相を大気圧で蒸留して、溶媒を除去した。残留物を、カラムクロマトグラフィー、ヘキサン中12〜100%ジクロロメタンによって精製した。合わせた画分を分別蒸留によって濃縮して、4.1g(71%収率)の生成物を黄色がかった油として得た。
【0089】
調製3− 4−クロロ−5−フルオロ−6−ビニルピリミジン、代替的経路
【0090】
【化25】
ステップ1
氷/メタノール冷却浴を使用して温度を30℃未満に保ちながら、メタノール(1.75L)に、ナトリウムメトキシド(151.6g、2.81モル)を小分けにして添加した。酢酸ホルムアミジン(146.12g、1.40モル)を一度に添加した。混合物を5℃に冷却し、次いで、フルオロアセト酢酸エチル(218.3g、1.47モル)を、冷却しながら10分間かけて添加した。反応混合物を25℃に加温し、この温度で2時間撹拌した。酢酸(252.8g、4.21モル)を混合物に5分間かけて添加し、次いで、溶媒を蒸発させた。次いで、トルエン(400mL)を添加し、得られたスラリーを再度蒸発によって濃縮した。酢酸エチル(808mL)を得られたスラリーに添加し、混合物を40℃に15分間加温した。不溶性材料を濾過除去し、酢酸エチル(2×153mL)で洗浄した。
【0091】
濾液を蒸発させ、得られたスラリーは、静置すると凝固し始めた。ジエチルエーテル(400mL)を添加し、固体塊を解体した。室温で4時間後、固体生成物を濾過除去し、ジエチルエーテル(2×150mL)で洗浄した。温かいオーブン内で終夜乾燥させた後、4−ヒドロキシ−5−フルオロ−6−ビニルピリミジンが、ロウ状固体、264.6g(147%)として取得された。プロトンNMRは、必要な生成物が、0.86モル等量の酢酸ナトリウム(酢酸ナトリウムについて調整された収率=94.9%)を含有していることを示した。
【0092】
ステップ2
氷浴冷却を用いて温度を40℃に保ちながら、オキシ塩化リン(1622mL、986g、6.43モル、1.7体積)に、4−ヒドロキシ−5−フルオロ−6−ビニルピリミジン(954.2g、ステップ1の粗生成物、4.80モル)を15分間かけて小分けにして添加した。冷却を除去すると、温度は50℃に上昇した。反応物を50℃で15分間保ち、次いで80℃で2時間加熱した。この時間の間に、すべての固体が溶解して、褐色溶液を得た。
【0093】
得られた溶液を、氷/メタノール冷却を用い、添加速度を制御することによって温度を20℃に保ち、激しく撹拌しながら、90分間かけて水(7.35L)に滴下添加した。反応物を20℃でさらに30分間撹拌した。塩(NaCl)を、溶液が飽和するまで添加し、混合物をジクロロメタン(3.63L、続いて6×1.8L)で抽出した。ジクロロメタン抽出物を飽和重炭酸ナトリウム溶液(363mL)で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濃縮して、淡褐色油を得た。油を180ミリバール圧力で蒸留した。4−クロロ−5−フルオロ−6−メチルピリミジンを、100〜106℃の範囲内、この圧力で蒸留した。
【0094】
ステップ3
アセトニトリル(55mL)中のN−イソプロピル−N−メチレンプロパン−2−アミニウムクロリド(13.3g、88.7mmol)の溶液に、4−クロロ−5−フルオロ−6−メチルピリミジン(10.0g、68.2mmol)を添加した。反応フラスコをアルゴンでフラッシングし、混合物を撹拌しながら24時間加熱還流し、次いで室温に冷却した。水(130mL)を添加し、混合物をジクロロメタン(140mL)で抽出した。有機相を10%KHSO
4水溶液(400mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させた。溶液を濾過し、300ミリバール圧力および35℃の真空で蒸発させた。tert−ブチルカテコール(30mg、0.2wt%、粗製材料の質量に基づく)を添加した。残留溶媒を50℃の真空下で除去し、次いで、粗生成物を5ミリバール圧力および50℃(油浴)で蒸留した。tert−ブチルカテコール(0.1wt%)を、蒸留した4−クロロ−5−フルオロ−6−ビニルピリミジン(7.9g、73%)に添加し、これを黄色がかった油として取得した。
【0095】
調製4− 5−フルオロ−4−ビニルピリミジン
【0096】
【化26】
4−ブロモ−5−フルオロピリミジン(5g)を、カリウムビニルトリフルオロボレート(1.05当量)と、メチルテトラヒドロフラン(85ml)および水(8.5ml)の混合物中、(PPh
3)
2PdCl
2(0.02当量)、PPh
3(0.02当量)、およびCs
2CO
3(3当量)の存在下で反応させた。反応物を75℃で約5.5時間加熱した。次いで、反応混合物をメチルtert−ブチルエーテル(50ml)で希釈し、続いて水性抽出した。粗生成物を、170mbar(90〜110℃)での蒸留によって精製した。生成物は、無色油(1.44g、41%収率)として取得された。
質量スペクトル(陽モード): m/z
124.0 (M+).
1H NMR (300 MHz, CDCl
3): δ (ppm) 8.98 (s, 1H), 6.96 (dd, 1H), 6.70 (m, 1H), 5.82 (d, 1H).
19F
NMR (282 MHz, CDCl
3): 138.60 (s).
【0097】
調製5− 2−クロロ−5−フルオロ−4−ビニルピリミジン
【0098】
【化27】
ジクロロメタン(50mL)中の2,4−ジクロロ−5−フルオロピリミジン(5.0g、30.0mmol、1.0当量)、トリブチル(ビニル)スズ(10.4g、33.0mmol、1.1当量)の混合物を、窒素流で10分間脱気した。ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(0.53g、0.75mmol、0.025当量)を添加した。得られた混合物を、追加で15分間、窒素流で脱気し、24時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、フッ化カリウム水溶液(2M、75mL、5当量)でクエンチした。得られた混合物を2時間撹拌し、Celite(登録商標)に通して濾過した。濾液を分液漏斗に注ぎ入れ、分離した。有機層を水(20mL)および飽和ブライン(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下、20℃で濃縮した。得られた粗生成物を、AnaLogix(登録商標)(SF40−115g)カラム上で精製した。精製に利用した勾配は、10分間のアイソクラチックなペンタン、続いて20分間のペンタン中5%ジエチルエーテルへの傾斜であった。純粋画分を合わせ、減圧下、20℃で濃縮して、2−クロロ−5−フルオロ−4−ビニルピリミジンを油(3.65g、77%収率)として得た。