特許第6180545号(P6180545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6180545燃料電池用分離板及びこれを含む燃料電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180545
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】燃料電池用分離板及びこれを含む燃料電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/24 20160101AFI20170807BHJP
   H01M 8/0202 20160101ALI20170807BHJP
   H01M 8/02 20160101ALI20170807BHJP
   H01M 8/12 20160101ALN20170807BHJP
【FI】
   H01M8/24 R
   H01M8/02 B
   H01M8/02 R
   H01M8/24 E
   !H01M8/12
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-549279(P2015-549279)
(86)(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公表番号】特表2016-506048(P2016-506048A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】KR2013012151
(87)【国際公開番号】WO2014104732
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年8月12日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0152259
(32)【優先日】2012年12月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
【氏名又は名称原語表記】POSCO
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 チョン−モ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 スン−ク
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−208909(JP,A)
【文献】 特開2009−026524(JP,A)
【文献】 特開平08−180883(JP,A)
【文献】 特開2007−317525(JP,A)
【文献】 特開2002−260710(JP,A)
【文献】 特開2011−096498(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0295178(US,A1)
【文献】 特開2000−182637(JP,A)
【文献】 特開2004−103452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00 − 8/0297
H01M 8/08 − 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離板本体と、
前記分離板本体の長さ方向の一側に提供される第1流入マニホールドと、
前記分離板本体の長さ方向の前記第1流入マニホールドと対向する他側に前記第1流入マニホールドと区画される通路として提供される第2流入マニホールドと、
前記分離板本体の前記他側において前記第2流入マニホールドの前記長さ方向の外側に提供され、分離板本体の幅と同じ長さを有する第1排出マニホールドと、
前記分離板本体の前記一側において前記第1流入マニホールドの前記長さ方向の外側に前記第1排出マニホールドと区画される通路として提供され、分離板本体の幅と同じ長さを有する第2排出マニホールドと、
を含む、燃料電池用分離板。
【請求項2】
少なくとも一つの前記第1流入マニホールド及び前記第2流入マニホールドが前記分離板本体に提供される、請求項1に記載の燃料電池用分離板。
【請求項3】
前記第1排出マニホールド及び前記第2排出マニホールドは前記分離板本体にスロット孔で形成される、請求項1に記載の燃料電池用分離板。
【請求項4】
前記分離板本体には、前記第1流入マニホールドと前記第1排出マニホールドの間にガスが移動する流路が形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の燃料電池用分離板。
【請求項5】
少なくとも一つの単位セルユニットが積層されて提供される燃料電池において、
前記単位セルユニットは、請求項1から3のいずれか一項に記載の複数の燃料電池用分離板を含み、
前記燃料電池用分離板は、燃料または酸化剤であるガスが互いに反対方向に循環するように上下方向に垂直に積層され、且つ配置方向が交差して積層されるクロスシフトフロー(cross−shift flow)方式で提供される、燃料電池。
【請求項6】
前記燃料電池用分離板の本体には、前記第1流入マニホールドと前記第1排出マニホールドの間にガスが移動する流路が形成される、請求項5に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記ガスが移動する流路は、
前記第1流入マニホールドから供給されたガスが複数の前記第2流入マニホールドの間を通過して前記第1排出マニホールドに排出されるように提供される、請求項6に記載の燃料電池。
【請求項8】
前記燃料電池用分離板は、
前記第2流入マニホールドが他の分離板の第1流入マニホールドと連結され、
前記第2排出マニホールドは他の分離板の第1排出マニホールドと連結される、請求項5に記載の燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用分離板及びこれを含む燃料電池に関するもので、燃料または酸化剤の水平的分配を向上させ、有効流動面積を確保することができるようにした燃料電池用分離板及びこれを含む燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、燃料電池は、燃料の化学的エネルギーを電気的エネルギーに変化する発電システムであり、例えば、アノード(anode)側に水素燃料が供給され、カソード(cathode)側には酸化剤が注入され、これらの反応時に発生する化学的エネルギーを用いて電気的エネルギーに変換させる。
【0003】
このような燃料電池は、動作温度、電解質の種類によって低温型、高温型に区分されることができる。低温型は、主に自動車などに用いられるPEMFC(Proton Exchange Membrane Fuel Cell)が代表的であり、高温型は、MCFC(Molten Carbonate Fuel Cell)、SOFC(Solid Oxide Fuel Cell)、及びSOFCの逆反応を用いたSOEC(solid oxide electrolysis cell)が代表的に用いられる。
【0004】
燃料電池10は、燃料(水素)と酸化剤が持続的に注入される過程において連続的な発電が可能であり、燃料の場合、発電効率、経済性を考慮して利用率を上げなければ商業的価値を高めることができない。
【0005】
従来の燃料電池10用の分離板20、30は、燃料または酸化剤が流動する流路が提供された平板部22、32を含む。この平板部22、32には、一側端部に燃料または酸化剤が流入される入側マニホールド24、34が提供され、入側マニホールド24、34と対向して他側端部に燃料または酸化剤が排出される出側マニホールド26、36が提供される。
【0006】
このような燃料電池10用の分離板20、30は、交互に積層されてスタック形態として提供される。
【0007】
一方、従来の燃料電池10は、分離板20、30の配置形態などによって多様な方式に区分される。一例として、図1に示されているように、燃料と酸化剤が流入される方向が同一の方向に配置されるコーフロー(co−flow)方式、図2のように、燃料と酸化剤が流入される方向が反対方向に配置されるカウントフロー(count−flow)方式、及び図3のように、燃料と酸化剤が流入される方向が直角で配置されるクロスフロー(cross−flow)方式が代表的に用いられる。
【0008】
ところが、従来の燃料電池10は、分離板20、30の構造や配置形態などによって燃料及び酸化剤の流動方向と運転条件(負荷や利用率など)が決定され、これによって電気化学反応が生じる部分が決定される。
【0009】
また、従来は、分離板20、30の構造的な制約によって電気化学反応が発生する部分が一方に偏って生じる。これにより、温度勾配も一方に偏った形態で発生する。
【0010】
したがって、従来の燃料電池10は、スタック全体の熱応力分布が非対称的に形成される。これにより、燃料または酸化剤の不均一な流れまたは偏向的な流れによって発電効率が低下し、このような不均衡が持続されることにより、最終的にはスタックの熱サイクル過程においてスタックの構造的安定性に悪い影響を及ぼす要因になっている。
【0011】
そのため、最近では、図4から図6に示されているように、コーフロー(co−flow)方式、カウントフロー(count−flow)方式、及びクロスフロー(cross−flow)方式の構造的な制約を解決するための方式としてクロスシフトフロー(cross−shift flow)方式が提案された。
【0012】
クロスシフトフロー方式の燃料電池50は、奇数番目に位置する単位電池セルと偶数番目に位置する単位電池セルのマニホールド構造を交互に形成することにより、全体的な温度勾配の不均一性を低減するように提供される。
【0013】
即ち、奇数番目に位置する単位電池セル51において燃料または酸化剤が循環する分離板60、70は、一部領域が燃料または酸化剤が流入される流入マニホールド62、72で提供され、残りは燃料または酸化剤が排出される排出マニホールド64、74で提供される。
【0014】
また、偶数番目に位置する単位電池セル55において燃料または酸化剤が循環する分離板80、90は、奇数番目に位置する単位電池セル51の分離板60、70と対称に交差する流入マニホールド82、92及び排出マニホールド84、94が提供される。
【0015】
このようなクロスシフトフロー方式の燃料電池50は、温度勾配の不均一をある程度解消することができるが、流入マニホールド82、92及び排出マニホールド84、94のうち一部が該セルで詰まっている構造であるため水平方向の流動分配が悪くなる。これにより、燃料がセル面積全体に均一に供給できず、燃料電池50の全体的な性能が低下する。
【0016】
そのため、流入マニホールド82、92及び排出マニホールド84、94をいくつかに分散して配置することで、流動がより均一にセル面積全体に広がるようにした技術が開発された。
【0017】
しかし、従来のクロスシフトフロー方式の燃料電池50は、流入マニホールド62、72、82、92と排出マニホールド64、74、84、94の間を封止するために、封止材63、73、83、93が位置するため、流入マニホールド62、72、82、92から出る燃料または酸化剤がセルの反応面に流れる過程において封止材63、73、83、93が燃料または酸化剤の水平流動の拡散を妨害して、その結果、マニホールド孔が位置する部分と詰まった部分との流動偏差が存在する。
【0018】
一方、クロスシフトフロー方式の燃料電池50は、水平流動の拡散をさらに均一にするために、例えば、奇数番目に位置する単位電池セル51において燃料または酸化剤が循環する分離板60’を変形して、流入マニホールド62を中央部に位置させ、排出マニホールド64a、64bに分割形成した。
【0019】
また、例えば、偶数番目に位置する単位電池セル55において燃料または酸化剤が循環する分離板80’を変形して、流入マニホールド82を中央部に位置させ、排出マニホールド84a、84bに分割形成した。このとき、流入マニホールド82と排出マニホールド84a、84bは封止材63、83によって封止されて維持される。
【0020】
一方、図9を参考すると、従来のクロスシフトフロー方式の燃料電池50は、流入及び排出マニホールドの数が増加するにつれて、水平流動の拡散を均一に発生させることができ、これにより、封止材63、83が占める面積も増加するようになって、実際の流動が流れるための有効面積が減少するようになる。その結果、全体的な反応効率及び燃料利用率が低くなる。
【0021】
即ち、流入及び排出マニホールドの幅がLHで、封止材の幅はLSとすると、マニホールドの個数nに対する同一幅の封止材の個数は(n−1)を必要とする。
【0022】
燃料電池の有効流動面積の幅(L)は数学式1の通りである。
【数1】
【0023】
したがって、従来の燃料電池には、燃料または酸化剤の水平的分配を向上させ、燃料電池の有効流動面積(L)を減少させない構造の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
本発明の一実施例は、燃料または酸化剤の水平的分配を向上させ、有効流動面積を確保することができるように改善された燃料電池用分離板及びこれを含む燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の一側面による燃料電池用分離板は、分離板本体と、上記分離板本体の一側に提供される第1流入マニホールドと、上記分離板本体の他側に上記第1流入マニホールドと区画される空間として提供される第2流入マニホールドと、上記分離板本体の他側において上記第2流入マニホールドの外側に提供される第1排出マニホールドと、上記分離板本体の一側において上記第1流入マニホールドの外側に上記第1排出マニホールドと区画される空間として提供される第2排出マニホールドと、を含む。
【0026】
また、上記第1流入マニホールド及び上記第2流入マニホールドは上記分離板本体の少なくとも一つで提供されることができる。
【0027】
また、上記第1排出マニホールド及び上記第2排出マニホールドは上記分離板本体の幅方向に長い形態で延長形成されることができる。
【0028】
また、上記分離板本体には、内部に上記第1流入マニホールドと上記第1排出マニホールドの間に循環流路が形成されることができる。
【0029】
また、本発明の他の側面による少なくとも一つの単位セルユニットが積層されて提供される燃料電池において、上記単位セルユニットは、上述の複数の燃料電池用分離板を含み、上記燃料電池用分離板は、垂直に交差して積層されて、燃料または酸化剤であるガスが交差して循環するように提供されることができる。
【0030】
また、上記燃料電池用分離板の本体には、内部に上記第1流入マニホールドと上記第1排出マニホールドの間に循環流路が形成されることができる。
【0031】
また、上記循環流路は、上記第1流入マニホールドから供給されたガスが上記第2流入マニホールドの間を通過して上記第1排出マニホールドに排出されるように提供されることができる。
【0032】
上記燃料電池用分離板は、上記第2流入マニホールドが他の分離板の第1流入マニホールドと封止されて連係され、上記第2排出マニホールドは、他の分離板の第1排出マニホールドと封止されて連係されることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の一実施例によると、流入マニホールドと排出マニホールドが2列で配置されることにより、流入マニホールドから出た燃料または酸化剤が拡散されることができる余裕空間が確保されるため、有効面積を確保することができ、水平分配が向上し、排出マニホールドが一つに連結されることにより、反応に伴う流量変化などによる排出マニホールドで発生しかねない流動が偏る現象を減少させることができる。これにより、本実施例の燃料電池は、全体的な水平的分配の向上、有効面積の確保、及び流動の偏りの減少により、全体的な燃料の反応効率及び利用率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】従来技術によるコーフロー(co−flow)方式の燃料電池の動作例示図である。
図2】従来技術によるカウントフロー(count−flow)方式の燃料電池の動作例示図である。
図3】従来技術によるクロスフロー(cross−flow)方式の燃料電池の動作例示図である。
図4】従来技術によるクロスシフトフロー(cross−shift flow)方式の燃料電池の斜視図である。
図5】従来技術によるクロスシフトフロー(cross−shift flow)方式の燃料電池の奇数番目の分離板を示す平面図である。
図6】従来技術によるクロスシフトフロー(cross−shift flow)方式の燃料電池の偶数番目の分離板を示す平面図である。
図7】従来技術によるクロスシフトフロー(cross−shift flow)方式の燃料電池の分離板を変形して示した平面図である。
図8】従来技術によるクロスシフトフロー(cross−shift flow)方式の燃料電池の他の分離板を変形して示した平面図である。
図9】従来技術によるクロスシフトフロー(cross−shift flow)方式の燃料電池の有効流動面積を示す図面である。
図10】本発明の一実施例による燃料電池用分離板を示す平面図である。
図11】本発明の一実施例による燃料電池用分離板の反応領域を図式的に示した図面である。
図12】本発明の他の実施例による燃料電池用分離板を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施例について説明する。しかし、本発明の実施例は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施例に限定されない。また、本発明の実施例は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。なお、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0036】
図10は本発明の一実施例による燃料電池用分離板を示す平面図である。
【0037】
図10を参考にすると、本実施例の燃料電池100は、少なくとも一つの単位セルユニットが積層されて提供されることができる。例えば、燃料電池100は、分離板、セル、分離板、セルなどのような構造で交互に積層されるスタック構造で提供されることができる。
【0038】
このような単位セルユニットは、少なくとも一つの分離板110、120を含み、分離板110、120に供給される燃料と酸化剤の酸化、還元反応によってエネルギーを生産することができる。
【0039】
本実施例において、燃料電池100は、各単位セルユニットの分離板110、120が交互に積層され、且つ偶数番目に位置する分離板110、120が互いに連結され、奇数番目に位置する分離板110、120が互いに連結される構造で提供されることができる。
【0040】
また、本実施例の燃料電池100は、一例として、固体酸化物燃料電池(Solid oxide fuel cell、SOFC)であってよい。
【0041】
このような燃料電池100に活用される単位セルユニットは、供給される電圧を増加させるために、積層されて連結されることができる。
【0042】
燃料電池100は、燃料と酸化剤を分離して供給及び排出するための分離板110、120の他にも、分離板において燃料と酸化剤を区分するように提供される電解質膜と、電解質膜を基準に両側に提供されるアノード(anode)及びカソード(cathode)電極と、を含む。
【0043】
より詳細には、本実施例において、燃料電池100は、燃料の供給が行われる燃料用分離板110を含み、この燃料用分離板110には酸化剤の供給が行われる酸化剤用分離板120が連係されることができる。
【0044】
燃料用分離板110と酸化剤用分離板120は垂直に交差するように提供される。これにより、燃料または酸化剤が互いに直交した方向に交差しながら循環するように提供されることができる。
【0045】
一方、分離板110、120は、燃料または酸化剤の移動を案内するために、内部に循環流路が備えられる分離板本体である平面板を含むことができる。
【0046】
また、分離板110、120本体の一側には、燃料または酸化剤であるガスが供給される第1流入マニホールド112、122が提供されることができる。
【0047】
なお、分離板110、120本体の他側には、第1流入マニホールド112、122と区画される空間として提供される第2流入マニホールド116、126が連係されることができる。第2流入マニホールド116、126は、分離板本体の他側に封止材などを用いて封止されて提供されることができる。よって、分離板110、120にはガスを供給せず、これと連結される他の分離板110、120の第1流入マニホールド112、122と連結されてガスを供給することができる。
【0048】
さらに、分離板110、120本体の他側、即ち、セルの有効反応領域を通過した反対側の領域には、第1流入マニホールド112、122から供給されたガスが第2流入マニホールド116、126の間を通過して排出される第1排出マニホールド114、124が提供されることができる。
【0049】
また、分離板110、120本体の一側には、第1流入マニホールド112、122の外側に第1排出マニホールド114、124と区画される空間として第2排出マニホールド118、128が提供されることができる。
【0050】
なお、分離板110、120本体の一側には、第1流入マニホールド112、122の外側に第2排出マニホールド118、128が封止材などを用いて封止されて提供されることができる。第2排出マニホールド118、128は、他の分離板の第1排出マニホールド114、124と連係されることができる。よって、分離板110、120にはガスの排出が行われず、これと連結される他の分離板110、120の第1排出マニホールド114、124と連結されてガスを排出するようになる。
【0051】
本実施例において、第1流入マニホールド112、122は、分離板本体の一側に少なくとも一つで提供されることができる。好ましくは、本実施例において、第1流入マニホールド112、122は、2つで提供されることができ、互いに一定間隔離れて提供されることができる。
【0052】
また、第1排出マニホールド114、124は、分離板本体の他側に幅方向に長い形態で延長されて形成されることができる。即ち、本実施例において、第1排出マニホールド114、124は、一つの孔形態で提供され、幅方向に対して長いスロット孔で提供されることができる。
【0053】
したがって、第1排出マニホールド114、124は、セル内部において電気化学反応をした燃料または酸化剤を第2排出マニホールド118、128に迅速に排出することができる。これにより、出口側において流動が偏る現象などの発生を防止し、瓶首現象が発生しないため、流量抵抗を最小化することができる。
【0054】
一方、第1排出マニホールド114、124の内側には、他の分離板110、120の第1流入マニホールド112、122と連係される第2流入マニホールド116、126が備えられることができる。このような第2流入マニホールド116、126は、燃料または酸化剤であるガスを他の分離板110、120の第1流入マニホールド112、122に供給する通路として提供されることができる。
【0055】
また、第1流入マニホールド112、122の外側には、他の分離板110、120の第1排出マニホールド114、124と連係される第2排出マニホールド118、128が備えられることができる。
【0056】
このように、本実施例において、分離板本体の両側には、第2排出マニホールド118、128と第1流入マニホールド112、122、及び第2流入マニホールド116、126と第1排出マニホールド114、124がそれぞれ2列に配置される形態で提供されることができる。
【0057】
したがって、第1流入マニホールド112、122から供給された燃料または酸化剤であるガスは、第1排出マニホールド114、124に排出される過程において第2流入マニホールド116、126の間の空間を通過しながら移動する。
【0058】
一方、本実施例において、燃料は水素ガスを含むことができる。また、酸化剤は酸素ガスを含むことができる。
【0059】
さらに、酸素ガスは、純酸素が用いられることもでき、本実施例では、酸素ガスを含む大気、即ち、空気を用いることもできる。
【0060】
一方、本実施例において、分離板110、120は、隣接した他の分離板110、120と電解質膜を介して積層されることができる。
【0061】
このとき、一方の分離板110では燃料が循環し、他方の分離板120では酸化剤が循環することができる。ここで、電解質膜は、燃料と酸化剤の透過を遮断し、電子伝導性はないが、酸素イオンまたは水素イオンのいずれか一つは透過されることができる。
【0062】
これにより、一方のセルを通過する燃料は他方のセルの酸化剤と電気化学反応を行うことで、原料である水素イオンまたは酸化剤である酸素イオンのいずれか一つが電解質膜を通過し、酸化、還元反応によって水(HO)を生成し、この過程において電子を発生させる。このような反応過程は、以下の化学式1または化学式2の通りである。
【0063】
【化1】
【0064】
【化2】
【0065】
上述の本実施例の燃料電池100は、分離板110、120の第1流入マニホールド112、122から供給された燃料または酸化剤であるガスの有効通過面積を減少させず、流動水平勾配を改善して、実質的な循環流量を増加させることができる。これにより、燃料利用率及び反応性を増加させることができる。
【0066】
図11は本発明の一実施例による燃料電池の分離板の反応領域を図式的に示した図面である。
【0067】
一方、本実施例において、燃料電池100用分離板110、120には、2つの第1流入マニホールド112、122に流入されたガスが一つの第1排出マニホールド114、124に排出される過程において反応領域が形成されることができる。
【0068】
このような本実施例の燃料電池100において、分離板110、120には、第1流入マニホールド112、122及びこれに対応する一つの第1排出マニホールド114、124が形成され、第1流入マニホールド112から供給されたガスは第1排出マニホールド114に排出され、第1流入マニホールド122から供給されたガスは第1排出マニホールド124に排出される。また、他の分離板110、120には、第1流入マニホールド112、122及びこれに対応する一つの第1排出マニホールド114、124と連結される第2流入マニホールド116、126及び第2排出マニホールド118、128が形成されるように説明されているが、本実施例によって限定されず、多様な形態で変形されることができる。
【0069】
一例として、図12を参考にすると、燃料電池100の分離板110、120には、他の分離板の第2流入マニホールド116、126と連結される3つの第1流入マニホールド112、122に流入された燃料または酸化剤が一つの第1排出マニホールド114、124に排出されることができる。また、第1排出マニホールド114、124がそれぞれ他の分離板の第2排出マニホールド118、128と連結されることができる。
【0070】
このように、本実施例において、第1流入マニホールド112、122及び第1排出マニホールド114、124は、従来の交互に配列される構造とは異なり、順に2列で配置される構造からなることにより、前列では燃料または酸化剤が供給され、反応領域を通過して、後列では反応後の燃料または酸化剤が排出される構造で提供されることができる。
【0071】
また、分離板110、120は、他の分離板と垂直に交差するように提供される。これにより、一方の分離板(一例として110)では燃料が循環し、他方の分離板(一例として120)では酸化剤が、燃料が直交する方向に循環するように提供されることができる。
【0072】
また、分離板110、120には、燃料または酸化剤の循環を案内するための案内突起119が形成されることもできる。
【0073】
一方、本実施例において、燃料電池100に提供される各マニホールドの連結位置は視覚的な理解を助けるために示したもので、各マニホールドの連結位置は限定されず、多様な形態で変形されることができる。一例として、各マニホールドは下部を通じて連結されることもできる。具体的には、各分離板110、120に連係される第1流入マニホールド112、122と第1排出マニホールド114、124、及び第2流入マニホールド116、126と第2排出マニホールド118、128は、分離板110、120の下部を通じて連結されることができる。このとき、他の分離板を通過するように連係されることができる。
【0074】
本発明は、上述の実施例及び添付の図面によって限定されず、請求範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
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図12