(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180546
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】電気的な差込み接続部用のシールド装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/631 20060101AFI20170807BHJP
H01R 13/6581 20110101ALI20170807BHJP
【FI】
H01R13/631
H01R13/6581
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-553038(P2015-553038)
(86)(22)【出願日】2014年1月2日
(65)【公表番号】特表2016-507873(P2016-507873A)
(43)【公表日】2016年3月10日
(86)【国際出願番号】EP2014050015
(87)【国際公開番号】WO2014111271
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2015年7月17日
(31)【優先権主張番号】102013200810.4
(32)【優先日】2013年1月18日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ザウア
(72)【発明者】
【氏名】マークス ルクス
【審査官】
楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−178844(JP,A)
【文献】
米国特許第4227765(US,A)
【文献】
米国特許第5641294(US,A)
【文献】
特開2003−123914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/648〜13/6599
H01R 13/631
H01R 24/38 〜24/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的な差込み接続部(10)用の電気的なシールド装置(20)であって、
前記シールド装置(20)は、第1のシールドエレメント(22)と第2のシールドエレメント(24)とを含み、
前記第1のシールドエレメント(22)と前記第2のシールドエレメント(24)とは、互いに差し込まれて、両シールドエレメント(22,24)が機械的にかつ電気的に接続されるように形成されている、
電気的な差込み接続部用の電気的なシールド装置(20)において、
前記第2のシールドエレメント(24)は、互いに対して相対的に移動可能であるベースボディ(28)とコンタクティングボディ(26)とを含み、
前記電気的なシールド装置(20)は、フレキシブルなエレメント(30)を含み、該フレキシブルなエレメント(30)によって前記ベースボディ(28)と前記コンタクティングボディ(26)とが互いに機械的に連結されており、
前記フレキシブルなエレメント(30)は、差し込み方向の振動運動もしくは振動を吸収することができ、
前記第2のシールドエレメント(24)の前記コンタクティングボディ(26)は第1の管状の部分(42)と、該第1の管状の部分(42)よりも小さな直径を有する第2の管状の部分(44)を含み、
前記第2のシールドエレメント(24)の前記ベースボディ(28)は管状の部分(46)を含み、該管状の部分(46)は前記コンタクティングボディ(26)に設けられた前記第2の管状の部分(44)に被せ嵌められていて、該第2の管状の部分(44)に対して相対的に可動であり、
前記コンタクティングボディ(26)の前記第1の管状の部分(42)と前記ベースボディ(28)の前記管状の部分(46)との間には、間隔が存在していて、遊び嵌めもしくはすき間嵌め(48)を形成している、
ことを特徴とする、電気的な差込み接続部用の電気的なシールド装置(20)。
【請求項2】
前記フレキシブルなエレメント(30)は、前記ベースボディ(28)と前記コンタクティングボディ(26)とを少なくとも部分的に取り囲むフレキシブルなバンドを含む、請求項1記載の電気的なシールド装置(20)。
【請求項3】
前記フレキシブルなエレメント(30)は、ばねエレメントを含む、請求項1または2記載の電気的なシールド装置(20)。
【請求項4】
前記フレキシブルなエレメント(30)は、前記コンタクティングボディ(26)と前記ベースボディ(28)とに結合されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の電気的なシールド装置(20)。
【請求項5】
前記コンタクティングボディ(26)と前記ベースボディ(28)との間に、前記第1のシールドエレメント(22)と前記第2のシールドエレメント(24)とを嵌め合わせるときに前記コンタクティングボディ(26)に対する相対的な前記ベースボディ(28)の動きを制限するストッパ(38)が形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の電気的なシールド装置(20)。
【請求項6】
前記第1のシールドエレメント(22)は管状の部分(40)を含み、前記第2のシールドエレメント(24)の前記第1の管状の部分(42)は、前記第1のシールドエレメント(22)の前記管状の部分(40)に被さってクランプ可能であり、これにより前記第1のシールドエレメント(22)と前記第2のシールドエレメント(24)との間の機械的および電気的な接続が形成可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の電気的なシールド装置(20)。
【請求項7】
前記第2のシールドエレメント(24)の前記ベースボディ(28)は開口(52)を含み、該開口(52)内に、前記コンタクティングボディ(26)に設けられた管状の部分(44,42)が収容されていて、前記開口(52)内で可動である、請求項1から6までのいずれか1項記載の電気的なシールド装置(20)。
【請求項8】
第1の電気的なコンタクト(16)と第2の電気的なコンタクト(18)との間の電気的な接続を形成する電気的な差込み接続部(10)であって、
前記電気的な差込み接続部(10)は、前記第1の電気的なコンタクト(16)を備えた第1の差込みコンポーネント(12)と、前記第2の電気的なコンタクト(18)を備えた第2の差込みコンポーネント(14)とを含み、
前記第1の差込みコンポーネント(12)と前記第2の差込みコンポーネント(14)とは、互いに差し込まれて、前記第1の電気的なコンタクト(16)と前記第2の電気的なコンタクト(18)との間の電気的な接続が形成されるように構成されており、
前記電気的な差込み接続部(10)は、請求項1から7までのいずれか1項記載の電気的なシールド装置(20)を含み、該電気的なシールド装置(20)において、前記第1のシールドエレメント(22)が、前記第1の差込みコンポーネント(12)に取り付けられており、前記第2のシールドエレメント(24)が、前記第2の差込みコンポーネント(14)に取り付けられていて、前記両差込みコンポーネント(12,14)が差し込まれると、前記第1のシールドエレメント(22)と前記第2のシールドエレメント(24)とが互いに差し込まれ、かつ前記第1の電気的なコンタクト(16)と前記第2の電気的なコンタクト(18)とから形成された電気的な接続部用の電気的なシールドを形成するようになっている、
ことを特徴とする、電気的な差込み接続部(10)。
【請求項9】
前記第1の差込みコンポーネント(12)は車両の電気的な装置に取り付けられており、前記第2の差込みコンポーネント(14)は車両のワイヤハーネスに設けられたコネクタである、請求項8記載の電気的な差込み接続部(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、電気的なシールド装置および電気的な差込み接続部に関する。
【0002】
発明の背景
車両における差込み接続部は、車両の別のコンポーネント、たとえば制御装置またはラジオを、電磁放射線に対して防護するために、部分的にシールドされなければならない。たとえば、シールドされた差込み接続部の両差込みコンポーネント(たとえばプラグアンドソケット)は、シールドエレメントを含み、これらのシールドエレメントは、差込み接続部の嵌め合わせの際に互いに差し込まれ、そしてその内部に、差し込まれた電気的なコンタクトを収容する。両シールドエレメントの電気的な接続は、両シールドエレメントのコンタクティング個所を介しても行なわれ得る。
【0003】
車両の運転中では、差込み接続部が著しい振動負荷にさらされる恐れがある。この振動負荷に基づき、シールドされた差込み接続部においては、シールドエレメントが互いに対して相対的に動く恐れがある。このことは、シールドエレメントのコンタクティング個所における摩耗を生ぜしめ、ひいては両シールドエレメントの間の高められた接触抵抗をもたらす恐れがある。このことは、シールド部および/または差込み接続部の早期故障を招く恐れがある。
【0004】
発明の要約
本発明の課題は、振動負荷にさらされている電気的な接続部のための長寿命のシールド装置を提供することである。
【0005】
この課題は、独立形式の各請求項の対象により解決される。本発明の別の実施態様は、従属形式の各請求項および以下の説明から明らかとなる。
【0006】
本発明の対象は、電気的な差込み接続部用の電気的なシールド装置に関する。この電気的なシールド装置は、その内部で電気的な接続部をシールドするために構成されており、すなわち電気的な接続部により放射される電磁放射線を周辺環境に対して少なくとも減衰させるために構成されている。
【0007】
本発明の構成では、シールド装置が、第1のシールドエレメントと第2のシールドエレメントとを含み、この場合、第1のシールドエレメントと第2のシールドエレメントとは、互いに差し込まれて、両シールドエレメントが機械的にかつ電気的に接続されるように形成されている。両シールドエレメントは、導電性の材料、たとえば銅から成るボディを含んでいてよく、このボディは電気的な接続部を少なくとも部分的に取り囲む。シールドエレメントはシールド金属薄板として形成されていてよい。
【0008】
たとえば、シールドエレメントは差込み接続部の差込みコンポーネントに取り付けられていてよく、差込み接続部の嵌め合わせの際に差込み接続部の電気的なコンタクトと同時に差し合わされるようになっている。第1のシールドエレメントと第2のシールドエレメントとは、嵌め合わせの際にコンタクティング個所を介して互いに接続され得る。このコンタクティング個所では、第2のシールドエレメントが第1のシールドエレメント内にクランプされる。
【0009】
第2のシールドエレメントは、互いに対して相対的に移動可能であるベースボディとコンタクティングボディとを含む。ベースボディは、差込みコンポーネントと機械的に剛性的に結合されるように形成されていてよい。コンタクティングボディは、第1のシールドエレメント用のコンタクティング個所を支持していてよい。
【0010】
さらに、この電気的なシールド装置は、フレキシブルなエレメントを含む。このフレキシブルなエレメントによって、ベースボディとコンタクティングボディとは互いに機械的に連結されている。両シールドエレメントのうちの少なくともいずれか一方のシールドエレメントは、フレキシブルな機械的な接続部を有し、このフレキシブルな機械的な接続部は、振動運動もしくは振動を吸収することができ、これによりコンタクト個所に加えられる負荷を軽減し、かつ/またはコンタクト個所を相対運動に対して保護することができる。フレキシブルなエレメントは、導電性であってもよく、かつ/またはベースボディとコンタクティングボディとを電気的にカップリングすることができる。
【0011】
言い換えれば、第2のシールドエレメントは2つの部分から形成されている。この場合、第1のシールドエレメント用のコンタクティング個所は、ベースボディとは分離されていて、フレキシブルなエレメントに結合されている。これにより、コンタクティング個所はその他のシールド部から機械的に分離される。こうして、相対運動、ひいてはコンタクティング個所の早期の摩耗が回避され得る。
【0012】
本発明の1実施態様では、フレキシブルなエレメントが、ベースボディとコンタクティングボディとを少なくとも部分的に取り囲むフレキシブルなバンドを含む。このフレキシブルなエレメントは、導電性の織布または導電性の編状体から成るチューブまたはバンドを含んでいてよい。
【0013】
本発明の別の実施態様では、フレキシブルなエレメントが、ばねエレメントを含む。このばねエレメントは、たとえば金属薄板のストリップを含んでいてよい。このストリップは、ばね作用を有するように曲げられている。たとえば、ストリップはS字形に曲げられていてよい。
【0014】
本発明のさらに別の実施態様では、フレキシブルなエレメントが、管路もしくはケーブルを含む。管路もしくはケーブルは、たとえばろう接、溶接またはリベット締結により、ベースボディとコンタクティングボディとに結合されていてよい。
【0015】
本発明のさらに別の実施態様では、フレキシブルなエレメントが、コンタクティングボディとベースボディとに結合されている。フレキシブルなバンドも、ばねエレメントも、管路も、その一方の端部がコンタクティングボディに取り付けられていて、その他方の端部がベースボディに取り付けられていてよい。たとえば、フレキシブルなエレメントはこれらの個所にろう接され、かつ/または溶接されていてよい。
【0016】
本発明のさらに別の実施態様では、コンタクティングボディとベースボディとの間に、第1のシールドエレメントと第2のシールドエレメントとを嵌め合わせる際のコンタクティングボディの方向におけるベースボディの動きを制限するストッパが形成されている。このストッパは、たとえばベースボディの縁部によって形成されていてよく、この縁部はコンタクティングボディに設けられた段部に載着され得る。また、ストッパを、コンタクティングボディに設けられた突出部によって形成し、この突出部をベースボディに載着させることも可能である。このリミットストッパを用いて、差込み時における過剰押圧に対してシールド装置を防護することができる。
【0017】
本発明のさらに別の実施態様では、第1のシールドエレメントが管状の部分を含み、第2のシールドエレメントのコンタクティングボディが別の管状の部分を含み、この別の管状の部分は、第1のシールドエレメントの前記管状の部分に被さってクランプ可能であり、これにより第1のシールドエレメントと第2のシールドエレメントとの間の機械的および電気的な接続が形成可能である。両シールドエレメントは、互いに差し込まれかつ互いにクランプされ得る管状の領域もしくは管状の部分を有していてよい。
【0018】
本発明のさらに別の実施態様では、第2のシールドエレメントのベースボディが、管状の部分を含み、この管状の部分はコンタクティングエレメントもしくはコンタクティングボディに設けられた管状の部分に差し被されていて、この管状の部分に対して相対的に可動である。第2のシールドエレメントの両部分は、オーバラップする領域(すなわち、すき間嵌めの領域)により、互いに対して位置決めされ得る。コンタクティングエレメントの管状の部分は、全ての方向においてベースボディに対して可動であってよい。
【0019】
本発明のさらに別の実施態様では、第2のシールドエレメントのベースボディが開口を含み、この開口内に、コンタクティングボディに設けられた管状の部分が収容されていて、前記開口内で可動である。たとえば、ベースボディは管状の部分を備えた開口を提供することができる。また、ベースボディが平坦な金属薄板を含むことも可能である。その場合、この平坦な金属薄板によってコンタクティングボディは、平坦な金属薄板に対して相対的に全ての方向に動かされ得るように案内されている。
【0020】
本発明の別の対象は、第1の電気的なコンタクトと第2の電気的なコンタクトとの間の電気的な接続を形成する電気的な差込み接続部である。たとえば、この差込み接続部は、車両のユニット、たとえば電気的な駆動装置を、車両の別のコンポーネント、たとえばバッテリに接続するために設計されていてよい。
【0021】
本発明の1実施態様では、この電気的な差込み接続部が、第1の電気的なコンタクトを備えた第1の差込みコンポーネントと、前記第2の電気的なコンタクトを備えた第2の差込みコンポーネントとを含み、この場合、第1の差込みコンポーネントと第2の差込みコンポーネントとは、互いに差し込まれて、第1の電気的なコンタクトと第2の電気的なコンタクトとの間の電気的な接続が形成されるように構成されている。
【0022】
本発明の1実施態様では、この電気的な差込み接続部が、上で説明したような、もしくは以下に説明するようなシールド装置を含む。このシールド装置において、第1のシールドエレメントが、第1の差込みコンポーネントに取り付けられており、第2のシールドエレメントが、第2の差込みコンポーネントに取り付けられているので、両差込みコンポーネントが差し合わされると、第1のシールドエレメントと第2のシールドエレメントとは互いに差し込まれ、かつ第1の電気的なコンタクトと第2の電気的なコンタクトとから形成された電気的な接続部用の電気的なシールドを形成するようになっている。このようなシールドされた差込み接続部は、比較的高い振動特性を有する取付け個所において、たとえば電気的な駆動装置において直接に使用され得る。
【0023】
本発明の別の実施態様では、第1の差込みコンポーネントが車両の電気的な装置もしくは電気的なユニットに取り付けられている。第2の差込みコンポーネントは車両のワイヤハーネスに設けられたコネクタであってよい。しかし一般に、2つの部分から成るシールドエレメントもしくはコンタクティング個所は、ユニット側またはコネクタ側に設けられていてよい。
【0024】
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の1実施形態による差込み接続部の概略的な横断面図である。
【
図2】本発明の別の実施形態によるシールド装置の横断面図である。
【
図3】
図2に示したシールド装置を三次元で示す斜視図である。
【0026】
図1には、差込み接続部10が示されている。この差込み接続部10は2つの差込みコンポーネント12,14を含み、両差込みコンポーネント12,14は、それぞれピン16および対応するコンタクト18の形のコンタクトエレメント16,18を有する。
【0027】
一方の差込みコンポーネント12は、車両の制御装置もしくはユニット、たとえば電気的な駆動装置に、たとえば機械的に接続されている。他方の差込みコンポーネント14は、たとえば車両のワイヤハーネスに接続されているワイヤハーネスコネクタ14である。
【0028】
両コンタクトエレメント16,18は、1つのシールド装置20によって取り囲まれている。シールド装置20は第1のシールドエレメント22を含み、この第1のシールドエレメント22は一方の差込みコンポーネント12に(機械的に剛性的に)結合されている。この第1のシールドエレメント22は、制御装置側もしくはユニット側のシールドとして用いられる。
【0029】
第1のシールドエレメント22は、両コンタクトエレメント16,18の間のコンタクト個所を取り囲んでおり、このコンタクト個所によって両コンタクトエレメント16,18の間の電気的な接続が形成される。この電気的な接続を用いて、たとえば電気的な信号および/または電流、たとえば高い出力の電流も、導通され得る。たとえば、この電気的な接続は、車両の電気的な駆動装置に電流を導くために用いることができる。
【0030】
さらに、シールド装置20は第2のシールドエレメント24を含む。この第2のシールドエレメント24は2つの部分から形成されていて、コンタクティングボディ26とベースボディ28とを含む。コンタクティングボディ26とベースボディ28とは、フレキシブルなエレメント30によって機械的に連結されている。ベースボディ28とコンタクティングボディ26とは、互いに対して相対的に動かされ得るが、しかしフレキシブルなエレメント30を介して互いに機械的に連結されている。
【0031】
第2のシールドエレメント24は、ワイヤハーネス側のシールドとして働き、ベースボディ28を介して他方の差込みコンポーネント14に(機械的に剛性的に)結合されている。したがって、コンタクティングボディ26は、フレキシブルなエレメント30を介して他方の差込みコンポーネント14とフレキシブルに連結されている。
【0032】
コンタクティングボディ26はコンタクティング個所32もしくはコンタクティング領域32を有する。このコンタクティング個所32もしくはコンタクティング領域32を介して、コンタクティングボディ26は第1のシールドエレメント22と機械的に連結されている。コンタクティング個所32もしくはコンタクティング領域32は、たとえばクランプであってよい。
【0033】
コンタクティングボディ26を第1のシールドエレメント22に保持するコンタクティング個所32の力(たとえばクランプ力および/または摩擦力)は、フレキシブルなエレメント30を変形させるために必要となる力よりも大きく形成されている。
【0034】
コンタクトエレメント16,18と同様に、シールドエレメント22,24および特にコンタクティングボディ26とベースボディ28とフレキシブルなエレメント30とは、導電性の材料、たとえば銅から製作されている。
【0035】
両シールドエレメント22,24は、互いに導電接続されていて(ただしコンタクトエレメント16,18からは絶縁されている)、アースに接続されている。この場合、ベースボディ28は他方の差込みコンポーネント14に設けられたアース導体34に電気的に接続されており、コンタクティングボディ26はフレキシブルなエレメント30を介してベースボディ28に電気的に接続されており、第1のシールドエレメント22はコンタクティング個所32を介してコンタクティングボディ26に電気的に接続されており、そして第1のシールドエレメント22は一方の差込みコンポーネント12のアース導体36に接続されている。
【0036】
ベースボディ28とコンタクティングボディ26との間には、終端ストッパもしくはリミットストッパ38が設けられている。このリミットストッパ38は、コンタクティングボディ26に対して相対的なベースボディ28の移動方向を制限するために用いられる。こうして、コンタクティングボディ26はベースボディ28によって第1のシールドエレメント22に差し被せられる。差込み接続部の過剰押圧も阻止される。
【0037】
図1に示したように、第1のシールドエレメント22は、コンタクトエレメント16を取り囲む管状の部分40を含む。
【0038】
第2のシールドエレメント24のコンタクティングボディ26は、管状の部分42を含む。この管状の部分42は第1のシールドエレメント22の一部を取り囲み、したがってシールドスリーブ42であると解釈され得る。管状の部分42の内側は、コンタクティング個所32を有する。
【0039】
コンタクティングボディ26は、別の第2の管状の部分44を有する。この第2の管状の部分44は、第1の管状の部分42よりも小さな直径を有していてよい。両管状の部分42,44は互いに剛性的に結合されている。
【0040】
ベースボディ28は管状の部分46を有する。この管状の部分46は、コンタクティングボディ26の第1の管状の部分42と同じ直径を有していてよい。ベースボディ28の管状の部分46は、コンタクティングボディ26の第2の管状の部分44に押し被せられている。両管状の部分44,46の間には、小さな間隔が存在していて、遊び嵌めもしくはすき間嵌め48を形成している。
【0041】
一般に、コンタクティングボディ26はベースボディ28に設けられた開口52内に収容されている。この開口52は管状の部分46によって提供される。
【0042】
リミットストッパ38は、コンタクティングボディ26の第1の管状の部分42の縁部48と、ベースボディ28の管状の部分46の縁部50とによって形成されている。
【0043】
フレキシブルなエレメント30は、チューブおよび/またはバンドであってよい。このチューブまたはバンドは、ベースボディ28とコンタクティングボディ26とに結合されている。たとえば1つのチューブによって、ベースボディ28とコンタクティングボディ26とが取り囲まれていてよい。
【0044】
図2には、シールド装置20の別の実施形態が示されている。
図1に示した実施形態とは異なり、第2のシールドエレメント24のベースボディ28は部分的に平坦な金属薄板として形成されている。この金属薄板は、管状の部分40,42の延在方向に対してほぼ直交するように延びている。この金属薄板は開口52を有し、この開口52内には、コンタクティングボディ26が可動に収容されている。
【0045】
フレキシブルなエレメント30は、ばねエレメント30として形成されている。このばねエレメント30は、ベースボディ28に対して相対的なコンタクティングボディ26の三次元的な動きを可能にするように成形されている。このばねエレメント30は、コンタクティングボディ26の外側から突出している。
【0046】
ばねエレメント30は、たとえばS字形に曲げられた金属薄板ストリップとして形成されている。この金属薄板ストリップは、コンタクティングボディ26の金属薄板材料から成形されていてよい。ばねエレメント30は、たとえば溶接によってベースボディ28に固定されている。しかし、ばねエレメント30が単にベースボディ28に載置されていることも可能である。
【0047】
第1のシールドエレメント22とコンタクティングボディ26とは、多数のコンタクティング個所32を有する。これらのコンタクティング個所32によって、コンタクティングボディ26は第1のシールドエレメント22に被さってクランプされ得る。
【0048】
ストッパ38が、突出部54を備えて形成されている。この突出部54はコンタクティングボディ26の外側から突出している。ばねエレメント30と同様に、ストッパ38は金属薄板ストリップであってよく、この金属薄板ストリップはコンタクティングボディ26の金属薄板材料から成形されていてよい。
【0049】
図3から判るように、シールド装置20が、多数のばねエレメント30および/または多数の突出部54を有していてよい。
【0050】
念のため付言しておくと、本明細書において、「含む」とは、別の構成要素または別のステップの存在を排除するものではなく、「1つの」または「1個の」は複数の存在を排除するものではない。さらに付言しておくと、上記実施形態のうちの1つにつき説明した特徴またはステップは、上で説明した別の実施形態の別の特徴またはステップと組み合わされた形でも使用され得る。特許請求の範囲中の参照符号は、本発明を制限するものではない。