【氏名又は名称原語表記】SUZHOU INSTITUTE OF NANO−TECH AND NANO−BIONICS(SINANO),CHINESE ACADEMY OF SCIENCE
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一つの前記フレキシブル基板の材料が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン(Nylon)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)、又は高分子ゴム材料の中の一種、或いは多種の組合せであることを特徴とする請求項1に記載のピエゾ抵抗型の電子皮膚。
前記ポリジメチルシロキサン薄膜の少なくとも一面にパターンを有し、前記パターンのサイズが0.1〜500μmであり、単位平方センチメートル内における前記パターンの数が1〜1012であることを特徴とする請求項2に記載のピエゾ抵抗型の電子皮膚。
前記導電層がカーボンナノチューブ薄膜を含み、前記カーボンナノチューブ薄膜が、主にカーボンナノチューブが互いに交差してなる立体網状物からなることを特徴とする請求項1に記載のピエゾ抵抗型の電子皮膚。
前記カーボンナノチューブ薄膜は、厚さが通常10nm〜500nm程度であり、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、及び多層カーボンナノチューブの中の一種、又は多種が複合して形成され、前記単層カーボンナノチューブは、金属性の単層カーボンナノチューブ、半導体性の単層カーボンナノチューブ、又は金属性及び半導体性の単層カーボンナノチューブを同時に含む混合単層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項7に記載のピエゾ抵抗型の電子皮膚。
前記導電層は、銅、銀、及び金の中のいずれかの導電金属、又は半導体材料の一種または二種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のピエゾ抵抗型の電子皮膚。
前記有機高分子材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン(Nylon)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)、PDMS、又は高分子ゴム材料の中の一種、或いは多種の組合せであることを特徴とする請求項1に記載のピエゾ抵抗型の電子皮膚。
前記導電極は、金、プラチナ、ニッケル、銀、インジウム、銅、カーボンナノチューブ、及びグラフェンの中のいずれか一種の材料または二種以上の材料を組合せてなることを特徴とする請求項1に記載のピエゾ抵抗型の電子皮膚。
積層された複数のフレキシブル基板と、隣接するフレキシブル基板の接触表面に設けられた導電層と、前記導電層に電気的に接続された導電極と、を備え、少なくとも一つの前記導電層の接触面が非平面構造である請求項1乃至11のいずれかに記載のピエゾ抵抗型の電子皮膚と、
ピエゾ抵抗型の電子皮膚からの信号を受信し、処理後の信号を表示モジュールに送信するデータ処理モジュールと、
データ処理モジュールからの信号を受信して表示する表示モジュールと、
を備えることを特徴とする音声識別システム。
積層された複数のフレキシブル基板と、隣接するフレキシブル基板の接触表面に設けられた導電層と、前記導電層に電気的に接続された導電極と、を備え、少なくとも一つの前記導電層の接触面が非平面構造である請求項1乃至11のいずれかに記載のピエゾ抵抗型の電子皮膚と、
前記ピエゾ抵抗型の電子皮膚からの信号をフィルタリングして、有効な脈拍信号を得るフィルター回路と、
前記有効な脈拍信号を増幅した後A/D変換回路に送信する増幅回路と、
A/D変換回路からの信号を受信して表示する表示装置と、
を備えることを特徴とする脈拍検出システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ナノ構造を有し、超薄、軽量、柔軟性が人体皮膚に近い電子皮膚は、ウェアラブルデバイスを構築する理想的な材料である。最近、世界で公認されている学術雑誌Natureには、OFET構造の超薄型(2μm)の電子皮膚が発表されており、該電子皮膚は、羽根より軽く、揉み・伸縮後に依然と使用可能である。しかし、該電子皮膚は、OFETの電荷担体のモビリティーが低いため、動作電圧が高く、消費電力が大きく、感度が低いという欠点がある。
また、通信技術の速やかな発展とコンピュータ技術の進歩に伴って、音声識別は、非常に注目される知能的なマンマシン会話の先端技術となっており、音声学、発音メカニズム学、マイクロエレクトロニクス技術、コンピュータ情報処理技術、音声信号処理技術、回路とシステム及びセンサー技術などの複数学科の総合的技術に触れており、その適用は既に競争力のある先端技術産業を有している。
今まで報道されている音声識別技術は、音声モジュール、大語彙連続音声認識、音響モデルなどの方法によるものが多い。しかし、これらの伝統的な音声識別技術は、様々な問題を持っている。例えば、喧嘩な環境、訛り又は方言等の不明確な発音、及び同時に発音する場合、音声入力効果及び識別率が低く、更には識別できない場合もある。上記問題が存在する主な原因は、伝統的な音声収集モジュールが音声の空気中における伝播信号を捕捉して音声を収集しており、外部のその他の音源からの干渉によって、収集された音声データが影響されるためである。
さらに、近年、脈波から臨床診断及び治療の根拠とする人体の生理・病理情報を抽出するために、例えば携帯型の電子血圧計のような様々な脈拍監視デバイスが開発されており、脈拍を測定することができる。しかし、このような携帯型の電子血圧計は、小型のエアーポンプでゴムエアバッグを加圧しており、測定毎に一回の加圧と減圧の過程が必要であり、体積が大きく、加減圧中に不調を感じ、脈拍検出の精度が低く、脈波全体の波形を表示できないという欠点がある。さらに、例えば大型の脈拍検出器(フランスのCompliorデバイス)の場合、検出結果が精確であり、再現性がよいものの、主に大型の治療と流行病学の研究に使われており、高価格で、家庭及び大衆化向けの携帯型の医療サービスでの使用には不適である。
また、人類の日々向上される生存需要を満足できるように、電子皮膚は、感度が非常に高い電子デバイスとして、異なる技術分野における新しい使用の開発が期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、コスト及び駆動電圧が低く、感度が高く、応答時間が早く、安定性が高いという利点を有する最新構造のピエゾ抵抗型の電子皮膚を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、積層された複数のフレキシブル基板と、隣接するフレキシブル基板の接触表面に設けられた導電層と、前記導電層に電気的に接続された導電極と、を備え、少なくとも一つの前記導電層の接触面が非平面構造であるピエゾ抵抗型の電子皮膚を提供する。
好ましくは、少なくとも一つの前記フレキシブル基板が、ポリジメチルシロキサン薄膜であり、又は、少なくとも一つの前記フレキシブル基板の材料が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン(Nylon)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)、又は高分子ゴム材料の中の一種、或いは多種の組合せである。
更に、上記フレキシブル基板がポリジメチルシロキサン薄膜である場合、上記ポリジメチルシロキサン薄膜の少なくとも一面にパターンを有し、上記パターンのサイズが0.1〜500μmであり、単位平方センチメートル内における上記パターンの数が1〜10
12である。
好ましくは、上記非平面構造が表面がパターン化されたフレキシブル基板に形成され、上記パターンは、上記ポリジメチルシロキサンをテンプレートに注入し硬化させ形成され、上記テンプレートは、微細構造を有するシリコーン基板、微細構造を有するガラス基板、微細構造を有する金属基板、微細構造を有するプラスチック基板、布地、シルク製品又は微細構造を有する生物体の器官の中のいずれかである。
【0005】
さらに、上記導電層表面には有機高分子材料が接着されている。上記有機高分子材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン(Nylon)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)、PDMS、又は高分子ゴム材料の中の一種、或いは多種の組合せである。
上記目的を達成するために、本発明は、二つのパターン化されたフレキシブル基板を製造するステップS1と、導電層溶液を製造し、それぞれ二つのフレキシブル基板のパターンを有する表面に塗布して導電層を形成し、導電層のパターンを有する表面を面合わせに組付けて、導電層が互いに接触する薄膜デバイスを形成するステップS2と、導電材料を用いて二つの導電層上にそれぞれ上、下導電極を形成し、導電極からリード線を引出し、ピエゾ抵抗型の電子皮膚を製造するステップS3と、を含むピエゾ抵抗型の電子皮膚の製造方法を提供する。
好ましくは、上記導電層溶液はカーボンナノチューブ溶液であり、上記導電層はカーボンナノチューブ薄膜である。
【0006】
従来技術に比べて、本発明の実施例は以下のような積極的な効果を有する。つまり、該ピエゾ抵抗型の電子皮膚は、導電層としてカーボンナノチューブ薄膜を使用し、フレキシブル基板の材料としてポリジメチルシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリエチレンなどを使用することによって、基板が高柔軟性を有し湾曲し易いなどの利点を有する。また、その動作電圧が低く、消費電力が小さく、感度が高く、応答時間が短い。もっと重要なのは、本発明において、基体としてパターン化されたフレキシブル基板を使用することによって、接触抵抗の数量を増やされ、電子皮膚の外部微小な作用力に対する感度を極力向上させることができる。同時に、そのパターン化工程で用いられるテンプレートは、如何なる複雑な微細加工を必要とせず、簡単に入手でき且つ低価格の布地又はシルクなどの柔らかいテンプレートであることから、技術方案の実用性を効率よく向上させ、材料資源を節約し、ピエゾ抵抗型の電子皮膚のコストを低減できる。
【0007】
本発明は、更に、従来技術における動作電圧が高く、消費電力が大きく、感度が低いという問題を解決できる静電容量型の電子皮膚及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を実現するために、本発明は、フレキシブルな敏感層を含み、上記敏感層の上面及び下面の少なくとも一面が非平面構造であり、上記敏感層の上面及び下面にそれぞれ上電極層及び下電極層が形成されている静電容量型の電子皮膚を提供する。好ましくは、上記上電極層の上面及び下面の少なくとも一面が非平面構造であり、及び/又は上記下電極層の上面及び下面の少なくとも一面が非平面構造である。
【0008】
更に、上記敏感層の少なくとも一面にパターンを有し、上記パターンは、ポリジメチルシロキサンをテンプレートに注入して製造され、上記テンプレートは、微細構造を有するシリコーン基板、微細構造を有するガラス基板、微細構造を有する金属基板、微細構造を有するプラスチック基板、布地、シルク製品又は微細構造を有する生物体の器官の中のいずれかである。
好ましくは、上記敏感層は、材料がポリジメチルシロキサン(PDMS)であり、厚さが2〜50μm範囲である。又は、上記敏感層の材料は高分子材料であり、上記高分子材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン(Nylon)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)、又は高分子ゴム材料の中の一種、或いは多種の組合せから選択される。
本発明は、非平面構造を形成できるテンプレートを製造するステップS1と、テンプレートの表面に一層の有機物分子層を形成するステップS2と、有機物分子層上に敏感層を形成するステップS3と、熱処理し、硬化後の敏感層をテンプレートから剥離するステップS4と、敏感層の上面及び下面にそれぞれ上電極層及び下電極層を形成するステップS5と、を含む静電容量型の電子皮膚の製造方法を提供する。
【0009】
従来技術に比べて、本発明は以下のような利点を有する。つまり、本発明の静電容量型の電子皮膚は新型のマイクロ・ナノセンサー技術と結合しており、無毒且つ生体適合性がよい超薄型の弾性薄膜材料を使用することから、人体皮膚と効率よく一体的に親和でき、ユーザに非常によい体験感を与えることのできるウェアラブルデバイスを構成できる。また、敏感材料の独特のナノ構造によって、該デバイスの感度がさらに高く、安定性がさらによくなり、且つデバイス全体が小型化され、軽便である。
本発明の静電容量型の電子皮膚は、電荷担体のモビリティーが低いという問題を効率的に回避できるため、動作電圧が低く(通常は2V)、消費電力が小さく、同時に独特の微細構造を有することから、該デバイスの感度が非常に高い。
本発明は、ピエゾ抵抗型の電子皮膚と静電容量型の電子皮膚が、それぞれ、人体脈拍の搏動、心臓の搏動、張力の検出、呼吸、眼球圧力、喉部筋肉群の振動、音声識別、運動による身体の筋肉と表皮の運動、血圧、医療用ロボット、内視鏡ロボットシステム、外科手術ロボットアームの人体器官に対する接触感知及び保護における使用を提供する。
【0010】
本発明は、更に、従来技術における音声入力効果が悪く、識別率が高くないという問題を解決できるピエゾ抵抗型の電子皮膚又は静電容量型の電子皮膚による音声識別システム及び識別方法を提供することを目的とする。
上記目的を実現するために、本発明は、積層された複数のフレキシブル基板と、隣接するフレキシブル基板の接触表面に設けられた導電層と、上記導電層に電気的に接続された導電極と、を備え、少なくとも一つの上記導電層の接触面が非平面構造である上記ピエゾ抵抗型の電子皮膚と、ピエゾ抵抗型の電子皮膚からの信号を受信し、処理後の信号を表示モジュールに送信するデータ処理モジュールと、データ処理モジュールからの信号を受信して表示する表示モジュールと、と備える音声識別システムを提供する。
本発明は、更に、フレキシブルな敏感層を含み、上記敏感層の上面及び下面の少なくとも一面が非平面構造であり、上記敏感層の上面及び下面にそれぞれ上電極層及び下電極層が形成されている静電容量型の電子皮膚と、静電容量型の電子皮膚からの信号を受信し、処理後の信号を表示モジュールに送信するデータ処理モジュールと、データ処理モジュールからの信号を受信して表示する表示モジュールと、と備える音声識別システムを提供する。
【0011】
本発明は、更に、ピエゾ抵抗型の電子皮膚を用いて声帯の振動信号を収集、又は静電容量型の電子皮膚を用いて声帯の振動信号を収集するステップと、収集された振動信号をフィルタリング、増幅し、且つ特性信号を抽出するステップと、タイムドメイン解析法又は周波数ドメイン解析法で特性信号に対して識別分析を行い、識別結果を表示モジュールによって表示するステップと、を含む音声識別方法を提供する。
本発明は、更に、従来技術におけるデバイスの体積が大きく、消費電力が高く、精度が低く、コストが高く、脈波全体の波形を表示できないという問題を解決できるピエゾ抵抗型の電子皮膚又は静電容量型の電子皮膚による脈拍検出システム及び検出方法を提供することを目的とする。
上記問題を解決するために、本発明は、上記いずれかのピエゾ抵抗型の電子皮膚又は上記いずれかの静電容量型の電子皮膚と、上記ピエゾ抵抗型又は静電容量型の電子皮膚からの信号をフィルタリングして、有効な脈拍信号を得るフィルター回路と、上記有効な脈拍信号を増幅した後A/D変換回路に送信する増幅回路と、A/D変換回路からの信号を受信し表示する表示装置と、を備える脈拍検出システムを提供する。
【0012】
好ましくは、上記A/D変換回路は、ブルートゥース方式、Zigbee方式又はWifi方式によって表示装置と通信している。
更に、本発明は、上記ピエゾ抵抗型の電子皮膚又は静電容量型の電子皮膚を用いて脈拍信号を収集するステップと、収集された脈拍信号をフィルタリングし、有効な脈拍信号を得るステップと、上記有効な脈拍信号を増幅してA/D変換回路に送信するステップと、表示装置によって、A/D変換回路からの信号を表示するステップと、を含む脈拍検出方法を提供する。
従来技術に比べて、本発明は以下のような利点を有する。つまり、本発明のピエゾ抵抗型の電子皮膚又は静電容量型の電子皮膚は、新型のマイクロ・ナノセンサー技術と結合しており、無毒且つ生体適合性がよい超薄型の弾性薄膜材料を使用することから、人体皮膚と効率よく一体的に親和でき、ユーザに非常によい体験感を与えることができるウェアラブルデバイスを構成できる。また、敏感材料の独特のナノ構造によって、該デバイスの感度がさらに高く、安定性がさらによくなり、且つデバイス全体が小型化され、軽便であり、コストが低い。上記ピエゾ抵抗型の電子皮膚又は静電容量型の電子皮膚によって得られた音声識別システム及び識別方法は、従来技術における音声検出効果が悪く、識別率が低いという問題を解決することができ、同期識別可能であり、識別率が高く、体積が小さく、軽便であるなどの利点を有する。また、上記ピエゾ抵抗型の電子皮膚又は静電容量型の電子皮膚によって得られた脈拍検出システム及び検出方法は、従来技術に存在する体積が大きく、加減圧中に不調を感じ、脈拍検出の精度が低く、脈波全体の波形を表示できず、コストが高いという問題を解決することができ、感度が高く、安定性がよく、消費電力が低く、デバイスが小型で、ウェアラブルであるなどの利点を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明について、図面及び具体的な実施例を結合して詳細に説明する。
実施例1
本実施例は、ピエゾ抵抗型の電子皮膚を例示しており、該ピエゾ抵抗型の電子皮膚は、積層された複数のフレキシブル基板と、隣接するフレキシブル基板の接触表面に設けられた導電層と、上記導電層に電気的に接続された導電極と、を備え、少なくとも一つの上記導電層の接触面が非平面構造である。
好ましい実施例として、
図1に示すように、上記電子皮膚は、二つのフレキシブル基板11、12と、二つのフレキシブル基板11、12上にそれぞれ塗布され、互いに接触する二つの導電層21、22と、二つの導電層21、22とそれぞれ接触する二つの導電極31、32と、を備える。
具体的な実施において、上記フレキシブル基板の各々は、複数種の異なる材料から構成されることができる。
一実現可能な態様において、少なくとも一つの上記フレキシブル基板は、ポリジメチルシロキサン薄膜であり、上記ポリジメチルシロキサン薄膜の少なくとも一面にマイクロ・ナノパターンを有し、上記パターンのサイズが0.1〜500μmの範囲内であり、単位平方センチメートル内における上記パターンの数が1〜10
12の範囲内である。別の実現可能な態様において、少なくとも一つの上記フレキシブル基板の材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン(Nylon)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)、又は高分子ゴム材料の中の一種、或いは多種の組合せである。
【0015】
本実施例において、上記パターンは、ポリジメチルシロキサンをテンプレートに注入し硬化させ形成されることが好ましい。具体的に、例えば、ポリジメチルシロキサンを真空中において1〜30分間ガス抜け後、テンプレートに注入して製作される。上記テンプレートは、微細構造を有するシリコーン基板、微細構造を有するガラス基板、微細構造を有する金属基板、微細構造を有するプラスチック基板、布地、シルク製品又は微細構造を有する生物体の器官の中のいずれかであることが好ましい。具体的な実施において、入手し易い材料を用いて上記テンプレートを実現することによって、ピエゾ抵抗型の電子皮膚の実用性を効率的に向上でき、ピエゾ抵抗型の電子皮膚のコストを大幅に低減できる。
上記導電層21、22はカーボンナノチューブ薄膜を含み、該カーボンナノチューブ薄膜は主にカーボンナノチューブが互いに交差してなる立体網状物からなる。上記カーボンナノチューブ薄膜の光透過率は50%〜97%であり、シート抵抗が10
2〜10
7Ω/sqである。上記カーボンナノチューブ薄膜の厚さは、通常10nm〜500nm程度であり、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、及び多層カーボンナノチューブの中の一種、又は多種が複合して形成されている。ここで、上記単層カーボンナノチューブは、金属性の単層カーボンナノチューブ、半導体性の単層カーボンナノチューブ、又は金属性及び半導体性の単層カーボンナノチューブを同時に含む混合単層カーボンナノチューブである。
【0016】
上記カーボンナノチューブ薄膜は、窒素又はホウ素、貴金属、金属、表面活性剤、及び有機高分子化合物などがドープまたは修飾されたカーボンナノチューブ薄膜であってもよい。上記カーボンナノチューブは、ヒドロキシル基(―OH)、カルボキシル基(―COOH)、アミノ基(―NH
2)によって官能化されたカーボンナノチューブ、高分子重合体によって官能化されたカーボンナノチューブ、金属ナノ粒子によって官能化されたカーボンナノチューブ、金属酸化物によって官能化されたカーボンナノチューブ、及び生物分子によって官能化されたカーボンナノチューブであってもよい。
上記導電層21、22は、銅、銀、及び金の中のいずれかの導電金属、又は半導体材料の一種または二種以上の組み合わせであってもよい。
上記導電層の表面には、有機高分子材料が接着されていることが好ましい。
【0017】
さらに、上記フレキシブル基板と同様に、上記有機高分子材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン(Nylon)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)、PDMS、又は高分子ゴム材料の中の一種、或いは多種の組合せであることが好ましい。ここで、上記高分子ゴム材料には、ブチルゴム、シスポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムが含まれるが、これ限りではない。本実施例において、異なる材料を選択して導電層の表面に接着することによって、導電層の感度及び安定性を向上させることができる。
好ましくは、本発明の実施例において、
図1に示す導電薄膜層21、22の間に一層のPVDF圧電材料(PVDFに限らない)を追加することができ、デバイスの感度及び安定性を向上させることができる。
具体的に
図1の実施例を参照して、導電極31は、導電層21と接続されているが導電層22とは接続されておらず、導電層32は、導電層22と接続されているが導電層21とは接続されておらず、マイクロ・ナノパターンを有するカーボンチューブ薄膜は、それぞれその中の一つの導電極のみに接続されている。また、上記導電極31、32は、金、プラチナ、ニッケル、銀、インジウム、銅、カーボンナノチューブ、及びグラフェンの中のいずれか一種の材料または二種以上の材料の組合せによって製造されている。
本実施例において、二層のパターン化導電薄膜の合わせ態様、つまりデバイスのパッケージ態様は、デバイスの安定性に大きく影響する。ここで、パッケージ態様は、二層の薄膜を外縁周りから接着する態様が好ましく、最終的に安定した類似単層構造を形成する。
実施例2
【0018】
図2に示すように、本発明は、さらにピエゾ抵抗型の電子皮膚の製造方法を提供する。
まず、ステップS1において、少なくとも一層がポリジメチルシロキサン薄膜である、二つのパターン化されたフレキシブル基板を製造する。
ステップS1において、上記ポリジメチルシロキサン薄膜は、ステップS11及びステップS12によって製造される。
ステップS11において、ポリジメチルシロキサンを真空中において1〜30分間ガス抜け後、パターンが形成されているテンプレートにポリジメチルシロキサンの厚さが0.1〜3mmの範囲になるように注入し、その後、50〜100℃の温度で0.5時間以上加熱硬化して成形する。
ステップS12において、硬化成形されたポリジメチルシロキサンを、有機溶剤において5〜30分間超音波処理した後、テンプレートから取外す。
具体的な実施において、上記テンプレートは、微細構造を有するシリコーン基板、ガラス基板、金属基板、プラスチック基板、布地、シルク製品又は微細構造を有する生物体の器官であってもよい。上記有機溶剤は、メタノール、エタノール、又はエチレングリコールであってもよい。製造されたポリジメチルシロキサン薄膜は、一面又は両面を酸素ガスなどのイオン条件に載置して、1〜60分間作用させる。上記ポリジメチルシロキサン薄膜は、高分子材料であってもよく、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン(Nylon)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)、PDMS、又は高分子ゴム材料の中の一種、或いは多種の組合せから選択することができるが、これ限りではない。ここで、上記高分子ゴム材料は、ブチルゴム、シスポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴムを含むことができるが、これ限りではない。
【0019】
本実施例において、上記微細構造の密度は(X×Y)lines/cm
2であり、1<X<10
6、1<Y<10
6である。ここで、微細構造の密度とは、単位平方センチメートルにおける密度を指す。高密度構造とは、44×77lines/cm
2を超える密度構造であり、低密度構造とは、27×38lines/cm
2未満の密度構造である。本実施例では、密度が44×77lines/cm
2であることが好ましく、理論上、密度が大きいほど感度が高い。
本実施例において、微細構造を使用することによって、ピエゾ抵抗型の電子皮膚はより優れた性能出力を有することになり、感度が1.8KPa
−1にまで至り、検出下限が0.6Paにまで至り、応答時間が10msにまで至ることができる。
図3は、製造されたマイクロ・ナノパターンを有するポリジメチルシロキサン薄膜の走査型電子顕微鏡(SEM)写真であり、ポリジメチルシロキサン薄膜に周期的な微細構造を有するパターンが構築されていることを説明する。
次に、ステップS2において、導電層溶液を製造する。ここで、上記導電層溶液がカーボンナノチューブ溶液であることが好ましく、上記導電層がカーボンナノチューブ薄膜であることが好ましい。そして、上記導電層溶液をそれぞれ二つのフレキシブル基板のパターンを有する表面に塗布して、カーボンナノチューブ薄膜を形成し、カーボンナノチューブ薄膜のパターンを有する表面を面合わせに組付けて、カーボンナノチューブ薄膜が互いに接触する薄膜デバイスを形成する。
ステップS2は、ステップS21〜ステップS23を含んでもよい。
ステップS21において、単層及び/又は二層、少数層、多層カーボンナノチューブを、1wt%〜10wt%の表面活性剤の水溶液に、カーボンナノチューブの濃度が0.01〜50mg/mlとなるように添加し、その後、該混合溶液を1min〜10h超音波予分散し、カーボンナノチューブ分散液を形成する。本実施例において、上記表面活性剤は、常用のイオン型又は非イオン型の表面活性剤を使用できるが、イオン型の表面活性剤を使用することが好ましい。また、本発明では、1〜10wt%の濃度のドデシルスルホン酸ナトリウムとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどを使用することがより好ましいが、これ限りではない。
【0020】
ステップS22において、該カーボンナノチューブ分散液を、1000〜20000rpmの速度で0.1h以上遠心処理を行い、上澄み液を成膜前溶液として取る。
ステップS23において、脱イオン水で成膜前溶液を1〜100倍希釈し、希釈されたカーボンナノチューブ溶液をエアブラシを使って二つのフレキシブル基板のパターンのある表面にスプレーコーティングして、カーボンナノチューブ薄膜を形成した後、カーボンナノチューブ薄膜のパターンを有する面を面合わせに組付けて、カーボンナノチューブ薄膜が互いに接触する薄膜デバイスを形成する。ここで、該カーボンナノチューブ薄膜の厚さと導電率は、含まれるカーボンナノチューブの量及びスプレーコーティングの時間によって決定することができる。カーボンナノチューブの量が多く、スプレーコーティングの時間が長いほど、その強度が大きく、導電性に優れる。本実施例において、上記成膜工程は、真空ろ過又はスピンコーティング、スプレーコーティング、印刷などの常用の成膜方法を採用することができる。例えば、スプレーコーティングの成膜方法を採用する場合、希釈後のカーボンナノチューブ分散液を、エアブラシを使って0.1〜1psiの圧力で、パターンのあるポリジメチルシロキサン薄膜上にスプレーコーティングした後、薄膜を加熱炉に装入して80〜120℃にまで加熱することで水分蒸発を早め、その後、脱イオン水でカーボンナノチューブ薄膜における残留表面活性剤を水洗して、パターンのあるポリジメチルシロキサン薄膜に付着したカーボンナノチューブ薄膜を製造することができる。印刷、塗布などの成膜方法を採用する場合、希釈後のカーボンナノチューブ分散液を、スピンコーティング、スプレーコーティングなどの方法を用いて、ガラス、雲母、シリコーンシートなどの平らな表面を有する材料に成膜し、その基底を除去した後、該カーボンナノチューブ薄膜をパターン化されたポリジメチルシロキサン薄膜上に移転する。ここで、その基底を除去する好ましい方法は、水又は酸、アルカリ、塩などを含有する水溶液に基底が脱落するまでカーボンナノチューブ薄膜を浸す。
また、ステップS23において、薄膜デバイスを組付ける前に、表面活性剤を除去するために、脱イオン水を用いて上記表面にカーボンナノチューブ薄膜がある薄膜を複数回浸し、乾燥させた後、3〜8M濃度の強酸で上記カーボンナノチューブ薄膜を0.1〜24h処理する。本実施例において、強酸とは、硝酸、塩酸のいずれか一種、又は混合されたものであってもよい。
図4は、単層カーボンナノチューブがポリジメチルシロキサン薄膜上に接着された時のSEM写真である。
図4より、単層カーボンナノチューブが互いに交差しており、ポリジメチルシロキサン薄膜の表面に非常によく接着されていることが分かった。
【0021】
ステップ3において、導電材料を用いて二つのカーボンナノチューブ薄膜上にそれぞれ上、下導電極を形成し、導電極からリード線を引出し、ピエゾ抵抗型の電子皮膚を製造する。
ステップS3において、電極となる導電材料は、通常銀ペースト又は銀テープであるが、蒸着又はイオンスパッターリングなどの方法によって形成された例えば金、銀、銅、アルミニウムなどのガス電極であってもよい。
図5に示すように、1Vの動作電圧、空気雰囲気において測定した該抵抗型センサーの抵抗値が110〜120kΩであり、30秒、60秒、90秒の時点で、それぞれ60Pa、120Pa、180Paの圧力を加えた後、抵抗値は速やかに下降した。例えば、60Paの圧力を加えた後、抵抗値は速やかに95〜105kΩまで下降しており、該抵抗型センサーが高感度及び非常に短い応答時間を有することを表明する。
本発明は、従来技術に比べて、該ピエゾ抵抗型の電子皮膚が、導電層としてカーボンナノチューブ薄膜を使用し、フレキシブル基板の材料としてポリジメチルシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリエチレンなどを使用することによって、基底が高柔軟性を有し湾曲し易いなどの利点を有し、その動作電圧が低く、消費電力が小さく、感度が高く、応答時間が短い。もっと重要なのは、本発明において、基体としてパターン化されたフレキシブル基板を使用していることによって、接触抵抗の数量が増やされ、電子皮膚の外部微小な作用力に対する感度を極力向上させることができる。同時に、そのパターン化工程で用いられるテンプレートは、如何なる複雑な微細加工を必要とせず、簡単に入手でき且つ低価格の布地又はシルクなどの柔らかいテンプレートであることから、ピエゾ抵抗型の電子皮膚の実用性を効率よく向上させ、ピエゾ抵抗型の電子皮膚のコストを大幅に低減できる。
実施例3
【0022】
図6に示すように、本実施例は静電容量型電子皮膚を提供する。
具体的に、本実施例における静電容量型電子皮膚は、フレキシブル支持層1と、支持層1の上面に形成された敏感層2と、敏感層2の上面と支持層1の下面にそれぞれ形成された上電極層3及び下電極層4と、を備える。上記上電極層3及び下電極層4の電極は、蒸着、スパッターリング、又は無電解めっきによって形成されることが好ましい。
敏感層2の材料として、PDMS(ポリジメチルシロキサン)が好ましいが、その他の高分子材料であってもよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン(Nylon)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン(PU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET、PETE)、又は高分子ゴム材料の中の一種、或いは多種の組合せであってもよい。
【0023】
上記敏感層2の上面及び下面の少なくとも一面は非平面構造である。延いては、上記上電極層3の上面及び下面の少なくとも一面が非平面構造であり、及び/又は上記下電極層4の上面及び下面の少なくとも一面が非平面構造である。
好ましくは、敏感層2の上面が非平面構造であり、複数の突出した多角錐体21であり、各多角錐体21の底面が10μm×10μmの正方形であり、側面と底面との夾角が54.7°であり、多角錐体の高さが7.06μmである。
別の実施例において、敏感層2の上面の形状は、波状などのその他の非平面構造であってもよい。
当然ながら、敏感層2の下面も非平面形状に構成されてもよく、この場合、敏感層2の下面にも電極層を設ける必要がある。
【0024】
具体的な実施において、上記敏感層2の少なくとも一面はパターンを有し、上記パターンは、ポリジメチルシロキサンをテンプレートに注入して製造される。上記テンプレートは、微細構造を有するシリコーン基板、微細構造を有するガラス基板、微細構造を有する金属基板、微細構造を有するプラスチック基板、布地、シルク製品又は微細構造を有する生物体の器官の中のいずれかである。
支持層1は、12μm厚さの高透明且つ高柔軟性の超薄型PE(ポリエチレン)薄膜であることが好ましい。
PE薄膜は、シリコーンウェハー表面のパターン化されたPDMS膜とテンプレートが完全且つ容易に分離されるようにするとともに、基板としてPDMS膜を支持する作用を有する。また、上記支持層の材料は、高透明且つ高柔軟性のポリ塩化ビニル(PVC)薄膜、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)薄膜の中の一種、又は多種の組合せから選択することもできる。
上電極層3及び下電極層4の材料は、金、プラチナ、ニッケル、銀、インジウム、銅、カーボンナノチューブ、グラフェン、銀ナノワイヤーの中の一種、または多種の組合せから選択される。
上述の電子皮膚において、支持層1及び敏感層2の全体の厚さが70μm未満であり、該超薄型電子皮膚は、人体皮膚と同様の柔軟度を有し、非常に軽く、人体皮膚に直接粘着できる。同時に、着用可能でもある。
実施例4
【0025】
本発明の実施例は、静電容量型電子皮膚の製造方法を提供する。
ステップS1において、非平面構造を形成できるテンプレートを製造する。
本実施例において、MEMS加工製造技術におけるフォトエッチング、エッチングなどの方法を利用して、微細構造を有するテンプレートを製造する(4寸のシリコーンウェハーが好ましい)。まず、シリコーンウェハーの表面に対して洗浄処理を行った後、フォトレジストをスピンコーティングして、プレベーク、フォトエッチング、現像、ポストベーク、最後にエッチングを利用してパターンをシリコーンウェハーに移転することによって、微細構造を有するテンプレートを製造する。以下に、その具体的な製造方法について説明する。
【0026】
1、テンプレートを製造する
設計及び論証を経た後、製図ソフトを利用して図面を作成する。単にパターンの幅と高さを増加してもデバイスの感度の向上に有利であるが、総合的に考慮すれば、微細パターンが、底面が10μm×10μmの正方形であり、側面と底面の夾角が54.7°であり、頂部から底面までの距離が7.06μmであるるピラミッド構造が好ましい。図面のサイズに従ってマスクシートを製作する。
2、4寸のシリコーンウェハーを用意する
シリコーンウェハーは、4寸の、片面が研磨されており、片面が300nmの熱酸化SiO
2層であるシリコーンウェハーを採用し、MOS級のアセトン、脱イオン水でそれぞれ15分間超音波処理した後、MOS級のエタノールで10分間超音波処理した後ブロー乾燥させ、次に105℃で10分間ドライングさせる。
3、フォトレジストをパターン化する
a、スピンコーティング
用意された4寸のシリコーンウェハーの表面に、6〜7umのフォトレジストをスピンコーティングする。ここで、好ましくは、AZ4620を使用し、500rpmの速度で6s間予備回転させた後、400rpmの速度で30s間スピンコーティングさせる。
b、プレベーク
95°の条件で、210秒間プレベークする。
c、露光
MA6コンタクトアライナーを用いて、低真空モードで24秒間露光させる。
d、現像
使用される現像液の配合比は、水酸化テトラメチルアンモニウム:脱イオン水=1:8であり、現像時間が95sである。
e、ポストベーク
95°の条件で、180秒間ポストベークする。
4、パターンのシリコーンウェハーへの移転
a、レジスト除去
プラズマストリッパーを用いて、現像後に残留したフォトレジスト膜を除去する。
b、ドライエッチング
反応性イオンエッチング(RIE)によって、パターン化されたSiO
2層を除去し、その時間は6分間である。
c、湿式指向性エッチング
30%のKOH溶液を用いて、78℃の条件で9分間エッチングし、最終的にシリコーンウェハーの表面に逆四角錐構造を形成する(
図7を参照)。
【0027】
ステップS2において、テンプレートの表面に一層の有機物分子層を形成する。
シリコーンウェハーの表面のPDMS膜とテンプレートとを完全且つ容易に分離させるために、テンプレートの表面に、一層の薄い有機物(トリメチルクロロシラン又はパーフルオロオクチルトリクロロシラン)分子層を加工形成(例えば、気相蒸着又はヒュームコーティング)する。
ステップS3において、有機物分子層上に敏感層を形成する。
次に、有機物分子層上に、透明の液体高分子重合体(例えばポリジメチルシロキサン、好ましくは、開始剤と反応剤との配合質量比が1:10)をスピンコーティング(好ましくは、速度が3000r/min、時間が30S)し、均一にすることで一層の非常に薄い(好ましい厚さが50μm)薄膜を形成する。
好ましい実施例として、選択的に、上記ステップS3の後、上記敏感層上にさらに一層の支持層を形成した後、上記支持層の下面に上記下電極板を製造することもできる。続いて、上記薄膜表面にシームレス及び気泡のないように(気泡、ギャップがある場合も含む)一層の高透明且つ高柔軟性の超薄型のPE(ポリエチレン)薄膜(膜厚が12μmであることが好ましい)を形成する。
ステップS4において、熱処理し、硬化後の敏感層及び支持層をテンプレートから剥離する。
真空環境において、一定時間(好ましくは、2〜3h)加熱(温度65〜75℃が好ましい)処理後、上記液体高分子重合体PDMS薄膜が完全に硬化されるまで待つ。支持層が存在する場合、該支持層はPE膜と一緒に完全に溶融して一体化される。次に、硬化された高分子重合体薄膜をシリコーンウェハーの表面から剥離することによって、シリコーンウェハーテンプレート上の微細パターンがPDMSフレキシブル薄膜にコピーされ、ピラミッド型の微細構造を有する薄膜を製造する。ここで、
図8に示すように、該薄膜全体の厚さ<70μmである。
【0028】
ステップS5において、敏感層の上面及び下面にそれぞれ上電極層及び下電極層を形成する。
最後に、薄膜の上下面にそれぞれ一層の超薄型ナノ導電膜(本発明において、99.9999%純度のAu顆粒を使用し、Au導電膜を蒸着する厚さが100nmであることが好ましい)を均一に塗布(例えば、蒸着、無電解めっき、本発明では蒸着が好ましい)し、このようにして、複数の敏感サイトを有する超薄型のフレキシブル導電電子皮膚が形成される。
次に、超薄型のフレキシブル導電電子皮膚の上下面のAuナノ導電層からそれぞれ一本のフレキシブル電極(例えば、直径が0.1mmのエナメルワイヤ、20μm厚さ且つ感圧接着剤を有する平らの銅箔テープ、超薄型(10μm厚さ)のフレキシブル銅箔、本発明では超薄型のフレキシブル銅箔が好ましい)を引出する(例えば、圧接、溶接など、本発明では圧接が好ましい)。
最後に、一層のPDMSをスピンコーティング(5000r/minの速度、30Sの時間が好ましい)して、均一にすることで一層の非常に薄い(厚さ<10μm)Au導電層の保護層を形成し、静電容量型電子皮膚が製造される。
選択的に、上記ステップS5の後、上記下電極層の下面に一層を敏感層を形成してもよい。
【0029】
本実施例において、上記テンプレートは、微細構造を有するシリコーン基板、ガラス基板、金属基板、布地、シルク製品又は微細構造を有する生物体の器官の中のいずれかであってもよい。上記有機溶剤は、メタノール、エタノール、又はエチレングリコールであってもよい。製造されたポリジメチルシロキサン薄膜は、一面又は両面を酸素ガスなどのイオン条件に置いて、1〜60分間作用させる。上記ポリジメチルシロキサン薄膜は、高分子材料であってもよく、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリエチレンの中の一種、或いは多種の組合せから選択することができるが、これ限りではない。
さらに、実現可能な一態様において、下電極層が支持層の上面に設けられる場合、電子皮膚の製造ステップは、下記の通りである。
ステップS11〜S13は、本実施例のステップS1〜S3と同じであるため、説明を省略する。
ステップS14において、高透明且つ高柔軟性の超薄型PE(ポリエチレン)薄膜(12μm厚さが好ましい)上に、イオンスパッタリングによって厚さ200nmのAu電極を形成する。
ステップS15において、Au電極を有するPE薄膜のAu導電面を、上記ステップS3で形成された液体高分子重合体薄膜に貼り合わせ、真空環境において一定時間(好ましくは、2〜3h)加熱(温度65〜75℃が好ましい)処理した後、上記液体高分子重合体PDMS薄膜が完全に硬化されるまで待ち、同時にPE膜とともにに完全に溶融して一体化され、次に、硬化された高分子重合体薄膜をシリコーンウェハーの表面から剥離することによって、シリコーンウェハーテンプレート上の微細パターンがPDMSフレキシブル薄膜にコピーされ、ピラミッド型の微細構造を有する薄膜が製造される。
ステップS16において、PDMS薄膜の微細構造の表面に上電極を形成する。最終的に、静電容量型の超薄型のフレキシブル電子皮膚が形成される。
図9を参照すれば分かるように、デバイスが圧力を受けた後、デバイス全体は引伸ばされる。これによって、デバイス構造における誘電体層が薄く、大きくなり、これに伴って電気容量値が大きくなる。圧力が消滅した場合、デバイス全体は収縮され、デバイス構造における誘電体層が速やかに復元され、これに伴って電気容量値が低減する。このようにして、本静電容量型構造によるデバイスの圧力に対する高感度検出を実現できる。
実施例5
現在、情報産業における国際的競争は、科学技術の争奪として表現されつつある。音声識別業界は、戦略的及び将来的に重要なエマージング技術産業として、国内外の科学業界及び産業業界で終始注目される焦点でもある。本発明は新型の音声識別技術及び相応の装置に関し、従来の音声識別技術のように収集モジュールで音声の空気中における伝播信号を捕捉するのではなく、マイクロ・ナノセンサーを利用して発音時に声帯による振動信号を収集し、振動信号に対して増幅、フィルタリングなどの予備処理を行って特性信号を抽出し、タイムドメイン解析法、周波数ドメイン解析法などによって識別分析することによって、簡単で、実行可能、システム的な振動信号識別方法を得て、最後に識別結果を表示する。
本発明は、従来の音声識別技術に基づいて技術革新を行ったものであり、その革新は、主に音声信号の収集方法及び抽出装置に集中しており、同期識別、高識別率、小型且つ軽便という利点を有する。同時に、フレキシブル薄膜材料を使用するため、本デバイスを簡単にウェアラブル電子デバイスとすることができる。
図10に示すように、本発明の実施例において、音声識別システムは、電子皮膚101と、データ処理モジュール102と、表示モジュール103と、を備える。具体的に、上記電子皮膚101は、ピエゾ抵抗型の電子皮膚及び静電容量型電子皮膚を含む。
具体的な実施において、ピエゾ抵抗型又は静電容量型の電子皮膚は声帯の振動信号を収集するために用いられ、データ処理モジュール102は収集された振動信号をフィルタリング、増幅し、且つ特性信号を抽出し、タイムドメイン解析法又は周波数ドメイン解析法で特性信号に対して識別分析を行い、識別結果を表示モジュール103によって表示する。
ここで、本実施例におけるピエゾ抵抗型の電子皮膚は、上記実施例1において開示されたピエゾ抵抗型の電子皮膚を利用することができ、その具体的な構造は実施例1を参照することとし、詳細な説明は省略する。静電容量型の電子皮膚は、上記実施例3において開示された静電容量型の電子皮膚を利用することができ、その具体的な構造は実施例3を参照することとし、ここで詳しい説明は省略する。
なお、上記ピエゾ抵抗型の電子皮膚の製造方法は、上記実施例2に開示のピエゾ抵抗型の電子皮膚の製造方法を参照し、上記静電容量型の電子皮膚の製造方法は、上記実施例4に開示の静電容量型の電子皮膚の製造方法を参照することとし、ここで詳しい説明は省略する。
具体的な実施において、静電容量型の電子皮膚は、デバイスを声帯の箇所に置いた場合、声帯の振動によってセンサーの電気容量が変動し、回路におけるフィルター装置によってバックグラウンドノイズをフィルタリングすれば有効な脈波を得られ、増幅回路によって信号を増幅した後ブルートゥース、Zigbee方式又はWifi方式の送信技術によって信号をディスプレイの受信装置に送信することで、発音時の声帯振動波をディスプレイに同期して表示する。
デバイスを声帯の箇所に粘着した場合、発音時に声帯は相応して振動し、センサーは自動的に振動信号を収集し、外部回路の転換識別を経てからブルートゥースによってディスプレイ(好ましくは、7寸のpad)に送信され、ディスプレイ上には、発音の軽重、長短などに応じて振幅、周波数が異なる波形が表示される。具体的に、静電容量型の電子皮膚を用いて音声に対して検査を行う場合、
図11を参照する。
図11は静電容量型の電子皮膚を用いて音声識別した結果を示す図である。
図11の検出結果によれば、本発明に係る静電容量型の電子皮膚は、音声テストに対する感度が高く、音声識別システムの識別効果が優れることが明らかです。
実施例6
【0030】
本発明の実施例は音声識別方法を開示しており、
実施例1のピエゾ抵抗型の電子皮膚又は実施例3の静電容量型の電子皮膚を用いて声帯の振動信号を収集するステップと、
収集された振動信号をフィルタリング、増幅し、且つ特性信号を抽出するステップと、
タイムドメイン解析法又は周波数ドメイン解析法で特性信号に対して識別分析を行い、識別結果を表示モジュールによって表示するステップと、を含む。
具体的な実施において、本実施例に開示の音声識別方法は、実施例5に記載の音声識別システムを用いて信号を検出することができる。ピエゾ抵抗型又は静電容量型の電子皮膚自身の感度及び音声識別システムの軽便性によって、音声識別方法の実現可能性と実用性が大幅に向上され、音声識別効率が向上される。
実施例7
図12に示すように、本発明の実施例は脈拍検出システムを提供する。
具体的に、脈拍検出システムは、電子皮膚201と、フィルター回路202と、増幅回路203と、A/D変換回路204と、表示装置205とを備える。本実施例において、上記電子皮膚201は、ピエゾ抵抗型の電子皮膚や静電容量型の電子皮膚を含む。
ここで、本実施例における電子皮膚は、上記実施例1に開示のピエゾ抵抗型の電子皮膚であってもよく、或いは上記実施例3に開示の静電容量型の電子皮膚であってもよい。これらの具体的な構造は、上記の実施例を参照することとし、ここで詳しい説明は省略する。
脈拍は、心臓の周期的な収縮、拡張によって、心室から大動脈に駆出された血流が波の形で大動脈の根元から動脈血管系に沿って伝播されて形成される。上記ウェアラブル脈拍検出デバイスを脈拍の箇所に置けば、ピエゾ抵抗型又は静電容量型の電子皮膚は、完全な状態の、歪みが小さく、ベースラインが安定し、振幅が好適な脈拍搏動振動を自動的に収集し、電子皮膚から出力された脈拍信号はフィルター回路202によってバックグラウンドノイズがフィルタリングされて有効な脈拍信号となり、増幅回路によって信号が増幅されてからADC回路203(さらにA/D変換回路204を含む)に送信され変換された後、ブルートゥース、Zigbee技術又はWifi技術によって信号が表示装置205の受信装置に送信されることによって、脈波がリアルタイム的にディスプレイに表示される。
A/D変換回路204と表示装置205との間の通信は、GPRS(General Packet Radio Service、汎用パケット無線サービス技術)、GSM(Global System of Mobilecommunicion、汎欧州デジタル移動電話システム)、WLAN(Wireless Local Area Networks、ワイヤレスローカルエリアネットワーク)、CDMA(Code Division Multiple Access)、TDMA(Time Division Multiple Access、時分割多元接続)、テレビ通信ネットワーク、Zigbee技術又はWifi技術、又はその他の遠隔通信ネットワークを用いてもよい。当然ながら、A/D変換回路204と表示装置205との間は有線方式によって接続されてもよい。
【0031】
なお、上記ピエゾ抵抗型の電子皮膚の製造方法は、上記実施例2に開示のピエゾ抵抗型の電子皮膚の製造方法を参照し、上記静電容量型の電子皮膚の製造方法は、上記実施例4に開示の静電容量型の電子皮膚の製造方法を参照することとし、ここで詳しい説明は省略する。
本実施例の脈拍検出システムは、前述のピエゾ抵抗型の電子皮膚又は静電容量型の電子皮膚を用いており、これらの電子皮膚が無毒且つ生体適合性がよい利点を有することから、人体皮膚と一体的に親和でき、ユーザに非常に優れた体験感を与えることができ、また、電子皮膚を構成する敏感材料が独特のナノ構造を有することから、脈拍検出システムの感度がさらに高く、安定性がさらによくなり、システム全体が小型化され、軽便であり、コストも低く、実用性に優れている。
実施例8
【0032】
本発明の実施例は、脈拍検出方法を開示しており、
実施例1のピエゾ抵抗型の電子皮膚又は実施例3の静電容量型の電子皮膚を用いて脈拍信号を収集するステップと、
収集された脈拍信号をフィルタリングし、有効な脈拍信号を得るステップと、
上記有効な脈拍信号を増幅した後、A/D変換回路に送信するステップと、
表示装置によってA/D変換回路からの信号を表示するステップと、を含む。
具体的に、実施例7に記載の脈拍検出システムを用いて脈拍信号を検出することができる。具体的な実施において、デバイスを脈拍の箇所に置いた場合、脈拍の搏動によってセンサーの電気容量が変動し、フィルター回路によってバックグラウンドノイズをフィルタリングして有効な脈波信号を得られ、増幅回路によって信号を増幅してADC回路に送信し変換した後、ブルートゥース送信技術によって信号をディスプレイの受信装置に送信することで、脈波をリアルタイム的にディスプレイに表示する。
実施例9
【0033】
本実施例は、電子皮膚の異なる分野における様々な新しい用途を提供する。
具体的に、本発明の電子皮膚は、人体脈拍の搏動、心臓の搏動、張力の検出、眼球圧力、話すことによる喉部筋肉の振動及び接触式又は非接触式の振動による音声識別、運動による身体のその他の部位の筋肉と表皮の運動を含む人体生理信号の検出に用いられることができる。例えば、人体腕部の脈拍搏動の検出に用いる場合、脈拍中のP波の山、T波の山及びD波の山を精確に識別することができ、ここで、上記人体脈拍の搏動とは、動脈の搏動による人体各部位の搏動を含む。さらに、該電子皮膚は、血圧、呼吸、医療用ロボット、内視鏡ロボットシステム、外科手術ロボットアームの人体器官に対する接触感知及び保護の面などにおいて潜在的な使用を有する。
本実施例において、上記電子皮膚は、実施例1に記載のピエゾ抵抗型の電子皮膚又は実施例3に記載の静電容量型の電子皮膚を含み、ここでその構造の説明は省略する。
【0034】
以下、四つの具体例によって、本発明のピエゾ抵抗型又は静電容量型の電子皮膚の複数領域における新しい使用を説明する。
1)ピエゾ抵抗型/静電容量型の電子皮膚の脈拍信号の検出における使用
製造されたピエゾ抵抗型/静電容量型の電子皮膚を腕部に置き、2Vの電圧下で、電流信号をリアルタイムで測定することによって、人体脈拍信号の検出を実現できる。特に、ピエゾ抵抗型の電子皮膚を用いて一つの脈拍を検出する場合、
図13に示すように、ピエゾ抵抗型の電子皮膚によって測定された腕部の脈拍の波形図を得られる。
図14は、本発明のピエゾ抵抗型の電子皮膚によって測定された脈波の一つの山の典型的な曲線である。以上から分かるように、該デバイスは、人体脈拍信号のリアルタイム的、快速的、正確的な測定を実現できる他、人体脈拍中のP波の山、T波の山及びD波の山を精確に識別することができる。これらの脈拍の波形は、人体の心臓の搏動周波数、心臓の運動方式、及び血液の粘度などの情報と関連する。該脈波を精確に検出することによって、人体疾病の早期診断を実現できる。該デバイスを腕部位の脈拍の測定に用いることは、一つの実施例に過ぎず、身体のその他の部位、例えば頚部及び頭部などの部位の動脈搏動をリアルタイム的に測定することに用いることもできる。
2)ピエゾ抵抗型/静電容量型の電子皮膚の音声識別における使用
製造されたピエゾ抵抗型/静電容量型の電子皮膚を頚部に置き、2Vの電圧下で、電流信号をリアルタイムで測定することによって、人体音声の識別を実現できる。例えば、ピエゾ抵抗型の電子皮膚を用いて音声を検出する場合、
図15に示す曲線は、被測定者がhelloと話した際に得られたリアルタイムI―t曲線である。測定者が話す時に、声帯の振動は皮膚の振動を引き起こし、デバイスの抵抗値が変動され、この際、デバイスを通る電流が変動される。このようにして、音声と電流との関係を得られる。いくつかの物理量を変換することによって、異なる音声の波形及びその変化を測定できる。
図16は、本発明のピエゾ抵抗型の電子皮膚を用いて音声識別を行った第2の検出図である。
図16に示すように、ピエゾ抵抗型の電子皮膚を間隔を有してオーディオの上方に置き、デバイスはオーディオから発される音波によって振動される。そのため、デバイスにおける電流値が変動する。また、一種の音声振動が一種の電流対応する変化曲線を得られる。
3)ピエゾ抵抗型/静電容量型の電子皮膚の張力検出における使用
本発明のピエゾ抵抗型/静電容量型の電子皮膚は張力検出に使用される。具体的な実施において、製造されたピエゾ抵抗型/静電容量型の電子皮膚を張力検出に使用し、高精度のステップバイステッププラットホームによってに精度よく柔軟性を制御し、ピエゾ抵抗型/静電容量型の電子皮膚は外部張力の作用によって変形される。外部張力の作用によって、ピエゾ抵抗型/静電容量型の電子皮膚の誘電体層の厚さ、電極面積、及びその構造が変化され、電子皮膚デバイスの抵抗値又は電気容量値が変化される。具体的に、静電容量型の電子皮膚を用いて張力を検出する場合、静電容量型の電子皮膚によって外部張力を検出する応答図を得られる。
図17に示すように、該静電容量型デバイスの変形量が0.5%〜50%の範囲内である場合、高感度の信号出力を実現できる。PDMSが高い伸縮性を有するため、関連材料を最適化した後、ピエゾ抵抗型/静電容量型の電子皮膚が検出できるデバイスの変形量が0.01%〜200%の範囲内になることができる。
4)ピエゾ抵抗型/静電容量型の電子皮膚の医療用ロボットシステムにおける使用
本発明のピエゾ抵抗型/静電容量型の電子皮膚を医療用ロボットシステムに使用することによって、医療用ロボット又は外科手術ロボットアームの人体器官に対する接触感知と保護機能を実現できる。ここで、上記電子皮膚は、ピエゾ抵抗型の電子皮膚と静電容量型の電子皮膚を含み、ピエゾ抵抗型の電子皮膚の構造は上記実施例1に記載のピエゾ抵抗型の電子皮膚の構造と一致し、静電容量型の電子皮膚の構造は上記実施例3に記載の静電容量型の電子皮膚の構造と一致するため、説明を省略する。
例えば、ピエゾ抵抗型の電子皮膚を内視鏡ロボットに使用することによって、内視鏡ロボットが感知機能を有し、外部の小さな作用力を検出できる。内視鏡検査を行う際、内視鏡ロボットシステムは人体体内器官との触れを感知でき、該情報を内視鏡ロボットシステムの制御センターに入力し、制御センターはこれに応じてロボットの姿勢と動作を調整し、患者の痛みと人体体内器官の損傷を低減できる。具体的に、本発明のピエゾ抵抗型の電子皮膚を自動導入式内視鏡医療システムに使用することができる。
図18は、ピエゾ抵抗型の電子皮膚が内視鏡医療システムに使用された際に、内視鏡ロボットの人体体内器官に対する触れが、電子皮膚によって精確に、リアルタイム的に、快速に感知された信号捕捉図である。
【0035】
本発明の実施例の実施において、ナノ構造と新型ナノ材料の結合によって、高感度、低消費電力、強軽便性(着用可能、付着可能)の感知電子皮膚デバイスを構築でき、さらに、ピエゾ抵抗型の電子皮膚と静電容量型の電子皮膚の物理的特性に基づいて、異なる分野における新しい使用を開発できる。ここで、外部情報感知の面において、ピエゾ抵抗型の電子皮膚は、外部の微小な作用力にも高感度で感知できる。静電容量型の電子皮膚は付着可能な電子デバイス及びシステムに使用することができ、音声、人体生理信号などの情報の獲得を実現することができる。そのため、ピエゾ抵抗型の電子皮膚と超薄型の静電容量型の電子デバイスは、人体生理信号のリアルタイム的監視(例えば、脈拍、心拍数、呼吸、血圧など)に使用でき、人体健康に対する評価と疾病の早期診断を実現できる。
【0036】
なお、本明細書において、第1及び第2という用語は、一方の実体又は操作と他方の実体又は操作とを区別するためのものであり、これらの実体又は操作の間にいかなる実際の関係又は順序が存在することを意味又は暗示するものではない。また、用語「含む」又はそのいかなる変体語は、非排他的に含むことを意味しており、一連の要素を含む過程、方法、物品、又は設備は、それらの要素を含む以外、明確に列挙されていないその他の要素も含むか、又は、これらの過程、方法、物品、又は設備が固有する要素も含むことを意味する。。さらなる限定がない限り、「一つを含む」によって限定された要素は、上記要素を含む過程、方法、物品、又は設備にその他の同等の要素が含まれていることを排除するものではない。上述したのは、本発明の比較的に好ましい実施例に過ぎず、本発明を如何なる形態で限定するものではない。本発明は、上記の比較的に好ましい実施例により開示されるが、本発明を限定するものではない。本発明の技術方案の範囲を逸脱しない範囲で、当業者が、上記の技術内容に基づいて行う変更、修飾は、同等に変化した等価の実施例であり、本発明の技術方案を逸脱しない限り、本発明の要旨に基づいて上記実施例に対して行ういかなる簡単な修正、同等変化、及び修飾は、いずれも本発明の技術方案の範囲内に属するものである。