特許第6180564号(P6180564)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン・コンポーネンツ株式会社の特許一覧

特許6180564イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置
<>
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000002
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000003
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000004
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000005
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000006
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000007
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000008
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000009
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000010
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000011
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000012
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000013
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000014
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000015
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000016
  • 特許6180564-イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180564
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20170807BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20170807BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H04N1/04 101
   H04N1/028 Z
   G06T1/00 430G
【請求項の数】11
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-21743(P2016-21743)
(22)【出願日】2016年2月8日
(65)【公開番号】特開2016-149769(P2016-149769A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2016年2月8日
(31)【優先権主張番号】特願2015-24156(P2015-24156)
(32)【優先日】2015年2月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104629
【氏名又は名称】キヤノン・コンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】霜田 修一
【審査官】 宮島 潤
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−88604(JP,A)
【文献】 特開2013−78102(JP,A)
【文献】 特開2012−146285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/207
G06T 1/00
H04N 1/024 − 1/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照明体に光を照射して前記被照明体からの光を検出するイメージセンサユニットであって、
線状光源と、
前記被照明体からの光を集光する集光体と、
前記被照明体からの光を検出するイメージセンサと、
前記線状光源が収容される線状光源収容室と前記イメージセンサが収容されるイメージセンサ収容室とが形成されるフレームと、
を有し、
前記線状光源および前記イメージセンサは、平面視において前記被照明体の画像を読取る範囲である有効読取範囲の外側にも設けられており、
前記線状光源収容室から前記イメージセンサ収容室に至る光路が、前記フレームの長手方向の端部であって、平面視において前記有効読取範囲の外側に設けられることを特徴とするイメージセンサユニット。
【請求項2】
前記光路は、前記線状光源収容室と前記イメージセンサ収容室とを連通する貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項3】
前記貫通孔には、透明な部材が設けられることを特徴とする請求項2に記載のイメージセンサユニット。
【請求項4】
前記線状光源は、
発光素子と、
前記発光素子が発する光を線状化する略棒状の導光体と、
を有し、
前記線状光源収容室は、
前記発光素子を収容する発光素子収容室と、
前記導光体を収容する導光体収容室と、
を有し、
前記光路は、前記導光体収容室から前記イメージセンサ収容室に至ることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項5】
前記導光体および前記イメージセンサは、平面視において前記有効読取範囲の外側にも設けられており、
前記光路は、平面視において、前記発光素子と前記有効読取範囲との間に設けられることを特徴とする請求項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項6】
前記線状光源は、
複数の発光素子と、
前記複数の発光素子が直線状に並べて実装される配線板と、
を有することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項7】
前記線状光源には、赤外線を発する発光素子が含まれることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項8】
前記線状光源には、紫外線を発する発光素子が含まれ、
前記被照明体と前記イメージセンサとの光路上には、前記紫外線をカットするフィルターが設けられることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のイメージセンサユニット。
【請求項9】
イメージセンサユニットと被照明体の少なくとも一方を移動させながら、前記被照明体からの反射光を読取る紙葉類識別装置であって、
前記イメージセンサユニットは、請求項1からのいずれか1項に記載のイメージセンサユニットであることを特徴とする紙葉類識別装置。
【請求項10】
イメージセンサユニットと被照明体の少なくとも一方を移動させながら、前記被照明体からの反射光を読取る画像読取装置であって、
前記イメージセンサユニットは、請求項1からのいずれか1項に記載のイメージセンサユニットであることを特徴とする画像読取装置。
【請求項11】
イメージセンサユニットと被照明体の少なくとも一方を移動させながら、前記被照明体からの反射光を読取る画像読取手段と、
記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備える画像形成装置であって、
前記イメージセンサユニットは、請求項1からのいずれか1項に記載のイメージセンサユニットであることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサユニット、紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置に関する。特には、被照明体に光を照射する光源を有するイメージセンサユニットと、このイメージセンサユニットが適用された紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙葉類識別装置や画像読取装置などには、被照明体としての紙幣や原稿を読取るイメージセンサユニットが用いられている。イメージセンサユニットには、被照明体に光を照射する光源と、被照明体からの光を検出するイメージセンサとを有するものがある。光源は、経年劣化などによって、光の照射強度が低下していく。光源の光の照射強度が低下すると、読取る画像の輝度が低下する。そこで、経年劣化による光の照射強度の低下を打ち消すように、光源の光の照射強度を補正する。
【0003】
従来、このような補正には、特許文献1に開示される構成のように、白基準を用いていた。すなわち、光源が発する光を白基準に向けて照射し、白基準で反射した光をイメージセンサによって検出し、検出した反射光の強度に応じて光源の光の照射強度を補正していた。しかしながら、このような構成では白基準が必要になる。さらに、白基準での反射光を検出するため、補正結果が、白基準の有する光学的な特性の影響を受けることになる。例えば、白基準の反射率が低いと、検出される反射光の強度が低くなるため、補正に必要な光量が得られないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−146285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、白基準となる部材を設けなくても、補正に用いるデータを取得できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、被照明体に光を照射して前記被照明体からの光を検出するイメージセンサユニットであって、線状光源と、前記被照明体からの光を集光する集光体と、前記被照明体からの光を検出するイメージセンサと、前記線状光源が収容される線状光源収容室と前記イメージセンサが収容されるイメージセンサ収容室とが形成されるフレームと、を有し、前記線状光源および前記イメージセンサは、平面視において前記被照明体の画像を読取る範囲である有効読取範囲の外側にも設けられており、前記線状光源収容室から前記イメージセンサ収容室に至る光路が、前記フレームの長手方向の端部であって、平面視において前記有効読取範囲の外側に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、導光体から出射される光を、直接にイメージセンサに導くことができる。したがって、この光を用いることにより、白基準となる部材を設けなくても、補正に用いるデータを取得できるようにすることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態のイメージセンサユニットの構成例を模式的に示す分解斜視図である。
図2図2は、第1実施形態のイメージセンサユニットの構成例を模式的に示す外観斜視図である。
図3A図3Aは、第1実施形態のイメージセンサユニットの構成例を模式的に示す平面図である。
図3B図3Bは、図3Aから導光体を省略した図である。
図3C図3Cは、第1実施形態のイメージセンサユニットの変形例を模式的に示す平面図である。
図4A図4Aは、第1実施形態のイメージセンサユニットの構成例を模式的に示す断面図である。
図4B図4Bは、第1実施形態のイメージセンサユニットの構成例を模式的に示す断面図である。
図5図5は、第2実施形態のイメージセンサユニットの構成例を模式的に示す分解斜視図である。
図6図6は、第2実施形態のイメージセンサユニットの構成例を模式的に示す断面図である。
図7図7は、紙葉類識別装置の要部の構成例を模式的に示す断面図である。
図8図8は、紙葉類識別装置の要部の構成例を模式的に示す断面図である。
図9図9は、紙葉類識別装置の要部の構成例を模式的に示す断面図である。
図10図10は、画像読取装置の構成例を模式的に示す外観斜視図である。
図11図11は、画像読取装置の構成例を模式的に示す断面図である。
図12図12は、画像形成装置の構成例を模式的に示す外観斜視図である。
図13図13は、画像形成装置の画像形成部の構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用できる実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本発明の実施形態では、イメージセンサユニットと、このイメージセンサユニットが適用された紙葉類識別装置、画像読取装置および画像形成装置を示す。イメージセンサユニットは、被照明体Pに対して副走査方向に相対的に移動しながら光を照射し、その反射光または透過光によって被照明体Pの画像を読取る。なお、本発明において、「光」とは、可視光線のみならず、紫外線、赤外線などの可視光線以外の波長帯域の電磁波を含むものとする。また、各図においては、三次元の各方向を、X,Y,Zの各矢印で示す。X方向は、イメージセンサユニットの主走査方向である。Y方向は、イメージセンサユニットの副走査方向である。Z方向は、イメージセンサユニットの上下方向である。上下方向については、被照明体Pの側を上側とする。
【0010】
(イメージセンサユニット(第1実施形態))
第1実施形態のイメージセンサユニット1aの構成例について、図1図4Bを参照して説明する。図1は、第1実施形態のイメージセンサユニット1aの構成例を模式的に示す分解斜視図である。図2は、第1の実施形態に係るイメージセンサユニット1aの構成例を模式的に示す外観斜視図である。図3Aは、イメージセンサユニット1aの平面図である。図3Bは、図3Aから導光体を省略した図である。図4Aは、図3AのIVA−IVA線断面図である。図4Bは、図3AのIVB−IVB線断面図である。
【0011】
図1図3Bに示すように、イメージセンサユニット1aは、全体として、主走査方向に長い略棒状の構成を有する。イメージセンサユニット1aは、線状光源3aと、導光体32と、集光体13と、イメージセンサ基板14と、イメージセンサ15と、フィルター16と、カバー部材17とを有する。
【0012】
線状光源3aは、発光素子31aと導光体32とで構成される。発光素子31aには、例えば、所定の発光色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、赤外線(Ir)、紫外線(UV))の点状光源が適用される。例えば、発光素子31aには、前述の各発色光(波長域)のLED素子を有するLEDパッケージが適用される。なお、発光素子31aの発光色(波長域)は、前述の組み合わせに限定されない。例えば、発光素子31aの発光色は、一種類のみであってもよい。また、発光素子31aの発光色は、可視光(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))と赤外線(Ir)であってもよく、可視光と紫外線(UV)であってもよい。さらに、赤外線と紫外線であってもよい。
【0013】
導光体32は、発光素子31aが発する光を線状化(線光源化)する光学部材である。導光体32は、全体として主走査方向に細長い略棒状の構成を有する。導光体32は、アクリル系の樹脂などといった透明の樹脂材料からなり、射出成形などによって一体に形成される。導光体32の長手方向(主走査方向)の端面には、発光素子31aが発する光が入射する光入射面321が設けられる。導光体32の側面には、光拡散面322(図4A図4B参照)と光出射面323とが設けられる。光拡散面322は、光入射面321から入射した光を拡散させるための面であり、主走査方向に細長い帯状形状を有する。光拡散面322には、例えば、光を乱反射させて拡散させるドットパターンが印刷される。光出射面323は、光入射面321から入射した光を被照明体Pに向けて出射する面である。光出射面323は、発光素子31aの発する光を線状化(線光源化)できるように、主走査方向に細長い帯状形状を有する。このほか、導光体32の長手方向の端部には、フレーム10に位置決めするための係合部324が設けられる。係合部324としては、例えば、長手方向に直交する方向(副走査方向)に突出する突起状の構成が適用できる。
【0014】
集光体13は、被照明体Pからの光(反射光や透過光)をイメージセンサ15(後述)の表面に結像する光学部材である。集光体13には、例えば、一般的な従来公知のロッドレンズアレイ(マイクロレンズアレイ)が適用される。一般的なロッドレンズアレイは、複数の正立等倍結像型の結像素子(ロッドレンズ)が主走査方向に直線状に配列された構成を有する。なお、集光体13は、結像素子が直線状に配列される構成であればよく、具体的な構成は限定されない。例えば、集光体13は、複数列の結像素子が配列される構成であってもよい。
【0015】
イメージセンサ基板14は、主走査方向に長い略長方形の回路基板である。イメージセンサ基板14の上面には、イメージセンサ15が設けられる。また、イメージセンサ基板14の下面には、外部(紙葉類識別装置など)と接続するためのコネクタ141が実装される。さらに、イメージセンサ基板14には、発光素子31aの光の照射強度の補正に用いる補正データが格納されたメモリが実装される。なお、このメモリには、公知の各種不揮発メモリが適用できる。
【0016】
イメージセンサ15は、集光体13により結像した光(被照明体Pからの反射光や透過光)を検出して電気信号に変換する。イメージセンサ15は、集光体13からの反射光や透過光を検出できるように、受光面を上側に向けて実装される。イメージセンサ15には、例えば、イメージセンサICアレイが適用される。イメージセンサICアレイは、複数のイメージセンサICがイメージセンサ基板14の上面に長手方向(主走査方向)に直線状に配列して実装されることによって構成される。イメージセンサICは、直線状に並べて配列される複数の受光素子(光電変換素子)を有する。そして、イメージセンサICは、受光素子の配列方向がイメージセンサ基板14の長手方向(主走査方向)に平行になる向きで実装される。イメージセンサICの数やイメージセンサICに設けられる受光素子の数は、イメージセンサユニット1aの読取りの解像度に応じて設定される。なお、イメージセンサ15は、複数のイメージセンサICがイメージセンサ基板14の長手方向に配列される構成であればよく、それ以外の構成は特に限定されない。例えば、イメージセンサICが千鳥配列のように複数列配列される構成であってもよい。なお、イメージセンサ15としてのイメージセンサICアレイを構成するイメージセンサICには、従来公知の各種イメージセンサICが適用できる。
【0017】
コネクタ141は、イメージセンサ基板14の下面に実装される。イメージセンサ基板14に設けられるイメージセンサ15や線状光源3aの発光素子31aは、このコネクタ141を介して外部と電気的に接続される。なお、コネクタ141は、イメージセンサユニット1aを紙葉類識別装置などの所定の機器(例えば回路基板)に、電力や電気信号を送受信可能に接続できる構成であればよく、具体的な構成は限定されない。
【0018】
フィルター16には、紫外線カットフィルターが適用される。なお、フィルター16の機能については後述する。図4A図4Bにおいては、フィルター16が集光体13とイメージセンサ15との間に設けられる構成を示すが、フィルター16が設けられる位置は、図4A図4Bに示す位置に限定されない。例えば、フィルター16は、カバー部材17と集光体13との間に設けられる構成であってもよい。要は、フィルター16は、被照明体Pからイメージセンサ15に至る光路上に設けられる構成であればよい。
【0019】
フレーム10は、イメージセンサユニット1aの筺体である。フレーム10は、上面視において主走査方向に長い長方形の形状を有する。フレーム10は、例えば、黒色に着色されて遮光性を有する樹脂材料により形成される。樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネートが適用できる。フレーム10の内部には、線状光源3aを収容する線状光源収容室101aと、集光体13を収容する集光体収容室102と、イメージセンサ基板14を収容するイメージセンサ収容室103とが形成される。
【0020】
線状光源収容室101aは、線状光源3aの導光体32を収容する導光体収容室202と、線状光源3aの発光素子31aを収容する発光素子収容室203とを有する。線状光源収容室101aの導光体収容室202は、主走査方向に長く、上側が開口する領域である。導光体収容室202の主走査方向の端部近傍には、導光体32の係合部324が係合する被係合部105が設けられる。前述のように、導光体32の係合部324が副走査方向に突出する凸状の構成を有している場合には、被係合部105は、導光体32の係合部324が係合(嵌まり込む)できる凹部が適用される。そして、導光体32の係合部324が被係合部105に係合すると、導光体32は、フレーム10に対して主走査方向について位置決めされる。
【0021】
また、フレーム10には、導光体収容室202の副走査方向の一側に、導光体32を保持する押さえ片106が設けられる。押さえ片106は、弾性変形可能な舌片状の構成を有する。押さえ片106は、導光体収容室202に収容された導光体32を、副走査方向の他の一側および下側に向けて付勢する。このため導光体32は、導光体収容室202に収容されると、導光体収容室202の副走査方向の他の一側の内周面(主走査方向に平行な面)と底面(上側を向く面)とに、付勢された状態で当接する。したがって、導光体32は、フレーム10に対して、副走査方向と上下方向について位置決めされた状態に保持される。
【0022】
線状光源収容室101aの発光素子収容室203は、長手方向(主走査方向)の端部近傍であって、導光体収容室202の長手方向外側に設けられる。発光素子収容室203は、発光素子31aが発する光を導光体32の光入射面321に照射できるように、導光体収容室202と連通している。このため、発光素子収容室203に収容された発光素子31aは、導光体収容室202に収容された導光体32の光入射面321に対向する。さらに発光素子収容室203の底部には、上下方向に貫通する貫通孔によってイメージセンサ収容室103と連通している。そして、発光素子収容室203に収容された発光素子31aの端子(リードフレーム)は、この貫通孔を通じてイメージセンサ収容室103に引き出され、イメージセンサ基板14に接続(例えばハンダ付け)される。
【0023】
集光体収容室102も、導光体収容室202と同様に、主走査方向に長く上側が開口する領域である。集光体収容室102は、集光体13を、その光軸が上下方向を向く姿勢で(被照明体Pの読取ラインO(図4A図4B参照)を向く姿勢で)収容できる。集光体収容室102に収容された集光体13は、例えば紫外線硬化型の接着剤によってフレーム10に接着固定される。集光体収容室102の底部には、イメージセンサ収容室103に連通する開口部が形成される。この開口部は、集光体13からイメージセンサ15に至る光路となる。この開口部は、上下方向に貫通する貫通孔であり、平面視において主走査方向に長いスリット状の形状を有する。
【0024】
イメージセンサ収容室103は、フレーム10の内部の下寄りであって、導光体収容室202と集光体収容室102と発光素子収容室203の下側に設けられる(図4A図4B参照)。イメージセンサ収容室103は、下側が開口する領域であり、イメージセンサ15が設けられたイメージセンサ基板14を、下側から収容できる。イメージセンサ収容室103に収容されたイメージセンサ基板14は、フレーム10に設けられるボス(図略)などをカシメることによって、フレーム10に固定される。そして、図4A図4Bに示すように、イメージセンサ基板14がイメージセンサ収容室103に収容されると、イメージセンサ基板14に実装されるイメージセンサ15は、集光体収容室102の底部に形成される開口部を通じて、集光体13の下側の面と対向する。
【0025】
カバー部材17は、フレーム10の上側に設けられる。カバー部材17は、透明な板状の部材であり、例えばガラス板により形成される。カバー部材17は、導光体32や集光体13と被照明体Pとを読取りに適した距離に維持する機能や、フレーム10の内部に塵埃などの異物の侵入を防止する機能を有する。なお、イメージセンサユニット1aが適用される画像読取装置などが、被照明体Pを載置するプラテンガラスなどを有する場合には、カバー部材17は設けられなくてもよい。
【0026】
(イメージセンサユニットの動作)
ここで、イメージセンサユニット1aの動作について説明する。被照明体Pを読取る際には、発光素子31aの各色および赤外線のLED素子を順次点灯する。発光素子31aが発する光は、導光体32の光入射面321からその内部に入射し、光拡散面322において拡散するなどしてその内部を伝搬する。導光体32の内部を伝搬した光は、導光体32の光出射面323から線状化されて被照明体Pの読取ラインO(図4A図4B参照)に向けて出射する。被照明体Pの読取ラインOからの反射光は、集光体13によってイメージセンサ15の表面に結像する。イメージセンサ15は、集光体13によって結像した光学像を検出して電気信号に変換する。そして、イメージセンサユニット1aは、被照明体Pに光を照射して反射光を検出する動作を、被照明体Pと副走査方向に相対的に移動しながら、短時間で周期的に繰り返す。イメージセンサユニット1aは、このような動作によって、被照明体Pに設けられる所定のパターン(例えば、ホログラム)を可視光画像として読取る。さらに、被照明体Pの赤外線画像を読取るとともに、被照明体Pに設けられる蛍光物質による蛍光を紫外線画像として読取る。
【0027】
前述のとおり、被照明体Pからイメージセンサ15に至る光路上には、フィルター16が設けられる。本実施形態では、フィルター16として、紫外線カットフィルターが適用される。発光素子31aが発した紫外線は、導光体32によって線状化されて被照明体Pの読取ラインOに向けて出射される。紫外線によって励起する蛍光物質が被照明体Pに設けられていると(例えば、蛍光塗料によって文字や図形が描かれていると)、被照明体Pの蛍光物質が紫外線によって励起して蛍光を発する。被照明体Pの蛍光物質が発する蛍光は、集光体13によってイメージセンサ15に結像する。このため、イメージセンサ15は、蛍光を検出することで紫外線画像を読取ることができる。一方、被照明体Pの表面で反射した紫外線は、紫外線カットフィルターであるフィルター16によって、イメージセンサ15に入射しないようにカットされる。
【0028】
なお、本実施形態では、フィルター16に紫外線カットフィルターが適用される構成を示したが、フィルター16は紫外線カットフィルターに限定されない。要は、発光素子31aがある波長域の励起光を被照明体Pに照射し、この励起光によって励起して発せられる蛍光を検出する構成において、蛍光を透過し励起光をカットするフィルターが適用される構成であればよい。
【0029】
また、イメージセンサユニット1aは、被照明体Pを挟んでその反対側に光源装置や別のイメージセンサユニット1aを配置することによって、透過読取りが可能なる。この場合には、光源装置や別のイメージセンサユニット1aが発する光が被照明体Pを透過し、集光体によってイメージセンサ15の表面に結像する。イメージセンサ15は、集光体13によって結像した光学像を検出して電気信号(画像信号)に変換する。そして、イメージセンサユニット1aは、光源装置や別のイメージセンサユニット1aにより被照明体Pに光を照射して透過光を検出する動作を、被照明体Pと副走査方向に相対的に移動しながら、短時間で周期的に繰り返す。
【0030】
図3A図3Bに示すように、イメージセンサユニット1aには、有効読取範囲Eが設けられる。なお、図3A図3Bにおいては、内部構造が分かるように、カバー部材17を省略してある。さらに、図3Bにおいては、導光体32を省略してある。有効読取範囲Eは、イメージセンサユニット1aが、実際に被照明体Pの読取りを行う範囲である。すなわち、イメージセンサユニット1aは、イメージセンサ15の有効読取範囲Eに結像した光を、被照明体Pの画像として読取り、電気信号(画像信号)に変換して出力する。ただし、イメージセンサ15は、有効読取範囲Eの外側にも設けられる。例えば、イメージセンサ15の長手方向(主走査方向)寸法は、有効読取範囲Eの寸法(主走査方向寸法)よりも大きい。そして、イメージセンサ15は、受光素子が有効読取範囲Eの全域に存在するように設けられる。さらに、イメージセンサ15は、その長手方向の端部が有効読取範囲Eの外側に位置し、有効読取範囲Eの外側(主走査方向の外側であって、端部近傍の領域)にも受光素子が存在するように設けられる。そして、イメージセンサ15は、有効読取範囲Eの外側においても、受光素子に入射した光を検出し、検出した光の強度に応じた電気信号を出力する。
【0031】
(補正用光路)
図3A図4Aに示すように、フレーム10には補正用光路108が設けられる。なお、図4A図3AのIVA−IVA線断面)は、有効読取範囲Eの主走査方向の外側における断面図であり、図4B図3AのIVB−IVB線断面)は、有効読取範囲Eの範囲内における断面図である。補正用光路108は、発光素子31aが発する光の照射強度の補正に用いられる。ここで、補正用光路108について説明する。補正用光路108は、導光体収容室202からイメージセンサ収容室103に至る光路である。補正用光路108は、例えば、導光体収容室202とイメージセンサ収容室103とを連通する貫通孔が適用される。この補正用光路108は、図3A図4Aに示すように、有効読取範囲Eの主走査方向の外側に設けられる。例えば、補正用光路108は、平面視において、有効読取範囲Eと発光素子収容室203との間に設けられる。また、補正用光路108の導光体収容室202側の開口部は、導光体32の側面に覆われる位置に設けられる。そして、補正用光路108は、平面視において有効読取範囲Eの内側には設けられない。このように、本実施形態において、イメージセンサユニット1aのフレーム10には、有効読取範囲Eの外側に、導光体32からフィルター16を通過せずにイメージセンサ15に至る補正用光路108が設けられる。
【0032】
この補正用光路108は、光路蓋体109によって塞がれている構成であってもよい。ただし、光路蓋体109は、発光素子31aが発する光(本実施形態では、可視光、赤外線、紫外線)の透過率の高い材料によって形成される。このような材料としては、ガラスなどが適用できる。補正用光路108が光路蓋体109によって塞がれる構成であると、補正用光路108や導光体収容室202に、塵埃などの異物が侵入することが防止される。また、光路蓋体109は、光の透過率を制御できる部材であってもよい。例えば、光路蓋体109として、液晶シャッターが適用できる。この場合、補正の際には液晶シャッターを開放し、それ以外(実際の使用時など)においては液晶シャッターを閉鎖する。これにより、迷光の発生を防止し、補正用光路108を通過した光がイメージセンサ15の有効読取範囲Eの内側に位置する受光素子に入射することを防止できる。なお、光路蓋体109に液晶シャッターなどが適用される構成であれば、補正用光路108は、有効読取範囲Eの内側に設けられる構成であってもよい。なお、この光路蓋体109は、発光素子31aが発する光に対してはフィルターの機能(特定の波長域の光を遮断や低減するなどの機能)を有していないものが適用される。例えば、液晶シャッターは、発光素子31aが発する光の透過率を切替えるが、特定の波長域の光の遮断や低減はしない。
【0033】
導光体収容室202に収容された導光体32の側面から出射した光は、この補正用光路108を通過し、フィルター16を通過することなく、イメージセンサ15に直接に入射する。なお、前述のとおり、補正用光路108の導光体収容室202側の開口部は、導光体32の側面に覆われる位置に設けられる。このため、発光素子31aが発した光は、導光体32を介して補正用光路108に入射する。
【0034】
このような補正用光路108が設けられる構成であると、補正用光路108を通過した光をイメージセンサ15で検出することで、検出結果に応じて発光素子31aの光の照射強度の補正を行うことができる。例えば、発光素子31aは経年劣化により、徐々に光の照射強度が低下する。そこで、経年劣化による照射強度の低下を打ち消すことができるように、発光素子31aの照射強度(発光素子31aに投入する電力)を補正する。従来は、白基準で反射した光の強度を測定することにより、発光素子31aの照射強度を補正していた。このため、補正のために白基準が必要であった。これに対して、本実施形態によれば、補正用光路108を通過してイメージセンサ15に入射した光の強度を測定することにより発光素子31aの照射強度を補正できるから、白基準が不要になる。
【0035】
図3Cは、第1実施形態の変形例を示す図であり、図3Bに対応する図である。図3Cに示すように、補正用光路108は、発光素子31aが設けられる側とは反対側に設けられてもよい。また、補正用光路108は、長手方向の両端のそれぞれに設けられてもよい。補正用光路108が長手方向の両端部に設けられる構成であると、シェーディング補正の実行が可能になる。
【0036】
なお、図4Aに示すように、導光体32には、補正用光路108に向けて光を反射する光反射面325が設けられる構成であることが好ましい。具体的には、光反射面325は、導光体32の長手方向の端部近傍(導光体収容室202に収容された状態で、有効読取範囲Eの外側に位置する部分)の側面のうち、補正用光路108を塞ぐ面の反対側の面に設けられる。光反射面325は、光を乱反射する表面性状を有していればよい。例えば、光反射面325には、光を乱反射する塗料が塗布される構成や、光を乱反射するプリズムパターンが設けられる構成が適用できる。このような構成によれば、補正用光路108を通じてイメージセンサ15に入射する光の強度を強くできる。したがって、補正の精度の向上を図ることができる。また、導光体32に光反射面325が設けられる構成に代えて、またはこの構成に加えて、フレーム10の導光体収容室202の内周面に光反射面201が設けられる構成であってもよい。この場合、光反射面201は、フレーム10の導光体収容室202の内周面であって、補正用光路108に対向する面の有効読取範囲Eの外側の部分に設けられる。このような構成であっても、前記同様の効果を奏する。
【0037】
さらに、紫外線の照射強度の補正については、次のような理由により、補正の精度を高めることができる。被照明体Pからイメージセンサ15に至る光路上にフィルター16(紫外線カットフィルター)が設けられる構成であると、イメージセンサ15は、白基準(被照明体P)で反射した紫外線を検出できない。このため従来は、蛍光物質を有する白基準(例えば、紫外線により励起して蛍光を発する蛍光塗料が塗布された白基準)を用い、白基準の蛍光物質の蛍光を検出することにより、発光素子31aの紫外線の照射強度を測定していた。しかしながら、一般的に蛍光物質の特性は経年劣化することから、安定的に蛍光の強度(すなわち、紫外線の強度)の測定ができない。また、イメージセンサユニット1aの製造時などの初回の補正に用いた蛍光物質と同じ特性を有する蛍光物質を、イメージセンサユニット1aの使用開始後のある程度の期間が経過した後に入手することは困難である。
【0038】
これに対して、本実施形態においては、イメージセンサ15の有効読取範囲Eの外側であって補正用光路108が設けられる位置に対応する受光素子には、発光素子31aから発せられて補正用光路108を通過した光(紫外線)が入射する。補正用光路108および補正用光路108からイメージセンサ15に至る光路上には、紫外線カットフィルターが設けられない。このため、発光素子31aが発した光は、導光体32と補正用光路108とを通過することによって、フィルター16(紫外線カットフィルター)を通過することなく、イメージセンサ15に入射する。このような構成であると、紫外線の照射強度を測定する場合においては、発光素子31aが発する紫外線の照射強度を直接的に測定できる。このため、白基準に設けられる蛍光物質の特性の相違や経年劣化の影響を受けない。したがって、白基準の蛍光を測定する構成に比較して、発光素子31aの紫外線の照射強度を正確に測定できる。そして、この測定結果を発光素子31aの紫外線の照射強度の補正に反映させることができるから、補正が正確になる。また、初回の補正に用いた蛍光物質と同じ特性を有する蛍光物質を確保する必要もなくなる。
【0039】
また、赤外線の照射強度の補正については、次のような理由により、補正の精度を高めることができる。補正に用いられる白基準は、一般的に赤外線を透過しやすい。このため、イメージセンサ15に入射する赤外線の強度が低くなるから、補正に必要な照射強度を確保することが困難である。これに対して、本実施形態によれば、発光素子31aの赤外線の照射強度の補正に、導光体32と補正用光路108を通過してイメージセンサ15に入射した赤外線の照射強度の測定結果を用いることができる。このため、白基準で反射した赤外線の照射強度を用いる構成に比較して、高い照射強度の赤外線を用いて補正を行うことができる。したがって、補正の正確さを向上させることができる。
【0040】
なお、可視光についても、白基準を用いることなく照射強度を補正できる。このため、可視光の補正についても、白基準の光学的な特性(例えば透過率)の影響を受けることがない。
【0041】
なお、図3A図4Aに示すように、この補正用光路108は、有効読取範囲の外側であって、平面視において発光素子収容室203と有効読取範囲との間に形成される。ただし、この補正用光路108は、有効読取範囲Eの内側には形成されない。このため、補正用光路108を通過した光が、イメージセンサ15の有効読取範囲Eに入射することがない。したがって、補正用光路108を通過した光は、有効読取範囲Eにおける画像の読取りに影響を与えない。
【0042】
ここで、補正の具体的な方法について説明する。イメージセンサユニット1aの製造後において、例えば工場出荷時において、イメージセンサユニット1aを動作させ、補正用光路108を通じてイメージセンサ15に入射した光の強度を検出する。そして、検出した光の強度を、補正用データとして、イメージセンサ基板14に実装されたメモリに格納する。その後、イメージセンサユニット1aの使用開始後は、定期的に(例えば、起動するごとに)、補正用光路108を通じてイメージセンサ15に入射した光の強度を検出する。そして、検出した光の強度と補正用データとを比較し、補正用データと同じ強度が得られるように、発光素子31aの光の照射強度を補正する。また、イメージセンサユニット1aの動作中においても、周期的に補正を行う構成であってもよい。このような構成によれば、環境温度の変動により発光素子31aの光の照射強度が変動した場合にも対応できる。
【0043】
(イメージセンサユニット(第2実施形態))
なお、第1実施形態では、イメージセンサユニット1aが導光体32を有する構成を示したが、導光体32を有さない構成であってもよい。ここで、第2実施形態として、導光体32を有さないイメージセンサユニット1bの構成例について、図5図6を参照して説明する。図5は、第2実施形態のイメージセンサユニット1bの構成例を模式的に示す分解斜視図であり、第1実施形態の図1に対応する図である。図6はイメージセンサユニット1bの構成例を模式的に示す断面図であり、第1実施形態の図4Aに対応する図である。
【0044】
図5に示すように、第2実施形態のイメージセンサユニット1bは、線状光源3bの構成と線状光源収容室101bとが第1実施形態と相違する。これら以外は、第1実施形態のイメージセンサユニット1aと共通の構成が適用できる。
【0045】
線状光源3bは、主走査方向に長い帯状の配線板33と、この配線板33の上面に実装される複数の発光素子31bとを有する。配線板33は、従来公知の各種リジッド基板やフレキシブル基板が適用できる。発光素子31bは、例えば、所定の発光色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、赤外線(Ir)、紫外線(UV))の表面実装型の発光素子が適用される。例えば、発光素子31bには、前述の各発色光(波長域)のLED素子を有する表面実装型のLEDパッケージが適用される。なお、第1実施形態と同様に、発光素子31bの発光色(波長域)は、前述の組み合わせに限定されない。そして、図5に示すように、複数の発光素子31bが、配線板33の上面に、長手方向(主走査方向)に直線状に並べて実装される。複数の発光色の発光素子31bが適用される構成であれば、各色の発光素子31bが、長手方向に周期的に直線状に並べて実装される。
【0046】
フレーム10bの線状光源収容室101bは、第1実施形態の導光体収容室202と同様に、主走査方向に長く、上側が開口する領域である。なお、線状光源収容室101bは、線状光源3bを、実装された複数の発光素子31bが主走査方向に直線状に並ぶ向きに収容できればよく、具体的な構成は特に限定されない。
【0047】
そして、図6に示すように、線状光源3bは、フレーム10bの線状光源収容室101bに収容される。この状態において、線状光源3bに含まれる複数の発光素子31bのうちの少なくとも1つは、有効読取範囲Eの外側に位置する。特に、複数の発光素子31bのうちの少なくとも1つが、補正用光路108の開口部に副走査方向に並ぶ構成であることが好ましい。このような構成によれば、発光素子31bが発した光は、補正用光路108を通過することにより、集光体13とフィルター16を経ずに、直接にイメージセンサ15に入射する。そして、第2実施形態でも、第1実施形態と同様に、補正用光路108を通じてイメージセンサ15に入射した光を用いて、線状光源3bに含まれる発光素子31bの光の照射強度の補正を行う。このように、第2実施形態では、線状光源3bの一部の発光素子31bが発する光を用いることにより、他の発光素子31bの劣化を推測(予測)して補正を行うことになる。
【0048】
(紙葉類識別装置)
イメージセンサユニット1a,1bが適用された紙葉類識別装置5a〜5cについて、図7図9を参照して説明する。図7図9は、紙葉類識別装置5a〜5cの要部の構成を模式的に示す断面図であり、主走査方向に直角な面での断面を示す図である。なお、図7図9においては、第1実施形態のイメージセンサユニット1aが適用される構成の例を示すが、第2実施形態のイメージセンサユニット1bも同様に適用できる。紙葉類識別装置5a〜5cは、被照明体Pである紙幣などに光を照射すると共に、紙幣からの光を読取り、読取った光を用いて紙幣の種類や真贋の識別を行う。なお、紙葉類識別装置5a〜5cに適用されるイメージセンサユニット1a,1bの線状光源3a,3bの発光素子31a,31bは、可視光を発する発光素子と、赤外線を発する発光素子と、紫外線を発する発光素子とを有する。
【0049】
図7に示すように、紙葉類識別装置5aは、イメージセンサユニット1a,1bと、紙幣を搬送する搬送ローラー51と、コネクタ141に配線接続された識別手段としての画像識別部52とを備える。そして、紙葉類識別装置5aには、搬送ローラー51によって紙幣を挟んでカバー部材17を介してイメージセンサユニット1a,1b上を読取方向(副走査方向)に搬送するための搬送経路Aが設定される。なお、集光体13の上側(紙幣側)の焦点は、搬送経路Aの上下方向の中央に設定される。
【0050】
このような構成の紙葉類識別装置5aの動作は、次のとおりである。紙葉類識別装置5aに適用されたイメージセンサユニット1a,1bが、前述した動作によって、紙幣に設けられる所定のパターンを可視光画像として読取る。さらに、紙幣の赤外線画像を読取るとともに、紙幣の紫外線画像を読取る。その後、画像識別部52は、予め用意された真券である紙幣に可視光線、赤外線および紫外線を照射することで得られた真券紙幣画像と、真贋判定時に判定対象となる紙幣の可視光画像、赤外線画像および紫外線画像とを比較することで、紙幣の真贋判定を行う。これは、真券である紙幣には、可視光下と赤外線下と紫外線下で得られる画像がそれぞれ異なるような領域が設けられているためである。なお、説明および図示を省略した部分については、従来の紙葉類識別装置と同じ構成が適用できる。また、画像識別部52はイメージセンサ基板14に設けられる構成であってもよい。
【0051】
図8に示す紙葉類識別装置5bは、透過光源装置53をさらに有する。透過光源装置53は、線状光源として発光素子531と導光体532とを有する。透過光源装置53の発光素子531および導光体532には、イメージセンサユニット1a,1bに適用された線状光源3aの発光素子31aおよび導光体32と同じ構成が適用できる。ただし、第2実施形態の線状光源3bのように、複数の発光素子とこれら複数の発光素子が実装された配線板を有する構成であってもよい。そして、図8に示すように、透過光源装置53は、イメージセンサユニット1a,1bに対向する位置に設けられ、紙幣に向けて光を照射する。特に、透過光源装置53は、その導光体532の出射面から照射される光の光軸と、イメージセンサユニット1a,1bの集光体13の光軸とが一致するように配設される。
【0052】
このような構成の紙葉類識別装置5bの動作は、次のとおりである。イメージセンサユニット1a,1bに組み込まれた線状光源3a,3bの発光素子31a,31bおよび透過光源装置53の発光素子531は、各色の可視光線、赤外線および紫外線の発光素子を順次点灯する。イメージセンサユニット1a,1bの導光体32から紙幣に照射された光(可視光、赤外線、紫外線)は、紙幣の表面で反射して集光体13に入射し、イメージセンサ15の表面に結像する。イメージセンサ15は、結像した光学像を電気信号に変換することによって、紙幣からの反射光による可視光画像と赤外線画像と紫外線画像との画像データを生成する。一方、透過光源装置53から紙幣に照射された光は、紙幣を透過してイメージセンサユニット1a,1bの集光体13に入射し、イメージセンサ15の表面に結像する。イメージセンサ15は、結像した光学像を電気信号に変換することによって、紙幣からの透過光による可視光画像と赤外線画像と紫外線画像との画像データを生成する。
【0053】
そして、イメージセンサユニット1a,1bの発光素子31a,31bおよび透過光源装置53は、紙幣に光を照射して反射光と透過光を検出する動作を、短時間で交互に繰り返す。イメージセンサユニット1a,1bは、このような動作によって、紙幣に設けられる所定のパターン(例えば、ホログラム)を可視光画像として読取るとともに、紙幣の赤外線画像と紫外線画像を読取る。このような構成によれば、紙葉類識別装置5bは、紙幣の反射光および透過光による可視光画像と赤外線画像と紫外線画像とを読取ることができる。
【0054】
図9に示す紙葉類識別装置5cは、は、2基のイメージセンサユニット1a,1bを有する。図9に示すように、2基のイメージセンサユニット1a,1bは、紙幣の搬送経路Aを挟んで対向するように配設される。そして、2基のイメージセンサユニット1a,1bは、一方のイメージセンサユニット1a,1bの線状光源3a,3bから照射されて紙幣を透過した光が、他方のイメージセンサユニット1a,1bの集光体13に入射するように配置される。
【0055】
このような構成の紙葉類識別装置5cの動作は、次のとおりである。2基のイメージセンサユニット1a,1bに組み込まれた線状光源3a,3bは、各色の可視光線、赤外線および紫外線の発光素子を順次点灯する。一方のイメージセンサユニット1a,1bの線状光源3a,3bから紙幣に照射された光は、紙幣の表面で反射して一方のイメージセンサユニット1a,1bの集光体13に入射し、一方のイメージセンサユニット1a,1bのイメージセンサ15の表面に結像する。一方のイメージセンサユニット1a,1bのイメージセンサ15は、結像した光学像を電気信号に変換することによって、紙幣からの反射光による可視光画像と赤外線画像と紫外線画像とを取得する。また、一方のイメージセンサユニット1a,1bの線状光源3a,3bから紙幣に照射された光は、紙幣を透過して他方のイメージセンサユニット1a,1bの集光体13に入射し、他方のイメージセンサユニット1a,1bのイメージセンサ15の表面に結像する。他方のイメージセンサユニット1a,1bのイメージセンサ15は、結像した光学像を電気信号に変換することによって、紙幣からの透過光による可視光画像と赤外線画像と紫外線画像とを取得する。このような構成によれば、紙葉類識別装置5cは、紙幣の両面の反射画像を読取ることができるとともに、透過画像を読取ることができる。
【0056】
なお、本実施形態においては、可視光線と赤外線と紫外線とを照射することで紙幣を可視光画像と赤外線画像と紫外線画像として読取る構成を示したが、この構成に限定されない。例えば、可視光と赤外線と紫外線のいずれか1種または2種を照射する構成であっても構わない。また、被照明体Pとして紙幣が適用される構成を示したが、紙葉類の種類は限定されるものではない。例えば、各種有価証券やIDカードなどについても読取ができる。
【0057】
(画像読取装置(その1))
図10は、画像読取装置としてのフラットベッド方式のスキャナー7aの構成を示す斜視図である。スキャナー7aは、筺体71aと、被照明体載置部としてのプラテンガラス72と、イメージセンサユニット1a,1bと、イメージセンサユニット1a,1bを駆動する駆動機構と、回路基板73aと、プラテンカバー74とを有する。被照明体載置部としてのプラテンガラス72は、ガラスなどの透明板からなり、筺体71aの上面に取り付けられる。プラテンカバー74は、プラテンガラス72に載置された被照明体Pを覆うように、筺体71aに対してヒンジ機構などを介して開閉可能に取付けられる。イメージセンサユニット1a,1bと、このイメージセンサユニット1a,1bを駆動するための駆動機構と、回路基板73aとは、筺体71aの内部に収容される。なお、スキャナー7aがプラテンガラス72を有するため、イメージセンサユニット1a,1bはカバー部材17を有さなくてもよい。
【0058】
駆動機構は、保持部材750と、ガイドシャフト751と、駆動モーター752と、ワイヤー754とを含む。保持部材750は、イメージセンサユニット1a,1bを囲むように保持する。ガイドシャフト751は、保持部材750をプラテンガラス72に沿って読取方向(副走査方向)に移動可能にガイドする。駆動モーター752と保持部材750とはワイヤー754を介して連結されており、駆動モーター752の駆動力によってイメージセンサユニット1a,1bを保持する保持部材750を副走査方向に移動させる。そして、イメージセンサユニット1a,1bは、駆動モーター752の駆動力によって副走査方向に移動しながら、プラテンガラス72に載置された被照明体Pである原稿などを読取る。このように、イメージセンサユニット1a,1bと被照明体Pとを相対的に移動させながら、被照明体Pを読取る。
【0059】
回路基板73aには、イメージセンサユニット1a,1bが読取った画像に所定の画像処理を施す画像処理回路や、イメージセンサユニット1a,1bを含むスキャナー7aの各部を制御する制御回路や、スキャナー7aの各部に電力を供給する電源回路などが構築される。
【0060】
(画像読取装置(その2))
図11は、画像読取装置としてのシートフィード方式のスキャナー7bの構成を示す断面模式図である。図11に示すように、スキャナー7bは、筺体71bと、イメージセンサユニット1a,1bと、搬送ローラー76と、回路基板73bと、カバーガラス77とを有する。搬送ローラー76は、図示を省略した駆動機構によって回転し、被照明体Pを挟んで搬送する。カバーガラス77は、イメージセンサユニット1a,1bの上側を覆うように設けられる。回路基板73bには、イメージセンサユニット1a,1bを含むスキャナー7bの各部を制御する制御回路や、スキャナー7bの各部に電力を供給する電源回路などが構築される。
【0061】
そして、スキャナー7bは、搬送ローラー76によって被照明体Pを読取り方向(副走査方向)に搬送しつつ、イメージセンサユニット1a,1bにより被照明体Pを読取る。すなわち、イメージセンサユニット1a,1bと被照明体Pとを相対的に移動させながら、被照明体Pを読取る。なお、図11においては、被照明体Pの片面を読取るスキャナー7bの例を示すが、2つのイメージセンサユニット1a,1bが被照明体Pの搬送経路Aを挟んで対向するように設けられ、被照明体Pの両面を読取る構成であってもよい。
【0062】
以上、図10図11を参照して、本発明を適用できるイメージセンサユニット1a,1bを用いた画像読取装置の例としてスキャナー7a,7bを説明したが、イメージセンサユニット1a,1bを用いた画像読取装置の構成や種類は、これらに限定されるものではない。
【0063】
(画像形成装置)
次に、本発明の実施形態である画像形成装置9の構成例について、図12図13を参照して説明する。本発明の実施形態である画像形成装置9には、本発明の実施形態であるイメージセンサユニット1a,1bが適用される。図12は、本発明の実施形態である画像形成装置9の外観斜視図である。図13は、本発明の実施形態である画像形成装置9の筺体91の内部に設けられる画像形成部92を抜き出して示した斜視図である。図12図13に示すように、画像形成装置9は、フラットベッド方式のスキャナーとインクジェット方式のプリンタとの複合機(MFP;Multifunction Printer)である。画像形成装置9は、画像を読取る画像読取手段としての画像読取部93と、画像を形成する画像形成手段としての画像形成部92とを有する。そして、画像形成装置9の画像読取部93には、イメージセンサユニット1a,1bが組み込まれる。なお、画像形成装置9の画像読取部93は、前述の画像読取装置と共通の構成が適用できる。したがって、画像読取装置と共通の構成については説明を省略する。
【0064】
図12に示すように、画像形成装置9には、操作部94が設けられる。操作部94には、操作メニューや各種メッセージなどを表示する表示部941と、画像形成装置9を操作するための各種操作ボタン942が設けられる。また、図13に示すように、画像形成装置9の筺体91の内部には、画像形成部92が設けられる。画像形成部92は、搬送ローラー921と、ガイドシャフト922と、インクジェットカートリッジ923と、モーター926と、一対のタイミングプーリー927とを有する。搬送ローラー921は、駆動源の駆動力によって回転し、記録媒体としての印刷用紙Rを副走査方向に搬送する。ガイドシャフト922は棒状の部材であり、その軸線が印刷用紙Rの主走査方向に平行となるように画像形成装置9の筺体91に固定される。
【0065】
インクジェットカートリッジ923は、ガイドシャフト922上をスライドすることによって、印刷用紙Rの主走査方向に往復動できる。インクジェットカートリッジ923は、例えば、シアンC、マゼンタM、イエローY、黒Kのインクを備えたインクタンク924(924C,924M,924Y,924K)と、これらのインクタンク924にそれぞれ設けられた吐出ヘッド925(925C,925M,925Y,925K)から構成される。一対のタイミングプーリー927の一方は、モーター926の回転軸に取り付けられる。そして、一対のタイミングプーリー927は、印刷用紙Rの主走査方向に互いに離れた位置に設けられる。タイミングベルト928は、一対のタイミングプーリー927に平行掛けに巻き掛けられ、所定の箇所がインクジェットカートリッジ923に連結される。
【0066】
画像形成装置9の画像読取部93は、イメージセンサユニット1a,1bが読取った画像を、印刷に適した形式の電気信号に変換する。そして、画像形成装置9の画像形成部92は、画像読取部93のイメージセンサユニット1a,1bが変換した電気信号に基づいて、搬送ローラー921、モーター926、インクジェットカートリッジ923を駆動し、印刷用紙Rに画像を形成する。このほか、画像形成装置9の画像形成部92は、外部から入力された電気信号に基づいて画像を形成することができる。なお、画像形成装置9のうち、画像形成部92の構成および動作は、従来公知の各種プリンタと同じ構成が適用できる。したがって、詳細な説明は省略する。なお、画像形成部92としてインクジェット方式による画像形成装置を説明したが、電子写真方式、熱転写方式、ドットインパクト方式などどのような方式であっても構わない。
【0067】
以上、本発明の実施形態および実施例について詳細に説明したが、前述の実施形態および実施例は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前述の実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【0068】
例えば、本発明にかかる画像読取装置は、前述の実施形態に記載される構成のイメージスキャナーに限定されるものではない。また、画像形成装置も、インクジェット方式に限定されず、電子写真方式、熱転写方式、ドットインパクト方式などどのような方式であってもよく、前述の実施形態に記載される複合機に限定されるものではない。本発明にかかるイメージセンサユニットが適用される複写機やファクシミリも、本発明の画像読取装置に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、イメージセンサユニットと、このイメージセンサユニットが適用される画像読取装置や画像形成装置(例えば、イメージスキャナー、ファクシミリ、複写機、複合機など)に有効に利用できるものである。
【符号の説明】
【0070】
1:イメージセンサユニット
10a,10b:フレーム
101a,101b:線状光源収容室
102:集光体収容室
103:イメージセンサ収容室
104:光源収容室
105:被係合部
106:押さえ片
108:補正用光路
109:光路蓋体
201:光反射面
202:導光体収容室
203:発光素子収容室
13:集光体
14:イメージセンサ基板
141:コネクタ
15:イメージセンサ
16:フィルター
17:カバー部材
3a,3b:線状光源
31a,31b:発光素子
32:導光体
321:光入射面
322:光拡散面
323:光出射面
324:係合部
325:光反射面
33:配線板
A:搬送経路
P:被照明体
O:読取ライン
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13