(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
変圧器のタップを切り換える際に開閉動作を行なう開閉器と、前記開閉器を操作するために必要な操作トルクを出力する蓄勢駆動機構とを備え、前記蓄勢駆動機構は、バネを蓄勢する蓄勢機構と、前記バネにより駆動されて一平面に沿って直線変位させられるスライダと、前記スライダに対向するように配置されて前記平面と直交する方向に延びる軸線を回転中心軸線として回転し得るように設けられたクランク板と、前記スライダの直線変位を回転変位に変換して前記クランク板に伝達する変位伝達機構とを備えて、前記クランク板から前記操作トルクを出力するように構成されている負荷時タップ切換装置において、
前記変位伝達機構は、前記スライダとクランク板との間のスペースに配置されて前記スライダに対して支持された複数の駆動ローラと、前記スライダが直線変位する過程で前記複数の駆動ローラのうちの何れかを接触させるローラ接触面を前記スペースに臨む側面に有して前記クランク板に固定された少なくとも一つの被駆動部とを備えて、前記スライダが直線変位する過程で何れかの駆動ローラが前記スライダの変位方向の前方側に存在するローラ接触面のみに接して前記被駆動部を前記スライダの変位方向に押すことにより前記クランク板を回転させるように構成され、
前記スライダが直線変位する過程で前記クランク板が設定された角度回転する毎に前記被駆動部を押す駆動ローラが入れ替わり、かつ前記クランク板の各回転角度位置で前記開閉器を操作するために必要な操作トルクが得られるように、前記複数の駆動ローラ相互の位置関係と、前記複数の駆動ローラと前記ローラ接触面との間の位置関係と、前記ローラ接触面のプロフィールと、前記ローラ接触面の各部と前記クランク板の回転中心との間の距離とが設定されていることを特徴とする負荷時タップ切換装置。
前記スライダの変位区間に該スライダの変位方向に並ぶ複数の単位区間が設定されるとともに、前記複数の単位区間のそれぞれに対応するローラ接触領域が前記ローラ接触面に設定されて、前記スライダが各単位区間を変位する間前記複数の駆動ローラの内の予め定められた駆動ローラが各単位区間に対応するローラ接触領域に接触するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の負荷時タップ切換装置。
変圧器のタップを切り換える際に開閉動作を行なう開閉器と、前記開閉器を操作するために必要な操作トルクを出力する蓄勢駆動機構とを備え、前記蓄勢駆動機構は、対向配置されて一平面に沿って一方向及び他方向にスライド変位し得るように支持された第1及び第2のスライダと、操作器により駆動される操作軸の回転に伴って前記第1のスライダを往復変位させるべく前記操作軸の回転を前記第1のスライダに伝達するカム機構と、前記第1のスライダと第2のスライダとの間に設けられて前記第1のスライダが一方向及び他方向にそれぞれ変位する過程で蓄勢されて前記第2のスライダを一方向及び他方向に付勢するバネと、前記スライダに対向するように配置されて前記平面と直交する方向に延びる軸線を中心にして回転し得るように設けられたクランク板と、前記バネの付勢力により生じさせられた前記第2のスライダの変位を回転変位に変換して前記クランク板に伝達する変位伝達機構とを備えて、前記クランク板から前記操作トルクを出力するように構成されている負荷時タップ切換装置において、
前記変位伝達機構は、前記第2のスライダとクランク板との間のスペースに配置されて前記第2のスライダに対して支持された複数の駆動ローラと、前記複数の駆動ローラの何れかを接触させるローラ接触面を前記スペース内に臨む側面に有して前記クランク板に固定された少なくとも一つの被駆動部とを備えて、前記第2のスライダが直線変位する過程で前記複数の駆動ローラのうちの何れかが前記スライダの変位方向の前方側に存在するローラ接触面のみに接して前記被駆動部を前記第2のスライダの変位方向に押すことにより前記クランク板を回転させるように構成され、
前記第2のスライダが各方向に直線変位する過程で前記クランク板が設定された角度回転する毎に前記ローラ接触面を押す駆動ローラが入れ替わり、かつ前記クランク板の各回転角度位置で前記開閉器を操作するために必要な操作トルクが得られるように、前記複数の駆動ローラ相互の位置関係と、前記複数の駆動ローラと前記ローラ接触面との間の位置関係と、前記ローラ接触面のプロフィールと、前記ローラ接触面の各部と前記クランク板の回転中心との間の距離とが設定されていること、
を特徴とする負荷時タップ切換装置。
前記第2のスライダが各方向に直線変位する際の変位区間に該スライダの変位方向に並ぶ複数の単位区間が設定されるとともに、前記複数の単位区間のそれぞれに対応するローラ接触領域が前記被駆動部のローラ接触面に設定されて、前記スライダが各単位区間を変位する間に前記複数の駆動ローラの内の予め定められた駆動ローラが各単位区間に対応するローラ接触領域に接触するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の負荷時タップ切換装置。
前記第2のスライダの一方向への直線変位を回転変位に変換して前記クランク板に伝達するために用いる駆動ローラ及び前記第2のスライダの他方向への直線変位を回転変位に変換して前記クランク板に伝達するために用いる駆動ローラとして合計5個の駆動ローラが設けられて、該5個の駆動ローラのうちの1個の駆動ローラが、前記第2のスライダの一方向への直線変位を前記クランク板に伝達するために用いる駆動ローラの一つと前記第2のスライダの他方向への直線変位を前記クランク板に伝達するために用いる駆動ローラの一つとを兼ねる共通ローラとして機能するように前記変位伝達機構が構成され、
前記5個の駆動ローラは、前記第2のスライダを変位方向に2分する位置で前記第2のスライダの変位方向と直交する基準平面上に前記共通ローラの中心軸線を位置させた状態で、前記基準平面を対称面として面対称に配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の負荷時タップ切換装置。
前記複数の駆動ローラは、前記クランク板の回転中心軸線を含み、前記第2のスライダの変位方向に沿う平面である第1の基準平面(P1−P1)から該第1の基準平面と直交する方向に一定の距離を隔てた位置に位置させ、かつ前記第1の基準平面と直交する平面である第2の基準平面(P2−P2)を対称面として面対称に配置された第1及び第2の駆動ローラ(r1 及びr2 )と、前記第1及び第2の駆動ローラ(r1 及びr2 )と前記第1の基準平面(P1−P1)との間に位置させ、かつ中心軸線を前記第2の基準平面(P2−P2)上に位置させた状態で配置された第3の駆動ローラ(r3 )と、前記第1及び第2の駆動ローラ(r1 及びr2 )と第3の駆動ローラ(r3 )の間を前記第1の基準平面(P1−P1)と平行に延びる平面である第3の基準平面(P3−P3)上に中心軸線を位置させ、かつ前記第2の基準平面(P2−P2)を対称面として前記第1及び第2の駆動ローラ(r1 及びr2 )相互間の間隔よりも大きな間隔を隔てて面対称に配置された第4及び第5の駆動ローラ(r4 及びr5 )とからなり、
前記第1及び第2の駆動ローラ(r1 及びr2 )は、前記第2のスライダが一方向に変位する際に前記第1の駆動ローラ(r1 )が第2の駆動ローラ(r2 )よりも第2のスライダの変位方向の前方側に位置するように配置され、
前記第4の駆動ローラ(r4 )は、前記第2の基準平面(P2−P2)に対して前記第2の駆動ローラ(r2 )と同じ側に配置され、前記第5の駆動ローラ(r5 )は、前記第2の基準平面(P2−P2)に対して前記第1の駆動ローラ(r1 )と同じ側に配置され、
前記第2のスライダが前記一方向に変位する際の変位区間に該一方向に沿って順に並ぶ第1ないし第4の単位区間が設定されるとともに、前記第2のスライダが他方向に変位する際の変位区間に該他方向に沿って順に並ぶ第5ないし第8の単位区間が設定され、
前記被駆動部のローラ接触面は、前記第2のスライダが前記一方向に変位する過程で前記第1の単位区間にあるときに前記第1の駆動ローラ(r1)が接触する第1のローラ接触領域(Sc1)と、前記第2のスライダが前記一方向に変位する過程で前記第2のスライダが前記第2の単位区間にあるときに前記第3の駆動ローラ(r3 )が接触する第2のローラ接触領域(Sc2)と、前記第2のスライダが前記一方向に変位する過程で前記第2のスライダが前記第3の単位区間にあるときに前記第1の駆動ローラ(r1 )が接触する第3のローラ接触領域(Sc3)と、前記第2のスライダが前記一方向に変位する過程で前記第2のスライダが前記第4の単位区間にあるときに前記第4の駆動ローラ(r4 )が接触する第4のローラ接触領域(Sc4)と、前記第2のスライダが他方向に変位する過程で前記第5の単位区間にあるときに前記第2の駆動ローラ(r2 )が接触する第5のローラ接触領域(Sc5)と、前記第2のスライダが他方向に変位する過程で前記第2のスライダが前記第6の単位区間にあるときに前記第3の駆動ローラ(r3 )が接触する第6のローラ接触領域(Sc6)と、前記第2のスライダが他方向に変位する過程で前記第2のスライダが前記第7の単位区間にあるときに前記第2の駆動ローラ(r2 )が接触する第7のローラ接触領域(Sc7)と、前記第2のスライダが他方向に変位する過程で前記第2のスライダが前記第8の単位区間にあるときに前記第5の駆動ローラ(r5 )が接触する第8のローラ接触領域(Sc8)とを有していること、
を特徴とする請求項3に記載の負荷時タップ切換装置。
【背景技術】
【0002】
電力系統には、各部の電圧を調整するために、負荷時タップ切換装置が設置されている。負荷時タップ切換装置は、系統電圧が許容範囲から外れたときに、変圧器に設けられたタップを無停電で切り換えて、系統電圧を許容範囲に保つ動作を行うもので、種々の形式のものが知られている。
【0003】
負荷時タップ切換装置としては、特許文献1に示されているように、変圧器の偶数タップと奇数タップとを交互に選択するタップ選択装置と、負荷電流を流すタップを、タップ選択器が今まで選択していたタップから新たに選択したタップに切り換える動作を行なう切換開閉器とを備えることによりタップ切換を行なう形式のものや、変圧器の一連のタップを順次選択する動作と、負荷電流を流すタップを今まで選択していたタップから新たに選択したタップに切り換える動作との双方を行なう選択開閉器を備えて、該選択開閉器の動作によりタップ切換を行なう形式のもの等が用いられている。
【0004】
上記のように、負荷時タップ切換装置においては、タップ切換の際に開閉動作を行なう開閉器として種々の形式のものが用いられているが、これらの開閉器は、できるだけ速やかに動作(速動)させることが必要であるため、機械式の開閉器を用いる場合には、当該開閉器を速動させるための操作機構を設けることが必須である。
【0005】
タップ切換装置の開閉器を速動させるための操作機構としては、バネに蓄勢された力を解放した際に生じる力を利用して開閉器を操作する蓄勢駆動機構が多く用いられている。蓄勢駆動機構は、電動機等を駆動源としてバネを蓄勢する蓄勢機構と、蓄勢されたバネを解放した際に生じるバネの付勢力により駆動されて、一平面に沿って一方向及び他方向に直線変位させられるスライダと、上記平面と直交する回転中心軸線を中心にして回転し得るように設けられたクランク板と、スライダの直線変位を回転変位に変換してクランク板に伝達する変位伝達機構とを備えていて、蓄勢されたバネを解放してスライダを変位させた際に回転するクランク板から出力されるトルクを操作トルクとして開閉器を動作させる。
【0006】
この種の蓄勢駆動機構としては、特許文献2や特許文献3に示されたものが知られている。
図8ないし
図10は、一例として、特許文献3に示された蓄勢駆動機構の一連の動作過程における各部の状態を概略的に示したものである。
図8ないし
図10において1は蓄勢駆動機構を示し、2は蓄勢駆動機構1の要部を支持するフレームを示している。図示の蓄勢駆動機構1は、互いに対向配置されて、フレーム2にスライド自在に支持されて一平面に沿ってスライドさせられる箱形の第1のスライダ4及び第2のスライダ5と、上記一平面に沿う方向で、かつ第1及び第2のスライダ4及び5のスライド方向に対して直角な方向に並べた状態で第2のスライダ5の内側に配置されて、第1のスライダ4の変位に伴って蓄勢される一対のバネ6,6(
図8ないし
図10においては、一方のバネ6のみが示されている。)と、フレーム2を間にして第1及び第2のスライダと反対側に配置された中空の回転駆動軸7と、第1のスライダ4に設けられた長孔(図示せず。)と第2のスライダ5に設けられた長孔(図示せず。)とフレーム2に設けられた窓部と回転駆動軸7の中空部とを貫通した状態で設けられた操作軸8と、操作軸8の回転を往復直線変位に変換して第1のスライダ4に伝達するカム機構10と、バネ6の付勢力により変位させられようとする第2のスライダ5をラッチするラッチ機構11と、第2のスライダ5のスライド変位を回転変位に変換して回転駆動軸7に伝達する変位伝達機構12とを備えている。操作軸8は、図示しない電動操作器により、絶縁駆動軸9(
図8C参照)を介して回転駆動される。
【0007】
第1のスライダ4は、互いに平行に配置されて、該第1のスライダ4の一端側の側壁部及び他端側の側壁部をスライド自在に貫通した一対のガイド棒14a,14bを介してフレーム2に支持されている。また第2のスライダ5は、ガイド棒14a,14bの内側に互いに平行に配置されて、第2のスライダ5の一端側の側壁部及び他端側の側壁部をスライド自在に貫通した1対のガイド棒15a,15bを介してフレーム2に支持されている。
【0008】
第2のスライダ5の内側に配置された一対のバネ6,6は、それぞれ第1のスライダ4をガイドする一対のガイド棒14a,14bの周囲を両ガイド棒の軸線方向に沿ってらせん状に伸びるように設けられていて、それぞれのバネの一端及び他端は、ガイド棒14a,14bにスライド自在に嵌合された一対のバネ受け部材(図示せず。)の一方及び他方を介して第2のスライダ5の一端側の側壁部の内面及び第2のスライダ5の他端側の側壁部の内面に当接されている。また図示してないが、第1のスライダ4の一端側の側壁部及び他端側の側壁部のガイド棒14a,14bが貫通した部分にそれぞれ一対のバネ受け部材の一方及び他方をそれぞれ押圧する一対のバネ駆動部が形成されていて、これらのバネ駆動部と、上記バネ受け部材とにより、第1のスライダ4がスライド変位する過程でバネ6,6を圧縮して蓄勢する蓄勢機構が構成されている。図示の蓄勢駆動機構1は、特許文献3等に記載されていて、既に公知であるので、上記バネ受け部材の構成や、バネ駆動部等の構成についての詳細な説明は省略する。
【0009】
図8(A)に示されているように、カム機構10は、ガイド棒14a,14b,15a,15bの長手方向に対して直角な方向に長手方向を向けた状態で平行に配置されて第1のスライダ4の天井板に固定された一対の四角柱状のガイド16,16と、中心に対して偏心した位置に回動中心を位置させた状態で操作軸8に固定された偏心円板17とからなっている。偏心円板17は、その外周面をガイド16,16の対向面に接触させた状態でガイド16,16の間に配置されている。このカム機構10は、偏心円板17が一方向に180度回転する間に第1のスライダ4をガイド棒14a,14bの長手方向に沿って一方向に一定距離だけ変位させ、偏心円板が一方向に更に180度回転する間に、第1のスライダ4をガイド棒14a,14bの長手方向に沿って他方向に一定距離だけ直線変位させるように構成されている。
【0010】
変位伝達機構12は、回転駆動軸7に固定されたクランク板20(
図8C参照)と、第2のスライダ5の底面に固定された駆動板21と、操作軸8に対して偏心した位置で一端及び他端がそれぞれ駆動板21及びクランク板20に結合されて、駆動板21とクランク板20との間を連結するピン22とからなっている。ピン22は、駆動板21及びクランク板20に対して回転自在に設けられていて、駆動板21が第2のスライダ5とともにガイド棒15a,15bの長手方向に沿って一方の側にスライド変位したとき及び他方の側にスライド変位したときに、クランク板20が回転駆動軸7とともに一方向及び他方向に一定角度だけ回転させられるようになっている。
【0011】
図示のラッチ機構11は、第1及び第2のスライダ4及び5のスライド方向に間隔をあけて配置されて、フレーム2に対して固定された支持板32(
図8B,C参照)に角部がピン23,24を介して回動自在に支持された一対のラッチレバー25,26と、ラッチレバー25,26の先端を係合させるためにクランク板20の外周に形成された凹部20a,20bと、ラッチレバー25,26の後端部を互いに引き寄せる方向に付勢する復帰バネ29と、第1のスライダ4に一体に設けられたラッチ解除部材30とからなっている。
【0012】
ラッチ解除部材30は例えば、第1のスライダ4に一体に設けられた爪からなっていて、第1のスライダ4が一方向及び他方向にそれぞれ変位する過程で設定位置(バネの蓄勢が完了する位置)まで変位したとき(操作軸が設定角度回転したとき)に、ラッチレバー25,26にそれぞれ設けられた解除部材係合部25a及び26aに係合して、ラッチレバー25及び26をバネ29の付勢力に抗して回動させることにより、ラッチレバー25及び26の先端を凹部20a,20bから外して第2のスライダ5のラッチを解除するように設けられている。なお
図8(A),(C),
図9(A),(C)及び
図10(A)、(C)においては、ラッチレバー25,26及び復帰バネ29の図示が省略されている。
【0013】
回転駆動軸7を貫通した操作軸8は、図示しないタップ選択装置の操作部に歯車機構などを介して結合されていて、その回転に伴って、奇数タップ選択器によるタップ選択動作と、偶数タップ選択器によるタップ選択動作とを交互に行なわせる。また回転駆動軸7は、図示しない開閉器に回転力を与えて該開閉器の開閉動作を所定のシーケンスで行なわせる。
【0014】
図8ないし
図10に示した蓄勢駆動機構1は次のように動作する。操作軸8が
図8ないし
図10の(A)において時計方向に回転させられるものとすると、操作軸8の回転に伴って偏心円板が時計方向に回転し、第1のスライダ4が図面上右方向にスライド変位する。この第1のスライダ4のスライド変位に伴ってバネ6が圧縮される。このときバネ6により第2のスライダ5が付勢されて図面上右方向に変位しようとし、クランク板20を反時計方向に回動させようとするが、
図8(B)に示すようにラッチレバー25とクランク板20の凹部20aとの係合により、クランク板20の反時計方向への回転が阻止されているため、クランク板20に駆動板21及びピン22を介して連結されている第2のスライダ5の変位も阻止されて(第2のスライダ5がラッチされて)いる。このとき第2のスライダ5は停止した状態を保持しているため、第1のスライダ4の変位に伴ってバネ6が蓄勢されていく。
図9はバネ6が蓄勢される途中の状態(偏心円板が
図8の状態から約90度回転した状態)を示している。
【0015】
第1のスライダ4が図面上右方向に変位していく過程で、その変位量が最大値に達する直前の位置に設定された設定位置に達すると、第1のスライダ4に設けられたラッチ解除部材30がラッチレバー25の解除部材係合部25aを押してラッチレバー25の先端を凹部20aから外す。これにより、第2のスライダ5のラッチが解除されるため、バネ6の付勢力により、第2のスライダ5が図面上右方向に素早くスライド変位(直線変位)させられる。この第2のスライダ5のスライド変位は、変位伝達機構12により回転変位に変換されて回転駆動軸7に固定されたクランク板20に伝達されるため、クランク板20が回転駆動軸7とともに
図10(B)において反時計方向に回転させられる。この回転駆動軸7の回転により、例えばタップを奇数側のタップから偶数側のタップに切り換える際の開閉器の一連の開閉動作が行なわれる。クランク板20が
図10に示した限界位置まで回動したときにラッチレバー26の先端がクランプ板20に設けられた凹部20bに係合して、クランク板20の図面上時計方向への回転を阻止し、第2のスライダ5の図面上左方向への変位を阻止した状態になる。
【0016】
操作軸8を更に180度回転させると、第1のスライダ4が図面上左方向にスライド変位させられる。この第1のスライダ4のスライド変位の過程で、バネ6が再び蓄勢される。第1のスライダ4が左方向にスライド変位する過程で設定位置に達したときにラッチ解除部材30がラッチレバー26の解除部材係合部26aに係合してラッチレバー26の先端をクランク板20の凹部20bから外すため、バネ6の付勢力により第2のスライダ5が図面上左方向に素早くスライドさせられる。この第2のスライダ5のスライド変位によりクランク板20が回転駆動軸7とともに時計方向に回転させられる。この回転駆動軸7の回転により、タップを偶数タップから奇数タップに切り換える際の開閉器の一連の動作が行なわれる。
【0017】
また特許文献4には、上記第2のスライダ5の直線変位を回転変位に変換してクランク板20に伝達する変位伝達機構を、
図8ないし
図10に記載された構成とは異ならせた蓄勢駆動機構が開示されている。特許文献4に示された蓄勢駆動機構は、上記第2のスライダ5に相当する放勢スライダと、上記回転駆動軸7に相当する駆動軸に結合されたフライホイール(クランク板20に相当する)と、このフライホイールに設けられたY字形のガイドスロットと、放勢スライダに対して固定されたブラケットに回転自在に支持されて、放勢スライダが直線変位する過程で上記ガイドスロットに嵌合させられるローラとを備えている。
【0018】
特許文献4に示された蓄勢駆動機構においては、上記ガイドスロットとローラとにより、放勢スライダの直線変位を回転変位に変換してフライホイールに伝達する変位伝達機構が構成されている。ローラは、ガイドスロットの幅に相当する直径を有していて、放勢スライダがバネの付勢力により付勢されて直線変位する過程で、ローラをガイドスロットにより案内しつつ放勢スライダとともに変位させることにより、フライホイール及び駆動軸を回転させて、タップ切換器の開閉器に一連の動作を行わせる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上記のように、
図8ないし
図10に示された従来の負荷時タップ切換装置で用いられていた蓄勢駆動機構1は、バネ6の付勢力により第2のスライダ5が直線変位させられる過程で、該第2のスライダ5に取り付けられた駆動板21が、操作軸8から一定の距離を隔てた位置で、クランク板20に固定された単一のピン22を押すことにより、クランク板20を回転駆動軸7とともに回転させるように構成されていた。
【0021】
この場合、蓄勢駆動機構1の出力トルク(クランク板20から回転駆動軸7を介して出力されるトルク)は、バネ6からスライダ5を介してピン22に与えられる力の、ピン22と操作軸8の中心とを結ぶ直線に対して直角な方向の成分と、ピン22と操作軸8との間の距離との積により決まる。バネ6からスライダ5を介してピン22に与えられる駆動力は、バネを開放した直後に一旦増大した後、バネの伸長に伴って減衰していく傾向を示すため、ピン22と操作軸8との間の距離が一定であると、回転駆動軸の回転角θに対する蓄勢駆動機構1の出力トルクτの特性は、
図7(A)に曲線aで示したように、回転駆動軸7の回転角度範囲の中期から終期にかけて漸減していく特性になる。
【0022】
そのため、クランク板20の回転角度範囲の全範囲に亘って、バネ6の駆動力を単一のピン22で受けるように構成されていた従来の負荷時タップ切換装置では、
図7(A)に曲線bで示したように、開閉器側からクランク板20にかかる負荷トルクが切換動作の終期に増大する場合に、開閉器を速動させるために必要な大きさのトルクを蓄勢駆動機構1から出力させることができないことがあり、正常な切換動作を行うことができなくなるおそれがあった。
【0023】
特許文献4に示された蓄勢駆動機構のように、放勢スライダ(第2のスライダ)に対して固定されたブラケットに取り付けられたローラを、回転駆動軸と共に回転するフライホイール(クランク板)に設けたガイドスロットに嵌合させて、該ローラをガイドスロットにより案内しつつ放勢スライダとともに変位させることにより、スライダの変位を回転駆動軸に伝達するように構成した場合には、ガイドスロットの形状により、蓄勢駆動機構の出力トルクをある程度調整することが可能である。しかしながら、特許文献4に示された蓄勢駆動機構では、ガイドスロットに沿ってローラを円滑に変位させるために、ガイドスロットの曲率を大きくすることに限界があるため、
図7(A)の曲線bのように開閉器が必要とする操作トルクが急な変化を示す場合に対応することが困難である。
【0024】
また特許文献4に示された蓄勢駆動機構では、負荷時タップ切換装置の開閉器に一連の動作を行わせる過程で、一つのローラが長い時間に亘って同じガイドスロットのガイド面と接触して変位するため、ガイドスロットのガイド面の摩耗が早期に進んで、蓄勢駆動機構の寿命が短くなるおそれがある。
【0025】
本発明の目的は、タップ切換の際に開閉動作を行なう機械式の開閉器を蓄勢駆動機構により操作するようにした負荷時タップ切換装置において、タップ切換を行なう過程で開閉器に操作トルクを与える蓄勢駆動機構の出力トルクが不足したり、蓄勢駆動機構の寿命が短くなったりするのを防ぐことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本願明細書においては、上記の目的を達成するために少なくとも下記の第1ないし第7の発明が開示される。
(1)第1の発明
本願に開示された第1の発明は、変圧器のタップを切り換える際に開閉動作を行なう開閉器と、該開閉器を操作するために必要な操作トルクを出力する蓄勢駆動機構とを備えた負荷時タップ切換装置を対象とする。本発明が対象とする負荷時タップ切換装置においては、上記蓄勢駆動機構が、バネを蓄勢する蓄勢機構と、該バネにより駆動されて一平面に沿って直線変位させられるスライダと、このスライダに対向するように配置されて前記平面と直交する方向に延びる軸線を回転中心軸線として回転し得るように設けられたクランク板と、スライダの直線変位を回転変位に変換してクランク板に伝達する変位伝達機構とを備えて、クランク板から操作トルクを出力するように構成されている。
【0027】
本発明においては、上記変位伝達機構が、スライダとクランク板との間のスペースに配置されてスライダに対して支持された複数の駆動ローラと、スライダが直線変位する過程で複数の駆動ローラのうちの何れかを接触させるローラ接触面を前記スペースに臨む側面に有してクランク板に固定された少なくとも一つの被駆動部とを備えていて、スライダが直線変位する過程で何れかの駆動ローラがスライダの変位方向の前方側に存在するローラ接触面のみに接して被駆動部をスライダの変位方向に押すことによりクランク板を回転させるように構成されている。また本発明においては、スライダが直線変位する過程でクランク板が設定された角度回転する毎に被駆動部を押す駆動ローラが入れ替わり、かつクランク板の各回転角度位置で開閉器を操作するために必要な操作トルクが得られるように、複数の駆動ローラ相互の位置関係と、複数の駆動ローラとローラ接触面との間の位置関係と、ローラ接触面のプロフィールと、ローラ接触面の各部とクランク板の回転中心との間の距離とが設定されている。
【0028】
上記の構成において、「スライダが直線変位する過程で何れかの駆動ローラがスライダの変位方向の前方側に存在するローラ接触面のみに接して被駆動部をスライダの変位方向に押すことによりクランク板を回転させる」としているのは、駆動ローラをクランク板側に設けられたガイドスロットにより案内しつつ変位させることによりクランク板を回転させる構成をとることを排除する趣旨である。即ち本発明においては、各駆動ローラがスライダとともに直線変位を行う過程で各駆動ローラが通過する領域に、各駆動ローラが嵌合して拘束されるスロット(溝)が形成されることがないように、被駆動部を設けておく。
【0029】
上記の構成において、「クランク板の各回転角度位置で開閉器を操作するために必要な操作トルク」は、開閉器側からクランク板にかかる負荷以上であることが好ましいが、「クランク板の各回転角度位置で開閉器を操作するために必要な操作トルク」が、常に開閉器側からクランク板にかかる負荷トルク以上でなければならないというわけではない。開閉器の操作が進行する過程でクランク板の回転速度が十分に高くなって、クランク板を含む回転系の慣性が十分に働く状態では、スライダからクランク板を通して出力される操作トルク(蓄勢駆動機構の出力トルク)が負荷トルクを多少下回っていても、開閉器の操作を支障なく行わせることができる。
【0030】
上記のように構成すると、複数の駆動ローラ相互間の位置関係と、複数の駆動ローラとローラ接触面との間の位置関係と、ローラ接触面のプロフィールとを調整することにより、クランク板の各回転角位置で蓄勢駆動機構が出力する操作トルクを適宜に調整することができるため、タップ切換を行なう過程で蓄勢駆動機構の出力トルクが不足する状態が生じるのを防いで、負荷時タップ切換装置の切換動作を支障なく行わせることができる。
【0031】
また上記のように、スライダが直線変位する過程でクランク板が設定された角度回転する毎に被駆動部を押す駆動ローラが入れ替わるように構成しておくと、タップ切換のために開閉器に一連の動作を行わせる過程で各駆動ローラがローラ接触面に接触する時間を短くすることができるため、駆動ローラ及びローラ接触面の各部にかかる負担を軽減して蓄勢駆動機構の寿命の延長を図ることができる。
【0032】
(2)第2の発明
本願に開示された第2の発明は第1の発明に適用されるもので、本発明においては、スライダの変位区間に該スライダの変位方向に並ぶ複数の単位区間が設定されるとともに、ローラ接触面に、複数の単位区間のそれぞれに対応するローラ接触領域が設定され、スライダが各単位区間を変位する間複数の駆動ローラの内の予め定められた駆動ローラが各単位区間に対応するローラ接触領域に接触するように構成されている。
【0033】
このように構成すると、スライダが直線変位する過程でクランク板が設定された角度回転する毎に被駆動部を押す駆動ローラを予め定めた順序で入れ替えることができ、ローラ接触面のプロフィールと、ローラ接触面の各部とクランク板の回転中心との間の距離と、ローラ接触面に設定するローラ接触領域とスライダの変位区間に設定する単位区間との対応関係を適宜に設定しておくことにより、クランク板の各回転角度位置で所望の操作トルクを出力させることができる。
【0034】
(3)第3の発明
本願に開示された第3の発明においては、蓄勢駆動機構が、対向配置されて一平面に沿って一方向及び他方向にスライド変位し得るように支持された第1及び第2のスライダと、操作器により駆動される操作軸の回転に伴って前記第1のスライダを往復変位させるべく前記操作軸の回転を前記第1のスライダに伝達するカム機構と、第1のスライダと第2のスライダとの間に設けられて第1のスライダが一方向及び他方向にそれぞれ変位する過程で蓄勢されて第2のスライダを一方向及び他方向に付勢するバネと、上記平面と直交する方向に延びる軸線を回転中心軸線として回転し得るように設けられたクランク板と、バネの付勢力により生じさせられた第2のスライダの変位を回転変位に変換してクランク板に伝達する変位伝達機構とを備えて、クランク板から操作トルクを出力するように構成されている。
【0035】
この場合、変位伝達機構は、第2のスライダとクランク板との間のスペースに配置されて第2のスライダに対して支持された複数の駆動ローラと、複数の駆動ローラの何れかを接触させるローラ接触面を上記スペース内に臨む側面に有してクランク板に固定された少なくとも一つの被駆動部とを備えて、第2のスライダが直線変位する過程で複数の駆動ローラのうちの何れかがスライダの変位方向の前方側に存在するローラ接触面のみに接して被駆動部を第2のスライダの変位方向に押すことによりクランク板を回転させるように構成される。そして、第2のスライダが各方向に直線変位する過程でクランク板が設定された角度回転する毎にローラ接触面を押す駆動ローラが入れ替わり、かつクランク板の各回転角度位置で開閉器を操作するために必要な操作トルクが得られるように、複数の駆動ローラ相互の位置関係と、複数の駆動ローラとローラ接触面との間の位置関係と、ローラ接触面のプロフィールと、ローラ接触面の各部とクランク板の回転中心との間の距離とが設定されている。
【0036】
上記のように構成した場合には、第2のスライダが一方向及び他方向にそれぞれ変位する過程で、クランク板を一方向及び他方向に回転させて開閉器を動作させることができ、クラック板を何れの方向に回転させる場合にも、第1の発明により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0037】
(4)第4の発明
第4の発明は、第3の発明に適用されるもので、本発明においては、第2のスライダが各方向に直線変位する際の変位区間に該スライダの変位方向に並ぶ複数の単位区間が設定されるとともに、複数の単位区間のそれぞれに対応するローラ接触領域が被駆動部のローラ接触面に設定されて、スライダが各単位区間を変位する間に複数の駆動ローラの内の予め定められた駆動ローラが各単位区間に対応するローラ接触領域に接触するように構成されている。
【0038】
上記のように構成した場合には、第2のスライダを一方向に変位させる場合及び他方向に変位させる場合の何れの場合にも、スライダが直線変位する過程でクランク板が設定された角度回転する毎に被駆動部を押す駆動ローラを予め定めた順序で入れ替えることができ、ローラ接触面のプロフィールと、ローラ接触面の各部とクランク板の回転中心との間の距離と、ローラ接触面に設定するローラ接触領域とスライダの変位区間に設定する単位区間との対応関係を適宜に設定しておくことにより、クランク板の各回転角度位置で所望の操作トルクを出力させることができる。
【0039】
(5)第5の発明
第5の発明は、第3の発明又は第4の発明に適用されるもので、本発明においては、第2のスライダの各方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板に伝達するために3以上の駆動ローラが設けられ、第2のスライダの一方向への直線変位及び他方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板に伝達するために用いる全駆動ローラが、第2のスライダを変位方向に2分する位置で第2のスライダの変位方向と直交する基準平面を対称面として面対称に配置されている。
【0040】
このように構成しておくと、第2のスライダを一方向に変位させる場合及び他方向に変位させる場合の何れの場合にも、クランク板の回転角度に対する操作トルクの特性を同じにすることができる。また第2のスライダを一方向に変位させる場合及び他方向に変位させる場合の何れの場合にも、3個以上の駆動ローラが被駆動部のローラ接触面の所定の領域に順次接触して、第2のスライダの変位を回転変位に変換するため、タップ切換のために開閉器に一連の動作を行わせる過程で各駆動ローラがローラ接触面に接触する時間を短くすることができ、駆動ローラ及びローラ接触面の各部にかかる負担を軽減して蓄勢駆動機構の寿命の延長を図ることができる。
【0041】
(6)第6の発明
第6の発明は、第3の発明又は第4の発明に適用されるもので、本発明においては、第2のスライダの一方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板に伝達するために用いる駆動ローラ及び第2のスライダの他方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板に伝達するために用いる駆動ローラとして合計5個の駆動ローラが設けられて、該5個の駆動ローラのうちの1個の駆動ローラが、第2のスライダの一方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板に伝達するために用いる駆動ローラの一つと第2のスライダの他方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板に伝達するために用いる駆動ローラの一つとを兼ねる共通ローラとして機能するように変位伝達機構が構成されている。この場合、5個の駆動ローラは、第2のスライダを変位方向に2分する位置で第2のスライダの変位方向と直交する基準平面上に前記共通ローラの中心軸線を位置させた状態で、前記基準平面を対称面として面対称に配置されている。
【0042】
上記のように、5個の駆動ローラのうちの1個の駆動ローラが第2のスライダの一方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板に伝達するために用いる駆動ローラの一つと第2のスライダの他方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板に伝達するために用いる駆動ローラの一つとを兼ねる共通ローラとして機能するように構成しておくと、駆動ローラの数を節約して、変位伝達機構を簡単な構成にすることができる。
【0043】
(7)第7の発明
第7の発明は、第3の発明に係る負荷時タップ切換器の蓄勢機構に設ける変位伝達機構の好ましい構成の一例を示したもので、本発明においては、変位伝達機構が下記の[A]ないし[E]の構成を備えている。
[A]複数の駆動ローラは、クランク板の回転中心軸線を含み、第2のスライダの変位方向に沿う平面である第1の基準平面(P1−P1)から該第1の基準平面と直交する方向に一定の距離を隔てた位置に位置させ、かつ第1の基準平面と直交する平面である第2の基準平面(P2−P2)を対称面として面対称に配置された第1及び第2の駆動ローラ(r1 及びr2 )と、第1及び第2の駆動ローラ(r1 及びr2 )と第1の基準平面(P1−P1)との間に位置させ、かつ中心軸線を第2の基準平面(P2−P2)上に位置させた状態で配置された第3の駆動ローラ(r3 )と、第1及び第2の駆動ローラ(r1 及びr2 )と第3の駆動ローラ(r3 )の間を第1の基準平面(P1−P1)と平行に延びる平面である第3の基準平面(P3−P3)上に中心軸線を位置させ、かつ第2の基準平面(P2−P2)を対称面として前記第1及び第2の駆動ローラ(r1 及びr2 )相互間の間隔よりも大きな間隔を隔てて面対称に配置された第4及び第5の駆動ローラ(r4 及びr5 )とからなる。
[B]第1及び第2の駆動ローラ(r1 及びr2 )は、第2のスライダが一方向に変位する際に第1の駆動ローラ(r1 )が第2の駆動ローラ(r2 )よりも第2のスライダの変位方向の前方側に位置するように配置されている。
[C]第4の駆動ローラ(r4 )は、第2の基準平面(P2−P2)に対して第2の駆動ローラ(r2 )と同じ側に配置され、第5の駆動ローラ(r5 )は記第2の基準平面(P2−P2)に対して第1の駆動ローラ(r1 )と同じ側に配置されている。
[D]第2のスライダが前記一方向に変位する際の変位区間に該一方向に沿って順に並ぶ第1ないし第4の単位区間が設定されるとともに、第2のスライダが他方向に変位する際の変位区間に該他方向に沿って順に並ぶ第5ないし第8の単位区間が設定されている。
[E]被駆動部のローラ接触面は、第2のスライダが前記一方向に変位する過程で第1の単位区間にあるときに第1の駆動ローラ(r1)が接触する第1のローラ接触領域(Sc1)と、第2のスライダが前記一方向に変位する過程で第2のスライダが第2の単位区間にあるときに第3の駆動ローラ(r3 )が接触する第2のローラ接触領域(Sc2)と、第2のスライダが一方向に変位する過程で第2のスライダが第3の単位区間にあるときに第1の駆動ローラ(r1 )が接触する第3のローラ接触領域(Sc3)と、第2のスライダが一方向に変位する過程で第2のスライダが第4の単位区間にあるときに第4の駆動ローラ(r4 )が接触する第4のローラ接触領域(Sc4)と、第2のスライダが他方向に変位する過程で第5の単位区間にあるときに第2の駆動ローラ(r2 )が接触する第5のローラ接触領域(Sc5)と、第2のスライダが他方向に変位する過程で第2のスライダが第6の単位区間にあるときに前記第3の駆動ローラ(r3 )が接触する第6のローラ接触領域(Sc6)と、第2のスライダが他方向に変位する過程で第2のスライダが第7の単位区間にあるときに第2の駆動ローラ(r2 )が接触する第7のローラ接触領域(Sc7)と、第2のスライダが他方向に変位する過程で第2のスライダが第8の単位区間にあるときに第5の駆動ローラ(r5 )が接触する第8のローラ接触領域(Sc8)とを有している。
【0044】
上記のように変位伝達機構を構成しておくと、開閉器が必要とする操作トルクが例えば
図7(B)の曲線cのように、クランク板の回転角度に対して多段階に変化する複雑な特性を示す場合に容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、クランク板の各回転角度位置で蓄勢駆動機構が出力するトルクを適宜に設定することができるため、タップ切換を行なう過程で蓄勢駆動機構の出力トルクが不足する状態が生じるのを防いで、タップ切換動作を支障なく行わせることができる。
【0046】
また本発明によれば、スライダが直線変位する過程でクランク板が設定された角度回転する毎に被駆動部を押す駆動ローラが入れ替わるように構成したので、タップ切換のために開閉器に一連の動作を行わせる過程で各駆動ローラがローラ接触面に接触する時間を短くして、駆動ローラ及びローラ接触面の各部にかかる負担を軽減することができ、蓄勢駆動機構の寿命の延長を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を詳細に説明する。
図1ないし
図6は、本実施形態に係る負荷時タップ切換装置において、タップ切換の際に開閉動作を行なう開閉器を操作する蓄勢駆動機構の各部のうち、スライダの直線変位を回転変位に変換してクランク板に伝達する変位伝達機構12の部分の構成を示したものである。
【0049】
図1ないし
図6において、
図8ないし
図10に示された従来の蓄勢駆動機構1の各部と同等の部分には、
図8ないし
図10に付された符号と同一の符号を付してある。本実施形態においては、第2のスライダ5の直線変位を回転変位に伝達してクランク板20に伝達する変位伝達機構12が従来例と異なる構成を有している。その他の構成は、クランク板20の形状が変更されている点、ラッチ機構11の位置が変更された点、及びラッチ解除部材30が第1のスライダ4に回転自在に支持されたローラからなっている点を除き、
図8ないし
図10に示した従来例と同様であり、操作軸8を駆動してバネ6を蓄勢することにより第2のスライダ5を左右に速動させる機構の基本的な構成及び動作は従来例と同様である。なお
図1ないし
図6においては、第1のスライダ4や、第2のスライダ5を付勢するバネ6や、バネ6を蓄勢するカム機構10などの図示が省略されているので、以下の説明では、必要に応じて
図8ないし
図10をも参照する。
【0050】
本実施形態で用いる蓄勢駆動機構1は、
図8ないし
図10に示された蓄勢駆動機構1と同様に、対向配置されて一平面に沿って一方向及び他方向にスライド変位し得るように支持された第1のスライダ4及び第2のスライダ5と、操作軸8の回転に伴って第1のスライダ4を往復変位させるべく操作軸の回転を第1のスライダ4に伝達するカム機構10と、第1のスライダ4と第2のスライダ5との間に設けられて第1のスライダ4が一方向及び他方向にそれぞれ変位する過程で蓄勢されて第2のスライダ5を一方向及び他方向に付勢するバネ6と、第1のスライダ4が一方向及び他方向にそれぞれ変位する過程で第1のスライダ4が設定位置に達するまでの間バネ6を蓄勢するために第2のスライダ5をラッチし、第1のスライダ4が設定位置に達したときに第2のスライダ5のラッチを解除するラッチ機構11と、第2のスライダ5に対向するように配置されて、第1及び第2のスライダ4及び5の変位方向に沿う平面と直交する方向に延びる軸線を回転中心軸線として回転し得るように設けられたクランク板20と、クランク板20とともに回転するように設けられて開閉器に回転力を与える回転駆動軸7と、第2のスライダ5の直線変位を回転変位に変換してクランク板20に伝達する変位伝達機構とを備えていて、クランク板20から回転駆動軸7を通して操作トルクを出力するように構成されている。図示の例では、クランク板20が操作軸8と回転中心軸線を共有した状態で設けられている。クランク板20及び回転駆動軸7には、その回転中心軸線と軸線を共有した孔が設けられていて、これらの孔を回転自在に貫通した状態で、タップ選択器を駆動する操作軸8が設けられている。
【0051】
ラッチ機構11は、第1及び第2のスライダ4及び5のスライド方向に間隔をあけて配置されて、図示しないフレームに対して固定された支持板に角部がピン23,24を介して回動自在に支持された一対のL型のラッチレバー25,26と、ラッチレバー25,26の先端を係合させるためにクランク板20の外周に形成された凹部20a,20bと、ラッチレバー25,26の後端部を互いに引き寄せる方向に付勢する復帰バネ29と、第1のスライダ4に固定されたラッチ解除部材30とからなっている。ラッチ解除部材30は、第1のスライダ4が一方向及び他方向にそれぞれ変位する過程で設定位置(バネの蓄勢が完了する位置)まで変位したとき(操作軸が設定角度回転したとき)に、ラッチレバー25,26に係合して、ラッチレバー25及び26をバネ29の付勢力に抗して回動させることにより、ラッチレバー25及び26の先端を凹部20a,20bから外して第2のスライダ5のラッチを解除する。
【0052】
本実施形態では、クランク板20の形状が、
図8ないし
図10に示されたものから変更されていて、操作軸8の軸線を含む一つの平面に対して左右対称な形状を呈するように形成されている。またラッチ機構11の位置も変更されている。
図8ないし
図10に示された例では、ラッチ解除部材30が第1のスライダ4に設けられた爪からなっていたが、本実施形態では、ラッチ解除部材30が第1のスライダ4に回転自在に支持されたローラからなっている。
【0053】
本実施形態においても、第2のスライダ5が
図1ないし
図6において左から右にスライドしたときに、クランク板20を
図2Aに示した矢印方向(図において時計方向に)に回転させる変位伝達機構12が設けられている。なお
図8ないし
図10に示した例では、第2のスライダ5が図面上左から右にスライドしたときにクランク板20が反時計方向に回転するように図示されているのに対し、
図2ないし
図6においては、第2のスライダ5が図面上左から右にスライドしたときにクランク板20が時計方向に回転するように矢印が示されているが、これは、
図2ないし
図6と、
図8ないし
図10とでは、変位伝達機構を見る方向が異なっているためである。第2のスライダ5のスライド方向とクランク板20の回転方向との関係は、本実施形態においても、
図8ないし
図10に示した例においても変わりがない。
【0054】
本実施形態で用いる変位伝達機構12は、第2のスライダ5とクランク板20との間のスペースに配置されて第2のスライダ5に回転自在に支持された複数の駆動ローラr1ないしr5と、第2のスライダ5とクランク板20との間のスペースに配置されてクランク板20側に固定された被駆動部40及び41とを備えている。第2のスライダ5とクランク板20との間のスペースに臨む被駆動部40及び41のそれぞれの側面には、第2のスライダ5が直線変位する過程で駆動ローラr1ないしr5のうちの何れかが接触するローラ接触面が形成され、駆動ローラr1ないしr5と被駆動部40及び41とが協働して、第2のスライダの直線変位をクランク板20の回転変位に変換する。
【0055】
本実施形態で用いる変位伝達機構12は、第2のスライダ5が直線変位する過程で駆動ローラr1ないしr5の何れかが、第2のスライダ5の変位方向の前方側に存在するローラ接触面のみに接して被駆動部40又は41を第2のスライダ5の変位方向に押すことによりクランク板20を回転させるように構成されている。
【0056】
更に詳細に説明すると、第1ないし第5の駆動ローラr1ないしr5は、第2のスライダ5の底面(第1のスライダと反対側の面)に、クランク板20の回転中心軸線と平行な方向に延びる回転軸を介して回転自在に取り付けられている。本実施形態を示す図においては、第2のスライダ5が
図1に鎖線で示されているが、
図2ないし
図6においては、第2のスライダ5の図示が省略されている。
【0057】
図示の例では、駆動ローラr1ないしr5と協働する被駆動部40,41が、第2のスライダ5とクランク板20との間のスペースに配置されてクランク板20に固定されたブロックからなっている。被駆動部40,41は第2のスライダ5に接触しないように設けられていて、第2のスライダ5とクランク板20との間のスペースに臨む被駆動部40,41の側面に、第2のスライダ5(
図1参照)が図面上右方向及び左方向に直線変位する過程でクランク板20の回転中心から離れた位置で第1ないし第5の駆動ローラr1ないしr5のいずれかが接する第1ないし第8のローラ接触領域Sc1〜Sc8が形成され、第2のスライダ5が各方向(図面上右方向または左方向)に直線変位する過程で、被駆動部40,41のローラ接触面に接してクランク板20に駆動力を伝達する駆動ローラが適宜に入れ替わるように(クランク板20に駆動力を伝達するために互いに接触する駆動ローラと被駆動部のローラ接触面との組合わせが適宜に切り替るように)構成されると共に、クランク板20に駆動力を与える駆動ローラと被駆動部のローラ接触面との接点とクランク板20の回転中心軸線Oとの間の距離が、クランク板20の回転に伴って変化するように、複数の駆動ローラr1〜r5相互間の位置関係と、複数の駆動ローラr1〜r5と被駆動部40,41のローラ接触面Sc1〜Sc8との間の位置関係と、ローラ接触面Sc1〜Sc8のプロフィールとが設定されている。
【0058】
図示の被駆動部40は、操作軸8の軸線を含み、クランク板20を周方向に2等分する平面に対して左右対称なV字形の形状を有するように形成されて、クランク板20の中央に固定されている。また他の被駆動部41は、三角柱状の形状を有するように形成されて、クランク板20の外周部の周方向の中央に、その三角形の頂点をV字状の被駆動部40の開口部側に向けた状態で固定されている。
【0059】
また第2のスライダ5の底面に取り付けられた複数の駆動ローラは、第1及び第2の駆動ローラr1及びr2と、第3の駆動ローラr3と、第4及び第5の駆動ローラr4及びr5とからなっている。
【0060】
上記の駆動ローラのうち、第1及び第2の駆動ローラr1及びr2は、クランク板20の回転中心軸線を含み、第2のスライダ5の変位方向に沿う平面である第1の基準平面P1−P1から該第1の基準平面と直交する方向に(操作軸8から離れる方向に)一定の距離を隔てた位置に位置させ、かつ第2のスライダ5上に設定された定位置(図示の例では第2のスライダ5をその変位方向に2等分する位置)で第1の基準平面P1−P1と直交する平面である第2の基準平面P2−P2を対称面として、互いに接触するのを防ぐ程度の狭い間隔を隔てて面対称に配置されている。
【0061】
また第3の駆動ローラr3は、第1及び第2の駆動ローラr1及びr2と第1の基準平面P1−P1との間に位置させ、かつ中心軸線を第2の基準平面P2−P2上に位置させた状態で配置されている。
【0062】
第4及び第5の駆動ローラr4及びr5は、第1及び第2の駆動ローラr1及びr2と第3の駆動ローラr3の間を第1の基準平面P1−P1と平行に延びる平面である第3の基準平面P3−P3(
図1参照)上に中心軸線を位置させ、かつ第2の基準平面P2−P2を対称面として、第1及び第2の駆動ローラr1及びr2相互間の間隔よりも十分に大きな間隔を相互間に設けて面対称に配置されている。
【0063】
これらの駆動ローラのうち、第1及び第2の駆動ローラr1及びr2は、第2のスライダ5が一方向に変位する際に第1の駆動ローラr1が第2の駆動ローラr2よりも第2のスライダ5の変位方向の前方側に位置するように配置されている。また第4の駆動ローラr4は、第2の基準平面P2−P2に対して第2の駆動ローラr2と同じ側に配置され、第5の駆動ローラr5は、第2の基準平面P2−P2に対して第1の駆動ローラr1と同じ側に配置されている。
【0064】
また本実施形態では、第2のスライダ5が一方向(図面上右方向)に変位する際の変位区間に該一方向に沿って順に並ぶ第1ないし第4の単位区間が設定され、第2のスライダ5が他方向(図面上左方向)に変位する際の変位区間に該他方向に沿って順に並ぶ第5ないし第8の単位区間が設定されている。
【0065】
なお
図1においては、第2の基準平面P2−P2がたまたまクランク板20の回転中心軸線を含むように図示されているが、第2の基準平面P2−P2は、第2のスライダ5上に設定された定位置(本実施形態では第2のスライダ5をその変位方向に2分する位置)で第1の基準平面P1−P1と直交する平面であるので、第2の基準平面P2−P2は、第2のスライダ5の直線変位に伴って第2のスライダ5とともに変位する。
【0066】
また
図1においては、第4の駆動ローラr4及び第5の駆動ローラr5がそれぞれ、クランク板20の外周に形成された凹部20a及び20bに嵌合しているように見えているが、第4の駆動ローラr4及び第5の駆動ローラr5は、クランク板20には直接接触しないように(
図1においてクランク板20よりも手前の位置に)設けられているため、第4の駆動ローラr4及び第5の駆動ローラr5が凹部20a及び20bに嵌合することはない。
【0067】
図示の例において、クランク板20に設けられた被駆動部40,41の側面に設けられたローラ接触面は、第2のスライダ5が一方向(右方向)に変位する過程で第1の単位区間にあるときに第1の駆動ローラr1が接触する第1のローラ接触領域Sc1と、第2のスライダ5が一方向に変位する過程で第2の単位区間にあるときに第3の駆動ローラr3が接触する第2のローラ接触領域Sc2と、第2のスライダ5が一方向に変位する過程で第3の単位区間にあるときに第1の駆動ローラr1が接触する第3のローラ接触領域Sc3と、第2のスライダ5が一方向に変位する過程で第4の単位区間にあるときに第4の駆動ローラr4が接触する第4のローラ接触領域Sc4と、第2のスライダ5が他方向(左方向)に変位する過程で第5の単位区間にあるときに第2の駆動ローラr2が接触する第5のローラ接触領域Sc5と、第2のスライダ5が他方向に変位する過程で第2のスライダ5が第6の単位区間にあるときに第3の駆動ローラr3が接触する第6のローラ接触領域Sc6と、第2のスライダ5が他方向に変位する過程で第2のスライダ5が第7の単位区間にあるときに第2の駆動ローラr2が接触する第7のローラ接触領域Sc7と、第2のスライダ5が他方向に変位する過程で第2のスライダ5が第8の単位区間にあるときに第5の駆動ローラr5が接触する第8のローラ接触領域Sc8とからなっている。図示の例では、第3のローラ接触領域Sc3及び第7のローラ接触領域Sc7が三角柱状の被駆動部41の側面に形成され、他のローラ接触面Sc1,Sc2,Sc4,Sc5, Sc6及びSc8はV字状の被駆動部40の側面に形成されている。
【0068】
本実施形態で用いる蓄勢駆動機構1の動作を、
図2ないし
図6及び
図7(B)を参照して説明する。
図2ないし
図6は、第2のスライダ5(
図2ないし
図6には図示せず。)が図面上左から右に直線変位する過程でのラッチ機構及び変位伝達機構の動作を示したものである。これらの図においては、駆動ローラr1ないしr5のうち、被駆動部の何れかのローラ接触面に接してクランク板20に駆動力を伝達している駆動ローラを黒く塗りつぶした状態で示している。
【0069】
また
図7(B)は、本実施形態に係る蓄勢駆動機構1が操作する開閉器が必要とするトルク特性と、本実施形態に係る蓄勢駆動機構1の第2のスライダ5が
図1において右方向に変位する過程でクランク板20から回転駆動軸7を通して出力される操作トルクの特性とを、クランク板20の回転角度θに対して模式的に示したものである。
図7(B)において、曲線bは、クランク板20の各回転角度位置で開閉器側からクランク板20にかかる負荷トルクの特性を示し、曲線cは、本実施形態に係る蓄勢駆動機構1がクランク板20の各回転角度位置で出力する操作トルクの特性を示している。
【0070】
図2(A)は、第2のスライダ5がバネにより付勢される前の状態を示している。この状態では、ラッチレバー25がクランク板20の外周に形成された凹部20aに係合し、ラッチ解除部材30がラッチレバー26に係合している。このときのクランク板20の回転角度位置(回転駆動軸7の回転角度位置)をθ1 とする。この状態では、第5の駆動ローラr5が被駆動部40の第8のローラ接触領域Sc8に接触してクランク板20を静止した状態に保持している。
【0071】
図2(A)の状態から、電動操作器により操作軸8を駆動して、
図8ないし
図10に示された蓄勢駆動機構1で用いられているカム機構10と同様のカム機構により第1のスライダ4(
図2ないし
図6には図示せず。)を右方向に変位させてバネ6を蓄勢していくと、第2のスライダ5が右方向に付勢されるため、第1の駆動ローラr1がローラ接触面の第1のローラ接触領域Sc1に接触するが、クランク板20はラッチレバー25によりラッチされているため、回転することができない。
【0072】
バネ6の蓄勢が完了する位置まで第1のスライダ4が変位すると、
図2(B)に示すように、ラッチ解除部材30がラッチレバー25に接する位置に達する。この時のクランク板20の回転角度位置をθ2 とする。回転角度位置θ2 は回転角度位置θ1 とほぼ同じである。
図2(B)に示した状態になった後、第1のスライダ4を更に変位させると、ラッチ解除部材30がラッチレバー25を回動させて、クランク板20のラッチを外すため、第2のスライダ5の変位が開始される。
図3(A)は、ラッチが外されて第2のスライダ5が変位を開始した直後の状態を示している。このときのクランク板20の回転角度位置(開閉器に回転力を与える回転駆動軸7の回転角度位置と同じ。)をθ3 とする。
【0073】
図3(A)の状態では、第2のスライダ5が、右方向に変位する際の変位区間の最初に設定された第1の単位区間に入っている。第2のスライダ5がこの第1の単位区間を変位する際には、第1の駆動ローラr1が被駆動部40の先端に形成された第1のローラ接触領域Sc1に接触してクランク板20に駆動力を伝達する。第1の各ローラr1と第1のローラ接触領域Sc1との接点とクランク板20の回転中心Oとの間の距離は比較的大きいため、クランク板20は、比較的大きなトルクを出力する。
【0074】
第2のスライダ5が第1の単位区間の終点まで変位すると、
図3(B)に示すように第3の駆動ローラr3が、第1のローラ接触領域Sc1よりもクランク板20の回転中心に近い位置に形成された第2のローラ接触領域Sc2に接する。この時のクランク板20の回転角度位置をθ4 とする。クランク板20がθ3 からθ4まで変位する過程では、第1の各ローラr1と第1のローラ接触領域Sc1との接点とクランク板20の回転中心Oとの間の距離がクランク板20の回転に伴って少しずつ短くなっていくため、クランク板20が出力するトルク(蓄勢駆動機構1の出力トルク)は、
図7(B)の曲線cに見られるように、クランク板20の回転に伴って少しずつ小さくなっていく。
【0075】
第2のスライダ5は、クランク板20を
図3(B)に示した回転角度位置θ4 まで回動させた後、第2の単位区間に入る。
図4(A)は第2のスライダ5が第2の単位区間に入った直後の状態を示している。この時のクランク板20の回転角度位置をθ5 とする。第2のスライダ5が第2の単位区間に入ると、
図4(A)に示すように、第3の駆動ローラr3が被駆動部40の先端よりも中心軸寄りに形成された第2のローラ接触領域Sc2に接してクランク板20を駆動する状態に切り替わる。第2のスライダ5が第2の単位区間を変位する過程(クランク板20がθ5 からθ6 まで回転する過程)では、
図4(A),(B)に示すように、第3のローラr3が第2のローラ接触領域Sc2に接触した状態を保持してクランク板20に駆動力を伝達する。
【0076】
第3のローラr3と第2のローラ接触領域Sc2との接点とクランク板20の回転中心Oとの間の距離は、第1の各ローラr1と第1のローラ接触領域Sc1との接点とクランク板20の回転中心Oとの間の距離よりも短いため、第2のスライダ5が第1の単位区間から第2の単位区間に移行する際の過渡領域(クランク板20がθ4 からθ5 まで回転する過程)では、蓄勢駆動機構1の出力トルクが低下する。
【0077】
第2のスライダ5が第2の単位区間を変位する過程(クランク板20がθ5 からθ6 まで回転する過程)では、第3のローラr3と第2のローラ接触領域Sc2との接点とクランク板20の回転中心Oとの間の距離がクランク板20の回転に伴って長くなっていくが、この間第3のローラr3と第2のローラ接触領域Sc2との接点の移動に伴ってバネに蓄積されたエネルギーが解放されていき(バネが伸びていき)、それに伴ってバネの付勢力が減衰していくため、蓄勢駆動機構の出力トルクは、
図7(B)の曲線cのように僅かずつ減衰していく。そのため、蓄勢駆動機構の出力トルクが曲線bで示した負荷トルクを僅かに下回る状態が生じるが、このときクランク板20の回転速度は未だ十分に速いため、クランク板20の慣性により開閉器(負荷)の駆動は支障なく行わせることができる。
【0078】
クランク板20が
図4(B)に示すθ6 の位置まで回転すると、第1の駆動ローラr1が、被駆動部41に設けられた第3のローラ接触領域Sc3に接するようになり、第2のスライダ5が第2の単位区間の終点に達する。
図5(A)は、第2のスライダ5が第2の単位区間の終点から僅かに右に変位して、クランク板20が回転角度位置θ7 に達した状態を示している。この状態から第2のスライダ5が第3の単位区間に入る。第2のスライダ5が第3の単位区間を変位する過程では、第1の駆動ローラr1が第3のローラ接触領域Sc3に接した状態でクランク板20に駆動力を伝達する。
【0079】
第1の駆動ローラr1と第3のローラ接触領域Sc3との接点とクランク板20の回転中心との間の距離は長いため、第2のスライダ5が第2の単位区間から第3の単位区間に移行する過渡領域(クランク板20がθ6からθ7 まで回転する過程)では、蓄勢駆動機構1の出力トルクが増大する。第2のスライダ5が第3の単位区間を移動する間(クランク板20がθ7 からθ8 まで回転する間)、第1の駆動ローラr1と第3のローラ接触領域Sc3との接点とクランク板20の回転中心との間の距離は殆ど変化しないが、バネの伸びに伴ってその付勢力が減衰していくため、蓄勢駆動機構1の出力トルクは僅かずつ減衰していく。
【0080】
クランク板20が
図5(B)に示すθ8の位置まで回転すると、第4の駆動ローラr4が、被駆動部40に設けられた第4のローラ接触領域Sc4に接するようになり、第2のスライダ5が第3の単位区間の終点に達する。
【0081】
図6(A)は、第2のスライダ5が第3の単位区間の終点を僅かに過ぎてクランク板20がθ9 の位置に達した状態を示している。この状態から第2のスライダ5が第4の単位区間に入る。第2のスライダ5が第4の単位区間を変位する過程では、第4の駆動ローラr4が第4のローラ接触領域Sc4に接した状態でクランク板20に駆動力を伝達する。第4の駆動ローラr4と第4のローラ接触領域Sc4との接点とクランク板20の回転中心との間の距離は短いため、第2のスライダ5が第3の単位区間から第4の単位区間に移行する間の過渡領域(クランク板20がθ8 からθ9 まで回転する過程)では、蓄勢駆動機構1の出力トルクが低下する。第2のスライダ5が第4の単位区間を移動する間、第4の駆動ローラr4と第4のローラ接触領域Sc4との接点とクランク板20の回転中心との間の距離は殆ど変化しないが、バネの伸びに伴ってバネの付勢力が減衰していくため、蓄勢駆動機構1の出力トルクは少しずつ低下していく。
【0082】
第2のスライダ5が第4の単位区間の終点に達して、クランク板20が
図6に示すθ10の位置に達すると、ラッチレバー26がクランク板20の凹部20bに係合して第2のスライダ5が
図1において右方向に変位する際の一連の動作が終了する。
【0083】
第2のスライダ5が
図1において左方向に変位する際には、第2のスライダ5が、その変位方向に順に並ぶように設定された第5の単位区間から第8の単位区間までを変位してクランク板20を図面上反時計方向に回転させる。
【0084】
第2のスライダ5が第5の単位区間にあるときには、第2の駆動ローラr2が第5のローラ接触領域Sc5に接してクランク板20を回動させ、第2のスライダ5が第6の単位区間にあるときには、第3の駆動ローラr3が第6のローラ接触領域Sc6に接してクランク板20を回転させる。
【0085】
第2のスライダ5が第6の単位区間の終点に達すると、第2の駆動ローラr2が第7のローラ接触領域Sc7に接するようになり、第2のスライダ5が第7の単位区間に入ると、第2の駆動ローラr2が第7のローラ接触領域Sc7に接した状態でクランク板20を回転させるようになる。第2のスライダ5が第7の単位区間の終点に達すると、第5の駆動ローラr5が第8のローラ接触領域Sc8に接するようになり、第2のスライダ5が第8の単位区間に入ると、第5の駆動ローラr5が第8のローラ接触領域Sc8に接した状態でクランク板20を回転させるようになる。
【0086】
上記の実施形態において、第1のスライダ4が第1の単位区間ないし第4の単位区間を変位する際及び第5の単位区間ないし第8の単位区間を変位する際に得られる蓄勢駆動機構1の出力トルクは、それぞれの領域でクランク板20に駆動力を伝達する駆動ローラとローラ接触面との組み合わせ及びローラ接触面のプロフィール(形状)を適宜に設定しておくことにより、適宜に調整することができる。従って、複数の駆動ローラ相互間の位置関係と、複数の駆動ローラと被駆動部との間の位置関係と、被駆動部のローラ接触面のプロフィールとを適宜に設定することにより、蓄勢駆動機構1の出力トルクの特性(
図7Bに示した例では曲線c)を、開閉器が必要とするトルク(負荷トルク)の特性(
図7Bに示した例では曲線b)に近似させて、開閉器に一連の動作を行わせる過程で該開閉器を駆動するトルクが不足することがないようにすることができる。
【0087】
上記の実施形態では、第2のスライダ5に駆動ローラを5個取り付けるようにしたが、第2のスライダ5に取り付ける駆動ローラの数及び複数の駆動ローラをそれぞれ設ける位置は、開閉器が必要とする操作トルクの特性に応じて適宜に変更することができる。同様に、各駆動ローラを接触させるローラ接触面のプロフィールも、開閉器が必要とする操作トルクに応じて適宜に変更することができる。また同じ出力トルク特性を得る場合でも、駆動ローラの数及びローラ接触面のプロフィールは一通りではなく、種々の変形を行うことができる。
【0088】
上記の説明では、開閉器が切換動作を行う過程で必要とするトルクの特性と蓄勢駆動機構1の出力トルク(操作トルク)の特性とを近似させるように、複数の駆動ローラ相互間の位置関係と、複数の駆動ローラと被駆動部との間の位置関係と、被駆動部のローラ接触面のプロフィールとが設定されるとしたが、クランク板20の各回転角度位置で開閉器を操作するために必要な操作トルクが得られればよいので、蓄勢駆動機構1の出力トルク特性は、必ずしも、開閉器が切換動作を行う過程で必要とするトルクの特性に近似させる必要はない。
【0089】
上記の実施形態では、クランク板20に所定のローラ接触領域を有するローラ接触面を設けるために、2つの被駆動部40,41を設けているが、ローラ接触面を有する被駆動部の数は任意であり、必要なローラ接触領域を有するローラ接触面を形成できるのであれば、1つの被駆動部だけを設けるようにしてもよい。
【0090】
上記の実施形態のように、第2のスライダ5の各方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板20に伝達するために、3つの駆動ローラr1,r3,r4又はr2,r3、r5を設けて、第2のスライダ5が直線変位する過程でクランク板20が設定された角度回転する毎に被駆動部を押す駆動ローラが入れ替わるように構成しておくと、タップ切換のために開閉器に一連の動作を行わせる過程で各駆動ローラがローラ接触面に接触する時間を短くすることができるため、駆動ローラ及びローラ接触面の各部にかかる負担を軽減して蓄勢駆動機構の寿命の延長を図ることができる。
【0091】
前述のように、特許文献4に示された従来例と同様に、スライダ5と共に直線変位する駆動ローラをクランク板側に設けたガイドスロットに嵌合させて、駆動ローラを該ガイドスロットにより案内しつつ直線変位させることにより、スライダ5の直線変位を回転変位に変換してクランク板20を回転させるように構成した場合には、ガイドスロットに沿ってローラを円滑に変位させるために、ガイドスロットの曲率を大きくすることに限界があるため、開閉器が必要とする操作トルクが比較的急な変化を示す場合に対応することが困難である。
【0092】
そのため、本発明においては、ガイドスロットの使用を廃し、スライダ5が直線変位する過程で駆動ローラr1〜r5の何れかがスライダ5の変位方向の前方側に存在するローラ接触面のみに接して被駆動部40,41をスライダ5の変位方向に押すことによりクランク板20を回転させるように構成する。
【0093】
従って、クランク板20側に設ける被駆動部のローラ接触面の周辺にスロットとみなされる部分が形成される場合には、該スロットとみなされる部分の幅寸法を十分に大きく設定して、駆動ローラが被駆動部を押してクランク板を回転させる際に、駆動ローラがスライダの変位方向の後方側に位置するローラ接触領域には接触しないようにしておく。
【0094】
例えば、図示の例では、ローラ接触領域Sc2とSc6との間の間隔を駆動ローラr3の直径よりも大きく設定して、駆動ローラr3がローラ接触領域Sc2を押してクランク板20を図面上時計方向に回転させる際に、駆動ローラr3がローラ接触領域sc6には接触しないようにしておく。
【0095】
上記の実施形態では、第2のスライダ5の一方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板20に伝達するために用いる駆動ローラ及び第2のスライダ5の他方向への直線変位をクランク板20に伝達するために用いる駆動ローラとして合計5個の駆動ローラr1〜r5が設けられ、これらの駆動ローラのうちの1個の駆動ローラr3が、第2のスライダ5の一方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板20に伝達するために用いる駆動ローラの一つと、第2のスライダ5の他方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板20に伝達するために用いる駆動ローラの一つとを兼ねる共通ローラとして機能するように変位伝達機構12が構成されている。また5個の駆動ローラr1〜r5は、第2のスライダ5をその変位方向に2分する位置で第2のスライダ5の変位方向と直交する基準平面P2−P2上に共通ローラr3の中心軸線を位置させた状態で、基準平面P2−P2を対称面として面対称に配置されている。
【0096】
このように構成しておくと、第2のスライダ5を一方向に変位させる場合及び他方向に変位させる場合の何れの場合にも、クランク板20の回転角度に対する操作トルクの特性を同じにすることができる。
【0097】
また第2のスライダ5を一方向に変位させる場合及び他方向に変位させる場合の何れの場合にも、3個の駆動ローラ(r2、r3、r4又はr1,r3,r5)が被駆動部40,41のローラ接触面の所定の領域に順次接触して、第2のスライダ5の変位を回転変位に変換するため、タップ切換のために開閉器に一連の動作を行わせる過程で各駆動ローラがローラ接触面に接触する時間を短くすることができ、これにより、駆動ローラ及びローラ接触面の各部にかかる負担を軽減して蓄勢駆動機構の寿命の延長を図ることができる。また上記のように構成しておくと、駆動ローラの数を節約して、変位伝達機構12をコンパクトに構成することができる。
【0098】
上記の実施形態では、第2のスライダ5の各方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板20に伝達するために3個の駆動ローラを用いているが、第2のスライダ5の各方向への直線変位を回転変位に変換してクランク板20に伝達するために4個以上の駆動ローラを用いるように変位伝達機構12を構成することもできる。
【0099】
上記の実施形態では、電動操作器などにより駆動される操作軸8が、回転駆動軸7を貫通してタップ選択器に連結されているため、操作軸8とクランク板20とがそれぞれの軸線を一致させた状態で配置されているが、操作軸8とタップ選択器との位置関係により、操作軸8が回転駆動軸7を貫通する必要がない場合には、クランク板20の軸線と操作軸8の軸線とを必ずしも一致させる必要はない。
【0100】
図8ないし
図10に示した例では、操作軸8の回転に伴って直線変位させられる第1のスライダ4の変位によりバネを蓄勢するように蓄勢機構が構成されているが、この蓄勢機構は、電動操作器などの操作器により操作されて変位させられる部材によりバネを圧縮又は伸長させることによってバネを蓄勢するように構成されていれば良く、その構成は、
図8ないし
図10に示したものに限定されない。
【解決手段】蓄勢機構に設けられたバネにより付勢されてスライドするスライダの変位を回転運動に変換してクランク板20に伝達して、該クランク板から開閉器に駆動力を伝達する負荷時タップ切換装置において、スライダ5に複数の駆動ローラr1〜r5を取り付けるとともに、スライダが変位する過程で該複数の駆動ローラの何れかが接触するローラ接触領域Sc1〜Sc8を有するローラ接触面を備えた被駆動部をクランク板20側に設け、スライダが変位する過程で被駆動部のローラ接触面に接する駆動ローラを入れ替えることにより、クランク板の各回転角度位置で得られる操作トルクの大きさを適宜に設定し得るようにした。