(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180616
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】液晶表示パネル及び液晶ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13363 20060101AFI20170807BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
G02F1/13363
G02B5/30
【請求項の数】16
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-504447(P2016-504447)
(86)(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公表番号】特表2016-514853(P2016-514853A)
(43)【公表日】2016年5月23日
(86)【国際出願番号】CN2013078173
(87)【国際公開番号】WO2014153884
(87)【国際公開日】20141002
【審査請求日】2015年10月13日
(31)【優先権主張番号】201310108793.4
(32)【優先日】2013年3月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515268009
【氏名又は名称】シェンツェン チャイナ スター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN CHINA STAR OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100198568
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 絵美
(72)【発明者】
【氏名】カーン チー−ツォン
(72)【発明者】
【氏名】ハイ ボー
【審査官】
磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−039222(JP,A)
【文献】
特開2009−031402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02F 1/13363
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルであって、
入光側及び出光側を含む液晶表示ユニットと、
液晶表示ユニットの入光側に設けられた第1偏光板と、
液晶表示ユニットの出光側に設けられた第2偏光板と、
第1偏光板と液晶表示ユニットの間に設けられた半波長板と、
第1偏光板と半波長板の間及び第2偏光板と液晶表示ユニットの間、にそれぞれ設けられた二つの二軸性補償フィルムを含み、
第1偏光板の吸収軸は第2偏光板の吸収軸に平行し、半波長板の遅軸と第1偏光板の吸収軸との交角は45度であり、
二軸性補償フィルムの遅軸と同じ側の偏光板の吸収軸との交角が90度である場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板のあるプリセット波長における補償値の増加に伴い小さくなり、再び大きくなることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項2】
半波長板のあるプリセット波長における補償値の大きさが該プリセット波長の半分に等しい場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は最小であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項3】
液晶表示パネルであって、
入光側及び出光側を含む液晶表示ユニットと、
液晶表示ユニットの入光側に設けられた第1偏光板と、
液晶表示ユニットの出光側に設けられた第2偏光板と、
第1偏光板と液晶表示ユニットの間に設けられた半波長板と、
第1偏光板と半波長板の間及び第2偏光板と液晶表示ユニットの間、にそれぞれ設けられた二つの二軸性補償フィルムを含み、
第1偏光板の吸収軸は第2偏光板の吸収軸に平行し、半波長板の遅軸と第1偏光板の吸収軸との交角は45度であり、
二軸性補償フィルムの遅軸と同じ側の偏光板の吸収軸との交角が45度である場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板のあるプリセット波長における補償値と二つの二軸性補償フィルムの該プリセット波長における補償値との和の増加に伴い小さくなり、再び大きくなることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項4】
液晶表示パネルであって、
入光側及び出光側を含む液晶表示ユニットと、
液晶表示ユニットの入光側に設けられた第1偏光板と、
液晶表示ユニットの出光側に設けられた第2偏光板と、
第1偏光板と液晶表示ユニットの間に設けられた半波長板と、
第1偏光板と半波長板の間及び第2偏光板と液晶表示ユニットの間、にそれぞれ設けられた二つの二軸性補償フィルムを含み、
第1偏光板の吸収軸は第2偏光板の吸収軸に平行し、半波長板の遅軸と第1偏光板の吸収軸との交角は45度であり、
二軸性補償フィルムの遅軸と同じ側の偏光板の吸収軸との交角が135度である場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板のあるプリセット波長における補償値と二つの二軸性補償フィルムの該プリセット波長における補償値との和の増加に伴い小さくなり、再び大きくなることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項5】
半波長板のあるプリセット波長における補償値と二つの二軸性補償フィルムの該プリセット波長における補償値との和が該プリセット波長の半分に等しい場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は最小であることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示パネル。
【請求項6】
前記プリセット波長は380nm〜780nmであることを特徴とする請求項1、3又は4に記載の液晶表示パネル。
【請求項7】
前記プリセット波長は450nm〜650nmであることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示パネル。
【請求項8】
液晶表示パネルであって、
入光側及び出光側を含む液晶表示ユニットと、
液晶表示ユニットの入光側に設けられた第1偏光板と、
液晶表示ユニットの出光側に設けられた第2偏光板と、
第1偏光板と液晶表示ユニットの間に設けられた半波長板と、
第1偏光板と半波長板の間及び第2偏光板と液晶表示ユニットの間、にそれぞれ設けられた二つの二軸性補償フィルムを含み、
第1偏光板の吸収軸は第2偏光板の吸収軸に平行し、半波長板の遅軸と第1偏光板の吸収軸との交角は135度であり、
二軸性補償フィルムの遅軸と同じ側の偏光板の吸収軸との交角が90度である場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板のあるプリセット波長における補償値の増加に伴い小さくなり、再び大きくなることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項9】
半波長板のあるプリセット波長における補償値の大きさが該プリセット波長の半分に等しい場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は最小であることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示パネル。
【請求項10】
液晶表示パネルであって、
入光側及び出光側を含む液晶表示ユニットと、
液晶表示ユニットの入光側に設けられた第1偏光板と、
液晶表示ユニットの出光側に設けられた第2偏光板と、
第1偏光板と液晶表示ユニットの間に設けられた半波長板と、
第1偏光板と半波長板の間及び第2偏光板と液晶表示ユニットの間、にそれぞれ設けられた二つの二軸性補償フィルムを含み、
第1偏光板の吸収軸は第2偏光板の吸収軸に平行し、半波長板の遅軸と第1偏光板の吸収軸との交角は135度であり、
二軸性補償フィルムの遅軸と同じ側の偏光板の吸収軸との交角が45度である場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板のあるプリセット波長の補償値と二つの二軸性補償フィルムの該プリセット波長における補償値との和の増加に伴い小さくなり、再び大きくなることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項11】
液晶表示パネルであって、
入光側及び出光側を含む液晶表示ユニットと、
液晶表示ユニットの入光側に設けられた第1偏光板と、
液晶表示ユニットの出光側に設けられた第2偏光板と、
第1偏光板と液晶表示ユニットの間に設けられた半波長板と、
第1偏光板と半波長板の間及び第2偏光板と液晶表示ユニットの間、にそれぞれ設けられた二つの二軸性補償フィルムを含み、
第1偏光板の吸収軸は第2偏光板の吸収軸に平行し、半波長板の遅軸と第1偏光板の吸収軸との交角は135度であり、
二軸性補償フィルムの遅軸と同じ側の偏光板の吸収軸との交角が135度である場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板のあるプリセット波長における補償値と二つの二軸性補償フィルムの該プリセット波長における補償値との和の増加に伴い小さくなり、再び大きくなることを特徴とする記載の液晶表示パネル。
【請求項12】
半波長板のあるプリセット波長における補償値と二つの二軸性補償フィルムの該プリセット波長における補償値との和が該プリセット波長の半分に等しい場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は最小であることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示パネル。
【請求項13】
前記プリセット波長は380nm〜780nmであることを特徴とする請求項8、10又は11に記載の液晶表示パネル。
【請求項14】
前記プリセット波長は450nm〜650nmであることを特徴とする請求項13に記載の液晶表示パネル。
【請求項15】
液晶ディスプレイであって、
液晶表示パネルと、
液晶表示パネルに対向するように設置され、液晶表示パネルに光源を提供するバックライトモジュールと、
を含み、
前記液晶表示パネルは請求項1、3又は4に記載の液晶表示パネルであることを特徴とする液晶ディスプレイ。
【請求項16】
液晶ディスプレイであって、
液晶表示パネルと、
液晶表示パネルに対向するように設置され、液晶表示パネルに光源を提供するバックライトモジュールと、
を含み、
前記液晶表示パネルは請求項8、10又は11に記載の液晶表示パネルであることを特徴とする液晶ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示分野に関し、より具体的には、液晶表示パネル及び液晶ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルにおいて、偏光板の偏光作用がない場合、液晶表示パネルは画面を正常に表示することができない。偏光板は偏光軸と直交する方向の光を吸収し、偏光軸の方向に沿う光のみを通過させるが、このようにして自然光を直線偏光に変換することができる。
【0003】
VA(Vertical Alignment)表示モード、即ち、垂直配向モードとは、液晶分子と基板とが垂直に配向される表示モードを指す。VA表示モードはその広視野角、高いコントラスト及び摩擦配向の必要がないなどの優勢により、大型液晶表示パネルによく使用される表示モードとなっている。
【0004】
電圧が印加されていない場合、入射光はVA表示モードを備える液晶表示パネルの液晶表示ユニットを通過した後偏向が発生しないため、電圧が印加されていない場合、液晶表示ユニットの外側に設けられた上下偏光板が垂直に貼付(即ち、上下偏光板の吸収軸は垂直である)又は平行に貼り付けられ(即ち、上下偏光板の吸収軸は平行である)、液晶表示パネルのノーマリーブラックモード又はノーマリーホワイトモードを決定する。
図1aと
図1bに示すように、一般的に、上下偏光板が平行に貼り付けられる場合はノーマリーホワイトモードであり、上下偏光板が垂直に貼り付けられる場合はノーマリーブラックモードである。
【0005】
一般的に、VA表示モードは電圧が印加されていない場合にノーマリーブラックモードを採用し、即ち、上下偏光板は垂直に貼り付けられる。このように、暗状態において輝度が非常に低く、高いコントラストを実現することができ、画素が損傷する場合に暗状態を呈し、一つの暗点に表現され、画面の表示に与える影響が小さい。
【発明の概要】
【0006】
しかし、大型液晶表示パネルの生産において、液晶表示パネルが偏光板のコイル材の幅を超える場合、偏光板のコイル材を同様な寸法で吸収軸と直交する偏光板に裁断することができない。そのため、偏光板の幅を超える大型液晶表示パネルは、従来の構造によりノーマリーブラックモードを通常通りに実現することができない。
当然に、偏光板を接合させる方法により上下偏光板を垂直に貼り付けることができるが、接合箇所に輝線が発生し、これは液晶表示パネルの生産において容認できない現象である。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来技術に存在する問題を解決するために、二つの偏光板が平行に貼り付けられ、電圧が印加されていない時でもノーマリーブラックモードを実現可能な液晶表示パネル、及び該液晶表示パネルを備える液晶ディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を実現するために、本発明により提供される液晶表示パネルは、入光側及び出光側を含む液晶表示ユニットと、液晶表示ユニットの入光側に設けられた第1偏光板と、液晶表示ユニットの出光側に設けられた第2偏光板、及び第1偏光板と液晶表示ユニットの間に設けられた半波長板とを含み、第1偏光板の吸収軸は第2偏光板の吸収軸に平行し、半波長板の遅軸と第1偏光板の吸収軸との交角は45度又は135度である。
【0009】
また、前記液晶表示パネルは、さらに、第1偏光板又は半波長板と液晶表示ユニットの間にそれぞれ設けられた二つの二軸性補償フィルムを含む。
また、二軸性補償フィルムの遅軸と同側の偏光板の吸収軸との交角が90度である場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板のあるプリセット波長における補償値の増加に伴い小さくなってから、再び大きくなり、半波長板のあるプリセット波長における補償値の大きさが該プリセット波長の半分に等しい場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は最小である。
【0010】
また、二軸性補償フィルムの遅軸と同側の偏光板の吸収軸との交角が45度又は135度である場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板のあるプリセット波長における補償値と二つの二軸性補償フィルムの該プリセット波長における補償値との和の増加に伴い小さくなってから、再び大きくなり、半波長板のあるプリセット波長における補償値と二つの二軸性補償フィルムの該プリセット波長における補償値との和が該プリセット波長の半分に等しい場合、液晶表示パネルの中心点の輝度は最小である。
【0011】
また、前記プリセット波長は380nm〜780nmである。さらに、前記プリセット波長は450nm〜650nmである。
【0012】
本発明は、さらに、上記液晶表示パネルである液晶表示パネル及び液晶表示パネルに対向するように設置され、液晶表示パネルに光源を提供するバックライトモジュールを備える液晶ディスプレイを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の液晶表示パネルは二つの偏光板に平行するように貼り付けられ、電圧が印加されていない時でもノーマリーブラックモードを実現することができ、そのコントラストが効果的に向上される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来の液晶表示パネルに電圧が印加されていない時に、(a)はノーマリーブラックモード、(b)はノーマリーホワイトモードを実現する構造を示す図である。
【
図2】本発明の実施例による液晶表示パネルに電圧が印加されていない時にノーマリーブラックモードを実現する構造を示す図である。
【
図3】本発明の実施例による液晶表示パネルの波長450nmにおける中心点の輝度が半波長板の補償値に伴って変化する傾向を示す図である。
【
図4】本発明の実施例による液晶表示パネルの波長550nmにおける中心点の輝度が半波長板の補償値に伴って変化する傾向を示す図である。
【
図5】本発明の実施例による液晶表示パネルの波長650nmにおける中心点の輝度が半波長板の補償値に伴って変化する傾向を示す図である。
【
図6】本発明の実施例による半波長板の補償値と二つの二軸性補償フィルムの補償値との和と可視光の波長との関係を示す図である。
【
図7】本発明の実施例による液晶ディスプレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。その実例を図面に示し、同じ符号は常に同一部材を表示する。以下、本発明を解釈するために、図面を参照して実施例を詳細に説明する。以下の説明において、公知の構造及び/又は機能に対する不必要な詳細説明による本発明の構想との混同を回避するために、公知の構造及び/又は機能に対する不必要な詳細説明を省略することができる。
【0016】
図2は本発明の実施例による液晶表示パネルに電圧が印加されていない時にノーマリーブラックモードを実現する構造を示す図である。
【0017】
図2に示すように、本発明の実施例による液晶表示パネルは、液晶表示ユニット10、半波長板20、二つの二軸性補償フィルム31、32、及び第1偏光板41と第2偏光板42を含む。
【0018】
液晶表示ユニット10はVA(Vertical Alignment)表示モードを備え、さらに液晶分子を含む。光が液晶表示ユニット10に入射する側を入光側と定義し、光が液晶表示ユニット10を通過した後出射する側を出光側と定義する。
【0019】
第1偏光板41は液晶表示ユニット10の入光側に設けられ、第2偏光板42は液晶表示ユニットの出光側に設けられている。ここで理解すべきことは、第2偏光板42を液晶表示ユニット10の入光側に設け、第1偏光板41を液晶表示ユニットの出光側に設けることもできることである。第1偏光板41の吸収軸は第2偏光板42の吸収軸に平行するように設置されている。
【0020】
半波長板20は第1偏光板41と液晶表示ユニット10の間に設けられている。ここで、半波長板20はその他のデバイスに代替されてもよく、該デバイスが備える機能は、光が該デバイスを通過した後半波長の光路差又は180度の位相差を発生することができることである。
【0021】
二軸性補償フィルム31は半波長板20と第1偏光板41の間に設けられ、二軸性補償フィルム32は第2偏光板42と液晶表示ユニット10の間に設けられている。ここで理解すべきことは、二軸性補償フィルム32を半波長板20と第1偏光板41の間に設け、二軸性補償フィルム31を第2偏光板42と液晶表示ユニット10の間に設けることもできることである。
【0022】
本実施例において、二軸性補償フィルム31、32の設置は、液晶表示パネルの異なる視角で発生した位相差を補正し、液晶分子の二重屈折を対称的に補償するためであり、液晶表示パネルの広視野角の光漏れや色ずれの現象を効果的に改善することができる。ここで理解すべきことは、二つの二軸性補償フィルム31、32を設けなくても良いことである。
【0023】
上記液晶表示パネルに電圧が印加されていない時にノーマリーブラックモードを実現するために、適切な半波長板20のパラメーター及び半波長板20の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角を見つけなければならず、さらに適切な二つの二軸性補償フィルム31、32のパラメーター及び二つの二軸性補償フィルム31、32の遅軸と第1偏光板41、第2偏光板42の吸収軸とのそれぞれの交角を見つけなければならない。
【0024】
後述において、本発明の実施例による液晶表示パネルに電圧が印加されていない時にノーマリーブラックモードを実現することについて詳細に説明する。
本発明の実施例はLCD Masterソフトウェアを採用してシミュレーションを行う。
【0025】
シミュレーションは下記のように設定する。
液晶の設定:1、Pretilt angle=89度であり、Pretilt angleは液晶が境界において液晶表示パネルに垂直である法線ベクトルとの傾斜角である。2、液晶表示ユニット10の各画素領域を四つの領域に分け、四つの領域(domain)の液晶の軸角はそれぞれ45度、135度、225度、315度である。
光源の設定:1、Blue‐YAG LEDのスペクトルを使用する。2、中央の輝度を100nitと定義する。3、光源はランベルト・ベールの法則(Lambert`s distribution)に基づいて分布する。
【0026】
下記の説明において、暗状態輝度(単位:nit)とは上記液晶表示パネル10に電圧が印加(0V)されていない時の輝度を指す。明状態輝度(単位:nit)とは上記液晶表示パネル10に電圧が印加(7V)されている時の輝度を指す。コントラストは明状態輝度と暗状態輝度の比である。
【0027】
表1は
図1に示す液晶表示パネルのノーマリーブラックモードの時の暗状態輝度、明状態輝度及びコントラストを示す。
【0029】
表2は本実施例の半波長板20のそれぞれ波長450nm、550nm、650nmにおけるパラメーターを示す。
【0031】
表2において、Nxは半波長板20のx軸における屈折率、Nyは半波長板20のy軸における屈折率、dは半波長板20の厚さ(単位:nm)、R0は半波長板20のあるプリセット波長における補償値であり、式(1)を満たすことができる。
R0=(Nx−Ny)×d (1)
【0032】
式(1)から分かるように、半波長板の厚さdの大きさ又は屈折率Nx、Nyの大きさを調整することにより、半波長板20のあるプリセット波長における補償値の大きさを調整することができる。
【0033】
表3は本発明の実施例による液晶表示パネルに電圧が印加されていない時にノーマリーブラックモードを実現し、電圧が印加されている時にノーマリーホワイトモードを実現するシミュレーションの結果を示す。そのうち、二軸性補償フィルム31、32の遅軸と第1偏光板41、第2偏光板42の吸収軸とのそれぞれの交角を90度に設定する。
【0035】
表3から分かるように、半波長板20の遅軸と第1偏光板41の吸収軸が平行又は垂直である場合、液晶表示パネルは電圧が印加されていない時に明状態であり、ノーマリーホワイトモードを呈する。半波長板20の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角が45度又は135度である場合、液晶表示パネルは電圧が印加されていない時に暗状態であり、ノーマリーブラックモードを呈するが、液晶表示パネルの電圧が印加されていない時の暗状態の輝度が高くなるため、液晶表示パネルのコントラストは非常に低くなる。そのため、暗状態の輝度を低減させるために適切な半波長板20のパラメーターを改めて設計しなければならない。
【0036】
後述において、波長が450nm、550nm及び650nmである入射光を実例として適切な半波長板20のパラメーターに対するシミュレーションを行い、本発明の実施例による液晶表示パネルのコントラストを表1に示す従来の構造を備える液晶表示パネルのコントラストに相当させる。半波長板20のあるプリセット波長におけるパラメーターNx及びパラメーターNyが一定値であるため、半波長板20の該プリセット波長における補償値R0の大きさを改めて設計、即ち、半波長板20の厚さdの大きさを変更することにより本発明の実施例の液晶表示パネルのコントラストを低減させるしかない。二つの案を設けることにより、半波長板20の適切な補償値R0の大きさに対するシミュレーションを行う。
【0037】
第1案:半波長板20の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角を45度又は135度に、二軸性補償フィルム31の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角を90度に、二軸性補償フィルム32の遅軸と第2偏光板42の吸収軸との交角を90度に、二軸性補償フィルム31、32の補償値R0の和を112nmに設定し、半波長板20の補償値R0の大きさを変更することにより本発明の実施例の液晶表示パネルの中心点の輝度(単位:nit)の変化傾向をシミュレーションする。そのうち、液晶表示パネルの中心点の輝度とは該液晶表示パネルを正面視する時の液晶表示パネルの中心部の輝度を指す。
【0038】
第2案:半波長板20の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角を45度又は135度に、二軸性補償フィルム31の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角を45度又は135度に、二軸性補償フィルム32の遅軸と第2偏光板42の吸収軸との交角を45度又は135度に、二軸性補償フィルム31、32の補償値R0の和を112nmに設定し、半波長板20の補償値R0の大きさを変更することにより本発明の実施例の液晶表示パネルの中心点の輝度(単位:nit)の変化傾向をシミュレーションする。そのうち、液晶表示パネルの中心点の輝度とは該液晶表示パネルを正面視する時の液晶表示パネルの中心部の輝度を指す。
【0039】
図3は本発明の実施例による液晶表示パネルの波長450nmにおける中心点の輝度が半波長板の補償値に伴って変化する傾向を示す図である。
【0040】
図3に示すように、第1案による結論は以下のとおりである。二軸性補償フィルム31の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角が90度であり、二軸性補償フィルム32の遅軸と第2偏光板42の吸収軸との交角が90度である場合、本発明の実施例による液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板20の補償値R0の増加に伴い小さくなってから、再び大きくなり、半波長板20の補償値R0が波長450nmの半分(即ち、半波長板20の補償値R0は225nmである)に等しい場合、中心点の輝度は最小である。
【0041】
第2案による結論は以下のとおりである。二軸性補償フィルム31の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角が45度又は135度であり、二軸性補償フィルム32の遅軸と第2偏光板42の吸収軸との交角が45度又は135度である場合、本発明の実施例による液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板20の補償値R0と二軸性補償フィルム31、32の補償値R0との和の増加に伴い小さくなってから、再び大きくなり、半波長板20の補償値R0と二軸性補償フィルム31、32の補償値R0との和が波長450nmの半分(即ち、半波長板20の補償値R0は113nmである)に等しい場合、中心点の輝度は最小である。
【0042】
図4は本発明の実施例による液晶表示パネルの波長550nmにおける中心点の輝度が半波長板の補償値に伴って変化する傾向を示す図である。
【0043】
図4に示すように、第1案による結論は以下のとおりである。二軸性補償フィルム31の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角が90度であり、二軸性補償フィルム32の遅軸と第2偏光板42の吸収軸との交角が90度である場合、本発明の実施例による液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板20の補償値R0の増加に伴い小さくなってから、再び大きくなり、半波長板20の補償値R0が波長550nmの半分(即ち、半波長板20の補償値R0は275nmである)に等しい場合、中心点の輝度は最小である。
【0044】
第2案による結論は以下のとおりである。二軸性補償フィルム31の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角が45度又は135度であり、二軸性補償フィルム32の遅軸と第2偏光板42の吸収軸との交角が45度又は135度である場合、本発明の実施例による液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板20の補償値R0と二軸性補償フィルム31、32の補償値R0との和の増加に伴い小さくなってから、再び大きくなり、半波長板20の補償値R0と二軸性補償フィルム31、32の補償値R0との和が波長550nmの半分(即ち、半波長板20の補償値R0は163nmである)に等しい場合、中心点の輝度は最小である。
【0045】
図5は本発明の実施例による液晶表示パネルの波長650nmにおける中心点の輝度が半波長板の補償値に伴って変化する傾向を示す図である。
【0046】
図5に示すように、第1案による結論は以下のとおりである。二軸性補償フィルム31の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角が90度であり、二軸性補償フィルム32の遅軸と第2偏光板42の吸収軸との交角が90である場合、本発明の実施例による液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板20の補償値R0の増加に伴い小さくなってから、再び大きくなり、半波長板20の補償値R0が波長650nmの半分(即ち、半波長板20の補償値R0は325nmである)に等しい場合、中心点の輝度は最小である。
【0047】
第2案による結論は以下のとおりである。二軸性補償フィルム31の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角が45度又は135度であり、二軸性補償フィルム32の遅軸と第2偏光板42の吸収軸との交角が45度又は135度である場合、本発明の実施例による液晶表示パネルの中心点の輝度は半波長板20の補償値R0と二軸性補償フィルム31、32の補償値R0との和の増加に伴い小さくなってから、再び大きくなり、半波長板20の補償値R0と二軸性補償フィルム31、32の補償値R0との和が波長650nmの半分(即ち、半波長板20の補償値R0は213nmである)に等しい場合、中心点の輝度は最小である。
【0048】
ここで理解すべきことは、上述のシミュレーションにおいて、二軸性補償フィルム31、32の補償値R0の和を112nmに設定したが、それに限定されず、二軸性補償フィルム31、32の補償値R0の和の大きさを任意に設定することができ、二軸性補償フィルム31の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角が45度又は135度であり、二軸性補償フィルム32の遅軸と第2偏光板42の吸収軸との交角が45度又は135度である場合、半波長板20の補償値R0と二軸性補償フィルム31、32の補償値R0との和がプリセット波長の半分に等しいことを満たせばよい。
【0049】
上述のシミュレーションの結果から分かるように、波長450nm、550nm及び650nmの第1案、第2案に関する結論を可視光の波長域全体(即ち、波長が380nm〜780nmである光)に広げることができる。
【0050】
好ましくは、半波長板20の補償値R0と二軸性補償フィルム31、32の補償値R0の和と可視光の波長との関係を与えている。
【0051】
図6は本発明の実施例による半波長板の補償値と二つの二軸性補償フィルムの補償値の和と可視光の波長との関係を示す図である。
【0052】
図6に示すように、半波長板20の補償値R0と二つの二軸性補償フィルム31、32の補償値R0の和は対応する可視光の波長の半分である。
【0053】
表4は本発明の実施例による液晶表示パネルのノーマリーブラックモードの時の暗状態輝度、明状態輝度及びコントラストのシミュレーション結果を示す。好ましくは、表4の本発明の実施例による液晶表示パネルにおいて、その半波長板20の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角は45度又は135度、二軸性補償フィルム31の遅軸と第1偏光板41の吸収軸との交角は45度又は135度、二軸性補償フィルム32の遅軸と第2偏光板42の吸収軸との交角は45度又は135度であり、半波長板20の補償値R0と二つの二軸性補償フィルム31、32の補償値R0との和は対応する可視光の波長の半分である。
【0055】
表4から分かるように、本発明の実施例による液晶表示パネルは、明状態輝度を低減せず、同時に暗状態輝度を効果的に低減し、コントラストを効果的に向上している。本発明の実施例による液晶表示パネルのコントラスト(その値が1718である)は表1の従来の構造を備える液晶表示パネルのコントラスト(その値が1720である)に相当する。
【0056】
図7は本発明の実施例による液晶ディスプレイを示す図である。
【0057】
図7に示すように、本発明の実施例による液晶ディスプレイ1は、液晶表示パネル2及び液晶表示パネル2に対向するように設置され、液晶表示パネル2に光源を提供するバックライトモジュール3を含み、液晶表示パネル2は上記液晶表示パネルである。
【0058】
本発明の実施例による液晶表示パネルは、二つの偏光板に平行するように貼り付けられ、電圧が印加されていない時でもノーマリーブラックモードを実現でき、そのコントラストが効果的に向上している。
【0059】
本発明の例示的な実施例を参照して本発明を具体的に表示し説明したが、当業者であれば、請求項に限定された本発明の要旨と範囲を逸脱しない状況で、その形態と細部に対する様々な変更を行うことができることを理解すべきである。