特許第6180618号(P6180618)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180618
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】マニピュレータ機構
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/00 20060101AFI20170807BHJP
   F16H 21/04 20060101ALI20170807BHJP
   A61H 3/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B25J9/00 D
   F16H21/04
   A61H3/00 B
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-505752(P2016-505752)
(86)(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公表番号】特表2016-522090(P2016-522090A)
(43)【公表日】2016年7月28日
(86)【国際出願番号】EP2014055651
(87)【国際公開番号】WO2014161726
(87)【国際公開日】20141009
【審査請求日】2015年11月30日
(31)【優先権主張番号】1305989.4
(32)【優先日】2013年4月3日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515159039
【氏名又は名称】ムーグ ベスローテン フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】MOOG BV
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヨス ムールマン
【審査官】 臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−276270(JP,A)
【文献】 米国特許第05326218(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01052071(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0016116(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
B25J 9/00− 9/10
B66C 1/02
F16H 3/00−21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(112;212)と、
第1リンク(114;214)と、
第2リンク(122;222)と、
第1カプラ(118;218)とを備え、
前記第1カプラ上の点(128;228)が、その軌跡の一部に実質的な直線を第1の方向(D1)に描くよう、エヴァンス直線機構を形成するように配置されるマニピュレータ(110;210)であって、
前記第2リンク(122;222)が、クランク(144;248)を介して、該クランクの作動によって前記第1カプラの前記点が前記第1の方向に垂直な第2の方向(D2)に実質的に直線状に動くように、前記フレームに取り付けられるマニピュレータ。
【請求項2】
請求項1に記載のマニピュレータ(110;210)において、
L1は、前記第1カプラ(118;218)の回転軸と前記クランク(144;248)の回転軸との間の前記第2リンク(122;222)に沿った距離であり;
L2は、前記第1リンク(114;214)の回転軸の間の、前記第1カプラ(118;218)に沿った距離であり;
L3は、前記第1カプラ(118;218)の前記回転軸と前記端点(128;228)との間の、前記第1カプラ(118;218)に沿った距離であり;
前記マニピュレータが、L2がL22=L1*L3によって決定される値の10%以内となるように構成されるマニピュレータ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマニピュレータ(110;210)において、前記第1カプラの前記点を前記第1の方向に動かすために前記マニピュレータを連結するように構成された、第1モータ(132;232)を有する第1作動アセンブリを備えるマニピュレータ。
【請求項4】
請求項3に記載のマニピュレータ(110;210)において、前記第1作動アセンブリが、前記第1モータ(132;232)によって駆動される第1作動アセンブリクランク(134;234)によって駆動される第3リンク(138;238)を備え、該第3リンクが前記第1カプラを駆動するように配置されるマニピュレータ。
【請求項5】
請求項4に記載のマニピュレータ(110;210)において、前記第3リンクが前記第1リンク(114;214)と前記第2リンク(122;222)との間で前記第1カプラ(118;218)に取り付けられるマニピュレータ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のマニピュレータ(110;210)において、
前記第1カプラ(218)に接続され、該第1カプラと共に動くように構成される第2カプラ(266)と、
前記第1カプラと前記第2カプラとを接続するエンドエフェクタ(284)とを備えるマニピュレータ。
【請求項7】
請求項6に記載のマニピュレータ(210)において、前記第1カプラ及び第2カプラが前記エンドエフェクタから離間したカプラコネクタ(268)によって接続されるマニピュレータ。
【請求項8】
請求項7に記載のマニピュレータ(210)において、前記第1カプラ及び第2カプラ(218,266)が、平行リンク機構の2つの平行な辺を形成するように、前記エンドエフェクタ(284)及び前記カプラコネクタ(268)によって接続されるマニピュレータ。
【請求項9】
請求項6〜8の何れか一項に記載のマニピュレータ(210)において、前記第2カプラ(266)に接続される追加の第2リンク(274)を備え、該追加の第2リンク(274)が追加のクランク(262)を介して、該クランクの作動によって前記第2カプラ上の点が前記第2の方向(D2)に実質的に直線状に動くように、前記フレームに取り付けられるマニピュレータ。
【請求項10】
請求項9に記載のマニピュレータ(210)において、前記クランク(248)及び前記追加のクランク(262)が同期運動するように配置されるマニピュレータ。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のマニピュレータ(210)において、前記クランク(248)及び前記追加のクランク(262)が共通の作動アセンブリによって駆動されるマニピュレータ。
【請求項12】
請求項4に従属する場合の請求項11に記載のマニピュレータ(210)において、第2モータが共通のプッシュロッド(258)を介して前記クランク(248)及び前記追加のクランク(262)を駆動するマニピュレータ。
【請求項13】
請求項1〜12の何れか一項に記載のマニピュレータを備えるリハビリ装置。
【請求項14】
請求項1〜12の何れか一項に記載のマニピュレータを備える歩行訓練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマニピュレータに関する。より詳細には、本発明は、平面作業領域で2つのほぼ垂直な直線方向に分離された向きに移動できるエンドエフェクタを備える、2自由度マニピュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
2自由度のマニピュレータには多くの用途がある。例えば、これらは物体のピックアンドプレース又は構成部品の製造操作を行なうために、ロボットアームやマシンツールなどのエンドエフェクタの操作で使用することができる。
【0003】
2自由度マニピュレータの別の用途は、リハビリを受けている患者へ支持及び/又は補助力を提供するための、リハビリテーション用ロボットでの使用である。このようなマニピュレータは対象者の体の一部に取り付け、歩行訓練などのリハビリテーション運動中、補助力や支持を提供するために使用することができる。
【0004】
例えば、2DOFマニピュレータを対象者の骨盤に接続して彼らの体重を支持し、所定の歩行合図を提供して歩行を補助することができる。このようなマニピュレータは特許文献1に示されている。この文献では、一対の空気圧で駆動されるマニピュレータが、シリンダの配置によって対象者の骨盤に力を与える。具体的には、対象者の前後運動は前後方向に設置された空気圧シリンダによって提供され、横運動は横方向に配列された空気圧シリンダによって提供される。この配置の問題は、横方向のシリンダということは、マニピュレータが非常に広幅になるということである。このため取り付けがより困難となり、横方向に延在する空気圧シリンダは通常の歩行動作中、対象者の腕とぶつかる可能性がある。また、マニピュレータの大きさと比べて作業領域は極めて小さい。
【0005】
別の周知の2DOFマニピュレータは、キャリッジが第1レール上を第1の方向に摺動可能な2Dカルテシアン摺動路配置を備えたものであり、第1レールは2本の追加の平行なレール間で、第1の方向に垂直な第2の方向に摺動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0016116号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
1つの欠点は、作業領域を取り囲む装置や作業領域内にある装置の数が多いことである。これは一般に多くの用途において望ましくない、というのも、マニピュレータとワーク又は対象物とが衝突する可能性があり、また、マニピュレータが歩行訓練に使用される場合、レールが対象者の腕に衝突する可能性があるからである。
【0008】
このようなシステムのもう1つの欠点は、構成部品間を摺動する継手は、汚れやすく、摩耗しやすいため、一般的に望ましくないということである。
【0009】
また、このようなシステムにおいて、キャリッジを第1レール上で移動させるためにモータが設けられる。第1レールに取り付けられ、キャリッジを動かすように配置されたモータを設けるということは、第1レールが高い慣性を持つということであり、これは平行なレール上で移動させる際には望ましくない。
【0010】
本発明の目的は、上述の問題を克服する、又は少なくとも軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、
フレームと、
第1リンクと、
第2リンクと、
第1カプラとを備え、
第1カプラ上の点が、その軌跡の一部に実質的な直線を第1の方向に描くよう、エヴァンス直線機構を形成するように配置されるマニピュレータが提供され、
第2リンクが、クランクを介して、このクランクの作動によって第1カプラ上の点が第1の方向に垂直な第2の方向に実質的に直線状に動くように、フレームに取り付けられる。
【0012】
本発明は、ドライバーアームの中の1つの設置端に追加の自由度を提供するエヴァンス機構を提供する。追加のクランクの作動によって、エヴァンス機構の通常の直線自由度に垂直な自由度の動作が提供される。この配置には多くの利点がある。先ず、機構の大部分は作業領域の外側且つ後方に配置される。次に、この配置では回転継手のみが使用されるため、先行技術による直線継手の欠点による影響はない。
【0013】
好適には、
L1は、第1カプラ(118;218)の回転軸とクランク(144;248)の回転軸との間の、第2リンク(122;222)に沿った距離であり;
L2は、第1リンク(114;214)の回転軸の間の、第1カプラ(118;218)に沿った距離であり;
L3は、第1カプラ(118;218)の回転軸と端点(128;228)との間の、第1カプラ(118;218)に沿った距離であり;
マニピュレータは、L2がL22=L1*L3によって決定される値の10%以内となるように構成される。
【0014】
これによって、直線への良好な近似が、端点の走行の大部分にわたって提供される。
【0015】
好適には、本機構は、第1カプラ上の点を第1の方向に移動させるためにマニピュレータを連結するように構成された、第1モータを有する第1作動アセンブリを備える。好適には、第1作動アセンブリは、第1モータによって駆動される第1作動アセンブリクランクによって駆動される第3リンクを備え、この第3リンクは第1カプラを駆動するように配置される。
【0016】
好適には、第3リンクは第1リンクと第2リンクとの間で第1カプラに取り付けられる。
【0017】
好適には、マニピュレータは、
第1カプラに接続され、該第1カプラと共に動くように構成された第2カプラと、
第1カプラと第2カプラとを接続するエンドエフェクタとを備える。
【0018】
これによってより安定した機構が提供され、エンドエフェクタをトルクや並進力の伝達に使用することが可能となる。好適には、第1及び第2カプラは、エンドエフェクタから離間したカプラコネクタによって接続される。好適には、第1及び第2カプラは、エンドエフェクタ及びカプラコネクタによって、平行リンク機構の2つの平行な辺を形成するように接続される。
【0019】
マニピュレータは第2カプラに接続される追加の第2リンクを備え、この追加の第2リンクが追加のクランクを介して、クランクの作動によって第2カプラ上の点が第2の方向に実質的に直線状に動くように、フレームに取り付けられる。
【0020】
好適には、クランク及び追加のクランクは、同期運動するように配置される。クランク及び追加のクランクは共通の作動アセンブリによって駆動され、例えば、第2モータは共通のプッシュロッドを介してクランク及び追加のクランクを駆動することができる。
【0021】
本発明によるマニピュレータの例を、下記の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】周知のエヴァンス機構の略側面図である。
図2】本発明による第1機構の略側面図である。
図3a図2の機構における可動域の略図である。
図3b図2の機構における可動域の略図である。
図3c図2の機構における可動域の略図である。
図3d図2の機構における可動域の略図である。
図3e図2の機構における可動域の略図である。
図4】本発明による第2機構の略側面図である。
図5図4に示す機構の用途の略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を見ると、周知のエヴァンス機構10が概略的に示されている。エヴァンス機構10は使用時に固定されるフレーム12を備える。図1において、フレーム12の様々な領域は相互に堅固に取り付けられている。
【0024】
第1リンク14が設けられ、これは、第1リンク14の第1端に位置する第1継手16によってフレーム12に枢動可能に接続される。
【0025】
カプラ18が設けられ、これは、第1リンク14の第2端及びカプラ18の第1端において、第2回転継手20を介して第1リンク14に枢動可能に接続される。
【0026】
第2リンク22はその第1端で、第3回転継手24を介してフレーム12に枢動可能に接続される。第2リンク22の第2端は、第4回転継手26を介してカプラ18に枢動可能に接続される。
【0027】
図1において、L1は、第2リンク22の第3継手24と第4継手26との間の距離である。L2は、カプラ18の第2継手20から第4継手26までの距離であり、L3は、第4継手26と端点28(すなわち操作される点)との間の距離である。この機構は、端点28に対して最も正確な直線運動を提供するL22=L1*L3となるように構成される。
【0028】
リンク14、22をフレーム12と接続させる第1回転継手16及び第3回転継手24は離間している。尚、回転継手16、20、24、26は、第1及び第2リンク14、22が互いに約90°となるように配置される。
【0029】
フレーム12、第1及び第2リンク14、22並びにカプラ18は、当技術分野においてエヴァンス機構として知られる4バーリンク機構を形成する。カプラ18は、第1回転継手20から第4回転継手26を通って端点28へと延在する。第1リンク14が第1回転継手14の周りを時計回りに回転し、第2リンク22が第3回転継手24の周りを回転すると、端点28のD1の方向への直線運動が生じる。
【0030】
機構のジオメトリ(L22=L1*L3で表される)により、端点28の軌跡の大部分に、作動中、実質的直線運動又は直線運動の近似が見られる。この機構が図1に示す位置をはるかに超えて作動されると、端点28の経路は直線方向D1から外れて曲線を描くが、機構の動きのかなりの部分において経路は直線である。このように、エヴァンス機構は「直線機構」としても知られる。
【0031】
エヴァンス機構はいくつかの方法で作動させることができる。図1に示す実施形態において、エヴァンス機構10は別個の作動アセンブリ30によって作動される。
【0032】
作動アセンブリ30はフレーム12に取り付けられた第1モータ32を備える。モータ32は第5回転継手36を形成し、その周りをクランク34が駆動される。第3リンク38は第6回転継手40を介してクランク34の自由端に、そして第7回転継手42でカプラに取り付けられる。第7回転継手42はカプラ18の第2回転継手20と第4回転継手26との間に位置する。作動アセンブリ30を使用して、モータ32はクランク34を駆動することができ、このクランクは第3リンク38を介してカプラ18を押したり引いたりしてエヴァンス機構を作動させ、D1の方向に沿って端点28を駆動することができる。
【0033】
尚、他の種類の作動アセンブリも可能である。例えば、第1回転継手16又は第3回転継手24にモータを設けることにより、第1リンク14又は第2リンク22の回転を達成することができる。継手16にモータを設けることは、使用される可動域によっては問題となる場合がある、というのも、カプラ18と第2リンク22とが平行となる位置では、トルクを介して継手16を継手の回転中心周りで回転させることができないからである。
【0034】
図1のエヴァンス機構は1自由度マニピュレータとして使用することができる。本発明は2自由度の機構を提供する。これは図2に示される配置によって達成される。図2に示される参照符号は共通する機能に関して図1に示す符号と同様であるが、100を加えたものである。
【0035】
本発明による2自由度の機構110は、フレーム112と、第1回転継手116を介してフレーム112に接続され、第2回転継手120を介してカプラ118に接続される第1リンク114とを備える。第2リンク122は第4回転継手126を介してカプラ118に接続されて提供される。作動アセンブリ130は作動アセンブリ30とほぼ同じ様に提供され、第5回転継手136を画定する第1モータ132と、このモータによって駆動される第1クランク134と、クランクの第6回転継手140とカプラ118の第7回転継手142とを接続する第3リンク138とを有する。
【0036】
第2回転リンク122は、フレーム112に直接取り付けられる代わりに、第3回転継手124で第2クランク144に接続され、このクランクはフレーム112に取り付けられた第2モータ146によって駆動され、この第2モータは第8回転継手125を形成する。
【0037】
第2クランク144が静止位置の状態で、機構110は図1のエヴァンス機構とほぼ同じ様に作動する。カプラ118の端点128は、機構が第1モータ132によって作動されると、D1の方向に移動する。
【0038】
図1に示すように、L1は第2リンク122の第3継手124と第4継手126との間の距離であり、L2はカプラ118の第2継手120から第4継手126への距離であり、L3は第4継手126と端点128(すなわち操作される点)との間の距離である。機構は端点128に対して最も正確な直線運動を提供する、L22=L1*L3となるように構成される。
【0039】
尚、しかしながら、第2クランク144は、カプラ118の端点128がD1の方向とほぼ垂直なD2の方向に動くように駆動させることができる。このように、端点128が2つの法線方向に直線的に動かされる、2次元の作業領域Wが形成される。
【0040】
尚、図2に示す位置の周りの可動域に関して、D1及びD2はほぼ真直ぐ且つ垂直である。作業領域Wの外側への動きによって次第に直線挙動が失われていく。
【0041】
図3aを見ると、図2の機構と類似する機構が、第1及び第2クランク134、144の両方の自由度の角度の有限数によるその可動域によって示されている。尚、図3aにおいて、第1クランク134は第1リンク114と同じ点でフレームに取り付けられるが、これは機構の運動学に大きく影響するものではない。
【0042】
角度Φ1は、図3aに示される中心位置からの、第1クランク134の角度を表し、角度Φ2は、図3aに示される中心位置の周りの、第2クランク144の角度を表している。
【0043】
図3aは作業領域W内の位置での機構110を示す。図3bを見ると、機構110が示されおり、作業領域Wの第1角は、その点を越えると端点128の動作が直線状でなくなる点である。図3bにおいてその位置は、Φ1が−30°、Φ2が40°である。同様に、図3c(Φ1=−30、Φ2=−40)、3d(Φ1=30、Φ2=40)及び3e(Φ1=30、Φ2=−40)において、機構110は、その後でその動作の直線性がかなり失われる、すなわち画定された作業領域Wの外に出る、動きの極限にあることが示されている。
【0044】
図3a〜3eの各々にグリッド線で示されるように、端点128の動作は比較的直線状であり、先述のカルテシアン摺動マニピュレータのような2自由度のマニピュレータに、良好な近似を提供する。
【0045】
図2及び図3a〜3eの実施形態において、プッシュロッドを端点128に、D1の方向(機構110から離れる)に取り付けることが望ましい。例えば歩行リハビリテーション用ロボットにおいて、プッシュロッドを対象者の腰部に取り付けてもよい。上述のように、このようなロボットは対象者を誘導する必要があるため、対象者からの機構に対する力に抵抗しなければならない。
【0046】
このようなプッシュロッドを提供するには、端点の回転をロックする、又は機構の外側に有効点を設けることが望ましい。この目的のため、図4には、エンドエフェクタの回転をロックすることによって、対象者からの力にプッシュロッドを介して反応するのにより適した機構210が示されている。この機構は図2に示す機構110と共通の構成部品をいくつか有する。これらは100を加えた数字で表される。
【0047】
機構210はフレーム212を備え、これには第1リンク214が第1端で第1回転継手216を介して枢動可能に取り付けられ、第1リンクは第2端で第2回転継手220を介して第1カプラ218に枢動可能に取り付けられる。
【0048】
第2リンク222は、第3回転継手224を介して第1ロッカー248(以下に詳細を記載する)と、第4回転継手226を介して第1カプラ218とに接続される。機構110と同様に、作動アセンブリ230は、第5回転継手236を画定する第1モータ232と、第1モータ232によって駆動される第1クランク234と、第6回転継手240を介してクランク234に、そして第7回転継手242を介してカプラ218に接続される第3リンク238とを備える。
【0049】
フレーム212に接続され、第8回転継手225を画定するモータ254を備える第2作動アセンブリ252が提供される。アセンブリ252は、クランク256と、第9回転継手259を介してクランク256に接続されるプッシュロッド258とを備える。
【0050】
第1ロッカー248は、第10回転継手250を介してフレーム212に回転するために取り付けられる部材である。ロッカー248は、第11回転継手260を介してロッカー248に接続されるプッシュロッド258によって、第10回転継手250の周りを回転するように駆動される。第1ロッカー248の継手224、250、260の各々は、三角形の頂点を画定するように離間している。
【0051】
第2ロッカー262は第1ロッカーと全く同じように設けられるが、第1ロッカーから離間しており、第12回転継手264を介してフレーム212に取り付けられる。プッシュロッド258は、第13回転継手265によって第2ロッカー262を駆動させるために、第1ロッカー248を越えて延在する。第2ロッカーは以下に記載するように、第14回転継手276も備える。
【0052】
第2カプラ266は、第1カプラ218に対して通常はオフセットして、平行に設けられる。第2カプラ266は、第1中間リンク268及びエンドエフェクタ284(すなわちプッシュロッド)を介して第1カプラ218に接続され、平行リンク機構を形成する(すなわち、対向する部材は常に平行する)。第1中間リンク268は、継手220に近接する第15回転継手270を介して第1ロッカー218に、そして第16回転継手272を介して第2ロッカー262に接続される。第2カプラ266は第4リンク274によって駆動され、このリンクは第14回転継手276を介して第2ロッカー262に、そして第17回転継手278を介して第2カプラ266に接合される。
【0053】
エンドエフェクタ284は、第18回転継手228を介して第1カプラ218に、そして第19回転継手280を介して第2カプラ266に接続される。
【0054】
使用中、機構210は図2の機構とほぼ同様に駆動させることができる。第2モータ254が静止した状態で、第1モータ232は通常のエヴァンス機構に従って、すなわち直線方向D1に、エンドエフェクタ284を駆動させる。尚、2つのカプラ218、266は第1中間部材268及びエンドエフェクタ284によって拘束されるので、可動域全体で平行のままである。
【0055】
D2の方向の動きはモータ254によって提供される。このモータはロッカー248、262を駆動し、第2及び第4リンク222、274を通して垂直力を提供する。この特別な配置による恩恵は、エンドエフェクタ284が水平、且つD1の方向に対して平行に保たれ、必要に応じて任意の回転動作に抵抗できることである。換言すれば、機構210はエンドエフェクタ284の全体及び任意の点に力を与えることができる。この機構は、所望の位置に作動点を提供するために、任意の適切な形状にすることができる。またこのシステムは本質的に堅固であり、これは利点である。
【0056】
尚、ロッカー248、262の代わりに、一対の同期するモータ/クランクアセンブリを使用してもよい。
【0057】
図5を見ると、リハビリ患者用のハーネス300に接続された機構210が示されている。機構210は図に示すように、対象者又は患者の背丈が紙面に対して垂直な方向となるよう、水平面に配置される。よって、D1は対象者の前後方向でD2は左右方向である。尚、フレーム212は、対象者がトレッドミルを歩く場合には静止の状態で設け、患者又は対象者に歩く能力を提供する場合には移動可能に設けることができる。具体的には、歩行リハビリ中、本システムは必要に応じて患者の支持及び/又はインプット力を提供するように使用することができる。具体的には、本発明の機構は、アドミタンスコントロールを利用するシステムでの使用に特に適合するため、効果的に「透明」であるか、又は必要に応じて復元力若しくはインプット力を提供するように構成することができる。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4
図5