特許第6180628号(P6180628)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

特許6180628多孔質のガス誘導チャネル層を備えた高温型単電池
<>
  • 特許6180628-多孔質のガス誘導チャネル層を備えた高温型単電池 図000002
  • 特許6180628-多孔質のガス誘導チャネル層を備えた高温型単電池 図000003
  • 特許6180628-多孔質のガス誘導チャネル層を備えた高温型単電池 図000004
  • 特許6180628-多孔質のガス誘導チャネル層を備えた高温型単電池 図000005
  • 特許6180628-多孔質のガス誘導チャネル層を備えた高温型単電池 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180628
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】多孔質のガス誘導チャネル層を備えた高温型単電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/02 20160101AFI20170807BHJP
   H01M 8/0202 20160101ALI20170807BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20170807BHJP
   H01M 12/06 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H01M8/02 R
   H01M8/02 E
   H01M8/02 Y
   H01M8/12
   H01M12/06 B
【請求項の数】22
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-522396(P2016-522396)
(86)(22)【出願日】2014年6月18日
(65)【公表番号】特表2016-527670(P2016-527670A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】EP2014062794
(87)【国際公開番号】WO2014206827
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2016年2月29日
(31)【優先権主張番号】102013212624.7
(32)【優先日】2013年6月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ビアギト トーベン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ モク
【審査官】 藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−121967(JP,A)
【文献】 特開平03−116659(JP,A)
【文献】 特開平10−092446(JP,A)
【文献】 特表平11−501764(JP,A)
【文献】 特表2000−501879(JP,A)
【文献】 特表2010−515226(JP,A)
【文献】 特表2012−512520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/02 − 8/0202
C25B 1/06
H01M 4/86
H01M 8/12
H01M 12/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温型単電池(10)であって、当該高温型単電池(10)は、
・カソード(11)と、
・アノード(12)と、
・前記カソード(11)と前記アノード(12)との間に配置されている電解質(13)と
・前記カソード(11)に対して、前記電解質(13)とは反対側に設けられた平板型のカソード側インターコネクタ(14a)と、
・前記アノード(12)に対して、前記電解質(13)とは反対側に設けられた平板型のアノード側インターコネクタ(15a)と、
を含み、
前記カソード(11)は、ガス誘導チャネル(11b’)を形成する多孔質層であるカソードガス誘導層(11b)を含み、
前記アノード(12)は、ガス誘導チャネル(12b’)を形成する多孔質層であるアノードガス誘導層(12b)を含み、
前記カソードガス誘導層(11b)及び前記アノードガス誘導層(12b)は、セラミック材料を含み、
前記カソード側インターコネクタ(14a)及び前記アノード側インターコネクタ(15a)は、角と辺とを有していない、
ことを特徴とする高温型単電池(10)。
【請求項2】
前記カソードガス誘導層(11b)は、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムコバルタイト、ランタンストロンチウムフェライト及びランタンストロンチウムコバルトフェライトのうちの少なくとも1つから形成されている、請求項に記載の高温型単電池(10)。
【請求項3】
前記アノードガス誘導層(12b)は、ニッケルから形成されている、請求項1又は2に記載の高温型単電池(10)。
【請求項4】
前記カソード(11)は、前記電解質(13)を覆っているカソード機能層(11a)を含み、かつ、前記カソードガス誘導層(11b)は当該カソード機能層(11a)上に被着されている、及び/又は、
前記アノード(12)は、前記電解質(13)を覆っているアノード機能層(12a)を含み、かつ、前記アノードガス誘導層(12b)は当該アノード機能層(12a)上に被着されている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の高温型単電池(10)。
【請求項5】
前記カソード機能層(11a)は、ランタンストロンチウムマンガナイトとドーピングされたジルコニアとの混合物、ランタンストロンチウムコバルタイト、ランタンストロンチウムフェライト、及び、ランタンストロンチウムコバルトフェライトのうちの少なくとも1つから形成されている、請求項に記載の高温型単電池(10)。
【請求項6】
前記アノード機能層(12a)は、ニッケルと、ドーピングされたジルコニアとの混合物から形成されている、請求項4又は5に記載の高温型単電池(10)。
【請求項7】
前記カソードガス誘導層(11b)は、前記カソード機能層(11a)よりも低い多孔率を有する、及び/又は、前記アノードガス誘導層(12b)は、前記アノード機能層(12)よりも低い多孔率を有する、請求項4から6までのいずれか一項に記載の高温型単電池(10)。
【請求項8】
前記高温型単電池(10)は、前記カソード(11)と前記カソード側インターコネクタ(14)との間に配置された、非焼結状態では流動性を有する材料の焼結体からなるカソードコンタクト層(16)、及び/又は、前記アノード(12)と前記アノード側インターコネクタ(15)との間に配置された、非焼結状態では流動性を有する材料の焼結体からなるアノードコンタクト層(17)を有している、請求項1からまでのいずれか一項に記載の高温型電池(10)。
【請求項9】
前記ガス誘導チャネル(16')が前記カソードコンタクト層(16)内に形成されている、若しくは、前記カソードコンタクト層(16)が連続して形成されている、及び/又は、
前記ガス誘導チャネル(17')が前記アノードコンタクト層(17)内に形成されている、若しくは、前記アノードコンタクト層(17)が連続して形成されている、請求項に記載の高温型単電池(10)。
【請求項10】
前記カソードコンタクト層(16)は、ランタンストロンチウムマンガナイト、ランタンストロンチウムコバルタイト、ランタンストロンチウムフェライト及びランタンストロンチウムコバルトフェライトのうちの少なくとも1つから形成されている、請求項8又は9に記載の高温型単電池(10)。
【請求項11】
前記アノードコンタクト層(17)は、ニッケルから形成されている、請求項8から10までのいずれか一項に記載の高温型単電池(10)。
【請求項12】
前記カソード側インターコネクタ(14a)及び前記アノード側インターコネクタ(15a)には、多孔質の結合層(14b;15b)と、前記結合層(14b;15b)とは異なる多孔率を有する保護層(14c;15c)それぞれ設けられている、請求項1から11までのいずれか一項に記載の高温型単電池(10)。
【請求項13】
前記多孔質の結合層(14b、15b)は、スピネル、及び/又は、カソード材料若しくはアノード材料から形成されている、請求項12に記載の高温型単電池(10)。
【請求項14】
前記保護層(14c、15c)は、スピネルから形成されている、請求項12又は13に記載の高温型単電池(10)。
【請求項15】
前記多孔質の結合層(14b;15b)は、前記保護層(14c;15c)と同一の材料から形成されている、請求項12から14までのいずれか一項に記載の高温型単電池(10)。
【請求項16】
前記カソード側インターコネクタ(14a)及び前記アノード側インターコネクタ(15a)は、金属製のインターコネクタである、請求項1から15までのいずれか一項に記載の高温型単電池(10)。
【請求項17】
前記高温型単電池は、燃料単電池又は電解単電池又は金属空気単電池である、請求項1から16までのいずれか一項に記載の高温型単電池(10)。
【請求項18】
2つ又は2つよりも多くの、請求項1から17のいずれか一項に記載の高温型単電池(10)から成る積層体を含んでいる、
ことを特徴とする高温型電池。
【請求項19】
請求項1から17までのいずれか一項に記載の高温型単電池(10)又は請求項18に記載の高温型電池の製造方法であって、
・機能層(11a;12a)を印刷するステップと、
・当該機能層(11a;12a)上に、部分的に、残留物を出さずに燃焼することが可能な材料から形成されており、部分的に、セラミック材料又はセラミック材料を形成するための前駆体から形成されている層(11b、11b’;12b、12b’)を印刷するステップと、
前記機能層(11a;12a)と、前記機能層(11a;12a)上に形成された前記層(11b、11b’;12b、12b’)とを相互焼結し、その際に、前記残留物を出さずに燃焼することが可能な前記材料を燃焼によって除去するステップと、
を有することを特徴とする製造方法。
【請求項20】
前記機能層(11a;12a)と、前記機能層(11a;12a)上に形成された前記層(11b、11b’;12b、12b’)とを相互焼結して積層体(11a、11b、11b’;12a、12b、12b’)を形成する前又は形成した後に、カソードコンタクト層(16)及びアノードコンタクト層(17)を前記カソード側インターコネクタ(14a)及び前記アノード側インターコネクタ(15a)上に、又は、部分毎に異なって前記機能層(11a;12a)上に形成された前記層(11b、11b’;12b、12b’)上に印刷し、
前記カソードコンタクト層(16)及び前記アノードコンタクト層(17)が、前記積層体(11a、11b、11b’;12a、12b、12b’)と前記カソード側インターコネクタ(14a)及び前記アノード側インターコネクタ(15a)とを接続するように、前記積層体(11a、11b、11b’;12a、12b、12b’)と前記カソード側インターコネクタ(14a)及び前記アノード側インターコネクタ(15a)とを積層する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記残留物を出さずに燃焼することが可能な前記材料は、カーボン・ブラックである、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記高温型単電池(10)又は高温型電池は、平板型の高温型単電池(10)又は高温型電池である、請求項19から21までのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温型単電池(高温型単セル)、高温型電池(高温型セルスタック)並びにその製造方法に関する。
【0002】
従来技術
導電性ガラスを、高温型電池、例えば高温型燃料電池の電気的な接触接続のために用いることは公知である。しかし、その寿命の間に、このガラスが電極、特にカソード(空気極)に流れ込んでしまうことがあり、この場合には、三相界面が低減してしまう。これは出力低減につながる。
【0003】
平板型システムにおいて、型押しされたガス誘導チャネルを備えた金属製インターコネクタを使用することも公知である。しかし、このような場合には、接続されるべき材料の接触接続時に問題が生じることがある。
【0004】
発明の開示
本発明の対象は、カソードと、アノードと、カソードとアノードとの間に配置された電解質とを含んでいる高温型単電池である。
【0005】
この高温型単電池は、特に、内部にガス誘導チャネルが形成されている少なくとも1つの層を有している。少なくとも1つの、ガス誘導チャネルを形成するこの層は、特に、多孔質であり、及び/又は、場合によってはセラミック製である。特に、ガス誘導チャネルを形成する、この少なくとも1つの層は、多孔質、例えば、ガス透過性多孔質であってよい。
【0006】
高温型単電池とは特に、例えば500℃以上の高温で動作する、特にセラミック製の、電気化学単電池のことであり、例えば、高温型燃料単電池(英語でSolide Oxide Fuel Cell,SOFC)及び/又は高温型電解単電池(英語でSolide Oxide Electrolysis Cell,SOEC)及び/又は高温型金属空気単電池と解され得る。特に、ここで、高温型単電池は、高温型燃料単電池(SOFC)及び/又は高温型電解単電池(SOEC)及び/又は高温型金属空気単電池であり得る。特に、高温型単電池は、平板型の単電池のことであり得る。
【0007】
この多孔質構造によって、有利には、多孔質材料の下方のガス、例えば空気又は燃料ガスも、例えば三相界面で電極内に浸透することができる。特にこれは、金属製インターコネクタがガス誘導チャネルを構成する従来のケースでは不可能であった。有利には、ガス誘導チャネルを規定する構造体の下方の空気欠乏若しくは燃料ガス欠乏も回避することができる。
【0008】
特に、ガス誘導チャネルがインターコネクタ内ではなく、層内に形成されていることによって、有利には、平板型、例えばプレート状の、特に、パターニングされていない/型押しされていない、若しくは、ガス誘導チャネルが設けられていないインターコネクタを使用することが可能になる。従って、有利には、極めて容易に、かつ、低コストに、インターコネクタを提供することができる。特に、この場合には、例えばチャネル構造を型押しすることによるインターコネクタの手間のかかるパターニングを省略することができる。
【0009】
ガス誘導チャネルを設けずにインターコネクタを構成することは、さらに次の利点も有する。即ち、インターコネクタが、コーティング及び/又は電気的な接触接続を困難にすることがある角と辺とを有していない、という利点である。従って、特に、インターコネクタがパターニングされている場合と比べて少ないコスト(プロセス及び材料)でコーティングを行うことができる。
【0010】
さらに、ガス誘導チャネルを設けなくてよいので、有利には、インターコネクタの材料強度はより低くてよい、若しくは、インターコネクタをより少ない材料で形成することができる。
【0011】
従来の高温型単電池、特に型押しされた、ガス誘導チャネルを形成する金属製インターコネクタを伴う従来の高温型単電池では、高温型電池における出力損失の大部分が、インターコネクタと各単電池との最適でない接触接続によって起こることが、測定によって明らかになっている。特に、複数の単電池を電池へと構築した後に、抵抗が著しく増大することがある(単電池の抵抗は例えば、0.22Ohm cmであり、電池の抵抗は0.41乃至0.61Ohm cmである)。複数の積層化された単電池から成る電池の出力を上昇させるためには、接触接続の改善が極めて重要である、ということが明らかである。
【0012】
1つの実施形態では、少なくとも1つの、ガス誘導チャネルを形成している、特に多孔質の層は、セラミック材料及び/又はセラミックプロセスによって製造された材料を含んでいる。特に、少なくとも1つの、ガス誘導チャネルを形成している多孔質の層は、セラミック材料及び/又はセラミックプロセスによって製造された材料から形成され得る。
【0013】
セラミック材料とは特に、特に焼結過程によって形成可能な(純粋な)セラミック原材料即ち無機の非金属原材料とも、サーメット、即ち、特に焼結過程によって形成可能な、少なくとも1つのセラミック原材料と、少なくとも1つの金属原材料との複合原材料とも解され得る。
【0014】
セラミックプロセスによって製造された材料とは、特に、セラミック粉末を含んでいる質量体を焼結することによって製造された材料と解され得る。セラミックプロセスを用いた製造後に、この材料を再び処理すること、例えば還元することができる。従って、セラミックプロセスによって製造された材料は、必ずしも、セラミック材料である必要はなく、後に詳細に述べるように、金属材料であってもよい。
【0015】
ガス誘導チャネルが、セラミック材料から成る層若しくはセラミックプロセスによって製造された材料から成る層内に形成されていることによって、有利には、接触接続が改善される。特に、ここでは、カソード若しくはアノードへの移行抵抗が低減される。なぜならカソード若しくはアノードも同様に、セラミック材料若しくはセラミックプロセスによって製造された材料を含み得るからである。改善された接触接続によって、同様に、有利には、複数のこのような単電池から成る電池の出力が増大する。
【0016】
従って概して、有利には、コストのかからない方法で、高温型単電池の出力、若しくは、複数のこの種の高温型単電池から成る電池の出力を改善することができる。
【0017】
1つの実施形態では、少なくとも1つの、ガス誘導チャネルを形成する、特に多孔質の層は、カソード材料又はアノード材料を含んでいる。少なくとも1つの、ガス誘導チャネルを形成する多孔質の層がカソード材料を含むことによって、有利には、この層をカソードに良好に結合させることができる。また、少なくとも1つの、ガス誘導チャネルを形成するセラミック製の層がアノード材料を含むことによって、有利には、この層をアノードに良好に結合させることができる。
【0018】
例えば、カソード材料は、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)と、ランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)と、ランタンストロンチウムフェライト(LSF)と、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)と、それらの混合物とから成るグループから選択される。
【0019】
例えば、アノード材料は、ニッケルであり得る。
【0020】
ガス流入若しくはガス排出のためのこのチャネルを、例えば、電極内でカソード側及び/又はアノード側に加えることができる。
【0021】
従って、別の実施形態では、カソードは、ガス誘導チャネルを形成する、多孔質のカソードガス誘導層を含む、及び/又は、アノードは、ガス誘導チャネルを形成する、多孔質のアノードガス誘導層を含む。従って、有利には、電極の通流性が改善され(特に、ガス誘導チャネルを形成する、ガスを通さない従来の金属製インターコネクタと比べて改善され)、これに伴って出力がより高くなる。特に、カソードガス誘導層及び/又はアノードガス誘導層は、多孔質の、例えばガス透過性多孔質のセラミック材料及び/又は多孔質の、例えばガス透過性多孔質の、セラミックプロセスによって製造された材料から形成される。例えば、カソードガス誘導層はカソード材料を含む、又は、カソード材料から成り、アノードガス誘導層はアノード材料を含む、又は、アノード材料から成る。
【0022】
別の実施形態では、カソードは、電解質を(一方の側で)覆う、特に連続した、例えば完全に平らな/中断箇所の無い/パターニングされていないカソード機能層を含み、及び/又は、アノードは、電解質を(他方の側で)覆う、特に連続した、例えば完全に平らな/中断箇所の無い/パターニングされていないアノード層機能層を含む。カソード機能層及び/又はアノード機能層は、特に、多孔質の、例えば、ガス透過性多孔質の、セラミック材料及び/又は多孔質の、例えばガス透過性多孔質の、セラミックプロセスによって製造された材料から形成可能である。カソード機能層は、特に、カソード材料を含み、アノード機能層はアノード材料を含む。
【0023】
カソードガス誘導層は特に、カソード機能層上に被着可能である。アノードガス誘導層は特に、アノード機能層上に被着可能である。
【0024】
例えば、カソードガス誘導層及び/又はアノードガス誘導層は、多孔質の、特にガス透過性多孔質材料から成る複数のウェブを有し、特に、これらのウェブの間にガス誘導チャネルが形成されている。これらのウェブは、例えば、印刷によって形成可能である。ガス誘導チャネルは、ここで、特にこれらのウェブによって側方を規定される。従って、有利には、多孔質材料の下方、例えば、ガス誘導チャネルを規定しているウェブの下方のガス、例えば空気又は燃料ガスも、三相界面で各電極内に浸透することができる。このことは特に、金属製インターコネクタがガス誘導チャネルを形成する従来のケースでは、不可能であった。有利には、このようにして同様に、ガス誘導チャネルを規定する構造体、例えばウェブの下方での空気欠乏若しくは燃料ガス欠乏も回避される。他の場合には、ガス誘導チャネルは、一方では、隣接する層によって、特に、カソード機能層若しくはアノード機能層によって、他方では、他の層によって、例えば、カソードコンタクト層によって、又は、インターコネクタの多孔質の結合層によって、及び/又は、インターコネクタの高密度の保護層によって、及び/又は、インターコネクタによって規定される。
【0025】
別の実施形態では、カソードガス誘導層は、カソード機能層よりも低い多孔率を有している、及び/又は、アノードガス誘導層は、アノード機能層よりも低い多孔率を有している。このようにして、有利には、単電池若しくは電池の機械的な固定及び導電性を最適化することができる。カソードガス誘導層若しくはアノードガス誘導層がカソード機能層若しくはアノード機能層より低い多効率で形成されていることによって、カソードガス誘導層若しくはアノードガス誘導層は、より高い安定性を有することができ、これによって、多孔率が高い場合と比べて、高い接触圧に耐えることができる。さらに、カソードガス誘導層若しくはアノードガス誘導層が、カソード機能層若しくはアノード機能層よりも低い多孔率で形成されていることによって、カソードガス誘導層若しくはアノードガス誘導層は、特に、多効率が高い場合と比べて、より高い導電性を有することができる。しかし、カソードガス誘導層及び/又はアノードガス誘導層の多孔率は有利には次のように選択されるべきである。即ち、ガス誘導チャネルを規定する構造体、例えばウェブの下方で、ガス拡散が依然として可能であるように、特に、後述するコンタクト層が依然として、カソードガス誘導層若しくはアノードガス誘導層の孔内に浸透することが可能であるように選択されるべきである。カソード機能層若しくはアノード機能層の三相領域においては、高い若しくは比較的高い多孔率が有利である。
【0026】
カソード機能層は特にセラミック材料から形成される。例えば、カソード機能層は、多孔質の、セラミック材料から形成される。
【0027】
別の実施形態では、カソード機能層は、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)と、ドーピングされたジルコニア、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)との混合物、及び/又は、ランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)、及び/又は、ランタンストロンチウムフェライト(LSF)、及び/又は、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)から形成されている。例えば、カソード機能層が、ランタンストロンチウムマンガナイトとドーピングされたジルコニア、例えば、イットリア安定化ジルコニアとの多孔質の混合物、及び/又は、多孔質のランタンストロンチウムコバルタイト、及び/又は、多孔質のランタンストロンチウムフェライト、及び/又は、多孔質のランタンストロンチウムコバルトフェライトから形成されていてよい。これらの材料は、カソード機能層の形成に特に有利であることが判明している。ランタンストロンチウムマンガナイトを特に、ドーピングされたジルコニアとの混合物として使用することができる。これによって、イオン伝導性が提供される。残りの材料である、ランタンストロンチウムコバルタイト、ランタンストロンチウムフェライト、及び、ランタンストロンチウムコバルトフェライトは、それ自体イオン導電性であり、従って、それ単体で、若しくは、ジルコニアを含有せずに使用可能である。
【0028】
特に、カソードガス誘導層も同様に、セラミック材料から形成可能である。例えば、カソードガス誘導層は、多孔質の、セラミック材料から形成可能である。
【0029】
カソードガス誘導層は基本的には、ランタンストロンチウムマンガナイトとドーピングされたジルコニア、例えば、イットリア安定化ジルコニアとの混合物、及び/又は、ランタンストロンチウムコバルタイト、及び/又は、ランタンストロンチウムフェライト、及び/又は、ランタンストロンチウムコバルトフェライトから形成される。
【0030】
しかし、高い導電性を得るために、カソードガス誘導層を特にジルコニアを用いずに形成することができる。
【0031】
従って、別の実施形態では、カソードガス誘導層は、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)及び/又はランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)及び/又はランタンストロンチウムフェライト(LSF)及び/又はランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)から形成されている。例えばカソードガス誘導層は、多孔質のランタンストロンチウムマンガナイト及び/又は多孔質のランタンストロンチウムコバルタイト及び/又は多孔質のランタンストロンチウムフェライト及び/又は多孔質のランタンストロンチウムコバルトフェライトから形成される。これらの材料は、カソードガス誘導層を形成するために特に有利であることが判明している。
【0032】
アノード機能層は特に、セラミック材料、例えばサーメット及び/又は(純粋な)セラミック材料から形成される。特に、アノード機能層は、多孔質のセラミック材料、例えば多孔質のサーメット及び/又は多孔質のセラミック原材料から形成される。
【0033】
別の実施形態では、アノード機能層は、ニッケルとドーピングされたジルコニア、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)との混合物から形成される。特に、アノード機能層は、ドーピングされたジルコニア、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とニッケルとの、多孔質の混合物から形成される。これは、アノード機能層の形成に特に有利であることが判明している。
【0034】
アノードガス誘導層は特に、セラミックプロセスによって製造された金属材料から、又は、セラミック材料、例えばサーメット及び/又は(純粋な)セラミック原材料から形成可能である。特に、アノードガス誘導層は、セラミックプロセスによって製造された、多孔質の金属材料、又は、多孔質のセラミック材料、例えば多孔質のサーメット及び/又は多孔質のセラミック原材料から形成される。例えば、アノードガス誘導層は、セラミックプロセスによって製造されたセラミック材料、例えば酸化ニッケルから成る材料を、金属材料、例えば(金属質の)ニッケル、特に多孔質の(金属質の)ニッケルに還元することによって製造される。例えば、この還元は、還元環境、例えば水素環境における高温処理によって行われる。ここで、この還元を、製造プロセスステップにおいても、有利には、単電池若しくは電池のならし運転時にも行うことができる。
【0035】
別の実施形態では、アノードガス誘導層は、ニッケル、特に、例えば低い多孔率を有する多孔質のニッケルから形成されている。これは、アノードガス誘導層を形成するのに有利であることが判明している。
【0036】
別の実施形態では、高温型単電池は、カソードとインターコネクタとの間に配置されたカソードコンタクト層、及び/又は、アノードとインターコネクタとの間に配置されたアノードコンタクト層を有している。カソードコンタクト層若しくはアノードコンタクト層によって、有利には、電極とインターコネクタとの間の電気的な接触接続が改善される。接触接続の改善は、次のことによる。即ち、カソードコンタクト層若しくはアノードコンタクト層の材料が、一方では電極との良好な結合、他方ではインターコネクタとの良好な結合が得られるように整合されていることによる。しかし、これは特に、次のことによって実現される。即ち、カソードコンタクト層若しくはアノードコンタクト層が結合材料として、例えば、接着剤若しくは導電性ガラスと同様に機能することによって実現される。
【0037】
カソードコンタクト層及び/又はアノードコンタクト層は特に、高密度の材料から形成される。従って、有利には、高い導電性と機械的な安定性とが得られる。
【0038】
例えば、カソードコンタクト層及び/又はアノードコンタクト層は、セラミック材料から及び/又はセラミックプロセスによって製造された材料から形成可能である。例えば、カソードコンタクト層はカソード材料を含む、又は、カソード材料から形成され、アノードコンタクト層はアノード材料を含む、又は、アノード材料から形成される。
【0039】
別の実施形態では、カソードコンタクト層は、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)、及び/又は、ランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)、及び/又は、ランタンストロンチウムフェライト(LSF)、及び/又は、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)から形成されており、及び/又は、アノードコンタクト層はニッケルから形成されている。これらの材料は、カソードコンタクト層若しくはアノードコンタクト層を形成するのに特に有利であることが判明している。
【0040】
電極側では、カソードコンタクト層若しくはアノードコンタクト層の良好な結合は次のことによって実現される。即ち、カソード機能層/アノード機能層若しくはカソードガス誘導層/アノードガス誘導層が、多孔質の材料から形成されており、この材料の孔に、カソードコンタクト層/アノードコンタクト層が浸透可能であることによって実現される。有利には、このために、カソードコンタクト層及び/又はアノードコンタクト層は、焼結されていない状態において、特に、印刷時に、若しくは印刷ペースト/印刷液体として、良好な流動性を有している。場合によっては、接触接続されるべき面の表面が、適切なエネルギーのプラズマによって活性化されることによって、結合が電極側で及び/又はインターコネクタ側で、さらに、改善される。
【0041】
付加的に、良好な(むしろ改善された)、カソードコンタクト層若しくはアノードコンタクト層の、インターコネクタへの結合を実現するために、インターコネクタ側に、例えばサンドブラストによるインターコネクタの荒面部を設けること、及び/又は、多孔質の結合層をインターコネクタ上若しくはインターコネクタ上に被着された層上に、例えば高密度の遮蔽層上に被着することができる。このようにして、有利には、表面がさらに効果的になり、浸透性とコンタクト層とのぬれ性が格段に改善される。これによっても、接触接続は改善される。
【0042】
この実施形態の構成では、ガス誘導チャネルが、カソードコンタクト層内に、及び/又は、アノードコンタクト層内に形成されている。特にこの場合には、カソードガス誘導層内のガス誘導チャネルは、カソードコンタクト層内のガス誘導チャネルと重畳しており、及び/又は、アノードガス誘導層内のガス誘導チャネルは、アノードコンタクト層内のガス誘導チャネルと重畳している。有利にはこのようにしてガスの流れが最適化される。
【0043】
この実施形態の他の構成では、カソードコンタクト層及び/又はアノードコンタクト層は連続しており、特に、ガス誘導層が設けられておらず、例えば、完全に平らに/中断箇所が無く/パターニングされずに形成されている。従って、有利にはシンプルで、機械的に特に安定している構造が実現される。
【0044】
別の実施形態では、高温型単電池はさらに少なくとも1つの平板型の、特に金属製のインターコネクタを含んでいる。この少なくとも1つの平板型のインターコネクタは、プレート状に構成可能である。
【0045】
特に、少なくとも1つの平板型のインターコネクタには、ガス誘導チャネルが設けられていない。従って、単電池若しくは電池に、有利には容易かつコストのかからない方式で、インターコネクタを設けることができる。
【0046】
インターコネクタは例えば、クロムを含有したステンレス鋼、例えばフェライトステンレス鋼、例えば、Thyssen−Krupp社(ドイツ連邦共和国)のCofer 22 APUから形成される。
【0047】
この実施形態の1つの構成では、少なくとも1つのインターコネクタに、多孔質の結合層が設けられる。コンタクト層と関連して記載したように、このようにして有利には、インターコネクタの、コンタクト層との接触接続が改善される。この多孔質の結合層は、例えば、スピネル、例えばマンガンコバルト系スピネル(MCO)、及び/又は、カソード材料、例えばランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)及び/又はランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)及び/又はランタンストロンチウムフェライト(LSF)及び/又はランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)、及び/又は、アノード材料、例えばニッケルとドーピングされたジルコニア、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)との混合物から形成可能である。
【0048】
この実施形態の、他の、択一的又は付加的な構成では、少なくとも1つのインターコネクタには、高密度の保護層が設けられている。特に、この高密度の保護層とは、高密度のクロム遮断層及び/又は高密度の腐食保護層のことであってよい。従って、有利には、インターコネクタ材料からのクロムの蒸発、ひいては電極へのクロム印加若しくはインターコネクタの腐食を回避することができる。高密度の保護層は、例えば、スピネル若しくはマンガンコバルト系スピネル(MCO)から形成可能である。
【0049】
特に、多孔質の結合層を、高密度の保護層と同一の材料から形成することができる。この場合にはこれらの材料は特に、実質的にその多孔率において、若しくは、多孔率を形成する素質において異なっているものとして解される。例えば、多孔質の結合層と高密度の保護層とをスピネルから、例えば、マンガンコバルト系スピネル(MCO)から形成することができる。
【0050】
別の実施形態では、高温型単電池は、燃料単電池及び/又は電解単電池及び/又は金属空気単電池である。
【0051】
例えば、高温型単電池は、アノード支持型の平板型の単電池(英語でAnode Supported Cell、ASC)、カソード支持型の平板型の単電池(英語でCathode Supported Cell、CSC)、電解質支持型の平板型の単電池(英語でElectrolyte Supported Cell、ESC)、金属支持型の平板型の単電池(英語でMetal Supported Cell、MSC)及び/又は不活性材料支持型の平板型の単電池であり得る。
【0052】
本発明の高温型単電池のさらなる技術的な特徴及び利点に関しては、本発明の高温型電池、本発明の製造方法、本発明のコージェネレーション設備に関連する説明並びに図面及び図の説明を参照されたい。
【0053】
さらに、本発明は高温型電池に関し、この高温型電池は、2つ又は2つより多くの本発明の高温型単電池から成る積層体を含んでいる。
【0054】
本発明の高温型電池の別の技術的な特徴及び利点に関しては、本発明の高温型単電池、本発明の製造方法、本発明のコージェネレーション設備に関連する説明並びに図面及び図の説明を参照されたい。
【0055】
本発明の別の構成要件は、特に平板型の高温型単電池若しくは高温型電池の製造方法である。特に、この方法によって、本発明の高温型単電池及び/又は本発明の高温型電池が製造される。
【0056】
この方法は特に、機能層、特にカソード機能層及び/又は電解質層及び/又はアノード機能層並びに場合によっては、1つ又は複数の他の層を印刷するステップを含んでいる。この場合にこれらの層は、担体の上に印刷される。特にこの担体は、複数の機能層のうちの1つを形成する、又は、金属製若しくは不活性であり得る。この担体は例えば、成形、例えばテープ成形によって成形される。
【0057】
さらにこの方法は、層を機能層上に印刷するステップを含んでいる。この層は、部分的には残留物を出さずに燃焼することが可能な材料から、特に、カーボン若しくはカーボンを含有している材料、例えばカーボン・ブラックから形成されており、部分的には、セラミック材料、又は、セラミック材料を形成するための前駆体から形成されている。
【0058】
さらに、この方法は、複数の層を相互焼結する、即ち、複数の層を一緒に、若しくは、同時に焼結するステップを含んでいる。ここでは、特に残留物を出さずに燃焼することが可能な材料が燃焼によって除去される。
【0059】
印刷技術を用いることによって、ガス供給のための所望のガス誘導チャネルを、有利には容易に、残留物を出さずに燃焼することが可能な材料から成る部分の形態で、電極とともに印刷することができ、焼結の際に、残留物を出さずに燃焼することが可能な材料を燃焼によって除去することによって、最終的に、残留物を出さずに燃焼して、ガス誘導チャネルが形成される。
【0060】
ある実施形態では、例えば、相互焼結の前又は後に、カソードコンタクト層及び/又はアノードコンタクト層が、インターコネクタ上に、又は、部分毎に異なって形成された層の上、特に、セラミック製の層部分の上に印刷される。ここで、この積層体とインターコネクタとは次のように積層される。即ち、カソードコンタクト層若しくはアノードコンタクト層が、この積層体をインターコネクタと接続するように、積層される。
【0061】
特にこれは、複数の層の相互焼結の後に行われる。これは、複数の層の相互焼結時に、気孔形成材が燃焼によって除去され、これによってカソードコンタクト層若しくはアノードコンタクト層が多孔質の層部分に接触接続し、流動性の状態において、部分的に、この多孔質の層部分内に流れ込むことができる、という利点を有する。これによって、特に良好な接触接続が得られる。
【0062】
インターコネクタに、例えば、荒面化された表面を設けることができる、若しくは、インターコネクタに、例えば、荒面化された表面が設けられていてもよい。例えば、インターコネクタにサンドブラストを施すことができる、若しくは、インターコネクタがサンドブラストされていてもよい。
【0063】
これに対して択一的又は付加的に、インターコネクタに、多孔質の結合層を設けることができる、若しくは、インターコネクタに、多孔質の結合層が設けられていてもよい。
【0064】
カソードコンタクト層及び/又はアノードコンタクト層には、有利には、流動性が与えられる。これは次のことを可能にする。即ち、カソードコンタクト層及び/又はアノードコンタクト層が、印刷時に、その下に位置する層の荒面化された表面若しくは多孔質の表面内に浸透することを可能にする。従って、コンタクト層は、それを介して接続されるべき2つの材料内に浸透することができ、このようにして、材料の最適な結合が実現される。
【0065】
カソードコンタクト層及び/又はアノードコンタクト層の浸透は、付加的に、次のことによって促進される。即ち、多孔質の表面若しくは荒面化された表面が、カソードコンタクト層若しくはアノードコンタクト層が上部に印刷される前にプラズマ処理されることによって促進される。このようにして、この表面は、有利には、格段に改善されたぬれ性を得る。これによって、コンタクト層は特に良好に、多孔質の、若しくは、荒面化された材料内に流れ込むことができる。
【0066】
特別な実施形態では、この方法、特に、単電池を形成する方法は以下のステップを有する。
(a)担体を成形、例えばテープ成形し、ここで特に、この担体は単電池を担い、例えば、単電池の層の中で最も厚い層厚を有しており、この担体は、アノード機能層(アノード支持型単電池、ASC)又はカソード機能層(カソード支持型単電池、CSC)又は電解質(電解質支持型単電池、ESC)又は金属若しくは金属合金(金属支持型単電池、MSC)又は不活性材料(不活性材料支持型単電池)である、
(b)場合によっては、担体を単電池のサイズにカッティングする、
(c)場合によっては、担体を部分的に焼結する、
(d)特に機能層系が形成されるように、担体の上に残りの機能層を印刷し、この機能層系は、
・場合によっては、集電体(アノード集電体)、
・部分的に残留物を出さずに燃焼することが可能な材料から形成され、部分的にセラミック材料若しくはセラミック材料を形成するための前駆体から形成された、特に、アノードガス誘導層を形成するための、場合によっては集電体層(アノード集電体)上の層、
・特に、部分毎に異なって形成されたこの層の上のアノード機能層、
・特にアノード機能層上の電解質、場合によっては、この電解質上の1つ又は複数の保護層、
・カソード機能層、特に電解質上、場合によって保護層上のカソード機能層、
・部分的に残留物を出さずに燃焼することが可能な材料から形成され、部分的にセラミック材料若しくはセラミック材料を形成するための前駆体から形成された、特に、カソードガス誘導層を形成するための、特にカソード機能層上の層、及び、
・場合によっては、集電体(カソード集電体)、特に部分毎に異なって形成されたこの層上の集電体、
を含んでいる、
e)相互焼結する。
【0067】
複数の機能層の印刷ステップの間に、この方法は、場合によっては、さらに、1つ又は複数の別の相互焼結ステップを有し得る。
【0068】
特に、単電池は、カソード集電体とアノード集電体とを有し得る。カソード集電体及び/又はアノード集電体は、特に、セラミック材料から、及び/又は、セラミックプロセスによって製造された材料から成る。場合によっては、カソード集電体及び/又はアノード集電体は、高密度に構成される。
【0069】
カソード集電体は例えば、場合によっては、高密度のセラミック材料から形成される。例えば、カソード集電体は、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)及び/又はランタンストロンチウムコバルタイト(LSC)及び/又はランタンストロンチウムフェライト(LSF)及び/又はランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)から形成される。
【0070】
アノード集電体は例えば、場合によっては高密度の、セラミックプロセスによって製造された金属材料から、又は、場合によっては高密度の、セラミック材料、例えばサーメット及び/又は(純粋な)セラミック原材料から形成される。例えば、アノード集電体は、ニッケルから形成される。
【0071】
例えば、アノード支持型単電池を形成するための方法は以下のステップを含む。即ち、
(1)担体を成形、例えばテープ成形し、ここで担体はアノード機能層である、
(2)場合によっては、担体を単電池のサイズにカッティングする、
(3)場合によっては、担体を部分的に焼結する、
(4)場合によっては、担体の一方の側に(付加的な)アノード機能層を印刷する、
(5)特に、アノード機能層上に電解質を印刷し、さらに、場合によっては、この電解質の上に1つ又は複数の保護層を印刷する、
(6)場合によっては、例えば1400℃で相互焼結する、
(7)カソード機能層を、電解質上に若しくは電解質の1つ/複数の保護層上に印刷する、
(8)部分的に残留物を出さずに燃焼することが可能な材料から形成され、部分的にセラミック材料若しくはセラミック材料を形成するための前駆体から形成された層を、特に、カソードガス誘導層を形成するために、カソード機能層上に印刷する、
(9)場合によっては、集電体(カソード集電体)を、部分毎に異なって形成されたこの層の上に印刷する、
(10)部分的に残留物を出さずに燃焼することが可能な材料から形成され、部分的にセラミック材料若しくはセラミック材料を形成するための前駆体から形成された層を、特に、アノードガス誘導層を形成するために、担体の他方の側に印刷する、
(11)場合によっては、集電体(アノード集電体)を、部分毎に異なって形成されたこの層の上に、担体の他方の側に印刷する、
(12)例えば、1200℃で相互焼結する。
【0072】
例えば、不活性材料支持型単電池を形成する方法は、以下のステップを含む。即ち、
(1’)担体を成形、例えばテープ成形し、ここで担体は多孔質焼結性の不活性材料層である、
(2’)場合によっては、担体を単電池のサイズにカッティングする、
(3’)場合によっては、担体を部分焼結する、
(4’)場合によっては、集電体(アノード集電体)を印刷する、
(5')部分的に残留物を出さずに燃焼することが可能な材料から形成され、部分的にセラミック材料若しくはセラミック材料を形成するための前駆体から形成された層を、特にアノードガス誘導層を形成するために印刷する、
(6')アノード機能層を、部分毎に異なって形成されたこの層の上に印刷する、
(7')電解質をアノード機能層上に印刷し、さらに、場合によっては1つ又は複数の保護層をこの電解質上に印刷する、
(8’)場合によっては、相互焼結する、
(9’)カソード機能層を電解質若しくは電解質の1つ/複数の保護層の上に印刷する、
(10’)部分的に残留物を出さずに燃焼することが可能な材料から形成され、部分的にセラミック材料若しくはセラミック材料を形成するための前駆体から形成された層を、特にカソードガス誘導層を形成するために、カソード機能層上に印刷する、
(11')場合によっては、集電体(カソード集電体)を部分毎に異なって形成されたこの層の上に印刷する、
(12’)相互焼結する。
【0073】
括弧内に記入された数字は、実施可能な順番を示しており、強制的な順番を示しているのではない。特に、アノード側とカソード側とを、逆の順番で形成することができる。
【0074】
インターコネクタを形成するために、この方法はここで、以下のステップを含んでいる。
【0075】
(I)平板型の、特に金属製のインターコネクタを提供する、
(II)場合によっては、平板型のインターコネクタの例えば片側又は両側に、高密度保護層、例えば、拡散防御層/拡散バリア/拡散遮断層をコーティングする、及び/又は、場合によっては、平板型のインターコネクタ又は高密度保護層の例えば両側又は片側に、多孔質の結合層をコーティングする、
(III)インターコネクタの一方の側、例えば燃料ガス側にアノードコンタクト層を印刷する、
(IV)インターコネクタの他方の側、例えば空気側にカソードコンタクト層を印刷する。
【0076】
括弧内に記入された数字は、実施可能な順番を示しており、強制的な順番を示しているのではない。特に、アノード側とカソード側とを、逆の順番で形成することができる。
【0077】
電池を構成するために、この方法は特に以下のステップを有している。
【0078】
例えばステップe)、12)又は12’)から得られた、少なくとも1つの単電池配列体、特に少なくとも2つの単電池配列体と、例えばステップIV)から得られた、少なくとも1つのインターコネクタとを積層し、1つの電池にし、特にここで、インターコネクタは、カソードコンタクト層及び/又はアノードコンタクト層を介して単電池配列体と接続される。
【0079】
積層の前又は後に、特に、単電池又は電池の側面若しくは外面に、例えば液体定量吐出によって、ガラスシーリングを被着することができる。これによって、多孔質の層が外部からシーリングされる。
【0080】
カソードコンタクト層若しくはアノードコンタクト層の硬化を、電池のならし運転時にも、場合によっては、さらなる製造ステップ、例えば焼結ステップにおいても行うことができる。
【0081】
本発明の製造方法のさらなる技術的な特徴及び利点に関しては、本発明の高温型単電池、本発明の高温型電池、本発明のコージェネレーション設備との関連における説明並びに図面及び図面の説明を参照されたい。
【0082】
さらに、本発明は、本発明の高温型単電池及び/又は本発明の高温型電池を含んでいるエネルギーシステム、特にコージェネレーション設備(KW)、例えばマイクロコージェネレーション設備(μKWK)に関する。
【0083】
本発明のエネルギーシステム若しくは本発明のコージェネレーション設備のさらなる技術的な特徴及び利点に関しては、本発明の高温型単電池、本発明の高温型電池、本発明の製造方法と関連した説明並びに図面及び図面の説明を参照されたい。
【0084】
本発明の構成要件のさらなる利点及び有利な構成を図示し、以降の明細書で説明する。図面は単に説明のためのものであり、いかなる形でも本発明を制限するものではない、ということに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】本発明の高温型単電池の第1の実施形態の概略的な横断面図。
図2】本発明の高温型単電池の第2の実施形態の概略的な横断面図。
図3】本発明の高温型単電池の第3の実施形態の概略的な横断面図。
図4】本発明の高温型単電池の第4の実施形態の概略的な横断面図。
図5】本発明の高温型単電池の第5の実施形態の概略的な横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1は、高温型単電池10、例えば高温型燃料単電池を示している。この高温型単電池10は、カソード11と、アノード12と、カソード11とアノード12との間に配置されている電解質13とを有している。
【0087】
図1は、カソード11が、電解質13を覆っている、特に連続しているカソード機能層11aを含んでおり、アノード12が、電解質13を覆っている、特に連続しているアノード機能層12aを含んでいることを示している。
【0088】
さらに、図1は、高温型単電池10が、2つの、平板型の金属製インターコネクタ14a、14と15a、15とを有していることを示している。
【0089】
図1は、高温型単電池が、2つの多孔質層11b;12bを有していることを示している。この多孔質層11b;12b内には、ガス誘導チャネル11b';12b’が形成されている。
【0090】
ここで、カソード11は、ガス誘導チャネル11b'を形成する、セラミック製のカソードガス誘導層11bを含んでおり、これは、セラミックのカソード材料を含んでおり、カソード機能層11a上に被着されている。アノード12はここで、ガス誘導チャネル12b'を形成する、アノードガス誘導層12bを含んでおり、これは、アノード材料、例えばニッケル、特に、セラミックプロセスによって製造されたアノード材料を含んでおり、アノード機能層12a上に被着されている。
【0091】
カソードガス誘導層11bとアノードガス誘導層12bとはここで、ガス透過性多孔質材料から構成されている。従って、有利にはガスは、カソードガス誘導層11bとアノードガス誘導層12bの材料を通って、例えば、カソードガス誘導層11b及びアノードガス誘導層12bのウェブ形状の部分の材料を通って、カソード機能層11a若しくはアノード機能層12aへと拡散する。
【0092】
カソードガス誘導層11bとアノードガス誘導層12bは特に低い多孔率を有し、カソード機能層11aとアノード機能層12aは高い多孔率を有する。特に、ここでカソードガス誘導層11bはカソード機能層11aよりも低い多孔率を有しており、アノードガス誘導層12bはアノード機能層12aよりも低い多孔率を有している。従って、有利には、カソードガス誘導層11b若しくはアノードガス誘導層12bの機械的な安定性と導電性を最適化することができる。
【0093】
図1に示された実施形態では、カソードガス誘導層11bは、カソード機能層11aとインターコネクタ14a、14との間に形成されており、アノードガス誘導層12bはアノード機能層12aとインターコネクタ15a、15との間に形成されている。
【0094】
図2に示された実施形態は、図1に示された実施形態と、実質的に次の点において異なっている。即ち、インターコネクタ14;15が、それぞれに多孔質の結合層14b、15bが設けられている平板型の金属製のインターコネクタ14a;15aであるという点において異なっている。この場合には、カソードガス誘導層11bはカソード機能層11aとインターコネクタ14の多孔質の結合層14bとの間に形成されており、アノードガス誘導層12bはアノード機能層12aと別のインターコネクタ15の多孔質の結合層15bとの間に形成されている。多孔質の表面14b、15bによって、有利には、インターコネクタ14、15との結合が改善される。
【0095】
図2は、次のことを示している。即ち、ガス誘導層11b、12bの印刷時に、ガス誘導層11b、12bの材料が部分的に、多孔質の結合層14b、15b内に浸透し、このようにして、結合を改善することができることを示している。これと同様に、図2には示されていないが、ガス誘導層11b、12bの材料が部分的に多孔質の機能層11a、12a内に浸透し、このようにしても結合を改善することができる。
【0096】
図3に示された実施形態は、図2に示されている実施形態と、実質的に次の点において異なっている。即ち、インターコネクタ14、15にさらに、高密度の保護層14c、15cが設けられている、という点において異なっている。高密度の保護層14c、15cは、例えば、拡散遮断層として用いられ、これは、クロム含有化合物がインターコネクタ14a、15aから流出することを阻止する。
【0097】
図3は、高密度の保護層14c、15cがそれぞれ、平板型の金属製インターコネクタ14a、15a上に被着されていることを示している。この場合には、多孔質の結合層14b、15bはそれぞれ、高密度の保護層14c、15c上に被着されている。図3は、ここで、カソードガス誘導層11bが、カソード機能層11aと、インターコネクタ14の多孔質の結合層14bとの間に形成されており、アノードガス誘導層12bがアノード機能層12aと、別のインターコネクタ15の多孔質の結合層15bとの間に形成されていることを示している。
【0098】
図4に示されている実施形態は、実質的に、図3に示されている実施形態と次の点において異なっている。即ち、さらに、カソードコンタクト層16とアノードコンタクト層17とが設けられている、という点において異なっている。カソードコンタクト層16は、カソード11とインターコネクタ14との間に配置されており、アノードコンタクト層17は、アノード12と、別のインターコネクタ15との間に配置されている。カソードガス誘導層11bは、この場合には、カソード機能層11aとカソードコンタクト層16との間に形成されており、アノードガス誘導層12bは、アノード機能層12aとアノードコンタクト層17との間に形成されている。
【0099】
図4は、次のことを示している。即ち、この場合には、コンタクト層16、17の印刷時に、コンタクト層16、17の材料が部分的に、多孔質の結合層14b、15b内に浸透し、このようにして、結合を改善することができることを示している。これと同様に、図4には示されていないが、コンタクト層16、17の材料が部分的に多孔質のガス誘導層11b、12b内に浸透し、このようにしても結合を改善することができる。
【0100】
図4に示されている実施形態では、カソードコンタクト層16及びアノードコンタクト層17は連続しており、特に、ガス誘導チャネルが設けられていない。
【0101】
図5に示された実施形態は、図4に示された実施形態と、実質的に次の点において異なっている。即ち、ガス誘導チャネル16'、17'が、カソードコンタクト層16内とアノードコンタクト層17内に形成されている、という点において異なっている。特に、この場合には、カソードコンタクト層16のガス誘導チャネル16'は、カソードガス誘導層11bのガス誘導チャネル11b'と重畳しており、アノードコンタクト層17のガス誘導チャネル17'は、アノードガス誘導層12bのガス誘導チャネル12b'と重畳している。
図1
図2
図3
図4
図5