(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)少なくとも50重量パーセントの、45〜400の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を有するエチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物(LLDPE)を含む表皮層であって、移行性添加剤を一切含有しない、表皮層と、
(b)前記表皮層上に配置されて、金属化フィルムを形成する金属層と、
(c)前記金属化フィルム上に積層された少なくとも1つの基材層と、を備える、多層構造体であって、
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物が、(i)100重量パーセント以下のエチレン由来単位と、(ii)30重量パーセント未満の1つ以上のα−オレフィンコモノマー由来単位と、を含む、前記多層構造体。
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物が、75〜200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)、前記エチレン系ポリマー組成物の骨格中に存在する炭素原子1000個当たり0.15ビニル未満のビニル不飽和度、2〜20の範囲のゼロせん断粘度比(ZSVR)、0.903〜0.950g/cm3の範囲の密度、0.1〜5g/10分の範囲のメルトインデックス(I2)、1.8〜4の範囲の分子量分布(Mw/Mn)を有する、請求項1に記載の前記多層構造体。
前記少なくとも1つの基材層が、ポリエチレン、キャストポリプロピレン、二軸配向ポリプロピレン、及び二軸配向ポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載の前記多層構造体。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、改善された金属接着性を有する金属化ポリエチレンフィルムである。
【0008】
本明細書で使用される場合、用語「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超えるエチレンモノマー由来単位、及び任意選択的に1つ以上のコモノマー由来単位を有するポリマーを指す。
【0009】
本明細書で使用される場合、用語「ホモポリマー」は、エチレン等の単一の種類のモノマーのみから形成されるポリマーである。
【0010】
本明細書で使用される場合、用語「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの共重合によって調製されたポリマーを指す。用語インターポリマーには、2つの異なるモノマーから調製されたポリマーを指すのに通常用いられるコポリマー及び2つを超える異なるモノマーから調製されたターポリマー等のポリマーが含まれる。
【0011】
本明細書で使用される場合、用語「移行性添加剤」とは、個別に及び集合的に、ステアリン酸カルシウム、DHT、滑剤、ステアリン酸、帯電防止剤、及び潤滑剤を意味する。
【0012】
本発明による多層構造体は、(a)少なくとも50重量パーセントの、45〜400の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を有するエチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物(LLDPE)を含む表皮層であって、からなる群から選択された移行性添加剤を含有しない表皮層と、(b)表皮層上に配置されて、金属化フィルムを形成する金属層と、(c)金属化フィルム上に積層された少なくとも1つの基材層と、を備える多層構造体(積層体)を含み、該エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、(i)100重量パーセント以下のエチレン由来単位と、(ii)30重量パーセント未満の1つ以上のα−オレフィンコモノマー由来単位と、を含む。
【0013】
少なくとも1つの表皮層は、45〜400の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を有する、少なくとも50重量パーセントのエチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物(LLDPE)を含む。少なくとも50重量パーセントのLLDPEの全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、表皮層中のLLDPEの量は、下限値50、55、60、65、70、75、80、85、90、または95重量パーセントから上限値55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100重量パーセントであり得る。例えば、表皮層中のLLDPEの量は、50〜100重量パーセントの範囲でもあり得るか、または代替的に、表皮層中のLLDPEの量は、75〜100重量パーセントの範囲であり得るか、または代替的に、表皮層中のLLDPEの量は、50〜75重量パーセントの範囲であり得るか、または代替的に、表皮層中のLLDPEの量は、75〜95重量パーセントの範囲であり得るか、または代替的に、表皮層中のLLDPEの量は、少なくとも50重量パーセントであり得るか、または代替的に、表皮層中のLLDPEの量は、少なくとも75重量パーセントであり得るか、または代替的に、表皮層中のLLDPEの量は、少なくとも85重量パーセントであり得るか、または代替的に、表皮層中のLLDPEの量は、少なくとも95重量パーセントであり得る。
【0014】
LLDPE表皮層成分
表皮層は、(a)100パーセント以下、例えば、少なくとも70パーセント、または少なくとも80パーセント、または少なくとも90重量パーセントのエチレン由来単位、及び(b)30パーセント未満、例えば、25パーセント未満、または20パーセント未満、または10重量パーセント未満の1つ以上のα−オレフィンコモノマー由来単位を含む、少なくとも50重量パーセント(重量%)のLLDPE(エチレン/α−オレフィンインターポリマー)組成物を含む。用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50モルパーセントを超える重合エチレンモノマーを含有し、任意選択的に少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーを指す。
【0015】
α−オレフィンコモノマーは典型的には、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α−オレフィンコモノマーは、好ましくは3〜10個の炭素原子、及びより好ましくは3〜8個の炭素原子を有し得る。代表的なα−オレフィンコモノマーには、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び4−メチル−1−ペンテンが含まれるが、これらに限定されない。1つ以上のα−オレフィンコモノマーは、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンからなる群、または代替的に、1−ヘキセン及び1−オクテンからなる群から選択され得る。
【0016】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、45超〜400の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を有することを特徴とする。45〜400の全ての個別の値及び部分範囲が、本明細書に含まれ、本明細書に開示され、例えば、CDCは、下限値45、75、150、205、295、または375から上限値50、100、275、345、または400の範囲であり得る。例えば、CDCは、45〜400、または代替的に75〜300、または代替的に75〜200、または代替的に85〜150、または代替的に85〜125の範囲であり得る。
【0017】
特定の実施形態において、LLDPEは、75〜200の範囲のCDC、エチレン系ポリマー組成物の骨格中に存在する炭素原子1000個当たり0.15ビニル未満のビニル不飽和度、2〜20の範囲のゼロせん断粘度比(ZSVR)、0.903〜0.950g/cm
3の範囲の密度、0.1〜5g/10分の範囲のメルトインデックス(I
2)、1.8〜3.5の範囲の分子量分布(M
w/M
n)を有する。
【0018】
特定の実施形態において、LLDPEは、2〜20、例えば2〜10、または2〜6、または2.5〜4の範囲のゼロせん断粘度比(ZSVR)を有することを特徴とする。
【0019】
特定の実施形態において、LLDPEは、0.903〜0.950g/cm
3の範囲の密度を有する。例えば、密度は、下限値0.903、0.905、0.908、0.910、または0.912g/cm
3から上限値0.925、0.935、0.940、0.945、0.950g/cm
3であり得る。
【0020】
別の実施形態において、LLDPEは、1.8〜3.5の範囲の分子量分布(M
w/M
n)を有する。例えば、分子量分布(M
w/M
n)は、下限値1.8、2、2.1、または2.2から上限値2.5、2.7、2.9、3.2、または3.5であり得る。
【0021】
さらに別の実施形態において、LLDPEは、0.1〜5g/10分の範囲のメルトインデックス(I
2)を有する。例えば、メルトインデックス(I
2)は、下限値0.1、0.2、0.5、または0.8g/10分から上限値1.2、1.5、1.8、2.0、2.2、2.5、3.0、4.0、4.5、または5.0g/10分であり得る。
【0022】
別の実施形態において、LLDPEは、50,000〜250,000ダルトンの範囲の分子量(M
w)を有する。例えば、分子量(M
w)は、下限値50,000、60,000、70,000ダルトンから上限値150,000、180,000、200,000、または250,000ダルトンであり得る。
【0023】
特定の実施形態において、LLDPEは、4未満、例えば、3未満、または2〜2.8の範囲の分子量分布(M
z/M
w)を有する。
【0024】
特定の実施形態において、LLDPEは、エチレン系ポリマー組成物の骨格中に存在する炭素原子1000個当たり0.15ビニル未満のビニル不飽和度を有する。
【0025】
特定の実施形態において、LLDPEは、炭素原子1000個当たり0.02〜3長鎖分枝(LCB)の範囲の長鎖分枝頻度を有する。
【0026】
一実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、エチレン系ポリマー組成物の100万部当たり、多価アリールオキシエーテルの金属錯体を含む触媒系から残留する100部以下、例えば、10重量部未満、8重量部未満、5重量部未満、4重量部未満、1重量部未満、0.5重量部未満、または0.1重量部未満の金属錯体残渣を含む。エチレン系ポリマー組成物中の多価アリールオキシエーテルの金属錯体を含む触媒系から残留する金属錯体残渣は、蛍光X線(XRF)によって測定され得、参照標準に較正される。ポリマー樹脂粉粒体は、好ましい方法でのX線測定のために、高温で、約3/8インチの厚みを有するプラークに圧縮成型され得る。0.1ppm未満等の極めて低い濃度の金属錯体では、ICP−AESが、エチレン系ポリマー組成物中に存在する金属錯体残渣を決定するのに好適な方法であろう。
【0027】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、1つ以上の他のポリマー及び/または1つ以上の添加剤等の追加の成分を更に含んでもよい。かかる添加剤には、増色剤、色素剤、充填剤、例えばTiO
2またはCaCO
3等、乳白剤、造核剤、プロセス助剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、プロセス助剤、紫外線安定剤、抗遮断剤、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。エチレン系ポリマー組成物は、かかる添加剤を含むエチレン系ポリマー組成物の重量に基づいて、合計で約0.1〜約10重量パーセントのかかる添加剤を含有し得る。
【0028】
一実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、パージを除いて、35℃〜120℃の範囲の温度で単峰性の分布または二峰性の分布を含むコモノマー分布プロファイルを有する。
【0029】
いずれの従来型エチレン(共)重合反応プロセスを用いて、エチレン系ポリマー組成物を生成してもよい。かかる従来型エチレン(共)重合反応プロセスには、1つ以上の従来型反応器、例えば、流動床気相反応器、環状反応器、撹拌槽反応器、バッチ反応器を、平行で、直列で、及び/またはそれらの組み合わせで使用する、気相重合プロセス、スラリー相重合プロセス、溶液相重合プロセス、及びそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
一実施形態において、エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、(a)第1の反応器または複数部反応器の第1の部分において、第1の触媒の存在下でエチレンと任意選択的に1つ以上のα−オレフィンとを重合させて、半結晶性エチレン系ポリマーを形成することと、(b)少なくとも1つの他の反応器または複数部反応器の後の部において、有機金属系触媒を含む第2の触媒の存在下で新たに供されたエチレンと任意選択的に1つ以上のα−オレフィンとを反応させ、それにより、エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物を形成することと、のステップを含むプロセスによって調製され、ステップ(a)または(b)の触媒系のうちの少なくとも1つが、以下の式に対応する多価アリールオキシエーテルの金属錯体を含み、
【0032】
式中、M
3は、Ti、Hf、またはZr、好ましくはZrであり、Ar
4は、各々の存在において独立して置換されたC
9−20のアリール基であり、この置換基は、各々の存在において独立してアルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基、ならびにそれらのハロ置換誘導体、トリヒドロカルビルシリル置換誘導体、及びハロヒドロカルビル置換誘導体からなる群から選択されるが、但し、少なくとも1つの置換基が、それが結合するアリール基との共平面性を有せず、
T
4は各々の存在において独立して、C
2−20のアルキレン基、シクロアルキレン基もしくはシクロアルケニレン基、またはそれらの不活性的に置換された誘導体であり、
R
21は各々の存在において独立して、水素を数えず最大50原子の水素、ハロ基、ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル基、アルコキシ基、もしくはジ(ヒドロカルビル)アミノ基であり、
R
3は各々の存在において独立して、水素を数えず最大50原子の水素、ハロ基、ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル基、アルコキシ基、もしくはアミノ基であるか、あるいは同一のアリレン環上の2つのR
3基が共に、または同一もしくは異なるアリレン環上のR
3及びR
21基が共に、2つの位置においてアリレン基に結合する二価リガンド基を形成するか、もしくは2つの異なるアリレン環を1つに結合させ、
R
Dは各々の存在において独立して、水素を数えず、最大20原子のハロ基もしくはヒドロカルビル基もしくはトリヒドロカルビルシリル基であり、または2つのR
D基が共に、ヒドロカルビレン基、ヒドロカルバジイル基、ジエン基、もしくはポリ(ヒドロカルビル)シリレン基である。
【0033】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物は、以下の代表的なプロセスに従って、溶液重合によって生成され得る。
【0034】
全ての原材料(エチレン、1−オクテン)及び加工溶剤(ExxonMobil Corporationの商標Isopar Eで市販される狭沸点範囲の高純度のイソパラフィン系溶剤)は、反応環境に導入される前に分子ふるいによって精製される。水素が、高純度グレードとして加圧されたシリンダー中に供され、更なる精製は行われない。反応器モノマー供給物(エチレン)流は、反応圧力を超える圧力、およそ750psigまで機械的圧縮機によって加圧される。溶剤及びコモノマー(1−オクテン)供給物は、反応圧力を超える圧力、およそ750psigまで機械的容積型ポンプによって加圧される。個別の触媒成分は、精製溶剤(Isopar E)によって指定の成分濃度まで手動でバッチ希釈され、反応圧力を超える圧力、およそ750psigまで加圧される。全ての反応供給物の流動が、コンピューター自動弁制御システムによって独立して制御される質量流量計によって測定される。
【0035】
連続式溶液重合反応器系は、直列構成で動作する2つの液体充満、非断熱、等温、循環、及び独立して制御されるループ反応器からなり得る。各反応器は、全ての新たな溶剤、モノマー、コモノマー、水素、及び触媒成分供給物を独立して制御する。各反応器への合わせられた溶剤、モノマー、コモノマー、及び水素供給物は、この供給物流を熱交換機に通過させることによって、5℃〜50℃の間の温度、典型的には40℃に独立して温度制御される。重合反応器への新たなコモノマー供給物は、コモノマーを、第1の反応器、第2の反応器、または共通溶剤の3つの選択肢のうちの1つに添加するように手動で配置され得、その後溶剤供給物の分配に比例して、両方の反応器の間で分配され得る。各重合反応器への新たな供給物の全てが、反応器当たり2箇所の反応器中に注入され、それぞれの注入箇所の反応器容積は概ね等しい。新たな供給物は、典型的には新たな供給質量流量全体の半量を受ける各注入器によって制御される。触媒成分は、特別に考案された注入針を通って重合反応器中に注入され、その各々は、反応器の前に接触する時間がないまま、反応器内の同一の相対箇所中に別々に注入される。主要な触媒成分の供給は、反応器のモノマー濃度を指定された目標に維持するためにコンピューター制御される。2つの共触媒成分は、主要な触媒成分に対する計算された指定のモル比に基づいて供給される。各々の新たな(供給物または触媒のいずれかの)注入場所の直後で、供給物流は、静的混合要素によって循環重合反応器の内容物と混合される。各反応器の内容物は、反応熱の大部分の除去を担う熱交換機を通して、及び指定の温度での等温反応環境の維持を担う冷媒側の温度によって連続的に循環される。各反応器ループ周囲の循環は、ねじポンプによって提供される。第1の重合反応器からの(溶剤、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、及び溶融ポリマーを含有する)流出物は、第1の反応器ループから出て、(第1の反応器の圧力を指定の目標値に維持することを担う)制御弁を通過して、類似の設計である第2の重合反応器中に注入される。この流れが反応器を出る際、例えば水などの反応を停止するための失活剤と接触される。加えて、抗酸化剤等の種々の添加剤が、この時点で添加され得る。次に、この流れは、別の静的混合要素のセットを通過して、触媒失活剤及び添加剤を均等に分散する。
【0036】
添加剤の添加に続いて、(溶剤、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、及び溶融ポリマーを含有する)流出物は、熱交換機を通過して、ポリマーの他のより低い沸点反応成分からの分離に備えてその流れの温度を上昇させる。次に、その流れは、二段階の分離及び脱揮発系に入り、そこでポリマーが、溶剤、水素、ならびに未反応モノマー及びコモノマーから取り除かれる。再循環流は、再び反応器に入る前に精製される。分離及び脱揮発されたポリマー溶融物は、水中での造粒用に特別に考案されたダイを通って汲み出され、均一の固体粒に切り取られ、乾燥の上、ホッパー中に移される。
【0037】
追加の層
いくつかの実施形態において、多層フィルムは、表皮層に加えて、1つ以上のポリマー層を備える。かかる1つ以上の追加の層は、エチレン系ポリマーからなる群から選択される1つ以上の成分を含む。
【0038】
一実施形態において、多層フィルムは、本明細書に記載されるようなLLDPEを含む第2の層を更に備える。代替の実施形態において、多層フィルムは、0.94〜0.965g/cm
3の密度を有する高密度ポリエチレン(HDPE)を含む第2の層を更に備える。代替の実施形態において、多層フィルムは、表皮層、HDPEを含む(
図1及び2に例示されるような)コア層、及び0.92〜0.923g/cm
3の密度を有する、低密度ポリエチレン(LDPE)を含む封止層を備える。
【0039】
基材
基材は、多層構造体において使用するのに好適ないずれの1つ以上の材料を含んでもよい。かかる材料には、例えば、熱可塑性物質が含まれる。好適な熱可塑性物質は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、キャストポリプロピレン、二軸配向ポリプロピレン、及びそれらの2つ以上の任意の組み合わせを含む。
【0040】
金属化
外側の表皮層の金属化は、いずれの適切な技術を使用して達成されてもよい。いくつかの実施形態において、LLDPEの表皮層(複数可)は、金属化の前に、コロナ処理及びプラズマ処理等によって事前処理され得る。金属化は、物理的蒸着プロセスによって行われ得る。かかるプロセスにおいて、金属は、真空下で熱され、蒸発される。次に、金属は、表皮LLDPE層上で凝結する。
【0041】
いくつかの実施形態において、得られた金属化表皮層は、少なくとも2.0の光学密度を示す。少なくとも2.0の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、本明細書に開示され、例えば、金属化表皮層の光学密度は、下限値2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、または2.8から上限値2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、または2.8の範囲であり得る。例えば、金属化表皮層の光学密度は、少なくとも2.0からの範囲であり得、または代替的に、金属化表皮層の光学密度は、少なくとも2.0からの範囲であり得、または代替的に、金属化表皮層の光学密度は、少なくとも2.4からの範囲であり得、または代替的に、金属化表皮層の光学密度は、少なくとも2.6からの範囲であり得、または代替的に、金属化表皮層の光学密度は、2.0〜2.8であり得、または代替的に、金属化表皮層の光学密度は、2.0〜2.5であり得、または代替的に、金属化表皮層の光学密度は、2.4〜2.8であり得、または代替的に、金属化表皮層の光学密度は、2.3〜2.7であり得る。
【0042】
概して、多層物品の最終使用用途に応じて、いずれの適切な金属が使用されてもよい。一般的に使用される金属には、アルミニウム、ニッケル、及びクロムが含まれる。
【0043】
多層構造体
種々の実施形態による多層構造体は、フィルム、袋、及び包装フィルムからなる群から選択され得る。
【0044】
代替の実施形態において、本発明は、
この物品が、ある形状に積層、印刷、及び/または形成されること以外は、前述の実施形態に記載のいずれかに従って構造体を提供す
る。
【0045】
代替の実施形態において、本発明は、
この物品が、キャストプロセスまたは吹込フィルムプロセスによって生成されるフィルムであること以外は、前述の実施形態に記載のいずれかに従って物品を提供す
る。
【0046】
代替の実施形態において、本発明は、金属化表皮層が2〜3の光学密度を有すること
以外は、前述の実施形態に記載のいずれかに従って物品を提供する。2〜3の全ての値及び部分範囲が、本明細書に開示され、本明細書に含まれ、例えば、光学密度は、下限値2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、または2.9から上限値2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または2であり得る。例えば、金属化表皮層が、2〜3の光学密度を有し得、または代替的に、金属化表皮層が、2.5〜3の光学密度を有し得、または代替的に、金属化表皮層が、2〜2.5の光学密度を有し得、または代替的に、金属化表皮層が、2.3〜2.7の光学密度を有し得る。
【実施例】
【0047】
以下の実施例は、本発明を例示するが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0048】
全ての本発明の実施例において、使用された抗遮断添加剤は、ポリエチレン担体樹脂中20%の有効成分である、Ampacet(タイ)Co.,Ltd,Rayong−Thailandから市販されるANTIBLOCK63 10063−Kであった。
【0049】
発明の多層フィルム実施例1
表皮層、コア層の第1の側面上で表皮層に隣接するコア層、及びコア層の第2の側面上でコア層に隣接する封止層を有する三層フィルム。表2に示される特性を有する50kgの実験LLDPE(実験EPE1)を使用して、表皮層(金属化される層)及び封止層中に実験EPE1を有する三層の吹込フィルムを作製した。コア層は、ELITE(商標)5960Gであった。三層吹込フィルムを作製するために使用された吹込フィルム工機は、以下の通りである:直径400mmのダイ、2.2mmのダイギャップ、2.5のBUR及びIBCによる気泡冷却、420kg/時間の生産量、最大2200mmのフィルム幅、40ミクロンのフィルム厚、1:1.5:1の層比、ならびに約46ダインのコロナ処理を有する、LDPE及びLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)用の三層吹込フィルムねじ式押出機。溶融温度を225℃及びダイ温度を220℃に保った。以下の表1は、三層及び発明の多層フィルム実施例1を生成するために使用された吹込フィルム工機のダイの各々の領域温度(℃)を提供する。
【0050】
【表1】
【0051】
表2は、発明の実施例の生成において使用された樹脂の密度I
2及びそれらの供給元を提供する。表3は、発明の多層フィルム実施例1の構造体を示し、多層フィルムにおける各層の組成情報を提供する。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
10〜6バーの真空下及び摂氏600度前後で、発明の多層フィルム実施例1を、プラズマ金属化剤を使用して金属化し、発明の金属化フィルム実施例1を形成した。2.6の光学密度を達成した。
【0055】
ポリウレタン系接着剤による接着剤積層を用いて、10ミクロンの化学的にコーティングされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに発明の金属化フィルム実施例1を積層して、発明の多層構造体1の実施例を生成した。表4は、発明の多層構造体実施例1の選択された物理的特性データを提供する。
【0056】
【表4】
【0057】
ASTM F1249に従って水蒸気透過速度(WVTR)を決定するための条件は、以下の通りであった:温度=37.8℃、相対湿度=100%、試料サイズ=10cm
2、及び担体ガス=N
2。ASTM T3985に従って酸素透過速度(OTR)を決定するための条件は、以下の通りであった:温度=23.0℃、相対湿度=0%、試料サイズ=100cm
2、及び担体ガス=N
2。発明の多層構造体1は、0.62gm/m
2/日のWVTR及び2.92cc/m
2/日のOTRを有した。
【0058】
付着強度
以下の方法に従って、付着強度試料の調製及び測定を行った。
【0059】
試料の調製
1.試験される積層体から1インチの試料片を切り取る。試料はいずれの方向で切り取ってもよい。
2.各2つの基材について、引張試験機が試験の開始時にゼロを読み取るように、引張試験機の顎部の間に適合するのに十分な長さの離層タブが必要となる。積層範囲の開始点は、そのタブの方向に対して垂直である必要があり、これは「T型剥離」とも称される。
3.離層は、複数の方法で実施され得る。有機溶剤を使用して、1インチの試料点を離層して、タブを顎部に固定するためにわずかに付着を除去し得る。
【0060】
付着強度測定
1.ゼロに設定された引張試験機の顎部に試料を配置する。
2.引張試験機のクロスヘッド速度を250mm/分に設定する。
3.付着強度測定及び破断状況を記録する。
【0061】
表4は、接着剤積層を使用して、発明の多層構造体1を生成する場合に達成される良好な付着強度も例示する。さらに、発明の多層構造体実施例1に関して積層化の間、金属移行は観察されなかった。
【0062】
封止幅(mm):25、封止時間(秒):0.5、封止圧力(N/mm2):0.275、剥離速度(mm/秒):200であるJ&B熱間粘着性試験機4000上で、発明の多層構造体実施例1の熱間粘着性を測定した。
図3は、発明の多層構造体実施例1の熱間粘着特性を例示し、それは、5.5N/25mmの熱間粘着値を示した。
【0063】
封止幅(mm):25、封止時間(秒):0.5、封止圧力(N/mm
2):0.275、条件時間(時間):およそ24、Zwickの試験速度(mm/分):50である、J&B熱間粘着性試験機4000上で、発明の実施例の封止強度を測定した。
図4は、発明の多層構造体実施例の封止強度挙動を例示し、それは、4kg/25mm超の封止強度を有した。
【0064】
発明の実施例2
表4に示される樹脂を使用して、第2の三層吹込フィルムである発明の多層フィルム実施例2も作製した。
【0065】
【表4】
【0066】
RELENE1020FA20は、Reliance Industries Ltd.(インド)から市販される低密度ポリエチレン樹脂である。混合区域、直径325mmのダイ、2.5mmのダイギャップ、2.0のBUR、IBCによる気泡冷却、195kg/時間の生産量、最大1230mmのフィルム幅、40ミクロンのフィルム厚、1:1.5:1の層比、及び約50ダインのコロナ処理を有する、LDPE及びLLDPE用の商業的三層吹込フィルムねじ式工機上で、発明の多層フィルム実施例2を作製した。表5は、発明の多層フィルム実施例2の調製における吹込フィルム工機の領域温度(℃)を提供する。
【0067】
【表5】
【0068】
得られた発明の多層フィルム実施例2は、表6に示される構造体を有した。
【0069】
【表6】
【0070】
プラズマ金属化剤を使用して、発明の多層フィルム実施例2を金属化して、2.2の光学密度を得、発明の金属化フィルム実施例2を生成した。発明の金属化フィルム実施例2を12ミクロンのPETフィルム上に積層して、発明の多層構造体実施例2を生成した。
【0071】
発明の多層フィルム実施例2を15ミクロンの二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルム上にも積層して、発明の多層構造体実施例3を生成した。押出積層プロセスを用いて、結合性樹脂としてのLDPEにより発明の多層構造体実施例2及び3の両方を作製した。
【0072】
発明の多層構造体実施例2または3のいずれにおいても金属移行は観察されず、PEに対する優良な金属接着性を示した。
【0073】
発明の多層構造体実施例2及び3の付着強度は、表7に示される。
【表7】
【0074】
試験方法
試験方法には、以下が含まれる。
ASTM方法D−792に従って、樹脂密度を測定した。
ASTM方法D−1238に従って、(エチレン系樹脂の)I
2を測定した。
【0075】
本発明は、その真意及び本質的な特質から逸脱することなく他の形態において具現化されてもよく、したがって、前述の明細書よりもむしろ、本発明の範囲を示している添付の特許請求の範囲が参照されるべきである。
なお、本発明には、以下の実施形態が包含される。
[1](a)少なくとも50重量パーセントの、45〜400の範囲のコモノマー分布定数(CDC)を有するエチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物(LLDPE)を含む表皮層であって、移行性添加剤を一切含有しない、表皮層と、
(b)前記表皮層上に配置されて、金属化フィルムを形成する金属層と、
(c)前記金属化フィルム上に積層された少なくとも1つの基材層と、を備える、多層構造体であって、
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物が、(i)100重量パーセント以下のエチレン由来単位と、(ii)30重量パーセント未満の1つ以上のα−オレフィンコモノマー由来単位と、を含む、前記多層構造体。
[2]前記エチレン/α−オレフィンインターポリマー組成物が、75〜200の範囲のコモノマー分布定数(CDC)、前記エチレン系ポリマー組成物の骨格中に存在する炭素原子1000個当たり0.15ビニル未満のビニル不飽和度、2〜20の範囲のゼロせん断粘度比(ZSVR)、0.903〜0.950g/cm3の範囲の密度、0.1〜5g/10分の範囲のメルトインデックス(I2)、1.8〜4の範囲の分子量分布(Mw/Mn)を有する、[1]に記載の前記多層構造体。
[3]前記少なくとも1つの基材層が、ポリエチレン、キャストポリプロピレン、二軸配向ポリプロピレン、及び二軸配向ポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも1つを含む、[1]に記載の前記多層構造体。
[4]前記金属化フィルムが、1つ以上の追加のポリエチレン層を更に備える、[1]に記載の前記多層構造体。
[5]前記金属化フィルムが、接着剤積層または押出積層によって前記基材上に積層され、前記多層構造体が、前記表皮層が1つ以上の移行性添加剤を含有することを除いて同一である組成物を有する多層構造体と比較して、より良好な付着強度及びより低度な金属移行を示す、[1]に記載の前記多層構造体。
[6]前記構造体が、袋または包装フィルムである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の前記多層構造体。
[7]前記構造体が、ある形状に積層、印刷、及び/または形成される、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の前記多層構造体。
[8]前記多層フィルムが、キャストフィルムプロセスまたは吹込フィルムプロセスによって生成される、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の前記多層構造体。
[9]前記金属化フィルムが、2〜3の光学密度を有する、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の前記多層構造体。