(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180632
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】可搬式硬表面洗浄器具
(51)【国際特許分類】
A47L 1/05 20060101AFI20170807BHJP
B60S 1/66 20060101ALI20170807BHJP
A47L 7/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
A47L1/05
B60S1/66
A47L7/00 A
【請求項の数】21
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-526456(P2016-526456)
(86)(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公表番号】特表2016-527951(P2016-527951A)
(43)【公表日】2016年9月15日
(86)【国際出願番号】EP2013065247
(87)【国際公開番号】WO2015007329
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2016年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】505201098
【氏名又は名称】アルフレッド ケルヒャー ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン ステーウェン
(72)【発明者】
【氏名】アンネ オーベルレンデル
(72)【発明者】
【氏名】サンドラ バルテル
【審査官】
石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許第02230980(EP,B1)
【文献】
登録実用新案第3108311(JP,U)
【文献】
特開2012−055500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 1/02
A47L 1/05−1/08
A47L 7/00
A47L 11/34
B60S 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬表面から液体を拭き去って吸い取るための可搬式硬表面洗浄器具であって、
少なくとも1つの拭き去りリップ(132、134)が配置される吸引開口(130)を備えた吸引ノズル(126)と、
前記吸引開口(130)から気液混合体を吸い取るための、前記吸引ノズル(126)と流れ接続している吸引ユニット(14)と、
前記吸引ノズル(126)と前記吸引ユニット(14)との間の流路内に位置決めされると共に、前記気液混合体から液体を分離するための分離装置(120、122)が配置される分離チャンバ(118)と、
前記分離チャンバ(118)内で分離された前記液体を受けるための汚濁液タンク(60)が解放可能に保持されるタンク収容区画(30)と
を含み、
前記タンク収容区画(30)が、少なくとも1つの支持要素(40)及び少なくとも1つの保持要素を含み、
前記少なくとも1つの支持要素(40)が、前記汚濁液タンク(60)の下方タンク区域(88)の下から係合し、
前記少なくとも1つの保持要素が、前記汚濁液タンク(60)の上方タンク区域(82)に解放可能に接続可能である、
可搬式硬表面洗浄器具において、
前記硬表面洗浄器具(10)が、前記汚濁液タンク(60)の前記上方タンク区域(82)を間で受ける2つの保持要素(90、92)を含み、前記汚濁液タンク(60)が、両側において、前記保持要素(90、92)の下で前記タンク収容区画(30)から突き出ること、を特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項2】
請求項1に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記可搬式硬表面洗浄器具(10)が、前記吸引ユニット(14)が配置される基部(12)を含むことを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項3】
請求項2に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記基部(12)が、前記タンク収容区画(30)を形成することを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記可搬式硬表面洗浄器具(10)が、前記分離チャンバ(118)が配置される分離部(114)を含むことを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項5】
請求項4に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記分離部(114)が、前記基部(12)に解放可能に接続されることを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記吸引ノズル(126)が、前記分離部(114)に解放可能に接続されることを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、
前記硬表面洗浄器具(10)が垂直に整列する時に、前記汚濁液タンク(60)の前記下方タンク区域(88)が、前記タンク収容区画(30)の支持エリア(38)内に垂直方向に挿入可能であり、
前記汚濁液タンク(60)を水平枢軸の周りで枢動することにより、前記上方タンク区域(82)が、前記上方タンク区域(82)が前記2つの保持要素(90、92)間で位置決めされる保持位置へとその後枢動可能であること
を特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記上方タンク区域(82)が、前記2つの保持要素(90、92)に解放可能に掛止可能であることを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項9】
請求項8に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、
第1掛止要素が、前記上方タンク区域(82)上で前記汚濁液タンク(60)の互いから離れる方を向く外側(74、76)に配置され、
前記保持要素(90、92)上に配置された第2掛止要素が、前記第1掛止要素の後方に係合可能であること
を特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記タンク収容区画(30)が後壁(32)を有し、前記汚濁液タンク(60)が該後壁(32)のエリア内で寄りかかり、該後壁(32)が少なくとも1つの貫通開口(52、56)を有することを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項11】
請求項10に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記汚濁液タンク(60)が、少なくとも1つの貫通開口(52)内へ延びることを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、
前記硬表面洗浄器具(10)が取手(22)を含み、
前記後壁(32)の少なくとも1つの貫通開口(52)が開放する取手開口が、前記取手(22)と前記タンク収容区画(30)の前記後壁(32)との間に配置されること
を特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項13】
請求項10、11、又は12に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、少なくとも1つの貫通開口(52)が、前記2つの保持要素(90、92)間に配置されるエリア内へ延びることを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、
前記硬表面洗浄器具(10)が、前記分離チャンバ(118)内で分離された前記液体を前記汚濁液タンク(60)に充填するための充填装置(94)を含み、
前記充填装置(94)が、前記汚濁液タンク(60)の上側(62)に位置決め可能であると共に前記汚濁液タンク(60)の充填用開口(64)を介して前記汚濁液タンク(60)内へ延びる充填チャネル(98)が保持される保持部材(96)を有し、
前記保持部材(96)が、前記分離チャンバ(118)と前記汚濁液タンク(60)との間で緊締可能であること
を特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項15】
請求項14に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、垂直方向で互いの中に挿入可能な案内要素(66、68、102、104)が、前記汚濁液タンク(60)の上側(62)に及び前記保持部材(96)上に配置されることを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項16】
請求項15に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記汚濁液タンク(60)の上側(62)に配置される前記案内要素が、前記充填用開口(64)の両側に配置される案内ピン(66、68)として構成されることを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項17】
請求項16に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記保持部材(96)上に配置される前記案内要素が、前記案内ピン(66、68)を受ける案内溝(102、104)として構成されることを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項18】
請求項14〜17のいずれか1項に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、
前記汚濁液タンク(60)が、保持プレート(108)により包囲されるカラー(63)を含み、
前記汚濁液タンク(60)の排水口(112)を閉鎖するための閉鎖プラグ(110)が、前記保持プレート(108)に固定されること
を特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項19】
請求項18に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記保持プレート(108)が、前記保持部材(96)と前記汚濁液タンク(60)との間で緊締されることを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項20】
請求項14〜19のいずれか1項に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記保持部材(96)が、プレート形の構成であることを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【請求項21】
請求項14〜20のいずれか1項に記載の可搬式硬表面洗浄器具であって、前記保持部材(96)が、楔形の構成であることを特徴とする可搬式硬表面洗浄器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬表面から、特に窓ガラスから液体を拭き去って吸い取るための可搬式硬表面洗浄器具であって、少なくとも1つの拭き去りリップが配置される吸引開口を備えた吸引ノズルと、前記吸引開口から気液混合体を吸い取るための、前記吸引ノズルと流れ接続している吸引ユニットと、前記吸引ノズルと前記吸引ユニットとの間の流路内に位置決めされると共に、気液混合体から液体を分離するための分離装置が配置される分離チャンバと、前記分離チャンバ内で分離された前記液体を受けるための汚濁液タンクが解放可能に保持されるタンク収容区画とを含み、このタンク収容区画が少なくとも1つの支持要素及び少なくとも1つの保持要素を含み、前記少なくとも1つの支持要素が、前記汚濁液タンクの下方タンク区域の下から係合し、前記少なくとも1つの保持要素が、前記汚濁液タンクの上方タンク区域に解放可能に接続可能である、可搬式硬表面洗浄器具に関する。
【背景技術】
【0002】
このような可搬式硬表面洗浄器具が、例えばEP 2 237 711 B1から、ならびにEP 2 230 980 B1及びEP 2 227 126 B1からも知られている。この可搬式硬表面洗浄器具を用いて、硬表面、特に窓ガラスを洗浄することができる。可搬式硬表面洗浄器具は、少なくとも1つの拭き去りリップを、手動によるゴムぞうきんのやり方で硬表面に沿って移動させることができるのであり、硬表面から液体を拭き去ることができる。液体は可搬式硬表面洗浄器具の吸引ノズルの吸引開口に集積するのであり、この液体を吸引開口から吸い取り、汚濁液タンクに転移することができる。この目的で、可搬式硬表面洗浄器具は吸引ノズルと流れ接続している吸引ユニットを含む。吸引ユニットによって、吸引開口のエリア内に吸引流れを発生させることができ、その効果下に吸引開口を介して液体及び気体の混合体を吸い込むことができる。
【0003】
吸引ノズルと吸引ユニットとの間の流路内に分離チャンバが位置決めされる。分離チャンバ内に配置されるのは、気液混合体から液体をそれによって分けることのできる分離装置である。液体はその後、汚濁液タンク内に集積することができるのであり、この汚濁液タンクは、タンク収容区画内で解放可能に保持される。吸込み空気を吸引ユニットにより環境に放出することができる。
【0004】
汚濁液タンクは、タンク収容区画内でタンク収容区画の支持要素及び保持要素によって固定される。少なくとも1つの支持要素が汚濁液タンクの下方タンク区域の下から係合し、汚濁液タンクの上方タンク区域は、少なくとも1つの保持要素によってタンク収容区画に解放可能に接続することができる。このことにより、使用者が必要に応じてタンク収容区画から汚濁液タンクを除去し、その後、汚濁液タンクをタンク収容区画内に再度挿入することが可能になる。汚濁液タンクは、例えば使用者が空にしたい場合、除去し及び挿入することができる。
【0005】
冒頭で言及した種類の可搬式硬表面洗浄器具は、実務におけるその価値を証明している。普通、タンク収容区画の保持要素が汚濁液タンクの上方タンク区域の上から係合するのであり、タンク収容区画内に挿入された汚濁液タンクは、タンク収容区画の下端に配置された支持要素と、タンク収容区画の上端に配置された保持要素との間に位置をとる。これにより、汚濁液タンクの高い寸法精度が必要になるため硬表面洗浄器具の製造はかなりの費用を伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 2 237 711 B1
【特許文献2】EP 2 230 980 B1
【特許文献3】EP 2 227 126 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、前記一般的な種類の可搬式硬表面洗浄器具を、より費用効果的に製造できるように更に発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、本発明によれば冒頭で言及した種類の可搬式硬表面洗浄器具に関して、前記硬表面洗浄器具が、前記汚濁液タンクの前記上方タンク区域を間で受ける2つの保持要素を含むという点で達成される。
【0009】
本発明による前記可搬式硬表面洗浄器具において、前記汚濁液タンクは前記タンク収容区画内で、前記汚濁液タンクの下から係合する前記タンク収容区画の少なくとも1つの支持要素と、前記汚濁液タンクの上方タンク区域を間で受ける2つの保持要素とにより固定される。このような構成は、前記汚濁液タンクの前記寸法精度の要件を比較的低く保てるという利点を有する。前記汚濁液タンクの上方タンク区域における幅は、前記2つの保持要素間の距離に対応することが確実にされねばならない。この要件は、比較的単純な仕方で満たすことができる。例えば、前記汚濁液タンクが、ブロー成形過程において作製されたプラスチック部を形成することを実現することができる。これとは対照的に、前記タンク収容区画は射出成形過程において、一部分又は多部分、特に2部分プラスチック成形部として、前記2つの保持要素間の前記距離を前記汚濁液タンクの前記上方タンク区域における前記幅に対応させて作製することができる。この要件は、特に前記射出成形過程において狭い寸法公差で、費用効果的なやり方において満たすことができる。
【0010】
前記吸引ユニットが配置される基部を前記可搬式硬表面洗浄器具が含むことが有利である。
【0011】
前記基部は、好ましくは前記タンク収容区画を形成する。
【0012】
有利な実施形態において、前記可搬式硬表面洗浄器具は前記分離チャンバが配置される分離部を含む。
【0013】
前記分離部が、前記基部に解放可能に接続されることが好都合である。
【0014】
前記吸引ノズルが、前記分離部に解放可能に接続されることを実現することができる。
【0015】
前記硬表面洗浄器具が垂直に整列する時に、前記汚濁液タンクの前記下方タンク区域が前記タンク収容区画の支持エリア内に垂直方向で挿入可能であり、その後、前記汚濁液タンクを水平枢軸の周りで枢動することにより、前記上方タンク区域は、前記上方タンク区域が前記2つの保持要素間に位置決めされる保持位置へと枢動可能であることが好都合である。このことにより、前記汚濁液タンクをタンク収容区画内へ挿入すること及び前記汚濁液タンクを前記タンク収容区画から除去することが促進される。
【0016】
前記2つの保持要素は、好都合なことに弾性的に変形可能な構成である。
【0017】
前記上方タンク区域が、前記2つの保持要素に解放可能に掛止可能であることが特に有利である。
【0018】
例えば前記上方タンク区域上で、前記汚濁液タンクの互いから離れる方を向く外側に第1掛止要素が配置され、前記保持要素上に配置された第2掛止要素が前記第1掛止要素の後方に係合可能であることを実現することができる。
【0019】
前記第1掛止要素は、例えば前記汚濁液タンクの前記上端に配置された凹部の形態に構成することができ、前記汚濁液タンクが前記タンク収容区画内に挿入される際に、前記凹部に相補的構成である掛止突起がこの凹部の後方に係合することができる。この目的で、前記保持要素は前記対応する掛止突起を形成することができる。
【0020】
前記2つの保持要素は、好ましくは保持アームとして構成される。
【0021】
本発明の有利な構成において、前記保持アームは前記タンク収容区画の側壁に形成される。
【0022】
使用者が前記汚濁液タンクを前記タンク収容区画から除去することをより簡単にするために、有利な構成における前記汚濁液タンクは両側において前記保持アームの下で前記タンク収容区画から突き出る。使用者は、前記汚濁液タンクを、前記両側が前記タンク収容区画から突き出る前記タンクエリアにて把持する可能性を有するため、前記汚濁液タンクを前記タンク収容区画から容易に除去し及び前記汚濁液タンクを前記タンク収容区画内に挿入することができる。
【0023】
前記両側が前記タンク収容区画から突き出る前記タンクエリアは、例えば、リブ様の又はストリップ様の構成とすることができる。
【0024】
前記汚濁液タンクが寄りかかると共に少なくとも1つの貫通開口を有する後壁を前記タンク収容区画が有することが特に有利である。少なくとも1つの貫通開口を設けることにより、前記基部の重量を低減することが可能になり、これにより前記可搬式硬表面洗浄器具の取り扱いが促進される。更に、前記タンク収容区画の前記後壁内に少なくとも1つの貫通開口を設けることにより前記硬表面洗浄器具を製造するための材料の量を低減することができるため、前記硬表面洗浄器具を特に費用効果的に製造することができる。
【0025】
本発明の有利な構成において、前記汚濁液タンクは前記後壁内の少なくとも1つの貫通開口内へ延びる。この目的で、前記汚濁液タンクは前記タンク収容区画の前記後壁を向くその後ろ側に、その輪郭が前記後壁内の貫通開口の輪郭に適合する少なくとも1つの突出エリアを有することができる。前記突出エリアは、前記貫通開口内に延びることができるため、前記汚濁液タンクの前記タンク収容区画内での固定が強化される。
【0026】
本発明の有利な実施形態において、前記硬表面洗浄器具は取手を含み、前記取手と前記タンク収容区画の前記後壁との間に配置されるのは、前記後壁の少なくとも1つの貫通開口が開放する取手開口である。使用者は、前記基部の前記取手を把握することができ、そうする際、前記タンク収容区画の前記後壁と前記取手との間の前記取手開口を通して指が届く。使用者にとって、前記タンク収容区画内に挿入された前記汚濁液タンクは、前記取手開口の前記エリアにおいて前記後壁内の前記少なくとも1つの貫通開口を介してアクセス可能である。このことにより、使用者は前記後壁内の前記貫通開口にて前記汚濁液タンクを押し進めることが可能になる。このことにより、前記汚濁液タンクを前記タンク収容区画から除去することが促進される。
【0027】
好都合なことに、前記タンク収容区画の前記後壁内の少なくとも1つの貫通開口が、前記2つの保持要素間に配置されるエリア内へ延びる。これによって、使用者は前記2つの保持要素間の前記エリアにおいて前記汚濁液タンクを前記後壁内の前記貫通開口を介して押し進め、前記保持要素と前記汚濁液タンクとの間の機械的接続を解放することができる。従って、前記汚濁液タンクの前記タンク収容区画からの除去が特に簡単になる。
【0028】
上述したように、前記汚濁液タンクは前記分離チャンバ内で分離された前記液体を集積する。特に好適な構成において、本発明による前記可搬式硬表面洗浄器具は、前記分離チャンバ内で分離された前記液体を前記汚濁液タンクに充填するための充填装置を含むのであり、前記汚濁液タンクの上側に位置決め可能であると共に、前記汚濁液タンクの充填用開口を介して前記汚濁液タンク内へ延びる充填チャネルが保持される保持部材を前記充填装置は有し、前記保持部材は前記分離チャンバと前記汚濁液タンクとの間で緊締可能である。
【0029】
前記分離チャンバ内で前記充填装置を介して分離された前記液体を前記汚濁液タンクに充填することができる。前記分離された液体は前記汚濁液タンクに、前記充填チャネルを介して侵入する。前記充填チャネルは、前記分離チャンバと前記汚濁液タンクとの間で緊締することのできる保持部材上で保持される。このことにより、前記硬表面洗浄器具の構造的設計が簡素化され、その製造費用が低減される。
【0030】
垂直方向で互いの中に挿入可能な案内要素が、前記汚濁液タンクの上側に及び前記保持部材上に配置されることが有利である。前記充填チャネルが前記汚濁液タンク内へ延びる状態では、前記案内要素は、前記保持部材の前記汚濁液タンク上での位置決めを促進する。
【0031】
前記案内要素は、例えば案内ピンの前記形態にすることができ、これらの案内ピンと相補的構成である容器を案内することができる。
【0032】
前記汚濁液タンクの上側に配置される前記案内要素が、前記汚濁液タンクの充填用開口の両側に配置される案内ピンとして構成されることが特に有利である。
【0033】
本発明の有利な実施形態において、前記汚濁液タンクは保持プレートにより包囲されるカラーを含み、前記保持プレートには、前記汚濁液タンクの排水口を閉鎖するための閉鎖プラグが固定される。このような構成を用いれば、使用者は、閉鎖プラグによって閉鎖することのできる排水口を介して前記汚濁液タンクを空にする前記可能性を有する。前記閉鎖プラグが紛失しないようにするために、閉鎖プラグは前記汚濁液タンクのカラーを包囲する保持プレート上で保持される。
【0034】
前記閉鎖プラグは、好ましくは、前記保持プレートと組み合わさって、一部分のプラスチック成形部を形成する。
【0035】
前記保持プレートが前記保持部材と前記汚濁液タンクとの間で緊締されることが好都合である。
【0036】
上述したように、前記充填装置の前記保持部材の、対応する案内要素と相互作用する案内要素が、前記汚濁液タンクの上側に配置されることが好都合である。これに関連して、前記保持プレートが、前記案内要素に解放可能に接続可能であることが有利である。前記保持プレートは、例えば、前記案内要素がそこを通って延びる開口を有することができる。
【0037】
好適な構成において、前記保持部材はプレート形の構成である。このことは、前記充填装置に高い機械的安定性を与える。
【0038】
前記保持部材が楔形の構成であることが特に好都合である。
【0039】
前記充填装置は、好ましくは、前記充填チャネルに加えて、前記汚濁液タンク内に液体を充填する際に空気が前記汚濁液タンクから前記分離チャンバ内にそれを介して逸出することのできる通気チャネルを含む。
【0040】
前記通気チャネルは、好都合なことに前記充填チャネルと平行に延びる。
【0041】
前記通気チャネルが、前記充填チャネルの前記分離チャンバを向く自由端を越えて突き出ることが有利である。
【0042】
本発明による前記硬表面洗浄器具は、好ましくは可搬式窓用洗浄器具を形成する。
【0043】
図面と合わせると更に説明するため、本発明の有利な実施形態の以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図3】
図1の硬表面洗浄器具の汚濁液タンクを備えた基部の斜視図。
【
図6】
図1の硬表面洗浄器具の充填装置を共に備えた汚濁液タンクの斜視図。
【
図7】充填装置のない
図1の汚濁液タンクの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
全体として参照符号10で表す、本発明による可搬式硬表面洗浄器具の有利な実施形態を、図面に概略的に示す。可搬式硬表面洗浄器具10によって、液体を硬表面から特に窓ガラスから拭き去って吸い取ることができる。硬表面洗浄器具10は、手動による窓用ゴムぞうきんのやり方で、使用者により硬表面に沿って移動させることができる。従って、本発明による可搬式硬表面洗浄器具は、窓用洗浄器具を形成する。
【0046】
硬表面洗浄器具10は、特に
図5で概略的に示す基部12を含む。基部12は、電気モータ18により回転させられる吸引タービン16を備えた吸引ユニット14を包囲する。吸引タービン16により、弓形に湾曲したタービン入口線20を介して空気を引き込むことができる。タービン入口線20は、基部12の取手22を通って走る。取手22は使用者により把握することができる。
【0047】
基部12は、吸引ユニット14に加えて、再充電可能なバッテリ24及び制御エレクトロニクス26を収容する。
【0048】
吸引ユニット14は、タービン入口線20がそれに一体的に接続される内部ハウジング28内に、バッテリ24及び制御エレクトロニクス26と共に配置される。吸引ユニット14は吸引タービン16及び電気モータ18を含む。内部ハウジング28は、吸引ユニット14用、バッテリ24用、及び制御エレクトロニクス26用の泥よけを形成する。
【0049】
基部12は、取手22から距離をおいたところに、基本的に後壁32と第1側壁34と第2側壁36とを備えたタブのやり方で構成されるタンク収容区画30を形成する。タンク収容区画30の下方エリアにおいて後壁32に接しているのは、支持エリア38である。支持エリア38は、そのうちの1つのみの支持要素40が図面において認識可能である、後壁32から突き出る2つの支持要素と、支持要素40の周りに係合する2つの把持用アーム42、44とにより形成される。
【0050】
後壁32は、略垂直に延びる上方壁区域46と、垂直線に対して傾いて整列する隣接の中間壁区域48と、階段状構成である下方壁区域50とを有する。上方壁区域46において、後壁32は、取手22と後壁32との間に配置された取手開口54にタンク収容区画30がそれを介して接続される第1貫通開口52を有する。使用者は、取手22を把握する際、取手開口54を通して指が届くことができる。
【0051】
中間壁区域48において、後壁32は、吸引ユニット14のタービン出口線58がそこを通って走る第2貫通開口56を有する。このことは
図5から明らかであろう。
【0052】
タンク収容区画30内に挿入可能であるのは、必要に応じてこのタンク収容区画30から再度除去することもできる汚濁液タンク60である。汚濁液タンク60は、タンク収容区画30によりそのエリア内にポジティブロックによって収容される。汚濁液タンク60は上側62に、第1案内ピン66と第2案内ピン68との間に配置される、充填用開口64を備えた充填用ネック63を有する。2つの案内ピン66、68は、汚濁液タンク60の上側62から垂直方向に突き出る。
【0053】
汚濁液タンク60は、2つの案内ピン66、68に隣接して、汚濁液タンク60の互いから離れる方を向く狭窄側74、76に配置される2つの凹部70、72を形成する。
【0054】
汚濁液タンク60は、後壁32を向くその後ろ側78に、第1貫通開口52内へ延びる突出エリア80を有する。
【0055】
突出エリア80、ならびに凹部70、72及び案内ピン66、68は、汚濁液タンク60の上方タンク区域82内に置かれる。上方タンク区域82に接しているのは、後壁32の中間壁区域48から距離をとる傾斜面86を有する中間タンク区域84である。このことは、特に
図2から明らかである。
【0056】
中間タンク区域84に接しているのは、
図2に示すように硬表面洗浄器具10が垂直に整列する時に、垂直方向で支持エリア38内に挿入することのできる下方タンク区域88である。その場合、上方タンク区域82は、汚濁液タンク60の突出エリア80が後壁32内の第1
貫通開口52に侵入するように、水平に整列する枢軸の周りで後向きに枢動することができる。
【0057】
タンク収容区画30の側壁34及び36には、凹部70、72の高さのところに、保持アーム90、92の形態の弾性的に変形可能な保持要素が形成される。保持アーム90、92は平面図ではL形をしている。保持アーム90、92は、これらの保持アーム間に上方タンク区域82を凹部70、72のエリア内で受け、凹部70、72の後方に係合する。このことは、特に
図4から明らかであろう。
【0058】
従って、汚濁液タンク60はタンク収容区画30に、凹部70、72及び相補的構成である保持アーム90、92によって掛止することができる。凹部70、72は、保持アーム90、92と相互作用して解放可能な掛止接続を確立する第1掛止要素を形成する。保持アーム90、92は、第1掛止要素と相互作用する第2掛止要素を形成する。
【0059】
汚濁液タンク60のタンク収容区画30からの除去を促進するために、使用者は、弾性的に変形可能な保持アーム90、92が凹部70、72を解放するように、汚濁液タンク60を突出エリア80において、後壁32内の第1貫通開口52を通して押し進めることができ、そうすると汚濁液タンク60を支持エリア38から除去することができる。
【0060】
汚濁液タンク60には、充填装置94を介して充填が行われる。充填装置94は、楔形の構成であり汚濁液タンク60の上側62に垂直方向に設置することのできるプレート形の保持部材96を有する。保持部材96はその下側で、汚濁液タンク60内へ延びる充填チャネル98を担持するのであり、充填チャネル98と平行に走るのは通気チャネル100である。通気チャネル100も、汚濁液タンク60内へ延び、上端区域が保持
部材96を越えて突き出る。このことは、特に
図2から明らかであろう。
【0061】
保持部材96は、第1案内溝102及び第2案内溝104の形態の2つの案内要素を有する。保持部材96が汚濁液タンク60の上側62に設置される際、第1案内溝102は第1案内ピン66を受け、第2案内溝104は第2案内ピン68を受ける。2つの案内ピン66、68は、2つの案内溝102、104と組み合わさって、互いに垂直方向で係合する案内要素を形成する。このことにより、保持部材96の汚濁液タンク60の上側62での位置決めが促進される。
【0062】
上述したように、汚濁液タンク60はその上側62に充填用ネック63を有する。充填用ネック63の周りに保持プレート108が係合することができる。保持プレート108は、汚濁液タンク60の排水口112をそれによって閉鎖することのできる閉鎖プラグ110に一体的に接続される。汚濁液タンク60は排水口112を介して空にすることができる。従って、汚濁液タンク60を空にするには、使用者は一方で、タンク収容区画30から汚濁液タンク60を丸ごと除去し、その後、汚濁液タンク60を充填用開口64を介して空にできるように汚濁液タンク60から充填装置94を除去する可能性を有し、他方で、使用者は汚濁液タンク60をタンク収容区画30内に残し、空にする目的で排水口112から閉鎖プラグ110を引き出すだけの可能性を有する。この間、閉鎖プラグ110は、汚濁液タンク60上で保持プレート108によって脱落しないように保持される。汚濁液タンク60が空にされた後、使用者は閉鎖プラグ110を排水口112内に再度挿入し、これによって排水口をきっちりと閉鎖することができる。
【0063】
基部12及び汚濁液タンク60に頂部で接しているのは、掛止接続により基部12に解放可能に接続される分離部114である。掛止接続を解放するために、分離部114の外側に押しボタンが配置される。図面では、押しボタン116が1つのみ認識可能である。更なる押しボタンが、分離部114の反対側に配置される。
【0064】
分離部114は、分離装置が配置される分離チャンバ118を形成する。分離装置は、以下でより詳細に説明する衝突壁120及び衝突プレート122により形成される。衝突壁120は弓形に湾曲しており、分離チャンバ118内に配置されてタービン入口線20が接続されるパイプ区域124の口状部エリアを網羅する。
【0065】
分離部114に頂部で接しているのは、吸引線128を含む吸引ノズル126である。吸引線128は、第1拭き去りリップ132及び第2拭き去りリップ134がそこに配置される吸引開口130から走る。吸引線128は、端部区域が拭き去りリップ132、134から離れる方を向いた状態で、分離チャンバ118内へ延びる。吸引線128は、分離チャンバ118内へ延びるその端部では、衝突プレート122がそれに固定されると共に吸引出口138をそれの間で規定する複数の保持ウェブ136を形成する。
【0066】
分離チャンバ118は吸引ユニット14により負圧を受けることができる。この目的で、吸引ユニット14は、タービン入口線20及びパイプ区域124を介して分離チャンバ118と流れ接続している。分離チャンバ118が負圧を受けるおかげで、吸引開口130から出発して吸引線128を介する吸引流れが形成され、この吸引流れが吸引開口130から吸引ユニット14まで走る。
【0067】
上述したように、可搬式硬表面洗浄器具10は使用者により硬表面に沿って、特に窓ガラスに沿って移動させることができる。このことにより、第1拭き去りリップ132及び第2拭き去りリップ
134を用いて硬表面から液体を拭き去ることが可能になる。この間、液体は吸引開口130に集積し、吸引空気と共に吸引線128を介して分離チャンバ118内に吸引される。分離チャンバ118内では、気液混合体は、まず運び去られる液体の一部がそこで分離される衝突プレート122に当たる。衝突プレート122から距離をおいたところに配置される衝突壁120で、液体の更なる分離が生じる。その際、吸込み空気は、パイプ区域124及びタービン入口線20を介して吸引ユニット14の吸引タービン16まで通ることができる。吸込み空気は吸引タービン16からタービン出口線58を介して、タンク収容区画30の後壁32の中間壁区域48と汚濁液タンク60の中間タンク区域84との間に配置される空気出口空間140内へ導かれる。その後、吸込み空気は空気出口空間140から、間隙状の空間142を介して環境に放出することができる。空間142は中間タンク区域84内で、タンク収容区画30の側壁34、36と汚濁液タンク60の狭窄側74、76との間に延びる。
【0068】
従って、汚濁液タンク60はタンク収容区画32と組み合わさって、吸引タービン16により環境に放出される吸引空気用の流れラビリンスを形成する。このことにより、可搬式硬表面洗浄器具10の雑音発生がかなり低減する。
【0069】
分離チャンバ118内で分離された液体は、充填チャネル98を介して汚濁液タンク60に入るため、同時に、汚濁液タンク60内に存在している空気を通気チャネル100を介して分離チャンバ118に放出し、この分離チャンバから、パイプ区域124及びタービン入口線20を介して吸い出すことができる。