特許第6180633号(P6180633)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6180633-安全機能が向上したロック機構 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180633
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】安全機能が向上したロック機構
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/427 20060101AFI20170807BHJP
   B60N 2/44 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B60N2/427
   B60N2/44
【請求項の数】7
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-526597(P2016-526597)
(86)(22)【出願日】2014年7月16日
(65)【公表番号】特表2016-525042(P2016-525042A)
(43)【公表日】2016年8月22日
(86)【国際出願番号】EP2014065223
(87)【国際公開番号】WO2015007767
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2016年3月11日
(31)【優先権主張番号】102013011875.1
(32)【優先日】2013年7月17日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013018183.6
(32)【優先日】2013年10月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502156098
【氏名又は名称】ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】リンネンブリンク、 ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】キーンケ、 インゴ
(72)【発明者】
【氏名】フォン ボーデンハウゼン、 ヨルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ロトシュタイン、 ゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】グリュードル、 ペーター
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−265484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/427
B60N 2/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車におけるロック機構(1)であって、2つの要素(2、4)が接触領域(10)に沿って互いに当接し、前記要素は操作荷重及び事故荷重を受け、少なくとも一方の要素(2、4)が少なくとも前記接触領域にコーティング(9)を有し、前記コーティング(9)は事故荷重下では、前記2つの要素間の接触領域(10)が拡大され且つ/又は前記2つの要素間の摩擦係数が増大するように変わり、
前記コーティング(9)は複数の層を有し、
隣接する要素(2)が事故荷重下では前記コーティング(9)の最も外側の層を少なくとも部分的に剥がし且つ/又は破壊し、それによって更なる層を解放し、前記更なる層に前記要素(2)が当接する、ロック機構。
【請求項2】
前記コーティング(9)は低摩擦係数を有する表面を有し、従って、前記ロック機構は操作荷重下では比較的容易に外すことができる請求項1に記載のロック機構。
【請求項3】
前記解放された層は当初の最も外側の層よりも大きな表面粗さを有する請求項に記載のロック機構。
【請求項4】
前記コーティングは中空要素有し、前記中空要素は事故荷重下では少なくとも部分的に破壊され、その結果として、前記2つの要素間の接触面積及び/又は前記要素(2)と前記コーティング(9)との間の摩擦係数が増大する請求項1からのいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項5】
前記コーティング(9)は、比較的硬い内側層と比較的柔らかい外側層とを有する多層システムある請求項1からのいずれか1項に記載のロック機構。
【請求項6】
前記比較的硬い内側層はニッケル及びダイヤモンドコーティングである請求項に記載のロック機構。
【請求項7】
前記比較的硬い内側層は、減摩仕上げとしてのプラスチック層覆われている請求項又はに記載のロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの要素が互いに対してロックするように当接する自動車におけるロック機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このタイプのロック機構は、従来技術から知られており、例えば背もたれを座部に対してロックするために、自動車シートの領域で使用されている。ロック機構はこの場合、正常動作条件下では容易に外すことができるが、事故の際にはそのロック位置に確実に留まるように設けられることを目的としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、このタイプのロック機構を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、自動車におけるロック機構であって、2つの要素が接触領域に沿って互いに当接し、要素は操作荷重及び事故荷重を受け、少なくとも一方の要素が少なくとも接触領域にコーティングを有し、コーティングは事故荷重下では、2つの要素間の接触領域が拡大され且つ/又は2つの要素間の摩擦係数が増大するように変わるロック機構によって達成される。
【0005】
本発明は、例えば背もたれを車両シートの座部又は車両の本体に固定するための、自動車における、特に自動車シートにあるロック機構に関するものである。このタイプのロック機構は、例えばブロックラッチ又はブロック爪として知られている。ロック機構は、ロック状態からロック解除状態へ及びその逆に移動させることができる。ロック機構は、操作荷重、すなわち誤操作の場合であっても操作中に発生する荷重と事故荷重の両方によって自動車内で圧力を加えられ、それに対応して構成されなければならない。操作荷重下では、ロック機構は外すのが容易であることが意図され、このために好ましくは、ロック機構を外すのに加えなければならない力が要素のロック位置からの距離に伴って減少する、特別な閉鎖曲線を有する。事故の際には、要素がロック位置を離れることを確実に防がなければならない。
【0006】
本発明によれば、ロック機構は少なくとも2つの要素を有し、少なくとも2つの要素は少なくともロック状態では接触領域で互いに当接する。また、本発明によれば、少なくとも一方の要素、好ましくは両方の要素が少なくとも接触領域にコーティングを有し、コーティングは事故荷重下では、2つの要素間の接触領域が拡大され且つ/又は2つの要素間の摩擦係数が増大するように変わる。
【0007】
コーティングは好ましくは、他方の要素と接触する、低摩擦係数を有する表面を有し、従って、ロック機構は、操作荷重下では外すのが比較的容易である。
【0008】
また好ましくは、コーティングは複数の層を有し、最も外側の層は好ましくは、事故荷重下では少なくとも部分的に剥がされ及び/又は破壊され、結果として、更なる層を解放し、更なる層によって、要素とコーティングとの間の接触領域、すなわち接触面積及び/又は要素とコーティングとの間の摩擦係数が増大する。事故の場合には、これにより2つの要素間の改善された形状嵌め、圧力嵌め及び/又は摩擦接続がもたらされ、従って、前記要素はせいぜい互いに対してわずかしか移動することができない。例えば、解放された層は、当初の最も外側の層よりも大きな表面粗さを有する。
【0009】
代わりに又は加えて、コーティングは、事故荷重下では隣接する要素によって少なくとも部分的に破壊される構成要素、例えば中空要素、特に中空ボールを有することができ、その結果として、前記要素とコーティングとの間の接触面積及び又は前記要素とコーティングとの間の摩擦係数が増大する。
【0010】
コーティングは好ましくは、例えば比較的硬い内側層と比較的柔らかい外側層とを有する多層システム、特に2層システムである。比較的硬い内側層の一例はニッケル及びダイヤモンドコーティングであり、ニッケル及びダイヤモンドコーティングは減摩仕上げとしてのプラスチック層、例えばポリアミドイミド(PAI)で覆われている。減摩仕上げは、操作荷重下ではコーティングと隣接する要素との間の比較的低い摩擦を提供する。プラスチックは好ましくは充填手段、特に無機充填手段を有し、従って、減摩仕上げは事故荷重下ではより迅速に崩壊する。内側層と要素との間でその後に行われる接触は、摩擦係数の増加及び/又は圧力嵌め接続の向上につながる。
【0011】
層は、当業者にとって通常の任意の方法で塗布することができ、例えば気相から堆積させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図3を参照して本発明を説明する。これらの説明は、単なる例にすぎず、包括的発明概念を制限するものではない。
図1】本発明によるロック機構を示す。
図2】表面コーティングの設計の例を示す。
図3】表面コーティングの設計の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明によるロックを3つの異なる状態で示している。本発明によるロック機構1はホルダー6を有し、ホルダー6は、例えば車両シートの座部に配置され、その一端に歯の形態の形状嵌め及び/又は圧力嵌め手段を有する。前記形状嵌め及び/又は圧力嵌め手段は、相補的な形状嵌め及び/又は圧力嵌め手段(本例では歯)とロックするように相互作用し、相補的な形状嵌め及び/又は圧力嵌め手段は、例えば車両シートの背もたれをホルダー6が固定された座部にロックするために、第2要素4(本例ではラッチ爪)に設けられている。第2要素は、本例では例えば背もたれに接続される。このロックを解除することができるようにするために、第2要素4は回転軸5の周りに回転可能に取り付けられている。時計回りの方向の回転の場合には、第2要素4とホルダー6との間の形状嵌め及び/又は圧力嵌め接続が解除される。第2要素(本例ではラッチ爪4)をそのロック位置に固定するために、ロック機構は第1要素2(本例では固定手段)を有し、第1要素2は接触領域10で第2要素4に当接する。第1要素2は、好ましくは車両シートの背もたれに、詳細には回転可能に取り付けられている。図1の左側には、ラッチ爪に対する固定要素の初期位置が示されている。第2要素4の形状嵌め及び/又は圧力嵌め手段(本例では歯)は、ホルダー6の相補的な形状嵌め及び/又は圧力嵌め手段と係合している。固定を改善するため、あり得る遊びを補償するため、及び/又は第2要素4をその位置に固定するために、第1要素2は、矢印7によって示されるように、時計回りの方向に回転させられ、その結果として第2要素4は反時計回りに回転し、結果として、第2要素4とホルダー6との間の形状嵌め及び/又は圧力嵌め接続が向上する(図1の中央の図参照)。第2要素の移動は矢印8によって表される。当業者には、2つの要素2、4が互いに対して移動すると、第1及び第2要素2、4間の接触領域10も変位することが分かる。第2要素4とホルダー6との間の形状嵌め及び/又は摩擦接続の解除は、図1の右図に示されている。このために、第一に第1要素2が反時計回りに回転させられ、それは矢印7によって同様に表される。結果として、第1要素と第2要素との間の接触領域は同様に反時計回りに移動し、例えばばね付勢された第2要素4は、第2要素4及びホルダー6にある形状嵌め及び/又は圧力嵌め手段が係合解除されるように、軸5の周りを時計回り方向に回転することができる。第1及び第2要素又はその運動学は、好ましくは接触領域が「閉鎖曲線」に沿って移動するように設計され、第1要素を第2要素に対して動かすために必要とされる力は、実際のロック位置(中央の図参照)からの距離に伴って減少する。
【0014】
特に図2及び3から推測することができるように、少なくとも1つの要素2、4(本例では第2要素4)がコーティング9を有し、コーティング9は、事故の場合にのみ発生する荷重下では、要素2とコーティング9との間の摩擦係数及び/又は要素2とコーティング9との間の接触領域が増大するように変わる。これにより、第1要素2を第2要素4に対して前記第2要素がロック解除位置に移行することができるように移動させるのに必要とされる力は増大する。これにより第一に、ロック機構1の意図しない解除が防止される。第二に、コーティングの当初の表面は比較的低い摩擦係数を備えることができ、従って、ロック機構は操作荷重下では比較的少ない労力で開閉することができる。
【0015】
図2による実施形態では、コーティングは2層に設けられており、その外側層に、比較的低い摩擦係数を有する滑りコーティングを有する。事故が発生した場合、少なくとも外側層の下に配置された層は、例えば事故荷重下では壊れ且つ/又は塑性変形する構成要素、好ましくは中空要素、特に中空ボールを有するので、押し込まれる。結果として、図2bから推測することができるように、例えば外側層が少なくとも一部で剥がされ又は破壊され且つコーティング9の内側層がより高い摩擦係数を有するので、2つの要素2、4間の接触領域が増大し且つ/又は2つの要素間の摩擦係数が増大する。当業者には、例えば、滑らかにされた(例えば研磨された)層の表面によって、破壊及び/又は塑性変形する構成要素によって、及び/又は低摩擦係数を有する構成要素間の結合剤によって、任意で滑りコーティング層を省略することができることが分かる。
【0016】
図3は、本発明によるロック機構のコーティングの更なる実施形態を示す。本例では、少なくとも1つの要素(この例では両方の要素2、4)又は対応するコーティングの層は比較的大きい表面粗さを有し、少なくとも部分的に更なる外側層、例えばプラスチック層で覆われ、従って操作荷重下では、比較的低い摩擦係数がそれら2つの要素2、4又はコーティング9の間に生成される。事故の場合には、コーティングの外側層又はコーティング全体は、より大きい粗さを有する層が互いに接触するように、少なくとも部分的に破壊され或いは要素2、4又はそのコーティングから剥がされ、2つの要素2、4間の接触面積及び/又は2つの要素間の摩擦係数が増大する。当業者には、一方の要素2、4に粗い表面又は粗い表面コーティングと対応する外側層とを設けることで十分な可能性があることが分かる。
【符号の説明】
【0017】
1 ロック機構
2 第1要素、固定手段
3 固定手段の回転軸
4 第2要素、ラッチ爪
5 ラッチ爪の回転軸
6 ホルダー
7 ロック及びロック解除中の固定手段の回転方向
8 ロック及びロック解除中のラッチ爪の回転方向
9 表面、表面コーティング
10 接触領域
FN 法線力
a 摩擦係数
図1
図2
図3