特許第6180634号(P6180634)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180634
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】接触力感知用先端を有する医療デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20170807BHJP
【FI】
   A61B18/14
【請求項の数】21
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-526914(P2016-526914)
(86)(22)【出願日】2014年11月6日
(65)【公表番号】特表2016-536065(P2016-536065A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】US2014064335
(87)【国際公開番号】WO2015069887
(87)【国際公開日】20150514
【審査請求日】2016年6月6日
(31)【優先権主張番号】61/962,466
(32)【優先日】2013年11月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スリワ ジョーン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】イズミル アロン
(72)【発明者】
【氏名】マ ツェンイ
(72)【発明者】
【氏名】テッグ トロイ ティー.
【審査官】 槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−147783(JP,A)
【文献】 特開2010−131390(JP,A)
【文献】 特開2001−159505(JP,A)
【文献】 特開2001−141409(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/021995(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00−17/94
A61B 18/00−18/18
A61B 1/00− 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内の組織を治療または診断するための医療デバイスであって、
前記体内に受け入れられるように構成された細長い管状シャフトであって、近位部分と遠位部分を有しており、この遠位部分は前記近位部分の遠位端に対して移動するように構成されており、この移動は、前記シャフトの長手方向軸に沿って前記近位部分の前記遠位端に向かって及び前記近位部分の前記遠位端から離れるように移動することによるものと、前記長手方向軸から偏向することによるものとを含む、細長い管状シャフトと、
前記シャフトの前記近位部分と前記遠位部分の間に配設され、所定の剛性を有する可撓性部材と、
前記シャフト内に配設された第1の電磁コイルと、
前記シャフト内に配設され、前記第1の電磁コイルの電気的特性に影響を及ぼす材料で構成されており、有線接続によって電流が入出力されないように構成されている第1の素子と、を備え、
前記第1の電磁コイルと前記第1の素子のうちの一方は、前記シャフトの前記遠位部分とともに、前記第1の電磁コイルと前記第1の素子のうちの他方に対して移動するように構成されており、
前記遠位部分と前記組織の接触及び前記可撓性部材の変形に応じた前記第1の電磁コイルと前記第1の素子の間の相対移動は、前記第1の電磁コイルの前記電気的特性の変化を引き起こし、
前記変化は、前記可撓性部材の前記変形及び前記遠位部分と前記組織の間の少なくとも接触力の大きさを示す、医療デバイス。
【請求項2】
前記シャフト内に配設された第2及び第3の電磁コイルをさらに備え、
前記第1、第2及び第3の電磁コイルは、前記長手方向軸に平行に延びるとともに、前記長手方向軸を中心にして円周方向に等間隔で配置されている、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記第1、第2および第3の電磁コイルと前記第1の素子の組み合わせは、軸方向と曲げの接触力のベクトルの大きさの両方の決定、ならびに軸方向と曲げの接触力のベクトルの方向の両方の決定をさらに可能にする、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記第1の素子は、前記長手方向軸を中心にした回転対称の形状、前記長手方向軸を中心にして配置されたトーラス、環状部分、円板、またはリングの形状、及び、対向したコイルの近くにまたはその中に突出する突出部を備える素子のうちの1つを備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記コイルは、前記可撓性部材の第1の側で前記シャフトに対して動かないように取り付けられ、前記第1の素子は、前記可撓性部材の反対の第2の側で前記シャフトに対して動かないように取り付けられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記第1の素子は、空気の透磁率よりも大きい透磁率を有する磁気的に透過性の部材を備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記磁気的に透過性の部材は、フェライトを備える、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記磁気的に透過性の部材は、分極していない磁性材料を備える、請求項6に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記第1の素子は、少なくとも前記第1の電磁コイルから軸方向に間隔をおいて配置される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記第1の素子は前記第1の電磁コイル内に配設されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記第1の素子は、前記第1の電磁コイルに概して面している平坦な端面、円錐形端面、および中央穴またはボアのうちの1つを備える、請求項1〜8のいずれか一項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記第1、第2および第3の電磁コイルは、カテーテル軸を中心にして全て同じ回転方向の磁場又は全て同じ回転方向ではない磁場を生成するように巻かれている、請求項2又は3に記載の医療デバイス。
【請求項13】
体内の組織を治療または診断するためのシステムであって、
医療デバイスと電子制御ユニットを備えており、
その医療デバイスは、
前記体内に受け入れられるように構成された細長い管状シャフトであって、近位部分と遠位部分とを有しており、この遠位部分は前記近位部分の遠位端に対して移動するように構成されており、この移動は、前記シャフトの長手方向軸に沿って前記近位部分の前記遠位端に向かって及び前記近位部分の前記遠位端から離れるように移動することによるものと、前記長手方向軸からの偏向によるものとを含む細長い管状シャフトと、
前記シャフトの前記近位部分と前記遠位部分の間に配設され、所定の剛性を有する可撓性部材と、
前記シャフト内に配設された第1の電磁コイルと、
前記シャフト内に配設され、前記第1の電磁コイルの電気的特性に影響を及ぼす材料で構成されており、有線接続によって電流が入出力されないように構成されている第1の素子と、を備えており、
前記第1の電磁コイルと前記第1の素子のうちの一方は、前記シャフトの前記遠位部分とともに、前記第1の電磁コイルと前記第1の素子のうちの他方に対して移動するように構成されており、
前記遠位部分と前記組織の接触及び前記可撓性部材の変形に応じた前記第1の電磁コイルと前記第1の素子の間の相対移動は、前記第1の電磁コイルの前記電気的特性の変化を引き起こし、
前記変化は、前記可撓性部材の前記変形及び前記遠位部分と前記組織の間の接触力の大きさを示し、
前記電子制御ユニットは、前記第1の電磁コイルの前記電気的特性の変化を示す前記第1の電磁コイルによって生成された信号に応じて特定の接触力の大きさを決定するように構成されている、システム。
【請求項14】
前記シャフト内に配設された第2及び第3の電磁コイルをさらに備え、
前記第1、第2及び第3の電磁コイルは、前記長手方向軸に平行に延びるとともに、前記長手方向軸を中心にして円周方向に等しい角度間隔で配置されており、
前記第1、第2及び第3の電磁コイルは、軸方向と曲げの接触力の成分ベクトルの両方の前記接触力の大きさ及び空間的な向きの決定を可能にするように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記医療デバイスは、前記シャフト内に配設された前記第1の電磁コイルから前記医療デバイスの近位端まで延びる少なくとも1つの導線を備え、
前記電子制御ユニットは、前記接触力の決定時に、前記少なくとも1つ導線と前記第1の電磁コイルに電流を発生させるようにさらに構成されており、前記電流は前記第1の電磁コイルを励磁させ、前記第1の電磁コイルの励磁またはその減衰は、前記第1の電磁コイルに対しての前記第1の素子の偏向状態によって予測可能に影響を受ける、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記医療デバイスの外側に配設され、前記第1の電磁コイルに電流を発生させるように構成されている磁場発生器をさらに備える、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項17】
前記電子制御ユニットは、偏向力の大きさまたは向きを決定するためにコイル応答データのルックアップ・テーブルを使用すること、及び、どのような偏向力の大きさと向きが観察されたコイル応答を引き起こすのか計算するモデルを用いることの一方または両方によって特定の接触力の大きさまたは特定の接触力ベクトルの方向の1つまたは複数を決定するようにさらに構成される、請求項13〜16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の素子は、空気の透磁率よりも大きい透磁率を有する磁気的に透過性の部材で構成されている、請求項13〜17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の素子は、前記第1の電磁コイルから間隔をおいて軸方向に配置される、請求項13〜18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の電磁コイルは、前記第1の素子の部分のまわりにまたはその内に偏向可能に配設される、請求項13〜18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記可撓性部材は、軸圧縮方向と曲げ方向の両方に既知の剛性を有するばねを備え、前記ばねは、電磁コイルへの有線接続を含まない、請求項13〜20のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、体内の組織を診断または治療するための医療デバイスに関する。詳細には、本開示は、デバイスと組織の間の接触力を示す指標を提供するデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な病状を診断し治療するために、多種多様な医療デバイスが体内に挿入される。例えば、カテーテルは、薬剤および流体の送達、体液の除去、および手術道具および手術器具の移送を含む人体内および他の身体内の様々な作業を行うために使用されている。心房細動の診断および治療では、例えば、カテーテルは、心臓の表面の電気生理学マッピングのために、電極を心臓まで送達するとともに、他の作業の間にアブレーションのエネルギーをその表面に送達するように使用することができる。
【0003】
一部のカテーテルは、カテーテルと組織の間の接触を判定し、この接触に応じてカテーテルを調整する構成素子を含む。電気生理学診断用またはマッピング・カテーテルの場合、例えば、意味あるセンサの出力および正確な心臓のマッピングをもたらすために、接触することが望ましい。アブレーション・カテーテルの場合、アブレーションの傷を組織中に有効に形成するには、十分に接触することが望ましい。
【0004】
前述の説明は、本分野を示すためのものに過ぎず、特許請求の範囲の否定としてとらえられるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
数ある中でも、本明細書中に開示した様々な実施形態は、体内の組織を診断または治療するための医療デバイス、システム、および方法を対象とする。例えば、本開示は、ばねなどの可撓性部材によってデバイスの近位部分がデバイスの遠位部分から分離された状態でデバイスの近位部分内に格納された1つまたは複数のコイルの電気的特性に影響を及ぼす動きをするデバイスの遠位部分内の電気的受動素子を用いてデバイスと組織の間の接触力を示す指標を提供するデバイスおよびシステムを説明する。
【0006】
本教示の一実施形態による体内の組織を診断または治療するための医療デバイスは、体内に受け入れられるように構成された細長い管状シャフトを備える。シャフトは、近位部分と、近位部分の遠位端に対して移動するように構成されている遠位部分とを有し、シャフトの長手方向軸に沿って近位部分の遠位端に向かっておよび近位部分の遠位端から離れるように移動することによるものと、長手方向軸からの偏向によるものとを含む。デバイスは、シャフトの近位部分と遠位部分の間に配設された可撓性部材をさらに備える。可撓性部材は、所定の剛性を有する。デバイスは、シャフト内に配設された電磁コイルと、シャフト内に配設された電気的受動素子とをさらに備える。電気的受動素子は、電磁コイルの電気的特性に影響を及ぼす材料で構成され、いくつかの実施形態では、フェライトまたは分極していない磁性材料で構成され得る。電磁コイルおよび電気的受動素子の一方は、シャフトの遠位部分とともに、電磁コイルおよび電気的受動素子の他方に対して移動するように構成されている。遠位部分と組織の接触、および可撓性部材の変形に応じた電磁コイルと電気的受動素子の間の相対移動は、電磁コイルの電気的特性の変化を引き起こす。変化は、可撓性部材の変形と、遠位部分と組織の間の特定の接触力とを示す。
【0007】
体内の組織を治療または診断するためのシステムは、体内に受け入れられるように構成された細長い管状シャフトを有する医療デバイスを備える。シャフトは、近位部分と遠位部分を有しており、その遠位部分は近位部分の遠位端に対して移動するように構成されており、この移動は、シャフトの長手方向軸に沿って近位部分の遠位端に向かって及び近位部分の遠位端から離れるように移動することによるものと、長手方向軸から偏向することによるものとを含む。デバイスは、シャフトの近位部分と遠位部分の間に配設された可撓性部材をさらに備える。可撓性部材は、所定の剛性を有する。デバイスは、シャフト内に配設された電磁コイルと、シャフト内に配設された電気的受動素子とをさらに備える。電気的受動素子は、電磁コイルの電気的特性に影響を及ぼす材料で構成され、いくつかの実施形態では、フェライトまたは分極していない磁性材料で構成され得る。電磁コイルと電気的受動素子のうちの一方は、シャフトの遠位部分とともに、電磁コイルと電気的受動素子のうちの他方に対して移動するように構成されている。遠位部分と組織の接触及び可撓性部材の変形に応じた電磁コイルと電気的受動素子の間の相対移動は、電磁コイルの電気的特性の変化を引き起こす。変化は、可撓性部材の変形及び遠位部分と組織の間の特定の接触力とを示す。システムは、電磁コイルの電気的特性の変化を示す電磁コイルによって生成された信号に応じて特定の接触力の大きさを決定するように構成された電子制御ユニットをさらに備える。
【発明の効果】
【0008】
本教示による医療デバイスおよびシステムは、従来のデバイスおよびシステムに比べて有利である。本教示による医療デバイスおよびシステムは、従来のデバイスおよびシステムほど複雑でも高価でもないものとすることができる体内のデバイスと組織の間の接触力の大きさを測定する手段を提供し、これらは三次元空間内の正味の力の絶対的なベクトルの向きも報告する。デバイス内の電気的受動素子の使用によって、従来のデバイスと比べて接触力を決定するためのデバイス内に必要とされる導線の本数は減少する。結果として、デバイスおよびシステムは、デバイス内に貴重な空間を保ち、製造があまり高価でない。
【0009】
本教示の前述および他の態様、特徴、詳細、有用性、利点は、後述の説明および特許請求の範囲を読み、添付図面を再検討することにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本教示の一実施形態による体内の組織を診断または治療するためのシステムの一実施形態の概略図である。
【0011】
図2】本教示の一実施形態による組織を診断または治療するための医療デバイスの一部の等角図である。
【0012】
図3図2の医療デバイスの断面図である。
【0013】
図4】本教示の別の実施形態による組織を診断または治療するための医療デバイスの部分断面図である。
【0014】
図5】本教示の別の実施形態による組織を診断または治療するための医療デバイスの部分断面図である。
【0015】
図6】本教示の別の実施形態による組織を診断または治療するための医療デバイスの部分断面図である。
【0016】
図7】本教示の別の実施形態による組織を診断または治療するための医療デバイスの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
様々な機器、システム、および/または方法の様々な実施形態が、本明細書中に記載されている。多数の特定の詳細が、本明細書に説明されているとともに添付図面に示されているような本実施形態の構造、機能、製造、および使用の全体の徹底的な理解をもたらすために記載されている。しかしながら、各実施形態は、そのような特定の詳細がなくても実施することができることを当業者であれば理解するであろう。他の例では、よく知られている動作、構成部品、および素子は、本明細書に記載された各実施形態をあいまいにしないように詳細は説明されていない。当業者は、本明細書中に説明および図示された実施形態は非限定の例であることが理解するであろうし、したがって本明細書中に開示した特定の構造および機能の詳細は典型的なものとすることができ、各実施形態の範囲を必ずしも限定せず、その範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定められることが理解できよう。
【0018】
本明細書全体を通じての「様々な実施形態」、「いくつかの実施形態」、「一実施形態」、または「実施形態」などの言及は、本実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じての所々における「様々な実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、「一実施形態では」、または「実施形態では」などのフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているのではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切なやり方で組み合わされてもよい。したがって、一実施形態と関連して図示または説明されるこの特定の特徴、構造、または特性は、全体においてまたは一部において、1つまたは複数の他の実施形態の特徴、構造、または特性と組み合わされてもよく、そのような組み合わせが非論理的または非機能的でなければ制限されることはない。
【0019】
用語「近位」および「遠位」は、患者を治療するために使用される器具の一端を医師が操作することに関連して本明細書全体を通じて使用され得ることが理解されよう。用語「近位」は、医師に最も近い器具の部分を指しており、用語「遠位」は、医師から最も遠くに位置する部分を指している。同様に、「より近位」は、医師により近いことを意味するのに対して、「より遠位」は、医師をより遠くで形成することを意味する。簡潔および明確のために、「垂直」、「水平」、「上」および「下」などの空間的な用語は、例示した実施形態に関して本明細書中で使用され得ることがさらに理解されよう。しかしながら、手術器具は、多くの向きおよび位置で使用することができ、これらの用語は限定であることおよび絶対的であることが意図されていない。
【0020】
次に、図面を参照する。この図面において、同じ参照符号は、様々な図中における同一または類似の構成要素を特定するために使用されている。図1は、体14内の組織12を診断または治療するためのシステム10の一実施形態を示す。例示の実施形態では、組織12は、人体内の心臓組織を含む。しかしながら、本教示によるシステム10は、人体内および非人体内の様々な組織を診断または治療するための手法と関連した応用を見出すことができることを理解されたい。システム10は、組織12を診断または治療するための医療デバイスを含む。一実施形態によれば、システム10は、組織12を診断または治療するためのアブレーション・カテーテル16を備えるとともに、アブレーション発生器18、遠隔カテーテル案内システム(RCGS)20、表示システム22、電子制御ユニット(ECU)24、および/または外部場発生器26をさらに備えることができる。カテーテル16は、組織12などの体内組織の検査、診断、および治療のために用意される。本教示の一実施形態によれば、カテーテル16は、アブレーション・カテーテル、およびより具体的には、潅注される高周波(RF)アブレーション・カテーテルを含む。しかしながら、カテーテル16は、説明のためだけに用意されており、システム10は、電気生理学(EP)マッピング・カテーテル、および心腔内心エコー計(ICE)カテーテルを含む他のタイプのカテーテルとともに使用するように適合されてもよく、ならびに様々なタイプのアブレーション・エネルギー(例えば、冷凍切断、超音波、レーザ、マイクロ波、電気穿孔など)をもたらすカテーテル、および/または患者の体または心臓血管系、例えば腎動脈などの様々な領域にアクセスするようにサイズが決定され構成されているカテーテルを含む他のタイプのアブレーション・カテーテルとともに使用されてもよいことを理解されたい。さらに、システム10は、組織12を診断または治療するのに使用される他のタイプの医療デバイス、例えば、人工心臓弁、小型ペースメーカ、または他のインプラントを設置するために使用される誘導針シースもしくはカテーテルを含む医療デバイスとともに使用するように適合されてもよいことを理解されたい。カテーテル16は、生理的食塩水などの生体適合性流体を有する灌注液源28に接続することができ、生体適合性流体は、潅注のための(例えば、図示されるように液源28から重力送り供給を用いた定速ローラ・ポンプまたは可変容積注射器ポンプを含み得る)潅注ポンプ30を通過されている。カテーテル16は、アブレーション用RFエネルギーを送達するためにアブレーション発生器18に電気的に接続することもできる。カテーテル16は、ケーブルコネクタまたはインターフェース32、ハンドル34、近位端38および遠位端40を有する可撓性シャフト36、および1つまたは複数のアブレーションおよびセンシング電極42を含むことができる。カテーテル16は、温度センサ、追加のペーシング電極またはマッピング電極、および対応する導線またはリード線などの本明細書中に示されていない他の従来の構成要素を備えることもできる。図1図3を参照すると、本教示によれば、カテーテル16は、電磁コイル44、46、48などの手段と、カテーテル16の遠位端40と組織12の接触力を感知するための素子50とをさらに備えることができる。
【0021】
再び図1を参照すると、コネクタ32は、アブレーション発生器18、RCGS20、およびポンプ30から延びるケーブルのための機械的流体および電気接続部を提供する。コネクタ32は、当業界における従来のものであり、カテーテル16の近位端に配設されている。例示の実施形態ではハンドル34に直接取り付けられているが、コネクタ32は、例えば、数フィートのケーブルを介して間接的にハンドル34に結合されてもよい。ハンドル34は、医師がカテーテル16を保持するための領域をもたらすとともに、体14内でシャフト36を操縦または案内するための手段をさらに提供することができる。例えば、ハンドル34は、シャフト36を操縦するために、カテーテル16を通じてシャフト36の遠位端40まで延びる操縦ワイヤの長さを変更してシャフト36の遠位端40の平行移動および/または偏向を制御する手段を備えることができる。ハンドル34は、医師によって手動操作されてもよく、または例えば、RCGS20などのロボット制御を通じて自動的に操作されてもよい。ハンドル34の構成は変更されてもよく、システムの完全な自動操縦の実施時にはなくてもよいことを理解されたい。
【0022】
図1および図2を再び参照すると、シャフトまたは可撓性管腔36は、カテーテル16の他の構成要素を構造的に支持しており、他の構成要素は、電極42と、コイル44、46、48と、素子50と、これら電極まで延びるワイヤおよび他の導線、ならびに場合によっては信号処理または信号調節のために使用される追加の電子機器回路を含む。シャフト36は、(潅注液および体液を含む)流体、薬剤、ならびに/または手術道具および手術器具の移送、送達、および/または除去も可能にすることができる。シャフト36は、組織撮像デバイスを遠位先端に支持することもできる。シャフト36は、体14内に受け入れられるように構成され、従来の導入針を通じて体14内の血管または他の構造の中に導入することができる。次いで、シャフト36は、St.Jude Medical,Inc.から市販のAgilis(商標)NxT操縦可能導入針などの案内用導入針、RCGS20、または当業界で知られているガイド・ワイヤ、引張りワイヤ、もしくは他の当業界で知られている手段を用いて、体14を通じて組織12などの所望の位置まで操縦または案内することができる。図2図3を参照すると、シャフト36は、細長い管状の部材52と、先端組立体54とを備え得る。
【0023】
部材52は、可撓性または変形可能であり、体14(図1)内で移動するように構成されている。部材52は、導線および操縦ワイヤを格納するとともに流体が内部を通過するのを可能にするように構成された1つまたは複数の管腔も画定する。図3を参照すると、部材52は、管状のポリマー製内側ライナ56と、トルク伝達用の編組線層58と、外側ポリマー製ジャケット60とを備えることができる。ライナ56は、ポリマー材料、例えば、E.I.DuPont de Nemours&Co.Corpによって「TEFLON(登録商標)」の名で販売されているPTFEを含むポリフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテル・ブロック・アミド、ナイロン、またはArkema,Incによって「PEBAX(登録商標)」の名で販売されているエラストマーなどの熱可塑性エラストマーから作製することができる。編組線層58は、シャフト36に適切なレベルの押し込み性(pushability)、トルク伝達性(torqueability)、可撓性、および耐キンク性をもたらすように構成されている。層58は、ステンレス鋼ワイヤから形成されてもよく、(少なくとも2本のワイヤを伴う)1対1(one−over−one)または(少なくとも4本のワイヤを伴う)2対2(two−over−two)の交差パターンを含む様々な編組パターンで配置された平坦なワイヤ(ワイヤの長手方向軸に沿ってとるとともに2本の直交軸に沿って測定したときにほぼ長方形である断面を有するワイヤ)であってもよい。ワイヤは、絶縁材料の層でコーティングされ得る。ワイヤの編組は、ライナ56のまわりに直接巻かれてもよく、またはライナ56の上を摺動されるコア上に配置されてもよい。ジャケット60は、E.I.DuPont de Nemours&Co.Corpによって登録商標「TEFLON」の名で販売されているPTFEを含むポリフルオロエチレン(PTFE)などのポリマー材料、ポリエーテル・ブロック・アミド、ナイロン、またはArkema,Incによって登録商標「PEBAX」の名で販売されているエラストマーなどの熱可塑性エラストマーから作製され、層58の上に成形することができる。いくつかの例示的なカテーテル構成に関する追加の詳細は、同一出願人による米国特許第7,914,515号に見ることができ、その開示全体は、参照により本明細書中に組み込まれる。部材52は、部材52の遠位端で先端組立体54を受け入れるようにさらに構成されてもよい。
【0024】
さらに図2図3を参照すると、先端組立体54は、より近位の端部分62と、より遠位の先端部分64と、部分62、64の間の中間先端部分66とを含む。近位端部分62は、部材52の遠位端で先端組立体54を部材52に取り付けるために構成されている。近位端部分62は、部材52の遠位端から中間先端部分66へ延びる。近位端部分62は、比較的硬質であるとともに中間先端部分66を形成するために使用される材料よりも少なくとも硬質である1種類または複数種類の材料から作製することができ、中間先端部分66は、ばねに見られるようなその軸(長手圧縮または伸び方向)、およびその曲げ(角度測定)方向にそれぞれ沿って有限制御された可撓性または剛性を有する。部材52とともに、近位端部分62は、シャフト36の近位部分68を形成することができる。遠位先端部分64は、電極42を備えることができ、または電極42を支持するように構成することができる。遠位先端部分64は、近位端部分62に対して中間先端部分66の反対側から延びる。遠位先端部分64は、可撓性の中間先端部分66を形成するために使用される材料よりも少なくとも硬質である1種類または複数種類の材料から作製することもできる。遠位先端部分64は、シャフト36の遠位部分70を形成する。中間先端部分66は、シャフト36の長手方向軸74に沿って近位部分68の遠位端72に向かっておよび近位部分68の遠位端72から離れるようにかつ軸74から角度のついたまたは曲がっている偏向まで移動することを含むシャフト36の近位部分68の遠位端72に対してのシャフト36の遠位部分70の移動を可能にする手段を提供する。中間先端部分66は、本来的に比較的可撓性である1種類または複数種類の材料から作製され、または代替として細い隙間を付けるまたは細い切り込みを付けるまたはコイル状構造を使用することによってより可撓性とされ、それによって近位先端部分62および遠位先端部分64を形成するのに使用される材料よりも少なくとも可撓性である。中間先端部分66は、少なくとも1つの所定のまたは知られた剛性(すなわち、曲げ、圧縮等などの少なくとも1つの特定の変形状態中にグラム毎度またはグラム毎ミリメートルなどの変形の単位)を有するばね76などの可撓性部材またはエラストマー製の曲げロッドを定めまた含み、それによって力に応じた可撓性部材の変形は知られ、検出した変形は、メモリ中のルックアップ・テーブルまたは他のデータ構造を用いることによって、あるいはアルゴリズムを用いることによって力に変換することができる。ばね76には、つる巻ばね、コイルばね、波形ばね、または蛇腹ばねが含まれてもよく、ばね76は、ステンレス鋼、白金、白金合金、チタン、ベリリウム銅、ニッケル・チタン(ニチノール)、およびインバーなどの金属および金属合金、ならびに弾性ポリマーなどの様々な材料から作製することができる。ばね76は、金属円筒状管から減法レーザ・エッチング、または放電加工を用いて形成することもできる。中間先端部分66は、軸74を中心に配置された単一のばね76、または軸74を中心にして配設された複数のばね(例えば、軸74を中心にして円周方向に等間隔で配置された3つのばね)を備えることができる。ばね76の代わりに、代替として、中間先端部分66は、可撓性素子が軸74を中心に配置された小さい円板またはトーラスとして形成されるように例えばゴムなどのエラストマー材料から形成されてもよい。
【0025】
先端組立体54は、中間先端部分66を囲むスリーブ77をさらに備えることができ、それによって体14から先端組立体54の内部への血液の進入、および/または先端組立体54の内部から体14への生理的食塩水もしくは他の流体の退出を防ぐ。スリーブ77は、近位端部分62の遠位端および遠位先端部分64の近位端の近くの先端組立体54の外面に封止できる。スリーブ77は、薄い可撓性の管状のエラストマー材料から作製することができる。スリーブ77は、好ましくはばね76よってのみ決定されるとき先端54の全体的な有効な剛性をそれほど大きく変えない(例えば、増大させない)ように(それが薄くかつ非常に伸縮可能であることなどによって)形成され得る。したがって、スリーブ77は、先端部材54の温度の変化にも関わらず、ならびに体14およびカテーテル16内の血液、生理的食塩水、または他の流体に長期間曝されるにも関わらず、その形状、構成、および材料特性はばね76または同様の可撓性部材の剛性に対する影響が最小であるまたは影響がないように、およびスリーブ77のどんな剛性も変わらないようにまたは比較的小さい変化であるように選択することができる。したがって、スリーブ77は、一実施形態ではスリーブ77の剛性がばね76の剛性の10%未満であり、別の実施形態ではばね76の剛性の5%未満であり、別の実施形態ではばね76の剛性の2%未満であるように構成することができる。スリーブ77は、材料の選択またはコーティングを施すことによって、スリーブ77が非常に低い吸水性を有しそれによってスリーブ77の膨張およびそのような膨張によるサイズおよび剛性の変化を防ぐように構成することもできる。具体的には、スリーブ77は、その流体吸収が10重量%未満であり、一実施形態では5重量%未満であり、別の実施形態では2重量%未満であるように構成することができる。スリーブ77は、剛性を減少させるために波形のしわ(図示せず)が形成されてもよい。スリーブ77は、流体(例えば、生理的食塩水)が膨れることによってばね76から離れるように選択的に促され得る比較的薄い壁のある変形可能な膜(またはバルーン)として形成することもできる。
【0026】
再び図1を参照すると、部材52または先端部分54の外面上の電極42は、例えば、電気生理学の研究、カテーテルの識別および位置、ペーシング、および心臓マッピング、およびアブレーションを含む様々な診断および治療のために提供される。例示の実施形態では、カテーテル16は、高周波アブレーション送出素子として機能するアブレーション先端電極42をシャフト36の遠位端40に備える。カテーテル16は、組織12のエレクトログラムを得るためにおよび他の従来の目的のために使用することができる先端電極42の近位に1つまたは複数のリング電極(図示せず)も備えることができる。しかしながら、電極42の個数、向き、および目的は変わってもよいことを理解されたい。電極42は、金、白金、イリジウム、パラジウム、ロジウム、ステンレス鋼、および/またはそれらの任意の組み合わせを含む導電材料などの様々な導電材料から作製することができる。
【0027】
再び図2図3を参照すると、電磁コイル44、46、48および素子50は、シャフト36の遠位部分70と組織12との間の接触力(図1参照)を感知する手段を提供し、したがってともに力センサを形成する。3つのコイルを有する図2および図3の例示の実施形態は、(半径方向または曲げ方向および軸方向または長手方向の)力のサブベクトルの大きさと、ならびにより近位のカテーテル部分68に対してのそれらのサブベクトルの絶対的な三次元の向きとの両方を報告することができる。コイル44、46、48は、電気的に励磁されたときに、素子50/先端54の軸方向および曲げ位置に応じて予測可能に変化する信号であって、ECU24に送信される信号を生成する。すなわち、各コイルと素子50の電気的結合は、素子50に対してのそれらの相対的な向き/位置に関して予測可能に変化し、この挙動は、システム・ソフトウェア内またはルックアップ・テーブル内において記憶またはモデル化することができる。図2図3に示された本実施形態では、コイル44、46、48はシャフト36の近位部分68に配設され、一方、素子50はシャフト36の遠位偏向可能部分70内に配設される。図4を参照すると、しかしながら、コイル44、46、48および素子50の位置については、代替として、1つまたは複数のコイル44、46、48が遠位部分70に配設されてもよく、一方、1つまたは複数の素子50が近位部分68に配設されるように逆にされてもよいことを理解されたい。さらに、近位端部分62または遠位先端部分64内に完全に配設されるようにコイル44、46、48および素子50が図2図3に示されているが、コイル44、46、48および/または素子50は、力センサ軸方向長さを減少させるために中間先端部分66の中に少なくとも一部延びてもよいことを理解されたい。
【0028】
「接触度」は、正味のベクトル接触力の大きさを指す。正味の力の大きさは、感知された軸方向(長手方向)の力ベクトルの大きさ成分と、長手方向軸に垂直な感知された角度をなすまたは曲がっている接触力ベクトルの大きさ成分とを含む。これらの2つのベクトルの大きさのサブコンポーネントは、互いに垂直であり、ベクトルが合成されるとき、組織への組み合わされた力の大きさを示す。正味の力ベクトルの正味の大きさは、組織に向けられている。本明細書中に開示した特定の実施形態は、2つのサブベクトルおよび正味のベクトルの真の三次元の向きを検出するが、ユーザにベクトルの向きを示すことは、前記ベクトルが報告された正味の力の大きさを計算のために使用される場合でも、本明細書中に開示したシステムおよび機器の要求ではない。向きを示すことは、記載されたような本発明のいくつかの実施形態により可能にされたオプションである。物理は、正味の力が、先端に対する組織の等しくおよび反対の力の大きさによって抵抗されるまたは釣り合わされることを要求する。これにより、「接触度」が正味の力の大きさを検出することを必要とすることになる。本明細書中に開示した実施形態は、それらの2つの力のサブベクトルおよび正味のベクトルについてユーザに真の三次元の向きを示すこともでき、示さないこともできる。この追加の情報は、カテーテル先端との関係で、空間ナビゲーション・ディスプレイ上で力のサブベクトルおよび正味のベクトルに「色を付ける」のに役立つ。しかしながら、向きは、(正味の力の空間的な向きとは対照的に)正味の力の大きさを知るために必要とされず、正味の力の大きさは、接触された組織の中または接触された組織に向かって向けられることが想定され得る。
【0029】
また、近位のシャフト68に対しての力のサブベクトルの大きさとそれらの空間的な向きとをともにもたらすシステムは、図2および図3におけるように、単一のフェライト素子の反対側に3つのコイルを収容することが好ましい。力の大きさとベクトルの向きのポジションの両方を決定することができる。
【0030】
本明細書中に開示したようなあまり精度がよくないがいっそう役立つシステムは、組み合わされたベクトルの合力の大きさだけを検出することができ、図2および図3のシステムよりも精度がよくないものとなっている。特に、図4を見た場合、単一のフェライトに対向して示されている単一のコイルを見る。図示した例では、コイルは最遠位先端にあるが、コイルは逆にされ、より近位のカテーテル・セクション68に配置されてもよい。先端54の偏向とともに、図4の単一のフェライトおよび単一のコイルの電気的結合も変化することが理解されよう。しかしながら、この配置の場合、システムは、曲げと軸方向の偏向の間で区別することができない。システムは、組み合わされた(曲げプラス圧縮の)電気的結合の変化を検出することだけできる。これにもかかわらず、このシステムは、所望の最小の力の大きさをさらに設定することができる。典型的には、ばねの曲げおよび軸方向の剛性が等しくないので、システムは、検出された結合の変化のどのくらいがそれぞれに割り当てられているのか分からず、そしてこれは、図2および図3のものほど高価でないが、あまり精度のよくない構成ということになる。
【0031】
再び図2図3を参照すると、コイル44、46、48は、素子50に対してのコイル44、46、48の位置を示す、したがってカテーテル16の遠位先端部分70の位置を示す信号を生成する。例示の実施形態では、コイル44、46、48は、先端組立体54の近位端部分62に配設されている。別の実施形態では、コイルは、コイルと素子の間の距離を小さくするように中間先端部分の中に少なくとも部分的にさらに延びることができる。さらに別の実施形態では、素子は、実際にはばね内に部分的にあることによって、コイルのより近くに延びるように配置することもできる。代替として、コイル44、46、48が、例えば硬質ポリマーを用いて部材に形成された管腔内に配置されることによって曲がることが禁じられる場合、コイル44、46、48は、部材52内に配設されてもよい。コイル44、46、48は、シャフト36の近位端38から延びる従来の導線78を用いてECU24に結合することができる(図3参照)。コイル44、46、48は、軸74を中心にして円周方向に等間隔で配置することができるとともに、互いにおよび軸74に対して平行に延びることができる。コイル44、46、48は、同じように向けることができる。代替として、コイル44、46、48は、以下に記載される目的のために反対方向に向けられてもよくまたは巻かれてもよい。コイル44、46、48は、それら自体の内部の固定されたフェライト・コアを中心にして配設することができ、それによってコイル44、46、48のインダクタンスを増大させる。一実施形態では、フェライト50は、コイルが巻き付けられない。例示の実施形態では3つのコイル44、46、48が示されているが、コイルの個数は、決定された力の精度および成分に応じて変わり得ることを理解されたい。具体的には、図4を参照すると、上述したように、単一のコイル44、46または48が用いられ、あまり精度がよくないが、場合によっては十分な程度の最小の正味の接触力をもたらすことができる。3つのコイル44、46、48を使用することによって、三次元空間内におけるカテーテル16の遠位端40の変形の決定を可能にし、したがって(近位部分68に対しての遠位部分64の)三次元力ベクトルを用意することによって、接触力の大きさおよび向きを表す。
【0032】
再び図2図3を参照すると、素子50は、コイル44、46、48の様々な電気的特性に影響を及ぼす。具体的には、コイル44、46、48に対しての素子50の軸方向および角度の位置、ならびに素子50の物理的特性は、コイル44、46、48の様々な電気的特性に影響を及ぼす。素子50は、有線接続によって正味の電流が素子50へ入力されずまたは素子50から出力されないという点で電気的に受動的であり得る。結果として、相互に接続する導線が必ずしも素子50からシャフト36を通じて延びず、それによってカテーテル16内に貴重な空間を保つ。しかしながら、素子50は、コイル44、46、48ごとに電気的特性に影響を及ぼす材料から作製されてもよい。素子50は、磁気的に透過性の部材、および具体的には空気の透磁率より大きい透磁率を有する部材を含むことができる。したがって、いくつかの実施形態では、素子50は、コイル44、46、48によって生成された磁場に影響を及ぼす。したがって、コイル44、46、48が励磁される場合、コイル44、46、48が磁場を生じさせる程度は、形成している磁場が素子50の中にどのくらいよく結合されているかによって影響を受ける。電流パルスなどで所定のやり方で励磁される場合、コイル44、46、48に対しての素子50の移動は、各コイル44、46、48によって生成された磁場に再現性良く影響を及ぼす。したがって、それらの形成または減衰に伴われるそれらの磁場または電流の増大、定常状態、または減衰を検出することによるなど各コイル44、46、48の磁場を測定または検出することは、コイル44、46、48に対しての素子50およびシャフト36の遠位先端部分70の位置を人が決定することを可能にする。これらの測定は、電流、電圧、または共振周波数を感知するための様々な回路を用いてなされ得る。
【0033】
本教示のいくつかの実施形態によれば、素子50は、フェライトで構成することができる。フェライトは、フェライトが比較的高い透磁率を有する(すなわち、それらが磁場を集め、磁場を強める)ので、磁場を集め(増幅させ)、より大きい場が作り出されることを可能にする。本教示の他の実施形態によれば、素子50は、分極していない磁性材料で構成することができる。素子50は、シャフト36の遠位部分70とともに移動するように構成されている(再び、代替実施形態では、コイル44、46、48および素子50の位置は、コイル44、46、48がシャフト36の遠位部分70とともに移動するように構成されるように逆にされてもよい)。シャフト36の遠位部分70の移動、およびしたがって素子50の移動は、シャフト36の遠位部分70の特定の変形を示すとともに、シャフト36の遠位部分70と組織12との間の特定の接触力も示す各コイル44、46、48の電気的特性の変化を引き起こす。例えば、素子50の移動は、コイル44、46、48ごとのインダクタンスの変化を引き起こす。具体的には、中間先端部分66がシャフト36の遠位端40と組織12の接触に応じて軸方向に圧縮される場合、コイル44、46、48ごとのインダクタンスは、素子50がコイル44、46、48により近くに移動すると増加する。遠位先端部分64がシャフト36の遠位端40と組織12の接触に応じて軸74に対して曲がる場合、いくつかのコイル44、46、48におけるインダクタンスは増加し、一方、他のコイル44、46、48におけるインダクタンスは、素子50がいくつかのコイル44、46、48により近くなるともに他のコイル44、46、48からより遠くに離れるように移動し、コイル44、46、48に対して角度がつくと減少する。コイル44、46、48の電気的特性に影響を及ぼすことに加えて、素子50の材料は、素子50が蛍光透視イメージング中に位置合わせマーカとして働くようにカテーテル16の他の部分に対してX線造影をもたらすように選択することができ、または例えば、アブレーション中にカテーテル16における温度勾配を最小にするように選択することができる。素子50は、硬質または可撓性である材料から作製することができる。好ましい材料は、セラミックまたは金属セラミック・フェライトである。
【0034】
測定された電気的特性の変化の大きさは、いくつかの設計上考慮すべき事項によって影響を受ける。これらの考慮すべき事項は、以下のものを含む。(1)コイル44、46、48と素子50の間の距離(接触力がない場合、コイル44、46、48と素子50の間の距離が小さいほど、コイル44、46、48における開始時インダクタンスは大きくなる)、(2)素子50のサイズおよび/または透磁率(サイズがより大きくまたはより大きい透磁率を有する素子50は全ての偏向状態においてより大きい結合の増加となる)、(3)素子50がない場合のコイル44、46、48のインダクタンス、(4)素子50の直径またはサイズとコイル44、46、48と素子50の間の距離との比、(5)素子50の形状(例えば、中実または管状)、および(6)素子50の絶縁特性または導電特性。さらに、コイル44、46、48のコイル巻線の方向は、磁場のセンス(方向)を決定する。多数のコイル巻線Nも、インダクタンスを増加させる。
【0035】
図2図3に示されるように、素子50は、シャフト36の遠位先端部分64内に配設されるとともに、コイル44、46、48から間隔をおいて軸方向に配置され得る。図5を参照すると、代替実施形態では、素子79が少なくとも一部、コイル44、46、48内に配設されるとともにこれらによって囲まれるように、素子79は、コイル44、46、48の1つまたは複数の内を延びる突出部80、82、84を備えることができる。本実施形態では、素子79は、カテーテル16のシャフト36の遠位部分70の近位端(例えば、中間先端部分66の近位端)に係合する。図5に示されるように、素子79は、遠位部分70に動かないように取り付けることができる。部分68に対しての遠位部分70の移動は、素子79、突出部80、82、84、およびコイル44、46、48の重なりの何らかの変化を引き起こす。ばね76は、素子79に対してのコイル44、46、48の相対移動を可能にする。同様に、図4に示されるように、コイル44は、先端70に動かないように固定され、素子50は、部分68に動かないように取り付けられる。カテーテル16の遠位端40と組織12の間の接触力に応じたシャフト36の遠位部分70の移動は、素子50の移動を引き起こす。さらに別の実施形態では、医療デバイスは、素子50と素子79の両方を備える。
【0036】
素子50(および素子79)は、様々な形状または構成を想定することができる。再び図2を参照すると、一実施形態では、素子50は、内部を通じて延びる中央孔92内の形状が円筒形である(すなわち、素子50は、断面が環状である)。孔92は、潅注液もしくは体液の通過のための、またはRF導線もしくは温度センサのための管腔として働くことができる。素子50は、円筒形であることは必要とされず、一方、孔92を含まなくてもよい。さらに、素子50の内径および外径は、変わってもよい。例示の実施形態では、素子50は、コイル44、46、48に対向する平坦な軸方向端面も有する。図6を参照すると、しかしながら、別の実施形態では、代替として、素子94は、円錐形に成形された近位端96を定めることができ、素子94の中央部分が素子94の半径方向外側部分よりもコイル44、46、48に向かってさらに軸方向に延びるようになっている。このようにして、コイル44、46、48を物理的に妨げることなく素子94がカテーテル16の遠位部分70とともに移動することをなお可能としつつ、素子94の中央部分は素子94よりもコイル44、46、48に近くに向けることができる。素子94は、素子94の先のとがった円錐形先端はコイル44、46、48の間に配設され、十分な接触力がカテーテル16の遠位端70に加えられるとき、またはカテーテル16の遠位端70に接触力がない場合にも、コイル44、46、48の少なくとも一部と半径方向に揃えられるように配置することさえできる。また、素子94は、セクション70に動かないように固定されるとともに、コイル44、46、48は、部分68に動かないように取り付けられる。図7を参照すると、さらに別の実施形態では、素子98は、突出部100、102、104が素子98の軸方向端面よりもコイル44、46、48により近いように素子98の近位端から軸方向に延びる複数の突出部100、102、104を備えることができる。各突出部100、102、104は、対応するコイル44、46、48と揃えることができ、十分な接触力がカテーテル16の遠位端70に加えられたときにまたは接触力がない場合も、突出部100、102、104の1つまたは複数がコイル44、46、48によって少なくとも一部囲まれるように十分遠くに延びることができる。各コイル44、46、48の遠位端は、突出部100、102、104を収容するためにコイル44、46、48の残りよりも広くなり得る。素子50、79、94および98は分割できない一体成形体としてそれぞれ示されているが、代替として、素子50、79、94および98のいずれも空気または物理的に接合している材料によって分離された複数の部材または本体として形成することができることを理解されたい。さらに、素子50、94および98は、別個の本体として示されているが、素子50、94および98は、先端電極42の延長部として形成されてもよい(例えば、素子50、94または98は、電極42として働くように白金または別の導線で一部コーティングされてもよい)。
【0037】
再び図1を参照すると、アブレーション発生器18は、カテーテル16によって使用されるアブレーション用高周波エネルギーを生成、送達、および制御する。発生器18は、一対のソース・コネクタ(すなわち、カテーテル16上の電極42に接続することができる正極性コネクタと、導線またはリード線によって体14のパッチ電極(図示せず)に電気的に接続することができる負極性コネクタと)の両端の出力であるアブレーション信号を生成するように構成されている高周波発生器106を備える。本明細書中に使用されるときコネクタという用語は、特定のタイプの物理的インターフェース機構を意味しておらず、むしろ、1つまたは複数の電気ノードを表すことが幅広く考えられることを理解されたい。発生器18は、当業界で知られているように、1つまたは複数のユーザ指定のパラメータ(例えば、電力、時間など)に従って、および様々なフィードバック感知および制御回路の制御によって、所定の周波数で信号を生成するように構成されている。アブレーション発生器18は、インピーダンス、カテーテル16の先端の温度、アブレーション・エネルギー、灌注液流量、およびカテーテル16の位置などのアブレーション手法に関連した様々なパラメータを監視または制御し、これらのパラメータに関して医師にフィードバックを行うこともできる。
【0038】
RCGS20は、カテーテル16を操作するように設けることができる。具体的には、RCGS20は、平行移動、遠位の曲げ、およびカテーテル16および任意の囲んでいるシースの仮想の回転の制御を可能にする。したがって、RCGS20は、従来の手動操作システムによってもたらされるものと同様のタイプの制御をユーザに提供するが、繰り返し可能で、正確で、および動的な移動を可能にする。医師は、組織12の画像上で(潜在的に経路を形成する)目標位置を特定することができる。RCGS20は、これらのデジタルに選択された点を患者の実際の/物理的な生体構造内の位置に関係付け、その後、医師またはRCGS20が所望の治療診断機能を行うことができる定められた位置へカテーテル16の移動をコマンド制御することができる。RCGSの様々な要素のより完全な説明は、以下の特許出願、2009年10月1日に発行された国際特許出願の国際公開WO2009/120982、2009年10月1日に発行された米国特許出願公開第2009/0247942号、2009年10月1日に発行された米国特許出願公開第2009/0247944号、2009年10月1日に発行された米国特許出願公開第2009/0247993号、2009年10月1日に発行された米国特許出願公開第2009/0248042号、2010年10月7日に発行された米国特許出願公開第2010/0256558号、および2011年1月20日に発行された米国特許出願公開第2011/0015569号の中に見つけることができ、これは、それらそれぞれ全体として参照により本明細書中に組み込まれる。RCGS20の特定の実施形態は、前述の出願の中に説明および図示されているが、RCGS20は、様々な異なる実施形態を想定することができることを理解されたい。例えば、RCGS20は、商標「Magellan」および「Sensei」の下でHansen Medical,Inc.により販売が申し出されているシステムのいずれかを含むことができる。RCGS20は、商標「Epoch」の下でStereotaxis,Inc.によって販売が申し出されているシステムなどの磁気的ナビゲーション・システムも含むことができ、ここで、磁場は、磁場の発生に応じて磁性部材を有するアブレーション・カテーテルを案内するように使用される。
【0039】
表示システム22は、診断および治療を助けるために医師に情報を伝えるために設けられている。表示システム22は、1つまたは複数の従来のコンピュータ・モニタまたは他の表示デバイスを備えることができる。表示システム22は、医師にグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI)を示す。GUIは、例えば、組織12の幾何学的形状の画像、組織12に関連した電気生理学データ、様々な電極42についての経時的な電圧レベルを示すグラフ、ならびにカテーテル16および他の医療デバイスの画像ならびに組織12に対してのカテーテル16および他のデバイスの位置を示す関連情報などの様々な情報を含むことができる。
ECU24は、アブレーション・カテーテル16によって組織12までアブレーション・エネルギーを送達するのを制御するとともに、カテーテル16、アブレーション発生器18、RCGS20、および表示システム22などのシステム10の様々な構成要素の動作を制御する手段を提供する。ECU24は、St.Jude Medical,Incによって商標EnSite(商標)NavX(商標)の下で販売が申し出されており、米国特許第7,263,397号に説明されている(その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる)システム、またはSt.Jude Medical,Inc.によって販売が申し出されており、例えば米国特許第7,386,339号に概して図示および説明されている(その開示全体は参照により本明細書に組み込まれる)MediGuide(商標)Technologyなどのシステムなどの体14内でカテーテル16および同様のデバイスの位置および向きを決定するシステムの一部をさらに形成することができる。ECU24は、1つまたは複数のプログラム可能なマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを備えることができ、または1つまたは複数のASICを備えることができる。ECU24は、中央処理装置(CPU)および入出力(I/O)インターフェースを備えることができ、それによってECU24は、アブレーション発生器18、カテーテル16上の電極42およびコイル44、46、48、ならびにRCGS20が生成する信号を含む複数の入力信号を受信することができるとともに、カテーテル16上の電極42およびコイル44、46、48、アブレーション発生器18、RCGS20、ならびに表示システム22を制御するおよび/またはこれらにデータを供給するために使用されるものを含む複数の出力信号を生成することができる。
【0040】
本教示の一態様によれば、ECU24は、カテーテル16の遠位端40と組織12との間の接触力を決定する手段を提供する。ECU24は、カテーテル16の遠位端40と組織12との間の接触力を決定する方法を実施するために、コンピュータ・プログラム(すなわち、ソフトウェア)からのプログラミング命令を用いて構成することができる。プログラムは、ECU24に関連したローカル・メモリ、電気通信ネットワーク上の(例えば、ファイル・サーバ上の)、またはコンパクト・ディスクなどの持ち運び可能な記憶媒体上の、あるいは他のタイプのコンピュータ可読記憶媒体上のECU24によってアクセス可能な遠隔メモリに記憶することができる。ECU24は、各コイル44、46、48の電気的特性の変化を示しているカテーテル16上のコイル44、46、48が発生した信号に応じて接触力を決定する。上述したように、素子50、79、94および98は、各コイル44、46、48に関連した電気的特性(例えば、インダクタンスに関連した特性)に影響を及ぼす。カテーテル16の遠位端40と組織12との間の何らかの接触力が何らない場合(すなわち、圧縮されていないおよび曲がっていない状態のとき)、電気的特性は1つの値を有する。シャフト36の遠位部分70の移動、したがって素子50、79、94および98の移動は、典型的には、電気的特性が新しい値を帯びるようにコイル44、46、48の電気的特性ごとの変化を引き起こす。電気的特性のこれらの変化はともに、カテーテル16の遠位端40と組織12との間の接触力を示し、カテーテル16の遠位端40の位置および向きをもたらす。ECU24は、インダクタンス、各コイル44、46、48の共振周波数、各コイル44、46、48の誘導または静電容量結合、またはコイル44、46、48ごとの抵抗の低下を含むコイル44、46、48に関連した様々な電気的特性の変化を測定するように構成することができる。一例として、3つのコイル44、46、48全部に関して電気的特性の変化が等しいことは、シャフト36の遠位部分70の均一な圧縮(または伸び)を示すのに対して、任意の等しくない変化は、遠位部分70の曲げに対応する。
【0041】
本教示の一実施形態によれば、ECU24はそれ自体、コイル44、46、48に電流を供給せず、素子50、79、94、または98の移動に応じて各コイル44、46、48の電気的特性の変化を測定するのに過ぎない。本教示の他の実施形態によれば、ECU24それ自体は、1つまたは複数のコイル44、46、48を駆動または励磁し、駆動されたおよび/または駆動されていないコイル44、46、48に関する電気的特性の変化を測定する。例えば、一実施形態では、ECU24は、1つのコイル44に電流を供給し、残りのコイル46、48ごとに電気的特性の変化、例えば、素子50、79、94または98の移動によって変調させられるときにコイル44への電流の供給から生じるコイル46、48に関するインダクタンスの変化を検出することができる。ECU24は、コイルごとにこの動作を行うことができ、それによってECU24は、コイル44に電流を供給し、コイル46、48に関する電気的特性の変化を測定し、次いでコイル46に電流を供給し、コイル44、48に関する電気的特性の変化を測定し、次いでコイル48に電流を供給し、コイル44、46に関する電気的特性の変化を測定する(そして、このサイクルをさらに繰り返すことができる)。別の実施形態では、ECU24は、コイル44、46などの複数のコイルに電流を供給し、残りのコイル48(4つ以上のコイルが使用される場合、複数のコイル)の電気的特性の変化を測定することができる。ECU24は、コイルまた複数のコイルごとにこの動作を再び行うことができ、それによってECUは、コイル44、46に電流を供給し、コイル48に関する電気的特性の変化を測定し、次いでコイル46、48に電流を供給し、コイル44に関する電気的特性の変化を測定し、次いでコイル44、48に電流を供給し、コイル46に関する電気的特性の変化を測定する(そして、このサイクルをさらに繰り返すことができる)。これらの各実施形態において、ECU24は、所与のコイル44、46、48が発生した信号の値を、カテーテル16の遠位端40に接触力がない場合のコイル44、46、48の電気的特性を示す記憶された値と比較するように構成することができる。
【0042】
別の実施形態では、ECU24は、所与のコイル44、46、48が発生した信号の値を、カテーテル16の遠位端40に接触力がない場合のコイル44、46、48の電気的特性を示す計算されモデル化された値と比較するように構成することができる。記憶された値は、例えば、ECU24の内部または外部のメモリに記憶されたルックアップ・テーブルまたは他の従来のデータ構造に記憶することができる。さらに別の実施形態では、ECU24は、カテーテル16と組織12の間に接触力がない場合に存在する特定のコイル44、46、48における電気的特性の値を打ち消すまたは無効にするために、1つまたは複数のコイル44、46、48に電流を供給することができる。上述したように、各コイルに関連した電気的特性は、素子50、79、94または98および/または他の外部要因が存在することにより接触力がない場合でも初期値またはデフォルト値を有する。ECU24は、この初期値またはデフォルト値を打ち消すまたは無効にするために、コイル44、46、48の1つに電流を供給することができる。例えば、ECU24は、接触力がない場合に存在する他のコイル46、48における初期インダクタンス値またはデフォルト・インダクタンス値をキャンセルまたは無効にするように、コイル44などの1つのコイルに電流を供給することができる。このようにして、ECU24は、電気的特性の測定値が素子50、79、94または98の移動だけによるように信号測定値を較正する。コイル44、46、48は、本実施形態を助けるために反対方向に向けるまたは巻くことができる。
【0043】
単一コイル/単一フェライト・システムに対する3コイル/単一フェライト・システムの別の全体的な利点は、優れた精度および全ての力の大きさおよび向きの独立した感知に加えて、これらの望ましくない初期の「ゼロ」偏向を大きさおよび方向に関連して正確に感知することもできるとき、先端における任意の不必要なゼロ・フォース偏向を正確に打ち消すまたは取り去ることができることである。
【0044】
磁場発生器26は、コイル44、46、48の代替の外部ワイヤレス励磁を可能にするように設けることができる。ECU24は、コイル44、46、48へ延びる導線を通じてコイル44、46、48を駆動または励磁するための使用することができるが、代替として、(少なくともカテーテル16の外部にあるが、おそらくは体14の外部でもある)外部磁場発生器を用いてコイル44、46、48を励磁することが望ましいものとすることができる。磁場発生器26は、(ある大きさおよび方向を有する)1つまたは複数の磁場を発生させる。一実施形態では、磁場発生器は、体14を含む領域内の磁場を生成し、磁場の強度、向き、および周波数を制御するように配置されている3つ直交配置したコイルのセットを備える。磁場発生器26は、St.Jude Medical,Inc.によって販売が申し出されているMediGuide(商標)Technologyなどの磁場発生器、またはBiosense Webster,Inc.によって商標「CARTO」の名で販売されている発生器を含み得る。磁場発生器26がコイル44、46、48を励磁するために使用される場合、その1つは、全ての側からコイルとフェライトの両方を同時に励磁していることが理解されよう。しかしながら、コイルの電気的な挙動は、フェライトの位置/向きの固有の機能でやはりある。コイルは、三次元ナビゲーション・システムの一部として同様に用いることもできる。
【0045】
本教示による医療デバイスおよびシステム10は、従来のデバイスおよびシステムに比べて有利である。本教示による医療デバイスおよびシステム10は、体14内のデバイスと組織12の間の接触力(前記ベクトル成分の空間的向きも好ましくない場合、軸方向/曲げベクトルの少なくともサブコンポーネントの大きさ)を測定する手段を提供し、これは、従来のデバイスおよびシステムほど複雑でも高価でもない。例えば、ある従来のカテーテルでは、送信コイルはカテーテルの遠位先端に配設され、複数の受信コイルは較正されたばねの反対側でカテーテルの近位部分に配設される。受信コイルに対する送信コイルの位置、およびしたがってばねを横切ってカテーテルの遠位先端に及ぼされる力は、接触力を示すために受信コイルが生成した信号に応じて決定される。この例示的なカテーテルに関する詳細は、米国特許第8,357,152号および2009年5月28日に発行された米国特許出願公開第2009/0138007号の中に見つけることができ、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、送信コイルおよび受信コイルのこの配置は、ばねを通過しなければならない2本のリードを含む各コイルへ至る複数の導電性リードを必要とする。カテーテルおよび同様の医療デバイス内の利用可能な空間は、デバイスのサイズおよび使用目的により制限される。各コイルへの導線の配線は、デバイス内の貴重な空間を費やし、製造コストを増大させる。デバイスの遠位部分70に電気的受動素子50、79、94または98を使用することによって、従来のデバイスに比べて接触力を決定するデバイス内に必要とされる導線78の本数を減少させる。結果として、デバイスおよびシステム10は、デバイス内の貴重な空間を保ち、製造があまり高価でない。さらに、なくされるばねを通じてのコイル・ワイヤは、ばねの明らかな剛性を変えるその潜在性も無くす。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態をある程度の特殊性とともに前述したが、当業者は、本開示の範囲を逸脱することなく、開示された実施形態に多くの変更を加えることができるだろう。すべての方向に関する言及(たとえば、上部、下部、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、最上部、底部、より上方に、より下方に、垂直の、水平の、時計回り、反時計回り)は、開示する実施形態についての読者の理解を助けるために、識別の目的で使用されているにすぎず、特に開示する実施形態の位置、向き又は使用に関して制限を与えるものではない。接合に関する言及(たとえば、取り付けられる、結合される、接続される等)は、広義に解釈されるべきであり、要素の接続と要素間の相対的な動きとの間の中間メンバを含む場合がある。このように、接合に関する言及は、2つの要素が直接的に接続され、かつ互いに固定した関係にあることを必ずしも意味するものではない。上記の説明に含まれ、又は添付図面に示されるすべての内容は、限定的なものとしてではなく、単に例示的なものとして解釈されるべきであることが意図されている。添付の特許請求の範囲で定義されている開示から逸脱することなく、細部または構造に変更を加えることができる。
【0047】
本明細書中に参照により援用されると称される、いかなる特許、出版物、もしくはその他の開示マテリアルは全体として又はその一部として組み込まれたマテリアルは、既存の定義、ステートメント、または本明細書おけるその他の開示マテリアルと競合しない範囲においてのみ、参照により本明細書に組み込まれる。また、必要な範囲内において、本明細書に明示的に記載した開示は、本明細書に参照により組み込まれる全てのマテリアルよりも優先される。任意のマテリアル、またはその部分は、参照により本明細書に援用されると称されるが、既存の定義、ステートメント、または本明細書に記載の他の開示マテリアルとその組み込まれたマテリアルとの間に衝突が生じない程度に組み入れるものとする。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
体内の組織を治療または診断するための医療デバイスであって、
前記体内に受け入れられるように構成された細長い管状シャフトであって、近位部分と遠位部分を有しており、この遠位部分は前記近位部分の遠位端に対して移動するように構成されており、この移動は、前記シャフトの長手方向軸に沿って前記近位部分の前記遠位端に向かって及び前記近位部分の前記遠位端から離れるように移動することによるものと、前記長手方向軸から偏向することによるものとを含む、細長い管状シャフトと、
前記シャフトの前記近位部分と前記遠位部分の間に配設され、所定の剛性を有する可撓性部材と、
前記シャフト内に配設された第1の電磁コイルと、
前記シャフト内に配設され、前記第1の電磁コイルの電気的特性に影響を及ぼす材料で構成されている第1の電気的受動素子と、を備え、
前記第1の電磁コイルと前記第1の電気的受動素子のうちの一方は、前記シャフトの前記遠位部分とともに、前記第1の電磁コイルと前記第1の電気的受動素子のうちの他方に対して移動するように構成されており、
前記遠位部分と前記組織の接触及び前記可撓性部材の変形に応じた前記第1の電磁コイルと前記第1の電気的受動素子の間の相対移動は、前記第1の電磁コイルの前記電気的特性の変化を引き起こし、
前記変化は、前記可撓性部材の前記変形及び前記遠位部分と前記組織の間の少なくとも接触力の大きさを示す、医療デバイス。
(項目2)
前記シャフト内に配設された第2及び第3の電磁コイルをさらに備え、
前記第1、第2及び第3の電磁コイルは、前記長手方向軸に平行に延びるとともに、前記長手方向軸を中心にして円周方向に等間隔で配置されている、項目1に記載の医療デバイス。
(項目3)
3つのコイルと1つの受動素子の組み合わせは、軸方向と曲げの接触力のベクトルの大きさの両方の決定、ならびに軸方向と曲げの接触力のベクトルの方向の両方の決定をさらに可能にする、項目2に記載の医療デバイス。
(項目4)
前記第1の電気的受動素子は、前記長手方向軸を中心にした回転対称の形状、前記長手方向軸を中心にして配置されたトーラス、環状部分、円板、またはリングの形状、及び、対向したコイルの近くにまたはその中に突出する突出部を備える素子のうちの1つを備える、項目2に記載の医療デバイス。
(項目5)
前記コイルは、前記可撓性部材の第1の側で前記シャフトに対して動かないように取り付けられ、前記受動素子は、前記可撓性素子の反対の第2の側で前記シャフトに対して動かないように取り付けられる、項目3に記載の医療デバイス。
(項目6)
前記第1の電気的受動素子は、空気の透磁率よりも大きい透磁率を有する磁気的に透過性の部材を備える、項目1に記載の医療デバイス。
(項目7)
前記磁気的に透過性の部材は、フェライトを備える、項目6に記載の医療デバイス。
(項目8)
前記磁気的に透過性の部材は、分極していない磁性材料を備える、項目6に記載の医療デバイス。
(項目9)
前記第1の電気的受動素子は、少なくとも前記第1の電磁コイルから軸方向に間隔をおいて配置される、項目1に記載の医療デバイス。
(項目10)
前記第1の電気的受動素子は前記第1の電磁コイル内に配設され、前記第1の電気的受動素子は前記第1の電磁コイルに対して静止されたままであるように構成されている、項目1に記載の医療デバイス。
(項目11)
前記電気的受動素子は、前記第1の電気的受動素子に概して面している平坦な端面、円錐形端面、および中央穴またはボアのうちの1つを備える、項目1に記載の医療デバイス。
(項目12)
前記第1、第2および第3の電磁コイルは、カテーテル軸を中心にして全て同じ回転方向の磁場と、前記カテーテル軸を中心にして反対の回転方向である前記カテーテル軸を中心にした磁場との一方を生成する、項目2に記載の医療デバイス。
(項目13)
体内の組織を治療または診断するためのシステムであって、
医療デバイスと電子制御ユニットを備えており、
その医療デバイスは、
前記体内に受け入れられるように構成された細長い管状シャフトであって、近位部分と遠位部分とを有しており、この遠位部分は前記近位部分の遠位端に対して移動するように構成されており、この移動は、前記シャフトの長手方向軸に沿って前記近位部分の前記遠位端に向かって及び前記近位部分の前記遠位端から離れるように移動することによるものと、前記長手方向軸からの偏向によるものとを含む細長い管状シャフトと、
前記シャフトの前記近位部分と前記遠位部分の間に配設され、所定の剛性を有する可撓性部材と、
前記シャフト内に配設された第1の電磁コイルと、
前記シャフト内に配設され、前記第1の電磁コイルの電気的特性に影響を及ぼす材料で構成されている第1の電気的受動素子と、を備えており、
前記第1の電磁コイルと前記第1の電気的受動素子のうちの一方は、前記シャフトの前記遠位部分とともに、前記第1の電磁コイルと前記第1の電気的受動素子のうちの他方に対して移動するように構成されており、
前記遠位部分と前記組織の接触及び前記可撓性部材の変形に応じた前記第1の電磁コイルと前記第1の電気的受動素子の間の相対移動は、前記第1の電磁コイルの前記電気的特性の変化を引き起こし、
前記変化は、前記可撓性部材の前記変形及び前記遠位部分と前記組織の間の接触力の大きさを示し、
前記電子制御ユニットは、前記第1の電磁コイルの前記電気的特性の変化を示す前記第1の電磁コイルによって生成された信号に応じて特定の接触力の大きさを決定するように構成されている、システム。
(項目14)
前記シャフト内に配設された第2及び第3の電磁コイルをさらに備え、
前記第1、第2及び第3の電磁コイルは、前記長手方向軸に平行に延びるとともに、前記長手方向軸を中心にして円周方向に等しい角度間隔で配置されており、
前記第1、第2及び第3の電磁コイルは、軸方向と曲げの接触力の成分ベクトルの両方の前記接触力の大きさ及び空間的な向きの決定を可能にするように構成されている、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記医療デバイスは、前記シャフト内に配設された前記第1の電磁コイルから前記医療デバイスの近位端まで延びる少なくとも1つの導線を備え、
前記電子制御ユニットは、前記接触力の決定時に、前記少なくとも1つ導線と前記第1の電磁コイルに電流を発生させるようにさらに構成されており、前記電流は前記第1の電磁コイルを励磁させ、前記第1の電磁コイルの励磁またはその減衰は、前記第1の電磁コイルに対しての前記受動素子の偏向状態によって予測可能に影響を受ける、項目13に記載のシステム。
(項目16)
前記医療デバイスの外側に配設され、前記第1の電磁コイルに電流を発生させるように構成されている磁場発生器をさらに備える、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記電子制御ユニットは、偏向力の大きさまたは向きを決定するためにコイル応答データのルックアップ・テーブルを使用すること、及び、どのような偏向力の大きさと向きが観察されたコイル応答を引き起こすのか計算するモデルを用いることの一方または両方によって特定の接触力の大きさまたは特定の接触力ベクトルの方向の1つまたは複数を決定するようにさらに構成される、項目13に記載のシステム。
(項目18)
前記第1の電気的受動素子は、空気の透磁率よりも大きい透磁率を有する磁気的に透過性の部材で構成されている、項目14に記載のシステム。
(項目19)
前記第1の電気的受動素子は、前記第1の電磁コイルから間隔をおいて軸方向に配置される、項目14に記載のシステム。
(項目20)
前記第1の電磁コイルは、前記第1の電気的に受動的な部分のまわりにまたはその内に偏向可能に配設される、項目14に記載のシステム。
(項目21)
前記可撓性部材は、軸圧縮方向と曲げ方向の両方に既知の剛性を有するばねを備え、前記ばねは、電磁コイルへの有線接続を含まない、項目14に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7