特許第6180637号(P6180637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6180637衝突を検出する車両用装置を検査する方法、装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180637
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】衝突を検出する車両用装置を検査する方法、装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/00 20060101AFI20170807BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20170807BHJP
   G01P 21/00 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   G01P15/00 D
   B60R21/00 610Z
   G01P21/00
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-537180(P2016-537180)
(86)(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公表番号】特表2016-529501(P2016-529501A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014065496
(87)【国際公開番号】WO2015028199
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年2月29日
(31)【優先権主張番号】102013217340.7
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒェル ヴァルツ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】デニス マーダー
(72)【発明者】
【氏名】グンター ラング
(72)【発明者】
【氏名】ハンスイェアク マークス ヒルト
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シェーンフェルト
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュミート
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102011083027(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第10232523(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102011011963(DE,A1)
【文献】 特表2006−512245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P 15/00,21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の体積(V1)に基づく少なくとも1つの衝突検出手段を用いた、衝突を検出する車両(1)用装置(12)を検査する方法であって、
少なくとも1つの第1の特性量が検出され、
前記少なくとも1つの第1の特性量は、前記少なくとも1つの第1の体積(V1)内の圧力及び/又は体積及び/又は圧力変化及び/又は体積変化を表し、
前記装置(12)の検査の結果は、前記少なくとも1つの第1の特性量の経過に依存して特定され
前記少なくとも1つの第1の特性量は、少なくとも1つの第1の検出装置(121,122)によって検出され、前記少なくとも1つの第1の検出装置(121,122)は、前記少なくとも1つの第1の体積(V1)だけでなく、車両の周辺(V2)とも連絡し、前記周辺との連絡は、補償手段(DAE)を介して行われ、前記少なくとも1つの第1の特性量の経過は、目標経過と比較され、前記目標経過は、前記補償手段(DAE)に依存しており、前記装置(12)の検査の結果は、前記比較に依存して特定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1つの第2の特性量が検出され、前記少なくとも1つの第2の特性量は、前記少なくとも1つの第1の体積(V1)内の圧力及び/又は体積及び/又は圧力変化及び/又は体積変化を表し、前記少なくとも1つの第1の特性量は、前記少なくとも1つの第2の特性量を用いて妥当性検査され、及び/又は、前記少なくとも1つの第1の特性量は、前記少なくとも1つの第2の特性量と相関付けされ、前記装置(12)の検査の結果は、前記妥当性検査及び/又は前記相関付けに依存して特定される、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の特性量は、第1の検出装置(121)によって検出され、前記少なくとも1つの第2の特性量は、第2の検出装置(122)によって検出され、前記第1及び第2の検出装置(121,122)は、別個の検出装置であり、前記第1の検出装置(121)及び前記第2の検出装置(122)は、それぞれ前記少なくとも1つの第1の体積(V1)と連絡する、請求項に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの第3の特性量が検出され、前記少なくとも1つの第3の特性量は、前記車両の周辺(V2)の圧力及び/又は圧力変化及び/又は温度及び/又は温度変化を表し、及び/又は、前記第3の特性量は、前記車両(1)が存在している高度及び/又は前記車両(1)が実施する高度変化を表し、前記少なくとも1つの第3の特性量は、第3の検出装置によって検出され、前記少なくとも1つの第1の特性量及び/又は前記少なくとも1つの第2の特性量は、前記少なくとも1つの第3の特性量と相関付けされ、前記検査の結果は、当該相関付けに依存して特定される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記第3の検出装置は、別個の検出装置である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第1の特性量及び/又は前記少なくとも1つの第2の特性量に、補正係数が適用され、前記補正係数は、前記少なくとも1つの第3の特性量に依存している、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記検査の結果として、前記少なくとも1つの第1の体積(V1)の漏出及び/又は閉塞が特定される、請求項2乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記漏出及び/又は前記閉塞は、前記少なくとも1つの第1の特性量及び/又は前記少なくとも1つの第2の特性量が所定の範囲(k1,k2)内で前記少なくとも1つの第3の特性量と相関付けされない場合に特定される、請求項に記載の方法。
【請求項9】
所定の期間(k2)が経過した後で、前記少なくとも1つの第1の特性量及び/又は前記少なくとも1つの第2の特性量が、前記少なくとも1つの第3の特性量と所定の比率を形成する場合には、前記少なくとも1つの第1の特性量及び/又は前記少なくとも1つの第2の特性量は、前記少なくとも1つの第3の特性量と相関付けられる、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の期間は、前記少なくとも1つの第3の特性量及び/又は前記補償手段(DAE)に依存している、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記衝突検出手段は、少なくとも1つのホース(123)内の圧力を検出する少なくとも1つの圧力センサを備えた衝突検出手段である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記衝突は、歩行者衝突である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの第1の体積(V1)に基づく少なくとも1つの衝突検出手段を用いた、衝突を検出する車両(1)用装置(12)を検査するシステムであって、
前記装置は、前記少なくとも1つの第1の体積(V1)内の圧力及び/又は体積及び/又は圧力変化及び/又は体積変化を表す第1の特性量を検出する、少なくとも1つの第1の検出装置(121,122)を有し、前記システムは、前記装置の検査の結果を、前記少なくとも1つの第1の特性量の経過に依存して特定し、
前記少なくとも1つの第1の検出装置(121,122)は、前記少なくとも1つの第1の体積(V1)だけでなく、第2の体積(V2)とも連絡し、前記少なくとも1つの第1の検出装置(121,122)及び/又は前記少なくとも1つの体積(V1)は、少なくとも1つの補償手段(DAE)を有し、前記第2の体積(V2)との連絡は、前記少なくとも1つの補償手段(DAE)を介して行われ、前記システムは、前記少なくとも1つの第1の特性量の経過を目標経過と比較し、前記目標経過は、前記補償手段(DAE)に依存しており、前記システムは、前記装置(12)の検査の結果を、前記比較に依存して特定することを特徴とするシステム。
【請求項14】
前記第2の体積(V2)は、前記車両(1)周辺の体積である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムは、少なくとも1つの第2の特性量を検出する第2の検出装置(122)を有し、前記少なくとも1つの第2の特性量は、前記少なくとも1つの第1の体積(V1)内の圧力及び/又は体積及び/又は圧力変化及び/又は体積変化を表し、前記システムは、前記少なくとも1つの第2の特性量を用いて、前記少なくとも1つの第1の特性量を妥当性検査する手段を有し、及び/又は、前記少なくとも1つの第1の特性量を前記少なくとも1つの第2の特性量と相関付けする手段を有し、前記システムは、前記装置(12)の検査の結果を、前記妥当性検査及び/又は前記相関付けに依存して特定する、請求項13又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の検出装置(121)及び前記第2の検出装置(122)は、別個の検出装置であり、前記第1の検出装置(121)及び前記第2の検出装置(122)は、それぞれ前記少なくとも1つの第1の体積(V1)と連絡する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムは、少なくとも1つの第3の特性量を検出する第3の検出装置を有し、前記少なくとも1つの第3の特性量は、前記車両(1)の周辺の前記第2の体積(V2)の圧力及び/又は圧力変化及び/又は温度及び/又は温度変化を表し、及び/又は、前記第3の特性量は、前記車両(1)が存在している高度及び/又は前記車両(1)が実施する高度変化を表し、前記第3の検出装置は、別個の検出装置であり、前記システムは、前記少なくとも1つの第1の特性量及び/又は前記少なくとも1つの第2の特性量を、前記少なくとも1つの第3の特性量と相関付けする手段を有し、前記システムは、前記検査の結果を、当該相関付けに依存して特定する、請求項15又は16に記載のシステム。
【請求項18】
前記検査の結果は、前記少なくとも1つの第1の体積(V1)の漏出及び/又は閉塞である、請求項13乃至17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記衝突検出手段は、少なくとも1つのホース(123)内の圧力を検出する少なくとも1つの圧力センサを備えた衝突検出手段である、請求項13乃至18のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突を検出する車両用装置を検査する方法、それに適した装置並びに対応するシステムに関している。
【背景技術】
【0002】
歩行者や自転車走行者は日常の道路交通参加者の中では特に危険に曝されており、それらの負傷者や死亡者の数は比較的高い。この数を減少させるために、歩行者や自転車走行者を保護する相応の法律が公布されてきている。その目的として、車両は、対応する保護ゾーンを提供し、衝突時の衝撃エネルギーを吸収乃至減少させる義務を課せられる。効果的な解決策にはアクティブな歩行者保護があり、これは衝撃をセンサによって検出し、対応する人員保護手段、例えばエンジンフードの跳ね上げや外部エアバッグ等をトリガさせる。
【0003】
衝突を検出するためのセンサは、1つ以上の圧力センサを用いるチューブ乃至ホースシステム内の圧力変化の検出に基づいている。このシステムは、車両の前部又は後部バンパーの内部又は表面に組み込まれている。歩行者が衝突した際のバンパーの変形は、体積変化を引き起こし、それに伴ってホースシステム内の圧力変化も引き起こす。これらの圧力変化は、圧力センサによって検出され、人員保護手段を活性化するための制御装置への衝突情報として利用される。
【0004】
従来技術
車両への衝突、特に歩行者の衝突の検出に対しては、様々なシステムが使用されている。最もよく知られているシステムは、車両の前面乃至後方領域に配置される加速度測定センサを使用する。新たなシステムでは、流体媒体で満たされたホースが使用され、その少なくとも一方の端部には圧力測定センサが配置されている。
【0005】
衝突を検出するシステムとは、安全上重要なシステムであるので、これらのシステムを検査する方法が不可欠とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の開示
このような背景を前提に、本発明によれば、少なくとも1つの第1の体積に基づく衝突検出手段、特に少なくとも1つのホースに基づく衝突検出手段を用いた、衝突、特に歩行者衝突を検出する車両用装置を検査する方法、そのような方法を実施する手段を備えた装置、並びに対応するシステムが提案される。有利な実施形態は、従属請求項及び以下の説明から明らかとなる。
【0007】
本発明の趣旨は、衝突を検出する装置の検査機能を簡単に実現させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
それ故、少なくとも1つの第1の体積に基づく少なくとも1つの衝突検出手段、特に少なくとも1つのホースに基づく衝突検出手段を用いた、衝突、特に歩行者衝突を検出する車両用装置を検査する方法であって、少なくとも1つの第1の特性量が検出され、前記少なくとも1つの第1の特性量は、前記第1の体積内の圧力及び/又は体積及び/又は圧力変化及び/又は体積変化を表し、前記装置の検査の結果は、前記少なくとも1つの第1の特性量の経過に依存して特定される方法が提案される。
【0009】
さらに、そのような方法を実施する手段を備えた装置が提案される。
【0010】
さらに、少なくとも1つの第1の体積に基づく少なくとも1つの衝突検出手段、特に1つのホースに基づく衝突検出手段を用いた、衝突を検出する車両用装置を検査するシステムであって、前記装置は、前記少なくとも1つの第1の体積内の圧力及び/又は体積及び/又は圧力変化及び/又は体積変化を表す第1の特性量を検出する、少なくとも1つの第1の検出装置を有し、前記システムは、前記装置の検査の結果を、少なくとも1つの第1の特性量の経過に依存して特定するシステムが提案される。
【0011】
前記第1の体積とは、例えば車両のバンパー内の中空空間、例えば車両の吸収発泡体における空間と理解されたい。実際には、この体積は、車両の前部又は後部バンパーの内部又は表面に取り付けられたホースによって形成される。このホースは、前記吸収発泡体の溝に設けられていてもよい。好ましくは、このホースは、例えばシリコーンのような周辺環境の影響に対して耐性のある材料からなっている。このホースは、空気が充填されていれば十分である。また、代替的にこのホースは、他の媒体、例えば他の気体や液体が充填されていてもよい。
【0012】
適切な検出装置、例えば圧力センサを用いることにより、前記第1の体積内の圧力及び/又は体積及び/又は圧力変化及び/又は体積変化を表す少なくとも1つの第1の特性量が検出可能となる。この特性量が時系列で複数回検出されるならば、そこから当該特性量の経過を特定することも可能になる。この経過は、適切に評価することができる。前記特性量の経過に依存して、当該装置の検査結果を特定することが可能になる。例えば所定の期間にわたって検出された特性量が、意図したものよりも早く減少するならば、このことから、当該体積乃至ホースに漏出があることを推定することができる。
【0013】
この方法乃至システムの好適な実施形態によれば、前記少なくとも1つの第1の特性量は、少なくとも1つの第1の検出装置によって検出され、前記少なくとも1つの第1の検出装置は、少なくとも1つの体積だけでなく、車両の周辺とも連絡し、前記周辺との連絡は、補償手段を介して行われ、前記少なくとも1つの第1の特性量の経過は、目標経過と比較され、前記目標経過は、前記補償手段に依存しており、前記装置の検査の結果は、前記比較に依存して特定される。
【0014】
前記方法乃至システムを、温度の変化や気圧の変化等の環境条件の変化に対してより堅牢にするために、有利には、前記体積やホース内で主流の条件が環境条件に適合化される。この目的のために、補償手段が、例えば圧力補償手段が用いられてもよい。圧力補償手段は、典型的には、検出装置に、例えば圧力センサに取り付けられる。付加的又は代替的に、最初の体積を提供する補償手段がホースに設けられてもよい。この補償手段は、2つの体積を結合し、それによって、第1の体積の条件が、所定の時間に亘って第2の体積の条件に補償される。そのために必要とされるこの所定の時間は、補償手段の制御量、補償手段の特性量、体積における条件の違いを決定するのに深く関与している。これらの特性量が既知であるならば、検出された特性量の経過は、上述の補償手段の特性に依存する目標経過と比較可能である。
【0015】
例えば温度上昇に基づいて、前記ホース内の圧力が上昇するならば、前記補償手段を介して、車両周辺との圧力補償が行われる。使用される補償手段の特性に依存して、補償が目標経過の中で行われる。その際に補償がより急速に行われるならば、ホース内の漏出を推定することができる。補償がより緩慢に行われるならば、閉塞を推定することができる。
【0016】
この方法乃至システムの好適な実施形態によれば、少なくとも1つの第2の特性量が検出され、前記少なくとも1つの第2の特性量は、前記少なくとも1つの第1の体積内の圧力及び/又は体積及び/又は圧力変化及び/又は体積変化を表し、前記少なくとも1つの第1の特性量は、前記少なくとも1つの第2の特性量を用いて、特に理想流体のための少なくとも1つの状態方程式を用いて妥当性検査され、及び/又は、前記少なくとも1つの第1の特性量は、前記少なくとも1つの第2の特性量と相関付けされ、前記装置の比較の結果は、前記妥当性検査及び/又は前記相関付けに依存して特定される。
【0017】
前記検出された2つの特性量は、理想流体(理想気体の熱的状態方程式)のための状態方程式を用いることにより、妥当性を検査することができる。ここでの検出された2つの特性量は、第1の体積内で均一な圧力分布と温度分布が優勢である前提で処理される。
【0018】
前記検出された2つの特性量は、互いに整合している場合に相関する。それについては前記検出された2つの特性量のうちの一方が変化した場合には、検出された2つの特性量の経過も同じ程度に増減することが理解され得る。
【0019】
このようにして、衝突を検出する装置を検査することのできる簡単な手段が、例えば第3の特性量の適用を必要とすることなく得られる。
【0020】
前記方法乃至システムの別の好適な実施形態によれば、前記少なくとも1つの第1の特性量は、第1の検出装置によって検出され、前記少なくとも1つの第2の特性量は、第2の検出装置によって検出され、前記第1及び第2の検出装置は、別個の検出装置であり、前記第1の検出装置及び前記第2の検出装置は、それぞれ前記少なくとも1つの第1の体積と連絡する。
【0021】
前記装置の検査は、前記第1の検出装置とは別個の第2の検出装置が前記体積乃至ホースに設けられている場合にはさらに向上し得る。ホースを備えた一実施形態によれば、このことは例えば、前記ホースの各端部毎にそれぞれ1つの圧力センサを設けることによってなされる。
【0022】
それにより、誤動作している検出装置がより簡単に識別され、システムの誤機能を引き起こさないことが達成される。
【0023】
前記方法乃至システムの別の好適な実施形態によれば、少なくとも1つの第3の特性量が検出され、前記少なくとも1つの第3の特性量は、特に前記車両の周辺の、圧力及び/又は圧力変化及び/又は温度及び/又は温度変化を表し、及び/又は、前記第3の特性量は、前記車両(1)が存在している高度及び/又は前記車両が実施する高度変化を表し、前記少なくとも1つの第3の特性量は、第3の検出装置、特に別個の第3の検出装置によって検出され、前記少なくとも1つの第1の特性量及び/又は前記少なくとも1つの第2の特性量は、前記少なくとも1つの第3の特性量と相関付けされ、前記検査の結果は、当該相関付けに依存して特定される。
【0024】
前記方法乃至システムの別の有利な実施形態によれば、前記第3の検出装置は、別個の検出装置である。
【0025】
少なくとも1つの第3の特性量は、例えばいわゆるインストルメントパネル又は例えば側面衝突検出のための側面圧力センサから供給され得る。この場合はインストルメントパネル又は側面圧力センサからの特性量を検出し、又は少なくとも収集し、その後で車両内の通信手段、例えばCANバス又はFlex−Ray−バスを介してこれらの手順又はこのような手順を実施する装置に提供される。
【0026】
ここで検出された温度乃至温度変化は、車両周辺の温度の他に、エンジンルーム内の温度であってもよい。これは、本発明に係る方法によって検査される衝突検出装置が、車両のバンパーの内部又は表面に設けられていることと、それに伴いオイルクーラーの近傍に導入可能であることに基づいている。このオイルクーラーは、車両の運転中に、熱を放出するので、その際の温度の上昇により、本発明に係る方法が既に実施可能となる。
【0027】
車両周辺で検出された周辺圧力乃至圧力変化とは、人為的にもたらされた圧力乃至圧力変化であり得る。これらは、検査機関、工場又は洗車スタンド等で意図的にもたらされる。手頃な応用例は、様々な運転状況によってもたらすことが可能である(例えば、異なる高度での走行によって)。ここでは、車両がおかれている周囲圧力は、高度が高くなればなるほど小さくなる状況が利用される。
【0028】
前記方法の有利な実施形態によれば、前記少なくとも1つの第1の特性量及び/又は前記少なくとも1つの第2の特性量に、補正係数が適用され、前記補正係数は、前記少なくとも1つの第3の特性量に依存している。
【0029】
本発明のそのような態様によれば、検査すべき装置への不所望な温度や圧力の影響が補償され、それによって本発明に係る方法乃至本発明に係るシステムは、より正確に若しくは少なくともより堅牢に構成することができる。
【0030】
前記方法乃至システムの代替的な実施形態によれば、前記検査の結果として少なくとも1つの第1の体積の漏出又は閉塞を特定する。
【0031】
前記方法の有利な実施形態によれば、前記漏出及び/又は前記閉塞は、前記少なくとも1つの第1の特性量及び/又は前記少なくとも1つの第2の特性量が、所定の範囲内で前記少なくとも1つの第3の特性量と相関付けされない場合に特定される。
【0032】
前記漏出は、例えば第3の特性量の変化が、相応の又は推定される尺度で第1乃至第2の特性量に影響を及ぼさないことによって識別することができる。例えば温度が上昇しているにも拘わらず、検出される圧力が、いずれにせよ上昇しないか又は極僅かしか上昇しない場合には、漏出が原因で、周囲圧力との、過度に早い補償乃至説明できない補償が行われる。温度変化に続いて検出された圧力が異常に早く、場合によっては不規則に早く上昇するときには、閉塞が推定される。なぜなら実際よりも小さく場合によっては2つの異なる大きさの体積が測定され、外気温の変化は測定された体積に比例して作用するからである。従って、好適な実施形態によれば、衝突を検出する装置の検査の結果がより正確に特定されるようになる。
【0033】
前記方法の別の好適な実施形態によれば、所定の期間が経過した後で、前記少なくとも1つの第1の特性量及び/又は前記少なくとも1つの第2の特性量が、実質的に、前記少なくとも1つの第3の特性量と所定の比率を形成するならば、前記少なくとも1つの第1の特性量及び/又は前記少なくとも1つの第2の特性量は、前記少なくとも1つの第3の特性量と相関付けられる。但し、前記期間は、特に前記少なくとも1つの第3の特性量及び/又は前記比較手段に依存している。
【0034】
少なくとも1つの第1の特性量又は少なくとも1つの第2の特性量は、本発明に係る方法によって検査されるべき衝突検出装置において、設計に応じて少なくとも1つの第3の特性量に継承される。その理由は、設計に応じて、第1乃至第2の特性量によって検出される第1の体積が、第3の特性量によって検出される第2の体積と、いずれにせよ、補償要素を介して連絡するからである。この補償要素は、第3の特性量において検出された変化が、時間遅延して少なくとも1つの第1の特性量乃至少なくとも1つの第2の特性量に作用を及ぼすことを引き起こす。これは場合によっては、漏出により次のことが引き起こされることを意味する。即ち、少なくとも1つの第1乃至第2の特性量が、所定の期間が経過する前に既に第3の特性量と所定の比率を形成し得ることを意味する。なぜなら、測定された2つの体積間の補償は、漏出を介すことでより急速に行われてしまうからである。それ故、本発明の有利な実施形態によれば、いわゆる偽陰性の結果、即ち、例えば漏出や閉塞等のエラーが存在しないにも拘わらず誤って識別されることを回避することができ、さらにいわゆる偽陽性の結果も良好に識別できるようになる。比較的低い偽陰性率は、顧客や消費者において当該方法の受け入れを増加させる。これは、少なくとも1つの第1の特性量乃至少なくとも1つの第2の特性量が、直ちにではなく、所定の期間の経過後に、第3の特性量と所定の比率を形成しなければならないことによって達成される。
【0035】
本発明に係る方法乃至本発明に係る方法の有利な実施形態は、周期的に実施することができる。この周期的な実施によれば、本発明に係るシステムの堅牢性が高められる。その理由は、このシステムが、何かしらの最初若しくは最後だけ、あるいは車両を工場に持ち込こんだ時だけしか検査されなくなるのではなく、定期的に検査されるようになるからである。
【0036】
以下では、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】衝突を検出する装置の一実施形態の概観図。
図2】本発明に係る検出装置の詳細図。
図3】車両(1)の前部乃至後部(11a/11b)における衝突を検出する装置(12)の統合図。
図4】作用連鎖状況を示した図。
図5】衝突を検出する装置の検出装置のブロック回路図。
図6】衝突を検出する装置の検出装置の概略側面図。
図7a】第3の特性量に関する第1乃至第2の特性量の特性経過図。
図7b】第3の特性量に関する第1乃至第2の特性量のさらなる特性経過図。
図8】本発明に係る方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0038】
実施形態の説明
図1は、車両1の前部を示しており、当該車両1の前部バンパー11aの内部又は表面に、衝突を検出する装置12が設けられている。この装置12においては、図示の実施形態からは、第1の検出装置121と、ホース123の形態の第1の体積V1とが識別できる。この第1の検出装置121は、ここでは付加的に大きく拡大されて示されている。この場合、第1の検出装置121は、前記ホース123の一方の端部に配設されている。
【0039】
ここでは、前記ホース123の他方の端部に、第2の検出装置122を設けることが可能なことは、容易に理解することができる。
【0040】
また、衝突を検出する装置12は、前記車両1の後部バンパー11bの内部又は表面に設けることが可能なことも、容易に理解することができる。
【0041】
図示されていない、衝突を検出する装置の実施形態では、前記ホース123の端部の1つに配置された1つの検出装置121/122だけが含まれる。
【0042】
さらに図示されていない、衝突を検出する装置の別の実施形態では、第1の体積V1として、任意に形成される体積、例えば前部パンパ−11a又は後部バンパー11bの内部の任意の中空空間が含まれる。
【0043】
図2は、本発明に係る検出装置121/122の詳細図を示す。ここでは、ホース123の形態の第1の体積V1が、検出装置121/122のケーシング1211の突起1212に設けられているのが見て取れる。図示の実施形態では、このホース123は、結合部1215によって固定されている。前記ケーシング1211は、さらに、前記検出装置121/122を車両1に取り付けることが可能な締め付けクランプ1213を有している。ここでは、差込端子1214も明確に見て取れ、この端子を介して前記検出装置121は、通信接続部及び給電接続部に接続可能である。典型的には、PSI5、SPI、CAN又はFley−Ray等の標準化された端子が適用される。さらにここでは、その他の通信接続部や給電接続部も考えられる。
【0044】
図3には、車両1の前部乃至後部部分11a/11bへ、衝突を検出する装置12を統合している態様が示されている。ホース123の形態の第1の体積V1の各端部には、それぞれ検出装置121/122が配置されている。前記ホース123は、吸収発泡体21の溝の中に延在している。また、前記検出装置121/122は、歩行者用発泡体21の特定の凹部に配置されていてもよい。
【0045】
図4は、車両1のインパクタから横断部材22までの作用連鎖の状況を示している。図示のインパクタは、車両1に衝突するか、又は、車両によって衝突される物体を代理するものである。バンパー外板23は、車両1の外殻の一部である。その後方には、吸収発泡体21が続き、最後は車両1の横断部材22がそれに続く。図に示すように、作用連鎖の中の各要素は、固有の弾性質量系を許容する。
【0046】
インパクタ40の車両1への衝突によって総体的に作用する衝撃は、バンパー外板23を介して吸収発泡体21まで伝達する。この吸収発泡体21に乃至その内部に、本発明に係る装置12が配置されている。前記衝撃は、この吸収発泡体21を介して当該装置12のホース123にまで伝達し、前記検出装置(121/122)によって検出される。この衝撃の強さと特徴に応じて衝撃の種類が検知され、適切な保護手段が実施乃至駆動される。歩行者が衝突した場合の目的は、歩行者の負傷を極力回避することにある。
【0047】
図5には、衝突を検出する装置の検出装置121,122のブロック回路図が示されている。2桁の参照番号は、この回路図では、処理ステップ、特にデジタル化されたステップを表している。3桁の参照番号は、1つの処理ステップから次の処理ステップへ転送される中間値を表している。前記検出装置121,122は、この場合、(物理的な)特性量を検出するセンサ素子51と温度ダイオード53とを有している。この温度ダイオード53は、センサ素子51周辺乃至その内部の温度を検出している。そのように検出された温度は、後処理され(54乃至56,52)、特にデジタル化552されて、センサ素子51の検出された物理量57として取り込まれる。そのように後処理された特性量58は、検出装置121,122に接続されている処理装置へ、測定された物理量を表す値58として転送される。本発明によれば、前記検出装置121,122によって、ここでは測定された物理量を表す値の他に、センサ素子51乃至その周辺で検出された内部温度55も、前記検出装置に接続された処理装置に転送される。この検出された温度値55は、本発明に係る方法の実施態様では、第3の特性量として用いられる。
【0048】
前記検出装置121,122に接続された処理装置への伝送は、車両内に既存の通信手段、例えば標準化された伝送プロトコルPSI5又はCAN乃至Flex−Rayを介して行うことが可能である。
【0049】
図6には、衝突を検出する装置の検出装置121,122の概略側面図が示されている。これらの検出装置121,122は、図示の実施形態では、第1の体積V1と連絡し、そこでは圧力P1が主流の温度Tと第1の体積V1が存在する高度hとに依存して存在している。さらに前記検出装置は、圧力補償要素DAEを介して第2の体積V2と連絡し、そこでも圧力P2が主流の温度Tと高度hとに依存して存在している。この場合、前記2つの体積V1,V2は、実質的に同一の温度T及び高度hによって影響を受ける。圧力補償要素DAEを介して所定の時間の経過後に前記圧力P1とP2との間で補償(Compensation)が行われる。この場合、補償の速度は、圧力P1と圧力P2との間の差分と、圧力補償要素DAEの特性とに依存する。
【0050】
本発明に係る方法の実施形態によれば、圧力P1とP2との差分と圧力補償要素の特性との間の関連性が、衝突を検出する装置を検査するために有効利用される。
【0051】
例えば、体積V1と体積V2との間の補償までの速度が、推定される速度に一致しないことが起きた場合には、体積V1内の漏出乃至ホースベースの衝突検出手段のホース内の漏出を推定することができる。ここで推定される速度は、実質的に圧力P1とP2との間の差分と、圧力補償要素DAEの特性とに依存している。
【0052】
図7aには、第3の特性量と関連させた第1乃至第2の特性量の特性経過図が示されている。この図では、縦軸に圧力Pがプロットされ、横軸には高度hと時間tの経過がプロットされている。第1及び第2の特性量の経過は、特性曲線V1で表されている。第3の特性量の経過は特性曲線V2で表されている。この図では、高度hの増加によって、第2の体積V2内の圧力Pが減少している状況が示されている。この第2の体積は、本発明との関連において車両の周辺を表している。従って、この車両は上り坂に置かれている。車両周辺の減圧は、第1の体積における圧力に影響を及ぼす。圧力補償要素を介して、補償は、所定の速度で行われる。この場合、速度k2は、実質的に第1の体積V1内の圧力P(V1)と、第2の体積V2内の圧力P(V2)との間の差分k1に依存している。
【0053】
図7bは、第3の特性量と関連させた第1乃至第2の特性量のさらなる特性経過図が示されている。この図では、縦軸に圧力Pがプロットされ、横軸には温度Tと時間tの経過がプロットされている。第1乃至第2の特性量の経過は、特性曲線V1で表されている。第3の特性量の経過は、特性曲線V2で表されている。この図では、温度Thの増加によって、第1の体積V1内の圧力P1が、第2の体積V2内よりも早く増加している状況が示されている。この第1の体積V1は、本発明との関連において、ホース形態の衝突検出手段のホースを表している。第2の体積V2は、本発明との関連において車両の周囲を表している。第1の体積V1が、第2の体積V2に比較して著しく小さいことにより、温度変化が、第1の体積V1内の圧力P(V1)に大きく影響することが明らかである。図では、このことは、圧力P(V1)の急速な上昇によって明確に見て取れる。同時に、圧力補償要素を介して第2の体積V2の圧力P(V2)との補償が行われる。このことは、P(V2)の特性曲線の折れ曲がりによって明らかである。最後に、所定の期間k2の経過後に、第1の体積V1内の圧力と第2の体積V2内の圧力とを用いた完全な補償が行われる。
【0054】
また、このケースでは、補償のために推定される時間k2は、圧力P(V1)とP(V2)との間の差分k1と圧力補償素子の特性に依存している。
【0055】
図8は、本発明に係る方法の一実施形態のブロック回路図である。ここでは、第1のステップにおいて、周囲圧力の識別が行われる。この識別は、本発明に係るホース形態の衝突検出手段の圧力ホースの監視に影響を与える。周囲圧力の検出、本発明との関連によれば、第2の体積V2内の圧力の識別は、第3の特性量の検出に対応し、この第3の特性量は、例えば、ホース形態の衝突識別手段の漏出や閉塞を識別するために、衝突を検出する装置を監視する方法の枠組みの中で検出された第1乃至第2の特性量との相関関係がもたらされる。この監視の結果は、当該フローチャートの中で矢印と共に「OK/Defekt(欠陥)」の表記で表されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8