特許第6180697号(P6180697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6180697-排ガス浄化装置 図000006
  • 特許6180697-排ガス浄化装置 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6180697
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】排ガス浄化装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/94 20060101AFI20170807BHJP
   B01J 23/63 20060101ALI20170807BHJP
   B01J 27/053 20060101ALI20170807BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   B01D53/94 222
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   B01J23/63 AZAB
   B01J27/053 A
   F01N3/10 A
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-528239(P2017-528239)
(86)(22)【出願日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】JP2017001812
【審査請求日】2017年5月25日
(31)【優先権主張番号】特願2016-9954(P2016-9954)
(32)【優先日】2016年1月21日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104607
【氏名又は名称】株式会社キャタラー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】糟谷 知弘
(72)【発明者】
【氏名】滝 健一
(72)【発明者】
【氏名】松枝 悟司
(72)【発明者】
【氏名】星野 将
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−297372(JP,A)
【文献】 特開2014−117700(JP,A)
【文献】 特開2014−136175(JP,A)
【文献】 特開2001−104786(JP,A)
【文献】 特開2010−274162(JP,A)
【文献】 特開2010−005565(JP,A)
【文献】 特開2002−028488(JP,A)
【文献】 特開2011−200817(JP,A)
【文献】 特開2014−168751(JP,A)
【文献】 特開2006−263581(JP,A)
【文献】 特開2015−085241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/73
B01D 53/86−53/90
B01D 53/94
B01D 53/96
B01J 21/00−38/74
F01N 3/00
F01N 3/02
F01N 3/04− 3/38
F01N 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナ担体粒子にPdを担持してなるPd担持触媒と、第1のセリア−ジルコニア担体粒子にRhを担持してなる第1のRh担持触媒と、第2のセリア−ジルコニア担体粒子とを含む第1の触媒層を有する、排ガス浄化装置であって、
前記第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア濃度が30wt%以下であり、かつ前記第2のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量が前記第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量よりも大きく、かつ前記第1の触媒層の下側に第2の触媒層を有する、排ガス浄化装置。
【請求項2】
前記第2のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア濃度が、30wt%より大きい、請求項1に記載の排ガス浄化装置。
【請求項3】
前記第1の触媒層が、硫酸バリウムをさらに含む、請求項1又は2に記載の排ガス浄化装置。
【請求項4】
前記第2の触媒層が、硫酸バリウムを含む、請求項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項5】
前記第2の触媒層が、第1のセリア−ジルコニア担体粒子にRhを担持してなる第2のRh担持触媒を含む、請求項1又は2に記載の排ガス浄化装置。
【請求項6】
前記第1のRh担持触媒のRh量と、前記第2のRh担持触媒のRh量との比が、10:90〜90:10の範囲である、請求項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項7】
前記第2の触媒層の下側にさらに1又は複数の層を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
【請求項8】
前記第2の触媒層の下側にさらに基材が存在しており、前記第2の触媒層と前記基材との間に前記1又は複数の層を有する、請求項に記載の排ガス浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンの燃焼工程で生じる排ガス中にはCO、HC及びNOが含まれている。これら三種類の排ガス浄化成分を浄化する排ガス浄化装置として三元触媒が知られている。三元触媒は、基材と、当該基材上にRh、Pt、Pd等の貴金属を担体粒子に担持した触媒コート層とを具備する構成を有しており、これらの貴金属のうち、例えば、Rhは主にNOを還元し、PtとPdは主にHCとCOを酸化する役割を果たしている。
【0003】
これに関して、特許文献1では、Pdを担持したアルミナ担体粒子と、Pt及び/又はRhを担持したセリア−ジルコニア担体粒子とを含有する触媒層を基材上に有する排ガス浄化装置が開示されている。
【0004】
特許文献1では、耐熱性に優れるアルミナ担体粒子にPdを担持させることにより、Pdの粒成長を抑制して、高い触媒活性を維持できるとともに、セリア−ジルコニア担体粒子中のセリアによって雰囲気中の酸素濃度を調整することができる。これによりNOの還元反応、並びにCO及びHCの酸化反応を向上させ、排ガス浄化性能を向上させることができることを報告している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−104786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、排ガス浄化性能を向上した排ガス浄化装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、以下の手段により、上記課題を解決することができることを見出した。
《態様1》
アルミナ担体粒子にPdを担持してなるPd担持触媒と、第1のセリア−ジルコニア担体粒子にRhを担持してなる第1のRh担持触媒と、第2のセリア−ジルコニア担体粒子とを含む第1の触媒層を有する、排ガス浄化装置であって、
前記第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア濃度が30wt%以下であり、かつ前記第2のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量が前記第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量よりも大きい、排ガス浄化装置。
《態様2》
前記第2のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア濃度が、30wt%より大きい、態様1に記載の排ガス浄化装置。
《態様3》
前記第1の触媒層が、硫酸バリウムをさらに含む、態様1又は2に記載の排ガス浄化装置。
《態様4》
前記第1の触媒層の下側に第2の触媒層を有する、態様1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
《態様5》
前記第2の触媒層が、硫酸バリウムを含む、態様4に記載の排ガス浄化装置。
《態様6》
前記第2の触媒層が、第1のセリア−ジルコニア担体粒子にRhを担持してなる第2のRh担持触媒を含む、態様4又は5に記載の排ガス浄化装置。
《態様7》
前記第1のRh担持触媒のRh量と、前記第2のRh担持触媒のRh量との比が、10:90〜90:10の範囲である、態様6に記載の排ガス浄化装置。
《態様8》
前記第2の触媒層の下側にさらに1又は複数の層を有する、態様4〜7のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
《態様9》
前記第1の触媒層が基材上に存在している、態様1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
《態様10》
前記第1の触媒層と前記基材との間に前記第2の触媒層を有する、態様4〜7のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置。
《態様11》
前記第2の触媒層と前記基材との間に前記1又は複数の層を有する、態様8に記載の排ガス浄化装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、排ガス浄化性能を向上した排ガス浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)本発明の一つの実施態様を示す排ガス浄化装置の概念図である。(b)本発明の他の1つの実施態様を示す排ガス浄化装置の概念図である。(c)従来技術の排ガス浄化装置の概念図である。
図2】本発明の排ガス浄化装置の一つの実施態様を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
《排ガス浄化装置》
本発明の排ガス浄化装置は、アルミナ担体粒子にPdを担持してなるPd担持触媒と、第1のセリア−ジルコニア担体粒子にRhを担持してなる第1のRh担持触媒と、第2のセリア−ジルコニア担体粒子とを含む第1の触媒層を有する、排ガス浄化装置であって、第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量が30wt%以下であり、かつ第2のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量が第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量よりも大きい、排ガス浄化装置である。
【0011】
例えば図1(a)に示されるように、本発明の排ガス浄化装置(100)は、アルミナ担体粒子(22)にPd(21)を担持してなるPd担持触媒と、第1のセリア−ジルコニア担体粒子(23)にRh(24)を担持してなる第1のRh担持触媒と、第2のセリア−ジルコニア担体粒子(25)とを含む第1の触媒層(2)を有する、排ガス浄化装置(100)である。また、図1(b)に示されるように、第1の触媒層(2)は、基材(1)上に存在していてもよい。
【0012】
特許文献1では、図1(c)に示されるように、アルミナ担体粒子(22)にPd(21)を担持してなるPd担持触媒と、セリア−ジルコニア担体粒子(26)にRh(24)を担持してなるRh担持触媒とを含有する触媒層(2)を基材上(1)に有する排ガス浄化装置(100)が開示されている。特許文献1によれば、耐熱性に優れるアルミナ担体粒子(22)の効果により、Pd(21)の粒成長を抑制して、高い触媒活性を維持できるとともに、セリア−ジルコニア担体粒子(26)中のセリアによって雰囲気中の酸素濃度を調整して、排ガス浄化性能を向上させることが可能とされている。
【0013】
上記公報の排ガス浄化用装置(100)は、Rh(24)を担持したセリア−ジルコニア担体粒子(26)中に、当然ながらセリアが多く含まれている。しかしながら、本発明者らは、Rh(24)を担持したセリア−ジルコニア担体粒子(26)中に含有するセリアの量が多いほど、Rhによる排ガス浄化性能が低下し、結果として当該排ガス浄化装置(100)の排ガス浄化性能が次第に低下する傾向があることを見出した。
【0014】
そこで、このような見地から、本発明者らは、図1(a)及び(b)に示されるように、低濃度でセリアを含有する第1のセリア−ジルコニア担体粒子(23)にRh(24)を担持させるとともに、酸素吸蔵放出能(OSC性能)を確保するため、第2のセリア−ジルコニア担体粒子(25)を添加した。これにより、Rhを担持している担体粒子に含まれるセリアによるRhの活性低下を防ぐことができ、かつOSC性能を確保することができるため、本発明の排ガス浄化装置は、排ガス浄化性能を向上させることができる。
【0015】
なお、本発明の排ガス浄化用装置(100)は、図1(a)及び(b)に示されるように、さらに他の貴金属を担持している担体、例えばPd(21)を担持しているアルミナ(22)を有していてもよい。
【0016】
また、本発明の排ガス浄化用装置(100)は、第1の触媒層(2)の下側に、第2の触媒層(3)を有していてもよく、さらに第3の触媒層(4)を有していてもよく、さらなる触媒層を有していてもよい。ここで、「上側」又は「下側」とは、排ガス流が接触する部分を最も上側として考えた場合の関係に基づいて決定される。例えば、基材を有する排ガス浄化装置では、基材が触媒層よりも下側に位置する。さらに、本発明の排ガス浄化装置(100)は、図2(a)に示されるように、基材(1)と第1の触媒層(2)との間に、第2の触媒層(3)を有していてもよく、図2(b)に示されるように、さらに第3の触媒層(4)を有していてもよく、さらなる触媒層を有していてもよい。第2の触媒層(3)には、例えば、Rhを担持し、かつ低濃度でセリアを含有するセリア−ジルコニア担体粒子及びアルミナ粒子が存在していてもよく、第3の触媒層(4)には、例えばPt及び/又はPdを担持した担体が存在していてもよい。
【0017】
<第1の触媒層>
第1の触媒層は、アルミナ担体粒子にPdを担持してなるPd担持触媒と、第1のセリア−ジルコニア担体粒子にRhを担持してなる第1のRh担持触媒と、第2のセリア−ジルコニア担体粒子とを含む。
【0018】
第1の触媒層は、触媒担体粒子を壁面に含む基材、例えば特開2015−85241号公報に記載のような基材の一部であってもよく、そのような基材の上に存在していてもよい。第1の触媒層が基材の一部である場合には、第1の触媒層が基材の壁面を構成していてもよい。この場合には、Pd担持触媒、第1のRh担持触媒、及び第2のセリア−ジルコニア担体粒子を、基材を製造する際に使用する無機粒子と混合して用いて、排ガス浄化装置を得てもよい。
【0019】
(Pd担持触媒)
本発明のPd担持触媒は、アルミナ担体粒子にPdが担持された触媒である。Pdは低温活性に優れ、主にHCとCOを酸化する役割を果たす。第1の触媒層にPdを含んだ本発明の排ガス浄化装置を使用すれば、内燃機関の始動開始直後のような低温度下においても、排ガスを効率良く浄化することができる。また、アルミナは、耐熱性に優れる酸化物であるから、アルミナ担体粒子にPdを担持することで、Pdのシンタリングを抑制して、活性低下を防ぐことができる。
【0020】
アルミナ担体粒子として、γ−アルミナ、β−アルミナ、及びシリカ−アルミナ等から選択して用いることができる。中でも吸着特性及び耐熱性に優れたγ−アルミナが特に好ましく使用される。
【0021】
アルミナ担体粒子の比表面積は、担持性、耐熱性、構造安定性等の観点から、例えば30m/g以上、50m/g以上、100m/g以上、150m/g以上又は200m/g以上のものを使用することができ、2000m/g以下、1000m/g以下、800m/g以下、500m/g以下、又は400m/g以下のものを使用することができる。
【0022】
アルミナ担体粒子に加えて他の多孔質担体を使用することもできる。他の多孔質担体としては、触媒金属を担持するために一般的に使用されている耐熱性の無機酸化物を挙げることができ、例えばシリカ、ジルコニア、チタニア等を挙げることができる。
【0023】
Pdの担持量は、基材又は排ガス浄化装置1リットル当たり0.5g以上、1g以上、3g以上、又は5g以上であってよく、10g以下、9g以下、8g以下、又は7g以下であってよい。Pdがこの範囲より少ないとCO及びHCの浄化率が低下する場合があり、この範囲より多く担持しても効果が飽和するとともにコストの増大をきたす。
【0024】
本発明のPd担持触媒は、例えば以下の工程によって得ることができる。水にアルミナ担体粒子を分散させ分散液を調製する。この分散液にPd塩を含む水溶液をさらに添加し、十分に混合、乾燥、その後焼成することによって、アルミナ担体粒子にPdが担持されたPd担持触媒を得ることができる。ここで用いることができるPd塩としては、硝酸パラジウム、塩化パラジウムなどの水に可溶な塩が挙げられる。
【0025】
上記Pd担持触媒の調製方法において、乾燥温度は、例えば70℃以上、80℃以上、又は90℃以上であってよく、150℃以下、120℃以下、110℃以下、又は100℃以下であってよい。また、焼成温度は、例えば300℃以上、400℃以上、又は500℃以上であってもよく、1500℃以下、1300℃以下、又は1100℃以下であってもよい。焼成時間は、1時間以上、2時間以上、又は4時間以上であってもよく、10時間以下、又は8時間以下であってもよい。
【0026】
(第1のRh担持触媒)
本発明の第1のRh担持触媒は、第1のセリア−ジルコニア担体粒子にRhが担持された触媒である。Rhは主にNOxを還元する役割を果たす。第1のセリア−ジルコニア担体粒子は、OSC性能を示す材料であり、特にRh等の貴金属を担持することにより、極めて優れたOSC性能を示すことが知られている。第1の触媒層にRh担持触媒を含んだ本発明の排ガス浄化装置を使用すれば、排ガスを効率よく浄化することができる。
【0027】
第1のセリア−ジルコニア複合酸化物とはセリアとジルコニアとが固溶した状態の複合酸化物のことであり、同時にアルカリ土類金属元素や希土類元素(Ce及びZrを除く)などを含むことができる。アルカリ土類金属元素としては、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等が挙げられる。また、希土類元素(Ce及びZrを除く)としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)等が挙げられる。
【0028】
本発明者らは、Rhを担持している第1のセリア−ジルコニア複合酸化物のセリア量が高い場合には、かえって排ガス浄化性能が低下することを見出した。そのため、このような見地から、第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア濃度は低く、具体的には、30wt%以下、25wt%以下、20wt%以下、15wt%以下、10wt%以下、又は5wt%以下である。
【0029】
第1のセリア−ジルコニア担体粒子は、例えば共沈法によって調製することができる。共沈法は、所定の化学量論比となるように、Ce、Zr、並びに必要に応じてアルカリ土類金属元素や希土類元素(Ce及びZrを除く)を含む塩の溶液を調製して、この溶液に中和剤を加え、Ce、Zr、必要に応じてアルカリ土類金属元素及び希土類元素(Ce及びZrを除く)を含む塩を共沈させた後、この共沈物を、例えば400〜1000℃で熱処理することによって第1のセリア−ジルコニア担体粒子を調製することができる。
【0030】
各元素の塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、リン酸塩などの無機塩、例えば、酢酸塩、シュウ酸塩などの有機酸塩などが挙げられる。また、中和剤としては、例えば、アンモニア、例えば、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン類などの有機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウムなどの無機塩基が挙げられる。中和剤として、好ましくは、水酸化アンモニウム塩が挙げられ、さらに好ましくは、水酸化アンモニウム水溶液が挙げられる。なお、中和剤は、その中和剤を加えた後の溶液のpHが例えば6〜10程度となるように加える。
【0031】
Rhの担持量は、基材又は排ガス浄化装置1リットル当たり0.01g以上、0.02g以上、0.05g以上、0.1g以上、又は0.5g以上であってよく、5g以下、4g以下、3g以下、2g以下、又は1g以下であってよい。Rhがこの範囲より少ないとNOxの浄化率が低下する場合があり、この範囲より多く担持しても効果が飽和するとともにコストの増大をきたす。
【0032】
本発明の第1のRh担持触媒は、上記Pd担持触媒と同様の工程によって得ることができる。
【0033】
(第2のセリア−ジルコニア担体粒子)
第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア濃度が低いため、Pd担持触媒及びRh担持触媒のみの構成では、OSC性能が不足して、排ガス浄化性能が悪化する問題が生じる。そのため、OSC性能を確保するため、第2のセリア−ジルコニア担体粒子を第1の触媒層に添加する。例えば貴金属等を担持していない第2のセリア−ジルコニア担体粒子を使用することができる。
【0034】
第2のセリア−ジルコニア担体粒子は、第1のセリア−ジルコニア担体粒子と同様の構成であってよく、同様の方法(例えば共沈法)で調製することができる。しかし、第2のセリア−ジルコニア担体粒子は、不足したOSC性能を確保するために第1の触媒層に添加されるものであるため、第2のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア濃度は高い方が好ましく、例えば、30wt%超、40wt%以上、50wt%以上、又は60wt%以上であってよく、95wt%以下、90wt%以下、80wt%以下、又は70wt%以下であってよい。
【0035】
また、Rhを担持している第1のセリア−ジルコニア担体粒子中に含まれるセリア量を抑えつつ、第1の触媒層全体のセリア量を確保する観点から、第2のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量は、第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量よりも大きい。例えば、第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量と、第2のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量との比は、45:55〜40:60、40:60〜30:70、30:70〜20:80、20:80〜10:90、又は10:90〜5:95であってよい。
【0036】
(助触媒)
第1の触媒層は、更なる排ガス浄化性能の向上を図るため、Pd担持触媒、Rh担持触媒、及び第2のセリア−ジルコニア担体粒子とは異なる組成を有する助触媒成分を1種以上含んでいてもよい。例えば、第1の触媒層に、バリウム、カルシウム、セシウム、カリウム、マグネシウム、及びランタンからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を、硝酸塩、酢酸塩、又は硝酸塩の形態で含ませることができ、特に硫酸バリウム(BaSO)を含ませることができる。これによって、排ガス中に含まれるHC等によって、Pdが被毒されるのを防ぐことができ、排ガス浄化性能をより向上させることができる。
【0037】
<基材>
基材としては、特に限定されずに一般に排ガス浄化装置において用いられる任意の材料を使用することができる。具体的には、基材としては、多数のセルを有するハニカム形状の材料を使用することができ、例えば、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO)、アルミナ、ジルコニア、炭化ケイ素等の耐熱性を有するセラミックス材料や、ステンレス鋼等の金属箔からなるメタル材料を使用することができる。また、上述したように、第1の触媒層が、触媒担体粒子を壁面に含む基材、例えば特開2015−85241号公報に記載のような基材の一部であってもよい。
【0038】
<第2の触媒層>
第2の触媒層は、上記第1の触媒層の下側に存在していてもよい随意の触媒層である。第2の触媒層が、触媒担体粒子を壁面に含む基材、例えば特開2015−85241号公報に記載のような基材の一部であってもよく、第2の触媒層がそのような基材の壁面を構成していてもよい。この場合には、第2の触媒層である基材上に第1の触媒層が存在していてもよい。また、第2の触媒層が基材の一部である場合には、Rh担持触媒を、基材を製造する際に使用する無機粒子と混合して用いて、排ガス浄化装置を得てもよく、また第2の触媒層は、セリア−ジルコニア等の触媒担体粒子を壁面に含む基材に、ウォッシュコート法等によってRhを担持させたものでもよい。
【0039】
第2の触媒層は、第1の触媒層と同様の構成成分であってよく、アルミナ担体粒子にPdを担持してなるPd担持触媒と、第1のセリア−ジルコニア担体粒子にRhを担持してなる第2のRh担持触媒と、第2のセリア−ジルコニア担体粒子とを含むことができる。その他第1の触媒層と同様に上記の助触媒成分を1種以上含むことができる。
【0040】
本発明の排ガス浄化装置に含まれる貴金属の総量を低減して、原料コストの低減を図るため、第2の触媒層は、Pd担持触媒、及び第2のセリア−ジルコニア担体粒子を含まないことが好ましい。HCとCOの浄化、及びOSC性能は、第1の触媒層によって十分に確保されているためである。
【0041】
一方で、NOxの還元は、多段階反応によってなされるため、触媒層に多くの吸着反応場を必要とする。そのため、第2の触媒層は、第2のRh担持触媒を含むことが好ましい。第2のRh担持触媒は、実質的に第1のRh担持触媒と同一であってよく、第1のセリア−ジルコニア担体粒子にRhを担持してなる触媒であってもよい。
【0042】
第1のRh担持触媒のRh量と、第2のRh担持触媒のRh量との比は、10:90〜90:10、10:90〜20:80、20:80〜30:70、30:70〜40:60、40:60〜50:50、50:50〜60:40、60:40〜70:30、70:30〜80:20、又は80:20〜90:10であってよく、好ましくは第1のRh担持触媒のRh量と、第2のRh担持触媒のRh量との比は、50:50〜60:40、60:40〜70:30、70:30〜80:20、又は80:20〜90:10である。
【0043】
その他、本発明の排ガス浄化装置は、第2の触媒層のさらに下側に1又は複数の触媒層を有することができる。
【0044】
<排ガス浄化装置の製造方法>
上述したような構成の排ガス浄化装置は、従来と同様の製造プロセスによって製造することができる。例えば図1(a)に示すような第1の触媒層が基材の壁の一部を構成する場合には、Pd担持触媒、第1のRh担持触媒、及び第2のセリア−ジルコニア担体粒子を、基材を製造する際に使用する無機粒子と混合して用いて、排ガス浄化装置を得てもよい。例えば図1(b)に示すような基材上に第1の触媒層のみを有する1層構造タイプの排ガス浄化装置を製造するには、まずPd担持触媒、Rh担持触媒、及び第2のセリア−ジルコニア担体粉末を含むスラリーを公知のウォッシュコート法等によって基材にコートする。その後、所定の温度及び時間で乾燥し、焼成することによって、第1の触媒層を基材上に有する排ガス浄化装置を製造することができる。
【0045】
また第1の触媒層及び第2の触媒層を有する、2層構造タイプの排ガス浄化装置を製造するには、まず基材上に第2の触媒層を形成し、又は第2の触媒層として触媒担体粒子を壁面に含む基材、例えば特開2015−85241号公報に記載のような基材を使用し、次いで第1の触媒層を形成するとよい。具体的には、図1(b)の態様の場合には、第2の触媒層のための所望の成分を、基材を製造する際に使用する他の無機粒子と混合して用いて、第2の触媒層がその一部となっている基材を得る。その後、第1の触媒層用スラリーを公知のウォッシュコート法等によってその基材にコートし、乾燥し、焼成する。また、図1(b)の態様の場合には、所望の成分を含む第2の触媒層用スラリーを公知のウォッシュコート法によって基材の表面にコートする。次いで、Pd担持触媒、Rh担持触媒、及び第2のセリア−ジルコニア担体粉末を含む第1の触媒層用スラリーを公知のウォッシュコート法等によって第2の触媒層の表面に積層コートする。そして、所定の温度及び時間で乾燥し、焼成する。積層構造は二層に限られず三層以上であってもよい。又はこのような一度の焼成プロセスに代えて、第2の触媒層用スラリーを基材の表面にコートした後に乾燥及び焼成を行って先ず第2の触媒層を形成し、次いで、第1の触媒層用スラリーを第2の触媒層の表面にコートして乾燥及び焼成を行って第1の触媒層を形成する二段階の焼成を行うプロセスでもよい。
【0046】
ウォッシュコートされたスラリーの焼成条件は、特に限定はされないが、典型的には400〜1000℃程度で、約1〜4時間程度の焼成を行うことによって、目的の触媒層を形成することができる。なお、焼成前の乾燥条件については特に限定されないが、80〜300℃の温度で1〜12時間程度の乾燥が好ましい。
【0047】
また触媒層をこのようなウォッシュコート法により形成する場合、基材の表面、さらに複数の積層構造触媒層の場合には下層の表面にスラリーを好適に密着させるため、スラリーにはバインダーを含有させることが好ましい。かかる目的のバインダーとしては、例えばアルミナゾル、シリカゾル等の使用が好ましい。なお、スラリーの粘度は該スラリーが基材(例えばハニカム基材)のセル内へ容易に流入し得るように適宜調整するとよい。
【実施例】
【0048】
以下、例により本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は限定されるものではない。
【0049】
《1層構成の排ガス浄化装置の調製》
[例1]
イオン交換水100mlに第1のセリア−ジルコニア(CZ)系複合酸化物(CeO/ZrO/La/Nd=20/70/5/5(wt%))(CZLN1と表記)(25g)、及び硝酸ロジウム溶液(Rh元素として5wt%)(4g)を投入し、60分攪拌した。110℃で乾燥した後、大気中500℃で1時間焼成して、Rh担持粉末Iを得た。
【0050】
次いで、イオン交換水200mlにアルミナ(50g)、及び硝酸パラジウム溶液(Pd元素として5wt%)(20g)を投入し、60分攪拌した。110℃で乾燥した後、大気中500℃で1時間焼成して、Pd担持アルミナIを得た。
【0051】
Pd担持アルミナI(51g)(うちPd元素の量は1g)、Rh担持粉末I(25.2g)(うちRh元素の量は0.2g)、及び第2のセリア−ジルコニア(CZ)系複合酸化物(CeO/ZrO/La=40/55/5(wt%))(CZL1と表記)(25g)とを混合しスラリーを調製した。このスラリーをモノリスハニカム基材(全長100mm 容積1.0L セル数 900セル/in2)に100.2g(うちPd元素の量は1g、Rh元素の量は0.2g)コートし、250℃で1時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成して、例1の排ガス浄化装置を調製した。
【0052】
[例2]
第1のCZ系複合酸化物の種類を変更し、アルミナ量を変更し、かつ第2のCZ系複合酸化物を使用しなかったこと以外は、例1と同様の方法で、例2の排ガス浄化装置を得た。
【0053】
《2層構成の排ガス浄化装置の調製−Rh担体量の検討》
[例3]
Rh担持量を0.18gにしたことを除いてRh担持粉末Iと同様にして、Rh担持粉末IIを得た。
【0054】
Rh担持粉末II(25.18g)(うちRh元素の量は0.18g)、及びアルミナ(75g)を混合しスラリーを調製した。このスラリーをモノリスハニカム基材(全長100mm 容積1.0L セル数 900セル/in)に100.1g(うちRh元素の量は0.1g)コートし、250℃で1時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成して、第1の触媒層を有する排ガス浄化装置を調製した。
【0055】
Rh担持量を0.02gにしたことを除いてRh担持粉末Iと同様にして、Rh担持粉末IIIを得た。
【0056】
例1で用いたPd担持アルミナI(51g)(うちPd元素の量は1g)、Rh担持粉末III(25.02g)(うちRh元素の量は0.02g)、及びセリア−ジルコニア系複合酸化物CZL1(25g)を混合しスラリーを調製した。このスラリーを上記の第1の触媒層を有する排ガス浄化装置に101.12g(うちPd元素の量は1g、Rh元素の量は0.0.02g)コートし、250℃で1時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成して、第1の触媒層及び第2の触媒層を有する例3の排ガス浄化装置を調製した。
【0057】
[例4〜8]
Rh担持量の合計は変更せずに、第1の触媒層と第2の触媒層でのRh担持割合を変更したこと以外は例3と同様の方法で、下記の表1に記載の構成の例4〜7の排ガス浄化装置を得た。また、第1の触媒層にRhを担持させずに、第2の触媒層のRh担持量を変更したこと以外は例3と同様の方法で、例8の排ガス浄化装置を得た。
【0058】
《2層構成の排ガス浄化装置の調製−第1のCZ系複合酸化物の種類の検討》
[例9〜14]
第1のCZ系複合酸化物の種類を変更したこと以外は例5と同様の方法で、下記の表2に記載の構成の例9〜14の排ガス浄化装置を得た。
【0059】
《2層構成の排ガス浄化装置の調製−第2のCZ系複合酸化物の種類の検討》
[例15〜18]
第1の触媒層の第2のCZ系複合酸化物の種類を変更したこと以外は例5と同様の方法で、下記の表3に記載の構成の例15〜17の排ガス浄化装置を得た。例18では、第1の触媒層の第2のCZ系複合酸化物を使用しなかった。
【0060】
《2層構成の排ガス浄化装置の調製−硫酸バリウムの検討》
[例19]
例5と同様の方法で、下記の表4に記載のように例19の排ガス浄化装置を得た。
【0061】
《3層構成の排ガス浄化装置の調製》
[例20]
(1)イオン交換水100mlにアルミナ(25g)、及び硝酸パラジウム溶液(Pd元素として5wt%)(1g)を投入し、60分攪拌した。110℃で乾燥した後、大気中500℃で1時間焼成して、Pd担持アルミナIIを得た。
【0062】
(2)イオン交換水100mlにセリア−ジルコニア系複合酸化物(ZrO/CeO/La/Y=75/15/5/5(wt%))(CZLYと表記)(25g)、及びジニトロジアミンPt硝酸溶液(Ptとして5wt%)(1g)を投入し、60分攪拌した。110℃で乾燥した後、大気中500℃で1時間焼成して、Pt担持CZ担体を得た。
【0063】
(3)Pd担持アルミナII(25.05g)(うちPd元素の量は0.05g)、及びPt担持CZ担体(25.05g)(うちPt元素の量は0.05g)を混合しスラリーを調製した。このスラリーをモノリスハニカム基材(全長100mm 容積1.0L セル数 900セル/in)に50.1g(うちPd元素の量は0.05g、Pt元素の量は0.05g)コートし、250℃で1時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成して、第1の触媒層を有する排ガス浄化装置を調製した。
【0064】
(4)例1で用いたRh担持粉末I(25.1g)(うちRh元素の量は0.1g)、及びアルミナ(75g)を混合しスラリーを調製した。このスラリーを(3)で得た排ガス浄化装置に100.1g(うちRh元素の量は0.1g)コートし、250℃で1時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成して、第1の触媒層及び第2の触媒層を有する排ガス浄化装置を得た。
【0065】
(5)次いで、イオン交換水200mlにアルミナ(50g)、及び硝酸パラジウム溶液(Pd元素として5wt%)(20g)を投入し、60分攪拌した。110℃で乾燥した後、大気中500℃で1時間焼成して、Pd担持アルミナIIIを得た。
【0066】
(6)Pd担持アルミナIII(51g)(うちPd元素の量は1g)、Rh担持粉末I(25.1g)(うちRh元素の量は0.1g)、及びセリア−ジルコニア系複合酸化物CZL1(25g)を混合してスラリーを調製した。このスラリーを(4)で得た排ガス浄化装置に101.1g(うちPd元素の量は1g、Rh元素の量は0.1g)コートし、250℃で1時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成して、例20の排ガス浄化装置を得た。
【0067】
[例21]
第2の触媒層及び第3の触媒層の構成を変更し、例20と同様の方法で、下記の表4に記載の構成の例21の排ガス浄化装置を得た。
【0068】
《2層構成の排ガス浄化装置の調製−第2の触媒層のCZ担体の変更》
[例22〜23]
第2の触媒層のCZ担体を変更したこと以外は例5と同様の方法で、下記の表4に記載の構成の例22〜23の排ガス浄化装置を得た。
【0069】
《評価方法》
[耐久性能試験]
排ガス浄化装置について、8万km走行相当の耐久試験を行った。その後、これらの排ガス浄化装置を排気量1.0Lのエンジンを有する実機車両に搭載し、JC08モードで走行して、NMHC、NOxの排出量を測定した。結果を表1に示す。なお、表1の値は、JC08モードのCold評価とHot評価とのコンバイン値である。
【0070】
[Pd−Rh合金化率評価法]
例2及び例5の耐久排ガス浄化装置をかきとり、この装置に含まれるPd及びRhの特性X線強度を走査型電子顕微鏡(SEM−EDX)によって測定した。この測定では、150,000倍の倍率で観察した。Pd元素の測定値を「Pd」、Rh元素の測定値を「Rh」とした場合に、以下の計算式によってPd−Rh合金化率を算出した。
Pd−Rh合金化率(%)=Rh/(Pd+Rh)×100
【0071】
Pd及びRhのSEM−EDX測定を繰り返し、100点分析を行い、各Pd−Rh合金化率の平均値を代表値として求めた。
【0072】
《結果》
結果を表1〜表4に示す。
【0073】
表1からわかるように、第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア濃度が高く、かつ含有するセリア量が多い例2と比較して、第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア濃度を低くして、かつ含有するセリア量を少なくして、第2のセリア−ジルコニア担体粒子を加えた例1では、排ガス浄化性能が向上した。
【0074】
また、第1の触媒層のみを有する例1と比較して、第1の触媒層及び第2の触媒層にRh担持触媒を有する、2層構造の例3〜7では、排ガス浄化性能がさらに向上した。
【0075】
また、2層構造ではあるが、第1の触媒層にRh担持触媒を有さない例8と比較して、第1の触媒層及び第2の触媒層にRh担持触媒を有する例3〜7では、排ガス浄化性能が向上した。
【0076】
また、表2からわかるように、Rhをアルミナに担持させた例13と比較して、Rhを第1のセリア−ジルコニア担体粒子に担持させた例5では、排ガス浄化性能が向上した。
【0077】
また、第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア濃度が高い例14と比較して、第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア濃度が低い例5及び例9〜12では、排ガス浄化性能が向上しており、そして第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア濃度が低ければ低いほど排ガス浄化性能が向上した。
【0078】
また、表3からわかるように、第1の触媒層において、第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量と第2のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量が同じである例17と比較して、第2のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量が第1のセリア−ジルコニア担体粒子中のセリア量よりも大きい、例5及び例15〜16では、排ガス浄化性能が向上している。また、第1の触媒層に第2のセリア−ジルコニア担体粒子を含まない例18と比較して、第2のセリア−ジルコニア担体粒子を含む例5では、排ガス浄化性能が向上した。
【0079】
表4から分かるように、硫酸バリウムを含まない例5と比較して、硫酸バリウムを含む例19では、排ガス浄化性能がさらに向上した。
【0080】
また、2層構造を有する例5と比較して、3層構造を有する例20では、排ガス浄化性能がさらに向上した。
【0081】
さらに、第2の触媒層において、Rhをアルミナ担体粒子に担持している例23と比較して、Rhを第1のセリア−ジルコニア担体粒子に担持している例5及び22では、排ガス浄化性能がさらに向上した。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【符号の説明】
【0086】
100 排ガス浄化装置
1 基材
2 第1の触媒層
21 Pd
22 アルミナ
23 第1のセリア−ジルコニア担体粒子
24 Rh
25 第2のセリア−ジルコニア担体粒子
26 従来のセリア−ジルコニア担体粒子
3 第2の触媒層
4 第3の触媒層
【要約】
本発明は、排ガス浄化性能を向上した排ガス浄化装置を提供することを課題とするものである。
アルミナ担体粒子(22)にPd(21)を担持してなるPd担持触媒と、第1のセリア−ジルコニア担体粒子(23)にRh(24)を担持してなる第1のRh担持触媒と、第2のセリア−ジルコニア担体粒子(25)とを含む第1の触媒層(2)を有する、排ガス浄化装置(100)であって、第1のセリア−ジルコニア担体粒子(23)中のセリア濃度が30wt%以下であり、かつ第2のセリア−ジルコニア担体粒子(25)中のセリア量が第1のセリア−ジルコニア担体粒子(23)中のセリア量よりも大きい、排ガス浄化装置(100)。
図1
図2