(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記pH調整工程が、上記反応工程によって得られた酸性の液体の中のヨウ化水素酸を中和するために、pHを3〜10に調整する工程であることを特徴とする請求項4に記載のヨウ化リチウム水溶液の製造方法。
上記反応工程に供する上記ヨウ化水素酸が、遊離ヨウ素の発生を抑えるための安定剤が添加されていないものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のヨウ化リチウム水溶液の製造方法。
上記吸着剤が、活性炭、活性白土、シクロデキストリン、ゼオライト、シリカゲル及びアルミナからなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項3または8に記載のヨウ化リチウム水溶液の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について、詳細に説明する。
【0013】
本発明に係るヨウ化リチウム水溶液の製造方法は、リチウム化合物及びヨウ化水素酸を反応させる反応工程と、反応工程で得られた液体から遊離ヨウ素を除去する除去工程と、を包含する。
【0014】
反応工程においては、リチウム化合物の水溶液とヨウ化水素酸を用いて反応を行なう。よって、ヨウ化水素ガス又は硫化水素ガスとリチウム化合物水溶液とを用いる反応工程に比べて、定量的に収率よくリチウム化合物とヨウ化水素酸とを反応させることができる。
【0015】
又、反応工程で得られたヨウ化リチウム水溶液を、遊離ヨウ素を除去する除去工程を行なうことで、ヨウ化水素酸に含有する遊離ヨウ素のみならず、リチウム化合物及びヨウ化水素酸を反応させる工程において発生した遊離ヨウ素をも除去できる。
【0016】
従って、本発明に係る製造方法における除去工程は、ヨウ化リチウム水溶液における遊離ヨウ素の含有量を少なくすることができる。このため、ヨウ化リチウムにおいて遊離ヨウ素に起因する着色を少なくすることもできる。
【0017】
また、除去工程に用いられる吸着剤は、ろ過によって効率よくヨウ化リチウム水溶液から除去できるものを採用できる。又、除去工程において水と混和しない有機溶剤を使用する場合は、ヨウ化リチウム水溶液と有機溶媒とは静置することで二相に分離する。このため、有機溶媒相のみを除去することができる。よって、ヨウ化水素酸を蒸留精製することによって遊離ヨウ素を除去する工程に比べると、簡便であり、大量のヨウ化リチウム水溶液から遊離ヨウ素を除去するのに適している。よって、従来技術に比べ工業的に有利であるといえる。
【0018】
〔反応工程〕
本発明に係るヨウ化リチウム水溶液の製造方法が包含する反応工程では、リチウム化合物及びヨウ化水素酸を反応させる。
【0019】
反応工程において用いるリチウム化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、又はシュウ酸リチウム等が挙げられる。これらリチウム化合物は、単独で用いることも、2種以上を混合して用いることもできる。又、リチウム化合物としては、水酸化リチウム、又は炭酸リチウムが副生成物を除去しやすいことから好ましい。
【0020】
反応工程において用いるヨウ化水素酸は、蒸留精製する必要がないことが、本発明の有利な点の一つである。反応後の除去工程によって遊離ヨウ素は除去されるため、0.05〜15重量%である遊離ヨウ素の含有量が多いヨウ化水素酸を用いることが可能である。より好ましくは遊離ヨウ素の含有量が0.1〜10重量%のヨウ化水素酸を用いることができる。よって、次亜リン酸のような遊離ヨウ素の発生を抑える安定剤を配合していないヨウ化水素酸をも使用することができる。
【0021】
反応工程においては、50〜60重量%の範囲内のヨウ化水素酸が好ましく用いられる。
【0022】
反応工程においてリチウム化合物及びヨウ化水素酸を反応させる方法としては、例えば、リチウム化合物の水溶液に、ヨウ化水素酸を滴下する方法であってもよい。当該リチウム化合物の水溶液は無機成分を除去した水にリチウム化合物を溶解させたものであることがより好ましい。又、水に、リチウム化合物水溶液とヨウ化水素酸とを同時に滴下して製造することもできる。当該水は無機成分を除去した水であることがより好ましい。無機成分を除去した水としては、イオン交換水、純水、超純水が例として挙げられる。該リチウム化合物の水溶液を調製することによって不純物として無機成分を含まないヨウ化リチウム水溶液、さらにはヨウ化リチウム粉末を製造することができる。
【0023】
無機成分を除去した水に対するリチウム化合物の量は、20〜60重量%の範囲とすることが好ましい。該範囲内とすることで、効率よくリチウム化合物を溶解させることができ、ヨウ化水素酸と効率的に反応させることができる。
【0024】
また、リチウム化合物水溶液に、攪拌下において、ヨウ化水素酸を滴下することで、急激な反応による発熱を防止することができる。
【0025】
リチウム化合物と反応させるヨウ化水素酸の使用量は、リチウム化合物に対して0.5〜1.5モル当量の範囲とすることが好ましい。該範囲内とすることで、ヨウ化リチウムを収率よく製造することができる。
【0026】
反応工程は、遊離ヨウ素の発生を抑制する観点から、窒素ガス又はアルゴンガスのような不活性ガス条件下で行なうことが好ましい。
【0027】
反応工程における反応器内の温度は、0〜100℃の範囲内であることが好ましい。製造の容易さから、10〜50℃の範囲内であることが特に好ましい。
【0028】
〔除去工程〕
本発明に係るヨウ化リチウム水溶液の製造方法が包含する除去工程では、吸着剤によって遊離ヨウ素を除去することもできる。
【0029】
反応工程後に、除去工程においてヨウ化リチウム水溶液に吸着剤を投入することで、反応に用いられたヨウ化水素酸に初めから存在する遊離ヨウ素のみならず、反応工程において生じた遊離ヨウ素をも吸着することができる。従って、蒸留精製したヨウ化水素酸を使用しなくても、遊離ヨウ素の含有量の少ないヨウ化リチウム水溶液を、簡便に製造することができる。
【0030】
本発明に係るヨウ化リチウムの製造方法が包含する遊離ヨウ素除去工程では、水と混和しない有機溶媒によって遊離ヨウ素を除去することもできる。
【0031】
反応工程において得られたヨウ化リチウム水溶液に、水と混和しない有機溶媒を加えてから、振とう又は攪拌することで遊離ヨウ素を該有機溶媒に抽出することができる。
【0032】
反応工程後に、除去工程において水と混和しない有機溶媒を用いることで、反応に用いられたヨウ化水素酸に初めから存在する遊離ヨウ素のみならず、反応工程において生じた遊離ヨウ素をも抽出することができる。水と混和しない有機溶媒を加えたヨウ化リチウム水溶液は、振とう又は攪拌を停止して静置することで、ヨウ化リチウム水溶液と遊離ヨウ素を抽出した有機溶媒との二相に分離できる。このため、有機溶媒は容易に除去することができる。従って、蒸留精製したヨウ化水素酸を使用しなくても、遊離ヨウ素の含有量の少ないヨウ化リチウム水溶液を、簡便に製造することができる。
【0033】
(吸着剤)
除去工程において用いられる吸着剤としては、例えば、ろ過によって容易に除去することができるものがより好ましい。このような吸着剤としては粉末状であるものが挙げられ、より好ましくは活性炭、活性白土、シクロデキストリン、ゼオライト、シリカゲル又はアルミナ等が例として挙げられる。これら吸着剤は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0034】
吸着剤の使用量は、ヨウ化リチウム水溶液中の遊離ヨウ素の含有量を考慮して適宜調整することができるが、ヨウ化リチウム水溶液に対して、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.05〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%の範囲内であることがより好ましい。
【0035】
吸着剤による除去工程は、さらなる遊離ヨウ素の発生を防止するために、不活性ガス条件下で攪拌しながら行われることが好ましい。
【0036】
又、活性炭槽のような吸着剤を用いたフィルターを通過させることで、遊離ヨウ素を除去することもできる。
【0037】
(有機溶媒)
除去工程に用いられる有機溶媒は、遊離ヨウ素を効果的に除去するために、ヨウ化リチウム水溶液と混和しない有機溶媒が用いられる。
【0038】
水と混和しないとは、有機溶媒とヨウ化リチウム水溶液とを振とうした後、静置した時に、2相に分離している状態のことであり、相互に溶解していても構わない。
【0039】
有機溶媒としては、エステル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、又はエーテル系溶媒が例として挙げられる。
【0040】
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミル、又は酢酸ヘキシル等が好ましく用いられる。芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、又はジエチルベンゼン等が用いられる。エーテル系溶媒としては、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、又はメチルt−ブチルエーテル等が好ましく用いられる。また、水と混和しないのであれば、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒を使用してもよい。これら溶媒は単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0041】
上記有機溶媒の使用量は、使用する有機溶媒、及びヨウ化リチウム水溶液中の遊離ヨウ素の含有量を考慮して適宜調整できる。遊離ヨウ素を除去する効率において、特にエステル系溶媒を使用することが好ましい。
【0042】
例えば、エステル系溶媒として、酢酸ブチルを用いる場合、ヨウ化リチウム水溶液100重量部に対して、酢酸ブチルを好ましくは10〜2000重量部、より好ましくは15〜1500重量部、さらに好ましくは30〜1000重量部の範囲内で用いることによって、好ましく遊離ヨウ素を除去することができる。
【0043】
上記水と混和しない有機溶媒による除去工程は、さらなる遊離ヨウ素の発生を防止するために、不活性ガス条件下で振とう又は攪拌しながら行われることが好ましい。
【0044】
本発明に係る遊離ヨウ素を除去する除去工程は、吸着剤により遊離ヨウ素を除去する工程と、水と混和しない有機溶媒により遊離ヨウ素を除去する工程とが挙げられる。除去工程は、上記2つの除去工程のいずれか一方のみを採用することもできるし、両方の除去工程を採用することもできる。又、両方の除去工程を採用する場合、これら工程の順序は限定されない。
【0045】
〔pH調整工程〕
本発明に係るヨウ化リチウム水溶液の製造方法は、pH調整工程を包含することがより好ましい。pH調整工程は、反応工程の後にヨウ化リチウム水溶液のpHを調整する工程である。
【0046】
反応工程において、反応の効率を高めるためにヨウ化水素酸を過剰に投入した場合、反応工程後におけるヨウ化リチウム水溶液のpHは酸性となっている。よってpH調整工程において、リチウム化合物を用いることで、過剰に存在するヨウ化水素酸を中和することが好ましい。
【0047】
pH調整工程において用いられるpH調整剤は、リチウム化合物であることが好ましい。リチウム化合物としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、又はシュウ酸リチウム等が好ましく用いられる。
【0048】
ヨウ化リチウム水溶液の品質の安定性、製品の安全性の観点から、ヨウ化リチウム水溶液のpHは、好ましくは3〜10、より好ましくは4〜9、さらに好ましくは5〜8の範囲内に調整されることが好ましい。
【0049】
pH調整工程は、反応工程後であれば、除去工程の前後のいずれかにおいて行うことができる。
【0050】
以上のようにして、本発明に係るヨウ化リチウム水溶液の製造方法によって得られるヨウ化リチウム水溶液も本発明の範疇である。
【0051】
本発明に係るヨウ化リチウム水溶液は、色調が、APHA No.(ハーゼン色数)150以下、より好ましくはAPHA No.が100以下であるヨウ化リチウム水溶液であることが好ましい。
【0052】
また、本発明に係るヨウ化リチウム水溶液の遊離ヨウ素の含有量は、0.05重量%未満が好ましく、より好ましくは0.02重量%未満である。遊離ヨウ素の含有量を0.05重量%未満とすることで、遊離ヨウ素による着色のないヨウ化リチウム水溶液を得ることができる。本発明に係るヨウ化リチウム水溶液の製造方法によれば、遊離ヨウ素の含有量を0.05重量%未満とすることができる。
【0053】
<本発明に係るヨウ化リチウムの製造方法>
本発明に係るヨウ化リチウムの製造方法は、上述した本発明に係るヨウ化リチウム水溶液の製造方法を行なう製造工程と、製造工程で得られたヨウ化リチウム水溶液から水分を除去する水分除去工程と、を包含する。
【0054】
〔水分除去工程〕
本発明に係るヨウ化リチウムの製造方法が包含する水分除去工程は、製造工程で得られたヨウ化リチウム水溶液から水分を除去する工程である。
【0055】
ヨウ化リチウム水溶液から水分を除去することで、本発明に係る製造方法で得られたヨウ化リチウム水溶液から、ヨウ化リチウムの固体を得ることができる。従って、本発明に係るヨウ化リチウム水溶液の製造方法によって得られたヨウ化リチウム水溶液を、水溶液として用いる用途以外の用途に使用することができる。
【0056】
水分を除去する方法としては、例えば、ヨウ化リチウム水溶液を攪拌しながら、減圧下、加温することで水分を除去する方法が挙げられる。
【0057】
水分除去工程において加温する場合、加温の条件は、製造するヨウ化リチウム水和物の種類によって適宜設定すればよい。例えば、ヨウ化リチウム3水和物は、75℃以下の温度条件で得ることができる。ヨウ化リチウム無水和物を製造する場合には、120〜300℃で加温することが好ましい。又、ヨウ化リチウムの安定性の観点から、加温条件は390℃より低い温度であることが好ましい。
【0058】
水分除去工程における減圧条件は、0.4〜10kPaであることが好ましい。さらに効率的に水分を除去するためには0.4〜3kPaであることが好ましい。又、特にヨウ化リチウム無水物を効率的に製造する場合は、0.4〜2kPaであることが好ましい。
【実施例】
【0059】
遊離ヨウ素の含有量、およびヨウ化リチウム水溶液中のヨウ素イオン濃度は、以下の方法により測定した。
<遊離ヨウ素の含有量の測定方法>
試料の一部を100mlの三角フラスコに秤量し、0.01Mチオ硫酸ナトリウム水溶液(力価=1.004)を用いて滴定した。
<ヨウ化リチウム水溶液中のヨウ素イオン濃度の測定方法>
ヨウ化リチウム水溶液の一部を200mlのビーカーに秤量し、0.1M硝酸銀水溶液(力価=1.003)を用いて滴定した。
【0060】
〔実施例1〕
攪拌装置、温度計、pHメーター、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量500mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりイオン交換水130.0gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口より炭酸リチウム50.0g(0.676モル)を投入した。該滴下ロートに0.858重量%の遊離ヨウ素を含む褐色の58重量%のヨウ化水素酸314.1g (1.400モル)を仕込んだ。反応容器内の温度を25℃に設定した後、反応容器内の温度を25〜40℃の範囲に保ちながら、滴下ロート内のヨウ化水素酸を38分かけて滴下した。滴下終了後、反応器内の温度を25〜30℃に保ちながら30分間攪拌し熟成を続けた。熟成終了後の反応溶液のpHは−0.71であった。ついで固体投入口より水酸化リチウムを投入し、反応溶液のpHを6.3に調整し褐色微濁のpH調整液を得た。pH調整液中の遊離ヨウ素の含有量は0.164重量%であった。
【0061】
次に固体投入口より活性炭(白鷺A 武田薬品製)0.4gを上記pH調整液に投入し、反応容器内の温度を25〜30℃の範囲に保ちながら30分間攪拌した後、吸引ビンに定性濾紙No.5C(ADVANTEC製)を装着したヌッチェ上に、減圧下、反応容器の内容物を給液し、活性炭を濾過し、さらに濾紙上の活性炭をイオン交換水0.4gで洗浄し、濾液と洗浄液を合わせて無色透明のヨウ化リチウム水溶液を得た。色差計SE6000(日本電色工業製)を用いて該ヨウ化リチウム水溶液の色調を測定したところ、APHA No.は76であった。
【0062】
ヨウ化リチウム水溶液のヨウ素イオン濃度は37.3重量%であった。これをヨウ化リチウム濃度に換算するとヨウ化リチウムの収率は92.0%であった。また、ヨウ化リチウム水液中の遊離ヨウ素の含有量は0.0017重量%であり、遊離ヨウ素の除去率は99.0%であった。
【0063】
〔実施例2〕
攪拌装置、温度計、pHメーター、滴下ロートおよび固体投入口を備えた容量500mlの反応容器内を窒素で十分に置換した。該滴下ロートよりイオン交換水130.2gを反応容器内に投入した。攪拌下、該固体投入口より炭酸リチウム50.0g(0.676モル)を投入した。該滴下ロートに5.93重量%の遊離ヨウ素を含む黒褐色の58重量%のヨウ化水素酸326.4g(1.38モル)を仕込んだ。反応容器内の温度を25℃に設定した後、反応容器内の温度を25〜40℃の範囲に保ちながら、滴下ロート内のヨウ化水素酸を41分かけて滴下した。滴下終了後、反応器内の温度を25〜35℃に保ちながら30分間攪拌し熟成を続けた。熟成終了後の反応溶液のpHは−0.69であった。ついで固体投入口より水酸化リチウムを投入することで反応容器内のpHを6.0に調整し、黒色のpH調整液を得た。遊離ヨウ素の濃度は3.93重量%であった。上記色差計を用いてpH調整液の色調を測定したところ、APHA No.は2870(測定上限値)であった。
【0064】
次に、容量200mlのビーカーに上記のpH調整液を100.0g秤量した。ついで活性炭(白鷺A 武田薬品製)10.0gを上記ビーカー内に投入し、25〜35℃を保ちながら30分間攪拌した後、吸引ビンに定量濾紙No.5C(ADVANTEC製)を装着した内径55mmヌッチェ上に、減圧下、ビーカーの内容物を給液し、活性炭を濾過し、さらに濾紙上の活性炭をイオン交換水5.0gで洗浄し、濾液と洗浄液を合わせて微黄色澄明のヨウ化リチウム水溶液を得た。上記色差計を用いて、該ヨウ化リチウム水溶液の色調を測定したところAPHA No.は62であった。
【0065】
実施例1と同様の方法で分析したところ、ヨウ化リチウムの収率は99.8%であった。また、ヨウ化リチウム水溶液中の遊離ヨウ素の含有量は0.0361重量%であり、遊離ヨウ素の除去率は99.0%であった。
【0066】
〔実施例3〕
実施例1の方法により得られた遊離ヨウ素濃度が0.164重量%である褐色微濁のpH調整液を用いて以下の操作を実施した。該pH調整液50gを容量500mlの分液ロートに移送し、次に酢酸ブチル50.0gを投入し、5分間振とうした後、5分間静置分液したところ、褐色の有機層と無色透明のヨウ化リチウム水溶液を得た。ヨウ化リチウムの収率は100%であり、ヨウ化リチウム水溶液のAPHA No.は64であった。また、ヨウ化リチウム水溶液中に遊離ヨウ素は検出できなかった。
【0067】
〔実施例4〕
実施例2の方法により得られた遊離ヨウ素濃度が3.93重量%である黒色のpH調整液を用いて以下の操作を実施した。該pH調整液50.3gを200ml分液ロートに移送し、次に酢酸ブチル100.4gを投入し、5分間振とうした後、5分間静置分液したところ、黒褐色の有機層と微黄色のヨウ化リチウム水溶液を得た。上記色差計を用いてヨウ化リチウム水溶液の色調を測定したところAPHA No.は130であった。ヨウ化リチウム水溶液中の遊離ヨウ素の含有量は0.0181%であり、遊離ヨウ素の除去率は99.6%であった。
【0068】
〔比較例1〕
実施例3の方法において、酢酸ブチルに代えてヘキサン50gを使用して実施し、有機層と褐色のヨウ化リチウム水溶液を得た。ヨウ化リチウム水溶液の色調はAPHA No.2870(測定上限値)であり、有機層中に遊離ヨウ素は抽出されていなかった。
【0069】
〔比較例2〕
実施例3の方法において、酢酸ブチルに代えてクロロホルム50gを使用して実施し、有機層と褐色のヨウ化リチウム水溶液を得た。該ヨウ化リチウム水溶液のAPHA No.は2870(測定上限値)であり、有機層中に遊離ヨウ素は抽出されていなかった。
【0070】
上記実施例1及び2における活性炭投入前後のヨウ化リチウム水溶液における遊離ヨウ素の含有量の比較、及びAPHA No.の比較により、該除去工程が有効であることが確認された。
【0071】
上記実施例3〜4における水と混和しない有機溶媒による遊離ヨウ素の除去工程の前後における、ヨウ化リチウム水溶液における遊離ヨウ素の含有量の比較の比較により、該除去工程が有効であることが確認された。
【0072】
〔実施例5〕
実施例1で得られたヨウ化リチウム水溶液を用いて以下の操作を実施した。ヨウ化リチウム水溶液5mlを容量50mlのナス型フラスコに入れ、エバポレーターを用いて、50℃/3kPaで1時間かけて水を留去した後、140℃/3kPaで2時間かけてさらに濃縮乾固して、白色のヨウ化リチウムの結晶を得た。カールフィッシャー法で測定したところ、結晶中の水分は20.3重量%であり、得られた結晶はヨウ化リチウム2水和物であった。
【0073】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。