特許第6180734号(P6180734)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180734
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】延線ドラム架台
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20170807BHJP
   B65H 75/18 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   H02G1/02
   B65H75/18 B
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-281806(P2012-281806)
(22)【出願日】2012年12月25日
(65)【公開番号】特開2014-128080(P2014-128080A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年12月17日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】新名 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】津曲 明夫
(72)【発明者】
【氏名】岩永 一豊
【審査官】 石坂 知樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−162320(JP,U)
【文献】 特開2001−135166(JP,A)
【文献】 実開昭60−119817(JP,U)
【文献】 実開昭58−159817(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/02
B65H 75/14
B65H 75/18
B65H 75/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
延線ドラムの中心孔に通したシャフトと、前記延線ドラムの両側の鍔の外側に突出した前記シャフトを支持するシャフト支持部をそれぞれ有する二本のほぼ扁平な支持フレームとから成り、
前記各支持フレームは直線部の一端から円弧部が延設され、当該円弧部の先端は、前記直線部の一端側に折り返され、さらに頂部を形成して前記直線部の前記一端から他端側に一定長離れた位置に接続され、
前記各シャフト支持部は延線ドラムの中心孔に通したシャフトの外径とほぼ同じ内径を有し、前記シャフトを通した際、安定よく取り付けられる長さの管体から成り、
前記各シャフト支持部は、前記各支持フレームの直線部を地面又は床に置いた際、前記円弧部の頂部付近に支持され、当該各シャフト支持部の管体に、前記延線ドラムの中心孔に通したシャフトの両端部を引き抜き自在に通し、各支持フレームの直線部を地面又は床に置いた状態で、前記延線ドラムの鍔が地面又は床から浮いており、また、この状態で前記各支持フレームの円弧部の折り返し部が延線ドラムの鍔端部より外方に突出しており、
前記各支持フレームの直線部を上にして各支持フレームを逆さまにした状態で延線ドラムの鍔が地面又は床に接し、各支持フレームの他端側を地面又は床より浮かせた状態で押すことにより延線ドラムを回転させながら移動できることを特徴とする、延線ドラム架台。
【請求項2】
前記各支持フレームの円弧部は、ドラムを地面又は床から浮かし架台に据置する際、ドラムの径の大きさにかかわらず、てこの支点が連続的に滑らかに移動する等角螺旋曲線の外周形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の延線ドラム架台。
【請求項3】
前記各シャフト支持部の管体は、その基部が各支持フレームの円弧部に支持され、また、その外側先端部と支持フレームの直線部とを繋ぐ補助フレームにも支持されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の延線ドラム架台。
【請求項4】
前記各シャフト支持部は、前記直線部を地面又は床に置いた際、前記円弧部の頂部より、やや前記直線部の他端側にずれた箇所に支持されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の延線ドラム架台。
【請求項5】
前記各支持フレームの円弧部と相対向する直線部箇所間に補強フレームを渡し、当該補強フレームの、延線ドラムの鍔が接する側にローラを設けたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の延線ドラム架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケーブルの延線に使用する延線ドラム架台に関するもので、さらに詳しく述べると、極めて簡単に組立ててドラムの運搬ができ、延線箇所ではてこの原理を利用してドラムを架台に容易に乗せて、延線することが出来る延線ドラム架台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電線ケーブルや通信ケーブル工事に用いるケーブル延線用ドラムは、材料置き場や搬入場所等から工事現場等に運搬する場合、床等の損傷を防ぐためベニヤ板を敷いて養生し、その上を人力で転がしており、方向転換する場合は4〜5人の作業者がコロ等を順に当てがいこの上を転がしていく。
【0003】
また、ケーブル延線ではドラムの中心孔に通したシャフトの両端をジャッキで支持し、これらのジャッキによりシャフトを持ち上げてドラムを地面等から浮かして延線する方法、また、ターンテーブル上にドラムを横倒しにして載置し、このターンテーブルを回転させて延線する方法、また、ドラムの中心孔に通したシャフトの両端夫々に略三角形状のフレームを取付け、これらのフレームを相互に連結させてドラムを地表面から浮かして延線する方法等がある。
【0004】
これらの従来方法では、まず、ドラムを転がしたり、運搬治具を利用して延線作業箇所まで運搬し、その後、上記のような延線架台等にドラムを別途装着しなければ延線することができず、二重の手間がかかるものであった。
【0005】
そこで、このようなケーブルドラムの運搬と延線が兼用できる台車や架台が開発された。特許文献1は、平面コ字型フレームから成る台車の両側に一対のジャッキを載置、固定し、この台車のコ字型フレーム内にドラムを入れ、ドラムにシャフトを通してその両端をジャッキに取り付け、ジャッキでドラムを地面等から上げて、台車にドラムを支持し、運搬可能とするとともに、前記台車に設けたストッパを地面等に押し付けて台車を固定し、ドラムからケーブルを繰り出して延線出来るものである。
【0006】
また、特許文献2のものは、主台車と補助台車とから成り、主台車はその上面にケーブルドラムの両側の鍔を載せるローラを回転自在に設け、主台車の一側からこのローラと直角にガイド突体を略水平に突設して平面コ字型のフレームを形成し、上記補助台車はこれらのガイド突体に着脱自在に係合し、かつこれらのガイド突体に沿って摺動自在な係合溝を有し、上面にはこれらの係合溝と略直角方向に上記ケーブルドラムの両側の鍔を載せるローラを設け、これらの主台車と補助台車の下面には夫々これらを支える車輪を設け、かつ、主台車と補助台車とが相対的に接近自在な、ワイヤーと緊線機とから成る緊締手段を設けたものである。
【0007】
この場合、主台車と補助台車を切り離し、これらをケーブルドラムの両側に位置させて、前記緊締手段の緊線機で接近させ、主台車のガイド突体に補助台車の係合溝を嵌め、さらに緊締手段で、主台車と補助台車を接近させ、各ローラにドラムの鍔を載せ、ドラムを地面等から浮かすものである。これにより、ドラムの運搬及び延線が可能となる。
【0008】
また、特許文献3のものは、一側にブレーキ装置を設けた軸を、鋼線を巻き付けたドラムに回転自在に通し、このドラムの他側から突出する前記軸に、上記ブレーキ装置とドラムを相互に当接させて軸方向の動きを止めるカラーを通して着脱自在に固定し、前記ドラムの鍔の外面に突出したナットに係止自在な突腕を上記ブレーキ装置のブレーキホイールから突設し、当該軸の両端を、枠状のフレームから成る支持体の一端両側に設けた軸受けの上縁の溝に挿入し、一端を上記ブレーキ装置に接続したブレーキロッド又はワイヤーの他端を当該支持体の一側に長さ調整自在に支持させ、上記ドラムに巻きつけた鋼線の一端を通し、繰り出し方向には挿通自在で、反対方向には係止自在な鋼線通し金具を上記支持体に摺動自在かつ回転自在に設け、上記各軸受けを有する支持体の一端両側下部に、当該支持体を支持する車輪を設け、また支持体の他端両側下部には脚体を設けたものである。
【0009】
この場合、支持体を斜めに立てて、軸を通したドラムに接近させ、当該支持体の一端両側の軸受けにドラムの軸を引っ掛け、この状態で支持体の他端をやや倒せば、ドラムは軸受けに係止されて地面等から浮く。そしてこの状態で軸の一側に設けたブレーキ装置に接続したブレーキロッド又はワイヤーの他端を支持体の一側に長さ調整自在に支持させ、ドラムを支持体の車輪によって容易に運搬することができる。また、ドラムを目的場所まで運んだ後、前記支持体の他端をさらに倒して支持体を水平にして、車輪と脚体で支持体を支持し、ドラムから鋼線を繰り出すことができる。
【0010】
【特許文献1】実開昭61−74215号公報
【特許文献2】実公平4−35333号公報
【特許文献3】実公平8−7958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記特許文献1のものは、ドラムを平面コ字型フレームから成る台車の中に入れ、ジャッキを操作して、ドラムに通したシャフトの両端をジャッキの上端に設けた軸受けに係止し、その後、前記ジャッキでドラムを地面等から浮かせなければならず、前記当該台車にドラムを載せるのに手間がかかるものである。
【0012】
また、前記引用文献2のものは、主台車と補助台車を切り離し、これらをケーブルドラムの両側に位置させて、前記緊線機でワイヤーを引っ張り、これにより主台車と補助台車を接近させ、主台車のガイド突体に補助台車の係合溝を嵌め、さらに緊線機でワイヤーを引っ張り、主台車と補助台車を接近させ、各ローラにドラムの鍔を載せ、ドラムを地面等から浮かせて台車に載せるものであるが、まず、主台車のガイド突体に補助台車の係合溝を嵌めるのに作業者が手を添える等の作業が必要であり、また、これらの主台車と補助台車の水平移動でドラムをすくい上げるのに、大きな力を要するものである。従って、必ずしもドラムを台車にスムーズに載せられるものではない。
【0013】
また、前記特許文献3のものは、軸を通したドラムに支持体を斜めに立てて接近させ、前記軸の両端を、支持体の一端両側の軸受けですくって当該軸受けにドラムの両側から突出する軸を係止してドラムを支持体の一端に載せるが、支持体の一端には車輪を有するため、支持体の一端が地面等に固定されず、当該支持体の一端でドラムを持ち上げるため、作業が難しく、熟練を要するものである。また、支持体にドラムを支持した後、ブレーキ装置のブレーキロッド又はワイヤーを支持体に支持させなければならない。
【0014】
この発明は、この様なドラムの延線治具の課題を解決し、現場で簡単にケーブルドラムに取り付けて、当該ドラムを運搬し、延線箇所では、てこの原理を利用して当該ドラムを浮かし、架台に容易に乗せ、そして延線する、これらの一連の作業がひとつの治具で容易に実施できる延線ドラム架台を提供するものである。また、この延線ドラム架台は、外径の異なる多種のドラムに対しても、同様な操作で容易に延線ができる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明は、延線ドラムの中心孔に通したシャフトと、前記延線ドラムの両側の鍔の外側に突出した前記シャフトを支持するシャフト支持部をそれぞれ有する二本のほぼ扁平な支持フレームとから成り、前記各支持フレームは直線部の一端から円弧部が延設され、当該円弧部の先端は、前記直線部の一端側に折り返され、さらに頂部を形成して前記直線部の前記一端から他端側に一定長離れた位置に接続され、前記各シャフト支持部は延線ドラムの中心孔に通したシャフトの外径とほぼ同じ内径を有し、前記シャフトを通した際、安定よく取り付けられる長さの管体から成り、前記各シャフト支持部は、前記各支持フレームの直線部を地面又は床に置いた際、前記円弧部の頂部付近に支持され、当該各シャフト支持部の管体に、前記延線ドラムの中心孔に通したシャフトの両端部を引き抜き自在に通し、各支持フレームの直線部を地面又は床に置いた状態で、前記延線ドラムの鍔が地面又は床から浮いており、また、この状態で前記各支持フレームの円弧部の折り返し部が延線ドラムの鍔端部より外方に突出しており、前記各支持フレームの直線部を上にして各支持フレームを逆さまにした状態で延線ドラムの鍔が地面又は床に接し、各支持フレームの他端側を地面又は床より浮かせた状態で押すことにより延線ドラムを回転させながら移動できる、延線ドラム架台とした。
【0016】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記各支持フレームの円弧部は、ドラムを地面又は床から浮かし架台に据置する際、ドラムの径の大きさにかかわらず、てこの支点が連続的に滑らかに移動する等角螺旋曲線の外周形状を有する、延線ドラム架台とした。
【0018】
また、請求項の発明は、請求項1又は2の発明において、前記各シャフト支持部の管体は、その基部が各支持フレームの円弧部に支持され、また、その外側先端部と支持フレームの直線部とを繋ぐ補助フレームにも支持された、延線ドラム架台とした。
【0019】
また、請求項の発明は、請求項1〜の発明において、前記各シャフト支持部は、前記直線部を地面又は床に置いた際、前記円弧部の頂部より、やや前記直線部の他端側にずれた箇所に支持されている、延線ドラム架台とした。
【0020】
また、請求項の発明は、請求項1〜の発明において、前記各支持フレームの円弧部と相対向する直線部箇所間に補強フレームを渡し、当該補強フレームの、延線ドラムの鍔が接する側にローラを設けた、延線ドラム架台とした。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の発明によれば、ドラムの保管場所から出して当該ドラムの中心孔にシャフトを通し、このシャフトの両側に、2本の支持フレームの各シャフト支持部を取り付けただけで、作業者が当該2本の支持フレームの直線部を以て、ドラムを転がしながらケーブルの繰り出し、又は繰り入れを行う現場に運ぶことが出来る。
【0022】
そして、延線現場では2本の支持フレームの直線部を前方に立ち上げて各折り返し部付近を地面又は床に付け、作業者が、てこの原理を利用し、地面又は床についている折り返し部の一点をてこの支点の始めとし、前記支持フレームの直線部を持ってこれをおろす動作に従い、前記てこの支点が各円弧部の曲線に沿ってスムーズに移動し、各支持フレームの直線部を地面又は床に置けば、ドラムは2本の支持フレームによって地面又は床から浮き、架台に据置された状態となり、回転自在と成る。
【0023】
また、この架台が不要となれば、作業者は前記2本の支持フレームの直線部を持って、これらの直線部を地面又は床から持ち上げ、ドラムの鍔と2本の支持フレームの一側の円弧部の折り返し部付近とを地面又は床につけ、さらに前記直線部を回すと、2本の支持フレームが地面又は床から浮き、当該2本の支持フレームをドラムのシャフトから外すことができ、容易に分解できる。しかも、2本の支持フレームはほぼ扁平なため、保管や運搬に場所をとらない。
【0024】
このようにこの発明では、作業者一人で、ドラムに当該架台を取付け、運搬することが出来、また、てこの原理でドラムを容易に浮かし、架台に据置し、そしてケーブルの延線ができる。さらに、不要時には簡単にドラムから外すことができ、コンパクトに保管、運搬ができる。
【0025】
また、前記各支持フレームの直線部を地面又は床に置いた状態で、前記各支持フレームの円弧部の折り返し部が延線ドラムの鍔端部より外方に突出しており、かつ、折り返し部の前後が円弧を成しているため、シャフト支持部と地面との長さより小さい半径のドラムに対しては、てこの原理で容易に2本の支持フレームの直線部を倒して地面又は床に着け、ドラムを浮き上げることができる。
【0026】
また、2本の支持フレームの各シャフト支持部が延線ドラムの中心孔に通したシャフトの外径とほぼ同じ内径を有する、一定幅の管体から成るため、当該架台はドラムのシャフトに各支持フレームのシャフト支持部を通すだけで、安定良く取り付けられ、ドラムの運搬やドラムを地面又は床から浮かしてケーブルを延線する際、途中で外れたりするおそれがない。
【0027】
また、請求項2の発明によれば、てこの原理を利用しドラムを浮かす際、地面又は床についている折り返し部のてこの支点の始点が、ドラムの外径によって異なる位置となるにもかかわらず、支持フレームの直線部を持ってこれをおろす動作に従い、どの場合の支点においても各円弧部の曲線に沿って連続的に滑らかに支点が移動する曲線形状をもつため、作業者は違和感なくかつ容易にドラムを浮かすことができる。
【0028】
そして、浮かす作業開始時の各直線部の傾きは、ドラムの外径に応じて異なり、ドラムの外径が小さいものから大きくなるに従って、小さくなり、このため外径が大きい、即ち、重いドラムを、小さい動作で浮かすことができるため、作業は迅速かつ容易となる。
【0029】
また、請求項の発明によれば、2本の支持フレームの各シャフト支持部の管体は、その基部で支持フレームの円弧部に支持されていると共にその外側先端部と支持フレームの直線部とを繋ぐ補助フレームによっても支持されているため、前記シャフト支持部はより強固に各支持フレームに支持される。
【0030】
また、請求項の発明によれば、前記各シャフト支持部は、前記直線部を地面又は床に置いた際、前記円弧部の頂部よりやや前記直線部の他端側にずれた箇所に支持されているため、この状態で、当該延線ドラム架台にドラムを乗せた場合、ドラムの重心は、各支持フレームの円弧部の頂部から後方にずれて直線部の他端側に位置し、当該ドラムからケーブルを繰り出す場合、地面又は床が反力受けとなって、安定性が良い。
【0031】
また、請求項の発明によれば、前記各支持フレームの円弧部の相対向する箇所に補強フレームを渡し、当該補強フレームの、延線ドラムの鍔が接する側にローラを設けているため、ドラムの両側の鍔にローラが当たり、ドラムの回転に従ってローラが回転するため、当該架台を取り付けることによってドラムをスムーズに回転させ、かつドラムを傷つけたりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】この発明の実施の形態例の架台の斜視図である。
図2】この発明の実施の形態例の架台の支持フレームの外側面図である。
図3】この発明の実施の形態例の架台の支持フレームの内側面図である。
図4】(a)図はこの発明の実施の形態例の架台の支持フレームの正面図であり、(b)図は管体の側面図である。
図5】この発明の実施の形態例の架台に取り付けるドラムの中心孔にシャフトを通した側面図である。
図6】この発明の実施の形態例の架台にドラムを取り付けた状態を示す側面図である。
図7】この発明の実施の形態例の架台にドラムを取り付けて、直線部を立てた状態の側面図である。
図8】この発明の実施の形態例の架台にドラムを取り付けて、当該ドラムを浮かし架台に据置いた状態の側面図である。
図9】この発明の実施の形態例の架台にドラムを取り付けて、当該ドラムを浮かし架台に据置いた状態の正面図である。
図10】この発明の実施の形態例の架台にドラムを取り付けて、当該ドラムを、てこの原理で浮かしていく様子を示す側面図である。
図11】この発明の実施の形態例の架台に外径の異なるドラムを取り付けて各ドラムを浮かす場合の、動作開始前の状態を示す側面図である。
図12】この発明の実施の形態例の架台に外径の異なるドラムを取り付けて各ドラムを浮かす場合の、動作終了後の状態を示す側面図である。
図13】この発明の実施の形態例の架台に外径の異なるドラムを取り付けて各ドラムを浮かす場合の、異なるこの支点の開始位置(=始点)及び支点の軌跡を示す側面図である。
図14】この発明の実施の形態例の各支持フレームの円弧部を、等角螺旋で実現した場合の側面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、この発明の実施の形態例を図1から4に基づいて説明する。この発明の延線ドラム架台Aは、ドラムDの中心孔に通すシャフト1と当該シャフト1の両側に取り付ける2本の支持フレーム2、2とから成る。
【0034】
各支持フレーム2は、把手部2aを一端に有する直線部2bと、当該直線部2bの他端を一端側に折り返して直線部2bに戻る円弧部2cとから成る。また、この円弧部2cは前記折り返し部2dと頂部2eを有し、前記折り返し部2d及び頂部2eの各曲率半径は、他の円弧部2cの曲率半径より小さくなっている。さらに折り返し部2dと頂部2e相互の曲率半径も異なる。
【0035】
また、当該各支持フレーム2の円弧部2cの、頂部2eよりやや把手部2a側の箇所に、前記シャフト1を通して支持するシャフト支持部3が設けられている。このシャフト支持部3は各支持フレーム2の長手方向に直角に向いている一定長の管体4から成る。また、これらの各管体4の内径は、前記シャフト1の外径よりやや大きい径である。また、この管体4は、前記支持フレーム2の円弧部2cにアングル片8を介して設けられている。
【0036】
そして、当該管体4を有する箇所から下部の直線部2bまで補強フレーム5を有し、また、前記管体4の外側端と前記直線部2bまでを結ぶ補助フレーム6が設けられている。これにより、管体4は強固に各支持フレーム2の円弧部2cに支持されている。また、前記補強フレーム5の一側面の、ドラムの鍔と接する側にローラ7が設けられ、この架台Aにドラムを乗せた際、ドラムの鍔が接触すると、ドラムの回転に従って当該ローラ7が回転する構成となっている。
【0037】
この延線ドラム架台AをドラムDに取り付けるには、まず、図5に示すように、ドラムDを保管場所から出し、当該箇所で、作業者はドラムDの中心孔にドラムDの幅より長いシャフト1を通し、ドラムDの両側の鍔の外側にシャフト1の両端を突出させる。その後、図6に示すように、2本の支持フレーム2を持っていき、各支持フレーム2のシャフト支持部3の管体4を前記シャフト1の両端部に夫々被冠する。
【0038】
その際、図6に示すように、シャフト支持部3を下に、また、前記直線部2bを上にして2本の支持フレーム2をドラムDに取り付ける。そして、作業者は2本の支持フレーム2の把手部2aを手で持って押せば、ドラムDを転がしながら延線場所にドラム及びドラム架台を運ぶことが出来る。その際、2本の支持フレーム2が、シャフト1の両側にそれぞれ別々に取り付けられているため、各支持フレーム2への押圧力を変えれば、容易に方向変換をすることが出来る。
【0039】
この様にして、ドラム及びドラム架台を延線場所に運んだ後、作業者は各支持フレーム2を、図7に示すように、円弧部2cの折り返し部2dをドラムDの前方の地面又は床に押し付けて直線部2bを前方に立ち上げる。そして、作業者はドラム及びドラム架台の前方に回って、2本の支持フレーム2の把手部2a又は直線部2bを手で持って、前記円弧部2cの折り返し部2d付近を支点として、作業者は手前に各直線部2bを回し、図8に示すように、直線部2bを地面又は床に置く。この際、作業者は図10に示すように、てこの原理を利用することとなり、左程の力を要しない。
【0040】
これにより、ドラムDは地面又は床から離れ、当該延線ドラム架台A上に乗る。そして、この状態では、ドラムDの鍔は、図8及び9に示すように、地面又は床から浮き上がっている。従って、ドラムDはこの延線ドラム架台Aに支持され、回転可能となり、巻き付けられたケーブルを繰り出したり、引き込んだりできる。
【0041】
次に、この延線ドラムDの外径が小さい場合Dや大きい場合D等、ドラムの外径が異なる場合について、説明する。
【0042】
図11、12は、外径の異なるドラムに取り付けて各ドラムを地面又は床から浮かす場合のその前後をそれぞれ表している。図11に示すように、円弧部2cの曲線形状により、折り返し部2d付近で地面又は床に接する点、即ち、てこの支点の開始位置(=始点)は、ドラムD、D、Dの外径に応じて、S、S、Sとそれぞれ異なる位置となる。
【0043】
そして、図13に示すように、異なる始点S、S、Sを持つ各支点は、てこの動作に従い終点(=直線部の一端2b´)まで、円弧部2cを移動することになるが、円弧部2cは、いずれの場合に対しても、連続的に滑らかに支点が移動する曲線形状をもつため、作業者は違和感なくかつ容易にドラムを浮かすことができる。
【0044】
このような曲線例として、等角螺旋曲線をあげることができる。等角螺旋では、図14に示すように、円弧部2c上を移動する支点における接線と、支点と2b´を結ぶ直線とがなす角が等しいため、てこの原理による作業を滑らかに行うことができる。
【0045】
また、図11に示すように、各直線部2bの傾きは、ドラムDの外径に応じて異なり、ドラムDの外径が小さいものから大きいものに従って、小さくなり、ドラムDを浮かすための直線部2dを地面又は床に付けるまでの動作が少なくてすみ、作業は迅速かつ容易となる。
【0046】
また、前記ドラムDのケーブルの延線又は引き込み作業が終了した場合は、そのまま、直線部2bを地面又は床に置いた状態でも安定して置いておくことが出来る。また、当該延線ドラム架台Aが不要の際は、上述と反対の作業を行い、ドラムDから容易に2本の支持フレーム2を取り外し、シャフト1及び2本の支持フレーム2に分解することが出来、保管、運搬の際、場所を取らない。
【0047】
また、前記実施の形態例では、2本の支持フレーム2をドラムDのシャフト1の両側に夫々別々に取り付けているが、これらの2本の支持フレーム2を適宜の棒体で渡して着脱自在に接続すれば、直線方向の運搬の際や、ドラムDを地面又は床から浮かす作業等が容易となる。
【0048】
前記実施の形態例では、ケーブルを例としたが、ホース、縄、ロープなどの巻き物にも適用できる。
【符号の説明】
【0049】
A 延線ドラム架台 D ドラム
小径のドラム D大径のドラム
支点 S小径のドラムの支点
大径のドラムの支点
1 シャフト 2 支持フレーム
2a 把手部 2b 直線部
2c 円弧部 2d 折り返し部
2e 頂部 3 シャフト支持部
4 管体 5 補強フレーム
6 補助フレーム 7 ローラ
8 アングル片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14