特許第6180743号(P6180743)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6180743電力計測装置のケーブルのバイパス接続支援システムと、それを用いた電力計測装置のケーブルのバイパス接続方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6180743
(24)【登録日】2017年7月28日
(45)【発行日】2017年8月16日
(54)【発明の名称】電力計測装置のケーブルのバイパス接続支援システムと、それを用いた電力計測装置のケーブルのバイパス接続方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 21/00 20060101AFI20170807BHJP
   G01R 29/18 20060101ALI20170807BHJP
【FI】
   G01R21/00 E
   G01R29/18 C
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-7532(P2013-7532)
(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公開番号】特開2014-137346(P2014-137346A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220882
【氏名又は名称】株式会社エネゲート
(74)【代理人】
【識別番号】100060368
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 迪夫
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】多山 洋文
(72)【発明者】
【氏名】近藤 聡
(72)【発明者】
【氏名】山口 大翼
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−280867(JP,A)
【文献】 特開2000−55961(JP,A)
【文献】 実開平7−43241(JP,U)
【文献】 実開平4−51670(JP,U)
【文献】 実開昭60−168074(JP,U)
【文献】 特開平2−98675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 21/00−21/14
G01R 11/00−11/66
G01R 29/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力計測装置の電源側と負荷側の同相の計器ケーブルをバイパスケーブルでバイパス接続することを支援するシステムであって、
電力計測装置の電源側の計器ケーブルに配置されて電流と電圧の値を計測する電源側非接触電力計測器と、
電力計測装置の負荷側の計器ケーブルに配置されて電流と電圧の値を計測する負荷側非接触電力計測器とを備え、
前記電源側非接触電力計測器と前記負荷側非接触電力計測器とは、計測した電流と電圧の値を無線で送信する送信部を含み、
当該バイパス接続支援システムは、さらに、前記送信部から送信された電流と電圧の値を無線で受信する受信部と、
前記受信部が前記電源側非接触電力計測器の前記送信部から受信した電流と電圧の値と、前記受信部が前記負荷側非接触電力計測器の前記送信部から受信した電流と電圧の値とを比較することによって、前記電源側非接触電力計測器が配置された計器ケーブルと前記負荷側非接触電力計測器が配置された計器ケーブルとが同相であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって判定された結果を表示する表示部とを備え、
バイパス接続前に前記電源側非接触電力計測器または前記負荷側非接触電力計測器によって計測された電流の値をバイパス前電流の値として記憶する記憶部をさらに備え、
前記判定部は、前記バイパス前電流の値に対して、バイパス接続後に計器ケーブルを流れる分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを判定するように構成されている、電力計測装置のケーブルのバイパス接続支援システム。
【請求項2】
複数の前記電源側非接触電力計測器と複数の負荷側非接触電力計測器とを備える、請求項1に記載のバイパス接続支援システム。
【請求項3】
前記電源側非接触電力計測器と前記負荷側非接触電力計測器とは、計器ケーブルからの漏れ磁束によって動作電力を確保することが可能であるように構成されている、請求項1または請求項2に記載のバイパス接続支援システム。
【請求項4】
バイパスケーブルの両端に取り付けられて計器ケーブルの被覆を貫通できるコネクタを備える、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のバイパス接続支援システム。
【請求項5】
警報部を備え、
前記警報部は、前記バイパス前電流の値に対して、前記分電流の値が所定の比率で減少していないと前記判定部が判定した場合に警報音を発するように構成されている、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のバイパス接続支援システム。
【請求項6】
前記判定部は、前記バイパス前電流の値に対して、バイパス接続後に前記電源側非接触電力計測器または前記負荷側非接触電力計測器によって計測される分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを判定することによって、前記バイパス前電流の値に対して、バイパス接続後に計器ケーブルを流れる分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを判定するように構成されている、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のバイパス接続支援システム。
【請求項7】
バイパスケーブルに配置されて少なくとも電流の値を計測するバイパスケーブル電流計測器を備え、
前記判定部は、前記バイパス前電流の値に対する、バイパス接続後に前記バイパスケーブル電流計測器によって計測される電流の値の比が所定の値より大きいか否かに基づいて、前記バイパス前電流の値に対して、バイパス接続後に計器ケーブルを流れる分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを判定するように構成されている、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のバイパス接続支援システム。
【請求項8】
前記バイパス接続支援システムは、前記バイパス前電流の値に対して、前記分電流の値が所定の比率で減少していないと前記判定部が判定した場合に警報音を発するように構成されている警報部を備え、
電源側の複数の計器ケーブルのそれぞれに前記電源側非接触電力計測器を作業者が配置するステップAと、
負荷側の複数の計器ケーブルのそれぞれに前記負荷側非接触電力計測器を作業者が配置するステップBと、
前記電源側非接触電力計測器が計測した電流と電圧の値を前記送信部が送信し前記受信部が受信するステップCと、
前記負荷側非接触電力計測器が計測した電流と電圧の値を前記送信部が送信し前記受信部が受信するステップDと、
前記受信部が受信した電流の値をバイパス前電流として前記記憶部が記憶するステップEと、
前記受信部が前記電源側非接触電力計測器の前記送信部から受信した電流と電圧の値と、前記受信部が前記負荷側非接触電力計測器の前記送信部から受信した電流と電圧の値とを比較することによって、前記判定部が前記電源側非接触電力計測器が配置された計器ケーブルと前記負荷側非接触電力計測器が配置された計器ケーブルとが同相であるか否かを判定するステップFと、
前記判定部によって判定された結果を表示部が表示するステップGと、
前記判定部によって同相であると判定された電源側の計器ケーブルと負荷側の計器ケーブルとを作業者がバイパスケーブルでバイパス接続するステップHと、
バイパス接続された電源側の計器ケーブルに配置された前記電源側非接触電力計測器が計測した分電流の値、または、バイパス接続された負荷側の計器ケーブルに配置された前記負荷側非接触電力計測器が計測した分電流の値の少なくとも一方を前記送信部が送信し前記受信部が受信するステップIと、
前記ステップEにおいて前記記憶部に記憶されたバイパス前電流の値に対して、前記ステップIにおいて前記受信部が受信した分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを前記判定部が判定するステップJと、
前記ステップJにおいて前記バイパス前電流の値に対して、前記分電流の値が所定の比率で減少していないと判定された場合には前記警報部が警報音を発するステップKとを含む、請求項1から請求項4までのいずれか1項、または、請求項6に記載のバイパス接続支援システムを用いた電力計測装置のケーブルのバイパス接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力計測装置の電源側と負荷側の計器ケーブルとをバイパス接続し、無停電で電力計測装置を交換するためのバイパス接続支援システムとそれを用いたバイパス接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、計器ケーブルに接続された電力計測装置を交換するときには、電源側の計器ケーブルと負荷側の計器ケーブルとをバイパスケーブルで接続し、その後に電力計測装置を計器ケーブルから取り外すことによって、交換作業時に停電が生じないようにされている。
【0003】
電源側の計器ケーブルと負荷側の計器ケーブルとをバイパス接続するときには、バイパスケーブルで接続する計器ケーブルどうしが同相であることを確認する必要がある。同相の確認は、例えば、各ケーブルに付けられた相順番識別マークや電源側識別マーク、負荷側識別マークを作業者が目視で確認して行っている。
【0004】
しかしながら、電力計測器が配置されている場所が狭い場合など、同相であるか否かの確認が困難である場合がある。
【0005】
そこで、同相であるか否かの確認の別の方法として、例えばバイパスケーブルの中間にリレーを設けて、各相の電源側と負荷側の間の電位差等について、バイパス接続の際に論理チェックし、同相であるか否かのチェック結果をランプで表示して作業者に確認させる方法も採用されている。
【0006】
電力ケーブル間の検相装置や検相方法として、例えば、特開2000−162258号公報(特許文献1)には、遠く離隔した地点間で配電線の検相を行うための検相器が記載されている。この検相器は、各検相地点で配電線の対地相電圧を検出して検相信号を出力する送信側および受信側検出部と、送信側検出部の検相信号と受信側検出部の検相信号とを位相比較し、その比較結果に基づいて配電線が同相か異相かを判定表示する受信側インターフェース部を備えている。また、検相結果により同相であった場合に点灯する同相ランプや異相であった場合に点灯する異相ランプが配設されることや、検相結果が異相であった場合には、異相ランプが点灯すると同時に圧電ブザーが発音することが記載されている。
【0007】
実開平7−43241号公報(特許文献2)には、電力線に接触させて相情報を検出する検出手段と、検出手段によって検出された相情報を受信して相情報相互間の位相関係を識別する判定手段と、識別結果を基に相情報間の位相関係を表示する表示手段とを備える検相器が記載されている。
【0008】
また例えば、バイパスケーブルを用いずに電力量計を取り替える方法も提案されている。特開平8−114629号公報(特許文献3)には、単相三線式電力量計の取替え方法が記載されている。特許文献3に記載の方法は、電力量計の負荷側の第1相配線、第2相配線、第3相配線に、それぞれ、単巻きの変圧器の巻き線の一端側接続端子、中性線接続端子、他端側接続端子を接続させ、その後に、特定の電源側配線とこれに対応する負荷側配線を取り外して外部接続し、他の電源側及び負荷側配線も同様に順次、外部接続する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−162258号公報
【特許文献2】実開平7−43241号公報
【特許文献3】特開平8−114629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の検相器は、遠方の2地点間でのそれぞれの検相対象線が同相か異相かを判定するためのものである。電力計に接続されている配電線を検相し、同相と判断された配電線をバイパス接続し、電力量計を交換するために用いられるものではない。
【0011】
また、特許文献2には、電力計に接続されている配電線を検相し、同相と判断された配電線をバイパス接続し、電力量計を交換することについては記載されていない。
【0012】
また、特許文献3に記載の方法では、特定の電源側配線に、どの負荷側配線が対応しているのかを検知することができない。
【0013】
また、バイパスケーブルの中間にリレーを設ける場合には、次のような問題がある。すなわち、リレー装置本体は1kg弱あり、相当の大きさである。また、分電流確認機能を有していないので、計器取り外し時に停電となる恐れや、中性線の接続不備があった場合に異常電圧流入となる恐れがある。
【0014】
現在では電化製品が多用されており、停電したり、異常電圧流入があったりすると、使用者が電化製品に設定した予約、例えば、録画器の録画予約や空気調和機の空調設定予約などがキャンセルされてしまうものもある。そのため、電力メータが狭い場所に取り付けられているなど、電力メータの交換作業が困難な場合であっても、無停電で交換を完了させることが求められている。
【0015】
そこで、この発明の目的は、電力計測装置に接続されている計器ケーブルを電力計測装置から取り外すときの作業者の負担を軽減し、無停電で作業を完了させることが可能な、電力計測装置のケーブルのバイパス接続支援システムと、それを用いた電力計測装置のケーブルのバイパス接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明に従った電力計測装置のケーブルのバイパス接続支援システムは、電力計測装置の電源側と負荷側の同相の計器ケーブルをバイパスケーブルでバイパス接続することを支援するシステムである。
【0017】
本発明に従ったバイパス接続支援システムは、電力計測装置の電源側の計器ケーブルに配置されて電流と電圧の値を計測する電源側非接触電力計測器と、電力計測装置の負荷側の計器ケーブルに配置されて電流と電圧の値を計測する負荷側非接触電力計測器とを備える。電源側非接触電力計測器と負荷側非接触電力計測器とは、計測した電流と電圧の値を無線で送信する送信部を含む。
【0018】
バイパス接続支援システムは、さらに、送信部から送信された電流と電圧の値を無線で受信する受信部と、判定部と、表示部とを備える。判定部は、前記受信部が前記電源側非接触電力計測器の前記送信部から受信した電流と電圧の値と、前記受信部が前記負荷側非接触電力計測器の前記送信部から受信した電流と電圧の値とを比較することによって、電源側非接触電力計測器が配置された計器ケーブルと負荷側非接触電力計測器が配置された計器ケーブルとが同相であるか否かを判定する。表示部は、判定部によって判定された結果を表示する。
【0019】
電源側非接触電力計測器と負荷側非接触電力計測器の送信部と受信部とは、電流と電圧の値を無線で送受信するので、受信部を電源側非接触電力計測器と負荷側非接触電力計測器と離して、別個に移動させることができる。例えば、受信部と表示部を、作業者の携帯情報端末(PDA)に配置することによって、作業者は手元で表示部を確認することができる。
【0020】
以上の構成のバイパス接続支援システムを使用することにより、作業者は、表示部に表示される検相結果を視認して、簡単に同相の組の計器ケーブルを見出し、簡単に同相の組の計器ケーブルどうしをバイパスケーブルで接続することができる。
【0021】
このようにすることにより、電力計測装置に接続されている計器ケーブルを電力計測装置から取り外すときの作業者の負担を軽減し、無停電で作業を完了させることが可能な電力計測装置のケーブルのバイパス接続支援システムを提供することができる。
【0022】
また、本発明に従ったバイパス接続支援システムは、複数の電源側非接触電力計測器と複数の負荷側非接触電力計測器とを備えることが好ましい。
【0023】
このようにすることにより、作業の繰り返しを低減することができる。
【0024】
また、本発明に従ったバイパス接続支援システムにおいては、電源側非接触電力計測器と負荷側非接触電力計測器とは、計器ケーブルからの漏れ磁束によって動作電力を確保することが可能であるように構成されていることが好ましい。
【0025】
電源側非接触電力計測器と負荷側非接触電力計測器とは、計器ケーブルからの漏れ磁束によって動作電力を確保するので、電源を別に設ける必要がなく、システム全体を小型化することができる。
【0026】
また、本発明に従ったバイパス接続支援システムは、バイパスケーブルの両端に取り付けられて計器ケーブルの被覆を貫通できるコネクタを備えることが好ましい。
【0027】
コネクタが計器ケーブルの被覆を貫通するので、作業者は、バイパスケーブルを簡単に、計器ケーブルに接続させることができる。
【0028】
また、本発明に従ったバイパス接続支援システムは、バイパス接続前に電源側非接触電力計測器または負荷側非接触電力計測器によって計測された電流の値を記憶する記憶部を備えることが好ましい。判定部は、バイパス前電流の値に対して、バイパス接続後に計器ケーブルを流れる分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを判定するように構成されていることが好ましい。
【0029】
このとき、判定部は、バイパス前電流の値に対して、バイパス接続後に電源側非接触電力計測器または負荷側非接触電力計測器によって計測される分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを判定することが好ましい。または、バイパスケーブルに配置されて少なくとも電流の値を計測するバイパスケーブル電流計測器を備え、判定部は、バイパス前電流の値に対する、バイパス接続後にバイパスケーブル電流計測器によって計測される電流の値の比が所定の値よりも大きいか否かに基づいて、バイパス前電流の値に対して、バイパス接続後に計器ケーブルを流れる分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを判定してもよい。
【0030】
また、本発明に従ったバイパス接続支援システムは、警報部を備えることが好ましい。警報部は、
バイパス前電流の値に対して、分電流値が所定の比率で減少していないと判定部が判定した場合に警報音を発するように構成されていることが好ましい。
【0031】
この発明に従ったバイパス接続支援システムを用いた電力計測装置のケーブルのバイパス接続方法は、次のステップA〜Kを含む。
【0032】
ステップAは、電源側の複数の計器ケーブルのそれぞれに電源側非接触電力計測器を作業者が配置するステップである。ステップBは、負荷側の複数の計器ケーブルのそれぞれに負荷側非接触電力計測器を作業者が配置するステップである。
【0033】
ステップCは、電源側非接触電力計測器が計測した電流と電圧の値を送信部が送信し受信部が受信するステップである。ステップDは、負荷側非接触電力計測器が計測した電流と電圧の値を送信部が送信し受信部が受信するステップである。ステップEは、受信部が受信した電流の値をバイパス前電流として記憶部が記憶するステップである。
【0034】
ステップFは、受信部が電源側非接触電力計測器の送信部から受信した電流と電圧の値と、受信部が負荷側非接触電力計測器の送信部から受信した電流と電圧の値とを比較することによって、判定部が電源側非接触電力計測器が配置された計器ケーブルと負荷側非接触電力計測器が配置された計器ケーブルとが同相であるか否かを判定するステップである。ステップGは、判定部によって判定された結果を表示部が表示するステップである。
【0035】
ステップHは、判定部によって同相であると判定された電源側の計器ケーブルと負荷側の計器ケーブルとを作業者がバイパスケーブルでバイパス接続するステップである。
【0036】
ステップIは、バイパス接続された電源側の計器ケーブルに配置された電源側非接触電力計測器が計測した分電流の値、または、バイパス接続された負荷側の計器ケーブルに配置された負荷側非接触電力計測器が計測した分電流の値の少なくとも一方を送信部が送信し受信部が受信するステップである。
【0037】
ステップJは、ステップEにおいて記憶部に記憶されたバイパス前電流の値に対して、ステップIにおいて受信部が受信した分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを判定部が判定するステップである。
【0038】
ステップKは、ステップJにおいてバイパス前電流の値に対して、分電流の値が所定の比率で減少していないと判定された場合には警報部が警報音を発するステップである。
【0039】
このようにすることにより、電力計測装置に接続されている計器ケーブルを電力計測装置から取り外すときの作業者の負担を軽減し、無停電で作業を完了させることが可能な電力計測装置のケーブルのバイパス接続方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0040】
以上のように、この発明によれば、無停電で、電力計測装置に接続されている計器ケーブルを電力計測装置から、バイパス接続時に短絡させたり、停電や異常電圧流入させたりすることなく、安全に取り外すことが可能な、電力計測装置のケーブルのバイパス接続支援システムと、それを用いた電力計測装置のケーブルのバイパス接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の第1実施形態の無停電バイパス接続支援システムの構成を模式的に示す図である。
図2】第1実施形態の無停電バイパス接続支援システムを用いた無停電バイパス接続の工程S1〜S8を順に示すフローチャートである。
図3】第1実施形態の無停電バイパス接続支援システムを用いた無停電バイパス接続の工程S9〜S17を順に示すフローチャートである。
図4】第1実施形態の無停電バイパス接続支援システムの各計器ケーブルにマーキングが付された状態を模式的に示す図である。
図5】第1実施形態の無停電バイパス接続支援システムの各計器ケーブルにセンサが取り付けられ、検相結果が表示された状態を模式的に示す図である。
図6】第1実施形態の無停電バイパス接続支援システムの各計器ケーブルにセンサが取り付けられ、各相の電流値が表示された状態を模式的に示す図である。
図7】第1実施形態の無停電バイパス接続支援システムの同相のケーブルどうしがバイパスケーブルで接続され、分電流の値が表示された状態を模式的に示す図である。
図8】第1実施形態の無停電バイパス接続支援システムの各計器ケーブルが電力計測装置から取り外された状態を模式的に示す図である。
図9】第2実施形態の無停電バイパス接続支援システムにおいて1組の計器ケーブルにセンサが取り付けられ、検相結果が示された状態を模式的に示す図である。
図10】第2実施形態の無停電バイパス接続支援システムにおいて別の組の計器ケーブルにセンサが取り付けられ、検相結果が示された状態を模式的に示す図である。
図11】第2実施形態の無停電バイパス接続支援システムの同相のケーブルどうしがバイパスケーブルで接続され、分電流の値が表示された状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
(第1実施形態)
図1は、電力計測装置の計器ケーブルがバイパス接続された状態を示す。図1に示すように、本発明の第1実施形態の無停電バイパス接続支援システム1は、主に、電源側計器ケーブル11,12,13と負荷側計器ケーブル14,15,16とが接続された電力メータ10と、電源側計器ケーブル11,12,13にそれぞれ配置された電源側センサ21,22,23と、負荷側計器ケーブル14,15,16にそれぞれ配置された負荷側センサ24,25,26と、電源側計器ケーブル11,12,13と負荷側計器ケーブル14,15,16とをバイパス接続するバイパスケーブル31,32,33と、携帯情報端末(PDA)40とから構成されている。電力メータ10は電力計測装置の一例である。電源側センサ21,22,23は電源側非接触電力計測器の一例である。負荷側センサ24,25,26は負荷側非接触電力計測器の一例である。
【0044】
電源側計器ケーブル11,12,13は、電力メータ10の電源側に接続されており、負荷側計器ケーブル14,15,16は、電力メータ10の負荷側に接続されている。
【0045】
電源側計器ケーブル11には、電源側センサ21が取り付けられている。電源側センサ21は、計器ケーブル11からの漏れ磁束によって動作電力を確保するように構成されており、計器ケーブル11の電流と電圧を非接触で計測する。電源側センサ21は、計測した電流と電圧の値を無線で送信する送信部211を含む。
【0046】
電源側センサ22,23と負荷側センサ24,25,26も電源側センサ21と同様に構成されており、それぞれ、送信部211と同様に構成されている送信部221,231,241,251,261を含む。
【0047】
電源側センサ21,22,23は、それぞれ、作業者が目視で区別できるように、色分けされたり、ラベルを付けられたりしている。この実施形態においては、それぞれ「1S」「2S」「3S」との識別記号が表示されたラベルが貼り付けられている。負荷側センサ24.25.26も同様に、色分けされたりラベルを付けられたりしている。この実施形態においては、それぞれ、「1L」「2L」「3L」との識別記号が表示されたラベルが貼り付けられている。また、電源側センサ21,22,23と負荷側センサ24,25,26は、それぞれのラベルに表示された識別記号を記憶部(図示しない)に記憶している。
【0048】
バイパスケーブル31は、この実施形態においては、電源側計器ケーブル11と負荷側計器ケーブル14とを接続している。バイパスケーブル31の両端には電源側コネクタ311と負荷側コネクタ312が取り付けられている。電源側コネクタ311と負荷側コネクタ312は、例えばクランプ形状に形成されており、電源側計器ケーブル11と負荷側計器ケーブル14の被覆を貫通する。バイパスケーブル31の中央には、限流ヒューズが取り付けられていてもよい。コネクタとしては、例えば、特許第3418925号公報に記載されている電線クランプを用いることができる。
【0049】
バイパスケーブル32,33もバイパスケーブル31と同様に構成されている。バイパスケーブル32は電源側計器ケーブル12と負荷側計器ケーブル15とをバイパス接続し、バイパスケーブル33は電源側計器ケーブル13と負荷側計器ケーブル16とをバイパス接続している。バイパスケーブル31,32,33によってバイパス接続される電源側計器ケーブル11,12,13と負荷側計器ケーブル14,15,16との組は、後述するように、同相であることを作業者が確認した組である。
【0050】
バイパスケーブル32に取り付けられた電源側コネクタ321と負荷側コネクタ322と、バイパスケーブル33に取り付けられた電源側コネクタ331と負荷側コネクタ332は、電源側コネクタ311と負荷側コネクタ312と同様に構成されている。
【0051】
バイパスケーブル31,32,33の電源側コネクタ311,321,331は、電源側センサ21,22,23よりも上流側に取り付けられている。バイパスケーブル31,32,33の負荷側コネクタ312,322,332は、負荷側センサ24,25,26よりも下流側に取り付けられている。
【0052】
携帯情報端末40は、電力メータ10と電源側センサ21,22,23と負荷側センサ24,25,26とは別個に形成されており、作業者が携帯できるように構成されている。携帯情報端末40は主に、受信部41と、記憶部42と、判定部43と、表示部44と、警報部45とを含む。
【0053】
受信部41は、送信部211,221,231,241,251,261から送信された識別記号や電流と電圧の値といった情報を無線で受信する。受信部41が受信した情報は記憶部42に送信される。
【0054】
記憶部42は、送信部41から送信された情報を記憶する。
【0055】
判定部43は、記憶部42に記憶された情報を読み出し、表示部44に表示させる。判定部43はまた、後述するように、記憶部42に記憶された情報を読み出し、必要に応じて演算し、演算の結果、例えば、検相の結果や分電流の値が所定の割合以下であるかどうかを表示部44に表示させる。表示部44は、作業者が視認可能であるように構成されている。判定部43は、演算部と制御部を兼ねるものである。
【0056】
判定部43はさらに、記憶部42から読みだした情報を用いてした演算の結果に基づいて、警報部45を制御して警報部45に警報音を発生させるように構成されている。
【0057】
次に、図2〜3のフローチャートと、各状態を表す図4〜8とに基づいて、無停電バイパス接続支援システム1を用いて、例えば電力メータ10を無停電で交換するための作業手順の一例を説明する。
【0058】
図2図4に示すように、ステップS1では、作業者が、電源側計器ケーブル11,12,13と負荷側計器ケーブル14,15,16のコネクタ取り付け位置にマーカ111,121,131,141,151,161を付けてマーキングする。このとき、携帯情報端末40の表示部44には何も表示されず、あるいは、待機状態であることを示す画像が表示される。
【0059】
ステップS2では、作業者が、電源側計器ケーブル11,12,13においてはマーカ111,121,131よりも下流側に、電源側センサ21,22,23と取り付ける。また作業者は、負荷側計器ケーブル14,15,16においてはマーカ141,151,161よりも上流側に、負荷側センサ24,25,26を取り付ける。電源側センサ21,22,23と負荷側センサ24,25,26は、計器ケーブル11,12,13,14,15,16の漏れ磁束から動作電力を確保して、起動する。
【0060】
ステップS3では、電源側センサ21,22,23の送信部211,221,231と負荷側センサ24,25,26の送信部241,251,261が、それぞれ取り付けられている計器ケーブル11,12,13,14,15,16の電流値と電圧値を非接触で計測し、計測した値を、「1S」や「1L」といったそれぞれの識別記号とともに、無線で受信部41に送信する。送信部211,221,231,241,251,261は、計測した電流値と電圧値とに基づいて検相信号を作成し、検相信号を受信部41に送信してもよい。
【0061】
ステップS4では、受信部41が記憶部42に、受信した識別記号、電流値、電圧値と、あれば検相信号を送信する。記憶部42は、特に、受信した電流値を、それぞれの識別記号についてのバイパス前電流として記憶する。
【0062】
ステップS5では、判定部43が記憶部42から、識別記号と、電流値・電圧値、あれば検相信号を読み出して、どの識別記号の電源側センサ21,22,23とどの識別記号の負荷側センサ24,25,26とが同相であるのかを判定する。判定部43は、例えば、電源側センサ21の送信部211から送信された電流値と電圧値とを、負荷側センサ24の送信部241から送信された電流値・電圧値、負荷側センサ25の送信部251から送信された電流値・電圧値、負荷側センサ26の送信部261から送信された電流値・電圧値と順に比較することによって、電源側センサ21が配置されている電源側計器ケーブル11と同相の負荷側計器ケーブルを特定することができる。判定部43は、判定した検相結果を記憶部に記憶させる。
【0063】
ステップS6では、判定部43は、検相結果と各相の電流値を表示部44に送信する。
【0064】
ステップS7では、表示部44は、検相結果と各相の電流値(バイパス前電流の値)を表示する。
【0065】
図5に示すように、例えば、電源側センサ21と負荷側センサ24とが同相であり、電源側センサ22と負荷側センサ25とが同相であり、電源側センサ23と負荷側センサ26とが同相であると判定部43によって判定された場合には、表示部44には、センサ「1S」と「1L」、「2S」と「2L」、「3S」と「3L」がそれぞれ同相であることを表示する。また、検相が終了したことを「検相OK」などの文字で表示してもよい。
【0066】
また図6に示すように、表示部44には、同相の各組の電流値が表示される。
【0067】
図2図7に示すように、ステップS8では、作業者が表示部44を確認して、同相の計器ケーブル11,12,13,14,15,16どうしをバイパスケーブル31,32,33でバイパス接続する。この実施形態では、例えば、電源側センサ21が取り付けられている電源側計器ケーブル11と負荷側センサ24が取り付けられている負荷側計器ケーブル14とを、各センサに貼り付けされているラベル「1S」「1L」を目印にして、バイパスケーブル31でバイパス接続する。バイパスケーブル31の電源側コネクタ311はマーカ111の近傍に、負荷側コネクタ312はマーカ141の近傍において計器ケーブル11,14の被覆を貫通して取り付けられる。
【0068】
作業者は、続けて、電源側センサ22が取り付けられている電源側計器ケーブル12と負荷側センサ25が取り付けられている負荷側計器ケーブル15とを、各センサに貼り付けされているラベル「2S」「2L」を目印にして、バイパスケーブル32でバイパス接続する。バイパスケーブル32の電源側コネクタ321はマーカ121の近傍に、負荷側コネクタ322はマーカ151の近傍において計器ケーブル12,15の被覆を貫通して取り付けられる。
【0069】
作業者は、最後に、電源側センサ23が取り付けられている電源側計器ケーブル13と負荷側センサ26が取り付けられている負荷側計器ケーブル16とを、各センサに貼り付けされているラベル「3S」「3L」を目印にして、バイパスケーブル33でバイパス接続する。バイパスケーブル33の電源側コネクタ331はマーカ131の近傍に、負荷側コネクタ332はマーカ161の近傍において計器ケーブル13,16の被覆を貫通して取り付けられる。
【0070】
なお、この実施形態においては、電源側と負荷側にそれぞれ3本ずつの計器ケーブルが接続されているが、計器ケーブルは何本ずつ接続されていてもよく、作業者は同様にして同相の組を確認し、バイパス接続する。また、バイパスケーブルを接続する順番も、作業者が同相の計器ケーブルの組を確認してバイパス接続すればよく、どの相の計器ケーブルからバイパス接続しても構わない。
【0071】
図3に示すように、ステップS9では、電源側計器ケーブル11,12,13と負荷側計器ケーブル14,15,16がバイパス接続された状態で、送信部211,221,231,241,251,261は各計器ケーブル11,12,13,14,15,16の電流値を計測し、各センサの識別記号とともに受信部41に送信する。
【0072】
ステップS10では、受信部41が記憶部42に、受信した識別記号と電流値、すなわち、バイパス接続後の分電流値を送信する。
【0073】
ステップS11では、判定部43が記憶部42から、ステップS4で記憶部42に記憶された各識別記号に対応するバイパス前電流の値と、ステップS10で記憶部42に記憶された各識別記号に対応する電流値(分電流値)とを読み出す。判定部43は、読み出した各識別記号に対応する電流値について、ステップS4で記憶されたバイパス前電流の値とステップS10で記憶された分電流値とを比較して、分電流の値を算出する。
【0074】
ステップS12では、判定部43は、バイパス前電流の値に対して、バイパス接続後に電源側センサ21,22,23または負荷側センサ24,25,26によって計測される分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを判定する。この実施形態においては、例えば、バイパス前電流の値に対して分電流の値が50%以下に低減していれば、正常に分電流できていると判断するものとする。バイパス前電流の値に対して分電流の値が50%以下に低減していれば、ステップS13に進む。バイパス前電流の値に対して分電流の値が50%以下に低減していなければ、ステップS15に進む。
【0075】
ステップS13では、図7に示すように、判定部43が表示部44に判定の結果を送信し、表示部44は、各相の電流の値と、分電流が所定の値以下であることを、例えば「分電流OK」の文字などで表示する。作業者は、表示部44の表示を確認する。
【0076】
ステップS14では、図8に示すように、作業者が電力メータ10から計器ケーブル11,12,13,14,15,16を取り外す。電力メータ10と各計器ケーブル11,12,13,14,15,16とが分離されると、計器ケーブル11,12,13,14,15,16の漏れ磁束がなくなり、電源側センサ21,22,23と負荷側センサ24,25,26は電源を失う。この時、表示部44には、電源側センサ21,22,23と負荷側センサ24,25,26が計測する電流値が0A,0mAであることが表示される。作業者は、表示部44の表示を確認する。
【0077】
一方、ステップS15では、表示部44は、バイパス前電流の値に対して分電流の値が50%以下に低減していないことを表示する。
【0078】
ステップS16では、判定部43が警報部45を制御して、警報音を発生させ、作業者の注意を喚起する。
【0079】
ステップS17では、作業者はバイパス接続を確認し、ステップS8と同様にして正しく接続し直す。その後、ステップS9に戻る。
【0080】
以上のように、電力メータ10のケーブルの無停電バイパス接続支援システム1は、電力メータ10の同相の電源側計器ケーブル11,12,13と負荷側計器ケーブル14,15,16をバイパスケーブル31,32,33でバイパス接続することを支援するシステムである。
【0081】
本発明に従った無停電バイパス接続支援システム1は、電力メータ10の電源側計器ケーブル11,12,13に配置されて電流と電圧の値を計測する電源側センサ21,22,23と、電力メータ10の負荷側計器ケーブル14,15,16に配置されて電流と電圧の値を計測する負荷側センサ24,25,26とを備える。電源側センサ21,22,23と負荷側センサ24,25,26とは、計測した電流と電圧の値を無線で送信する送信部211,221,231,241,251,261を含む。
【0082】
無停電バイパス接続支援システム1は、さらに、送信部211,221,231,241,251,261から送信された電流と電圧の値を無線で受信する受信部41と、判定部43と、表示部44とを備える。判定部43は、受信部41が電源側センサ21,22,23の送信部211,221,231から受信した電流と電圧の値と、受信部41が負荷側センサ24,25,26の送信部241,251,261から受信した電流と電圧の値とを比較することによって、電源側センサ21,22,23が配置された計器ケーブル11,12,13と負荷側センサ24,25,26が配置された計器ケーブル14,15,16とが同相であるか否かを判定する。表示部44は、判定部43によって判定された結果を表示する。
【0083】
電源側センサ21,22,23と負荷側センサ24,25,26の送信部211,221,231,241,251,261と受信部41とは、電流と電圧の値を無線で送受信するので、受信部41を電源側センサ21,22,23と負荷側センサ24,25,26と離して、別個に移動させることができる。例えば、受信部41と表示部44を、作業者の携帯情報端末(PDA)40に配置することによって、作業者は手元で表示部44を確認することができる。
【0084】
以上の構成の無停電バイパス接続支援システム1を使用することにより、作業者は、表示部44に表示される検相結果を視認して、簡単に同相の組の計器ケーブルを見出し、簡単に同相の組の計器ケーブルどうしをバイパスケーブル31,32,33で接続することができる。
【0085】
このようにすることにより、電力メータ10に接続されている計器ケーブル11,12,13,14,15,16を電力メータ10から取り外すときの作業者の負担を軽減し、無停電で作業を完了させることが可能な電力メータ10のケーブルの無停電バイパス接続支援システム1を提供することができる。
【0086】
また、無停電バイパス接続支援システム1は、複数の電源側センサ21,22,23と複数の負荷側センサ24,25,26とを備える。
【0087】
このようにすることにより、作業の繰り返しを低減することができる。
【0088】
また、無停電バイパス接続支援システム1においては、電源側センサ21,22,23と負荷側センサ24,25,26とは、計器ケーブルからの漏れ磁束によって動作電力を確保することが可能であるように構成されている。
【0089】
電源側センサ21,22,23と負荷側センサ24,25,26とは、計器ケーブルからの漏れ磁束によって動作電力を確保するので、電源を別に設ける必要がなく、システム全体を小型化することができる。
【0090】
また、無停電バイパス接続支援システム1は、バイパスケーブル31,32,33の両端に取り付けられて計器ケーブルの被覆を貫通できるコネクタ311,312,321,322,331,332を備える。
【0091】
コネクタ311,312,321,322,331,332が計器ケーブルの被覆を貫通するので、作業者は、バイパスケーブル31,32,33を簡単に、計器ケーブルに接続させることができる。
【0092】
また、無停電バイパス接続支援システム1は、バイパス接続前に電源側センサ21,22,23または負荷側センサ24,25,26によって計測された電流の値を記憶する記憶部42を備えることが好ましい。判定部43は、バイパス前電流の値に対して、バイパス接続後に電源側センサ21,22,23または負荷側センサ24,25,26によって計測される分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを判定することが可能であるように構成されている。
【0093】
また、無停電バイパス接続支援システム1は、警報部45を備えることが好ましい。警報部45は、バイパス前電流の値に対して、分電流値が所定の比率で減少していないと判定部43が判定した場合に警報音を発するように構成されている。
【0094】
第1実施形態の無停電バイパス接続支援システム1を用いた電力メータ10のケーブルのバイパス接続方法は、要約すれば、次のステップA〜Kを含む。
【0095】
ステップAは、複数の電源側計器ケーブル11,12,13のそれぞれに電源側センサ21,22,23を作業者が配置するステップである。ステップBは、複数の負荷側計器ケーブル14,15,16のそれぞれに負荷側センサ24,25,26を作業者が配置するステップである。ステップAとステップBは、この実施形態のステップS2に対応する。
【0096】
ステップCは、電源側センサ21,22,23が計測した電流と電圧の値を送信部211,221,231が送信し受信部41が受信するステップである。ステップDは、負荷側センサ24,25,26が計測した電流と電圧の値を送信部241,251,261が送信し受信部41が受信するステップである。ステップCとステップDは、この実施形態のステップS3に対応する。ステップEは、受信部41が受信した電流と電圧の値を記憶部42が記憶するステップである(ステップS4)。
【0097】
ステップFは、受信部41が電源側センサ21,22,23の送信部211,221,231から受信した電流と電圧の値と、受信部41が負荷側センサ24,25,26の送信部241,251,261から受信した電流と電圧の値とを比較することによって、判定部43が電源側センサ21,22,23が配置された計器ケーブル11,12,13と負荷側センサ24,25,26が配置された計器ケーブル14,15,16とが同相であるか否かを判定するステップである(ステップS5)。ステップGは、判定部43によって判定された結果を表示部44が表示するステップである(ステップS7)。
【0098】
ステップHは、判定部43によって同相であると判定された電源側計器ケーブル11,12,13と負荷側計器ケーブル14,15,16とを作業者がバイパスケーブル31,32,33でバイパス接続するステップ(ステップS8)である。
【0099】
ステップIは、バイパス接続された電源側の計器ケーブル11,12,13に配置された電源側センサ21,22,23が計測した分電流の値、または、バイパス接続された負荷側の計器ケーブル14,15,16に配置された負荷側センサ24,25,26が計測した分電流の値の少なくとも一方を送信部211,221,231,241,251,261が送信し受信部41が受信するステップである(ステップS9)。なお、第1実施形態においては、電源側センサ21,22,23が計測した分電流と負荷側センサ24,25,26が計測した分電流の両方を送受信している。
【0100】
ステップJは、ステップEにおいて記憶部42に記憶されたバイパス前電流の値に対して、ステップIにおいて受信部41が受信した分電流の値が所定の比率、すなわち、第1実施形態においては50%以下に減少しているか否かを判定部43が判定するステップ(ステップS11,12)である。
【0101】
ステップKは、ステップJにおいてバイパス前電流の値に対して、分電流の値が所定の比率、すなわち、第1実施形態においては50%以下に減少していないと判定された場合には警報部45が警報音を発するステップ(ステップS16)である。
【0102】
このようにすることにより、電力メータ10に接続されている計器ケーブル11,12,13,14,15,16を電力メータ10から取り外すときの作業者の負担を軽減し、無停電で作業を完了させることが可能な電力メータ10のケーブルのバイパス接続方法を提供することができる。
【0103】
なお、第1実施形態においては、電源側センサ21,22,23と負荷側センサ24,25,26によって計測された電流値と電圧値とは、バイパス前においてもバイパス後においても記憶部42に記憶されている。しかしながら、分電流の低減率が所定の値以下であることの確認が不要であれば、無停電バイパス接続支援システム1は、記憶部42を備えなくてもよい。また、無停電バイパス接続支援システム1が記憶部42を備えており、分電流の低減率が所定の値以下であることを確認する場合であっても、バイパス接続前電流の値のみを記憶部42が記憶し、記憶部42に記憶されたバイパス前電流の値をバイパス接続後に計測された電流値と直接、比較して分電流の低減率が算出されてもよい。
【0104】
また、第1実施形態においては、判定部43は、バイパス前電流の値に対して、バイパス接続後に電源側センサ21,22,23または負荷側センサ24,25,26によって計測される分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを判定することが可能であるように構成されているが、バイパス接続支援システムは、次のように構成されていてもよい。すなわち、バイパスケーブル31,32,33に配置されて少なくとも電流の値を計測するバイパスケーブル電流計測器(図示しない)を備え、判定部43は、バイパス前電流の値に対する、バイパス接続後にバイパスケーブル電流計測器によって計測される電流の値が所定の値の比が所定の値より大きいか否かを判断することによって、バイパス前電流の値に対して、バイパス接続後に計器ケーブル11,12,13,14,15,16を流れる分電流の値が所定の比率で減少しているか否かを判定してもよい。バイパスケーブル電流計測器としては、例えば、電源側センサ21,22,23や負荷側センサ24,25,26と同様の構成のセンサを用いることができる。
【0105】
(第2実施形態)
第1実施形態の無停電バイパス接続支援システムにおいては、複数の電源側電力計測器と複数の負荷側電力計測器とを用いて説明したが、本発明の無停電バイパス接続支援システムは、電源側電力計測器と負荷側電力計測器とをそれぞれ1つずつ備えていればよい。但し、この場合、作業者は検相とバイパス接続とを計器ケーブルの組の数だけ繰り返す必要がある。以下、第2実施形態の無停電バイパス接続支援システムを図9〜11に基づいて説明する。第1実施形態と同じ参照符号で表わされる部材は説明を省略する。
【0106】
図9に示すように、第2実施形態の無停電バイパス接続支援システム2は、電源側電力計測器として電源側センサ51と、負荷側電力計測器として負荷側センサ52とを備える。電源側センサ51は送信部511を含み、負荷側センサ52は送信部521を含む。電源側センサ51には「0S」との識別記号が表示されたラベルが貼り付けされ、識別記号は電源側センサ51の記憶部(図示しない)に記憶されている。負荷側センサ52には「0L」との識別記号が表示されたラベルが貼り付けされ、識別記号は負荷側センサ52の記憶部(図示しない)に記憶されている。電源側センサ51と負荷側センサ52のその他の構成は、第1実施形態の電源側センサと負荷側センサと同様である。
【0107】
また、以下に説明する工程は、基本的には図2〜3に示す工程と同様である。無停電バイパス接続支援システム2を用いた電力メータ10のケーブルのバイパス接続方法は、要約すれば、次のステップA〜Kを含む。
【0108】
作業者は、電源側センサ51を、例えば電源側計器ケーブル11に配置し(ステップA)、負荷側センサ52を、例えば負荷側計器ケーブル16に配置する(ステップB)。
【0109】
電源側センサ51は、電源側計器ケーブル11の電流と電圧の値を計測し、送信部511がそれらの値を送信し、受信部41が受信する(ステップC)。また、負荷側センサ52は、負荷側計器ケーブル16の電流と電圧の値を計測し、送信部511がそれらの値を送信し、受信部41が受信する(ステップD)。受信部41は、受信した電流と電圧の値を記憶部42に送信し、記憶部42がこれらの値を記憶する(ステップE)。
【0110】
判定部43は、受信部41が電源側センサ51の送信部511から受信した電流と電圧の値と、受信部41が負荷側センサ52の送信部521から受信した電流と電圧の値とを比較することによって、電源側センサ51が配置された電源側計器ケーブル11と負荷側センサ52が配置された負荷側計器ケーブル16が同相であるか否かを判定する(ステップF)。表示部44は、判定部43によって判定された結果、例えば、同相ではないという結果を表示する(ステップG)。作業者は、ステップGにおいて表示部44に表示された結果を確認する。
【0111】
図9に示すように、表示部44に、例えば、同相ではないという結果が表示された場合には、作業者は、負荷側センサ52を別の負荷側計器ケーブル14に配置し直す(ステップB)。なお、電源側センサ51を別の電源側計器ケーブルに配置し直してもよい。ステップC〜ステップGまでの工程が繰り返される。
【0112】
図10に示すように、ステップFにおいて、判定部43が、電源側センサ51が配置された電源側計器ケーブル11と負荷側センサ52が配置された負荷側計器ケーブル14が同相であると判定した場合には、表示部44に同相であるという結果が表示される(ステップG)。作業者は表示部44に表示された結果を確認する。
【0113】
作業者は、電源側センサ51が配置されている電源側計器ケーブル11と負荷側センサ52が配置されている負荷側計器ケーブル14とをバイパスケーブル31で接続する(ステップH)。
【0114】
バイパス接続された電源側の計器ケーブル11に配置された電源側センサ51が計測した分電流の値、または、バイパス接続された負荷側の計器ケーブル14に配置された負荷側センサ52が計測した分電流の値の少なくとも一方を送信部511または送信部521が送信し受信部41が受信する(ステップI)。
【0115】
判定部43は、ステップEにおいて記憶部42に記憶されたバイパス前電流の値に対して、ステップIにおいて受信部41が受信した分電流の値が所定の比率、例えば50%以下に減少しているか否かを判定する(ステップJ)。
【0116】
警報部45は、ステップJにおいてバイパス前電流の値に対して、分電流の値が所定の比率、例えば50%以下に減少していないと判定された場合には警報音を発する(ステップK)。
【0117】
図11に示すように、ステップLにおいて判定された分電流の値は表示部44に表示される。作業者は、表示部44の表示を確認し、分電流が所定の値以下であれば、電源側センサ51と負荷側センサ52とを計器ケーブル11,14から取り外す。
【0118】
作業者は、電源側センサ51と負荷側センサ52とを別の組の計器ケーブルに取り付けて、上述のステップA〜Kを繰り返す。すべての計器ケーブルをバイパス接続した後、作業者は電力メータ10を計器ケーブル11,12,13,14,15,16から取り外す。
【0119】
このようにすることにより、電力メータ10に接続されている計器ケーブル11,12,13,14,15,16を電力メータ10から取り外すときの作業者の負担を軽減し、無停電で作業を完了させることが可能な電力メータ10のケーブルのバイパス接続方法を提供することができる。
【0120】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形を含むものである。
【符号の説明】
【0121】
1,2:無停電バイパス接続支援システム、10:電力メータ、11,12,13:電源側計器ケーブル、14,15,16:負荷側計器ケーブル、21,22,23,51:電源側センサ、24,25,26,52:負荷側センサ、211,221,231,241,251,261,511,521:送信部、31,32,33:バイパスケーブル、311,321,331:電源側コネクタ、312,322,332:負荷側コネクタ、40:携帯情報端末、41:受信部、42:記憶部、43:判定部、44:表示部、45:警報部。
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